説明

ノニルフェノール処理装置および処理方法

【課題】第1に、OHラジカルが効率的に無駄がなく生成される等、ランニングコスト等に優れると共に、第2に、後処理コストにも優れ、第3に、薬品添加量制御が容易であり、第4に、処理安定性,イニシャルコスト,スペース面等にも優れた、ノニルフェノール処理装置および処理方法を提案する。
【解決手段】この処理装置2および処理方法では、処理槽4の処理水3に、過酸化水素添加手段6が、反応当初に過酸化水素の水溶液を全量添加し、鉄イオン添加手段7が、過酸化水素の添加後に2価の鉄イオン溶液を分割添加し、pH調整手段8が、過酸化水素の添加前や鉄イオン溶液の分割添加の都度、pH調整剤を添加して被処理水3をpH4程度に維持する。もって、フェントン主反応や付随的,副次的,連鎖的反応にて、OHラジカルが生成されて、被処理水3に含有されたノニルフェノール1が酸化,分解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノニルフェノール処理装置および処理方法に関する。すなわち、有害な難分解性有機化合物であるノニルフェノールを、フェントン法に基づき酸化,分解する、処理装置および処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
ノニルフェノール(略称:NP、分子式:C1524O、構造式:C19OH)は、例えば界面活性剤等の原料として用いられているが、内分泌かく乱性,発癌性,催奇性等の危険が指摘され、環境ホルモンの一種とも解されており、ヨーロッパでは使用が規制されている。
そして、このように有害なノニルフェノールは、難分解性有機化合物であり、有効な分解処理技術の出現が待たれている。
例えば、工業排水中に含有された使用後の界面活性剤等は、ある程度の生分解性を備えており、微生物処理が可能であるが、含有されたノニルフェノールは、生分解性に乏しく、微生物処理が困難であり、分解処理不能とされている。
【0003】
《従来技術》
このようなノニルフェノールの分解処理する技術としては、例えば次のような技術が開発されていた。
まず、アスコルビン酸,アスコルビン酸塩,過酸化水素,オゾン,アンモニア,光照射等を、併用し組み合わせて、ノニルフェノールを分解処理する技術や、触媒オゾン反応とオゾン吹込み処理とを併用し組み合わせて、ノニルフェノールを分解処理する技術が、開発されていた。
又、環境ホルモン系の難分解性有機化合物処理の一環として、ノニルフェノールを、活性炭等の吸着剤に吸着,脱離させてから、酸化,分解処理する技術や、過酸化水素,オゾン,紫外線照射等を組み合わせて生成されたOHラジカルにて、酸化,分解処理する技術等も、開発されていた。
【0004】
《先行技術文献情報》
【特許文献1】特開2001−199905号公報
【特許文献2】特開2002−205082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
《問題点について》
ところで、このような従来のノニルフェノールの処理技術については、次の問題が指摘されていた。
すなわち、処理性能,イニシャルコスト,ランニングコスト,設置スペース等に問題が指摘され、これらの点が、ノニルフェノールの本格的処理,大規模処理,大容量処理等へのスケールアップ適用、つまり実用化への大きなネックとなっていた。
例えば、アスコルビン酸その他を併用する処理技術や、触媒オゾン反応とオゾン吹込み処理とを併用する処理技術については、処理が複雑多岐に渡り、処理性能,コスト,スペース面の問題が顕著化していた。
又、吸着,脱離する処理技術に関しては、破過による処理能力ダウン,処理の安定性,活性炭の交換コスト,設備設置スペース等に、問題が指摘されていた。又、過酸化水素,オゾン,紫外線照射による処理技術に関しては、OHラジカル生成効率の悪さ,設備過大化,電力消費コスト,UVランプ劣化等に、問題が指摘されていた。
特に、過酸化水素等にてOHラジカルを生成して、ノニルフェノールを酸化,分解する技術に関しては、過酸化水素がOHラジカルを生成することなく、水と酸素に分解され浪費されてしまう比率が高かった。
この点をカバーすべく、予め極めて多量の過酸化水素を過剰なまでに添加使用することも行われていたが、その分、効率が悪く,無駄が多く,ランニングコストが嵩む、という難点があった。更に、処理後の廃液中の過酸化水素の残存含有量が多くなり、中和処理のための後処理コストが嵩む、という指摘もあった。
【0006】
《本発明について》
