ネブライザシステム及びこのネブライザシステムに使用されるヒータ装置
【課題】ドレンチューブを排除したネブライザシステム、及び当該ネブライザシステムに好適に使用されるヒータ装置を提供する。
【解決手段】ボトル2は、内部に貯留される液体に浸漬される浸漬管22を備え、浸漬管の上端部には、ボトル口部25を介してボトルの内外を連通する空隙部226が設けられており、ネブライザアダプタ4は、ガス噴射口421を有するノズル部材42と、噴射口に対応する位置に配置され噴射されたガスの気流によって、浸漬管及びヒータ装置3を介してボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材43とを備えており、ヒータ装置は、一端部が浸漬管の上端部に接続し他端部がエアロゾル形成部材に接続する導水管32と、導水管を加熱する加熱部33と、一方端が空隙部に対向配置され、他方端を介してエアロゾル化されなかった液体をボトル内に還流するドレン管35とを備える。
【解決手段】ボトル2は、内部に貯留される液体に浸漬される浸漬管22を備え、浸漬管の上端部には、ボトル口部25を介してボトルの内外を連通する空隙部226が設けられており、ネブライザアダプタ4は、ガス噴射口421を有するノズル部材42と、噴射口に対応する位置に配置され噴射されたガスの気流によって、浸漬管及びヒータ装置3を介してボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材43とを備えており、ヒータ装置は、一端部が浸漬管の上端部に接続し他端部がエアロゾル形成部材に接続する導水管32と、導水管を加熱する加熱部33と、一方端が空隙部に対向配置され、他方端を介してエアロゾル化されなかった液体をボトル内に還流するドレン管35とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気や酸素などのガスに水分(水蒸気又は霧状の水)を付加するネブライザシステム、及び、このネブライザシステムに使用されるヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸器系統の患者には、酸素を供給する酸素療法が行なわれており、例えば酸素ボンベ等から発生する酸素、またはモレキュラシーブ等の吸着剤からなる酸素濃縮器により濃縮される酸素を、鼻カニューラ、マスク等を用いて患者に供給している。酸素ボンベ等から供給される酸素は、殆ど水分が含まれていないため、患者の鼻腔等の気道内に酸素を供給するときには気道内が乾燥するのを防止する必要がある。そこで、酸素供給チューブの途中に加湿器を設け、加湿した状態の酸素を供給している。
【0003】
酸素療法において、酸素の加湿に使用される加湿器として、ネブライザシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。ネブライザシステムは、図18に示すように、薬剤を溶解させた溶液や、滅菌水、精製水、蒸留水、生理食塩水等の液体を収容したボトル(容器)101と、当該ボトル101に接続されるネブライザアダプタ110とを備える構成を有している。このネブライザシステム100は、アダプタ110内に酸素ガス等のガスを供給することで、ボトル101に収容されている滅菌水を吸い上げつつ空気を吸引し、且つ吸い上げた滅菌水を微細なエアロゾルとして高い酸素濃度を持ったガスを加湿し、加湿された当該ガスを患者に供給し得るように構成された加湿器である。また、ネブライザシステム100は、アダプタ110内でエアロゾル化されなかった液体をボトル(容器)101に戻すために、ネブライザアダプタ110とボトル101とを接続するドレンチューブ105を備えている。なお、ネブライザシステムは、ボトル(容器)とアダプタとの間にヒータ装置を介在させ、ボトルに収容されている滅菌水を吸い上げつつ該滅菌水を加熱し、吸い上げた加熱後の滅菌水を微細なエアロゾルとして高い酸素濃度を持ったガスを加湿し、患者に供給する構成を採用する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−141493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したネブライザシステムは、ネブライザアダプタ内に溜まった液滴をボトルに戻すための構造として、ネブライザアダプタとボトルとを接続するドレンチューブを備えているが、ボトル外部に存在するドレンチューブに人の手や物等が引っ掛かり、ネブライザシステムが倒れてしまうおそれがあった。また、ドレンチューブは、ネブライザアダプタに接続固定されているため、ネブライザアダプタを螺合してヒータ装置やボトルに接続する場合に、ドレンチューブが邪魔になり、接続作業のハンドリングが極めて悪いという問題もあった。
【0006】
また、ネブライザアダプタをボトルやヒータ装置に接続した後、ドレンチューブをボトルに接続する必要があり、ネブライザアダプタのセッティングに手間がかかるという問題もあった。更に、ネブライザアダプタをヒータ装置やボトルに接続する際に、ドレンチューブが病室における種々の物体(人体や机、ベッド、壁等)と接触するおそれがあり、このような接触が生じると、清浄に保つ必要があるドレンチューブ先端が汚染されることになる。このように汚染されたドレンチューブをボトルに接続した場合、ボトル内の液体も汚染されるという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、ボトル、ヒータ装置及びネブライザアダプタの接続が容易で、外部に露出し邪魔になるドレンチューブを排除したネブライザシステム、及び当該ネブライザシステムに好適に使用されるヒータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル口部に接続可能なヒータ装置と、前記ヒータ装置に接続可能なネブライザアダプタとを備えるネブライザシステムであって、前記ボトルは、内部に貯留される液体に浸漬される浸漬管を備え、前記浸漬管の上端部は、前記ボトル口部を介して前記ボトルの内外を連通する空隙部を設けた状態で、前記ボトル口部の周壁の内側に配置されており、前記ネブライザアダプタは、ガスを噴射する噴射口を有するノズル部材と、前記噴射口に対応する位置に配置され前記噴射口から噴射されたガスの気流によって、前記浸漬管及び前記ヒータ装置を介して前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材とを備えており、前記ヒータ装置は、一端部が前記浸漬管の上端部に接続すると共に他端部が前記エアロゾル形成部材に接続する導水管と、前記導水管を加熱する加熱部と、一方端が前記空隙部に対向配置され、他方端を介して前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管とを内部に備えているネブライザシステムにより達成される。
【0009】
上述のネブライザシステムによれば、エアロゾル化されなかった液体をヒータ装置の内部に配置されるドレン管を介してボトル内へと戻すことが可能となる。つまり、従来のように、ネブライザアダプタとボトルとの間を接続し、ボトルの外部に配置されるドレンチューブが不要となり、人の手や物等がドレンチューブに引っ掛かることにより、ネブライザシステムが倒れてしまうことを効果的に防止することができる。また、ネブライザアダプタがドレンチューブを備える必要がなくなることから、ネブライザアダプタのソケット部をヒータ装置の接続部に接続する作業のハンドリングを極めて良好なものとすることができる。
【0010】
また、前記ヒータ装置は、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を貯留する受液部を備えており、前記ドレン管の他方端は、前記受液部に接続することが好ましい。また、前記受液部は、前記導水管の他端部側に設けられており、底部と、前記底部から立設する側壁部とを備えていることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を受液部に集めて、効率よく該液体をヒータ装置内部のドレン管を介してボトルに還流させることが可能となる。
【0012】
また、前記導水管の他端部は、前記受液部の底部に貫挿されており、前記側壁部は、前記底部の外周縁から立設していることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、受液部の集液面積を広く設定することが可能となり、ネブライザアダプタ内においてエアロゾル化されなかった液体を効率よく集液することが可能となる。また、受液部の底部に複数のドレン管を接続することも可能となり、エアロゾル化されずに受液部に溜まった液体を効率よくスピーディにボトルに戻すことが可能となる。
【0014】
また、前記ヒータ装置は、筐体と、前記筐体から突出し前記ネブライザアダプタが接続する筒状の接続部とを備えており、前記ネブライザアダプタは、前記接続部の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材を備えていることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、ネブライザアダプタにおいて生成された加湿ガスが、ネブライザアダプタとヒータ装置との接続部分から漏れ出ることを効果的に防止することが可能となる。
【0016】
また、前記導水管及び前記ドレン管は、直線状に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、導水管及びドレン管の内部を目視により確認しながら導水管及びドレン管の内部全域を効率よく洗浄することが可能となる。
【0017】
また、前記ヒータ装置の一側面と、前記ボトルの一側面とは、略面一となるように構成されていることが好ましい。このような構成によれば、略面一となるヒータ装置の一側面及びボトルの一側面を壁等の平面部材に接触させてネブライザシステムを設置することができ、設置エリアの省スペース化を図りつつ、ネブライザシステムの設置姿勢の安定化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の上記目的は、上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするネブライザアダプタとの間に配設されるネブライザシステム用のヒータ装置であって、前記ボトルが有する浸漬管の端部に一端部が接続すると共に他端部が前記ネブライザアダプタが有するパイプ状のエアロゾル形成部材に接続する導水管と、前記導水管を加熱する加熱部と、一方端が前記ボトル口部内を向くように配置され、他方端が前記ネブライザアダプタ内を向くように配置され、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管と、を内部に備えているヒータ装置により達成される。
【0019】
このようなヒータ装置によれば、ネブライザアダプタ内において、エアロゾル化されなかった液体をヒータ装置の内部に配置されるドレン管を介してボトル内へと戻すことが可能となる。従って、ネブライザアダプタとボトルとの間を接続し、ボトルの外部に配置される従来のドレンチューブが不要となり、人の手や物等がドレンチューブに引っ掛かり、ヒータ装置が配設されるネブライザシステムが倒れてしまうことを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ボトル、ヒータ装置及びネブライザアダプタの接続が容易で、外部に露出し邪魔になるドレンチューブを排除したネブライザシステム、及び当該ネブライザシステムに好適に使用されるヒータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るネブライザシステムの斜視図である。
【図2】図1に示すネブライザシステムが備えるボトルの正面図である。
