説明

ネットワーク物理オブジェクトの動的管理のための位置ベースの方法およびシステム

1組の通信オブジェクト(3)を管理する方法。サービスディレクトリ(4)が、関連サービスおよび範囲領域に対応する、サービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)の情報をリストアップする。サービス消費者通信オブジェクト(3b)が識別されるとき、サービスディレクトリとそれに関係する範囲領域とに関連して、識別されたサービス消費者通信オブジェクトの位置特定および識別に基づいて、サービスのリスト(L1)が決定され、サービスの情報の決定されたリストの、サービス消費者通信オブジェクトへの少なくとも送信がされる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、通信オブジェクトの分野、より詳細には、そのような1組のオブジェクトを管理する分野に関連する。
【発明の背景】
【0002】
これらの通信オブジェクトは特定の機能を有し、通信能力を有するオブジェクトである。より詳細には、通信オブジェクトは1つは物理的、もう1つは情報的な、1組のハイブリッド状態マシンである。この区分は形式的なものというよりは直感的なものであり、情報的状態マシンは明らかに物理的マシン上に実装された、通常はマイクロエレクトロニクスのものであり、そして物理的マシンは形式的状態マシンとして、常にさまざまなレベルでモデル化可能である。しかしながら、この2つの区分は通常は明確であるので、それらを分離してモデル化することが可能である。情報的状態マシンは、上に定義された意味でオブジェクトの「組み込まれた」処理/記憶能力を含み、そして物理的マシンは特定の機能に対応するものすべて、つまり、オブジェクトの非情報的なものを含み、これは、センサとアクチュエータの物理的インターフェイスと、抽象的な動作をモデル化する状態マシンとの両方を含む。
【0003】
共同で、この二重状態マシンには、
−自身の物理的状態から、または適切な場合にはその環境から、異なる物理的構成のセンサを通して情報を取得し、
−情報(厳密な意味では情報的状態マシンの機能であって、つまり、状態マシンの状態と、センサとネットワークインターフェイスである入力に基づいた状態遷移機能とを含むもの)をローカルに処理および記憶し、
−一般的にはワイヤレスで、それらすべてを相互作用可能にするプロトコルをサポートする一般用途のネットワーク媒体経由で、センサからまたはオブジェクトの特定の状態から得られる情報を他のオブジェクトへ送信し、他のオブジェクトからの情報を受信し、
−組み込まれたアクチュエータにより、自身の物理的状態において、または適切な場合にはその環境において、動作を繰り返し実行する
ための能力が備えられている。
【0004】
ネットワーク化されたオブジェクトの情報的処理と物理的変換(センサとアクチュエータ)との結合された能力は、ここでは「サービス」と呼ばれる、情報技術抽象化(information technology abstraction)を通して以後見られ、これは、宣言的方法(例えばこれらの能力をXMLベースの言語で記述することにより)またはプログラム的方法(例えば、JAVA(登録商標)のようなオブジェクトベースのプログラミング言語での方法もしくは1組の方法)で、これらを管理するソフトウェアインフラストラクチャにおいて形式化することができる。「サービス消費者」通信オブジェクトと「サービスプロバイダ」通信オブジェクトとの間でネットワークを通して「交換」されるのは、このサービス計算的エンティティであり、オブジェクトはほとんどの時間に両方の機能を発揮することを心に留めなければならない。
【0005】
サービスを交換することによって相互対話する、数多くのタイプの通信オブジェクトがある。典型的な通信オブジェクトは、携帯電話機によって支払いが行われる飲料自動販売機や、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)用の入力インターフェイスサービスを提供する通信ペン、携帯電話機用の音声インターフェイスサービスを提供するワイヤレスイヤーピース、PDA用の視覚的出力インターフェイスを提供するスクリーン、PDA上に位置する他のサービスにその情報を提供する温度および気圧センサ等である。
【0006】
サービス発見ソフトウェアインフラストラクチャ(ミドルウェア)は、特に、
−JINI(サン・マイクロシステムズ社により出版された「JINIネットワーク技術」およびウェブサイトwww.jini.org参照)、
−UPnP(マイクロソフト社により2000年6月に出版された「ユニバーサルプラグアンドプレイデバイスアーキテクチャ」およびウェブサイトwww.upnp.org参照)、
−サリュテーション、その仕様書がサリュテーションコンソーシアムにより出版されている(ウェブサイトwww.salutation.org参照)
を含む。
【0007】