本発明のノニルフェノール処理装置および処理方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、OHラジカルが効率的に無駄がなく生成され、もってランニングコスト等に優れると共に、第2に、後処理コストにも優れ、第3に、薬品添加量制御が容易であり、第4に、処理安定性,イニシャルコスト,スペース面等にも優れた、ノニルフェノール処理装置および処理方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1のノニルフェノール処理装置は、被処理水に含有されたノニルフェノールを、フェントン法に基づき酸化,分解する。そして処理槽と、該処理槽に付設された処理水供給手段,過酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段とを、備えている。
該処理水供給手段は、該処理槽にノニルフェノールを含有した被処理水を供給する。該過酸化水素添加手段は、該処理槽の被処理水に過酸化水素を添加する。該鉄イオン添加手段は、該処理槽の被処理水に2価の鉄イオンを添加する。
該pH調整手段は、該処理水供給手段から該処理槽に供給される被処理水、および該処理槽の被処理水にpH調整剤を添加して、被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とする。
【0008】
請求項2については、次のとおり。請求項2のノニルフェノール処理装置では、請求項1において、該過酸化水素添加手段は、反応当初に過酸化水素の水溶液を全量添加する。該鉄イオン添加手段は、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して、2価の鉄イオン溶液を分割添加する。
該pH調整手段は、過酸化水素の添加前には酸pH調整剤を添加し、過酸化水素の添加後においては2価の鉄イオン溶液の分割添加毎に、アルカリpH調整剤を添加すること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。請求項3のノニルフェノール処理装置では、請求項2において、該鉄イオン添加手段は、硫酸第一鉄の水溶液を添加する。
該pH調整手段は、例えば硫酸又はカセイソーダを添加し、もって該処理槽内の被処理水をpH4程度に維持して、添加される過酸化水素の水と酸素への分解反応を抑制すること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4のノニルフェノール処理装置では、請求項2において、該処理槽内では、全量添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて、分割添加の都度還元されてOHラジカルを生成する。
そして、被処理水に含有されたノニルフェノールが、このOHラジカルにて酸化,分解され、もって水や炭酸ガス等の低分子化合物に無機化されること、を特徴とする。
【0009】
請求項5については、次のとおり。請求項5のノニルフェノール処理方法では、被処理水に含有されたノニルフェノールを、フェントン法の処理プロセスに基づき酸化,分解する。そして、ノニルフェノールを含有した被処理水に対し、過酸化水素と2価の鉄イオンとpH調整剤とが添加される。
これと共に過酸化水素は、反応当初に全量添加される。2価の鉄イオンは、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して分割添加される。
pH調整剤は、過酸化水素の添加前は酸pH調整剤が添加され、過酸化水素の添加後は2価の鉄イオンの分割添加毎にアルカリpH調整剤が添加され、もって被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とする。
【0010】
請求項6については、次のとおり。請求項6のノニルフェノール処理方法では、請求項5において、全量添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて、分割添加の都度還元されてOHラジカルが生成される。
もって、被処理水に含有されたノニルフェノールが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。請求項7のノニルフェノール処理方法では、請求項6において、更に、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて酸化されて、OHラジカルが生成される。
もって、被処理水に含有されたノニルフェノールが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とする。
