説明

ネブライザ

本発明は、流体(2)のアトマイザ(1)であって、流体を運搬して霧化するために用いられる圧力発生器(5)を有する、特に吸入器の形態をしたアトマイザに関する。ユーザへのガイダンスを向上させるため、アトマイザは、特に霧化ステップの際、少なくとも1つの音響信号及び/又は振動信号を生じさせるために用いられる信号装置(24)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載されたネブライザに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の出発点は、国際公開第91/14468号パンフレットに原理が示され、特に国際公開第97/12687号パンフレット(図6A及び図6B)並びに本願の図面の図1及び図2に示された吸入器の形態をしているベーリンガー・インゲルハイム・ケーゲー(Boehringer Ingelheim KG)により“Respimat”という名称で市販されているネブライザである。このネブライザは、霧化される流体のリザーバとして、流体の入った挿入可能な容器を有すると共に流体を運搬して霧化するための駆動ばねを備えた圧力発生器を有している。
【0003】
本願の開示内容を完全にするため、念のため、国際公開第91/14468号パンフレットと国際公開第97/12687号パンフレットの両方の開示内容全体を参照されたい。一般に、これら特許文献の開示内容は好ましくは、流体に加わるばね圧力が5ないし60MPa、好ましくは10ないし50MPa、1回の作動当たりの容積が10ないし50μl、好ましくは10ないし50μl、最も好ましくは1回の作動当たり約15μl、粒径が最高20μmまで、好ましくは3ないし10μmのネブライザに関する。さらに、これら特許文献の開示内容は好ましくは、長さが約9cmないし約15cm、幅が約2cmないし約5cmの円筒形の形をしていて、ノズルスプレー広がりが20°ないし160°、好ましくは80°ないし100°のネブライザに関する。これらの量は、特に好ましい値として本発明のネブライザにも適用される。
【0004】
ネブライザの下側ハウジング部分の形態をした作動部材を回すことにより、駆動ばねを緊張させ、そして流体を圧力発生器の圧力チャンバ内へ吸い上げることができる。ロック要素の手動による作動後、圧力チャンバ内の流体を駆動ばねにより加圧させ、霧化し、即ち、エーロゾルを生じさせるよう放出する。一方において、緊張プロセス中、他方において、次の霧化中、容器は、持ち上がり運動を行う。
【0005】
ネブライザは、ネブライザの作動をカウントするために、作動部材の回転を検出する機械式モニタ装置を有している。公知のネブライザは、もっぱら機械的に、即ち、推進ガスを用いず且つ電気を用いないで動作する。
【0006】
【特許文献1】国際公開第91/14468号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/12687号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ユーザに対する良好なガイダンスを行うネブライザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のネブライザによって達成される。有利な特徴は、従属形式の請求項に記載されている。
【0009】
本発明の基本的な思想は、ユーザへのガイダンスのために少なくとも1つの音響信号及び/又は振動信号を発生させる信号装置を提供することにある。これにより、特に吸入プロセス中であっても、ユーザにとって良好な情報が提供され、良好な取り扱い及び使用上の安全性の実現が可能になる。
【0010】
本発明において「振動信号」という用語は好ましくは、他の触知できる信号、例えば、ネブライザの一部の運動、作動部材等の運動又は解除を含むことを意味するものとして広い意味に理解されたい。
【0011】
詳細には、ネブライザは、マウスピースを有し、したがって、ユーザは、ネブライザを使用するためにマウスピースを自分の口にあてる。霧化及び吸入プロセス中、ネブライザ上に表示される光学的ディスプレイを、ユーザは見ることができない。しかしながら、音響信号及び/又は振動信号は、吸入プロセス中でもユーザが認識できる。
【0012】
振動信号の顕著な利点は、ユーザがマウスピースを保持しているとき、振動信号であればどれでも比較的弱いものであってよく、即ち、振幅が小さくても、依然としてユーザにより非常に容易に知覚されるということにある。
【0013】
マウスピースを介する振動信号の検出の代替例として又はこれに追加して、ネブライザは、振動信号をネブライザを掴んでいるユーザの手、特に指により知覚できるよう設計されたものであってもよい。例えばネブライザの一区分又は一部分のみ、例えば操作ボタンが振動し又は他の或る触知できる信号、例えば運動を発生させれば十分である場合がある。
【0014】
