ネジ付金属キャップ及びネジ付金属キャップ封口容器
【課題】内容物の高速充填化を図り、かつ既存の二重巻締め設備をそのまま使用できるネジ付金属キャップ及びネジ付金属キャップ封口容器を提供する。
【解決手段】容器を封口するネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられ、該開口部を天蓋で封着さらる。また、注ぎ口6を封口するネジ付金属キャップ10は、上方に開口部Raが設けられており開口部を天蓋4により封着されたものであり、ネジ付金属キャップ封口容器は、開口円筒Rから連続して一体的に加工した注ぎ口6と外壁14とからなる口頸部2が形成されており、外壁14の上方に設けられた開口部Raを天蓋4で封着することによりネジ付金属キャップ10を形成し、口頸部の注ぎ口は内壁12から外部に折り返し中間壁13で形成され、さらに中間壁の下端を折り返した外壁に設けられ易破断部11の破断により注ぎ口から分離されて開封可能となる。
【解決手段】容器を封口するネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられ、該開口部を天蓋で封着さらる。また、注ぎ口6を封口するネジ付金属キャップ10は、上方に開口部Raが設けられており開口部を天蓋4により封着されたものであり、ネジ付金属キャップ封口容器は、開口円筒Rから連続して一体的に加工した注ぎ口6と外壁14とからなる口頸部2が形成されており、外壁14の上方に設けられた開口部Raを天蓋4で封着することによりネジ付金属キャップ10を形成し、口頸部の注ぎ口は内壁12から外部に折り返し中間壁13で形成され、さらに中間壁の下端を折り返した外壁に設けられ易破断部11の破断により注ぎ口から分離されて開封可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の高速充填が可能であると共にリシール(開封後に再封口すること)出来るネジ付金属キャップ及びネジ付金属キャップ封口容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を充填した流通容器として特に金属缶が多用され、特に金属缶においては3ピース(スリーピース缶)と2ピース缶(ツーピース缶)が長年使用されてきた。3ピース缶は矩形の板を円筒に成形して溶接法、ナイロン接着法、半田法などで接合した継目をもつ缶胴部材と、その両端開口部に夫々天蓋、底蓋を固着した3つの部材から構成されている。これに対して、2ピース缶は、円形素材板からプレス加工により成形された缶胴と缶底が一体化したカップ状のものに、缶蓋を固着した2つの部材から構成されているもので継目無し缶とも呼ばれている。
【0003】
このような外観が円柱形状の缶に食品、特に飲料を充填した商品が大量生産されてきた理由は、缶胴に天蓋、底蓋を固着する二重巻締め法が存在したからである。この二重巻締め方法は缶胴開口部に設けた数ミリ幅のフランジに、外円周をカールし、シーリング剤を塗布した蓋(天、底)を被せて、缶を高速回転させながらカール部外周縁を押圧し、缶のフランジと一緒に下方から捲き込み封着するものである。
【0004】
この二重巻締め方法は高速で確実に内容物を密封できる特徴があり、大量生産されている飲料缶詰をはじめ食品缶詰の殆どに適用され、多くの缶詰生産業者がこの方法の設備を有している。しかしながら、二重巻締め法により固着された蓋においては、素手で容易に開封することが出来ないため所謂缶切りなどの道具を必要としていた。そこで、蓋面上に板厚みを薄くした円形で線状の易破断部(スコア)を設け、円形に開口できるイージーオープン蓋(easy open end)が開発され、現在、飲料缶の殆どはこの蓋が使用されている。しかしながら、天蓋面に設けた小さい円形の開口部に直に口をつけて飲む感触は、コップ容器などに比較して著しく劣るものであった。そして、一旦開封したものは再封口できないという問題があった。
【0005】
近年、容器飲料を開封後一度に飲めない高齢者、幼児、女性達による消費増大、および戸外携行、乗り物内での消費が高まるにつれて、消費者においてはビン詰め飲料、ペットボトル詰め飲料と同じように、金属缶においても(1)リシール可能な機能を持つこと、および(2)飲み口形状が小径で口に良くフィットし所謂ラッパのみし易いことなどの要望が高まった。このような要望に応じて、金属缶においても天蓋の中央部を上方へ突き出させて小径円筒状口頸部を設け、この先端開口部にネジ付キャップを取付けリシール可能なものが開発された(特許文献1:特表平10−509095号公報)。
【0006】
さらに、発明者らは特願2004−186986号(特許文献2)記載において、ネジ付金属キャップによるリシール可能な開封構造を開発し既に出願済みである。特許文献2記載の容器の開封構造においてはキャップ部分と注ぎ部分を、容器の口頸部となる円筒から連続して一体的に形成したもので内容物充填後の密封性の保障が完全で、容器製造の際の生産性や、輸送中などにおける耐久性に優れたものである。
【特許文献1】特表平10−509095号公報
【特許文献2】特願2004−186986号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上、説明したように飲料容器において、イージーオープン蓋、缶飲み口のボトル形状化などの開発により缶の開封し易さ、飲み易さといった要望に応じて大きく改善されてきた。しかしながら、このような利便性の改善の反面、大量生産されている缶飲料において、ボトル形状化した飲み口にキャップをネジ込み取り付けする速度が、従来の円筒形状缶において天蓋を缶胴に二重巻締めで取り付けする速度に比較して極めて劣るものであるという問題は、生産性向上の大きなネックになっていた。近年、金属キャップ付容器の要望が高まる中で、その高速充填化は飲料提供におけるコスト削減にとって大きな課題であった。
【0008】
また、現存する多くの天蓋を二重巻締めする設備を、そのままキャップ付容器の内容物充填に使用できれば、新規にキャップ封着設備を導入する必要がなく容器入り飲料提供におけるコスト削減に大きく寄与する。
本発明は上記のような背景に鑑みなされたもので、内容物の高速充填化が図れ、かつ既存の二重巻締め設備をそのまま使用できるネジ付金属キャップ及びネジ付金属キャップ封口容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載のネジ付金属キャップは、容器を封口するネジ付金属キャップにおいて、前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられ、該開口部を天蓋で封着することを特徴とする。
本発明の請求項2に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、注ぎ口をネジ付金属キャップで封口する容器であって、前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられており該開口部を天蓋により封着されたものであることを特徴とする。