請求項8については、次のとおり。請求項8のノニルフェノール処理方法では、請求項6又は7において、生成されたOHラジカルが、更に被処理水等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、連鎖的に繰り返される。
もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、被処理水に含有されたノニルフェノールが酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とする。
請求項9については、次のとおり。請求項9のノニルフェノール処理方法では、請求項6又は7において、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、少なくとも新たなOHラジカルを生成する反応が、連鎖的に繰り返される。
もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、被処理水に含有されたノニルフェノールが酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とする。
【0011】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)ノニルフェノールを含有した被処理水は、処理装置に供給され、もってフェントン法の処理プロセスに基づく処理方法により、ノニルフェノールが酸化,分解される。
(2)そして処理装置は、処理水供給手段,処理槽,後処理槽を備えている。処理槽には、過酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段が、付設されている。
(3)そこで被処理水は、処理槽に供給されるが、その前にpH調整手段から硫酸等が添加されて、pH4程度の弱酸性とされる。
(4)処理槽では被処理水に対して、まず過酸化水素添加手段から、過酸化水素が全量添加される。
(5)それから、鉄イオン添加手段から2価の鉄イオン溶液が分割添加されるが、分割添加毎にpH調整手段からカセイソーダ等が添加され、被処理水の弱酸性が維持される。
【0012】
(6)さてそこで、2価の鉄イオンを触媒として、過酸化水素がOHラジカルを生成する。そして、このOHラジカルの生成反応は、まず、鉄イオンが分割添加されるのでOHラジカルそして鉄イオンが浪費される反応が起こる虞がなく、又、弱酸性雰囲気なので鉄イオンの触媒機能が促進されると共に、過酸化水素が水と酸素に分解,浪費されることも回避されつつ、実施される。これらにより、OHラジカルが効率良く生成される。
(7)又OHラジカルは、前記反応にて生成された3価の鉄イオンと水酸化イオンとの反応によっても、効率良く生成される。
(8)更にOHラジカルは、次の反応により、連鎖的に繰り返して生成される。すなわち、上記反応により生成されたOHラジカルが、被処理水等の水と反応することにより、新たなOHラジカルが生成される。又、上記反応により生成された3価の鉄イオンと過酸化水素とが反応することによっても、新たなOHラジカルが生成される。これらの面からも、OHラジカルが効率良く生成される。
【0013】
(9)そして処理槽では、このように効率良く生成されたOHラジカルの強力な酸化力により、被処理水中のノニルフェノールは、酸化,分解され、もって水,炭酸ガス,酸素等の低分子化合物に無機化される。
(10)それから被処理水は、後処理槽を経由した後、外部排水される。
(11)ところで、この処理装置および処理方法では、フェントン試薬等の薬品添加量が反応理論値から容易に算出されると共に、装置や方法の構成も比較的簡単であり、安定的な処理が可能である。
(12)さてそこで、本発明のノニルフェノール処理装置および処理方法は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0014】
《第1の効果》
第1に、OHラジカルが効率的に無駄なく生成され、もってランニングコスト等に優れている。
すなわち、本発明の処理装置および処理方法では、まずa.被処理水が弱酸性に維持されると共に、過酸化水素の全量添加と2価の鉄イオンの分割添加により、OHラジカルが効率良く,浪費等されることもなく生成される。
又b.OHラジカルは、3価の鉄イオンと水酸化イオンが反応することによっても、生成される。更に、生成されたOHラジカルが、被処理水等の水と反応することによっても、又、3価の鉄イオンと過酸化水素が反応することによっても、連鎖的に繰り返して生成される。このようにOHラジカルは、高効率で生成される。