【図3】図2に示すボトルの左側面図である。
【図4】図2に示すボトルの平面図である。
【図5】図2に示すボトルの底面図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】図4のB−B断面図である。
【図8】(a)は、図6に示す浸漬管の概略構成斜視図であり、(b)は、浸漬管の概略構成断面図、(c)は、図8(b)における矢視C方向から見た拡大平面図であり、(d)は、図8(c)のD−D断面における断面図である。
【図9】(a)は、ディフューザー部の要部拡大断面図であり、(b)は、ディフューザー部の要部拡大正面図である。
【図10】図1に示すネブライザシステムの概略構成要部拡大断面図である。
【図11】図10のE−E断面を示す要部概略構成図である。
【図12】ヒータ装置が備える連結部と、ボトル口部との接続状態を示す要部拡大図である。
【図13】ネブライザアダプタが備えるソケット部と、ヒータ装置が備える接続部との接続状態を示す要部拡大図である。
【図14】(a)は、ヒータ装置が備える受液部の変形例を示す平面図であり、(b)は、そのF−F断面図であり、(c)は、この受液部に導水管及びドレン管を接続すると共に、導水管に流路管を接続した状態を示す構成図である。
【図15】(a)は、図14に示す受液部の他の変形例を示す平面図であり、(b)は、そのG−G断面図であり、(c)は、この受液部に導水管及びドレン管を接続すると共に、導水管に流路管を接続した状態を示す構成図である。
【図16】図2に示すボトルの変形例を示す断面図である。
【図17】ヒータ装置を備えないネブライザシステムの概略構成断面図である。
【図18】従来のネブライザシステムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態にかかるネブライザシステムについて添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るネブライザシステムの斜視図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係るネブライザシステム1は、例えば加湿された呼吸ガスを供給するための装置であり、図1に示すように、ボトル2と、該ボトル2の上部に配設されるヒータ装置3と、該ヒータ装置3の上部に配設されるネブライザアダプタ4とを備えている。
【0024】
まず、ボトル2について説明する。このボトル2は、薬剤を溶解させた溶液や、滅菌水、精製水、蒸留水、生理食塩水等の液体を内部に貯留する容器であり、図2〜図7に示すように、ボトル本体21と、浸漬管22とを備えている。なお、図2は、ボトル2の正面図であり、図3は、その左側面図である。図4は、当該ボトル2の平面図であり、図5は、その底面図である。図6は、図4におけるA−A断面図であり、図7は、図4のB−B断面図である。
【0025】
ボトル本体21は、水平断面が略長方形に形成された胴部211と、胴部211の下端を封止する底部212と、胴部211の上端に肩部を介して設けられるボトル口部25とを備えている。胴部211の各側面には、直線状の凹部単体、あるいは、直線状の凹部を複数組み合わせて構成される減容リブ213が形成されている。これら減容リブ213は、胴部211を押し潰す際に胴部211の側面を折り曲げるためのリブであり、胴部211の正面と背面とを押圧してボトル本体21を潰すことにより、ボトル本体21の側面に形成される減容リブ213に沿って山折に折り曲げ、その後、ボトル2の正面及び背面に形成される減容リブ213に沿って折り畳むことにより減容できるように構成されている。
【0026】
ボトル本体21の底部212の四隅には、ボトル2載置時の安定性を高めるため脚部214がそれぞれ設けられている。当該脚部214は、底部212から鉛直方向下方に向けて外側に突出するように形成されている。ボトル本体21の底部212中央領域には、ボトル本体21の内部底面が鉛直方向下方に向けて窪む平面視円形の貯留部215が形成されている。この貯留部215は、その平面視における中心が、ボトル口部25の軸心と重なるように形成されている。また、貯留部215の周囲には、当該貯留部215を囲むように耐圧リブ216が形成されている。この耐圧リブ216は、ボトル本体21の底部212から鉛直方向下方に向けて外側に突出するように形成されている。なお、耐圧リブ216は、ボトル2内に内容液を充填して閉栓した後、湿熱滅菌(例えば、オートクレーブ滅菌)を行った場合に、内部圧力の上昇や熱の影響によりボトル2の底部212が膨らむなどの変形を防止するために設けられるものである。
【0027】
ボトル口部25は、ボトル本体21の上部に設けられており、螺子構造の蓋10(図7参照)を装着可能な螺子部251を備えている。螺子部251は、ボトル口部25の周壁25aの外周面に形成されている。また、下端部を引きちぎることによって開封する分離方式の蓋10(バージンキャップ)を装着するため、螺子部251の下方における周壁25aは、厚肉構造となるように形成され、当該厚肉構造部の外周部にはストッパーとしての突起252が複数設けられている。すなわち、分離方式の蓋10は、開封するために旋回させた場合、下部のリング部10aが突起に引っ掛かって厚肉構造部の外周に残り、上部の蓋本体10bだけが分離するようになる。このような構成により、本実施形態に係るボトル2は、密封可能であり、滅菌処理が可能な構造となっている。
【0028】
また、ボトル口部25は、ストッパーとしての突起252が形成される厚肉構造部の下方に係合部253を備えている。この係合部253は、ボトル口部25の周壁25aから水平方向外側に向けて突出する複数の突出体253aの集合として構成されている。この係合部253には、ヒータ装置3の連結部37が嵌合される。
【0029】
ボトル本体21を形成する材料としては、種々の材料を使用することができるが、例えば、オレフィンポリマーが使用される。上記オレフィンポリマーとしては、ポリエチレンとポリプロピレン系ポリマーが代表的である。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、これらのブレンド物(HDPE/LDPE)が挙げられる。ポリプロピレン系ポリマーとしては、ポリプロピン、ポリプロピンとエチレン等の他のα−オレフィンとのランダム(又はブロック)共重合体、シンジオタクチックポリプロピレン、これらのブレンド物が挙げられる。
【0030】
浸漬管22は、ボトル本体21に貯留される液体に浸漬される管状体であり、図6〜図8に示すように、管本体221と、固定部222と、ディフューザー部23とを備えている。なお、図8(a)は、浸漬管22の概略構成斜視図であり、図8(b)は、浸漬管22の概略構成断面図である。また、図8(c)は、図8(b)における矢視C方向から見た拡大平面図、図8(d)は、図8(c)のD−D断面における断面図である。
【0031】
管本体221は、直線状のパイプにより構成されており、その一方端(上方端)には固定部222が接続されており、他方端(下方端)にはディフューザー部23が接続されている。管本体221の長さは、一方端がボトル口部25の内側(周壁25aで囲まれた領域内)に配置された場合に、他方端がボトル本体21の底部212近傍となるように設定されている。
【0032】
固定部222は、浸漬管22をボトル2内に設置するための部材であり、ボトル口部25の内側に配置される筒状の環状体223と、環状体223の内側に管本体221を保持固定するための保持部材224とを備えている。環状体223は、その軸心が、ボトル口部25の軸心と略重なる位置に配置される。環状体223の上端部には、フランジ部225が設けられており、当該フランジ部225をボトル口部25の上端部に嵌合することにより、浸漬管22をボトル本体21内に設置することが可能となる。また、環状体223の外周面とボトル口部25の内周面(周壁25aの内周面)との間に空間部を形成するために、環状体223の外周面とボトル口部25の内周面とが互いに離隔するようにして、環状体223はボトル口部25の内側に配置されている。
【0033】
保持部材224は、ボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材であり、環状体223の内周面と管本体221の外周面とを接続固定している。本実施形態においては、環状体223の内周面(或いは、管本体221の外周面)の周方向に沿って所定間隔をあけて設けられる3つの保持部材224により管本体221と環状体223とを連結している。このような構成により、環状体223の内周面と管本体221の外周面との間に配置される各保持部材224間に、ボトル本体21の内外を連通する空隙部226(環状体223の両端部間を連通する空隙部226)が形成されている。なお、本実施形態においては、3つの保持部材224により管本体221と環状体223とを連結するように構成しているが、保持部材224の数は、特に限定されず、例えば、単一又は2つの保持部材224により、或いは、4つ以上の保持部材224により管本体221と環状体223とを連結してもよい。
【0034】
ディフューザー部23は、ボトル本体21内に貯留される液体を管本体221内に導く機能を有する部材であり、管本体221の他方端に接続される。このディフューザー部23は、図6や図7に示すように浸漬管22をボトル本体21内に設置した状態において、ボトル本体21の底部212に形成される貯留部215の直上に配置される。ディフューザー部23は、管本体221と一体的となるように構成してもよく、あるいは、管本体221に着脱自在となるように構成してもよい。また、ディフューザー部23を省略する構成を採用することもできる。このディフューザー部23は、図9の要部拡大図に示すように、上部ハウジング部231と、下部ハウジング部232とを備えている。なお、図9(a)は、ディフューザー部23の要部拡大断面図であり、図9(b)は、ディフューザー部23の要部拡大正面図である。
【0035】
上部ハウジング部231は、一方面側が管本体221の下方端に接続する平面視円形のプレート体233と、当該プレート体233の他方面に立設する複数の側壁部234とを備えている。各側壁部234間は、スリットを構成している。プレート体233の中央部には、プレート体233を貫通する開口部235が形成されており、当該開口部235の中心と管本体221の軸心とが一致するように、管本体221とプレート体233とが接続している。また、開口部235の開口径と、管本体221の内径とが略同一の寸法となるように構成されている。また、プレート体233の中央部に形成される開口部235の周囲には、プレート体233を貫通する複数の微小な第1貫通孔236が形成されている。これら複数の第1貫通孔236は、管本体221の軸心を中心とする同心円上に配置されている。また、当該第1貫通孔236の孔径は、第1貫通孔236の形成位置が開口部235から離隔するに従って大きくなるように形成されている。各側壁部234は、プレート体233の周方向に沿って、プレート体233の周縁近傍に所定間隔をあけて配置されている。側壁部234の外周部には下部ハウジング部232の嵌合突起237と係合する嵌合凹部238が形成されている。
【0036】
下部ハウジング部232は、上部ハウジング部231の側壁部234で囲まれた領域を覆う平面視円形のプレート状の蓋部239と、蓋部239の周縁から立設する筒状の周壁部240とを備えている。周壁部240の内面には、上部ハウジング部231の側壁部234の外周面に形成される嵌合凹部238に係合する嵌合突起237が形成されている。また、周壁部240には、当該周壁部240を貫通する第2貫通孔241が複数形成されている。各第2貫通孔241は、周壁部240の周方向に沿って所定間隔をあけて形成されている。また、各第2貫通孔241は、周壁部240の上端部及び下端部にそれぞれ形成されることが好ましい。
【0037】