請求項3に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、開口円筒から連続して一体的に加工した注ぎ口と外壁とからなる口頸部が形成されており、前記外壁の上方に設けられた開口部を天蓋で封着することによりネジ付金属キャップを形成し、前記口頸部の注ぎ口は内壁から外部に折り返し中間壁で形成され、さらに該中間壁の下端を折り返した前記外壁に設けられた易破断部の破断により前記ネジ付金属キャップが前記注ぎ口から分離されて開封可能となることを特徴とする。
請求項4に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、請求項2又は3において、前記天蓋の封着を二重巻締めにより行うことを特徴とする。
請求項5に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、請求項4において、前記天蓋の二重巻締め部の外径(D)が、前記ネジ付金属キャップの外径(d)よりも小さいことを特徴とする。
請求項6に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、請求項2〜5のいずれかにおいて、前記容器が、胴部継目無し缶又は胴部溶接継目缶であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネジ付金属キャップの上方に開口部を設け、この開口部から内容物を充填するとともに、天蓋により封口することが出来るから、充填速度が大幅に向上させることができる。また、従来の封着設備をそのまま利用することが出来るから新規設備投資をすることなく、ネジ付金属キャップ封口容器に内容物を充填することが出来る。
また、缶口頸部の構造として、開口円筒から連続して一体的に加工して注ぎ口と外壁からなる口頸部としているので、内容物充填後の密封性の保障がより完全であり、容器製造の際の生産性や、輸送中などにおける耐久性に優れたものである。
さらに、ネジ付金属キャップを、別途形成した容器本体に二重巻締め等で一体化すれば、多種(サイズ、缶胴形成法)の缶胴体に適用できる。
また、天蓋をネジ付金属キャップの上方に設けた開口部に二重巻締めで封着するものであるので、内容物充填後において缶内と外気の境界は、長年にわたり高い密封性を達成できる。
そして、ネジ付金属キャップに封着する天蓋の二重巻締め部の外径が、前記ネジ付金属キャップの外径よりも小さいから、容器搬送、取り扱い中の外部衝撃を二重巻締め部が直接うけることがすくなく密封性の保障がより高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のネジ付金属キャップ封口容器の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の容器構造の半断面図であり、天蓋4は、ネジ付円筒3に封着されてネジ付金属キャップを形成する前の状態を示している。図1に示すように、容器本体1の口頸部2には、ネジ付金属キャップを形成する前のネジ付円筒3のネジ形成部3aが容器本体1の注ぎ口ネジ形成部1aに螺着されている。そして、ネジ付円筒3の上部開口部Ra周縁は、半径方向外方に向けて天蓋取付用フランジ3bとして延出されている。
一方、図1の上方に示すように、円形状の天蓋4は、その外周縁に天蓋カール部4aが形成されており、天蓋4をネジ付円筒3の開口部Raに取り付けるときは、ネジ付円筒3の天蓋取付用フランジ3bにカール部4aを被せて、天蓋カール部4aとフランジ3bとを、巻締めシーリング剤4cを介して二重巻締めすることにより封着する。
【0012】
また、二重巻締め時に、容器本体1の注ぎ口6を外方にカールさせたカール部1bと密着する天蓋内周リング部4dの表面にも注ぎ口シーリング剤4bを塗布することにより、内容物のシール性が確保できて好ましい。なお、シーリング材4bは塗布以外にカットラバーを用いてもよい。
シーリング剤としては、ゴム状の弾力性を有する材料で、従来から二重巻締め部などの密封性を向上させるために使用されているものが用いられる。例えば、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソプレンゴムやポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを主材料としたものが挙げられる。
【0013】
図2は、容器本体に内容物を充填した後、天蓋4をネジ付円筒3のフランジ3bに二重巻締めした状態を示す半断面図である。この二重巻締めにより天蓋4がネジ付円筒3と一体化されてネジ付金属キャップ10として構成され、容器本体1の封口が完了する。
【0014】
図3は、内容物が充填された容器から内容物を出す又は飲むために、螺着されていたネジ付金属キャップ10を開封した状態の半断面図を示している。ネジ付金属キャップ10は、ネジ付円筒3に二重巻締め部5で連結された天蓋4と一体となった状態で、注ぎ口ネジ形成部1aからネジを逆戻しして取り外され、容器本体1から分離される。
【0015】
図4の(a)は、キャップフランジ3aに天蓋4を被せ二重巻締め部5で連結してネジ付金属キャップ10を構成した一体化された状態の断面図を示している。容器本体の上部には注ぎ口6があり、この周縁は天蓋とのシール剤を介しての封着圧力に耐えるように、また、注ぎ口6の安全性を考慮して、口金カール部6aが設けられている。さらに、口金カール部6aの巻き込み端部は、口金シーリング剤6bで端面が保護されている。二重巻締めされた天蓋4と口金カール部6aは、天蓋内面に塗布されている注ぎ口シーリング剤4bを介在させることにより密封性を確保することができる。さらに、二重巻締め部5内にも、天蓋内面に塗布されているカール部シーリング剤4cの介在で十分な密封が確保される。
なお、天蓋の巻締めについては通常の巻締めでは図2や図4の(a)のように巻締め時に容器上端(カール部(1b,6a)の上端)と天蓋が密着するが、図4(b)に示すように天蓋をカール上端と接触しないようにわずかな間隔をもって巻き締めを行い、その後にキャップ側面をロールで絞る等して天蓋とカール上端を接触・密着させるようにしてもよい。また、内容液充填時にすきま21に内容液が入り、キャップ下端からの菌の進入により残った液が腐敗するおそれがあるため、図2に示すようにスリット22を設けてすきま21に残留する内容物を洗い出せるようにしたり、図4(a)に示すように容器カール部と金属キャップ外壁14を密着させて充填時のすきま21へ内容液が入らないようにしてもよい。
【0016】
図4の(a)において二重巻締め部の直径Dは、ネジ付金属キャップ10の胴部外径dよりも小さく設定されている。このように設定することにより、運搬中あるいは製造工程中において、ネジ付金属キャップ10が外部から衝撃を受けても、優先的に胴部がその衝撃を受け二重巻締め部5への衝撃を避けることによりその密封性を確保することができる。
【0017】
(実施の形態2)