もう1つの利点は、振動信号が第三者に気付かれることなく、ユーザが振動信号を検出することができるので、用心深く配置できるということにある。
【0015】
変形実施形態によれば、霧化プロセス全体を通じ及び/又は霧化プロセスの終了時に信号を生じさせてユーザにそれに応じて知らせることができる。
【0016】
代替的に又は追加的に、霧化プロセスを開始して、所定の期間全体を通じ及び/又はこの期間の経過後信号を発生させてもよい。この信号は、理想的な又は必要な吸入期間又はユーザが吸入直後自分の息を保持すべき時間又はこの時間を対応していったん選択すると、この時間の終了、例えば霧化プロセスよりも1ないし15秒長い終了時をユーザに指示する。
【0017】
代替的に又は追加的に、信号を実際の吸入プロセス全体を通じると共に(或いは)実際の吸入プロセスの終了時に発生させてもよく、他方、信号は又、吸入の強度に依存してもよく、場合によっては、吸入が十分に強く又は十分には強くないことを指示してもよい。特に、ネブライザは、ネブライザのマウスピースの付近に設けられていて、ユーザが吸入を行うとユーザにより吸い込まれる空気の供給流れを検出しそれにより吸入を検出するセンサを有する。
【0018】
好ましくは、ネブライザは、1つ又は種々の信号によって、霧化プロセスの開始、持続時間及び/又は終了、次の吸入の(理想的な又は実際の)期間及び/又はユーザが吸入直後に自分の息を保持すべき所望の期間、好ましくは約5ないし15秒をユーザに指示する。
【0019】
特に好ましい別の特徴によれば、信号装置は、圧力発生器と同様、もっぱら機械的に、即ち電気、推進ガス等を用いないで動作する。
【0020】
本発明の別の利点、特徴、性質及び観点は、図面を参照して好ましい実施形態についての以下の説明を読むと明らかになろう。
【0021】
図において、同一の参照符号は、同一又は類似の部品について用いられ、対応の又は同等な性質及び利点は、たとえ説明を繰り返さないでも達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び図2は、流体2、特に、効果の高い医薬品組成物又は薬剤等を霧化する公知のネブライザ1を非緊張状態(図1)及び緊張状態(図2)で概略的に示している。ネブライザは、特に、携帯用吸入器として構成され、好ましくは、推進ガスが無くても動作する。
【0023】
流体2、好ましくは液体、特に医薬品組成物を霧化する場合、ユーザ(図示せず)により吸気され又は吸入できるエーロゾルが形成される。通常、吸入は、1日に少なくとも1回、特に1日に数回、好ましくは、設定された間隔で行われる。
【0024】
ネブライザ1は、流体2を収容した挿入可能な、好ましくは、交換可能な容器3を有し、この容器は、霧化される流体2のリザーバを形成している。好ましくは、容器3は、多数回の使用、特に所与の投与期間にわたり、例えば1箇月にわたり、或いは少なくとも50回分、好ましくは少なくとも100回分の投与又はスプレーに十分な量の流体2を収容している。
【0025】
容器3は、実質的に円筒形又はカートリッジの形状を有しており、ネブライザ1をいったん開けると、容器をネブライザ内に下から挿入でき、所望ならば交換することができる。この容器は、好ましくは剛性構造のものであり、流体2は特に、容器3内の袋4内に保持される。
【0026】
ネブライザ1は、特にあらかじめ設定され任意に調節可能な用量の流体2を、運搬して霧化する圧力発生器5を有している。圧力発生器5は、容器3のホルダ6と、手動で操作して解除できるロック要素8を備えた関連の駆動ばね7(一部しか示さず)と、逆止弁10を備えた運搬管9と、圧力チャンバ11と、マウスピース13の付近に設けられた放出ノズル12とを有している。
【0027】
駆動ばね7を軸方向に緊張させると、ホルダ6は、容器3及び運搬管9と共に図面において下方に移動し、流体2は、容器3から吸い出され、逆止弁10を通って圧力発生器5の圧力チャンバ11内に吸い込まれる。放出ノズル12が非常に狭い流れ断面を有し、特に毛管として構成されているので、逆止弁が設けられていなくてもこの時点で吸引力による空気の吸入又は取り込みを信頼性をもって阻止するような強力なスロットル作用が作られる。
【0028】
ロック要素8の作動後の弛緩中、圧力チャンバ11側の流体2は、駆動ばね7が運搬管9を上方に戻すことにより、即ち、ばね力により加圧され、放出ノズル12を通って追い出され、この放出ノズルのところで、ミクロン又はnm範囲、好ましくは、約5ミクロンの寸法の肺細胞に向けられる粒子の状態で霧化され、かかる粒子は、図1に示すようにエーロゾルの雲又はジェットを形成する。かくして、流体2の運搬及び霧化は、特に推進ガスが無く、しかも電気を用いないで、純粋に機械的に実施される。
【0029】
ユーザ(図示せず)は、エーロゾル14を吸入することができ、その間、少なくとも1つの供給開口部15を通って供給空気をマウスピース13内に吸い込むことができる。