他方c.前述したこの種従来例の処理技術のように、過剰に多量の過酸化水素を添加する必要がなくなり、フェントン試薬等の薬品使用コストも低減される。
これらにより、本発明の処理技術では、ノニルフェノールが容易かつ確実に酸化,分解,除去されるようになり、ノニルフェノールの本格的処理,大規模処理,大容量処理等へのスケールアップ適用、つまり実用化が容易である。
【0015】
《第2の効果》
第2に、過酸化水素の残存含有量が極めて少なく、後処理コストが低減される。
すなわち、本発明の処理装置および処理方法では、上述したように効率良くOHラジカルが生成されて、ノニルフェノールが酸化,分解,除去される。従って、この種従来例の処理技術のように、過酸化水素を過剰添加されることもなく、もって被処理水は、処理後の過酸化水素の残存含有量が少なく、中和剤による後処理コストも低減される。
そこで本発明の処理技術は、この面からも、薬品使用コストが低減され、本格的処理,大規模処理,大容量処理等へのスケールアップ適用、つまり実用化への道が開かれる。
【0016】
《第3の効果》
第3に、本発明の処理装置および処理方法は、薬品添加量制御が容易である。すなわち、被処理水中のノニルフェノールの含有量に対応した過酸化水素の添加量や、過酸化水素の添加量に見合った2価の鉄イオンの添加量や、見合ったpH調整剤の添加量等は、反応理論値から容易に算出され必要モル数が得られる。もって、過不足のない適量の薬品を添加可能となり、これらの自動制御も容易である。例えば、2価の鉄イオンについて、定量性が確保できずに余剰に残存したり不足したりする事態は発生せず、処理性能の不安定化も回避される。
そこで本発明の処理技術は、この面からも、本格的処理,大規模処理,大容量処理等へのスケールアップ適用、つまり実用化が容易である。
【0017】
《第4の効果》
第4に、処理安定性,イニシャルコスト,ランニングコスト,スペース面等にも、優れている。
すなわち、本発明の処理装置および処理方法では、前述したこの種従来例の処理技術において指摘されていた、経時使用による処理能力ダウン,活性炭等の交換コスト,設備設置スペース,OHラジカル生成効率,設備過大化,電力浪費コスト,UVランプ劣化、等々の問題が解消される。
そこで本発明の処理技術は、これらの面からも、本格的処理,大規模処理,大容量処理等へのスケールアップ適用、つまり実用化が裏付けられる。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
《図面について》
以下、本発明のノニルフェノール処理装置および処理方法を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。図1は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供し、その1例の構成フロー図である。
【0019】
《ノニルフェノール1について》
まず、本発明の処理装置2や処理方法の処理対象である、ノニルフェノール1について、説明する。
ノニルフェノール(名称:NONYL PHENOL、略称:NP,分子式
1524O、構造式:C19OH)1は、フェノール(石炭酸,COH)の芳香環の水素原子(C-の水素原子)1個を、ノニル基(-C19)で置換した、芳香族化合物である。
そしてノニルフェノール1は、例えば、ゴム,プラスチック,繊維,製紙,農薬等の化成品工業,機械工業,金属工業等の分野において、工業用合成洗剤,分散剤として多用されているノニオン系,非イオン系の界面活性剤の原料として、使用されている。その他、可塑剤や安定剤等の原料としても、工業的に使用されている。なおノニルフェノール1は、水に対し微溶である。
そこで、これらの工業排水中には、使用後の界面活性剤等が含有されており、その生分解性に基づき1次処理,微生物処理されるが、1次処理後の被処理水3中には、生分解性に乏しく微生物処理が困難なノニルフェノール1が、残留,含有されている。
そして、このように難分解性有機化合物であるノニルフェノール1は、内分泌かく乱性,発癌性,催奇性等の危険が指摘されており、人体等に有害であり、環境ホルモンの1種とも解されている。
本発明は、このような被処理水3に含有された低濃度のノニルフェノール1を、処理対象とする。
【0020】
《処理装置2および処理方法の概要》
本発明の処理装置2および処理方法は、被処理水3に含有された低濃度のノニルフェノール1を、改良したフェントン法の処理プロセスに基づいて、酸化,分解する。
