説明

ノズル形成用マスクおよびノズル形成方法

【目的】 所定の開口形状,所定の傾斜を持つテーパ(インクの出口に向けて先細りとなっているテーパ)付きノズルを容易に形成する。
【構成】 ノズル部材に一つ以上のテーパ付きノズルを形成するのに使用するマスクであって、(1)透明なマスク基板32、および(2)前記基板32上に形成された、プリントヘッドのノズル部材に形成しようとするノズルに対応する少くとも一つの開口35を規定している不透明層であり、前記少くとも一つの開口35の各々には密度が該少くとも一つの開口の各々の中心から該少くとも一つの開口の各々の周辺まで増加している不透明な部分が形成されている不透明層(36の集まり)、から構成されてなることを特徴とするノズル形成用マスク30。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般にインクジェットプリンタに関し、更に詳細には、インクジェットプリンタ用のノズル部材にテーパ付きノズルを形成するために使用するマスク、およびテーパ付きノズルの形成方法に関する。
【0002】
【技術背景】熱インクジェットプリンタは、小容積のインクを急速に加熱してインクを気化させ、それによりインクの小滴をオリフィスを通して放出し、紙のシートのような記録媒体に打ち当てることにより動作する。多数のオリフィスをパターンを成して配置する時には、プリントヘッドが紙に対して相対的に移動するにつれて、各オリフィスから適正な順序で放出されるインクが紙の上に文字または他の像を印刷する。
【0003】これらのプリンタでは、印刷品位はプリントヘッドのオリフィス、またはノズルの物理的特性に依存する。たとえば、ノズルの幾何学的形態(形状や寸法)は、放出されるインクの大きさ、形状、軌道、および速さに影響する。
【0004】図7は望ましい形式の熱インクジェットプリントヘッド8の断面図である。プリントヘッド8はテーパ付きノズル12を備えたノズル部材10を備えている。ノズル部材10の裏面に固定されているのは障壁層14であり、これは液体インクを蒸発室16に導く。蒸発室16の中の液体インクは半導体基板20の表面に形成された薄膜抵抗体18が付勢されることにより気化され、これによりインク小滴22がノズル12から放出される。
【0005】好適には、ノズル部材10はポリマー材料から形成され、ノズル12はレーザ加工技術(アブレーション)を用いてノズル部材10に形成される。ノズル部材10をフォトレジスト材料で形成することもでき、この場合ノズル12はフォトリソグラフィック技術または他の技術を使用して形成される。
【0006】テーパ付きノズルには直線穴ノズルに比較して多くの長所がある。テーパ付きノズルは放出インク滴の速度を増大させる。また、ノズル部材10の開口底部が広くなっているのでノズル部材10と薄膜抵抗体18との間の位置合せ公差を印刷品位に影響を及ぼさずに大きくすることができる。その他、一層細かいインク滴が放出され、一層精密な印刷が可能になる等、種々の長所が存在する。
【0007】ノズル12をレーザを使用して形成することにすれば、テーパ付きノズルを、オリフィス形成プロセス中マスクされるレーザビームに対するノズル部材10の角度を変えることにより形成することができる。他の技術はノズル12の単一アレイを形成するのに二つ以上のマスクを使用することであり、この場合各マスクは異なるノズル直径に対応するパターンを備えていることになろう。更に他の技術はオリフィス形成プロセス中レーザビームのピントをはずすことである。Canonによるヨーロッパ特許出願367541はこのようなピントはずし法およびレーザを使用してテーパ付きノズルを形成する他の方法を述べている。シーツ(Sheets)に与えられた米国特許4,840,881号は光学要素をレーザとノズル板との間で回転し且つ傾けることによりレーザでテーパ付きノズルを形成する更に他の方法を述べている。これら種々な方法は時間が多くかかり、複雑で、誤差を生じやすいと考えられる。
【0008】図8はノズル部材のノズルを形成しようとする場所に対応する開口26を備えている伝統的なマスク部分24を示す。マスクの不透明な部分28を陰線で示してある。これら伝統的なマスクはこれまで、目標基板におけるレーザ放射線の流束量(mJ/cm)を制御することにより真直ぐで単一角度のテーパ付きノズルを形成するのに、種々のレーザ露光技法と関連して、使用されてきた。