【0030】
ネブライザ1は、上側ハウジング部分16及びこの上側ハウジング部分に対して回転可能な内側部分17を有し、特に手動操作可能なハウジング部分18が、好ましくは保持要素19によってこの内側部分に解除自在に固定され、具体的には、これに装着されている。容器3を挿入すると共に(或いは)交換するために、ハウジング部分18をネブライザ1から取り外すことができる。
【0031】
ハウジング部分18を手で回転させることにより、内側部分17を上側ハウジング部分16に対して回転させることができ、それにより駆動ばね7をホルダ6に作用する歯車(図示せず)によって軸方向に緊張させることができる。緊張中、容器3を容器3が緊張状態で図2に示すように端位置を取るまで軸方向下方に動かす。霧化プロセスの際、容器3を駆動ばね7によってその元の位置に戻す。このように、この容器は、緊張中及び霧化プロセス中、ストロークを行なう。
【0032】
ハウジング部分18は好ましくは、キャップ状の下側ハウジング部分を形成し、容器3の下方自由端部周りに又はこの上に嵌まっている。駆動ばね7を緊張させると、容器3は、その端部分と共にハウジング部分1815内へ(更に)動き又はその端フェースに向かって動き、他方、ハウジング部分18内に設けられた軸方向に作用するばねが、容器のベース21に当接し、容器が最初に穿刺要素19に接触すると、このばねは、穿刺要素22により容器3又はこれに設けられたベースシールを穿刺し、空気を取り込むことができる。
【0033】
ネブライザ1は、好ましくはハウジングの上側部分16に対する内側部分17の回転を検出することにより、ネブライザ1の作動をカウントするモニタ装置23を有している。モニタ23は、図示の実施形態では、純粋に機械的に動作する。
【0034】
次に、図3ないし図6を参照するが、図1及び図2のネブライザ1との本質的な相違のみを強調して本発明のネブライザ1の構造及び動作モードを詳細に説明する。したがって、図1及び図2に関する説明は、それに応じて適用する。
【0035】
図3は、ネブライザ1を用いる場合にユーザにガイダンスを行う少なくとも1つの音響信号及び/又は振動信号、或いは違ったやり方で触知できる。信号を発生させる信号装置24を備えた第1の実施形態の本発明のネブライザ1を或る特定の細部のみの非常に概略的な断面図で示している。
【0036】
信号装置24は好ましくは、もっぱら機械的に動作する。しかしながら、変形例として、信号装置24は、例えば電気的に又は空気圧の作用で動作してもよい。
【0037】
必要ならば、信号装置24を圧力発生器5、具体的にはその駆動ばね7で駆動することができる。しかしながら、信号装置24は好ましくは、圧力発生器5とは独立したエネルギー貯蔵手段又は駆動装置、特にばね押し手段25を有する。図示の実施形態では、ばね押し手段25は、螺旋ばねにより形成される。
【0038】
信号装置24、特にそのばね押し手段25を好ましくは、具体的にはハウジング部分18を回転させ、それ故内側部分17を回転させることにより、特に圧力発生器5の一部、例えばホルダ6により圧力発生器5と共に緊張させることができる。
【0039】
第1の実施形態では、信号装置24は好ましくは、内側部分17内又は内側部分17上に設けられ、この内側部分は、特にネブライザ1を緊張させるために回転可能である。しかしながら、信号装置24をネブライザ1の他の或る適当な部分に取り付け又はこの中に設けてもよい。
【0040】
信号装置24は、好ましくはプレートの形をした衝撃要素26及び衝撃要素26を作動させるタペット27等を有する。衝撃要素26を用いないで、タペット27を打つ際に音響信号及び/又は振動信号を発生させる任意の他の適当なコンポーネントを用いることも又可能である。
【0041】
ばね押し手段25は、衝撃要素26に向かってタペット27にあらかじめ応力を加える。図3は、信号装置24を緊張状態で示し、かくして、タペット27は、衝撃要素26から間隔をおいて位置している。
【0042】
ばね押し手段25の力に対抗するタペット27の緊張は好ましくは、図示の実施形態では、圧力発生器5の緊張と一緒に行われる。具体的に説明すると、圧力発生器5の軸方向可動部分、具体的には、これに連結されたホルダ又は一部に取り付けられた緊張カム28が、図3に示すようにタペット27に係合する。かくして、圧力発生器5及び信号装置24は、好ましくは同一方向に引っ張られる。
【0043】
緊張状態では、タペット27を好ましくはピンの形態をしたロック部材29により位置決定できる。ロック部材29は、好ましくはばね押しであり、緊張位置に達すると、このロック部材は、図3に示すようにそのロック位置を自動的に取る。
【0044】
信号装置24を特に霧化プロセスの開始時及び/又は終了時に、圧力発生器5により起動させ又はオンに切り換えるのがよい。
【0045】