次に、図5に、本発明のネジ付金属キャップ封口容器の実施の形態2の半断面図を示す。封口構造については、本発明者らにより既に特許出願済みである容器の開封構造(特許文献2)に記載されている技術思想であるが、本実施の形態2においては、外壁及び注ぎ口(両者を併せて口頸部という)を、開口円筒(上方に開口している円筒)Rから連続して一体的に形成したもので、内容物充填後の密封性の保障がより完全であり、容器製造の際の生産性や、輸送中などにおける耐久性に優れたものである。
この口頸部の形成方法については、図12〜15を用いて後述する。
【0018】
次に、本実施の形態2の口頸部の構造について説明する。図5に示すように、口頸部2は、注ぎ口6を形成する内壁12と中間壁13、および開封時にネジ付金属キャップ10として取り外される外壁14から構成される。これら内壁12、中間壁13及び外壁14は、開口円筒R(図12参照)から連続して一体的に形成されている。
外壁14の下部外円周には、ネジ付金属キャップ10を開封する時に、口頸部2から容易に破断分離するための線状に板厚みを薄くした易破断部11(スコア)があらかじめ設けられている。また、開封時にネジ付金属キャップ10として取り外される外壁14は、スコア破断を容易化するための押圧胴部14c、外壁ネジ形成部14a及び外壁フランジ部14bからなっている。口頸部2の開口部6を天蓋4により封口するため、外壁フランジ部14bの径は、天蓋4のカール部4aの径よりやや小さくされており、内容物を充填後に天蓋4を被せて二重巻締めにより封着される。
【0019】
ここで、押圧胴部14cは、開封時にこの部分を2本の指先で掴んで押圧し直径方向内方に凹ませ、その撓み応力により易破断部に破断分離の起点を付与するためのものである。必要に応じて複数回に亘って位置を変えて押圧し、スコア全周を破断させることができる。そして、引き続き外壁14をネジ戻ししてネジ付金属キャップ10を口頸部2から分離開封させることができる。
このように、開封操作は従来の金属キャップと同じでありながら、内容物充填後は高速回転で行う二重巻締め法の適用が可能であるから、容器への飲料の高速充填が確保される。特に、本実施の形態2の容器においては、容器内と外気の境界は長年において密封技術として実績のある天蓋部二重巻締め部のみであるから、極めて密封性の高い容器が実現できる。
【0020】
図6は、内容物充填後において、図5において示した天蓋4を外壁フランジ部14bに二重巻締めして二重巻締め部5を形成し封着した半断面図を示している。ネジ付金属キャップ10を開封する場合は、図中Aで囲んで示した易破断部11から口頸部2と破断分離される。
図7は、図6に示したAの部分を拡大したものであり、易破断部11の拡大断面図(a)及び破断分離状態断面図(b)を示している。図7(a)に示すように外壁14の下部に設けられた易破断部11は、外壁14を図7(b)の破線Bのように内方に押圧されることにより破断分離の起点となり、ネジ逆戻し(↑印方向)により、口頸部2側に破断面11a、ネジ付金属キャップ10側に破断面11bとして破断分離される。
【0021】
図8は、図6において示した天蓋4を巻締めて封口状態のネジ付金属キャップ封口容器から、ネジの逆戻しにより開封して、ネジ付金属キャップ10と容器本体1が分離された状態の半断面図を示している。なお、本実施の形態2における容器本体の種類は、容器本体をプレス加工で形成する缶胴継目無し缶として形成することが望ましい。
【0022】
(実施の形態3)
実施の形態3の容器は、注ぎ口と外壁とが連続して一体的に形成された口頸部を容器本体とは別に製造し、口頸部材2aとして容器本体1上部に巻締め一体化される。図9は、実施の形態3の容器に天蓋4を固着する前の状態の半断面図を示し、口頸部材2aを容器本体1の上部に二重巻締め部5aで連結した以外は、図5〜8で説明した構造と同じである。口頸部材を汎用の部品として別に製造しておき、多種の容器サイズに汎用の口頸部材を連結することにより、容器サイズの大きさごとに多種類の製造設備を設置する必要がなく設備投資面で大きなメリットがある。
なお、本実施の形態における容器本体には缶胴継目無し缶を用いているが、缶成形の種類は、実施の形態2と同じく容器本体をプレス加工で形成する缶胴継目無し缶として形成することが望ましい。
【0023】
(実施の形態4)
実施の形態4のネジ付金属キャップ封口容器は、実施の形態3において説明した口頸部材を、缶胴溶接継目20を有する容器本体1の上部に二重巻締め部5aにより連結し、図10の半断面図で示す上部の天蓋4を容器に固着する。実施の形態4のネジ付金属キャップ封口容器に適用される容器本体1には底面も封口する容器で通常は継目缶を用いるが、缶胴成形としては、溶接法を用いることが好ましい。そして容器本体1底の開口部は底蓋7が二重巻締め5bで固着されている。
【0024】
(実施の形態5)
次に、図11に、実施の形態5のネジ付き金属キャップ封口容器の半断面図を示す。上記で説明した実施の形態1〜4の容器は、口頸部の径を容器本体の径よりも絞った所謂ボトル形状のタイプであったが、図11に示す実施の形態5の容器は、口頸部2の径と容器本体1の径がほぼ同じの広口容器であり、容器外観は円筒形状となっている。広口容器である点及び容器底がドーム形状になっている点以外は、実施の形態2の容器と同じである。実施の形態5のネジ付き金属キャップ封口容器は、ネジ付金属キャップを開封した後、コップと同じように飲み口が大きく飲みやすいという効果がある。
また、広口であれば、実施形態3(図9)または実施形態4(図10)の口頸部材(2a)および天蓋(4)を広口にする形態でもよい。
【0025】
なお、以上説明した実施の形態1〜5の容器は、天蓋を封着する方法として二重巻締め法を適用する場合について説明してきたが、天蓋の封着法としては、二重巻締め法に限定するものではなく、その他、公知のクリンチ封着、嵌め封着、接着、高周波接着(=マキシム封着)なども適用できる。
【0026】
また、本発明のネジ付金属キャップ封口容器の容器本体は、一般のスチール、アルミなどの金属製、プラスチック製、および紙製などの容器が好適に用いられる。
【0027】
(製造方法)
次に、図12〜図15を用いて、ネジ付金属キャップ封口容器の製造方法について説明する。以下では、口頸部を、上方が開口された円筒から連続して一体的に形成する容器(実施の形態2参照、図5〜図8参照)の製造方法について説明する。
(第1工程)
まず、アルミ合金等の円形の金属板Pを絞り加工して円筒状カップQに成形する。
【0028】
(第2工程〜第3工程)
次いで、円筒状カップQを、再絞り・しごき加工により上方が解放された開口円筒Rの径、高さ(深さ)を確保する。なお、再絞り・しごき加工に限らず開口円筒Rを成形する方法は、薄肉化絞り法、あるいは薄肉化絞り法としごき加工法の併用などのプレス加工法も適用できる。
【0029】
(第4工程)
開口円筒Rを形成した後、開口部Raを開口円筒R内外から回転ロールを押圧して容器の口頸部となる小径円筒とし、口頸部の外壁予定部Rb、中間壁予定部Rc、内壁予定部Rdを成形する。なお、後続する成形加工における上下加圧(第7工程)で屈曲成形し易いように、中間壁予定部Rcの板厚は上記第3工程時に薄肉として形成しておくことが望ましい。
【0030】
(第5工程)