【0009】スギタニ(Sugitani)等に与えられた米国特許第4,558,333号はフォトレジストにテーパ付きノズルを形成するのに単一マスクを使用するフォトリソグラフィック・プロセスを述べている。テーパ形成はノズルを形成しようとする場所に対応するフォトレジスト層を通して円錐台形状の影を生ずるマスクの不透明部分によっている。フォトレジスト層を現像(ディベロッピング)しエッチングした後に得られるノズルは円錐台形状となる。使用するマスクは図8のものと同様であるが、不透明部分28と透明な部分26とは逆になっている。
【0010】従来の単一マスクを使用してフォトレジストノズル部材にテーパ付きノズルを形成するこの比較的簡単な方法はレーザ加工技術を利用してポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するのに使用することができない。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような問題を解決するために提案されたものであって、レーザ加工技術を利用してポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するための非常に確実な方法および装置を提供することを目的とする。
【0012】
【発明の概要】KaptonTMのようなポリマー材料に、レーザ加工技術によりテーパ付きノズルを形成するための新規な方法およびレーザ加工技術について説明する。単一のマスクが、どんなレーザ放射源に対してもポリマーノズル部材の角度を変えることなく、またはテーパ付きノズルを形成するのに別のマスクを必要とすることなく、または像を移動させることなく、テーパ付きノズルを形成する。
【0013】マスクの一実施例では、形成しようとするノズルパターンに対応するマスクの透明な部分は、各々可変密度のドットパターンを組み込んでいるが、不透明ドット(どんな形状でもよい)は下層のポリマーノズル部材をレーザエネルギから部分的に遮蔽する働きをする。ドットパターンの下にあるノズル部分のこの部分的遮蔽によりノズル部材は遮蔽が存在しない場合より除去される深さが少くなる。
【0014】マスク開口の周辺部分の周りの不透明ドットの密度を適切に選定することにより、ポリマーノズル部材に形成される各ノズルの中心部分は完全に削り取られ、ノズルの周辺部分は部分的にしか削り取られないことになる。ドットの密度を各マスク開口の周辺に向って増大させることにより、得られるノズルを所要形状に形成することができる。
【0015】本発明によるマスクの第2の実施例はマスク開口の各々の周辺部分に不透明材料の可変密度の同心リングを組み込んでいる。この不透明リングの幅は異なっていてよいし、同じでもよい。リングにより行われるレーザエネルギの遮蔽の変化の程度によりテーパ付きノズルの形成が行われる。
【0016】
【実施例】他のマスクパターンについても説明する。
【0017】図1(a)はレーザ加工技術を用いてポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するのに使用することができるマスク30の一部の上面図である。図1(b)は図1(a)のA−A線矢視方向断面図である。
【0018】好適実施例では、マスク30は不透明材料34の薄層がレーザ光を遮蔽しまたは反射したい場所上に形成されている透明な水晶の基板32から構成されている。不透明材料はクロムの層、紫外線増強被膜、または他の適切な反射性の、またはそうでなければ不透明の被膜でよい。図1aのマスクに使用するのに好適なレーザの形式はエキシマ(excimer)レーザである。
【0019】不透明材料34の円形開口35は、ノズル部材に形成しようとする一つのノズルを形成する。
【0020】不透明なドット36はマスク30の円形開口35の内部に分配されている。これらドット36の分配により下層のノズル部材をレーザ光から程度を可変して効果的に覆い隠す。マスク30の放射源およびノズル部材に対する配列を図2に示してあり、これについては後に説明することにする。