すなわち、本発明の処理装置2および処理方法は、低濃度のノニルフェノール1含有水を、被処理水3とする。そして、含有されたノニルフェノール1を、フェントン試薬の過酸化水素(H)と2価の鉄イオン(Fe2+)を用いフェントン主反応で生成されたOHラジカル(・OH)や、このようなフェントン主反応の付随的,副次的,連鎖的反応にて生成されたOHラジカルにて酸化し、もって無機の水(HO),炭酸ガス(CO),酸素(O)に、分解する。
そして、本発明の処理装置2および処理方法は、処理槽4と、処理槽4に付設された処理水供給手段5,過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8とを、備えている。
以下、これらについて詳細に説明する。
【0021】
《処理水供給手段5等について》
まず、処理水供給手段5等について、説明する。処理水供給手段5は、処理槽4に対し、低濃度のノニルフェノール1を含有した被処理水3を、処理対象として供給する。
すなわち、処理水供給手段5の処理水槽9には、被処理水3が導入され、この処理水槽9を経由して、処理槽4に被処理水3が供給される。処理水槽9に導入される被処理水3は、必要に応じ予め、粉塵汚泥除去,生物処理等の前処理が施されている。
それから図示例では、被処理水3がpH調整槽10を経由して、処理槽4に供給され、pH調整槽10では、付設されたpH調整手段8からpH調整剤が添加される。
【0022】
すなわちpH調整手段8は、処理水供給手段5の処理水槽9から処理槽4に供給される途中の被処理水3に対し、pH調整剤を添加して、被処理水3を所定の弱酸性に調整してから、処理槽4に供給する。処理水槽9からの被処理水3は、例えばpH6以上であることが多いので、これをpH5〜pH3程度、代表的にはpH4程度に調整すべく、pH調整剤として硫酸等の酸pH調整剤が用いられる。
このように事前にpH調整しておく理由は、後述するように、過酸化水素と2価の鉄イオンによるOHラジカルの生成反応が、所期の通り効率良く行われるようにする為、等々である。
なお、このようなpH調整槽10は、例えば、被処理水3の大容量処理や連続処理や、低濃度ではあるものの比較的濃度が高目のノニルフェノール1の処理、等の場合に使用される。これに対し、pH調整槽10を使用せず、処理水槽9において代用的,兼用的に、上述したpH調整を実施することも可能である。
処理水供給手段5等は、このようになっている。
【0023】
《過酸化水素添加手段6について》
次に、処理槽4に付設された過酸化水素添加手段6について、説明する。過酸化水素添加手段6は、処理槽4の被処理水3に対し、その反応当初において、過酸化水素の水溶液を、フェントン試薬として全量添加する。過酸化水素は、OHラジカルの発生源となり、このOHラジカルが、ノニルフェノール1を酸化,分解することになる。
過酸化水素の一回の反応当たりの添加量は、その被処理水3中に含有された低濃度のノニルフェノール1の具体的含有量,具体的濃度次第であるが、その反応理論値を基準として多目に算出された実際必要量(必要モル数)が、反応当初に一度に全量添加される。次回の添加は、処理槽4の被処理水3中から過酸化水素がなくなった時、つまり次の反応時であり、この次の反応時に、同様にその全量が添加されることになる。
このように、この明細書において全量添加とは、反応に必要な薬剤量を1回に100%全量一括添加すること、を意味する。
このように過酸化水素添加手段6から、過酸化水素が全量添加される。
【0024】
《鉄イオン添加手段7について》
次に、処理槽4に付設された鉄イオン添加手段7について、説明する。鉄イオン添加手段7は、上述により過酸化水素が添加された後の処理槽4の被処理水3に対し、間欠的に複数サイクル繰り返して、2価の鉄イオン(Fe2+)溶液を、フェントン試薬として分割添加する。
すなわち、液中で2価の鉄イオンを生じる物質、例えば硫酸第一鉄7水和物(FeSO・7HO)が、このような鉄塩として代表的に使用されるが、その他の無水塩や含水塩、例えば塩化鉄(FeCl)やその水和物も使用可能である。そして2価の鉄イオンは、過酸化水素のOHラジカル生成反応の触媒として機能する。
この鉄イオンの1回の反応当たりの添加量は、反応理論値を基準として、より多い実際必要量が算出されるが、例えば、過酸化水素の1モルに対し0.5モル程度とされる。
又、この鉄イオンは、複数回に分けて分割添加される。すなわち、1回の反応についての必要量が、全量添加されずに3〜7回程度に分けて、例えば5回に分けて順次添加される。各回毎の添加タイミングは、前回添加したものがなくなった段階で、次回分が添加される。このように、この明細書において分割添加とは、反応に必要な薬剤量を複数回に分けて添加すること、を意味する。