ここで、下部ハウジング部232を上部ハウジング部231に設置した場合において、下部ハウジング部232の周壁部240が、上部ハウジング部231の側壁部234の外側に配置されると共に、下部ハウジング部232の周壁部240の内周面と、上部ハウジング部231の側壁部234の外周面との間には、隙間242が形成されるように、周壁部240及び側壁部234は形成されている。なお、上部ハウジング部231における各側壁部234間に形成されるスリットと、下部ハウジング部232に形成される第2貫通孔241とが互いに重ならないように、下部ハウジング部232を上部ハウジング部231に設置してもよく、或いは、スリットの一部と第2貫通孔241の一部とが互いに重なるように、下部ハウジング部232を上部ハウジング部231に設置してもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、下部ハウジング部232の周壁部240が、上部ハウジング部231の側壁部234の外側に配置されるように構成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、下部ハウジング部232の周壁部240が、上部ハウジング部231の側壁部234の内側に配置されるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、管本体221の軸心に沿う方向にそれぞれ伸びる複数のスリットを下部ハウジング部232の周壁部240に形成すると共に、上部ハウジング部231の側壁部234が筒状となるように形成することが好ましい。
【0039】
次に、ヒータ装置3について説明する。このヒータ装置3は、ボトル口部25に接続可能に構成されており、図1、図10及び図11に示すように、直方体状の筐体31と、導水管32と、加熱部33と、受液部34と、ドレン管35と、接続部36と、連結部37と、電源コード38とを備えている。なお、図10は、ネブライザシステム1の概略構成要部拡大断面図であり、図11は、図10のE−E断面の要部概略構成図である。
【0040】
筐体31の正面には、電源のON・OFF操作用のスイッチや、加熱部33の温度設定用の設定ボタン、加熱部33の駆動状態を表示する表示ランプ等からなる操作部311が形成されている。また、本実施形態においては、ヒータ装置3をボトル2に接続した状態において、筐体31の裏面312と同一方向を向くボトル2の一側面211aは、筐体31の裏面312と略面一となるように構成されている(図10参照)。なお、筐体31の裏面312とは、操作部311が形成されている筐体正面とは反対側の一側面を意味する。また、筐体31の内部には、操作部311からの入力信号に基づいて加熱部33の駆動を制御する制御回路39が配置されている。電源コード38は、筐体31の下面を介して制御回路39や加熱部33と接続している。
【0041】
導水管32は、筐体31内部に配置される直線状のパイプ部材であり、一端部が浸漬管22の上端部に連通接続すると共に、他端部が後述のエアロゾル形成部材43が有する流路管434に連通接続する。この導水管32は、ステンレス等の金属材料或いは耐熱性の合成樹脂材料から形成されている。
【0042】
加熱部33は、筐体31内部に配置され、導水管32を加熱する部材であり、例えば抵抗発熱体により構成されている。この加熱部33は、導水管32を囲繞可能に構成されており、電源コード38からの電力供給により、発熱して導水管32を加熱する。この導水管32の加熱により、導水管32内部を通過する液体が加熱される。
【0043】
受液部34は、導水管32の他端部側に設けられており、円板状の底部341と、該底部341から立設する側壁部342とを備えている。本実施形態における受液部34は、底部341の中央部を導水管32の他端部が貫挿しており、底部341の外周縁から側壁部342が立設する構造を有している。つまり、導水管32の他端部における外周面と、側壁部342と、底部341とにより受液部34が形成されている。受液部34の側壁部342は、後述の筒状の接続部36の内周面に密着しており、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体の全てを受液部34にて受液・貯留可能に構成されている。
【0044】
ドレン管35は、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体をボトル2内に還流するためのパイプ部材である。このドレン管35は、直線状に形成されており、上記導水管32と略平行となるように配置されている。また、加熱部33により加熱された導水管32内の液体の熱が、ドレン管35及びドレン管35内部を通過する液体に吸熱されることを抑制するという観点から、ドレン管35が、導水管32に接触しないように配置することが好ましい。なお、ドレン管35は、ステンレス等の金属材料或いは合成樹脂材料から形成されている。このドレン管35の一方端は、ボトル口部25における空隙部226に対向配置されている。また、ドレン管35の他方端は、ネブライザアダプタ4の内部を向くように配置されており、当該他方端は、受液部34の底部341に接続している。受液部34に溜まった液体はボトル口部25における空隙部226を介してボトル2内に戻すことができるように構成されている。
【0045】
接続部36は、筐体31の上部から突出し、ネブライザアダプタ4が接続する筒状ポートである。上述の導水管32の他端部及び受液部34は、接続部36の内側に配置されている。この接続部36の下端部(筐体31との接続近傍)には、ボトル口部25が有する係合部253と同様な構成の係着部361が形成されており、この係着部361にネブライザイアダプタ4のソケット部41が嵌合される。
【0046】
連結部37は、筐体31の下部から突出し、ボトル口部25に覆いかぶさるように接続する筒状の部材である。上述の導水管32の一方端は、連結部37の内側に配置されている。また、連結部37とボトル口部25との接続時に、両者の気密性を高めるために、連結部37は、ボトル口部25の端面に密着可能な密着面を有する密着部材371を備えている(図12に示す拡大図参照)。密着部材371とボトル口部25の密着効果を高めるという観点から、硬度の異なる材料により両者をそれぞれ形成することが好ましい。例えば、密着部材371をステンレスにより形成し、ボトル口部25(ボトル2)をポリプロピレンにより形成することが好ましい。
【0047】
次いで、ネブライザアダプタ4について説明する。このネブライザアダプタ4は、図1の斜視図や図10及び図11の断面図に示すように、ソケット部41と、ノズル部材42と、エアロゾル形成部材43と、空気吸引孔44と、誘導部45とを備えている。
【0048】
ソケット部41は、ヒータ装置3の接続部36に覆いかぶさるように接続する筒状の部材である。このソケット部41の内周面には、ヒータ装置3が有する接続部36の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材411が配設されている(図13に示す拡大図参照)。リング状部材411と接続部36との密着効果を高めるという観点から、硬度の異なる材料により両者をそれぞれ形成することが好ましい。例えば、リング状部材411をポリカーボネートにより形成し、接続部36をポリアセタールにより形成することが好ましい。
【0049】
ノズル部材42は、下方端に形成される噴射口421から酸素ガスを噴射する管状体であり、その上方端に図示しないガス供給源に接続するガス供給源接続部46を備えている。
【0050】
エアロゾル形成部材43は、ノズル部材42のガス噴射方向に配置されており、噴射されたガスの気流によって、浸漬管22、導水管32を介して滅菌水を吸い上げると共に、吸い上げた滅菌水から微細なエアロゾルを生成する部材である。具体的には、上方端が閉塞されたパイプ体431と、当該パイプ体431の上方端近傍に形成され、内部管路に連通する貫通孔432と、貫通孔432の下方のパイプ体431表面上に設けられ、外方に向けて突出する突出部材433と、パイプ体431の下方端に連通接続する流路管434とを備えている。流路管434は、ソケット部41をヒータ装置3の接続部36に接続した状態で、ヒータ装置3の内部に配置される導水管32に連通接続する管状体であり、その外周面と筒状のソケット部41の内周面とを接続する棒状の固定部材47によりソケット部41の内部に固定されている。空気吸引孔44は、ノズル部材42によるガスの噴射に伴って空気を吸引する孔である。誘導部45は、ソケット部41の側面に設けられており、エアロゾルを含んだ酸素及び空気の混合ガスを外部へ誘導する筒状の部材である。
【0051】
次に、このような構成のネブライザシステム1の作動について図10を用いて説明する。図示しないガス供給源から供給された酸素ガスを、突出部材433に向けてノズル部材42が噴射すると、噴射されたガスの気流によって、貫通孔432付近が陰圧状態となり、ボトル2内に収容される滅菌水(液体)は、ディフューザー部23、浸漬管22、導水管32、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出する。流出した滅菌水(液体)は、突出部材433に衝突する酸素ガスの作用により微細なエアロゾルとなる。エアロゾルは、酸素ガスと混合し、更に、空気吸引孔44から吸引された空気と混合して誘導部45を介して外部に誘導され、患者に供給される。
【0052】
ディフューザー部23、浸漬管22、導水管32、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出した滅菌水(液体)のうち、エアロゾル化しなかった水滴は、ソケット部41の内部を落下し、ヒータ装置3が備える受液部34に集液され、受液部34の底部341に接続するドレン管35内を通過し、ボトル口部25に形成される空隙部226を介してボトル本体21内へと戻ることになる。なお、誘導部45の底部は、ソケット部に向けて傾斜するように構成されており、当該誘導部45の底部に溜まった水滴も、ソケット部41の内部を落下し受液部34に集液され、ドレン管35を介してボトル本体21内へと戻ることになる。
【0053】
本実施形態に係るネブライザシステム1によれば、ネブライザアダプタ4によりエアロゾル化されなかった液体をヒータ装置3の内部に配置されるドレン管35を介してボトル2内へと戻すことが可能となる。つまり、従来のように、ネブライザアダプタ4とボトル2との間を接続し、ボトル2の外部に配置されるドレンチューブが不要となり、人の手や物等がドレンチューブに引っ掛かることにより、ネブライザシステムが倒れてしまうことを効果的に防止することができる。また、ネブライザアダプタ4がドレンチューブを備える必要がなくなることから、ネブライザアダプタ4のソケット部41をヒータ装置3の接続部36に接続するセッティング作業を極めて良好なものとすることができる。また、従来のように、ネブライザアダプタ4とボトル2との間を接続し、ボトル2の外部に配置されるドレンチューブが不要となる結果、ドレンチューブの汚染に起因して、ボトル2内の液体が汚染されることを効果的に防止することが可能となる。
【0054】
また、ヒータ装置3は、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体を貯留する受液部34を備え、ドレン管35の他方端が、当該受液部34に接続する構成を備えているため、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体を受液部34に集めて、ドレン管35を介して効率よく該液体をボトル2に還流させることが可能となる。
【0055】
また、受液部34の構成として、導水管32の他端部が、受液部34の底部341に貫挿すると共に、該底部341の外周縁から側壁部342が立設するようにしているため、受液部34の集液面積を広く設定することが可能となり、ネブライザアダプタ4内においてエアロゾル化されなかった液体を効率よく集液することが可能となる。また、受液部34の底部342に複数のドレン管35を接続することも可能となり、エアロゾル化されずに受液部34に溜まった液体を効率よくスピーディにボトル2に戻すことが可能となる。