これらのアーキテクチャはソフトウェアサービスをマシン間で交換可能にする一般的な解法を提案するが、具体的なタームでソフトウェアの物理的な位置特定を取り扱う一般的な解法は提案しない。よって、物理的位置を識別することは、例えばローミングユーザに付随する移動体通信オブジェクトに欠かせないものである。
【0008】
さらに、例えばGSMネットワークから発信されている位置特定情報を時に利用する既存の通信オブジェクトおよび関係する管理システムは、特定のアプリケーションまたは特定の環境に専用であることが多い。したがって、同一システムを起源としない通信オブジェクトを容易に相互対話させることは困難である。さらに、これらのオブジェクトの起動は一般にユーザ側の特定の起動を必要とする。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、前述の制限による影響を受けることが少ない、1組の通信オブジェクトを管理するための方法とシステムを提案することを目指している。
【0010】
したがって、第1の観点にしたがうと、本発明は1組の通信オブジェクトを管理する方法を提案し、サービスディレクトリが、サービスプロバイダ通信オブジェクトとこれらの通信オブジェクトからアクセス可能なそれぞれのサービスとサービスにそれぞれ関係するカバレッジ領域とに関連する情報をリストアップする。方法は、
−サービス消費者通信オブジェクトの位置を特定してサービス消費者通信オブジェクトを識別するステップと、
−サービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスとサービスに関係するカバレッジ領域とに関連して識別されたサービス消費者通信オブジェクトの位置特定および識別にしたがって、ディレクトリに含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスのリストを決定するステップと、
−リストのサービスに関連する情報の、少なくとも、識別されたサービス消費者通信オブジェクトへの送信を開始するステップとを含む。
【0011】
第2の観点にしたがうと、本発明は1組の通信オブジェクトを管理するシステムを提案する。このシステムは、
−サービスプロバイダ通信オブジェクトとこれらの通信オブジェクトからアクセス可能なそれぞれのサービスとサービスにそれぞれ関係するカバレッジ領域とに関連する情報をリストアップするサービスディレクトリと、
−サービス消費者通信オブジェクトの位置を特定して、サービス消費者通信オブジェクトを識別する手段と、
−ディレクトリ中にリストアップされたサービスのカバレッジ領域に関して、サービス消費者通信オブジェクトの位置を特定する情報を解釈する手段と、
−ディレクトリ中にリストアップされたサービスに関して、サービス消費者通信オブジェクトを識別する情報を解釈する手段と、
−サービス消費者通信オブジェクトの位置を特定する情報を解釈する手段とサービス消費者通信オブジェクトを識別する情報を解釈する手段とにより提供される結果にしたがって、ディレクトリ中に含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスの第1のリストを決定する手段と、
−第1のリストのサービスに関連する情報の、サービス消費者通信オブジェクトへの少なくとも送信を開始する手段とを具備する。
【0012】
そこからサービスがアクセス可能であるカバレッジ領域は、位置を特定して、位置特定情報を解釈する手段により使用される基礎となる空間(具体的または抽象的)のモデルにしたがって定義される。
【0013】
それは従来の幾何的モデルとすることができる。このケースでは、(デカルト、アファインなどのタイプモデルと同様に)そのモデルの距離という意味で用語近接が使用される。
【0014】
それはグラフタイプモデルでさえあってもよい。このケースでは、用語グラフ上の近接が使用される(言い換えると、グラフ2つのノードを分離している最短パス上の弧の数として推定される距離)。
【0015】
本発明にしたがった方法またはシステムを実現すると、サービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスのカバレッジ領域とサービス消費者通信オブジェクトの位置特定とに関連した位置情報を解析することにより、サービスを使用する可能性があるサービス消費者通信オブジェクトに対して、サービスを動的に提案することができる。
【0016】
サービスディレクトリは集中化することができ、またはさまざまな地理的地点に位置する数多くの物理的マシン上に分散させることさえもできる。
【0017】
オブジェクトの位置特定とアクセス可能なサービスのカバレッジとに関連した情報は、異なるタイプとすることができ、同一システム内に同時に存在する、異なる技術のデバイスによって供給することが可能である。
【0018】
本発明の他の特徴と利点は、下記の詳細な説明を読むことにより明らかになるだろう。これは、純粋に例示的なものであり、添付図面を参照して読むべきである。