次に、小径円筒部を所望の形状を内面に持つ金型枠S内に挿入し、小径円筒内部から弾性体Tによる内圧(矢印方向)を負荷して外壁予定部Rbを金型枠S内の形状に合わせてバルジ成形する。
【0031】
(第6工程)
外壁予定部Rbの外周下部には、回転ロールUの外周側を刃状ロールとして、易破断部を設ける。
【0032】
(第7〜8工程)
小径円筒部の開口部Raから下方に加圧盤Vで加圧して、薄肉の中間壁予定部Rcを屈曲させて内壁予定部Rdの外側に折り重ね、同時に中間壁予定部Rcの外側には外壁予定部Rbが重ねられ、内壁予定部Rdは内壁12として、中間壁予定部Rcは中間壁13として、外壁予定部Rbは外壁14として形成され三重壁構造の口頸部が完成される(図5参照)。さらに小径円筒の開口部Raは、天蓋を巻締めるためのフランジ出し加工を施される。
【0033】
(第9工程)
三重壁構造の口頸部の内外に、外側ネジ加工用ロールWa及び内側ネジ加工用ロールWbを押し当て回転させて、ネジ係合部15を形成する。
【0034】
以上の製造方法の説明においては、実施の形態2の容器について説明したが、実施の形態1の容器については、前述した第3工程で形成した開口容器Rの底部を切断して取り除き底なしの筒体とし、金属キャップ3として容器本体1の口頸部2に被せ、その後、金属キャップ3と口頸部2の二重壁構造の内外に外側ネジ加工用ロール及び内側ネジ加工用ロールを押し当て回転させてネジ係合部を形成する。
【0035】
また、実施の形態3、4の容器については、前述した実施の形態2の容器と同じようにして第9工程まで形成した開口容器Rの下方部を切断して取り除き下方部が開口された口頸部を形成する。その後、別途製造した容器本体の開口上部と合わせ、巻き締めなどの手段で接続して一体化する。
【0036】
以上のようにして製造された天蓋なしの容器本体は、開口部(口頸部)から内容物を充填された後、天蓋を前記開口部に被せ二重巻き締めされ、容器本体の封口が完了する。なお、これらの成形法は一例で、例えば第5工程のバルジ成形の換わりにスピン成形により外壁予定部Rbを拡張成形してもよいし、第8工程終わりのフランジ出し加工を第9工程後に行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、現存する多くの天蓋巻締め設備をそのまま使用することが出来るので、新規にキャップ装着設備を導入する必要がない。また、天蓋を高速な二重巻締めにより封口するので、ネジ付金属キャップ封口容器入り内容物の高速充填を実現できる。また、内容物としては低酸性飲料、果汁飲料、スポーツ飲料、ミルク入り飲料、茶系飲料、炭酸飲料、ビール、発泡酒、酒類等、各種飲料に限らずスープやソース等の食品でもよい。また、容器も陰圧,陽圧を問わず使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1の容器構造の半断面図である。
【図2】実施の形態1の容器本体に天蓋をキャップフランジに二重巻締めした状態を示す半断面図である。
【図3】実施の形態1の容器に螺着されていたネジ付金属キャップを開封した状態の半断面図である。
【図4】(a)はキャップフランジに天蓋を被せ二重巻締め部で連結してネジ付金属キャップを構成した一体化された状態の実施の形態1の容器の断面図であり、(b),(c)は別方式・形態の2重巻締めを示す断面図である。
【図5】実施の形態2のネジ付金属キャップ封口容器の半断面図である。
【図6】天蓋を外壁フランジ部に二重巻締めして二重巻締め部を形成し封着した実施の形態2の容器の半断面図である。
【図7】図6に示したAの部分を拡大したものであり、易破断部の拡大断面図(a)及び破断分離状態断面図(b)である。
【図8】天蓋を巻締めて封口状態のネジ付金属キャップ封口容器から、ネジの逆戻しにより開封して、ネジ付金属キャップと容器本体が分離された状態の半断面図である。
【図9】実施の形態3の容器に天蓋を固着する前の状態の半断面図である。
【図10】実施の形態3において説明した口頸部材を、容器本体の上部に二重巻締め部により連結し状態を示す実施の形態4の容器の半断面図である。
【図11】実施の形態5のネジ付き金属キャップ封口容器の半断面図である。
【図12】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第1〜4工程)。
【図13】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第5〜6工程)。
【図14】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第7〜8工程)。
【図15】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第9工程)。
【符号の説明】
【0039】
1 ・・・容器本体
1a・・・注ぎ口ネジ形成部
2 ・・・口頸部
2a・・・口頸部材
3 ・・・ネジ付円筒
3a・・・ネジ形成部
3b・・・天蓋取付用フランジ
4 ・・・天蓋
4a・・・天蓋カール部
4b・・・注ぎ口シーリング剤
4c・・・カール部シーリング剤
4d・・・内周リング部
5 ・・・二重巻締め部
5a・・・二重巻締め部
5b・・・二重巻締め部
6 ・・・注ぎ口
6a・・・口金カール部
6b・・・口金シーリング剤
7 ・・・底蓋
10・・・ネジ付金属キャップ
11・・・易破断部
12・・・内壁(注ぎ口)
13・・・中間壁(注ぎ口)
14・・・外壁
14a・・外壁ネジ形成部
14b・・外壁フランジ部
14c・・押圧胴部
15・・・ネジ係合部
20・・・缶胴溶接継目部
21・・・すきま
22・・・スリット
P ・・・金属板
Q ・・・円筒状カップ
R ・・・開口円筒
Ra・・・開口部
Rb・・・外壁予定部
Rc・・・中間壁予定部
Rd・・・内壁予定部
S ・・・金型枠
T ・・・弾性体
U ・・・1対の回転ロール
V ・・・加圧盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の高速充填が可能であると共にリシール(開封後に再封口すること)出来るネジ付金属キャップ及びネジ付金属キャップ封口容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を充填した流通容器として特に金属缶が多用され、特に金属缶においては3ピース(スリーピース缶)と2ピース缶(ツーピース缶)が長年使用されてきた。3ピース缶は矩形の板を円筒に成形して溶接法、ナイロン接着法、半田法などで接合した継目をもつ缶胴部材と、その両端開口部に夫々天蓋、底蓋を固着した3つの部材から構成されている。これに対して、2ピース缶は、円形素材板からプレス加工により成形された缶胴と缶底が一体化したカップ状のものに、缶蓋を固着した2つの部材から構成されているもので継目無し缶とも呼ばれている。
【0003】
このような外観が円柱形状の缶に食品、特に飲料を充填した商品が大量生産されてきた理由は、缶胴に天蓋、底蓋を固着する二重巻締め法が存在したからである。この二重巻締め方法は缶胴開口部に設けた数ミリ幅のフランジに、外円周をカールし、シーリング剤を塗布した蓋(天、底)を被せて、缶を高速回転させながらカール部外周縁を押圧し、缶のフランジと一緒に下方から捲き込み封着するものである。