【0056】
また、ヒータ装置3は、筐体31から突出しネブライザアダプタ4が接続する筒状の接続部36を備えており、ネブライザアダプタ4は、接続部36の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材411を備えているため、ネブライザアダプタ4において生成される加湿ガスが、ネブライザアダプタ4とヒータ装置3との接続部分から漏れ出ることを効果的に防止することが可能となる。
【0057】
また、ヒータ装置3が備える導水管32及びドレン管35は、直線状に形成されているため、導水管32及びドレン管35の内部を目視により確認しながら導水管32及びドレン管35の内部全域を効率よく洗浄することが可能となる。
【0058】
また、ヒータ装置3の一側面312と、ボトル2の一側面211aとは、略面一となるように構成されているため、略面一となるヒータ装置3の一側面312及びボトル2の一側面211aを壁等の平面部材に接触させてネブライザシステム1を設置することができ、設置エリアの省スペース化を図りつつ、ネブライザシステム1の設置姿勢の安定化を図ることが可能となる。
【0059】
また、ボトル2が有する浸漬管22の環状体223の下端部における外周面は、ボトル口部25の内周面と離隔して配置されているため、ヒータ装置3のドレン管35内を通過し、空隙部226を介してボトル2へと戻される水滴は、環状体223の内周面に沿って流下し、環状体223の下端からボトル2内の液体に向かって落下することになる。これにより、ネブライザアダプタ4から戻された水滴が、ボトル口部25の内周面周辺に付着することを効果的に防止することができる。ボトル口部25の内周面周辺に水滴が付着した場合、このような水滴は下方に落下(流下)しにくく、雑菌が繁殖するおそれがあるが、このような構成を採用することにより、ボトル口部25の内周面周辺で雑菌が繁殖することを効果的に防止することができる。
【0060】
また、浸漬管22の固定部222が有する保持部材224は、ボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材であり、環状体223の内周面と前記管本体221の外周面とを接続するように構成されている。このような構成によれば、水滴が流通する空隙部226の流通面積(空隙部226の水平断面における断面積)を狭めることなく、環状体223と管本体221との接続を強固なものとすることが可能となる。
【0061】
以上、本発明に係るネブライザシステム1の実施形態について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、ヒータ装置3内に設置されるドレン管35を直線状の形状に構成し、加熱部33により囲繞される導水管32と略平行となるように配置しているが、ヒータ装置3の筐体31の内周面を沿うような形状に形成してもよい。このような構成によれば、ドレン管35を加熱部33から離れた位置に配置できるため、ドレン管35内を通過してボトル2内へと導かれる液体が、加熱部33により加熱されることを効果的に抑制することが可能となる。また、加熱部33の熱が、ドレン管35を通過する液体に奪われることを効果的に防止することも可能となり、結果として、加熱部33が、導水管32内を通過する液体を効率よく加熱することが可能となる。
【0062】
また、ヒータ装置3が備える受液部34の構成としては、上述した構成に特に限定されず、例えば、図14に示すように、円板状の底部341の略中央部に貫通孔345を形成し、底部341の外周縁から立設する外側側壁342aを設けると共に、貫通孔345の周囲に内側側壁342bを設けるように受液部34を構成してもよい。なお、ドレン管35が接続される接続孔346は、内側側壁342bと外側側壁342aとにより挟まれる底部341の所定領域に形成される。このような構成を採用する場合、導水管32の他端部を貫通孔345に嵌入して受液部34を設置する。ここで、図14(a)は受液部34の平面図であり、図14(b)はこのF−F断面図である。また、図14(c)は、受液部34に導水管32及びドレン管35を接続すると共に、導水管32に流路管434を接続した状態を示す構成図である。なお、複数のドレン管35を接続する場合の受液部34の構成を図15に示す。図15においては、貫通孔345を挟むようにしてドレン管35を接続する接続孔346を受液部34の底部341に二つ形成している。なお、図15(a)は受液部34の平面図であり、図15(b)はこのG−G断面図である。また、図15(c)は、受液部34に導水管32及びドレン管35を接続すると共に、導水管32に流路管434を接続した状態を示す構成図である。
【0063】
また、ボトル2内部に配置される浸漬管22の上端部は、ボトル口部25を介してボトル本体21の内外を連通する空隙部226を設けた状態で、ボトル口部25の周壁25aの内側に配置されていればよく、例えば、図16に示すような構造として浸漬管22を構成することもできる。図16に示す浸漬管22は、管本体221と、保持部材224とにより構成されている。図16に示す保持部材224は、上記固定部222としての機能を有し、ボトル口部25における周壁25aの内周面と、管本体221の外周面とを接続するように形成されている。このような構成を採用する場合、保持部材224をボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材により構成することが好ましい。このような構成によれば、空隙部226を介してネブライザアダプタ4内からボトル2へと戻される水滴が管本体221の外表面に沿って流下するように、効果的に水滴を管本体221に導くことが可能になる。この結果、ボトル2へと戻される水滴がボトル口部25の内周面周辺に溜まることを効果的に防止することができる。
【0064】
また、上記実施形態におけるボトル2は、固定部222が有する環状体223が、ボトル口部25の上端部に嵌合するフランジ部225を備える構成を備えているが、例えば、フランジ部225を形成することを省略し、環状体223をボトル口部25の内側に押し込み、環状体223の外周面が、ボトル口部25の内周面に嵌合されるような構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合、環状体223の下端部における外周面がボトル口部25の内周面と離隔するように、例えば、テーパ部を設ける等して環状体223の下端部を縮径するように構成することが好ましい。環状体223の下端部を縮径するように構成することにより、ネブライザアダプタ4から戻された水滴が、ボトル口部25の内周面周辺に付着することを防止することができる。
【0065】
また、上記実施形態においては、環状体223の内周面と管本体221の外周面とを接続固定する保持部材224を、ボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材により構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、棒状部材により保持部材224を構成し、環状体223と管本体221とを接続するようにしてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態に係るネブライザシステム1は、ヒータ装置3を用いない状態でも使用することが可能である。ヒータ装置3を用いない場合、ネブライザアダプタ4のソケット部41をボトル口部25に接続する。なお、両者の接続により、流路管434は、浸漬管22に連通接続する。このような状態でのネブライザシステム1の使用方法について、図17を用いて説明する。図示しないガス供給源から供給された酸素ガスを、突出部材433に向けてノズル部材42が噴射すると、噴射されたガスの気流によって、貫通孔432付近が陰圧状態となり、ボトル2内に収容される滅菌水(液体)は、ディフューザー部23、浸漬管22、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出する。流出した滅菌水(液体)は、突出部材433に衝突する酸素ガスの作用により微細なエアロゾルとなる。エアロゾルは、酸素ガスと混合し、更に、空気吸引孔44から吸引された空気と混合して誘導部45を介して外部に誘導され、患者に供給される。
【0067】
ディフューザー部23、浸漬管22、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出した滅菌水(液体)のうち、エアロゾル化しなかった水滴は、ソケット部41の内部を落下し、ボトル口部25に形成される空隙部226を介してボトル2内へと戻ることになる。当該誘導部45の底部に溜まった水滴も、ソケット部41の内部を落下し、ボトル口部25に形成される空隙部226を介してボトル2内へと戻ることになる。
【符号の説明】
【0068】
1 ネブライザシステム
2 ボトル
21 ボトル本体
22 浸漬管
25 ボトル口部
226 空隙部
3 ヒータ装置
32 導水管
33 加熱部
34 受液部
35 ドレン管
4 ネブライザアダプタ
42 ノズル部材
421 噴射口
43 エアロゾル形成部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気や酸素などのガスに水分(水蒸気又は霧状の水)を付加するネブライザシステム、及び、このネブライザシステムに使用されるヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸器系統の患者には、酸素を供給する酸素療法が行なわれており、例えば酸素ボンベ等から発生する酸素、またはモレキュラシーブ等の吸着剤からなる酸素濃縮器により濃縮される酸素を、鼻カニューラ、マスク等を用いて患者に供給している。酸素ボンベ等から供給される酸素は、殆ど水分が含まれていないため、患者の鼻腔等の気道内に酸素を供給するときには気道内が乾燥するのを防止する必要がある。そこで、酸素供給チューブの途中に加湿器を設け、加湿した状態の酸素を供給している。
【0003】
酸素療法において、酸素の加湿に使用される加湿器として、ネブライザシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。ネブライザシステムは、図18に示すように、薬剤を溶解させた溶液や、滅菌水、精製水、蒸留水、生理食塩水等の液体を収容したボトル(容器)101と、当該ボトル101に接続されるネブライザアダプタ110とを備える構成を有している。このネブライザシステム100は、アダプタ110内に酸素ガス等のガスを供給することで、ボトル101に収容されている滅菌水を吸い上げつつ空気を吸引し、且つ吸い上げた滅菌水を微細なエアロゾルとして高い酸素濃度を持ったガスを加湿し、加湿された当該ガスを患者に供給し得るように構成された加湿器である。また、ネブライザシステム100は、アダプタ110内でエアロゾル化されなかった液体をボトル(容器)101に戻すために、ネブライザアダプタ110とボトル101とを接続するドレンチューブ105を備えている。なお、ネブライザシステムは、ボトル(容器)とアダプタとの間にヒータ装置を介在させ、ボトルに収容されている滅菌水を吸い上げつつ該滅菌水を加熱し、吸い上げた加熱後の滅菌水を微細なエアロゾルとして高い酸素濃度を持ったガスを加湿し、患者に供給する構成を採用する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−141493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したネブライザシステムは、ネブライザアダプタ内に溜まった液滴をボトルに戻すための構造として、ネブライザアダプタとボトルとを接続するドレンチューブを備えているが、ボトル外部に存在するドレンチューブに人の手や物等が引っ掛かり、ネブライザシステムが倒れてしまうおそれがあった。また、ドレンチューブは、ネブライザアダプタに接続固定されているため、ネブライザアダプタを螺合してヒータ装置やボトルに接続する場合に、ドレンチューブが邪魔になり、接続作業のハンドリングが極めて悪いという問題もあった。
