説明

ニープロテクタ

【課題】主に荷重吸収特性を向上し得るようにする。
【解決手段】高負荷用荷重吸収部材6と、低負荷用荷重吸収部材7とを備えたニープロテクタ5に関する。高負荷用荷重吸収部材6が、車体強度部材3に設けられた車体前後方向15へ延びる不動ブラケット12の下側に取付けられた上部閉断面形成部材13とされる。この上部閉断面形成部材13は、不動ブラケット12と共に側方から見て閉断面を形成可能なものである。また、低負荷用荷重吸収部材7が、不動ブラケット12または高負荷用荷重吸収部材6の少なくとも一方の下側に取付けられた下部閉断面形成部材14とされる。この下部閉断面形成部材14は、不動ブラケット12または高負荷用荷重吸収部材6の少なくとも一方と共に側方から見て閉断面を形成可能なものとされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ニープロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設置されている。このインストルメントパネルの内部に対し、緊急時に乗員の膝を保護するためのニープロテクタを設置することが行われている。このようなニープロテクタには、例えば、特許文献1に開示されたようなものが存在している。
【0003】
特許文献1のニープロテクタは、平均的体格の乗員の下脚部入力荷重を吸収可能な上ブラケットと、小柄な乗員の下脚部入力荷重を吸収可能な下ブラケットと、上ブラケットと下ブラケットとを連結する脚部受部材とをそれぞれ別個に備えている。
【0004】
そして、車体に対して上記下ブラケットが取付けられ、下ブラケットに対して上ブラケットが取付けられると共に、上ブラケットと下ブラケットとの間に脚部受部材が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−62542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたニープロテクタには、以下のような問題があった。
【0007】
即ち、上ブラケットと下ブラケットとを、それぞれ、所要形状に曲げ加工した帯板状の金属部材により構成して、これらの曲げ変形によって荷重を吸収するものとしていたため、荷重吸収特性がピーキーで持続性のないものとなっていた。
【0008】
また、必要な荷重吸収力を付与するために、上ブラケットや下ブラケットは、比較的重量の大きなものとなっていた。
【0009】
しかも、小柄な乗員による相対的に小さな膝入力荷重を吸収可能な下ブラケットが車体に対して取付けられ、平均的体格の乗員による相対的に大きな膝入力荷重を吸収可能な上ブラケットが上記下ブラケットに対して取付けられていたため、即ち、荷重吸収に必要な強度または剛性が小さい下ブラケットが車体に対して取付けられ、荷重吸収に必要な強度または剛性が大きい上ブラケットが上記下ブラケットに対して取付けられていたため、構造的に無理が生じ、有る程度以上の軽量化を図ることが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、乗員による下脚部入力荷重を吸収可能な高負荷用荷重吸収部材と、該高負荷用荷重吸収部材よりも低い位置で乗員による下脚部入力荷重を吸収可能な低負荷用荷重吸収部材とを備えたニープロテクタにおいて、前記高負荷用荷重吸収部材が、車体強度部材に設けられた車体前後方向へ延びる不動ブラケットの下側に取付けられると共に、該不動ブラケットと共に側方から見て閉断面を形成可能な上部閉断面形成部材とされ、前記低負荷用荷重吸収部材が、前記不動ブラケットまたは前記高負荷用荷重吸収部材の少なくとも一方の下側に取付けられると共に、前記不動ブラケットまたは前記高負荷用荷重吸収部材の少なくとも一方と共に側方から見て閉断面を形成可能な下部閉断面形成部材とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、高負荷用荷重吸収部材を上部閉断面形成部材とすることにより、上部閉断面形成部材が塑性変形して潰れることによって下脚部入力荷重を吸収するものとなる。これにより、高負荷用荷重吸収部材を閉断面にしない場合と比べて、長く持続する荷重吸収特性と軽量化とが同時に得られるようになるので、機能的により優れたものとすることができる。同様に、低負荷用荷重吸収部材を下部閉断面形成部材とすることにより、下部閉断面形成部材が塑性変形して潰れることによって下脚部入力荷重を吸収するものとなる。これにより、低負荷用荷重吸収部材を閉断面にしない場合と比べて、長く持続する荷重吸収特性と軽量化とが同時に得られるようになるので、機能的により優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車両のインストルメントパネルの斜視図である。