【0021】各ドット36の面積は同じであって良いし、または異なっていてもよい。ドット36の面積は下側のノズル部材上で個々に解像(分解)されないよう充分小さくすべきである。ドット36は、円、正方形、または細線のようなどんな形状にすることもでき、マスクを形成するのに使用される従来からのフォトリソグラフィック技術により形成することができる。望ましいマスクパターンは特定の動作波長でのシステムの光学的分解能によって決まる。たとえば、2480オングストロームの波長、および2.0ミクロンの投射レンズ分解能を有するレーザ光を発するエキシマレーザシステムでは、ドット36は好適に各々、目標基板上に個々に解像されないように約2.5ミクロンの最大断面(すなわち、幅、直径など)を備えている。
【0022】更に高い密度のドット36がマスク30の円形開口35の周辺の周りに示されており、ノズルの周辺の周りを一層覆い隠してノズルのテーパ形成を達成する。ドット36の配列はノズル部材内のノズルの形状に直接影響する。
【0023】図2は、放射線42のビームをマスク44に導く、ビーム形成光学装置を有するエキシマレーザのような、光学系40を示している。マスク44の各開口35は図1(a)の開口35に対応し、ドット36は図1R>1(a)に示すように分配されている。不透明部分によって遮蔽または反射されないレーザ放射線42はマスク44を通過してレンズ系45により伝えられ、ポリマーノズル部材46に照射される。好適実施例では、ポリマーノズル部材46はKaptonTM、UpilexTM、または他の同等材料のような材料から構成されており、その厚さは約2ミルである。
【0024】好適実施例では、ノズル部材46に使用される材料はリールにより供給され、このノズル部材材料はリールから巻きほぐされ、マスク44およびレンズ系45から構成される像配送システムの下に設置される。光学システム40の中のレーザはこうしてから所定の時間だけ反復してパルスを発生してノズル部材46を削り取る。レーザが付勢されている時間の長さ、および図1(a)のマスクの上のドット36の分配は得られるノズル48の形状や寸法を決定する。
【0025】この加工ステップの後、ノズル部材材料を次の位置まで歩進させ、ノズル部材材料の新しい部分をレーザ加工を行うために像配送システムの下で巻きほぐす。
【0026】図3(a)および図3(b)はノズル部材46の一部を示すもので、図1(a)マスクを使用して形成される単一ノズル48を示す。上述の一般原理を使用してノズル形状の多数のバリエーションを形成ことができる。図1(a)のドット36の特定の分布はポリマーノズル部材46に可変傾斜のテーパ付きノズル48を形成するのに選択している。図3(b)は、図3(a)の線A−Aを横断するノズル48の断面を示す。
【0027】ドット36の分布は図7に示すノズルの二傾斜テーパを形成するのにも使用することができ、または単一の真直ぐな傾斜のテーパを形成するのに使用することができる。
【0028】好適実施例では、光学系40の放射源としてエキシマレーザを使用している。レーザビームはほぼノズル部材46の表面上にまたは表面のわずか下に焦点を結び、125Hzの割合で約300〜400回パルスを発生するか、またはレーザのエネルギおよびノズル部材の厚さによりどちらかが適当であると考えられている。好適なレーザエネルギレベルはレーザエネルギの各パルスについて約230mJである。
【0029】一実施例では、ノズル部材46にインチあたり300個のノズルが形成されており、各ノズルのインク出口直径は52ミクロンで、インク入口直径は90ミクロンである。
【0030】図1(a)のマスク30はフォトレジスト材料で形成されているノズル部材にフォトリソグラフィック技術を用いてテーパ付きノズルを形成するのにも使用することができる。このフォトリソグラフィック技術では、図2のノズル部材46は、基板上に形成されたVacrlTMまたは他のフォトレジスト材料の層である。光学系40はビーム形成光学装置を有する紫外放射源である。図2のマスク44は、図1aに示すマスク30と同様であるが、紫外放射線42を発生する光学系40とフォトレジストとの間に設置される。次に、フォトレジストの露光部分を既存の現像およびエッチングのステップで除去する。フォトレジストに打ち当る放射線42の大きさが露光の深さおよびフォトレジストのエッチングの深さを決める。したがって、ドット36によるフォトレジストの部分的な遮蔽により、図3(a)および図3(b)に示すようなテーパ付きノズルを形成するようにフォトレジストをエッチングすることができる。
【0031】上の説明はポジティブフォトレジストを使用する場合に適用される。ネガティブフォトレジストを使用すれば、フォトレジストの露光部分が現像液に不溶であるが、マスク44の不透明部分と透明部分とが逆になる。