図示の実施形態では、信号装置24を霧化プロセスの終了時にのみ起動させ又はオンに切り換えるのがよい。具体的に説明すると、これは、圧力発生器5によりその非緊張状態に達する直前又は達した際に行われる。具体的に説明すると、解除カム30が、ロック部材29に出会ってこれを解除位置に押したときに信号装置24をロック解除し、したがって、タペット27をばね押し手段25の力により衝撃要素26の方へ動かし、具体的には加速させてタペットが衝撃要素26を打って所望の信号を生じさせるようにする。図4に示すネブライザ1の細部の概略的断面図は、信号要素24をその弛緩状態、即ち、信号の発生中又は発生後の状態で示している。
【0046】
好ましくは、緊張カム28及び解除カム30は、図3に示すように共通のカムスライダ31上に設けられ又は形成されている。
【0047】
好ましくはカムスライダ31は、圧力発生器5を緊張させるために、霧化プロセス中、動くことができる。
【0048】
第1の実施形態では、信号装置24は、ユーザ(図示せず)に霧化プロセスが終了したことを指示するために霧化プロセスの終了時に信号を発生させる。具体的に説明すると、霧化プロセスの終了時に圧力発生器5により信号装置24を起動させ又はオンに切り換える。
【0049】
代替的に又は追加的に、信号装置24を、霧化プロセスの開始時に圧力発生器5により起動させ又はオンに切り換えてもよい。これは、ユーザに霧化プロセスが生じていることを指示する信号を霧化プロセス全体にわたって生じさせる場合に特に有利である。例えば、これは、信号プロセス24が例えばタペット27又はピストン(図示せず)により空気流を生じさせることにより実施でき、この空気流は、例えばホイッスル等(図示せず)により所望の信号を発生させる。
【0050】
かくして、信号装置24は、霧化プロセスの持続時間全体にわたり信号を追加的に又は代替的に信号を発生させることができる。
【0051】
ここでは図示していない変形実施形態によれば、好ましくは互いに異なる信号を発生させて例えば(到来する)霧化プロセスを指示したり霧化プロセスの終了を指示することができる。
【0052】
信号装置24が互いに異なる信号を発生させることができる場合、これらは好ましくは、これらの音色、持続時間、音量、ピッチ等が互いに異なる。ここでは図示していない変形実施形態によれば、信号装置24は、必要に応じて音響信号又は振動信号を発生させることができるよう構成されている。これは、ネブライザ1を汎用的に使用可能であるようにするのに寄与する。信号装置24は振動信号を発生させることができる場合、特に耳の聞こえない人によりネブライザ1を使用でき又はより容易に使用できる。好ましくは、信号の発生を所望ならばオフに切り換えることができると共に(或いは)ユーザが、信号装置24から音響信号を受け取るか、振動信号を受け取るか、或いは両方の形式の信号を受け取るかどうかを選択することができる。
【0053】
霧化プロセスは通常、約1ないし2秒間続く。しかしながら、吸入プロセスは、できるだけ多量の霧化流体2又は生じたエーロゾル14の雲を吸入することができるよう更に約1ないし2秒間続けられるべきである。さらに、ユーザは、息を吸い込んだ後又は吸入後、空気を約5ないし15秒間保持すべきである。この理由で、ここでは図示していない特に好ましい実施形態によれば、霧化プロセスの終了後或る程度の遅延後及び/又は霧化の終了後或る時間経った後だけ信号を出力することが計画される。したがって、好ましくは、具体的には霧化プロセスを開始して所定時間の間及び/又は所定時間後に信号を出してもよく、この時間は好ましくは、ユーザに例えば約3ないし4秒間という推奨された又は所要の吸入期間、或いは約5ないし15秒間というユーザの呼吸を保持する推奨期間をユーザに知らせるよう測定されている。
【0054】
上述の信号発生を、例えば、霧化プロセスの終了時にのみ、例えば、圧力発生器5によって信号装置24を起動することにより実施するのがよく、その後、信号を例えば1ないし15秒の期間又は1ないし15秒後にのみ発生させる。これは、例えば、信号を直接発生させるため又は衝撃要素26に向かうタペットの運動を減速させ又は減衰させるために空気流をタペット27により生じさせることにより達成できる。
【0055】
機械的遅延又は機械的タイマではなく、必要ならば、電子式タイマを用いて上述の遅延又は時間の長さを生じさせて推奨された又は所要の吸入プロセス又はその終了を指示してもよい。この場合、信号装置は好ましくは、電気的又は電子的に働く。
【0056】
別の変形実施形態によれば、信号装置24は又、圧力発生器5とは独立して又は例えばロック要素8の作動により同時に起動されるようになっていてもよい。
【0057】
図5は、別の信号装置24を備えた本発明のネブライザの第2の実施形態を概略断面図で示している。図6は、図5の細部の拡大図である。
【0058】
信号装置24は、少なくとも1つのラチェット要素32、図示の実施形態では、2つのラチェット要素32を有し、かかるラチェット要素は、音響信号を発生するようラッチ33により霧化プロセス中に動くことができる。具体的に説明すると、ラチェット要素32に対するラッチ止め手段33の相対運動は、圧力発生器5又はその駆動ばね7により霧化プロセス中に行われる。