【0006】
また、ネブライザアダプタをボトルやヒータ装置に接続した後、ドレンチューブをボトルに接続する必要があり、ネブライザアダプタのセッティングに手間がかかるという問題もあった。更に、ネブライザアダプタをヒータ装置やボトルに接続する際に、ドレンチューブが病室における種々の物体(人体や机、ベッド、壁等)と接触するおそれがあり、このような接触が生じると、清浄に保つ必要があるドレンチューブ先端が汚染されることになる。このように汚染されたドレンチューブをボトルに接続した場合、ボトル内の液体も汚染されるという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、ボトル、ヒータ装置及びネブライザアダプタの接続が容易で、外部に露出し邪魔になるドレンチューブを排除したネブライザシステム、及び当該ネブライザシステムに好適に使用されるヒータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル口部に接続可能なヒータ装置と、前記ヒータ装置に接続可能なネブライザアダプタとを備えるネブライザシステムであって、前記ボトルは、内部に貯留される液体に浸漬される浸漬管を備え、前記浸漬管の上端部は、前記ボトル口部を介して前記ボトルの内外を連通する空隙部を設けた状態で、前記ボトル口部の周壁の内側に配置されており、前記ネブライザアダプタは、ガスを噴射する噴射口を有するノズル部材と、前記噴射口に対応する位置に配置され前記噴射口から噴射されたガスの気流によって、前記浸漬管及び前記ヒータ装置を介して前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材とを備えており、前記ヒータ装置は、一端部が前記浸漬管の上端部に接続すると共に他端部が前記エアロゾル形成部材に接続する導水管と、前記導水管を加熱する加熱部と、一方端が前記空隙部に対向配置され、他方端を介して前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管とを内部に備えているネブライザシステムにより達成される。
【0009】
上述のネブライザシステムによれば、エアロゾル化されなかった液体をヒータ装置の内部に配置されるドレン管を介してボトル内へと戻すことが可能となる。つまり、従来のように、ネブライザアダプタとボトルとの間を接続し、ボトルの外部に配置されるドレンチューブが不要となり、人の手や物等がドレンチューブに引っ掛かることにより、ネブライザシステムが倒れてしまうことを効果的に防止することができる。また、ネブライザアダプタがドレンチューブを備える必要がなくなることから、ネブライザアダプタのソケット部をヒータ装置の接続部に接続する作業のハンドリングを極めて良好なものとすることができる。
【0010】
また、前記ヒータ装置は、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を貯留する受液部を備えており、前記ドレン管の他方端は、前記受液部に接続することが好ましい。また、前記受液部は、前記導水管の他端部側に設けられており、底部と、前記底部から立設する側壁部とを備えていることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を受液部に集めて、効率よく該液体をヒータ装置内部のドレン管を介してボトルに還流させることが可能となる。
【0012】
また、前記導水管の他端部は、前記受液部の底部に貫挿されており、前記側壁部は、前記底部の外周縁から立設していることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、受液部の集液面積を広く設定することが可能となり、ネブライザアダプタ内においてエアロゾル化されなかった液体を効率よく集液することが可能となる。また、受液部の底部に複数のドレン管を接続することも可能となり、エアロゾル化されずに受液部に溜まった液体を効率よくスピーディにボトルに戻すことが可能となる。
【0014】
また、前記ヒータ装置は、筐体と、前記筐体から突出し前記ネブライザアダプタが接続する筒状の接続部とを備えており、前記ネブライザアダプタは、前記接続部の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材を備えていることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、ネブライザアダプタにおいて生成された加湿ガスが、ネブライザアダプタとヒータ装置との接続部分から漏れ出ることを効果的に防止することが可能となる。
【0016】
また、前記導水管及び前記ドレン管は、直線状に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、導水管及びドレン管の内部を目視により確認しながら導水管及びドレン管の内部全域を効率よく洗浄することが可能となる。
【0017】
また、前記ヒータ装置の一側面と、前記ボトルの一側面とは、略面一となるように構成されていることが好ましい。このような構成によれば、略面一となるヒータ装置の一側面及びボトルの一側面を壁等の平面部材に接触させてネブライザシステムを設置することができ、設置エリアの省スペース化を図りつつ、ネブライザシステムの設置姿勢の安定化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の上記目的は、上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするネブライザアダプタとの間に配設されるネブライザシステム用のヒータ装置であって、前記ボトルが有する浸漬管の端部に一端部が接続すると共に他端部が前記ネブライザアダプタが有するパイプ状のエアロゾル形成部材に接続する導水管と、前記導水管を加熱する加熱部と、一方端が前記ボトル口部内を向くように配置され、他方端が前記ネブライザアダプタ内を向くように配置され、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管と、を内部に備えているヒータ装置により達成される。
【0019】
このようなヒータ装置によれば、ネブライザアダプタ内において、エアロゾル化されなかった液体をヒータ装置の内部に配置されるドレン管を介してボトル内へと戻すことが可能となる。従って、ネブライザアダプタとボトルとの間を接続し、ボトルの外部に配置される従来のドレンチューブが不要となり、人の手や物等がドレンチューブに引っ掛かり、ヒータ装置が配設されるネブライザシステムが倒れてしまうことを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ボトル、ヒータ装置及びネブライザアダプタの接続が容易で、外部に露出し邪魔になるドレンチューブを排除したネブライザシステム、及び当該ネブライザシステムに好適に使用されるヒータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るネブライザシステムの斜視図である。
【図2】図1に示すネブライザシステムが備えるボトルの正面図である。
【図3】図2に示すボトルの左側面図である。
【図4】図2に示すボトルの平面図である。
【図5】図2に示すボトルの底面図である。
【図6】図4のA−A断面図である。
【図7】図4のB−B断面図である。
【図8】(a)は、図6に示す浸漬管の概略構成斜視図であり、(b)は、浸漬管の概略構成断面図、(c)は、図8(b)における矢視C方向から見た拡大平面図であり、(d)は、図8(c)のD−D断面における断面図である。
【図9】(a)は、ディフューザー部の要部拡大断面図であり、(b)は、ディフューザー部の要部拡大正面図である。
【図10】図1に示すネブライザシステムの概略構成要部拡大断面図である。
【図11】図10のE−E断面を示す要部概略構成図である。
【図12】ヒータ装置が備える連結部と、ボトル口部との接続状態を示す要部拡大図である。
【図13】ネブライザアダプタが備えるソケット部と、ヒータ装置が備える接続部との接続状態を示す要部拡大図である。
【図14】(a)は、ヒータ装置が備える受液部の変形例を示す平面図であり、(b)は、そのF−F断面図であり、(c)は、この受液部に導水管及びドレン管を接続すると共に、導水管に流路管を接続した状態を示す構成図である。
【図15】(a)は、図14に示す受液部の他の変形例を示す平面図であり、(b)は、そのG−G断面図であり、(c)は、この受液部に導水管及びドレン管を接続すると共に、導水管に流路管を接続した状態を示す構成図である。
【図16】図2に示すボトルの変形例を示す断面図である。
【図17】ヒータ装置を備えないネブライザシステムの概略構成断面図である。
【図18】従来のネブライザシステムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態にかかるネブライザシステムについて添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るネブライザシステムの斜視図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係るネブライザシステム1は、例えば加湿された呼吸ガスを供給するための装置であり、図1に示すように、ボトル2と、該ボトル2の上部に配設されるヒータ装置3と、該ヒータ装置3の上部に配設されるネブライザアダプタ4とを備えている。
【0024】
まず、ボトル2について説明する。このボトル2は、薬剤を溶解させた溶液や、滅菌水、精製水、蒸留水、生理食塩水等の液体を内部に貯留する容器であり、図2〜図7に示すように、ボトル本体21と、浸漬管22とを備えている。なお、図2は、ボトル2の正面図であり、図3は、その左側面図である。図4は、当該ボトル2の平面図であり、図5は、その底面図である。図6は、図4におけるA−A断面図であり、図7は、図4のB−B断面図である。
【0025】
ボトル本体21は、水平断面が略長方形に形成された胴部211と、胴部211の下端を封止する底部212と、胴部211の上端に肩部を介して設けられるボトル口部25とを備えている。胴部211の各側面には、直線状の凹部単体、あるいは、直線状の凹部を複数組み合わせて構成される減容リブ213が形成されている。これら減容リブ213は、胴部211を押し潰す際に胴部211の側面を折り曲げるためのリブであり、胴部211の正面と背面とを押圧してボトル本体21を潰すことにより、ボトル本体21の側面に形成される減容リブ213に沿って山折に折り曲げ、その後、ボトル2の正面及び背面に形成される減容リブ213に沿って折り畳むことにより減容できるように構成されている。
【0026】
ボトル本体21の底部212の四隅には、ボトル2載置時の安定性を高めるため脚部214がそれぞれ設けられている。当該脚部214は、底部212から鉛直方向下方に向けて外側に突出するように形成されている。ボトル本体21の底部212中央領域には、ボトル本体21の内部底面が鉛直方向下方に向けて窪む平面視円形の貯留部215が形成されている。この貯留部215は、その平面視における中心が、ボトル口部25の軸心と重なるように形成されている。また、貯留部215の周囲には、当該貯留部215を囲むように耐圧リブ216が形成されている。この耐圧リブ216は、ボトル本体21の底部212から鉛直方向下方に向けて外側に突出するように形成されている。なお、耐圧リブ216は、ボトル2内に内容液を充填して閉栓した後、湿熱滅菌(例えば、オートクレーブ滅菌)を行った場合に、内部圧力の上昇や熱の影響によりボトル2の底部212が膨らむなどの変形を防止するために設けられるものである。