【0032】したがって、図3(a)および図3(b)はマスク44によるレーザ加工後のポリマーノズル部材46、またはマスク44を使用して露光した後、現像およびエッチングした後のフォトレジストノズル部材46のいずれかを示す。
【0033】レーザ加工プロセスは、フォトレジストプロセスが大きな面積にわたり、または長期間にわたり安定で一様なパターンを発生しないので、フォトリソグラフィック/フォトレジストプロセスと比較して望ましい。上述のレーザ加工プロセスは、そのしきい現象およびプレ−ポリマー材料の使用により、単位面積あたりの入射エネルギ(流束量)に応じて非常に予測可能なパターンを発生する。
【0034】図4(a)および図4(b)は本発明に使用されている概念を取入れているマスク56の第2の実施例を示すもので、マスク開口58は同心不透明リング60を備えている。図4(b)は図4(a)のマスクの線A−Aに沿う断面である。この実施例では、各不透明リング60は同じ幅を持っているが、同心リング60の密度はマスク開口58の周囲からの距離と共に減少している。好適に、同心リング60の各々の幅はノズル部材の表面で解像されないが、ノズル部材に打ち当る放射エネルギが可変的な遮蔽としてだけ有効に働くように充分小さくなるように選定されている。
【0035】テーパ付きノズルを形成する際のリング60の遮蔽作用は図1(a)のドット36のものと同じである。
【0036】得られるノズルは事実上、図3(a)および図3(b)に示すものと同じである。図1(a)および図1(b)のマスクの場合のように、図4(a)および図4(b)のマスクは、レーザ加工技術によりポリマーノズル部材に、または周知のフォトリソグラフィック技術を用いてフォトレジストノズル部材に、テーパ付きノズルを形成するのに使用することができる。
【0037】図5(a)および図5(b)はマスク64の第3の実施例を示すものであり、ここではマスク開口66は密度および幅の双方が変化する同心リング68を備えている。図5(b)は図5(a)のマスクの線A−Aに沿う断面である。テーパ付きノズルを形成する際のリング68の作用は、図1(a)のドット36のものと同じである。
【0038】図6(a)および図6(b)はマスク70の更に他の実施例を示すものであり、これではマスク開口72はノズル部材に直接再生されないように細かいピッチのものであることが望ましいラフルエッジ(ひだ飾り付き縁)74を備えている。図6(b)はマスク70の線A−Aに沿う断面である。ラフルエッジ74の作用はノズル部材を放射源から部分的に遮蔽して図1(a)のドット36の作用と同様な仕方でテーパ付きノズルの形成を行う。
【0039】ラフルエッジ74はノズル部材の可変遮蔽が達成される限り実際上、どんな形状寸法をも備えることができる。
【0040】ノズル形状の広範な変化は、図1(a),図4(a),図5(a)および図6(a)に示されているパターンを使用することで形成される。
【0041】したがって、改良されたマスクパターンや、ポリアミドまたはフォトレジスト材料のようなポリマー材料からなるノズル部材にテーパ状のノズルを形成するための方法が、記述されてきた。
【0042】当業者には、本明細書を読んだ後には多数の他のマスクパターンが明らかになるであろう。この開示は、所要のノズルテーパ形成を達成するのに使用することができるマスクの可能な不透明パターンまたは不透明被膜材料を限定することを意図していない。他に、ネガティブフォトレジストから形成されたノズル部材を使用しようとする場合には、マスクパターンは本質的に、図1(a)、図4(a)、図5(a)、および図6(a)に示すマスクパターンの陰画であり、ノズル部材の未露光部分は現像液に可溶である。
【0043】本発明の特定の特定の実施例を図示し、説明してきたが、当業者には本発明のその最も広い特徴から逸脱することなく変更および修正を行うことができることが明らかであろう。したがって、特許請求の範囲はこれら変更および修正のすべてを本発明の真の精神および範囲の中に入るものとしてその範囲に包含するものとする。
【0044】以上説明したように本発明のノズル形成用マスクは、(1)ノズル部材に一つ以上のテーパ付きノズルを形成するのに使用するものであって、透明なマスク基板、および前記基板上に形成された、プリントヘッドのノズル部材に形成しようとするノズルに対応する少くとも一つの開口を規定している不透明層であり、前記少くとも一つの開口の各々には密度が該少くとも一つの開口の各々の中心から該少くとも一つの開口の各々の周辺まで増加している不透明な部分が形成されている不透明層、から構成されてなることを特徴とする。上記ノズル形成用マスクの好適な実施態様は以下の通りである。