【0025】
2価の鉄イオンを分割添加する理由は、次のa,b,cのとおり。まずa.もしも全量添加すると、後述する化学反応において、過酸化水素を反応物質とする原系から、OHラジカルを生成物質とする生成系へと向かう所期の正反応と同時に、OHラジカルを消費する無駄な反応、つまり余ったOHラジカルが水に戻る反応が起こり易くなり、ロスが生じ、OHラジカル生成のために使用した鉄イオンが、無駄に消費されることになる。これに対し分割添加すると、このような反応が抑制され、鉄イオンの無駄も解消される。
又b.OHラジカルは、反応が激しいだけに存在時間が瞬間的,超短寿命であり、全量添加より分割添加した方が、その都度OHラジカルが生成されて、処理槽4内の被処理水3の隅々まで行き渡るようになり、その分、ノニルフェノール1の酸化,分解が確実化,効率化,迅速化される。
更にc.分割添加すると、全量添加に比し残存する過酸化水素が少なくなるので、その分、中和剤による後処理コストも低減される。
このように鉄イオン添加手段7から、2価の鉄イオン等が分割添加される。
【0026】
《pH調整手段8について》
次に、処理槽4に付設されたpH調整手段8について、説明する。pH調整手段8は、前述したように処理水供給手段5から処理槽4に供給される前の被処理水3、および処理槽3に供給された後の被処理水3に対し、pH調整剤を添加して、被処理水3を例えばpH4程度の弱酸性に維持する。
すなわちpH調整手段8は、過酸化水素の添加前には、硫酸等の酸pH調整剤を添加し、過酸化水素の添加後は、上述した鉄イオンの添加毎に、カセイソーダ等のアルカリpH調整剤を添加する。
【0027】
被処理水3を、pH3〜pH5程度代表的にはpH4程度に維持することは、まずa.後述するように、所期の反応を阻害する過酸化水素の水と酸素への無駄な分解反応を、抑制すべく機能する。これと共にb.2価の鉄イオンの過酸化水素への電子供与を、促進すべく機能する。更にc.後述する付随的,副次的,連鎖的に繰り返されるOHラジカル生成反応を、促進し確実化すべく機能する。これらa,b,cにより、OHラジカルの生成が、効率良く進行するようになる。
これに対し、まず、処理水供給手段5の処理水槽9からの被処理水3は、例えばpH6以上であることが多いので、前述したようにpH調整槽10において、pH調整手段8から例えば硫酸が添加されて、例えば4程度にpH調整される。そして事後、処理槽4において、2価の鉄イオンが添加されると、そのままでは被処理水3のpHが例えば2.8程度まで低下し酸性度が過度に上がるので、2価の鉄イオンの分割添加毎にその都度、例えばカセイソーダが添加され、もって例えばpH4程度へと被処理水3がpH調整される。
pH調整手段8は、このようになっている。
【0028】
《処理槽4における反応(その1:OHラジカルの生成)について》
次に、処理槽4内における化学反応(その1)について、説明する。この処理装置2や処理方法の処理槽4内では、まず第1に、被処理水3が攪拌,流下されると共に、添加された過酸化水素が、触媒として添加された2価の鉄イオンにて還元されて、OHラジカルを生成する。
更に第2に、処理槽4内では、上記第1のようにOHラジカルが生成されると共に、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて酸化されて、OHラジカルを生成する。
【0029】
このようなOHラジカルの生成について、更に詳述する。まず第1に、処理槽4内では、次の化1,化2の反応式(化3の反応式)に基づき、OHラジカルが生成される。これがフェントン主反応である。
【0030】
【化1】

【化2】

【化3】

【0031】
すなわち、この第1のフェントン主反応では、化1の反応式において、鉄イオン添加手段7から順次分割添加される2価の鉄イオン(Fe2+)は、被処理水3が例えばpH4程度の弱酸性雰囲気に維持されているので容易に、触媒として化2の反応式の過酸化水素(H)に対し、順次電子(e)を供与すると共に、自己は酸化して3価の鉄イオン(Fe3+)となる。
そこで、化2の反応式において、過酸化水素添加手段6から最初に全量添加された過酸化水素は、化1の反応式に基づき電子が順次供与され、もってその都度、OHラジカル(・OH)と水酸化イオン(OH)が生成される。化1と化2の反応式をまとめて合成すると、化3の反応式となる。