【0004】
この二重巻締め方法は高速で確実に内容物を密封できる特徴があり、大量生産されている飲料缶詰をはじめ食品缶詰の殆どに適用され、多くの缶詰生産業者がこの方法の設備を有している。しかしながら、二重巻締め法により固着された蓋においては、素手で容易に開封することが出来ないため所謂缶切りなどの道具を必要としていた。そこで、蓋面上に板厚みを薄くした円形で線状の易破断部(スコア)を設け、円形に開口できるイージーオープン蓋(easy open end)が開発され、現在、飲料缶の殆どはこの蓋が使用されている。しかしながら、天蓋面に設けた小さい円形の開口部に直に口をつけて飲む感触は、コップ容器などに比較して著しく劣るものであった。そして、一旦開封したものは再封口できないという問題があった。
【0005】
近年、容器飲料を開封後一度に飲めない高齢者、幼児、女性達による消費増大、および戸外携行、乗り物内での消費が高まるにつれて、消費者においてはビン詰め飲料、ペットボトル詰め飲料と同じように、金属缶においても(1)リシール可能な機能を持つこと、および(2)飲み口形状が小径で口に良くフィットし所謂ラッパのみし易いことなどの要望が高まった。このような要望に応じて、金属缶においても天蓋の中央部を上方へ突き出させて小径円筒状口頸部を設け、この先端開口部にネジ付キャップを取付けリシール可能なものが開発された(特許文献1:特表平10−509095号公報)。
【0006】
さらに、発明者らは特願2004−186986号(特許文献2)記載において、ネジ付金属キャップによるリシール可能な開封構造を開発し既に出願済みである。特許文献2記載の容器の開封構造においてはキャップ部分と注ぎ部分を、容器の口頸部となる円筒から連続して一体的に形成したもので内容物充填後の密封性の保障が完全で、容器製造の際の生産性や、輸送中などにおける耐久性に優れたものである。
【特許文献1】特表平10−509095号公報
【特許文献2】特願2004−186986号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上、説明したように飲料容器において、イージーオープン蓋、缶飲み口のボトル形状化などの開発により缶の開封し易さ、飲み易さといった要望に応じて大きく改善されてきた。しかしながら、このような利便性の改善の反面、大量生産されている缶飲料において、ボトル形状化した飲み口にキャップをネジ込み取り付けする速度が、従来の円筒形状缶において天蓋を缶胴に二重巻締めで取り付けする速度に比較して極めて劣るものであるという問題は、生産性向上の大きなネックになっていた。近年、金属キャップ付容器の要望が高まる中で、その高速充填化は飲料提供におけるコスト削減にとって大きな課題であった。
【0008】
また、現存する多くの天蓋を二重巻締めする設備を、そのままキャップ付容器の内容物充填に使用できれば、新規にキャップ封着設備を導入する必要がなく容器入り飲料提供におけるコスト削減に大きく寄与する。
本発明は上記のような背景に鑑みなされたもので、内容物の高速充填化が図れ、かつ既存の二重巻締め設備をそのまま使用できるネジ付金属キャップ及びネジ付金属キャップ封口容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載のネジ付金属キャップは、容器を封口するネジ付金属キャップにおいて、前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられ、該開口部を天蓋で封着することを特徴とする。
本発明の請求項2に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、注ぎ口をネジ付金属キャップで封口する容器であって、前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられており該開口部を天蓋により封着されたものであることを特徴とする。
請求項3に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、開口円筒から連続して一体的に加工した注ぎ口と外壁とからなる口頸部が形成されており、前記外壁の上方に設けられた開口部を天蓋で封着することによりネジ付金属キャップを形成し、前記口頸部の注ぎ口は内壁から外部に折り返し中間壁で形成され、さらに該中間壁の下端を折り返した前記外壁に設けられた易破断部の破断により前記ネジ付金属キャップが前記注ぎ口から分離されて開封可能となることを特徴とする。
請求項4に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、請求項2又は3において、前記天蓋の封着を二重巻締めにより行うことを特徴とする。
請求項5に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、請求項4において、前記天蓋の二重巻締め部の外径(D)が、前記ネジ付金属キャップの外径(d)よりも小さいことを特徴とする。
請求項6に記載のネジ付金属キャップ封口容器は、請求項2〜5のいずれかにおいて、前記容器が、胴部継目無し缶又は胴部溶接継目缶であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネジ付金属キャップの上方に開口部を設け、この開口部から内容物を充填するとともに、天蓋により封口することが出来るから、充填速度が大幅に向上させることができる。また、従来の封着設備をそのまま利用することが出来るから新規設備投資をすることなく、ネジ付金属キャップ封口容器に内容物を充填することが出来る。
また、缶口頸部の構造として、開口円筒から連続して一体的に加工して注ぎ口と外壁からなる口頸部としているので、内容物充填後の密封性の保障がより完全であり、容器製造の際の生産性や、輸送中などにおける耐久性に優れたものである。
さらに、ネジ付金属キャップを、別途形成した容器本体に二重巻締め等で一体化すれば、多種(サイズ、缶胴形成法)の缶胴体に適用できる。
また、天蓋をネジ付金属キャップの上方に設けた開口部に二重巻締めで封着するものであるので、内容物充填後において缶内と外気の境界は、長年にわたり高い密封性を達成できる。
そして、ネジ付金属キャップに封着する天蓋の二重巻締め部の外径が、前記ネジ付金属キャップの外径よりも小さいから、容器搬送、取り扱い中の外部衝撃を二重巻締め部が直接うけることがすくなく密封性の保障がより高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のネジ付金属キャップ封口容器の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の容器構造の半断面図であり、天蓋4は、ネジ付円筒3に封着されてネジ付金属キャップを形成する前の状態を示している。図1に示すように、容器本体1の口頸部2には、ネジ付金属キャップを形成する前のネジ付円筒3のネジ形成部3aが容器本体1の注ぎ口ネジ形成部1aに螺着されている。そして、ネジ付円筒3の上部開口部Ra周縁は、半径方向外方に向けて天蓋取付用フランジ3bとして延出されている。