【0045】(2)前記不透明な部分は各々がほぼ同じ面積を有する別個のソリッド領域から成り、該ソリッド領域の数はその密度が前記少くとも一つの開口の前記周辺に向って増大している請求項1に記載のノズル形成用マスク。
【0046】(3)前記不透明な部分は多様な面積を有する別個のソリッド領域から成り、該ソリッド領域の総面積はその密度が前記少くとも一つの開口の前記周辺に向って増大している(1)に記載のノズル形成用マスク。
【0047】(4)前記不透明な部分は、密度が前記少くとも一つの開口の前記周辺に向って増大している同心の不透明リングから構成されている(1)に記載のノズル形成用マスク。
【0048】(5)前記同心のリングの幅は多様である(4)に記載のノズル形成用マスク。
【0049】(6)前記少くとも一つの開口の周辺は波紋状パターンを有するように形成され、前記不透明部分は前記少くとも一つの開口の中心に向って広がっている(1)〜(5)に記載のノズル形成用マスク。
【0050】(7)前記不透明な部分の各々の断面は前記マスクと関連して使用するレンズ系の光学的分解能とほぼ同等以下で、目標基板上で前記不透明部分を個々には分解しないようになっている(1)〜(6)に記載のノズル形成用マスク。
【0051】(8)前記不透明な部分の各々の断面(すなわち、幅、直径など)はほぼ3ミクロン未満である(1)に記載のノズル形成用マスク。
【0052】また、前述したように本発明のノズル形成方法は、(9)ノズル部材にテーパ付きノズルを形成するものであって、マスクを放射源と前記ノズル部材との間に設置するステップであって、前記マスクはノズルを前記ノズル部材に形成しようとする場所に対応するノズル形成部分を有し、該ノズル形成部分には密度が前記ノズル形成部分の各々の中心から前記ノズル形成部分の各々の周辺まで変化している不透明な部分を備えているものであるステップ、および前記放射源を付勢して放出放射線を前記マスクを通して前記ノズル部材に打ち当て、それにより前記ノズル形成部分内の前記不透明部分が前記ノズル部材にテーパ付きノズルを形成するステップ、から構成されなることを特徴とする。このノズル形成方法の好適実施態様は、以下の通りである。
【0053】(10)前記放射源はレーザであり、前記ノズル部材はポリマー材料で形成されている(9)に記載のノズル形成方法。
【0054】(11)前記放射源は紫外放射源であり、前記ノズル部材はフォトレジスト材料から形成されている(9)に記載のノズル形成方法。
【0055】(12)前記ノズル形成部分は前記マスク内の開口であり、前記不透明な部分の密度は前記開口の各々の中心から前記開口の各々の周辺まで増大している(9)〜(11)に記載のノズル形成方法。
【0056】(13)前記不透明な部分は各々がほぼ同じ面積を有する別個のソリッド領域から成り、該ソリッド領域の数はその密度が前記開口の各々の前記周辺に向って増大している(12)に記載のノズル形成方法。
【0057】(14)前記不透明な部分は多様な面積を有する別個のソリッド領域から成り、該ソリッド領域の総面積はその密度が前記開口の各々の前記周辺に向って増大している請求項(12)に記載のノズル形成方法。
【0058】(15)前記不透明な部分は密度が前記開口の各々の前記周辺に向って増大している同心の不透明リングから構成されている(12)に記載のノズル形成方法。
【0056】(16)前記同心リングの幅は多様である(15)に記載のノズル形成方法。
【0057】(17)前記開口の各々の周辺は波紋状パターンを有するように形成され、前記不透明な部分は前記開口の中心に向って広がっている(12)に記載のノズル形成方法。
【0058】(18)前記不透明な部分の各々の断面は前記マスクと関連して使用するレンズ系の光学的分解能とほぼ同等以下で、目標基板上で前記不透明部分を個々には分解しないようになっている(9)〜(14)に記載のノズル形成方法。
【0059】(19)前記不透明な部分の各々の断面はほぼ3ミクロン未満である(9)〜(14)に記載のノズル形成方法。