ところで、このような反応に際し、前述したように被処理水3が弱酸性雰囲気に維持されているので、過酸化水素が水と酸素に分解され、浪費されてしまうことは抑制される。これに対し、もしも弱酸性雰囲気に維持されないと、次の化4の反応式により、過酸化水素が、発生期の酸素(O)を発生しつつ水分子(HO)になり、所期の化2(化3)の反応式によりOHラジカルを生成することなく、浪費されてしまうことになる。なお、このような発生期の酸素は、その酸化対象がない場合、酸素分子(O)となって系外にでる。
【0032】
【化4】

【0033】
第2に、次の化5,化6の反応式によっても、OHラジカル(・OH)の生成が可能である。すなわち、処理槽4内では、まず第1に、上述した化3(化1,化2)の反応式のフェントン主反応により、OHラジカルが生成されるが、これと共に第2に、次の反応式によっても、付随的,副次的,連鎖的にOHラジカルを生成可能である。
【0034】
【化5】

【化6】

【0035】
すなわち、化1の反応式で生成された3価の鉄イオンは、化2の反応式で生成された水酸化イオンから、化5,化6の反応式により、電子を奪ってOHラジカルを生成させ、自らは2価の鉄イオンに還元されて戻る。
このように、化3(化1,化2)の反応式のみならず化5,化6の反応式が、連鎖的にバランス良く起こるようにすると、OHラジカルが、より効率的に生成される。
処理槽4内では、まずこの第1,第2のように、OHラジカルが生成される。
【0036】
《処理槽4における反応(その2:更なるOHラジカルの生成)について》
次に、処理槽4内における化学反応(その2)について、説明する。処理槽4内では、更に上述した第1,第2に加え、第3,第4として次の2つの反応により、付随的,副次的,連鎖的に、新たなOHラジカルが生成される。
まず第3に、次の反応にて、新たにOHラジカルが生成される。すなわち、前記化3(化1,化2)や化5,化6の反応式にて生成されたOHラジカルが、被処理水3等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、次の化7,化8の反応式により、連鎖的に繰り返される。
【0037】
【化7】

【化8】

【0038】
これらについて、更に詳述する。まずOHラジカルは、中性〜アルカリ性雰囲気下では、水分子から水素原子を引き抜いてこれを酸化し、酸素分子を発生せしめると共に、自身は還元されて水分子に帰す。
これに対し酸性雰囲気下では、化7の反応式により、OHラジカルは、水分子(HO)から電子(e)を引き抜き、自身は水酸化イオン(OH)になるが、この引き抜き反応が水分子をラジカル分裂させ活性化させて、新たなOHラジカル(・OH)とプロトン(H)を生成される。生成された水酸化イオンとプロトンは、化8の反応式にて、新たな水(HO)を生成して消滅する。
処理槽4の被処理水3は、弱酸性雰囲気に維持されているので、このようにして、新たなOHラジカルが生成されるが、更にこのように生成されたOHラジカルを基に、再びこのような一連の反応が連鎖的に起き、事後も同様に連鎖的に繰り返される。
つまり、前記化3等の反応式にてOHラジカルが一旦生成されると、これを開始反応,反応開始剤として、事後は連鎖的反応により、半永続的にOHラジカルが得られることになる。ノニルフェノール1の酸化,分解過程において消費された分を除いたOHラジカルが、プロトンの連鎖的な生成・消滅と共存的に、生成・消滅を繰り返す。OHラジカルは超短寿命であることに鑑み、このような繰り返し生成の意義は大きい。
第3として、このような反応により、OHラジカルが生成される。
【0039】
更に第4に、次の反応によっても、新たにOHラジカルが生成される。すなわち、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、新たにOHラジカル等を生成する反応が、次の化9,化10の反応式(化11の反応式)により、連鎖的に繰り返される。
【0040】
【化9】

【化10】

【化11】

【0041】
これらについて、更に詳述する。前記化3(化1)の反応式で生成された3価の鉄イオン(Fe3+)が、過酸化水素(H)と化9の反応式により反応し、もって、3価の鉄イオンが2価の鉄イオン(Fe2+)に還元されると共に、酸素分子が電子と結合して生じたイオンであるスーパーオキシドアニオン(・O)が生成される。
そして、化10の反応式により、このラジカルなスーパーオキシドアニオンが、過酸化水素と反応して、OHラジカル(・OH)を生成可能である。化9と化10の反応式をまとめて合成すると、化11の反応式が得られる。
このように、前記化3(化2)の反応式にてOHラジカル生成の源泉となっていた過酸化水素が残ってさえいれば、例えノニルフェノール1の酸化,分解過程でOHラジカルが消費尽くされてしまった場合においても、余剰に存在する過酸化水素を基に、新たなOHラジカルが、連鎖的に半永続的に生成され続けられることになる。OHラジカルは超短寿命であることに鑑み、このような生成継続の意義は大きい。