一方、図1の上方に示すように、円形状の天蓋4は、その外周縁に天蓋カール部4aが形成されており、天蓋4をネジ付円筒3の開口部Raに取り付けるときは、ネジ付円筒3の天蓋取付用フランジ3bにカール部4aを被せて、天蓋カール部4aとフランジ3bとを、巻締めシーリング剤4cを介して二重巻締めすることにより封着する。
【0012】
また、二重巻締め時に、容器本体1の注ぎ口6を外方にカールさせたカール部1bと密着する天蓋内周リング部4dの表面にも注ぎ口シーリング剤4bを塗布することにより、内容物のシール性が確保できて好ましい。なお、シーリング材4bは塗布以外にカットラバーを用いてもよい。
シーリング剤としては、ゴム状の弾力性を有する材料で、従来から二重巻締め部などの密封性を向上させるために使用されているものが用いられる。例えば、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソプレンゴムやポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを主材料としたものが挙げられる。
【0013】
図2は、容器本体に内容物を充填した後、天蓋4をネジ付円筒3のフランジ3bに二重巻締めした状態を示す半断面図である。この二重巻締めにより天蓋4がネジ付円筒3と一体化されてネジ付金属キャップ10として構成され、容器本体1の封口が完了する。
【0014】
図3は、内容物が充填された容器から内容物を出す又は飲むために、螺着されていたネジ付金属キャップ10を開封した状態の半断面図を示している。ネジ付金属キャップ10は、ネジ付円筒3に二重巻締め部5で連結された天蓋4と一体となった状態で、注ぎ口ネジ形成部1aからネジを逆戻しして取り外され、容器本体1から分離される。
【0015】
図4の(a)は、キャップフランジ3aに天蓋4を被せ二重巻締め部5で連結してネジ付金属キャップ10を構成した一体化された状態の断面図を示している。容器本体の上部には注ぎ口6があり、この周縁は天蓋とのシール剤を介しての封着圧力に耐えるように、また、注ぎ口6の安全性を考慮して、口金カール部6aが設けられている。さらに、口金カール部6aの巻き込み端部は、口金シーリング剤6bで端面が保護されている。二重巻締めされた天蓋4と口金カール部6aは、天蓋内面に塗布されている注ぎ口シーリング剤4bを介在させることにより密封性を確保することができる。さらに、二重巻締め部5内にも、天蓋内面に塗布されているカール部シーリング剤4cの介在で十分な密封が確保される。
なお、天蓋の巻締めについては通常の巻締めでは図2や図4の(a)のように巻締め時に容器上端(カール部(1b,6a)の上端)と天蓋が密着するが、図4(b)に示すように天蓋をカール上端と接触しないようにわずかな間隔をもって巻き締めを行い、その後にキャップ側面をロールで絞る等して天蓋とカール上端を接触・密着させるようにしてもよい。また、内容液充填時にすきま21に内容液が入り、キャップ下端からの菌の進入により残った液が腐敗するおそれがあるため、図2に示すようにスリット22を設けてすきま21に残留する内容物を洗い出せるようにしたり、図4(a)に示すように容器カール部と金属キャップ外壁14を密着させて充填時のすきま21へ内容液が入らないようにしてもよい。
【0016】
図4の(a)において二重巻締め部の直径Dは、ネジ付金属キャップ10の胴部外径dよりも小さく設定されている。このように設定することにより、運搬中あるいは製造工程中において、ネジ付金属キャップ10が外部から衝撃を受けても、優先的に胴部がその衝撃を受け二重巻締め部5への衝撃を避けることによりその密封性を確保することができる。
【0017】
(実施の形態2)
次に、図5に、本発明のネジ付金属キャップ封口容器の実施の形態2の半断面図を示す。封口構造については、本発明者らにより既に特許出願済みである容器の開封構造(特許文献2)に記載されている技術思想であるが、本実施の形態2においては、外壁及び注ぎ口(両者を併せて口頸部という)を、開口円筒(上方に開口している円筒)Rから連続して一体的に形成したもので、内容物充填後の密封性の保障がより完全であり、容器製造の際の生産性や、輸送中などにおける耐久性に優れたものである。
この口頸部の形成方法については、図12〜15を用いて後述する。
【0018】
次に、本実施の形態2の口頸部の構造について説明する。図5に示すように、口頸部2は、注ぎ口6を形成する内壁12と中間壁13、および開封時にネジ付金属キャップ10として取り外される外壁14から構成される。これら内壁12、中間壁13及び外壁14は、開口円筒R(図12参照)から連続して一体的に形成されている。
外壁14の下部外円周には、ネジ付金属キャップ10を開封する時に、口頸部2から容易に破断分離するための線状に板厚みを薄くした易破断部11(スコア)があらかじめ設けられている。また、開封時にネジ付金属キャップ10として取り外される外壁14は、スコア破断を容易化するための押圧胴部14c、外壁ネジ形成部14a及び外壁フランジ部14bからなっている。口頸部2の開口部6を天蓋4により封口するため、外壁フランジ部14bの径は、天蓋4のカール部4aの径よりやや小さくされており、内容物を充填後に天蓋4を被せて二重巻締めにより封着される。
【0019】
ここで、押圧胴部14cは、開封時にこの部分を2本の指先で掴んで押圧し直径方向内方に凹ませ、その撓み応力により易破断部に破断分離の起点を付与するためのものである。必要に応じて複数回に亘って位置を変えて押圧し、スコア全周を破断させることができる。そして、引き続き外壁14をネジ戻ししてネジ付金属キャップ10を口頸部2から分離開封させることができる。
このように、開封操作は従来の金属キャップと同じでありながら、内容物充填後は高速回転で行う二重巻締め法の適用が可能であるから、容器への飲料の高速充填が確保される。特に、本実施の形態2の容器においては、容器内と外気の境界は長年において密封技術として実績のある天蓋部二重巻締め部のみであるから、極めて密封性の高い容器が実現できる。
【0020】
図6は、内容物充填後において、図5において示した天蓋4を外壁フランジ部14bに二重巻締めして二重巻締め部5を形成し封着した半断面図を示している。ネジ付金属キャップ10を開封する場合は、図中Aで囲んで示した易破断部11から口頸部2と破断分離される。
図7は、図6に示したAの部分を拡大したものであり、易破断部11の拡大断面図(a)及び破断分離状態断面図(b)を示している。図7(a)に示すように外壁14の下部に設けられた易破断部11は、外壁14を図7(b)の破線Bのように内方に押圧されることにより破断分離の起点となり、ネジ逆戻し(↑印方向)により、口頸部2側に破断面11a、ネジ付金属キャップ10側に破断面11bとして破断分離される。
【0021】