【0059】
好ましくは、ラッチ止め手段33は、ホルダ6又はこれに連結されたコンポーネント上に形成される。
【0060】
ラチェット要素32は好ましくは、フィンガのような形状をしており、特に、ネブライザ1の内側部分17に取り付けられ又はこの内側部分上に形成され、好ましくは、これに一体に形成されている。
【0061】
ラチェット要素32は、ラッチ止め手段33に好ましくは弾性的に、具体的には固有弾性的に押し付けられる。
【0062】
第2の実施形態では、信号装置24はラチェット要素32がラッチ止め手段33上を動く結果として、霧化プロセス中、音響信号及び/又は振動信号を出すことができる。
【0063】
ラッチ止め手段33をねじ山により形成し、ラッチ止め手段33を緊張プロセス中、ラチェット要素32に対して回転させると、信号の発生を回避できるようにするのがよい。変形例として、緊張プロセス中における信号の発生は又、他の手段又は他の或る構造的な解決策により阻止してもよい。
【0064】
上述した実施形態、特に、実施形態の個々の要素及び特徴を互いに組み合わせることができると共に(或いは)必要ならばこれらの動力学的動作を逆にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】非緊張状態にある公知のネブライザの概略断面図である。
【図2】図1に対して90°回転させた、緊張状態にある公知のネブライザの概略断面図である。
【図3】信号装置が緊張状態にある第1の実施形態の本発明のネブライザの細部の概略断面図である。
【図4】信号装置が非緊張状態にある図3の細部の拡大図である。
【図5】信号装置が緊張状態にある第2の実施形態の本発明のネブライザの細部の概略断面図である。
【図6】図5の細部の拡大図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ネブライザ
2 流体
3 容器
4 袋
5 圧力発生器
6 ホルダ
7 駆動ばね
8 ロック要素
9 運搬管
10 逆止弁
11 圧力チャンバ
12 放出ノズル
13 マウスピース
14 エーロゾル
15 空気供給開口部
16 上側ハウジング部分
17 内側部分
18 ハウジング部分(下側部分)
19 保持要素
20 ばね(下側ハウジング部分のばね)
21 容器ベース
22 穿刺要素
23 モニタ装置
24 信号装置
25 ばね押し手段
26 衝撃要素
27 タペット
28 緊張カム
29 ロック部材
30 解除カム
31 カムスライダ
32 ラチェット要素
33 ラッチ止め手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体(2)を運搬するとおよび/または霧化する圧力発生器(5)を有する流体(2)のネブライザ(1)において、
前記ネブライザ(1)は、ユーザへのガイダンスのために少なくとも1つの音響信号及び/又は振動信号を発生させる信号装置(24)を有する、
ことを特徴とするネブライザ。
【請求項2】
前記信号装置(24)は、複数の互いに異なる信号を発生させることができるよう構成されている、
請求項1に記載のネブライザ。
【請求項3】
前記信号装置(24)は、前記音響信号及び/又は前記振動信号を所望に応じて発生させることができると共に(或いは)前記信号の発生を抑制し又はオフに切り換えることができるよう構成されている、
請求項1又は2に記載のネブライザ。
【請求項4】
1つ又は複数の前記信号を、特に霧化プロセスの開始時に、霧化プロセスの期間全体を通じ、霧化プロセスの終了時に、好ましくはあらかじめ設定された期間中及び/又は該期間の後に発生させることができる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項5】
前記信号装置(24)を特に霧化プロセスの開始時及び/又は終了時に前記圧力発生器(5)によって起動し又はオンに切り換えることができる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項6】
1つ又は複数の信号を実際の吸入プロセス全体を通じ且つ(或いは)吸入プロセスの終了時に生じさせることができる、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項7】
前記信号装置(24)は、好ましくは、もっぱら機械的に動作する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項8】
前記信号装置(24)を前記圧力発生器(5)、特にその駆動ばね(7)によって駆動できる、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項9】