【0027】
ボトル口部25は、ボトル本体21の上部に設けられており、螺子構造の蓋10(図7参照)を装着可能な螺子部251を備えている。螺子部251は、ボトル口部25の周壁25aの外周面に形成されている。また、下端部を引きちぎることによって開封する分離方式の蓋10(バージンキャップ)を装着するため、螺子部251の下方における周壁25aは、厚肉構造となるように形成され、当該厚肉構造部の外周部にはストッパーとしての突起252が複数設けられている。すなわち、分離方式の蓋10は、開封するために旋回させた場合、下部のリング部10aが突起に引っ掛かって厚肉構造部の外周に残り、上部の蓋本体10bだけが分離するようになる。このような構成により、本実施形態に係るボトル2は、密封可能であり、滅菌処理が可能な構造となっている。
【0028】
また、ボトル口部25は、ストッパーとしての突起252が形成される厚肉構造部の下方に係合部253を備えている。この係合部253は、ボトル口部25の周壁25aから水平方向外側に向けて突出する複数の突出体253aの集合として構成されている。この係合部253には、ヒータ装置3の連結部37が嵌合される。
【0029】
ボトル本体21を形成する材料としては、種々の材料を使用することができるが、例えば、オレフィンポリマーが使用される。上記オレフィンポリマーとしては、ポリエチレンとポリプロピレン系ポリマーが代表的である。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、これらのブレンド物(HDPE/LDPE)が挙げられる。ポリプロピレン系ポリマーとしては、ポリプロピン、ポリプロピンとエチレン等の他のα−オレフィンとのランダム(又はブロック)共重合体、シンジオタクチックポリプロピレン、これらのブレンド物が挙げられる。
【0030】
浸漬管22は、ボトル本体21に貯留される液体に浸漬される管状体であり、図6〜図8に示すように、管本体221と、固定部222と、ディフューザー部23とを備えている。なお、図8(a)は、浸漬管22の概略構成斜視図であり、図8(b)は、浸漬管22の概略構成断面図である。また、図8(c)は、図8(b)における矢視C方向から見た拡大平面図、図8(d)は、図8(c)のD−D断面における断面図である。
【0031】
管本体221は、直線状のパイプにより構成されており、その一方端(上方端)には固定部222が接続されており、他方端(下方端)にはディフューザー部23が接続されている。管本体221の長さは、一方端がボトル口部25の内側(周壁25aで囲まれた領域内)に配置された場合に、他方端がボトル本体21の底部212近傍となるように設定されている。
【0032】
固定部222は、浸漬管22をボトル2内に設置するための部材であり、ボトル口部25の内側に配置される筒状の環状体223と、環状体223の内側に管本体221を保持固定するための保持部材224とを備えている。環状体223は、その軸心が、ボトル口部25の軸心と略重なる位置に配置される。環状体223の上端部には、フランジ部225が設けられており、当該フランジ部225をボトル口部25の上端部に嵌合することにより、浸漬管22をボトル本体21内に設置することが可能となる。また、環状体223の外周面とボトル口部25の内周面(周壁25aの内周面)との間に空間部を形成するために、環状体223の外周面とボトル口部25の内周面とが互いに離隔するようにして、環状体223はボトル口部25の内側に配置されている。
【0033】
保持部材224は、ボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材であり、環状体223の内周面と管本体221の外周面とを接続固定している。本実施形態においては、環状体223の内周面(或いは、管本体221の外周面)の周方向に沿って所定間隔をあけて設けられる3つの保持部材224により管本体221と環状体223とを連結している。このような構成により、環状体223の内周面と管本体221の外周面との間に配置される各保持部材224間に、ボトル本体21の内外を連通する空隙部226(環状体223の両端部間を連通する空隙部226)が形成されている。なお、本実施形態においては、3つの保持部材224により管本体221と環状体223とを連結するように構成しているが、保持部材224の数は、特に限定されず、例えば、単一又は2つの保持部材224により、或いは、4つ以上の保持部材224により管本体221と環状体223とを連結してもよい。
【0034】
ディフューザー部23は、ボトル本体21内に貯留される液体を管本体221内に導く機能を有する部材であり、管本体221の他方端に接続される。このディフューザー部23は、図6や図7に示すように浸漬管22をボトル本体21内に設置した状態において、ボトル本体21の底部212に形成される貯留部215の直上に配置される。ディフューザー部23は、管本体221と一体的となるように構成してもよく、あるいは、管本体221に着脱自在となるように構成してもよい。また、ディフューザー部23を省略する構成を採用することもできる。このディフューザー部23は、図9の要部拡大図に示すように、上部ハウジング部231と、下部ハウジング部232とを備えている。なお、図9(a)は、ディフューザー部23の要部拡大断面図であり、図9(b)は、ディフューザー部23の要部拡大正面図である。
【0035】
上部ハウジング部231は、一方面側が管本体221の下方端に接続する平面視円形のプレート体233と、当該プレート体233の他方面に立設する複数の側壁部234とを備えている。各側壁部234間は、スリットを構成している。プレート体233の中央部には、プレート体233を貫通する開口部235が形成されており、当該開口部235の中心と管本体221の軸心とが一致するように、管本体221とプレート体233とが接続している。また、開口部235の開口径と、管本体221の内径とが略同一の寸法となるように構成されている。また、プレート体233の中央部に形成される開口部235の周囲には、プレート体233を貫通する複数の微小な第1貫通孔236が形成されている。これら複数の第1貫通孔236は、管本体221の軸心を中心とする同心円上に配置されている。また、当該第1貫通孔236の孔径は、第1貫通孔236の形成位置が開口部235から離隔するに従って大きくなるように形成されている。各側壁部234は、プレート体233の周方向に沿って、プレート体233の周縁近傍に所定間隔をあけて配置されている。側壁部234の外周部には下部ハウジング部232の嵌合突起237と係合する嵌合凹部238が形成されている。
【0036】
下部ハウジング部232は、上部ハウジング部231の側壁部234で囲まれた領域を覆う平面視円形のプレート状の蓋部239と、蓋部239の周縁から立設する筒状の周壁部240とを備えている。周壁部240の内面には、上部ハウジング部231の側壁部234の外周面に形成される嵌合凹部238に係合する嵌合突起237が形成されている。また、周壁部240には、当該周壁部240を貫通する第2貫通孔241が複数形成されている。各第2貫通孔241は、周壁部240の周方向に沿って所定間隔をあけて形成されている。また、各第2貫通孔241は、周壁部240の上端部及び下端部にそれぞれ形成されることが好ましい。
【0037】
ここで、下部ハウジング部232を上部ハウジング部231に設置した場合において、下部ハウジング部232の周壁部240が、上部ハウジング部231の側壁部234の外側に配置されると共に、下部ハウジング部232の周壁部240の内周面と、上部ハウジング部231の側壁部234の外周面との間には、隙間242が形成されるように、周壁部240及び側壁部234は形成されている。なお、上部ハウジング部231における各側壁部234間に形成されるスリットと、下部ハウジング部232に形成される第2貫通孔241とが互いに重ならないように、下部ハウジング部232を上部ハウジング部231に設置してもよく、或いは、スリットの一部と第2貫通孔241の一部とが互いに重なるように、下部ハウジング部232を上部ハウジング部231に設置してもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、下部ハウジング部232の周壁部240が、上部ハウジング部231の側壁部234の外側に配置されるように構成されているが、このような構成に特に限定されず、例えば、下部ハウジング部232の周壁部240が、上部ハウジング部231の側壁部234の内側に配置されるように構成してもよい。このような構成を採用する場合、管本体221の軸心に沿う方向にそれぞれ伸びる複数のスリットを下部ハウジング部232の周壁部240に形成すると共に、上部ハウジング部231の側壁部234が筒状となるように形成することが好ましい。
【0039】
次に、ヒータ装置3について説明する。このヒータ装置3は、ボトル口部25に接続可能に構成されており、図1、図10及び図11に示すように、直方体状の筐体31と、導水管32と、加熱部33と、受液部34と、ドレン管35と、接続部36と、連結部37と、電源コード38とを備えている。なお、図10は、ネブライザシステム1の概略構成要部拡大断面図であり、図11は、図10のE−E断面の要部概略構成図である。
【0040】
筐体31の正面には、電源のON・OFF操作用のスイッチや、加熱部33の温度設定用の設定ボタン、加熱部33の駆動状態を表示する表示ランプ等からなる操作部311が形成されている。また、本実施形態においては、ヒータ装置3をボトル2に接続した状態において、筐体31の裏面312と同一方向を向くボトル2の一側面211aは、筐体31の裏面312と略面一となるように構成されている(図10参照)。なお、筐体31の裏面312とは、操作部311が形成されている筐体正面とは反対側の一側面を意味する。また、筐体31の内部には、操作部311からの入力信号に基づいて加熱部33の駆動を制御する制御回路39が配置されている。電源コード38は、筐体31の下面を介して制御回路39や加熱部33と接続している。
【0041】
導水管32は、筐体31内部に配置される直線状のパイプ部材であり、一端部が浸漬管22の上端部に連通接続すると共に、他端部が後述のエアロゾル形成部材43が有する流路管434に連通接続する。この導水管32は、ステンレス等の金属材料或いは耐熱性の合成樹脂材料から形成されている。
【0042】
加熱部33は、筐体31内部に配置され、導水管32を加熱する部材であり、例えば抵抗発熱体により構成されている。この加熱部33は、導水管32を囲繞可能に構成されており、電源コード38からの電力供給により、発熱して導水管32を加熱する。この導水管32の加熱により、導水管32内部を通過する液体が加熱される。
【0043】
受液部34は、導水管32の他端部側に設けられており、円板状の底部341と、該底部341から立設する側壁部342とを備えている。本実施形態における受液部34は、底部341の中央部を導水管32の他端部が貫挿しており、底部341の外周縁から側壁部342が立設する構造を有している。つまり、導水管32の他端部における外周面と、側壁部342と、底部341とにより受液部34が形成されている。受液部34の側壁部342は、後述の筒状の接続部36の内周面に密着しており、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体の全てを受液部34にて受液・貯留可能に構成されている。
【0044】
