説明

ネットワークシステム

【課題】ネットワークシステムに障害が発生した時には、ネットワークシステムを構成するそれぞれのシステムのサーバーと、それぞれのシステムに接続されているPC端末のログとを、別々に解析していた。このため、ネットワークシステム全体を分析するために、非常に時間がかかっていた。
【解決手段】本発明は、LAN(Local Area Network)等のネットワークで構成されたシステムにおいて、あるトリガー発生時に自動的に同ネットワーク内のPC端末に対してディスプレイ表示画面を保存させ、トリガー発生時のPC端末の表示状態を保存できるシステムである。PC端末ディスプレイ上には多くの情報が表示されており、トリガー発生時に全てのPC端末ディスプレイ表示画面を保存することで、様々なシステムの異常発生時の情報を得るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LAN(Local Area Network)等のネットワークで構成されたシステムに関わり、特に、所定のトリガー発生時に自動的にネットワーク内のPC(Personal Computer)端末に対してディスプレイ表示画面を保存させ、表示状態を保存するネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLAN等のネットワークでは、1つのネットワークに様々なシステムが混在しており、システムを操作するPC端末も数多く接続されている。以降、本書では、このように、1つのネットワークに様々なシステムが混在するシステムを、ネットワークシステムと称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−66826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来のLAN等のネットワークでは、ネットワークに多くのシステムが混在している。
従来のネットワークシステムにおいて、システム異常が発生した場合には、ネットワークシステムを構成するそれぞれのシステムを管理するサーバーと、それぞれのシステムに接続されているPC端末のログとを、別々に解析していた。このため、ネットワークシステム全体を分析するために、非常に時間がかかっていた。
また、PC端末のディスプレイ上に表示されるポップアップ、エラーメッセージ、および、アプリケーションソフトの表示状態など、視覚的な情報をログデータとして記録することはできなかった。特許文献1には、コンピュータを使用して試験を実施する場合に、不正な行為を心理的に抑止すると共に、不正な行為を発見した場合には、その証拠を記録し、回収することで試験の合否判定に使用可能とする課題に対して、試験監督官が使用する試験監督官端末から、受験者端末に対して画面キャプチャの要求を発行し、受験者端末が試験中の画面をキャプチャし、当該画面を試験監督官端末に送信し、試験監督官が該キャプチャされた画面を見ることにより、不正行為があると判断した場合に、キャプチャされた画面を不正行為の証拠として、会場サーバーに対して送信し、会場サーバーにおいて、キャプチャされた画面からなる不正行為の証拠を格納する技術が記載されている。しかし、システムの異常時に対する処理については開示していない。
従って、従来のログ解析では、システム全体の情報取得が困難であった。
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、PC端末のディスプレイ上に表示される視覚的な情報を記録することが可能なネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明のネットワークシステムは、ネットワークを管理するサーバー、システムを操作するPC端末、および、該当する機器同士をネットワーク間で接続するための第1のLANスイッチを有する本局と、現場機器、および、該当する機器同士を前記ネットワーク間で接続するための第2のLANスイッチを有する子局とを備えたネットワークシステムにおいて、前記現場機器は、当該現場機器に障害が発生した場合に、前記第2のLANスイッチ、前記ネットワーク、および前記第1のネットワークを介して、前記サーバーに所定のトリガーを送信し、前記サーバーは、前記所定のトリガーを受信した場合に、前記第1のLANスイッチを介して前記PC端末にディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信し、前記PC端末は、前記ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信した場合には、自機のディスプレイ表示画面をキャプチャし保存することを第1の特徴とする。
【0006】
また、本発明のネットワークシステムは、ネットワークを管理するサーバー、システムを操作するPC端末、および、該当する機器同士をネットワーク間で接続するための第1のLANスイッチを有する本局と、現場機器、および、該当する機器同士を前記ネットワーク間で接続するための第2のLANスイッチを有する子局とを備えたネットワークシステムにおいて、前記サーバーは、所定の周期で前記第1のLANスイッチおよび前記ネットワークを介して前記第2のLANスイッチに管理情報の取得を要求する管理情報取得コマンドを送信すると共に前記PC端末にディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信し、前記第2のLANスイッチは、前記管理情報取得コマンドを受信した場合には、自子局を構成する前記現場機器から各機器の状態を表すログデータを抽出し、当該抽出したログデータを前記サーバーに送信し、前記PC端末は、前記ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信した場合には、自機のディスプレイ表示画面をキャプチャし保存することを第2の特徴とする。
【0007】
また、本発明のネットワークシステムは、正常運用時には上記第2の特徴で動作し、障害発生時には上記第1の特徴で動作することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により以下の効果が得られる。