図8は、図6において示した天蓋4を巻締めて封口状態のネジ付金属キャップ封口容器から、ネジの逆戻しにより開封して、ネジ付金属キャップ10と容器本体1が分離された状態の半断面図を示している。なお、本実施の形態2における容器本体の種類は、容器本体をプレス加工で形成する缶胴継目無し缶として形成することが望ましい。
【0022】
(実施の形態3)
実施の形態3の容器は、注ぎ口と外壁とが連続して一体的に形成された口頸部を容器本体とは別に製造し、口頸部材2aとして容器本体1上部に巻締め一体化される。図9は、実施の形態3の容器に天蓋4を固着する前の状態の半断面図を示し、口頸部材2aを容器本体1の上部に二重巻締め部5aで連結した以外は、図5〜8で説明した構造と同じである。口頸部材を汎用の部品として別に製造しておき、多種の容器サイズに汎用の口頸部材を連結することにより、容器サイズの大きさごとに多種類の製造設備を設置する必要がなく設備投資面で大きなメリットがある。
なお、本実施の形態における容器本体には缶胴継目無し缶を用いているが、缶成形の種類は、実施の形態2と同じく容器本体をプレス加工で形成する缶胴継目無し缶として形成することが望ましい。
【0023】
(実施の形態4)
実施の形態4のネジ付金属キャップ封口容器は、実施の形態3において説明した口頸部材を、缶胴溶接継目20を有する容器本体1の上部に二重巻締め部5aにより連結し、図10の半断面図で示す上部の天蓋4を容器に固着する。実施の形態4のネジ付金属キャップ封口容器に適用される容器本体1には底面も封口する容器で通常は継目缶を用いるが、缶胴成形としては、溶接法を用いることが好ましい。そして容器本体1底の開口部は底蓋7が二重巻締め5bで固着されている。
【0024】
(実施の形態5)
次に、図11に、実施の形態5のネジ付き金属キャップ封口容器の半断面図を示す。上記で説明した実施の形態1〜4の容器は、口頸部の径を容器本体の径よりも絞った所謂ボトル形状のタイプであったが、図11に示す実施の形態5の容器は、口頸部2の径と容器本体1の径がほぼ同じの広口容器であり、容器外観は円筒形状となっている。広口容器である点及び容器底がドーム形状になっている点以外は、実施の形態2の容器と同じである。実施の形態5のネジ付き金属キャップ封口容器は、ネジ付金属キャップを開封した後、コップと同じように飲み口が大きく飲みやすいという効果がある。
また、広口であれば、実施形態3(図9)または実施形態4(図10)の口頸部材(2a)および天蓋(4)を広口にする形態でもよい。
【0025】
なお、以上説明した実施の形態1〜5の容器は、天蓋を封着する方法として二重巻締め法を適用する場合について説明してきたが、天蓋の封着法としては、二重巻締め法に限定するものではなく、その他、公知のクリンチ封着、嵌め封着、接着、高周波接着(=マキシム封着)なども適用できる。
【0026】
また、本発明のネジ付金属キャップ封口容器の容器本体は、一般のスチール、アルミなどの金属製、プラスチック製、および紙製などの容器が好適に用いられる。
【0027】
(製造方法)
次に、図12〜図15を用いて、ネジ付金属キャップ封口容器の製造方法について説明する。以下では、口頸部を、上方が開口された円筒から連続して一体的に形成する容器(実施の形態2参照、図5〜図8参照)の製造方法について説明する。
(第1工程)
まず、アルミ合金等の円形の金属板Pを絞り加工して円筒状カップQに成形する。
【0028】
(第2工程〜第3工程)
次いで、円筒状カップQを、再絞り・しごき加工により上方が解放された開口円筒Rの径、高さ(深さ)を確保する。なお、再絞り・しごき加工に限らず開口円筒Rを成形する方法は、薄肉化絞り法、あるいは薄肉化絞り法としごき加工法の併用などのプレス加工法も適用できる。
【0029】
(第4工程)
開口円筒Rを形成した後、開口部Raを開口円筒R内外から回転ロールを押圧して容器の口頸部となる小径円筒とし、口頸部の外壁予定部Rb、中間壁予定部Rc、内壁予定部Rdを成形する。なお、後続する成形加工における上下加圧(第7工程)で屈曲成形し易いように、中間壁予定部Rcの板厚は上記第3工程時に薄肉として形成しておくことが望ましい。
【0030】
(第5工程)
次に、小径円筒部を所望の形状を内面に持つ金型枠S内に挿入し、小径円筒内部から弾性体Tによる内圧(矢印方向)を負荷して外壁予定部Rbを金型枠S内の形状に合わせてバルジ成形する。
【0031】
(第6工程)
外壁予定部Rbの外周下部には、回転ロールUの外周側を刃状ロールとして、易破断部を設ける。
【0032】
(第7〜8工程)
小径円筒部の開口部Raから下方に加圧盤Vで加圧して、薄肉の中間壁予定部Rcを屈曲させて内壁予定部Rdの外側に折り重ね、同時に中間壁予定部Rcの外側には外壁予定部Rbが重ねられ、内壁予定部Rdは内壁12として、中間壁予定部Rcは中間壁13として、外壁予定部Rbは外壁14として形成され三重壁構造の口頸部が完成される(図5参照)。さらに小径円筒の開口部Raは、天蓋を巻締めるためのフランジ出し加工を施される。
【0033】
(第9工程)
三重壁構造の口頸部の内外に、外側ネジ加工用ロールWa及び内側ネジ加工用ロールWbを押し当て回転させて、ネジ係合部15を形成する。
【0034】
以上の製造方法の説明においては、実施の形態2の容器について説明したが、実施の形態1の容器については、前述した第3工程で形成した開口容器Rの底部を切断して取り除き底なしの筒体とし、金属キャップ3として容器本体1の口頸部2に被せ、その後、金属キャップ3と口頸部2の二重壁構造の内外に外側ネジ加工用ロール及び内側ネジ加工用ロールを押し当て回転させてネジ係合部を形成する。
【0035】
また、実施の形態3、4の容器については、前述した実施の形態2の容器と同じようにして第9工程まで形成した開口容器Rの下方部を切断して取り除き下方部が開口された口頸部を形成する。その後、別途製造した容器本体の開口上部と合わせ、巻き締めなどの手段で接続して一体化する。
【0036】
以上のようにして製造された天蓋なしの容器本体は、開口部(口頸部)から内容物を充填された後、天蓋を前記開口部に被せ二重巻き締めされ、容器本体の封口が完了する。なお、これらの成形法は一例で、例えば第5工程のバルジ成形の換わりにスピン成形により外壁予定部Rbを拡張成形してもよいし、第8工程終わりのフランジ出し加工を第9工程後に行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、現存する多くの天蓋巻締め設備をそのまま使用することが出来るので、新規にキャップ装着設備を導入する必要がない。また、天蓋を高速な二重巻締めにより封口するので、ネジ付金属キャップ封口容器入り内容物の高速充填を実現できる。また、内容物としては低酸性飲料、果汁飲料、スポーツ飲料、ミルク入り飲料、茶系飲料、炭酸飲料、ビール、発泡酒、酒類等、各種飲料に限らずスープやソース等の食品でもよい。また、容器も陰圧,陽圧を問わず使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1の容器構造の半断面図である。
【図2】実施の形態1の容器本体に天蓋をキャップフランジに二重巻締めした状態を示す半断面図である。
【図3】実施の形態1の容器に螺着されていたネジ付金属キャップを開封した状態の半断面図である。