ドレン管35は、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体をボトル2内に還流するためのパイプ部材である。このドレン管35は、直線状に形成されており、上記導水管32と略平行となるように配置されている。また、加熱部33により加熱された導水管32内の液体の熱が、ドレン管35及びドレン管35内部を通過する液体に吸熱されることを抑制するという観点から、ドレン管35が、導水管32に接触しないように配置することが好ましい。なお、ドレン管35は、ステンレス等の金属材料或いは合成樹脂材料から形成されている。このドレン管35の一方端は、ボトル口部25における空隙部226に対向配置されている。また、ドレン管35の他方端は、ネブライザアダプタ4の内部を向くように配置されており、当該他方端は、受液部34の底部341に接続している。受液部34に溜まった液体はボトル口部25における空隙部226を介してボトル2内に戻すことができるように構成されている。
【0045】
接続部36は、筐体31の上部から突出し、ネブライザアダプタ4が接続する筒状ポートである。上述の導水管32の他端部及び受液部34は、接続部36の内側に配置されている。この接続部36の下端部(筐体31との接続近傍)には、ボトル口部25が有する係合部253と同様な構成の係着部361が形成されており、この係着部361にネブライザイアダプタ4のソケット部41が嵌合される。
【0046】
連結部37は、筐体31の下部から突出し、ボトル口部25に覆いかぶさるように接続する筒状の部材である。上述の導水管32の一方端は、連結部37の内側に配置されている。また、連結部37とボトル口部25との接続時に、両者の気密性を高めるために、連結部37は、ボトル口部25の端面に密着可能な密着面を有する密着部材371を備えている(図12に示す拡大図参照)。密着部材371とボトル口部25の密着効果を高めるという観点から、硬度の異なる材料により両者をそれぞれ形成することが好ましい。例えば、密着部材371をステンレスにより形成し、ボトル口部25(ボトル2)をポリプロピレンにより形成することが好ましい。
【0047】
次いで、ネブライザアダプタ4について説明する。このネブライザアダプタ4は、図1の斜視図や図10及び図11の断面図に示すように、ソケット部41と、ノズル部材42と、エアロゾル形成部材43と、空気吸引孔44と、誘導部45とを備えている。
【0048】
ソケット部41は、ヒータ装置3の接続部36に覆いかぶさるように接続する筒状の部材である。このソケット部41の内周面には、ヒータ装置3が有する接続部36の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材411が配設されている(図13に示す拡大図参照)。リング状部材411と接続部36との密着効果を高めるという観点から、硬度の異なる材料により両者をそれぞれ形成することが好ましい。例えば、リング状部材411をポリカーボネートにより形成し、接続部36をポリアセタールにより形成することが好ましい。
【0049】
ノズル部材42は、下方端に形成される噴射口421から酸素ガスを噴射する管状体であり、その上方端に図示しないガス供給源に接続するガス供給源接続部46を備えている。
【0050】
エアロゾル形成部材43は、ノズル部材42のガス噴射方向に配置されており、噴射されたガスの気流によって、浸漬管22、導水管32を介して滅菌水を吸い上げると共に、吸い上げた滅菌水から微細なエアロゾルを生成する部材である。具体的には、上方端が閉塞されたパイプ体431と、当該パイプ体431の上方端近傍に形成され、内部管路に連通する貫通孔432と、貫通孔432の下方のパイプ体431表面上に設けられ、外方に向けて突出する突出部材433と、パイプ体431の下方端に連通接続する流路管434とを備えている。流路管434は、ソケット部41をヒータ装置3の接続部36に接続した状態で、ヒータ装置3の内部に配置される導水管32に連通接続する管状体であり、その外周面と筒状のソケット部41の内周面とを接続する棒状の固定部材47によりソケット部41の内部に固定されている。空気吸引孔44は、ノズル部材42によるガスの噴射に伴って空気を吸引する孔である。誘導部45は、ソケット部41の側面に設けられており、エアロゾルを含んだ酸素及び空気の混合ガスを外部へ誘導する筒状の部材である。
【0051】
次に、このような構成のネブライザシステム1の作動について図10を用いて説明する。図示しないガス供給源から供給された酸素ガスを、突出部材433に向けてノズル部材42が噴射すると、噴射されたガスの気流によって、貫通孔432付近が陰圧状態となり、ボトル2内に収容される滅菌水(液体)は、ディフューザー部23、浸漬管22、導水管32、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出する。流出した滅菌水(液体)は、突出部材433に衝突する酸素ガスの作用により微細なエアロゾルとなる。エアロゾルは、酸素ガスと混合し、更に、空気吸引孔44から吸引された空気と混合して誘導部45を介して外部に誘導され、患者に供給される。
【0052】
ディフューザー部23、浸漬管22、導水管32、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出した滅菌水(液体)のうち、エアロゾル化しなかった水滴は、ソケット部41の内部を落下し、ヒータ装置3が備える受液部34に集液され、受液部34の底部341に接続するドレン管35内を通過し、ボトル口部25に形成される空隙部226を介してボトル本体21内へと戻ることになる。なお、誘導部45の底部は、ソケット部に向けて傾斜するように構成されており、当該誘導部45の底部に溜まった水滴も、ソケット部41の内部を落下し受液部34に集液され、ドレン管35を介してボトル本体21内へと戻ることになる。
【0053】
本実施形態に係るネブライザシステム1によれば、ネブライザアダプタ4によりエアロゾル化されなかった液体をヒータ装置3の内部に配置されるドレン管35を介してボトル2内へと戻すことが可能となる。つまり、従来のように、ネブライザアダプタ4とボトル2との間を接続し、ボトル2の外部に配置されるドレンチューブが不要となり、人の手や物等がドレンチューブに引っ掛かることにより、ネブライザシステムが倒れてしまうことを効果的に防止することができる。また、ネブライザアダプタ4がドレンチューブを備える必要がなくなることから、ネブライザアダプタ4のソケット部41をヒータ装置3の接続部36に接続するセッティング作業を極めて良好なものとすることができる。また、従来のように、ネブライザアダプタ4とボトル2との間を接続し、ボトル2の外部に配置されるドレンチューブが不要となる結果、ドレンチューブの汚染に起因して、ボトル2内の液体が汚染されることを効果的に防止することが可能となる。
【0054】
また、ヒータ装置3は、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体を貯留する受液部34を備え、ドレン管35の他方端が、当該受液部34に接続する構成を備えているため、ネブライザアダプタ4においてエアロゾル化されなかった液体を受液部34に集めて、ドレン管35を介して効率よく該液体をボトル2に還流させることが可能となる。
【0055】
また、受液部34の構成として、導水管32の他端部が、受液部34の底部341に貫挿すると共に、該底部341の外周縁から側壁部342が立設するようにしているため、受液部34の集液面積を広く設定することが可能となり、ネブライザアダプタ4内においてエアロゾル化されなかった液体を効率よく集液することが可能となる。また、受液部34の底部342に複数のドレン管35を接続することも可能となり、エアロゾル化されずに受液部34に溜まった液体を効率よくスピーディにボトル2に戻すことが可能となる。
【0056】
また、ヒータ装置3は、筐体31から突出しネブライザアダプタ4が接続する筒状の接続部36を備えており、ネブライザアダプタ4は、接続部36の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材411を備えているため、ネブライザアダプタ4において生成される加湿ガスが、ネブライザアダプタ4とヒータ装置3との接続部分から漏れ出ることを効果的に防止することが可能となる。
【0057】
また、ヒータ装置3が備える導水管32及びドレン管35は、直線状に形成されているため、導水管32及びドレン管35の内部を目視により確認しながら導水管32及びドレン管35の内部全域を効率よく洗浄することが可能となる。
【0058】
また、ヒータ装置3の一側面312と、ボトル2の一側面211aとは、略面一となるように構成されているため、略面一となるヒータ装置3の一側面312及びボトル2の一側面211aを壁等の平面部材に接触させてネブライザシステム1を設置することができ、設置エリアの省スペース化を図りつつ、ネブライザシステム1の設置姿勢の安定化を図ることが可能となる。
【0059】
また、ボトル2が有する浸漬管22の環状体223の下端部における外周面は、ボトル口部25の内周面と離隔して配置されているため、ヒータ装置3のドレン管35内を通過し、空隙部226を介してボトル2へと戻される水滴は、環状体223の内周面に沿って流下し、環状体223の下端からボトル2内の液体に向かって落下することになる。これにより、ネブライザアダプタ4から戻された水滴が、ボトル口部25の内周面周辺に付着することを効果的に防止することができる。ボトル口部25の内周面周辺に水滴が付着した場合、このような水滴は下方に落下(流下)しにくく、雑菌が繁殖するおそれがあるが、このような構成を採用することにより、ボトル口部25の内周面周辺で雑菌が繁殖することを効果的に防止することができる。
【0060】
また、浸漬管22の固定部222が有する保持部材224は、ボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材であり、環状体223の内周面と前記管本体221の外周面とを接続するように構成されている。このような構成によれば、水滴が流通する空隙部226の流通面積(空隙部226の水平断面における断面積)を狭めることなく、環状体223と管本体221との接続を強固なものとすることが可能となる。
【0061】
以上、本発明に係るネブライザシステム1の実施形態について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、ヒータ装置3内に設置されるドレン管35を直線状の形状に構成し、加熱部33により囲繞される導水管32と略平行となるように配置しているが、ヒータ装置3の筐体31の内周面を沿うような形状に形成してもよい。このような構成によれば、ドレン管35を加熱部33から離れた位置に配置できるため、ドレン管35内を通過してボトル2内へと導かれる液体が、加熱部33により加熱されることを効果的に抑制することが可能となる。また、加熱部33の熱が、ドレン管35を通過する液体に奪われることを効果的に防止することも可能となり、結果として、加熱部33が、導水管32内を通過する液体を効率よく加熱することが可能となる。
【0062】
また、ヒータ装置3が備える受液部34の構成としては、上述した構成に特に限定されず、例えば、図14に示すように、円板状の底部341の略中央部に貫通孔345を形成し、底部341の外周縁から立設する外側側壁342aを設けると共に、貫通孔345の周囲に内側側壁342bを設けるように受液部34を構成してもよい。なお、ドレン管35が接続される接続孔346は、内側側壁342bと外側側壁342aとにより挟まれる底部341の所定領域に形成される。このような構成を採用する場合、導水管32の他端部を貫通孔345に嵌入して受液部34を設置する。ここで、図14(a)は受液部34の平面図であり、図14(b)はこのF−F断面図である。また、図14(c)は、受液部34に導水管32及びドレン管35を接続すると共に、導水管32に流路管434を接続した状態を示す構成図である。なお、複数のドレン管35を接続する場合の受液部34の構成を図15に示す。図15においては、貫通孔345を挟むようにしてドレン管35を接続する接続孔346を受液部34の底部341に二つ形成している。なお、図15(a)は受液部34の平面図であり、図15(b)はこのG−G断面図である。また、図15(c)は、受液部34に導水管32及びドレン管35を接続すると共に、導水管32に流路管434を接続した状態を示す構成図である。