システム障害発生時の分析作業や解析作業の作業効率が向上する。このため、迅速に障害対策が可能となる。また、PC端末のディスプレイ表示画面を保存し、再現できる。このため、重大事故発生時には、視覚的な画像情報は非常に有効である。この結果、迅速に障害状態の把握が可能となる。
さらに、通常運用時にも、定期的にディスプレイ画面を保存することができる。このため、データ解析、システム運用管理の効率化、および、セキュリティ向上(システムの不正使用監視)ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のネットワークシステムの一実施例のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。しかし、本発明は、実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
また各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図1によって説明する。図1は、本発明のネットワークシステムの一実施例のシステム構成を示すブロック図である。100はネットワークシステム、1はシステムを管理するサーバー、2−0〜2−nはLANスイッチ、3−1〜3−kはシステムを操作するPC端末、4−11〜4−1m、・・・、4−n1〜4−njは現場設備、10は本局、11−1〜11−nは子局、12はLAN等のネットワークである。ここで、j、k、mおよびnは、自然数である。
図1に示すように、本発明のネットワークシステム100は、本局10および複数の子局11−1〜11−nで構成される。複数の子局11−1〜11−nは、それぞれ、LAN等のネットワーク12で、本局10と接続されている。
本局10は、該当する機器(ポート)にデータを送信するために、該当する機器同士をネットワーク間で接続するLANスイッチ2、サーバー1、およびPC端末3で構成される。また、子局11−1は、LANスイッチ2−1および1または複数の現場設備4−11〜4−1mで構成され、・・・、子局11−nは、LANスイッチ2−nおよび1または複数の現場設備4−n1〜4−njで構成される。
以降の説明では、子局11−1〜11−nを代表して子局11として説明し、さらに現場設備4−11〜4−1mを代表して現場設備4として説明する。また、PC端末3−1〜3−kを代表してPC端末3として説明する。
【0012】
図1のネットワークシステム100は、例えば、子局11の現場設備4が監視用カメラで本局10が監視センタである監視システム、例えば、子局11の現場設備4が監視用機器(例えば、テレメータ)で本局10が監視センタである監視システム、例えば、子局11の現場設備4が放送機または中継機で本局10が放送局ある放送システム、または、それらの複合システムである。
図1のネットワークシステム100において、正常運用時には、上述のそれぞれのシステムにおいて予め定められた実行プログラムによって固有の運用がなされる。なお、正常運用時には、複数のPC端末3は、それぞれ、子局11とネットワーク12を介して接続され、子局11および当該子局11の現場設備4、およびその他の機器(LANスイッチ2を含む)を操作し、当該機器から所望のデータを取得している。
なお、個々の実行プログラムはそれぞれの現場機器4内に記憶され、システムを操作するための実行プログラムはPC端末4にきおくされ、システムを管理する実行プログラムはサーバー1内に記憶される。
【0013】
図1のネットワークシステム100におけるシステム障害発生時には、子局11は、トリガーを本局10のサーバー1に送信する。
サーバー1は、子局11から送信されたトリガーを検知し、全てのPC端末3に対してディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信する。
各PC端末3は、それぞれ、ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信した場合には、即時、受信したコマンドを実行する。
なお、各PC端末3は、ディスプレイ表示画面保存のコマンドの実行時に保存した表示画面を保持しておき、サーバー1から送信コマンドを受信した時に送信する。
【0014】
子局11が送信するトリガーは、例えば、障害アラーム、Trap、SNMP(Simple Network Management Protocol)、等であり、障害が発生した機器から出力される。このようなトリガーは、サーバー1宛に送信されるようになっている。例えば、現場機器4−11に障害が発生すると、当該現場機器4−11は、トリガーをLANスイッチ2−1、ネットワーク12、本局10のLANスイッチ2−0を介してサーバー1に送信する。
サーバー1は、トリガーを受信すると、LANスイッチ2−0を介して、全てのPC端末3−1〜3−kにディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信する。
全てのPC端末3−1〜3−kは、それぞれ、ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信すると、自機の表示画面(図示しない)に現在表示されている画面をキャプチャし、キャプチャ画面を自機の記憶部(図示しない)に保存する。
【0015】
上述のように、本発明のネットワークシステム100は、障害が発生した場合に、以下の手段を用いたものである。
即ち、サーバー1がトリガーを検知し、同一ネットワーク12に接続されているPC端末3に対して、ディスプレイ画面キャプチャのコマンドによって表示画面の保存を実行させる。保存時の画像ファイル名は、例えば、保存日時+ホスト名である。PC端末3のディスプレイ上には多くの情報が表示されており、特に、障害発生時には、ログには記録できない情報(ポップアップ表示やエラーメッセージなど)も表示される。このため、1枚の画像データで多く情報を記録することができる。LAN等のネットワーク12に接続されている全てのPC端末3に対してコマンド送信することで、様々なシステムのトリガー発生時の状態を視覚的に記録することができる。
【0016】
その結果、図1の実施例によれば、システム障害発生時の分析作業や解析作業の作業効率が向上する。