前記信号装置(24)は、前記圧力発生器(5)とは独立したエネルギー貯蔵手段又は駆動装置、特にばね押し手段(25)を有する、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項10】
前記ばね押し手段(25)を好ましくは、特に前記流体(2)入りの容器(3)のための前記圧力発生器(5)の一部、例えばホルダ(6)によって前記圧力発生器(5)と一緒に手動で緊張させることができる、
請求項9に記載のネブライザ。
【請求項11】
前記信号装置(24)は、前記信号を発生させるために特にタペット(27)によって作動させ、好ましくは打つことができる好ましくはプレート状の衝撃要素(26)を有する、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項12】
前記タペット(27)は、前記信号を発生させるために前記ばね押し手段(25)によって前記衝撃要素(26)の方へ移動できる、
請求項9又は11に記載のネブライザ。
【請求項13】
前記タペット(27)を、特に、緊張プロセス中、前記タペット(27)に作用し、前記ばね押し手段(25)を緊張させる緊張カム(28)によって前記ばね押し手段(25)の力に抗して前記圧力発生器(5)と一緒に緊張させることができる、
請求項10又は12に記載のネブライザ。
【請求項14】
前記タペット(27)を緊張状態にロックできる、
請求項11ないし13のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項15】
前記タペット(27)を特に霧化プロセスの終了時に、好ましくは解除カム(30)を用いて前記圧力発生器(5)により解除できる、
請求項14に記載のネブライザ。
【請求項16】
前記緊張カム(28)及び前記解除カム(30)は、共通のカムスライダ(31)上に形成されている、
請求項13又は15に記載のネブライザ。
【請求項17】
前記カムスライダ(31)は、前記圧力発生器(5)を緊張させる霧化プロセス中、動くことができる、
請求項16に記載のネブライザ。
【請求項18】
前記信号装置(24)は、霧化プロセス中、特に前記圧力発生器(5)によりラッチ止め手段(33)上を動くことができ、それにより前記信号を生じさせるラチェット要素(32)を有する、
請求項1ないし17のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項19】
前記ラッチ止め手段(33)は、前記流体(2)入りの容器(3)のための前記圧力発生器(5)のホルダ(6)上に形成されている、
請求項18に記載のネブライザ。
【請求項20】
前記ラチェット要素(32)は、フィンガ状構造のものである、
請求項18又は19に記載のネブライザ。
【請求項21】
前記ラチェット要素(32)は、前記ネブライザ(1)の内側部分(17)上に形成され、好ましくはこれと一体に形成されている、
請求項18ないし20のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項22】
前記ラチェット要素(32)は、前記ラッチ止め手段(33)に向かって弾性的に、好ましくは固有弾性的に付勢されている、
請求項18ないし21のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項23】
前記圧力発生器(5)は、機械的にのみ動作し、特にばね力に抗して緊張させるよう手動操作可能である、
請求項1ないし22のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項24】
前記圧力の発生又は霧化は、特に推進ガスを用いないで、好ましくはばね力により純粋に機械的に行われる、
請求項1ないし23のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項25】
前記ネブライザ(1)は、前記流体(2)を収容し、前記圧力の発生又は霧化中、一ストロークだけ動くことができる容器を有する、
請求項1ないし24のいずれか1項に記載のネブライザ。
【請求項26】
前記ネブライザ(1)は、特に医学的エーロゾル治療用の吸入器として構成されている、
請求項1ないし25のいずれか1項に記載のネブライザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−522901(P2007−522901A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500155(P2007−500155)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001944
【国際公開番号】WO2005/079895
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)