【図4】(a)はキャップフランジに天蓋を被せ二重巻締め部で連結してネジ付金属キャップを構成した一体化された状態の実施の形態1の容器の断面図であり、(b),(c)は別方式・形態の2重巻締めを示す断面図である。
【図5】実施の形態2のネジ付金属キャップ封口容器の半断面図である。
【図6】天蓋を外壁フランジ部に二重巻締めして二重巻締め部を形成し封着した実施の形態2の容器の半断面図である。
【図7】図6に示したAの部分を拡大したものであり、易破断部の拡大断面図(a)及び破断分離状態断面図(b)である。
【図8】天蓋を巻締めて封口状態のネジ付金属キャップ封口容器から、ネジの逆戻しにより開封して、ネジ付金属キャップと容器本体が分離された状態の半断面図である。
【図9】実施の形態3の容器に天蓋を固着する前の状態の半断面図である。
【図10】実施の形態3において説明した口頸部材を、容器本体の上部に二重巻締め部により連結し状態を示す実施の形態4の容器の半断面図である。
【図11】実施の形態5のネジ付き金属キャップ封口容器の半断面図である。
【図12】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第1〜4工程)。
【図13】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第5〜6工程)。
【図14】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第7〜8工程)。
【図15】実施の形態2における口頸部の加工成形工程の説明図である(第9工程)。
【符号の説明】
【0039】
1 ・・・容器本体
1a・・・注ぎ口ネジ形成部
2 ・・・口頸部
2a・・・口頸部材
3 ・・・ネジ付円筒
3a・・・ネジ形成部
3b・・・天蓋取付用フランジ
4 ・・・天蓋
4a・・・天蓋カール部
4b・・・注ぎ口シーリング剤
4c・・・カール部シーリング剤
4d・・・内周リング部
5 ・・・二重巻締め部
5a・・・二重巻締め部
5b・・・二重巻締め部
6 ・・・注ぎ口
6a・・・口金カール部
6b・・・口金シーリング剤
7 ・・・底蓋
10・・・ネジ付金属キャップ
11・・・易破断部
12・・・内壁(注ぎ口)
13・・・中間壁(注ぎ口)
14・・・外壁
14a・・外壁ネジ形成部
14b・・外壁フランジ部
14c・・押圧胴部
15・・・ネジ係合部
20・・・缶胴溶接継目部
21・・・すきま
22・・・スリット
P ・・・金属板
Q ・・・円筒状カップ
R ・・・開口円筒
Ra・・・開口部
Rb・・・外壁予定部
Rc・・・中間壁予定部
Rd・・・内壁予定部
S ・・・金型枠
T ・・・弾性体
U ・・・1対の回転ロール
V ・・・加圧盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を封口するネジ付金属キャップにおいて、前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられ、該開口部を天蓋で封着することを特徴とするネジ付金属キャップ
【請求項2】
注ぎ口をネジ付金属キャップで封口する容器であって、
前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられており該開口部を天蓋により封着されたものであることを特徴とするネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項3】
開口円筒から連続して一体的に加工した注ぎ口と外壁とからなる口頸部が形成されており、
前記外壁の上方に設けられた開口部を天蓋で封着することによりネジ付金属キャップを形成し、
前記口頸部の注ぎ口は内壁から外部に折り返し中間壁で形成され、さらに該中間壁の下端を折り返した前記外壁に設けられた易破断部の破断により前記ネジ付金属キャップが前記注ぎ口から分離されて開封可能となることを特徴とするネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項4】
前記天蓋の封着を二重巻締めにより行うことを特徴とする請求項2又は3に記載のネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項5】
前記天蓋の二重巻締め部の外径(D)が、前記ネジ付金属キャップの外径(d)よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項6】
前記容器が、胴部継目無し缶又は胴部溶接継目缶であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項1】
容器を封口するネジ付金属キャップにおいて、前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられ、該開口部を天蓋で封着することを特徴とするネジ付金属キャップ
【請求項2】
注ぎ口をネジ付金属キャップで封口する容器であって、
前記ネジ付金属キャップは、上方に開口部が設けられており該開口部を天蓋により封着されたものであることを特徴とするネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項3】
開口円筒から連続して一体的に加工した注ぎ口と外壁とからなる口頸部が形成されており、
前記外壁の上方に設けられた開口部を天蓋で封着することによりネジ付金属キャップを形成し、
前記口頸部の注ぎ口は内壁から外部に折り返し中間壁で形成され、さらに該中間壁の下端を折り返した前記外壁に設けられた易破断部の破断により前記ネジ付金属キャップが前記注ぎ口から分離されて開封可能となることを特徴とするネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項4】
前記天蓋の封着を二重巻締めにより行うことを特徴とする請求項2又は3に記載のネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項5】
前記天蓋の二重巻締め部の外径(D)が、前記ネジ付金属キャップの外径(d)よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のネジ付金属キャップ封口容器。
【請求項6】
前記容器が、胴部継目無し缶又は胴部溶接継目缶であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のネジ付金属キャップ封口容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−137451(P2006−137451A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327702(P2004−327702)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】
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