【0060】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、ノズル部材に、1つまたは複数のテーパ付きノズル(インク出口に向けて先細りとなったノズル空間を持つノズル)を容易に形成することができる。さらに、マスクパターンを使用して広範多様なノズル形状を形成することができ、例えば、開口の周辺の形状をも任意(例えば波紋状パターン)に形成しインク滴の射出状態を良好にできる等の効果を奏することができる。また、レーザ加工技術を用いることにより、ポリアミドのようなポリマー材料の、またはフォトレジスト材料のノズル部材にテーパ付きノズルを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)はレーザ加工技術を使用してポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するために、密度が変化した不透明ドットを取り入れた本発明によるマスクの一実施例を示す図である。
【図2】テーパ付きノズルを形成することを目的としてマスクされた放射線をノズル部材材料に露光するステムを示す図である。
【図3】(a)は図1(a),(b)、図4(a),(b)、図5(a),(b)、図6(a),(b)に示すマスクのいずれかを使用してノズル部材に形成されたテーパ付きノズルの斜視図であり、(b)はテーパ付きノズルの幾何学的形態を示す図3(a)のノズル部材のA−A線に沿う矢視方向断面図である。
【図4】(a),(b)はレーザ加工技術を利用してポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するための、各々が同じ幅を有する、同心の不透明リングを組み込んでいる本発明によるマスクの第2の実施例を示す図である。
【図5】(a),(b)はレーザ加工技術を利用してポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するための、異なる幅を有する、同心の不透明リングを組み込んでいる本発明によるマスクの第3の実施例を示す図である。
【図6】(a),(b)はレーザ加工技術を利用してポリマーノズル部材にテーパ付きノズルを形成するための、ラフル(ひだ飾り)形の周囲のあるマスク開口を取り入れている本発明によるマスクの第4の実施例を示す図である。
【図7】テーパ付きノズルを備えたノズル部材を組み込んでいる熱インクジェットプリンタ用プリントヘッドの断面図である。
【図8】ノズル部材にテーパ付きノズルを形成するのに従来使用されてきた伝統的マスクを示す図である。
【符号の説明】
8 プリントヘッド
10 ノズル部材
12,48 テーパ付きノズル
14 障壁層
16 蒸発室
18 抵抗体
20 半導体基板
24,30,44 マスク
26,35,66,72 マスク開口
28 不透明部分
32 透明水晶基板
34 不透明材料
36 ドット
40 光学系
42 放射線
45 レンズ系
46 ポリマーノズル部材
60 同心不透明リング
68 リング
74 ラフルエッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノズル部材に一つ以上のテーパ付きノズルを形成するのに使用するマスクであって、透明なマスク基板、および前記基板上に形成された、プリントヘッドのノズル部材に形成しようとするノズルに対応する少くとも一つの開口を規定している不透明層であり、前記少くとも一つの開口の各々には密度が該少くとも一つの開口の各々の中心から該少くとも一つの開口の各々の周辺まで増加している不透明な部分が形成されている不透明層、から構成されてなることを特徴とするノズル形成用マスク。
【請求項2】 ノズル部材にテーパ付きノズルを形成する方法であって、マスクを放射源と前記ノズル部材との間に設置するステップであって、前記マスクはノズルを前記ノズル部材に形成しようとする場所に対応するノズル形成部分を有し、該ノズル形成部分には密度が前記ノズル形成部分の各々の中心から前記ノズル形成部分の各々の周辺まで変化している不透明な部分を備えているものであるステップ、および前記放射源を付勢して放出放射線を前記マスクを通して前記ノズル部材に打ち当て、それにより前記ノズル形成部分内の前記不透明部分が前記ノズル部材にテーパ付きノズルを形成するステップ、から構成されなることを特徴とするノズル形成方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate