説明

ノックマシン

【課題】高度な技術を有するノッカーによる打撃を何時でも再現するように、ノックバットをスイングして打撃間隔も早く、正確な打撃も可能で、且つ、一般市場向けの生産コストで制作可能な、ノックマシンを提供する。
【解決手段】バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、バットを有する打撃部が、スプリングの弾性力に抗して電動機によりバックスイングである往動をし、スプリングの弾性力により打撃スイングである復動をするバットの往復型スイングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球(硬式、軟式)やソフトボール等で使用する守備のトレーニングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
野球(硬式、軟式)やソフトボールは、数あるスポーツ種目の中でも、トレーニングマシンの豊富なスポーツである。その特徴的なものとして打撃練習機(バッティングマシン)がある。これは名前の通り打撃トレーニングマシンである。このトレーニングマシンは、プロ野球の選手から高校生の野球選手、中には小中学生の選手レベルでも使用されている例もある。
【0003】
一方、近年の野球では、守備の必要性が認識され始めている。プロ野球等を見ても、近年では守備のよいチームが上位にいることが多い。このため、効率的な守備練習が求められる。野球の守備練習といえばノックが有名である。これは実際の試合状況に近いため、練習効率が高く、有効であるため、プロを始め、ほぼ全ての選手レベルで行われている。
【0004】
しかし、ノックの問題点として、ノッカーの存在がある。ノックによる練習効率はノッカーの技術に依存するため、効率の良い練習を行うためには、その所有する高い技術とノックし続ける体力とが望まれる。この条件を満たすノッカーの不足が問題となっている。
【0005】
このノッカーの不足問題を解消する方法として、トレーニングマシンによる練習方法が考えられる。守備のトレーニングマシンとしては、打撃練習機用の投球マシンを守備練習者の方向に向けて使用するタイプが市販されている。しかし、このトレーニングマシンでは、実際の打球の再現性という点では、実戦との差があるため、効率的な練習を行うことが困難である。これを解決するための守備トレーニングマシンに関した公知技術として下記の特許文献を挙げることが出来る。
【0006】
【特許文献1】特開2004―081494号公報
【特許文献2】特開2000−245887号公報
【特許文献3】特開平03−012184号公報
【特許文献4】特開昭61−063266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の特開2004―081494号公報では、コンプレッサによる圧縮空気を利用した打撃マシンではあるが、空気を圧縮する時間が必要であり、強力な打球を連続して打撃することは困難である。これを解消するために、空気の圧縮時間短縮の方法としてコンプレッサの大型化が考えられるが、高価なものとなってしまい、ランニングコストも高く付き一般市場向けには不向きである。また、ボールを上から供給するためには、少なくともスイングするバットより高い位置にボールを運ぶ必要があり、これでは、ボールを供給するマシンが人間ほどの高さになり小回りが効かず取り扱いが不便である。
【0008】
そして、特許文献2の特開2000−245887号公報によれば、ボールの射出方法がバットによる打撃ではないため、実際のノッカーの打撃を再現できておらず、効率的な守備練習が出来ない。また、施設や装置が大掛かりであるために高価なものとなってしまい一般的ではない。
【0009】
更に、特許文献3の特開平03−012184号公報によれば、バットスイングの動力源に電動機(モータ)を使用している。しかし、モータの特性上、瞬間的に大きな力を発生させることが困難である。一般的なモータを使用した打撃機構では、打撃力が不足であり、ノッカーの打撃の再現性が図れず不具合である。更に、特許文献1と同様に、ボールを上から供給するためには、少なくともスイングするバットより高い位置にボールを運ぶ必要があり、これでは、ボールを供給するマシンが人間ほどの高さになり小回りが効かず取り扱いが不便である。
【0010】
そして、特許文献4の特開昭61−063266号公報によれば、スプリングの弾性力により打撃力を得ている。バットのスイング用のスプリングが強力のために、電動機(モータ)から大きな減速機構を経て、スプリングを引いている。このため、打撃から打撃までの時間間隔が大きく開いてしまい、ノックマシンとして使用した場合、効率的な守備練習が出来なくて不便である。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものあり、その目的は、高度な技術を有するノッカーによる打撃を何時でも再現するように、ノックバットをスイングして打撃間隔も早く、正確な打撃も可能で、且つ、一般市場向けの生産コストで制作可能な、ノックマシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明では、バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記バットを有する打撃部が、スプリングの弾性力に抗して電動機によりバックスイングである往動をし、前記スプリングの弾性力により打撃スイングである復動をする前記バットの往復型スイングを行うことを特徴とするノックマシンである。
請求項1の本発明では、ノックバットが、ある任意の角度内を往復するように回動を行う。即ち、人間と同じようにバックスイングからスイングを行い打撃を行う。守備練習者にとっては、打撃音と同時に、素早い打球をはっきり見たりする動体視力の向上や、頭を動かさずに眼球運動だけでボールを追跡したり、広い範囲を素早く見たり、一瞬で正確な判断をして状況に対応したりする、所謂、ビジュアルトレーニングノックマシンとしての守備練習が可能である。また、バットが高速で回動するので、バットの回動範囲は危険領域となってしまう。本発明では、バットを360度回転させることなく、マシンの一端近傍で往復運動させることで、バットの回動範囲である危険領域を小さくすることが出来る。
【0013】
請求項2の発明では、バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記バットを有する打撃部が、スイング時間短縮機構とスイング停止用ブレーキとを具備し、前記バットのスイング角度が略180度内にて往復型スイングを行うことを特徴とする請求項1記載のノックマシンである。
即ち、請求項2の本発明では、バットスイングが往復回動する方法がとれたので従来の約半分の時間にて、打撃間隔が短縮できて効率の良いノックが出来て効率的な守備練習が出来て便利である。
【0014】
請求項3の発明では、バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記ボール収容投げ上げ部がサーボモータを具備し、任意の速度とタイミングでボールを下方から上方に押し出すことにより任意の打球を再現することを可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のノックマシンである。請求項3の本発明では、前記打撃部によりスイングされるバットの回動する軌道上に、前記ボール収容投げ上げ部がサーボモータを具備していることにより、ボールを任意の速度とタイミングで、任意の高さにて供給することが出来る。即ち、バットのスイングを一定として、投げ上げるボール側でタイミングを調整している。バットのスイングを制御するのに比べて、重量の軽いボールの投げ上げに必要とする動力が小さいために、高い精度での制御が可能である。更に、ボール投げ上げ機能に連動して動くボール供給機構によりノックマシンに近づくことなくボールのセットが可能であるため、危険性のあるバット回動領域外のみでの操作が可能となっている。
【0015】
請求項4の発明では、バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、台車8を構成する上部台枠板8c上の右方寄りに設けられていると共に前記打撃部1aを支持していて左右回転調整機構75と傾斜角度調整機構90とから成る打球再現システム4とを具備することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のノックマシンである。請求項4の本発明では、左右方向を前記打撃部1aを支持している打球再現システム4における前記左右回転調整機構75の回転で設定を行い、同様に上下方向を前記打撃部1aを支持している打球再現システム4における傾斜角度調整機構90の回転によりバットのスイングの角度の大まかな設定を行い、更に、細かい打ち分けをバットとボールの衝突位置の制御で行っている。この方法により、任意の方向へ、ゴロやライナー等を打ち分け、且つ、バットとボールの衝突点が基本的に変わらないために、どんな種類の打球であっても、強力な打球を確実に再現出来る。
【0016】
請求項5の発明では、バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、ボール投げ上げのタイミング、ボール投げ上げ高さ、ノックマシン本体の方向、角度等の制御管理、単発又は連続ノック等の選択や、打球の方向や角度などのパラメータの調整が可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のノックマシンである。請求項5の本発明により、過去の実験で得られたデータを基に、基本となるデータがマシンの組み立て時に制御部の記憶装置内にインプットされるために、このノックマシンの操縦者が野球未経験者であっても、練習者の希望する任意の打球を再現出来る。そのために、ノックマシンの向きや角度やバットに対するボール投げ上げのタイミングをボール側で高精度にタイミング制御して、打撃精度が向上した。更に、レベルの高い打球を望んだ場合にも、ノックマシンの制御部からパラメータの調整を行うことが可能である。
【0017】
請求項6の発明では、バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記打撃部と前記ボール収容投げ上げ部と前記制御部とをそれぞれブロック化して交換容易としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のノックマシンである。請求項6の本発明により、故障時のメンテナンスにおいて、故障部分を代用品と交換するだけで良く、長時間にわたる修理の必要がなくなる。更に、本発明のノックマシンを購入する時に、購入者が必要と考える機能に見合った低価格化や、機能追加による高性能化等が可能となる。これにより幅広い練習者が使用可能なノックマシンとなる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の本発明では、ノックバットが、ある任意の角度内を往復するように回動を行う。即ち、人間と同じようにバックスイングからスイングを行い打撃を行う。守備練習者にとっては、打撃音と同時に、素早い打球をはっきり見たりする動体視力の向上や、頭を動かさずに眼球運動だけでボールを追跡したり、広い範囲を素早く見たり、一瞬で正確な判断をして状況に対応したりする、所謂、ビジュアルトレーニングノックマシンとしての守備練習が可能である。また、バットが高速で回動するので、バットの回動範囲は危険領域となってしまう。本発明では、バットを360度回転させることなく、マシンの一端近傍で往復運動させることで、バットの回動範囲である危険領域を小さくすることが出来る。
【0019】
請求項2の本発明では、バットスイングが往復回動する方法がとれたので従来の約半分の時間にて、打撃間隔が短縮できて効率の良いノックが出来て効率的な守備練習が出来て便利である。
【0020】
請求項3の本発明では、前記打撃部によりスイングされるバットの回動する軌道上に、前記ボール収容投げ上げ部がサーボモータを具備していることにより、ボールを任意の速度とタイミングで、任意の高さにて供給することが出来る。即ち、バットのスイングを一定として、投げ挙げるボール側でタイミングを調整している。バットのスイングを制御するのに比べて、重量の軽いボールの投げ挙げに必要とする動力が小さいために、高い精度での制御が可能である。更に、ボール投げ上げ機能に連動して動くボール供給機構によりノックマシンに近づくことなくボールのセットが可能であるため、危険性のあるバット回動領域外のみでの操作が可能となっている。
【0021】
請求項4の本発明では、左右方向を前記打撃部1aを支持している打球再現システム4における前記左右回転調整機構75の回転で設定を行い、同様に上下方向を前記打撃部1aを支持している打球再現システム4における傾斜角度調整機構90の回転によりバットのスイングの角度の大まかな設定を行い、更に、細かい打ち分けをバットとボールの衝突位置の制御で行っている。この方法により、任意の方向へ、ゴロやライナー等を打ち分け、且つ、バットとボールの衝突点が基本的に変わらないために、どんな種類の打球であっても、強力な打球を確実に再現出来る。
【0022】
請求項5の本発明により、過去の実験で得られたデータを基に、基本となるデータがマシンの組み立て時に制御部の記憶装置内にインプットされるために、このノックマシンの操縦者が野球未経験者であっても、練習者の希望する任意の打球を再現出来る。そのために、ノックマシンの向きや角度やバットに対するボール投げ上げのタイミングをボール側で高精度にタイミング制御して、打撃精度が向上した。更に、レベルの高い打球を望んだ場合にも、ノックマシンの制御部からパラメータの調整を行うことが可能である。
【0023】
請求項6の発明により、前記打撃部と前記ボール収容投げ上げ部と前記制御部とをそれぞれブロック化して交換容易としたことにより、機能の追加、削除が容易であり、練習者が必要と考える機能のみを選択することが出来る。また、メンテナンス時や故障時にも、部分的な交換が可能であるため、長期の修理時間が不要となり、練習者がノックマシンを使用する時間を大幅に削られるようなこともなく、予備品を一式用意しておく必要もなく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係るノックマシン1の正面図である。図2は、本発明に係るノックマシン1の外観斜視図であり、一部破断で制御部5とコントローラ6を図示していない。図1,図2を参照して、このノックマシン1においては、下方に移動用車輪システム7を具備し、この移動用車輪システム7の上方に台枠下8aと台枠中8bと台枠板8cとを含む台車8が設けられており、そして、前記台枠下8aの上には制御部5が設けられている。この制御部5には、100Vの商用電源又はバッテリ等に接続可能な電源コード5a(図示せず)と、信号線6aにて接続されているコントローラ6が接続されている。制御部5は、シーケンサやマイクロコンピュータや専用の電子回路基板を使用可能である。更に、前記上台枠板8c上の右方寄りには、バット保持部51を形成するバット9を有する打撃部1aを支持していて、後述する左右回転調整機構75と傾斜角度調整機構90とから成る打球再現システム4とを具備している。そして、前記上台枠板8c上の左方端近傍には、ボール10を上方に投げ上げるためのボール投げ上げ部3が設けられている。そして、図1には、図4にて後述するが、動力部13の関係の構成が示してある。即ち、ACモータ41,ウオーム減速機42,大径スプロケット47,支持ブラケット47a、底板13aである。
【0026】
図3は、本発明に係るバット9を有する打撃部1aの外観斜視図を示す。打撃部1aのブロックは、主にスイング機構部11、スイング準備機構部12、電動機(モータ)41と減速機42を含む動力部13、防振部材14aを含む防振部14とから成る。
【0027】
図4は、本発明に係るバット9のバックスイングの往動作から打撃スイングの復動作、即ち、バット9の往復スイングをするための動力部13の外観斜視図である。底板13aの四隅に柱部材13bが固着されている。この左右横方向一対の柱部材13b,13bの間であって、しかも前後の一対にも共に、それぞれ上方寄り中間部で第1の梁13c,13cが同一高さにて前後対称的に横架されている。更に、前後一対の柱部材13b,13bの間においても、左右も共にそれぞれ、上方寄り中間部(先の第1の梁13c,13cと水平で同一高さの位置)に第2の梁13d、13dが横架されている。そして、この前後一対の柱部材13b,13bの間の上端部にて第3の梁13e,13eが横架されていて、動力部13の枠体が形成されている。
【0028】
そして、前記底板13aの中央部にブラケット47aがねじ47b、47bにて取り付けられている。このブラケット47aの上端部にはフランジ付きの無給油軸受け47cを介して、ボス下47dとボス上49とで中央部を上下から挟持され、且つ、ねじ47f,47fにてサンドイッチ状に一体的に固着された大径スプロケット47が回動自在に嵌め込まれ、支承されている。更に、底板13aの右方奥くには汎用のACモータ41が左方に突き出たモータシャフトに小径歯付きプーリ43を有して設けられている。そして、前記底板13aの左方端近傍に減速機42が設けられている。この減速機42は、右方に突き出た入力軸に大径歯付きプーリ44が取り付けられ、上面に突き出た出力軸には小径スプロケット46が設けられている。そして、前記モータシャフトの小径歯付きプーリ43と前記減速機42の大径歯付きプーリ44との間にタイミングベルト45が掛けられている。そして、前記減速機42の前記小径スプロケット46と、前記ブラケット47aの上端部の大径スプロケット47との間にチェーン48が掛けられている。
【0029】
次に、図5は、スイング準備機構12を示す。図6は回転機構部の主要部品の断面図を示す。図7は、回転機構部の主要部品の分解斜視図を示す。図8は、低速回転部の断面図を示す。図9は、高速回転部の断面図を示す。図8では、モータ41により、往動回転する。即ち、モータ41からの回転力が大径スプロケット47、ボス上49、ボス部36e、回転板(下)36、回転板(上)35、シャフト34a、34bと伝えられる。図9では、スプリング(ばね)16により回転する。即ち、スプリング(ばね)16の引張力により回転する力がリンク板19,19に伝わり、更に、二重リンク18,18、回転板17,17に、そして、ここで下方向においては、中心軸21,回転中心軸37、突起ブロック38に伝わり、上方向においては、接続部材33、バット保持部51を構成するボルト52aとパイプ材52b、プレート下52及びプレート上53とに挟まれたグリップエンドゴム54aとグリップゴム54bとを介してバット9の打撃スイングの回転力へと伝えられる。
【0030】
ところで、図4において、前記動力部13の枠体が形成されていることは前記した。即ち、この枠体の上方中間部において第1の梁13c,13cが横架してあり、これと同じ高さに第2の梁13d、13dが横架してある。ここで図5を参照して、前記第1の梁13c,13cの上面と前記第2の梁13d、13dの上面とで成す平面上に、片面に刻設してある溝カム26aを上面に向けて、溝カム板下26Aが載置され、ねじ(図示せず)にて第2の梁13d、13d上に取り付けられている。そして、前記動力部13の枠体の上端部の第3の梁13e,13eの上面に、前記溝カム板下26Aの前記溝カム26aと対称形状の溝カム26a′が片面に刻設してある溝カム板上26Bが、前記溝カム26aと前記溝カム26a′とが上下で対向するようにして、ねじ(図示せず)にて取り付けられている。
【0031】
図5,図6、図7、図8、図9を参照して、この溝カム26aと溝カム26a′の左方において、下端部を前記溝カム26aに嵌め込まれ、中間部を回転板(上)35の長孔35aと,回転板(下)36の長孔36aとを貫通して、上端部を溝カム26a′に嵌め込まれた第1のシャフト34aが設けられている。同様にこの溝カム26aと溝カム26a′の右方において、下端部を前記溝カム26aに嵌め込まれ、中間部を回転板(下)36の長孔36bと,回転板(上)35の長孔35bとを貫通して、上端部を溝カム26a′に嵌め込まれた第2のシャフト34bが設けられている。回転板(下)36と回転板(上)35との左右両端部にセンサブロック39、39がねじ(図示せず)にて固着されている。このセンサブロック39、39は、各々左右外面に向いて先端部が小円形を成す三角柱状の角の突起39aが設けられている。このセンサブロック39を検出するために、センサ40aと、後述する回転板(下)36と回転板(上)35との回転中心に対して90度の角度を離したセンサ40bとが、各々取り付けブラケットを介して溝カム板下26Aに取り付けてある。
【0032】
前記センサブロック39を検出するセンサ40aはスイング機構部11の原点出し(後述する図12(a)の基準)を司り,40bはバット9のバックスイング開始等の信号用である。これらのセンサ40a,40bにより、回転板(下)36と回転板(上)35との左右両端部に設けられたセンサブロック39、39の位置を検出することで、回転板(下)36と回転板(上)35との位置、ひいてはスイング準備機構部12の状態を把握し、制御部5によって、各種制御を行う。センサ40a,40bは、例えば近接スイッチ等でも良い。
【0033】
図5,図6、図7、図8、図9を参照して、本発明に係るバックスイングをする機構を説明する。前記大径スプロケット47に固着されたボス上49において、上方突出部の形状は、内部は円筒穴が設けられており、その外面は六角柱状部を形成している。そしてこの外面の六角柱状部は、後述する回転板(下)36のボス部36eの下方に延在する小径円筒部の内側の六角柱状穴と嵌合している。この嵌合により前記大径スプロケット47の回転力を回転板(下)36と回転板(上)35とに伝達する。ところで、前記ボス部36eの上端大径円筒部の外側の段付き部が、回転板(下)36の中心孔に嵌合して溶接にて固着されている。そして、このボス部36eの下方に延在する小径円筒部である前記内側の六角柱状穴の外側に相当する部分は、フランジ付き無給油軸受け26hを介して前記溝カム板下26Aの中心孔に回動自在に枢支され、大径円筒部と小径円筒部との繋がり段部の下端面は前記無給油軸受け26hのフランジ部を介して前記溝カム板下26Aの中心孔周囲に当接して下方向の重量を支持し、回動自在に支承している。更に、前記ボス部36eの上端大径円筒部の内側上端部は円筒穴を形成し、下方の六角柱状穴に繋がっている。そして、この内側上端部の円筒穴には、ベアリング36fが嵌合されていて、このベアリング36fの内輪に後述する回転中心軸37の下端部が嵌合されていて、この回転中心軸37の下端部が回動自在に支承されている。
【0034】
前記回転板(上)35の中心段付き孔には、ベアリング35fが嵌合されていて、回転中心軸37の上部を回動自在に支承している。そして、前記ベアリング35fの抜け止めは、例えば、回転中心軸37にリング37aを嵌めて押しねじ37b等で押さえて抜け止めを図ることが出来る。そして、前記回転中心軸37の下方端部は、回転板(下)36の中心部に設けられているベアリング36fで回動自在に支承されていることは前記した。そして、回転板(上)35と回転板(下)36との間に位置する前記回転中心軸37の中間部において、対向するように跨いだ両側表面を平行2平面に仕上げてあり、この平行2平面に突起ブロック38の他端の二股分岐部を差し込んで、その先端部にボルト38aを使用して、しっかり固着してある。そして、前記電動機41による回転力が前記大径スプロケット47経て伝えられ、更に、その回転力が、回転板35の長孔35a及び長孔35bと、回転板36の長孔36a及び長孔36bとを回転させる。そして、この長孔35aと長孔36aとにより前記第1のシャフト34aが、そして長孔35bと長孔36bとにより前記第2のシャフト34bが、それぞれその中央部を押され、且つ、下端部を溝カム26aに、上端部を溝カム26a′に案内されて移動する。そして、前記第1のシャフト34a、又は、前記第2のシャフト34bが、前記突起ブロック38の先端部と接触して、後述する電動機によるバット9のバックスイングの往動作(図8参照)と、ばね力による打撃スイングの復動作(図9参照)時の作用をする。
【0035】
図10は、スイング機構部11(一部破断)の外観斜視図を示す。図2、図3、図8、図9、図10を参照すると、スイング機構部11,とスイング準備機構部12(図5参照)とバット保持部51(図11参照)とから、半回転システム(バックスイングの往動作と、打撃スイングの復動作機構)2が形成されている。中心軸21はボス部を兼ねていて、上下水平方向に配された2枚の内の下方の中心板17の下側面にボルト21aにて固着されている。この中心軸21のボス部の外形部は溝カム板上26Bの中心部に嵌め込まれた軸受け26kの内輪に嵌め込まれていて、その内側の六角孔内には前記回転中心軸37の上端の六角軸部と嵌合して回転力を伝える構成となっている。前記上下水平方向に配された2枚の中心板17、17の周端部には重ねられた二重リンク18,18の一方端がフランジ付き無給油軸受けを介して、回動自在に段付きのピン22を貫通させて一端部をカシメて抜け止めを施してある。前記二重リンク18,18の他方端がフランジ付き無給油軸受けを介して、回動自在に2枚のリンク板19、19の一方端にピン22にてカシメられている。前記2枚のリンク板19、19の他方端は回動自在にフランジ付き無給油軸受けを挟んでピン24にてカシメてある。ここにスプリング16の一端が掛けられている。前記2枚のリンク板19、19の中間部は、フランジ付き無給油軸受けを介して軸23(溝カム板上26bに溶接)回動自在に枢支されている。このスプリング16の他端は、溝カム板上26Bに固着されたシャフト25に回動自在に枢支された調整アーム20の中間部に配置されたスプリング掛け用ピン24にフランジ付き無給油軸受け24aを介して掛けられている。
【0036】
前記調整アーム20を構成する調整板20a、20aの一端部は、ボス部25aの両端部に固着され、他端部には、例えば、長孔20bが各々設けられており、この長孔20bには略T字形の調整ねじ部材27のT字形の頭部が回動自在に嵌め込まれている。調整板20a、20aの中間部はフランジ付き無給油軸受け24aを貫通したスプリング掛け用ピン24が設けてある。前記シャフト25の上端部は、天板70の対応する孔に嵌入されている。そして、略T字形の調整ねじ部材27のねじ部27aにはナット28が螺合されている。更に、この略T字形の調整ねじ部材27のねじ部27aは、溝カム板上26bに溶接され、天板70に支時されたブロック29のガイド孔29aに摺動自在に嵌め込まれている。前記略T字形の調整ねじ部材27のねじ部27aのナット28を回して螺合位置を変えることにより前記調整アーム20の傾き位置を変えて、スプリング掛け用ピン24の位置を変えてスプリング16の張力の強さを変え、そして打撃力の強さを変えることが出来る。前記2枚のリンク板19、19の中間部はフランジ付き無給油軸受けを介してシャフト23に回動自在に嵌合されている。シャフト23、ピン24、ブロック29の下端部は溝カム板上26Bに溶接等にて固着されていて、シャフト23、ピン24、ブロック29の他端部は、天板70の対応する孔に嵌入されている。
尚、前記二重リンク18,18と前記2枚のリンク板19、19とシャフト23とスプリング16と調整アーム20とブロック29等は、中心軸21を中心に点対称に配置されている。
【0037】
図10,図15を参照して、前記中心板17,17を挟むように、一対のブレーキ部30が、ブレーキ取り付け板32により溝カム板上26Bにねじ止めされている。そしてスプリング32a,32aを介して、ブレーキ板31にねじ又は接着にて取り付けたブレーキシュー30aから成っている。この一対のブレーキ部30のブレーキシュー30aが、前記中心板17,17の半径の大きな周縁部に摺動して、中心板17,17の動きにブレーキを掛けて短時間の間に停止させるのに役立つ。
【0038】
図9は、大径スプロケット47、スイング準備機構部12,スイング機構部11の断面図を示す。図11(d)は、バット保持部51の斜視図を示す。図11(e)はバット保持部51の断面図を示す。図11(f)は、バット保持部51の平面図を示す。図9、図11(d)〜図11(f)を参照すると、接続部材33が、上下水平方向に配された2枚の内の上方の中心板17の上面にボルト33aにて固着されている。この接続部材33の上方に、パイプ材52b(ここでは4個)を介して、プレート下52がボルト52a(ここでは4本)にて固着されている。ややゴム硬度の硬いグリップエンドゴム54aと、ややゴム硬度の軟らかいグリップゴム54bとを、バット9をくるむ様に巻き付けてから、プレート上53を、複数(ここでは6本)のボルト53aにて取り付ける。この構造によりバット9の折損を防止できる。
【0039】
図10を参照すると、スイング機構部11では、接続部材33以外の部品全て、上下対称に設計、製造されており、上下の組み立て配置を選択することにより、右打席用マシン、又は、左打席用マシンの何れかに同一部品を使用して組み立て可能である。
【0040】
図12は、スイング機構部11をモデル化した図である。この図を参照してスイングする仕組みを説明する。図12(a)が、マシン待機状態である。スイング機構12から回転力を受け、中心軸21が反時計回りに回転すると、中心板17も反時計回りに回転する。これに引っ張られるように二重リンク板18がリンク板19を引っ張る。これにより、リンク板19がシャフト23を中心に回転するために、ピン24によって組み付いているスプリング16を引き伸ばす機構と成っている。図12(b)から図12(c)と順次各部分が連動してスプリング16を引き伸ばす。中心軸21が図12(b)から図12(d)の角度になると、中心軸21を回転させていたモータ41の回転力が抜けるように成っている。このため、今度はスプリングの力により、リンク板19が引っ張られ、これに連動して、二重リンク18,中心板17と回転力が伝わる。これにより中心板17は中心軸21を中心に、瞬間的に高速の回転運動を時計回りに行う。このスプリング16による回転力を利用して、瞬間的に強い打球を再現する。但し、ここまでのノックマシン1は、左打席用のノッカーによる打撃実現のものであるために、上記のような説明をしているが、ノックマシン1が右打席用のノッカーによる打撃であれば左右の動作が逆になる。
【0041】
図12(e)から 図12(f)への辺りでは、バット9がボール10を打撃した後の振り抜き動作時でありバット9を停止させるためのブレーキ部30が中心板17,17と当接している。図15は、中心板17とブレーキ部30の平面図を示す。図10も参照して、ブレーキ部30の配置は、バット9がボール10を打撃した後の振り抜き動作時に成るような位置としてあり、スプリング16の張力でバット9がボール10を打撃するまでは障害となるものは存在しない。打撃後バット9の慣性力のために図12(f)のように中心板17がスタートである基準位置図12(a)を超えて回転するが、中心板17がリンク板19を介してスプリング16に引っ張られているので、基準位置図12(a)に収斂する。前記ブレーキ部30は、この収斂動作を早期に実現するように作用する。
【0042】
図13は、溝カム板下26Aに刻設してある溝カム26aと、回転板上35,回転板(下)36と、第1,第2のシャフト34a,34bと、突起ブロック38との外観斜視図を示す。図14は、前記スイング準備機構部12をモデル化した図を示す。図15は、ブレーキ部30の平面図を示す。図5、図13,図14、図15を参照して、図14(a)が、スイング準備機構部12の待機状態である。図13、図14に示すように、溝カム26aは、半径の小さい第1の溝カム部26bと半径の大きい第2の溝カム部26cとがある。この2種類の溝カムを繋ぐように第3の溝カム部26dと第4の溝カム部26eとがある。この溝カム26aは、ここに嵌め込まれている第1のシャフト34aと第2のシャフト34bとを案内しながら中心回りに軌道半径を変えながら1回転できるようになっている。
【0043】
即ち、図14(a)をスタートして、この前記第1のシャフト34aは、伝達された動力部13のモータ41の回転力を受けて、回転半径の大きな溝カム26cから回転板上35の端部の長孔35aと、回転板下36の端部の長孔36aにて、半径の大きい第2の溝カム部26cから第3の溝カム部26dを経て半径の小さい第1の溝カム部26bに誘導される。同様に、第2のシャフト34bは、伝達された動力部13のモータ41の回転力を受けて、回転板上35端部の長孔35bと回転板下36の端部の長孔36bにて第2のシャフト34bを、回転半径の大きな溝カム26c上を反時計方向に回転させながら誘導される。図14(b)の角度位置で第1のシャフト34aが突起ブロック38と当接しながら押し始める。これにより回転中心軸37も連動して回転し始める。回転中心軸37はスイング機構部11の回転板17と連結しているため、スプリング16、16の引っ張り力に抗して反時計方向に回転させる。図14(c)の角度位置で、センサ40bが、センサブロック39の三角柱状の角の半円状の突起39aを検知して、後述するボール収容投げ上げ部3によるボールを投げ上げるタイミングをカウントし始める。図14(d)〜図14(e)の角度位置に進行すると、所定角度で第1のシャフト34aが第4の溝カム部26eによって、半径の小さい溝カム部26bから半径の大きい溝カム26cの方へ誘導されるため、突起ブロック38との接触が解消される。これにより、回転中心軸37は、今度はスプリング16の張力により、時計回りの回転運動を開始する。このバックスイングから打撃スイングに切り替わるタイミングは、溝カム26aとスプリング16の張力とモータ41の回転スピードとにより決まるので、スイングのタイミングのバラツキは打球に影響を与えるような大きなものとはならない。
【0044】
回転板上35と回転板下36は、バット9がボール10を打撃を行っても、回転し続け、図14(f)の角度位置で停止する。これにより原点出しセンサ40aにより管理される。図14(f)にあるように半径の大きい第2の溝カム26c側に第1のシャフト34aと、第2のシャフト34bがある時、突起ブロック38との干渉がないためにバット9のスイング時の慣性力による停止位置より角度オーバーしても衝突するような障害物がないために破壊等などの故障の心配がない。前述したように、中心板17は、両側からリンク板19を介してスプリング16に引っ張られて、常にスプリング16は最小長さに縮まろうとしており、且つ、前記ブレーキ部30の作用とにより、早期に基準位置図14(a)(又は、図12(a))に収斂し停止し、ノックマシン1は次の打撃のために待機状態となる。このように本ノックマシン1の一回の打撃時間はは、従来のような、バットを360度の1回転させる時間に比べて二分の一以上の打撃時間の短縮を可能とした。即ち、熟練したノッカーと同等な打撃時間間隔を実現できた。
【0045】
図16(a)は、ボール収容投げ上げ部3の正面外観斜視図(一部破断)を示す。図16(b)も、ボール収容投げ上げ部3の正面外観斜視図を示す。図16(a)は、ボール収容投げ上げ部3の外カバーを一部破断してある。タイミングベルト55を鉛直方向に設置する。下方のプーリ56は、ACサーボモータ66からカップリング(図示せず)を介して、連動する回転軸57によって回転する。上方のプーリ58は回動自在に支承されている。前記タイミングベルト55の一部分にリフト59を取り付けてある。リフト59には半球状のボール支持突起60が3個配置されている。リフト59の両端にはリニア軸受け61が取り付けてあり、このリニア軸受け61が上下方向にシャフト62に案内されて、リフト59を鉛直方向に上下動させる。ボール10の供給部63は、中心軸64の回りをシーソのように揺動可能である。
【0046】
図17は、ボール収容投げ上げ部3をモデル化した図を示す。図17(a)は、ノックマシン1の待機中、即ち、ボール収容投げ上げ部3も待機中である。前記スイング準備機構部12の打撃開始用センサー40bが、センサブロック39の半円状突起39aを検出してから、所定時間後にボール10の投げ上げ動作を開始する。リフト59が上昇する時、前記供給部63が中心軸64を中心に回転し始める。供給部63は所定角度を回転すると、ストッパー(図示せず)と当接して停止する。リフト59は前記タイミングベルト55によって、任意の速度と上昇量(移動距離)を動く。図17(d)の位置で、リフト59を急停止させることにより、ボール10aは慣性力によってバット10の打撃スイング軌道位置まで投げ上げられる。このリフト59の上昇する移動距離と速度によって、ボール10aの投げ上げられる高さを調節する。打撃を行った後、リフト59は下降を始める。この時、供給部63には、次のボール10bが乗って用意されている。図17(f)のように、リフト59が更に降下することにより前記供給部63の一端を押し下げ、他端がシーソ式に持ち上がり、前記次のボール10bをリフト59に供給する。更に、次の次のボール10cは、供給パイプ65にて待機している。
【0047】
本発明に係るノックマシン1では、前記供給部63が、機構的に連動しているため、確実にボール10の供給が可能である。また、ボール10同士の接触やボール10と供給パイプ65との接触中等において、何等かの原因による球詰まりの予防対策として、打撃時の振動を少し伝えてやる。この微震動により供給パイプ65中の球詰まりの予防が図れる。図16の供給パイプ65中のボール10は、2〜3個程度の収容量であるが、供給パイプ65部分は着脱式であり、より多くのボール10を収容可能な供給パイプ65と交換可能である。
【0048】
図18(a)は、本発明に係る第1の実施の形態の左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)75と、傾斜角度調整機構90の主要部の外観斜視図を示す。図18(b)は、左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)75のイメージ図を示す。左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)75と傾斜角度調整機構90とは、台車8(図1参照)上端部を形成する台枠中8bと支持板8eと中板8fと台枠上8cに支持されている。はじめに、図1、図18(a)、図18(b)を参照して、左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)75は、傾斜角度調整機構90と打撃部1aとを下方にて支持している(図1参照)。そして、前記中板8fの下面側に固着して垂下された支柱82の下端の支持軸受83により、打撃部1aの旋回用の円板76が回動自在に支承されている。この円板76の中央部においてボス部材77を介してアーム78が取り付けられて右方に延在しており、その先端近傍に長孔78aが穿ってあり、この長孔78aにボールねじ79の軸受けボックス79aに繋がった突起部79bが嵌合している。このボールねじ79には、両端部を軸受けブロック80aに回動自在に支承されたねじ軸80が嵌め込まれている。そして、このねじ軸80の手前側の一方端にはクランク状のハンドル81が設けられている。このハンドル81を回すことにより、ボールねじ79が前後に移動することにより、長孔78aに嵌合している突起部79bが前後に移動するために、それにつれて打撃部1aが右方向又は左方向に旋回する。これにより左右の打球方向を調節可能とする。
【0049】
図19は、傾斜角度を付けた打撃部1a図を示す。図1、図18(a)、図18(b)、図19を参照して、中板8f上に固着された案内板94,94に両側から挟まれて案内され、間に第1の梁と第2の梁とを架設して平行に保持され、下方に凸の円弧91aを有する円弧状プレート91,91が、回動自在に2個(左右で4個)のローラ96,96にて支承されている。この円弧状プレート91,91は、円弧状長孔91bを有し、この円弧状長孔91bには、前記案内板94,94に支持された抜け防止シャフト95が貫通している。そして、この円弧状プレート91,91の下方に凸の円弧91aの中心線は、バット9がボール10を打撃する場合のボール9の中心位置を通る中心線とする。これにより傾斜させたバット9が必ず打撃時にはボール10の中心位置に向いた打撃となっているために、ライナーでもゴロでも打球の力は強いままである。ここで、ローラ96と下方に凸の円弧91aを互いに噛み合う歯車同士として歯車96をモータやクランクハンドル等にて回転させて、位置を移動させることも可能である。
【0050】
図20は、本発明に係る第2の実施形態の、左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)115の外観斜視図(一部破断)を示す。これは、扇形歯車とこれと噛み合うピニオンギヤを出力軸に有したモータ117を具備している。この場合には、タッチパネル等の指示により左右の何れかの方向に指定した角度に打撃部1aを回動させ得るために便利である。
【0051】
本発明では、勿論、スプリング16の強さによって打撃力と速度は異なるが、基本的には、バット9のスイングを常に一定と考えて、供給するボールのタイミングと投げ上げ速度を任意に調節することで、各種の打球を再現する。これは、バット9のスイングを制御するよりは、質量の小さいボール10を制御する方が、小さい原動機で動作させることが出来、バラツキも少ない精度の良い制御が可能であり、且つ、コストも安価に抑えられるので便利である。
【0052】