【詳細な説明】
【0019】
図1は本発明の実施形態内の通信オブジェクト3を管理するシステム2を表す。通信オブジェクト3はサービスプロバイダ通信オブジェクト3aとサービス消費者通信オブジェクト3bとを含んでいる。サービスプロバイダ通信オブジェクト3aはそれらの環境(センサまたはアクチュエータ)と相互対話し、特にサービス消費者通信オブジェクト3bにサービスを提供する手段または機能を備えている。通信オブジェクト3は、固定または移動体を問わず、順番に、または同時に、サービス消費者とサービスプロバイダになることができることを理解できるであろう。
【0020】
この管理システム2は、例えば多数の位置特定の手段5を含んでおり、それぞれサービス消費者通信オブジェクト3bの位置を特定するために適している(この位置の特定は、例えばシステム2に対してアクティブであるように見える通信オブジェクト自身によって、またはシステム2によって直接行われる。)。
【0021】
さまざまな技術に基づいた位置特定手段5が管理システム2内で同時に存在することができる。位置特定手段は、例えば完全なマルチセンサ位置決めシステム(GPSまたはIEEE802.11端末による三角測量)とすることができ、あるいはセンサからの生情報を合成するソフトウェアエージェントと関係する独立したセンサとさえすることができ、あるいは固定して設置されたまたは稀にしか動かないオブジェクトに永続的に入力された位置決め情報とさえすることができる。このように、位置特定手段5によって発行された位置特定情報は、幅広くさまざまなタイプのものとすることができる。すなわち、通信オブジェクト3は、例えば、経度と緯度により位置特定することができる。他の通信オブジェクトは「Yに居住するX氏のローカルIPネットワークに存在」等の形態によって位置特定してもよい。
【0022】
管理システム2はさらに通信オブジェクトを識別する手段7を含み、この手段7は位置を特定した後にサービス消費者通信オブジェクト3bを識別するのに適している。
【0023】
管理システム2は位置特定と識別の情報を処理するためのシステム9を含む。この処理システム9は位置特定手段5からの位置特定情報を解釈する手段11と識別手段7からの識別情報を解釈する手段13とを含む。処理システム9の位置特定情報解釈手段11は、プログラム可能である基準にしたがって、受け取ったさまざまな位置特定情報から関連情報を抽出するために、受け取ったさまざまな位置特定情報を処理するのに適している。それらは、例えば位置特定されたサービス消費者通信オブジェクト3bに関連した位置特定情報を使用して、どのサービスカバレッジ領域が、識別され位置特定されたサービス消費者通信オブジェクト3bと「関連」するかを識別することができる。入力された基準に沿って、「関連」は、例えばその中に識別されたオブジェクトが位置特定されているサービスカバレッジ領域のみならず、近くのカバレッジ領域、または位置特定されたサービス消費者通信オブジェクト3bの一部において容易に達成される動作、例えばネットワーク接続を要求するカバレッジ領域を意味すると理解してもよい。処理システム9は、例えば、変化するタイプの位置特定情報間の関係を確立することもできる。処理システム9は、例えば、メトリックまたはデカルトモデルの連続した位置特定情報から、セットモデルに対応した位置特定情報(オブジェクトは所定領域内であるか、または所定領域内でないか)を抽出することができる。
【0024】
処理システム9の識別情報解釈手段13は、プログラム可能である基準にしたがって、受け取ったさまざまなタイプの識別情報から関連情報を抽出するために、受け取ったさまざまなタイプの識別情報を処理するのに適している。識別情報解釈手段13は、例えば識別されたオブジェクトに関連する識別情報を使用して、ディレクトリ内のサービスからどのサービスが「関連」であるかを定義してもよい。言い換えると、識別(例えば、位置特定されたサービス消費者通信オブジェクトがシステム内で定義されているか)にしたがって、すなわち、例えば関連技術にリンクされた識別パラメータ(例えば、もし特定のサービスがスクリーンを必要とし、通信オブジェクトがスクリーンを持っていない場合、そのようなサービスを通信オブジェクトに提案することは意味がない。そのような情報は識別パラメータに含まれるだろう。)にしたがって、あるいは、サービス消費者通信オブジェクト3bのユーザプロファイル、あるいは、通信オブジェクトに関係するユーザによって費用が支払われたか支払われていないかというアクセス権にさえしたがって、位置特定されたサービス消費者通信オブジェクト3bによって消費される可能性があるサービスを定義してもよい。
【0025】
管理システム2はサービスディレクトリ4を含んでいる。このディレクトリ4は、サービスプロバイダ通信オブジェクト3aに関連した、サービスプロバイダ通信オブジェクト3aからアクセス可能なサービスに関連した、およびこれらのサービスに関係するカバレッジ領域に関連した情報をリストアップする。ディレクトリ4は例えばサービスプロバイダ通信オブジェクト3aにしたがってなど、さまざまな方法で編集することができる。いくつかの部分は、インストーラーまたはサービスプロバイダ通信オブジェクト3aのユーザによって、システム初期化フェーズ中に編集されてもよい。移動体オブジェクトに関連した情報に関して、ディレクトリ4とサービスプロバイダ通信オブジェクト3aまたは(例えば、後に見られるようにサービスプロバイダ通信オブジェクト3aのそれぞれの新しい位置の)適切なそのユーザとの間の交換セッションにより、ディレクトリ4を定期的に更新することができる。
【0026】
管理システム2はサービス選択ユニット15をさらに含む。このサービス選択ユニット15は、サービスプロバイダ通信オブジェクト3aの位置特定情報解釈手段11と識別情報解釈手段13とによって発行される結果にしたがって、ディレクトリ内に含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクト3aからアクセス可能なサービスのリストL1を決定する、例えばソフトウェアなどの手段17を含む。最終リストは、対象とするサービス消費者通信オブジェクト3bに関して、「関連」と解釈されたサービスに対応し、「関連」と解釈されたサービス領域に関係していてもよい。
【0027】
サービス選択ユニット15は手段19も含む。手段19は手段17を通して予め定義されたリストのサービスを、手段5および7によって識別され位置が特定されたサービス消費者通信オブジェクト3bに提案する。手段19はリストアップされたサービスに関する提案を直接サービス消費者通信オブジェクト3bに送信し、これには本質的な特性が付随され、この本質的な特性に基づいて、サービス消費者通信オブジェクト3bは対応するサービスプロバイダ通信オブジェクト3aからのサービスを消費するか、あるいは、サービスを呼び出せるように、ディレクトリにサービスの正確な詳細を問い合わせることができる。このデータはサービス消費者通信オブジェクト3bにしたがってカスタマイズすることができる。例えば、もし後者がIP通信手段を持つならば、サービスプロバイダ通信オブジェクト3aのIPアドレスを供給することができる。他のサービス消費者通信オブジェクト3bに関しては、例えばブルートゥース(登録商標)アドレスなどとなる。
【0028】
通信手段は、例えば、ワイヤレスネットワークへのアクセスによって、通信オブジェクト3と管理システム2とが直接、またはネットワーク経由で相互通信することを可能にする。
【0029】
1つの実施形態では、管理システム2のすべての構成要素は、例えば、さまざまな地理的地点に分散され、ネットワーク化により相互リンクされる。
【0030】
位置特定手段5と識別手段7が、サービスプロバイダ通信オブジェクト3aの位置を特定して、識別するためにも適していると都合がよい。さらに、処理システム9はサービスプロバイダ通信オブジェクト3aの位置特定および識別に関連する発行された情報を使用して、サービスティレクトリのさまざまなフィールドを更新するように設計されている。位置特定情報解釈手段11と識別情報解釈手段13は、識別され位置が特定されたサービスプロバイダ通信オブジェクト3aからアクセス可能なサービスのカバレッジ領域を共同で更新するのに適している。この更新は識別と位置特定の情報に基づいて実行される(新しくインストールするときに、このように識別されて、所定のIPネットワーク上に位置するローカルIPネットワークを通して、サービスを提供するサービスプロバイダ通信オブジェクト3aのカバレッジ領域は、そのサービスカバレッジ領域を、例えば前記IPネットワークに等しいと考える。)。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、サービス選択ユニット15は、識別され位置が特定されたサービスプロバイダ通信オブジェクト3aからアクセス可能な1つ以上のサービスSについて、サービス消費者通信オブジェクト3bのリストL2を決定する手段17”を含む。このオブジェクトのリストL2は、サービス消費者通信オブジェクト3bのそれぞれの位置特定と識別に関して、サービスSと関係するカバレッジ領域とにしたがって決定され、例えばサービス消費者通信オブジェクト3bのリストL1を書き上げる場合に考慮されるものと等しい基準にしたがって決定される。
【0032】
サービス選択ユニット15は、識別されたサービスプロバイダ通信オブジェクト3aからアクセス可能なサービスに関連した情報を、リストL2のサービス消費者通信オブジェクト3bに対して、少なくとも送信(E)するのを開始させるのに適した手段19’を含む。
【0033】
サービスSはこれらのサービスの潜在的な消費者である通信オブジェクトに対して事前に提案される。すべてのサービスSをリストL2のサービス消費者通信オブジェクト3bに提案することができる。1つの実施形態では、潜在的なサービス消費者通信オブジェクト3bをさらに効果的に標的とすることができるように、例えば識別情報にしたがって、リストL2のサービス消費者通信オブジェクト3bにサービスを選択的に提案してもよい。