【図2】インストルメントパネルの内部に設けられた車体強度部材に対して本発明の実施例1にかかる車両用ニープロテクタが取付けられた状態を示す斜視図である。
【図3】図2の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図3は、この実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例】
【0015】
<構成>以下、構成について説明する。
【0016】
自動車などの車両には、車室内の前部に、図1に示すような、インストルメントパネル1が設置されている。このインストルメントパネル1における、運転席側の部分の下部には、ロワドライバー2と呼ばれるパネル部材(運転席下部パネル)が取付けられている。このインストルメントパネル1およびロワドライバー2は、樹脂製のものとされる。なお、この図では、インストルメントパネル1は、右ハンドル車のものとなっているが、左ハンドル車のものであっても同様である。インストルメントパネル1の詳細については省略する。
【0017】
また、このインストルメントパネル1の内部には、図2に示すような、金属製の車体強度部材3が設けられている。この車体強度部材3は、ほぼ車幅方向4へ延びるものである。この車体強度部材3は、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれている。
【0018】
そして、上記したインストルメントパネル1の内部に、図2または図3に示すように、緊急時に乗員の膝を保護するためのニープロテクタ5を設置する。この場合、ニープロテクタ5は、車体の一部を構成する車体強度部材3の運転席側の部分の下部に設けられる。このニープロテクタ5は、ロワドライバー2の奥側に相当する位置に、インストルメントパネル1やロワドライバー2から離した状態で取付けられる。なお、同様のニープロテクタ5は、助手席側の部分に設けることもできる。
【0019】
このニープロテクタ5は、乗員による下脚部入力荷重を吸収可能な高負荷用荷重吸収部材6と、この高負荷用荷重吸収部材6よりも低い位置で乗員による下脚部入力荷重を吸収可能な低負荷用荷重吸収部材7とをそれぞれ備えたものとされる。
【0020】
ここで、下脚部入力荷重とは、要するに、膝入力荷重や脛入力荷重などのことである。高負荷用荷重吸収部材6は、主に、平均的体格の乗員の膝入力荷重を吸収するためのものとして設けられる。一方、低負荷用荷重吸収部材7は、主に、小柄な乗員の膝入力荷重や、平均的体格の乗員の脛入力荷重を吸収するためのものとして設けられる。そのため、高負荷用荷重吸収部材6は、低負荷用荷重吸収部材7よりも、荷重吸収力が大きなものとされる。
【0021】
以上のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えるようにする。
【0022】
高負荷用荷重吸収部材6が、車体強度部材3に設けられた車体前後方向15へ延びる不動ブラケット12の下側に取付けられると共に、不動ブラケット12と共に側方から見て閉断面を形成可能な上部閉断面形成部材13とされる。
【0023】
一方、低負荷用荷重吸収部材7が、不動ブラケット12または高負荷用荷重吸収部材6の少なくとも一方の下側に取付けられると共に、不動ブラケット12または高負荷用荷重吸収部材6の少なくとも一方と共に側方から見て閉断面を形成可能な下部閉断面形成部材14とされる。
【0024】
ここで、不動ブラケット12は、車体強度部材3からほぼ後方へ延びるものとされる。この場合、不動ブラケット12は、車体上方へ開いた断面ほぼコ字状の金属部材によって構成される。不動ブラケット12は、乗員の下脚部入力荷重によっては変形されない強度を有するものとされる。この不動ブラケット12の強度は、コ字状を構成する中央ウェブ部と両側フランジ部との肉厚や幅寸法などによって設定される。この場合、不動ブラケット12における少なくとも車体強度部材3の近傍部分では、両側フランジ部の幅が車体強度部材3へ向かうに従い徐々に広くなるように構成されている。即ち、車体強度部材3に対する取付部分の強度が最も強くなるように構成されている。
【0025】
上部閉断面形成部材13は、側面視ほぼV字状の金属部材で構成されている。この側面視ほぼV字状の金属部材は、前後の腕部13a,13bを有している。そして、前後の腕部13a,13bは、主に塑性変形により荷重を吸収する荷重吸収部とされ、このうち、後側の腕部13bは、乗員による下脚部入力荷重が入力される荷重入力部とされる。また、前後の腕部13a,13bの上端部には、必要に応じて、不動ブラケット12に対する取付部13dが外向きに曲げ形成される。この上部閉断面形成部材13は、帯板状部材を曲げ加工することによって構成される。上部閉断面形成部材13は、ボルト止めやスポット溶接などによって取付けられる。
【0026】
一方、下部閉断面形成部材14は、側面視ほぼコ字状の金属部材で構成されている。この側面視ほぼコ字状の金属部材は、ほぼ車体上下方向11へ延びる前後の腕部14a,14bと、前後の腕部14a,14bの下端部間を連結する中間連結部14cとを有している。そして、前側の腕部14aと中間連結部14cとは、主に塑性変形により荷重を吸収する荷重吸収部とされ、後側の腕部14bは、乗員による下脚部入力荷重が入力される荷重入力部とされる。また、前後の腕部14a,14bの上端部には、必要に応じて、不動ブラケット12や上部閉断面形成部材13に対する取付部14dが形成される。この上部閉断面形成部材13は、帯板状部材を曲げ加工することによって構成される。下部閉断面形成部材14は、ボルト止めやスポット溶接などによって取付けられる。
【0027】
そして、上部閉断面形成部材13と、下部閉断面形成部材14とは、別々の金属部材によって別部品として形成しても良いし、同一の金属部材によって同一部品として形成しても良い。この場合には、別々の金属部材によって形成するようにしている。
【0028】
また、上部閉断面形成部材13と、下部閉断面形成部材14とを構成する金属部材は、同じ厚みや同じ幅寸法のものとすることもできるし、また。異なる厚みや異なる幅寸法のものとすることもできる。
【0029】
上部閉断面形成部材13と、下部閉断面形成部材14とを構成する金属部材には、それぞれ、必要に応じて、ビードなどの補強部などを設けるようにしても良い。
【0030】
そして、上部閉断面形成部材13や下部閉断面形成部材14の荷重吸収力は、それぞれの、閉断面の大きさや、金属部材の肉厚や大きさや、補強部の有無や大きさやその形状などによって設定される。
【0031】
また、上部閉断面形成部材13の荷重入力部(後ろ側の腕部13b。以下同様)と、下部閉断面形成部材14の荷重入力部(後ろ側の腕部14b。以下同様)とは、上記したロワドライバー2に対する接触部が大きくなることを目的として、ロワドライバー2とほぼ平行なものとされている。但し、上記以外の目的が有る場合には、ロワドライバー2と平行にしなくても良い。
【0032】
また、上部閉断面形成部材13の荷重入力部とロワドライバー2との距離17、および、下部閉断面形成部材14の荷重入力部とロワドライバー2との距離18は、乗員の下脚部がロワドライバー2に当接してから、ロワドライバー2が上部閉断面形成部材13や下部閉断面形成部材14に当接して作動開始するまでの時間を調節するための空走区間としてそれぞれ最適に設定される。この場合には、距離17と距離18とを同じにすることにより、空走区間が互いにほぼ等しくなるように設定されているが、必ずしもこれに限るものではない。
【0033】
そして、必要に応じて、高負荷用荷重吸収部材6と低負荷用荷重吸収部材7との間を脚部受部材21で連結する。この脚部受部材21は、高負荷用荷重吸収部材6および低負荷用荷重吸収部材7よりも後側(乗員側)に位置される。この脚部受部材21は、側面視で前下がりに傾斜したものとされる。この脚部受部材21の傾斜角度は、上記したロワドライバー2の傾斜角度とほぼ等しいものとされる。この脚部受部材21は、樹脂製または金属製のものなどとする。
【0034】
より具体的には、高負荷用荷重吸収部材6(上部閉断面形成部材13)の後側の腕部13bの高さを、平均的体格の乗員のほぼ膝位置となるようにする。また、低負荷用荷重吸収部材7(下部閉断面形成部材14)の後側の腕部14bの高さを、小柄な乗員のほぼ膝位置となるようにする。そして、上部閉断面形成部材13の後側の腕部13bと下部閉断面形成部材14の後側の腕部14bとの間に、上記した脚部受部材21を架設する。但し、上部閉断面形成部材13の後側の腕部13bと下部閉断面形成部材14の後側の腕部14bとが、側面視で一直線上にない場合には、これに合わせて、脚部受部材21を側面視段差形状などとしても良い。また、脚部受部材21の上端部が不動ブラケット12の後端部と干渉する場合には、脚部受部材21の上端部などに、迂回部や座繰部などの干渉防止形状部を設けても良い。
【0035】
上部閉断面形成部材13の後側の腕部13b、および、下部閉断面形成部材14の後側の腕部14bに対する脚部受部材21の取付けは、傾動自在となるように、例えば、脚部受部材21とほぼ面直なボルトなどの締結具を用いてそれぞれ1点止めなどする。
【0036】
そして、脚部受部材21を、高負荷用荷重吸収部材6の後端側に設けられた後側の腕部13bと、低負荷用荷重吸収部材7の後端側に設けられた後側の腕部14bとの間を連結する上下連結部21aと、車幅方向4に隔てて一対設けられた両上下連結部21a間を連結する左右連結部21bとを有するものとする。
【0037】
ここで、脚部受部材21の上下連結部21aと左右連結部21bとは一体物とされる。上下連結部21aは、ほぼ車体上下方向11へ延びる帯板状のものとされる。また、左右連結部21bは、ほぼ車幅方向4へ延びる帯板状のものとされる。
【0038】
なお、高負荷用荷重吸収部材6および低負荷用荷重吸収部材7は、乗員の左右の脚に合わせて左右一対設けられる。これに合わせて、上下連結部21aも上記したように左右一対設けられることになる。
【0039】
そして、小柄な乗員の左右の膝間隔が狭い場合でも受けることができるように、左右連結部21bが、ほぼ低負荷用荷重吸収部材7の高さに設けられる。これにより、脚部受部材21は、乗員側から見てほぼ上に向いて開いたU字状のものとなる。
【0040】
なお、この実施例では、下部閉断面形成部材14は、上部閉断面形成部材13と共に閉断面を形成するようになっているが、不動ブラケット12の下部に付随させて不動ブラケット12と共に閉断面を形成するようにしたり、または、不動ブラケット12と上部閉断面形成部材13との両方と共に閉断面を形成するようにしたりすることもできる。
【0041】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0042】
高負荷用荷重吸収部材6は、乗員の下脚部入力荷重(入力荷重F1)を塑性変形によって吸収することができる。また、低負荷用荷重吸収部材7は、高負荷用荷重吸収部材6よりも低い位置で、乗員の下脚部入力荷重(入力荷重F2)を塑性変形によって吸収することができる。より具体的には、高負荷用荷重吸収部材6は、平均的体格の乗員の膝入力荷重を吸収する。また、低負荷用荷重吸収部材7は、小柄な乗員の膝入力荷重や平均的体格の乗員の脛入力荷重を吸収する。
【0043】
なお、高負荷用荷重吸収部材6と低負荷用荷重吸収部材7とが、塑性変形によって入力荷重F1,F2を吸収することにより、例えば、弾性変形によって入力荷重F1,F2を吸収するようにした場合と比べて、より大きな入力荷重F1,F2を吸収することが可能となる。
【0044】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
(効果1)
ニープロテクタ5では、高負荷用荷重吸収部材6によって、乗員による高い下脚部入力荷重を吸収することができる。また、低負荷用荷重吸収部材7によって、低い位置で、乗員による低い下脚部入力荷重を吸収することができる。これにより、乗員の体格に応じて、吸収する荷重を異ならせることができる。