図21は、コントローラ6の表示画面を示す。コントローラ6は通常、図21(a)の守備位置(ポジション)と単発の選択画面を表示していて、タッチパネルから成っている。コントローラ6により、練習者の希望とする打球を選択すると制御部の記憶装置に内蔵されている内部データを呼び出して打球の方向・角度等のデータをロードし、各モータへの出力を行うことでノックマシン1を動作させて打球を再現させる(図21(b))。更に、連続打撃モードやプログラム打撃モード等も可能である。また、特殊な操作で、パラメータ設定画面、図21(c)を呼び出すことにより、より際どい打球を実現させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
職域や学校や地域等の野球(硬式、軟式)やソフトボール等のチームで使用する守備のトレーニングマシンとして流通可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るノックマシン1の正面図である。
【図2】本発明に係るノックマシン1の外観斜視図(一部破断)である。
【図3】本発明に係るバット9を有する打撃部1aの外観斜視図を示す。
【図4】本発明に係るバット9の往復スイングをするための動力部13の外観斜視図である。
【図5】スイング準備機構12を示す。
【図6】回転機構部の主要部品の断面図を示す。
【図7】回転機構部の主要部品の分解斜視図を示す。
【図8】低速回転部の断面図を示す。
【図9】高速回転部の断面図を示す。
【図10】スイング機構部11(一部破断)の外観斜視図を示す。
【図11】(d)は、バット保持部51の斜視図を示し、(e)はバット保持部51の断面図を示し、(f)は、バット保持部51の平面図を示す。
【図12】スイング機構部11をモデル化した図である。
【図13】溝カム26aと、回転板上35,回転板上36と、第1,第2のシャフト34a,34bと、突起ブロックとの外観斜視図を示す。
【図14】前記スイング準備機構部12をモデル化した図を示す。
【図15】ブレーキ部30の平面図を示す。
【図16】(a)は、ボール収容投げ上げ部3の正面外観斜視図(一部破断)を示し、(b)は、ボール収容投げ上げ部3の正面外観斜視図を示す。
【図17】ボール収容投げ上げ部3をモデル化した図を示す。
【図18】(a)は、本発明に係る第1の実施の形態の左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)75と、傾斜角度調整機構90の主要部の外観斜視図を示す。(b)は、左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)75のイメージ図を示す。
【図19】傾斜角度付けた打撃部1a図を示す。
【図20】本発明に係る第2の実施形態の、左右回転調整機構(打撃部1aの旋回機構)115の外観斜視図(一部破断)を示す。
【図21】コントローラ6の表示画面を示す。
【符号の説明】
【0055】
1…ノックマシン
1a…打撃部
3…ボール収容投げ上げ部
5…制御部
6…コントローラ
9…バット
10…ボール
11…スイング機構部
12…スイング準備機構部
16…スプリング
17…中心板
30…ブレーキ部
51…バット保持部
63…供給部
66…ACサーボモータ
75,115…左右回転調整機構
90…傾斜角度調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記バットを有する打撃部が、スプリングの弾性力に抗して電動機によりバックスイングである往動をし、前記スプリングの弾性力により打撃スイングである復動をする前記バットの往復型スイングを行うことを特徴とするノックマシン。
【請求項2】
バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記バットを有する打撃部が、スイング時間短縮機構とスイング停止用ブレーキとを具備し、前記バットのスイング角度が略180度内にて往復型スイングを行うことを特徴とする請求項1記載のノックマシン。
【請求項3】
バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記ボール収容投げ上げ部がサーボモータを具備し、任意の速度とタイミングでボールを下方から上方に押し出すことにより任意の打球を再現することを可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のノックマシン。
【請求項4】
バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記打撃部を支持していて左右回転調整機構と傾斜角度調整機構とから成る打球再現システムを具備することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のノックマシン。
【請求項5】
バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、ボール投げ上げのタイミング、ボール投げ上げ高さ、ノックマシン本体の方向、角度等の制御管理、単発又は連続ノック等の選択や、打球の方向や角度などのパラメータの調整が可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のノックマシン。
【請求項6】
バットを有する打撃部とボール収容投げ上げ部と制御部とを具備するノックマシンにおいて、前記打撃部と前記ボール収容投げ上げ部と前記制御部とをそれぞれブロック化して交換容易としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のノックマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−240558(P2009−240558A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91228(P2008−91228)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(505073912)ハトリバンテック株式会社 (4)