【0034】
この特性を使用して、例えばサービスプロバイダ通信オブジェクト3aが移動した後に、サービスプロバイダ通信オブジェクト3aのサービスの少なくとも1つが「関連」するサービス消費者通信オブジェクト3bに対して、アクセス可能性を知らせることができる。
【0035】
通信オブジェクト3が管理システム2に要求することができると都合がよい。
【0036】
この要求は例えば、サービスタイプ、通信オブジェクトのタイプ、サービスカバレッジ領域、またはディレクトリのフィールドに対応する他の基準等のような、1つ以上の要素を定義することができる多数の基準を含む。
【0037】
要求は、例えば「子供のためのサービス」のタイプサービスのような基準を定義してもよく、これに対して、カバレッジ領域は通信オブジェクト3のユーザが次の休暇を過ごす位置を含む。
【0038】
サービス選択ユニット15は通信オブジェクト3によってなされた要求の基準に対応するサービスのリストL3を決定するための手段17”を含む。
【0039】
要求中に何らの位置特定基準も特定されていないとき、リストL3を書き上げるため、通信オブジェクトに関して(近接との点から)関連するサービスのみを提案するように、要求が発信された通信オブジェクトの位置を考慮することが効果的である。
【0040】
サービス選択ユニット15はまた、要求の結果(E3)の通信オブジェクトに対する送信を開始させるのに適した手段19”を含む。この結果は、もし、それぞれ関係するカバレッジ領域内に入った場合に、リストアップされたサービスにアクセスするのに必要な情報を有する、サービスの定義されたリスト(L3)の形式になってもよい。
【0041】
「仮想ターミナル」サービスを実現するために、建物の部屋21に関連して、本発明の実施形態の図2に図示された特別なケースを考える。これは、図1に説明されたタイプの全体的なシステムのサブセット2bisを表し、例えば多数の技術を含んでいる。部屋21にはさまざまなタイプの1組の通信オブジェクトが備えられている。1組の通信オブジェクトはJINIインフラストラクチャとこのインフラストラクチャに基づいてJAVAで記述されたソフトウェアとによって、自発的にネットワーク化することができる(サン・マイクロシステムズ社により出版された「JAVA言語仕様書」参照)。
【0042】
システム2bisの初期化フェーズが最初に実行され、その間に、JINIメカニズムにしたがったサービスプロバイダ通信オブジェクト3aが、(図2には表示されていない)サービスディレクトリ4を作成し、発見し、サービスディレクトリ4に登録する。2bisのサブシステムは、共有メモリ空間23、例えばJINI JAVA空間を初期化する。さらに、サービス消費者通信オブジェクト3bはそれぞれ、電子タグを有するパーソナルデジタルアシスタント(PDA)を備えたユーザを含んでいる。この電子タグはトランシーバを含み、PDAの識別に関する情報を記憶する。電子タグは、例えばRFID規格(無線周波数識別規格、ウェブサイトwww.RFID.orgを参照)に準拠している。このタグを以後、「RFIDタグ」と呼ぶ。これらのサービス消費者通信オブジェクト3bは、ディレクトリ4と、それらの識別情報と特に対応アドレス(IP、電子メール、ブルートゥース識別子等)に対して通信する手段とを登録するための識別サービスと、サービス消費者として登録するための登録サービスとを探す。これらの識別および登録サービスは、システム1のケースで説明した識別手段7中に含まれ、一般的には、多数の独立したサブシステムタイプを組み合わせたものである。
【0043】
図2で示されたサービス消費者通信オブジェクト3bは、RFIDタグとPDAに組み込まれたリスニングソフトウェアとを有するPDAを持つユーザを含んでいる。リスニングソフトウェアはPDAにその環境を聴取させる。適切に装備された一般的PDAは、実行中に、さまざまなソフトウェアまたは送信された制御インターフェイスをダウンロードすることができ、リソースを必要としなくなった時にリソースを開放する。
【0044】
サービス消費者通信オブジェクト3bが部屋21に到着する。それは、サービス消費者通信オブジェクト3bのRFIDタグと対話するRFIDセンサ27によって検知される。RFIDセンサ27は、アンテナと、シリアル/IPモジュールを含むインターフェイスにリンクされた電子回路とを含む。RFIDセンサ27は、サービス消費者通信オブジェクト3bが有するRFIDタグに対応した識別情報をセンサインターフェイシングサービス29に送信するために、センサインターフェイシングサービス29とのIPセッション(トンネル)を確立することができる。センサインターフェイシングサービス29は、共有メモリ23中に新たなエントリを作成する。このエントリは、サービス消費者通信オブジェクト3bを検知したRFIDセンサ27の識別子と、検知されたタグに対応する識別子とに対応している。この新しいエントリの到着はRFIDタグに対応する装置を識別すること(実際に、RFID技術はPDAをタグ識別から識別可能にする。)と、センサの識別子を用いて装置の位置を特定することとを可能にする。したがって、識別と位置特定の動作はこのケースでは1回で同時に実行される。図1に関連して説明した位置特定および識別手段5、7は、このケースでは、PDAに付けられたタグ、そのインターフェイスを提供するRFIDタグリーダ27、センサインターフェイシングサービス29、および共有メモリ空間23を備えている。
【0045】
近接するサービスのリストL1がいったん決定され(例えば部屋内で利用可能なサービス)、もしサービス消費者通信オブジェクト3bが初期化フェーズにおいて登録サービス中にシステムのクライアントとして実際に登録されたならば、サブシステム2aは(共有メモリ23に含まれる少なくとも1つのアドレスの)サービス消費者通信オブジェクト3bに対して「仮想ターミナル」サービスにアクセス可能であることを知らせ、サービス消費者通信オブジェクト3bに対して、そのサービスにアクセスするための情報を提供する。それからPDAは、「仮想ターミナル」サービスを呼び出す。また、要求されたサービスは、決定されたサービスのリストL1をPDA上で表示するために、インターフェイス、例えばグラフィカルインターフェイスを送信する。
【0046】
この「仮想ターミナル」サービスは、パラメータとして表される物理センサの識別子とともに、サービスとしてディレクトリ登録される。サービスカバレッジ領域は、例えば部屋21に等しいとして、またはセンサ27の検知領域に等しいとして、あるいはアパートメント等に等しいとしてさえ定義できる。
【0047】
このように、サービス消費者通信オブジェクト3bに関係するユーザが入室の際にグリーティングターミナルに応答指令信号を送ったかのようにすべてが進行するが、本発明にしたがうと、図2で説明した「仮想ターミナル」タイプの例では、サービスを提案するのは環境のほうであり、それを要求するユーザではない。さらに、仮想ターミナルは、プログラム可能であるいくつかの基準(対象とする部屋からのアクセス可能性、ユーザプロファイルにしたがった適切な適応等)に対応するサービスを提案することができる。
【0048】
本発明にしたがった管理方法またはシステムは、さまざまな構成要素が分散されている方法とは無関係に、さまざまなタイプの技術、特に通信オブジェクトと位置特定技術が、1つの同じシステム内に同時に存在できるようにする。本発明は新たなサービスを容易に実現できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態で、通信オブジェクトを管理するシステムを表す図。
【図2】本発明の第2の実施形態で、通信オブジェクトを管理するシステムを表す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1組の通信オブジェクト(3)を管理する方法であって、サービスディレクトリ(4)が、サービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)とこれらの通信オブジェクトからアクセス可能なそれぞれのサービスと前記サービスにそれぞれ関係するカバレッジ領域とに関連する情報をリストアップする方法において、
サービス消費者通信オブジェクトの位置を特定して、サービス消費者通信オブジェクトを識別するステップと、
サービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスと前記サービスに関係するカバレッジ領域とに関連して識別されたサービス消費者通信オブジェクトの位置特定および識別にしたがって、ディレクトリに含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスの第1のリスト(L1)を決定するステップと、
少なくとも前記第1のリスト(L1)のサービスに関連する情報の、識別されたサービス消費者通信オブジェクト(3b)への少なくとも送信を開始するステップとを含む方法。
【請求項2】
サービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)の位置を特定して、サービスプロバイダ通信オブジェクトを識別するステップと、
サービスディレクトリ(4)中で、識別されたサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスと関係するカバレッジ領域とに関連する情報を更新するステップとを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
識別されたサービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)からアクセス可能なサービスの少なくとも1つに対して、