【0046】
そして、高負荷用荷重吸収部材6としての上部閉断面形成部材13は、車体強度部材3に設けられた車体前後方向15へ延びる不動ブラケット12の下側に取付けられて、不動ブラケット12と共に側方から見て閉断面を形成する。そして、高負荷用荷重吸収部材6を上部閉断面形成部材13とすることにより、上部閉断面形成部材13が塑性変形して潰れることによって下脚部入力荷重を吸収するものとなる。この上部閉断面形成部材13は、軽量でしかも長く持続する荷重吸収力を発揮するものとなる。このように、高負荷用荷重吸収部材6を上部閉断面形成部材13とすることにより、高負荷用荷重吸収部材6を閉断面にしない場合と比べて、長く持続する荷重吸収特性と軽量化とが同時に得られるようになるので、機能的により優れたものとすることができる。これによって、平均的体格の乗員による高い下脚部入力荷重をより有利に吸収することが可能となる。
【0047】
また、低負荷用荷重吸収部材7としての下部閉断面形成部材14は、不動ブラケット12または高負荷用荷重吸収部材6の少なくとも一方の下側に取付けられて、不動ブラケット12または高負荷用荷重吸収部材6の少なくとも一方と共に側方から見て閉断面を形成する。そして、低負荷用荷重吸収部材7を下部閉断面形成部材14とすることにより、下部閉断面形成部材14が塑性変形して潰れることによって下脚部入力荷重を吸収するものとなる。この下部閉断面形成部材14は、軽量でしかも長く持続する荷重吸収力を発揮するものとなる。このように、低負荷用荷重吸収部材7を下部閉断面形成部材14とすることにより、低負荷用荷重吸収部材7を閉断面にしない場合と比べて、長く持続する荷重吸収特性と軽量化とが同時に得られるようになるので、機能的により優れたものとすることができる。これによって、小柄な乗員による低い下脚部入力荷重をより有利に吸収することが可能となる。
【0048】
そして、不動ブラケット12は、下脚部入力荷重を、高負荷用荷重吸収部材6としての上部閉断面形成部材13や、低負荷用荷重吸収部材7としての下部閉断面形成部材14を介して受けることになる。そして、不動ブラケット12を車体前後方向15へ延びるものとしたことにより、車体前方を基準として大きく上側へ向かう下脚部入力荷重を効率的に受止めることができる。よって、下脚部入力荷重が上向きになる傾向にある乗員姿勢の低い車両にとって適したものとすることができる。なお、乗員姿勢の低い車両とは、例えば、セダンなどの普通常用車と比べて車体高さが低いスポーツタイプの車などの低車体車両のことである。
【0049】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0050】
3 車体強度部材
5 ニープロテクタ
6 高負荷用荷重吸収部材
7 低負荷用荷重吸収部材
12 不動ブラケット
13 上部閉断面形成部材
14 下部閉断面形成部材
15 車体前後方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員による下脚部入力荷重を吸収可能な高負荷用荷重吸収部材と、
該高負荷用荷重吸収部材よりも低い位置で乗員による下脚部入力荷重を吸収可能な低負荷用荷重吸収部材とを備えたニープロテクタにおいて、
前記高負荷用荷重吸収部材が、車体強度部材に設けられた車体前後方向へ延びる不動ブラケットの下側に取付けられると共に、該不動ブラケットと共に側方から見て閉断面を形成可能な上部閉断面形成部材とされ、
前記低負荷用荷重吸収部材が、前記不動ブラケットまたは前記高負荷用荷重吸収部材の少なくとも一方の下側に取付けられると共に、前記不動ブラケットまたは前記高負荷用荷重吸収部材の少なくとも一方と共に側方から見て閉断面を形成可能な下部閉断面形成部材とされたことを特徴とするニープロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14158(P2013−14158A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146199(P2011−146199)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)