【0063】
また、ボトル2内部に配置される浸漬管22の上端部は、ボトル口部25を介してボトル本体21の内外を連通する空隙部226を設けた状態で、ボトル口部25の周壁25aの内側に配置されていればよく、例えば、図16に示すような構造として浸漬管22を構成することもできる。図16に示す浸漬管22は、管本体221と、保持部材224とにより構成されている。図16に示す保持部材224は、上記固定部222としての機能を有し、ボトル口部25における周壁25aの内周面と、管本体221の外周面とを接続するように形成されている。このような構成を採用する場合、保持部材224をボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材により構成することが好ましい。このような構成によれば、空隙部226を介してネブライザアダプタ4内からボトル2へと戻される水滴が管本体221の外表面に沿って流下するように、効果的に水滴を管本体221に導くことが可能になる。この結果、ボトル2へと戻される水滴がボトル口部25の内周面周辺に溜まることを効果的に防止することができる。
【0064】
また、上記実施形態におけるボトル2は、固定部222が有する環状体223が、ボトル口部25の上端部に嵌合するフランジ部225を備える構成を備えているが、例えば、フランジ部225を形成することを省略し、環状体223をボトル口部25の内側に押し込み、環状体223の外周面が、ボトル口部25の内周面に嵌合されるような構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合、環状体223の下端部における外周面がボトル口部25の内周面と離隔するように、例えば、テーパ部を設ける等して環状体223の下端部を縮径するように構成することが好ましい。環状体223の下端部を縮径するように構成することにより、ネブライザアダプタ4から戻された水滴が、ボトル口部25の内周面周辺に付着することを防止することができる。
【0065】
また、上記実施形態においては、環状体223の内周面と管本体221の外周面とを接続固定する保持部材224を、ボトル口部25の上下方向に沿って伸びるプレート状部材により構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、棒状部材により保持部材224を構成し、環状体223と管本体221とを接続するようにしてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態に係るネブライザシステム1は、ヒータ装置3を用いない状態でも使用することが可能である。ヒータ装置3を用いない場合、ネブライザアダプタ4のソケット部41をボトル口部25に接続する。なお、両者の接続により、流路管434は、浸漬管22に連通接続する。このような状態でのネブライザシステム1の使用方法について、図17を用いて説明する。図示しないガス供給源から供給された酸素ガスを、突出部材433に向けてノズル部材42が噴射すると、噴射されたガスの気流によって、貫通孔432付近が陰圧状態となり、ボトル2内に収容される滅菌水(液体)は、ディフューザー部23、浸漬管22、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出する。流出した滅菌水(液体)は、突出部材433に衝突する酸素ガスの作用により微細なエアロゾルとなる。エアロゾルは、酸素ガスと混合し、更に、空気吸引孔44から吸引された空気と混合して誘導部45を介して外部に誘導され、患者に供給される。
【0067】
ディフューザー部23、浸漬管22、流路管434及びパイプ体431を介して貫通孔432から流出した滅菌水(液体)のうち、エアロゾル化しなかった水滴は、ソケット部41の内部を落下し、ボトル口部25に形成される空隙部226を介してボトル2内へと戻ることになる。当該誘導部45の底部に溜まった水滴も、ソケット部41の内部を落下し、ボトル口部25に形成される空隙部226を介してボトル2内へと戻ることになる。
【符号の説明】
【0068】
1 ネブライザシステム
2 ボトル
21 ボトル本体
22 浸漬管
25 ボトル口部
226 空隙部
3 ヒータ装置
32 導水管
33 加熱部
34 受液部
35 ドレン管
4 ネブライザアダプタ
42 ノズル部材
421 噴射口
43 エアロゾル形成部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル口部に接続可能なヒータ装置と、前記ヒータ装置に接続可能なネブライザアダプタとを備えるネブライザシステムであって、
前記ボトルは、内部に貯留される液体に浸漬される浸漬管を備え、
前記浸漬管の上端部は、前記ボトル口部を介して前記ボトルの内外を連通する空隙部を設けた状態で、前記ボトル口部の周壁の内側に配置されており、
前記ネブライザアダプタは、ガスを噴射する噴射口を有するノズル部材と、前記噴射口に対応する位置に配置され前記噴射口から噴射されたガスの気流によって、前記浸漬管及び前記ヒータ装置を介して前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材とを備えており、
前記ヒータ装置は、一端部が前記浸漬管の上端部に接続すると共に他端部が前記エアロゾル形成部材に接続する導水管と、前記導水管を加熱する加熱部と、一方端が前記空隙部に対向配置され、他方端を介して前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管とを内部に備えているネブライザシステム。
【請求項2】
前記ヒータ装置は、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を貯留する受液部を備えており、前記ドレン管の他方端は、前記受液部に接続する請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項3】
前記受液部は、前記導水管の他端部側に設けられており、底部と、前記底部から立設する側壁部とを備えている請求項1又は2に記載のネブライザシステム。
【請求項4】
前記導水管の他端部は、前記受液部の底部に貫挿されており、
前記側壁部は、前記底部の外周縁から立設している請求項3に記載のネブライザシステム。
【請求項5】
前記ヒータ装置は、筐体と、前記筐体から突出し前記ネブライザアダプタが接続する筒状の接続部とを備えており、
前記ネブライザアダプタは、前記接続部の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材を備えている請求項2から4のいずれかに記載のネブライザアダプタ。
【請求項6】
前記導水管及び前記ドレン管は、直線状に形成されている請求項1から5のいずれかに記載のネブライザシステム。
【請求項7】
前記ヒータ装置の一側面と、前記ボトルの一側面とは、略面一となるように構成されている請求項1から6のいずれかに記載のネブライザシステム。
【請求項8】
上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするネブライザアダプタとの間に配設されるネブライザシステム用のヒータ装置であって、
前記ボトルが有する浸漬管の端部に一端部が接続すると共に他端部が前記ネブライザアダプタが有するパイプ状のエアロゾル形成部材に接続する導水管と、
前記導水管を加熱する加熱部と、
一方端が前記ボトル口部内を向くように配置され、他方端が前記ネブライザアダプタ内を向くように配置され、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管と、を内部に備えているヒータ装置。
【請求項1】
上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル口部に接続可能なヒータ装置と、前記ヒータ装置に接続可能なネブライザアダプタとを備えるネブライザシステムであって、
前記ボトルは、内部に貯留される液体に浸漬される浸漬管を備え、
前記浸漬管の上端部は、前記ボトル口部を介して前記ボトルの内外を連通する空隙部を設けた状態で、前記ボトル口部の周壁の内側に配置されており、
前記ネブライザアダプタは、ガスを噴射する噴射口を有するノズル部材と、前記噴射口に対応する位置に配置され前記噴射口から噴射されたガスの気流によって、前記浸漬管及び前記ヒータ装置を介して前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするエアロゾル形成部材とを備えており、
前記ヒータ装置は、一端部が前記浸漬管の上端部に接続すると共に他端部が前記エアロゾル形成部材に接続する導水管と、前記導水管を加熱する加熱部と、一方端が前記空隙部に対向配置され、他方端を介して前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管とを内部に備えているネブライザシステム。
【請求項2】
前記ヒータ装置は、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を貯留する受液部を備えており、前記ドレン管の他方端は、前記受液部に接続する請求項1に記載のネブライザシステム。
【請求項3】
前記受液部は、前記導水管の他端部側に設けられており、底部と、前記底部から立設する側壁部とを備えている請求項1又は2に記載のネブライザシステム。
【請求項4】
前記導水管の他端部は、前記受液部の底部に貫挿されており、
前記側壁部は、前記底部の外周縁から立設している請求項3に記載のネブライザシステム。
【請求項5】
前記ヒータ装置は、筐体と、前記筐体から突出し前記ネブライザアダプタが接続する筒状の接続部とを備えており、
前記ネブライザアダプタは、前記接続部の端面に密着可能な密着面を有するリング状部材を備えている請求項2から4のいずれかに記載のネブライザアダプタ。
【請求項6】
前記導水管及び前記ドレン管は、直線状に形成されている請求項1から5のいずれかに記載のネブライザシステム。
【請求項7】
前記ヒータ装置の一側面と、前記ボトルの一側面とは、略面一となるように構成されている請求項1から6のいずれかに記載のネブライザシステム。
【請求項8】
上部にボトル口部を有し液体が貯留されるボトルと、前記ボトル内の液体を吸引すると共に吸引した液体を微細なエアロゾルとするネブライザアダプタとの間に配設されるネブライザシステム用のヒータ装置であって、
前記ボトルが有する浸漬管の端部に一端部が接続すると共に他端部が前記ネブライザアダプタが有するパイプ状のエアロゾル形成部材に接続する導水管と、
前記導水管を加熱する加熱部と、
一方端が前記ボトル口部内を向くように配置され、他方端が前記ネブライザアダプタ内を向くように配置され、前記ネブライザアダプタにおいてエアロゾル化されなかった液体を前記ボトル内に還流するドレン管と、を内部に備えているヒータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−213454(P2012−213454A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79391(P2011−79391)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(510162148)小林メディカル株式会社 (6)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(510162148)小林メディカル株式会社 (6)
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