即ち、図1の実施例によれば、システム障害発生時の分析、解析作業の効率化が期待できるため、早期の障害対策が可能である。重大事故発生時は、早急な障害状態の把握が必要なため、視覚的な画像情報は非常に有効であると考えられる。
【0017】
なお、実施例1において、各PC端末3は、ディスプレイ表示画面保存のコマンド実行時に、保存した表示画面をサーバー1に送信するようにしても良い。例えば、キャプチャ画面を自機内の記憶部に保存すると共に、LANスイッチ2−0を介して、キャプチャ画面をサーバー1に送信するようにしても良い。
【実施例2】
【0018】
なお、実施例1に加え、サーバー1がトリガーの受信によらず、正常運用時に定期的に各PC端末に、ディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信することによって、定期的にディスプレイ画面を保存しかつ、ログと共に解析するようにすることも可能である。
【0019】
例えば、図1において、子局11−1のLANスイッチ2−1〜子局11−nのLANスイッチ2−nは、それぞれ、図示しないMIB(Management Information Base)等の記憶部を有する。
本局10のサーバー1は、所定の周期でネットワーク12に接続された子局11のLANスイッチ2の記憶部に、管理情報の取得を要求する管理情報取得コマンドを、LANスイッチ2−0およびネットワーク12を介して送信すると共に、全てのPC端末3に、ディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信する。
【0020】
LANスイッチ2の記憶部は、自子局11を構成するネットワーク構成機器(現場設備4)を把握している。従って、管理情報取得コマンドを受信したLANスイッチ2の記憶部は、自子局11の全ての現場機器4より各現場機器の状態を表すログデータを抽出する。
LANスイッチ2の記憶部は、抽出したログデータをLANスイッチ2、ネットワーク12、およびLANスイッチ2−0を介してサーバー1に送信する。
また、各PC端末3は、それぞれ、ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信した場合には、即時、受信したコマンドを実行する。各PC端末3は、ディスプレイ表示画面保存のコマンドの実行時に保存した表示画面を保持すると共に、サーバー1から送信コマンドを受信した時に送信する。
【0021】
この結果、正常運用時でも、ログデータと共に、定期的にディスプレイ画面を保存することで、データ解析、システム運用管理の効率化、セキュリティ向上(システムの不正使用監視)が実現できる。
なお、ディスプレイ画面キャプチャのコマンドによって保存された画像ファイル名は、例えば、実施例1と同様に、保存日時+ホスト名でも良い。また、障害発生時の動作については、実施例1とほぼ同様である。
【0022】
このように、PC端末3のディスプレイ上には多くの情報が表示されており、特に、障害発生時には、ログには記録できない情報(ポップアップ表示やエラーメッセージなど)も表示される。このため、1枚の画像データで多く情報を記録することができる。LAN等のネットワーク12に接続されている全てのPC端末3に対してコマンド送信することで、様々なシステムのトリガー発生時の状態を視覚的に記録することができる。
【符号の説明】
【0023】
1:サーバー、 2−0〜2−n:LANスイッチ、 3、3−1〜3−k:PC端末、 4、4−11〜4−1m、・・・、4−n1〜4−nj:現場設備、 10:本局、 11−1〜11−n:子局、 12:ネットワーク、 100:ネットワークシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを管理するサーバー、システムを操作するPC端末、および、該当する機器同士をネットワーク間で接続するための第1のLANスイッチを有する本局と、現場機器、および、該当する機器同士を前記ネットワーク間で接続するための第2のLANスイッチを有する子局とを備えたネットワークシステムにおいて、
前記現場機器は、当該現場機器に障害が発生した場合に、前記第2のLANスイッチ、前記ネットワーク、および前記第1のネットワークを介して、前記サーバーに所定のトリガーを送信し、前記サーバーは、前記所定のトリガーを受信した場合に、前記第1のLANスイッチを介して前記PC端末にディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信し、前記PC端末は、前記ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信した場合には、自機のディスプレイ表示画面をキャプチャし保存することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
ネットワークを管理するサーバー、システムを操作するPC端末、および、該当する機器同士をネットワーク間で接続するための第1のLANスイッチを有する本局と、現場機器、および、該当する機器同士を前記ネットワーク間で接続するための第2のLANスイッチを有する子局とを備えたネットワークシステムにおいて、
前記サーバーは、所定の周期で前記第1のLANスイッチおよび前記ネットワークを介して前記第2のLANスイッチに管理情報の取得を要求する管理情報取得コマンドを送信すると共に前記PC端末にディスプレイ表示画面保存のコマンドを送信し、前記第2のLANスイッチは、前記管理情報取得コマンドを受信した場合には、自子局を構成する前記現場機器から各機器の状態を表すログデータを抽出し、当該抽出したログデータを前記サーバーに送信し、前記PC端末は、前記ディスプレイ表示画面保存のコマンドを受信した場合には、自機のディスプレイ表示画面をキャプチャし保存することを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−34066(P2013−34066A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168420(P2011−168420)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】