サービス消費者通信オブジェクトのそれぞれの位置特定および識別に関して、前記サービスと関係するカバレッジ領域とにしたがって、サービス消費者通信オブジェクトの第2のリスト(L2)が決定され、
識別されたサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスに関連する情報の、前記第2のリストのサービス消費者通信オブジェクト(3b)への少なくとも送信が開始される請求項2記載の方法。
【請求項4】
通信オブジェクト(3)からの要求に対応して、
要求にしたがって、要求が発信された通信オブジェクト(3)の位置特定および識別に関して、ディレクトリ中に含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスの第3のリスト(L3)が決定され、
前記第3のリスト(L3)のサービスに関連する情報の通信オブジェクトへの送信(E)が開始される請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
1組の通信オブジェクト(3)を管理するシステム(2)において、
サービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)とこれらの通信オブジェクトからアクセス可能なそれぞれのサービスと前記サービスにそれぞれ関係するカバレッジ領域とに関連する情報をリストアップするサービスディレクトリ(4)と、
サービス消費者通信オブジェクト(3b)の位置を特定して、サービス消費者通信オブジェクトを識別する手段(5,7)と、
ディレクトリ中にリストアップされたサービスのカバレッジ領域に関して、サービス消費者通信オブジェクト(3b)の位置を特定する情報を解釈する手段(11)と、
ディレクトリ中にリストアップされたサービスに関して、サービス消費者通信オブジェクト(3b)を識別する情報を解釈する手段(13)と、
サービス消費者通信オブジェクトの位置を特定する情報を解釈する手段とサービス消費者通信オブジェクトを識別する情報を解釈する手段とにより提供される結果にしたがって、ディレクトリ中に含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスの第1のリスト(L1)を決定する手段(17)と、
前記第1のリスト(L1)のサービスに関連する情報の、サービス消費者通信オブジェクト(3b)への少なくとも送信を開始する手段(19)とを具備するシステム。
【請求項6】
サービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)を識別し、位置を特定する手段(5,7)と、
サービスプロバイダ通信オブジェクトの識別と位置特定とに関連する情報からサービスディレクトリ(4)を更新する手段(9)とを具備する請求項5記載のシステム。
【請求項7】
識別されたサービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)からアクセス可能な少なくとも1つのサービスに対して、サービス消費者通信オブジェクトのそれぞれの位置特定および識別に関連して、前記サービスと関係するカバレッジ領域とにしたがって、サービス消費者通信オブジェクト(3b)の第2のリスト(L2)を決定する手段(17’)と、
識別されたサービスプロバイダ通信オブジェクトからアクセス可能なサービスに関連する情報の、前記第2のリストのサービス消費者通信オブジェクトへの少なくとも送信(E2)を開始する手段(19’)とを具備する請求項6記載のシステム(2)。
【請求項8】
通信オブジェクト(3)からの要求に応答して、少なくとも要求にしたがって、要求が発信された通信オブジェクト(3)の位置特定および識別に関して、ディレクトリ(4)中に含まれるサービスプロバイダ通信オブジェクト(3a)からアクセス可能なサービスの第3のリスト(L3)を決定する手段(17”)と、
前記第3のリスト(L3)のサービスに関連する情報の通信オブジェクトへの少なくとも送信(E)を開始する手段(19”)とを具備する請求項5ないし7のいずれか1項記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−501435(P2007−501435A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530377(P2006−530377)
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001292
【国際公開番号】WO2004/110014
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(591044452)フランス テレコム (9)
【氏名又は名称原語表記】FRANCE  TELECOM
【Fターム(参考)】