但し、化11(化9,化10)の反応式が確実に起こるためには、過酸化水素が水と溶存酸素に分解(前記化4の反応式を参照)しない程度の弱酸性雰囲気まで、pH調整手段8にてカセイソーダ等を処理槽4の被処理水3に加える等、pH操作が必要であり、そのpH値をアルカリ側に移動させておくことが必要である。
更に、化11(化9)の反応式で生じた2価の鉄イオンは、pHを下げるが、上述により弱酸性雰囲気で安定存在する過酸化水素との共存を図るべく、必要なpH操作を実施しておけば、前記化3等の反応式のフェントン主反応により、OHラジカルの生成も見込める。
処理槽3の本処理槽12内では、このようにOHラジカルが生成される。
【0042】
《処理槽4における反応(その3:ノニルフェノールの酸化,分解)について》
次に、処理槽4内における化学反応(その3)について、説明する。処理槽4内では、被処理水3に含有された低濃度のノニルフェノール1が、このようにフェントン主反応,その他にて生成されたOHラジカルにて、酸化,分解され無機化される。
これらについて、更に詳細に説明する。まず、OHラジカルつまりヒドロキシラジカル(・OH)は、周知のごとく強力な酸化力を備えている。つまり、活性酸素種として他に類を見ない極めて強力な電子奪取力,酸化力,つまり活性力,分解力を有し、ラジカルで反応性に富んでおり、反応が激しいだけに存在時間が瞬間的であり、寿命の短い化学種である。
さてそこで、水相分散したOHラジカルは、被処理水3中に含有された低濃度のノニルフェノール1を酸化し、遂には分解してしまう。すなわちOHラジカルは、ノニルフェノール1やその分解過程の有機構造について、例えば、その芳香環の二重結合のπ電子,水素原子H,炭素原子C,その他を対象とし、これをOH基で付加や置換して行く。そして、これらに基づき、ノニルフェノール1の炭素連鎖,有機結合,分子結合を、順次切断,分解,分断する連鎖プロセスを辿り、もって最終的には、無機の水(HO),炭酸ガス(CO),酸素(O)へと、酸化,分解,無機化する。
処理槽4内では、このようにノニルフェノール1が酸化,分解,無機化される。
【0043】
《後処理槽11について》
次に、後処理槽11について説明する。処理槽4には、後処理槽11が付設されており、前述によりノニルフェノール1が酸化,分解された後の被処理水3が排出され、必要な後処理が施された後、外部排水される。
このような後処理槽11について、更に詳述する。図示例の後処理槽11は、中和槽12,沈殿槽13,凝集沈殿槽14,濾過槽15,pH調整槽16,処理水槽17等を、下流に向け順に備えている。
まず、処理槽4からは、ノニルフェノール1の酸化,分解処理が済んだ被処理水3が、後処理槽11の中和槽12に排出される。中和槽12では、このような被処理水3に対し、カセイソーダ等のpH調整剤が添加され、もって無機凝集剤への最適pHへと調整される。被処理水3中に僅かでも過酸化水素が残留している場合は、水質汚濁を回避すべく、カタラーゼ等の中和剤が添加される。
次に沈殿槽13では、中和槽12から流入した被処理水3中に残留物として含有されている鉄分とのコロイド状錯体が固液分離されて、下部に沈殿,除去される。
凝集沈殿槽14では、沈殿槽13上部から流入した被処理水3に対し、無機凝集剤として、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC,Al(OH)Cl6−n)が、添加されて攪拌される。もって、沈殿槽13で沈殿されることなく被処理水3中に残存していた上記コロイド状錯体が、凝集化され固液分離されて、沈殿,除去される。
なお必要に応じ、この凝集沈殿槽14の次に貯留沈殿槽を設けて、高分子凝集剤として例えばアニオンを添加し、もって上記コロイド状錯体の一層の凝集化,ブロック化,固液分離化、そして沈殿,除去を図るようにしてもよい。
それから被処理水3は、後処理槽11の濾過槽15,pH調整槽16,処理水槽17を順次経由し、もって更に浄化されると共に、外部排水に適したpHに調整された後、処理水槽17から外部排水され、放流される。
後処理槽11は、このようになっている。
【0044】
《作用等》
本発明のノニルフェノール1の処理装置2および処理方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)低濃度のノニルフェノール1を含有した被処理水3は、処理装置2へと供給される。処理装置2は、フェントン法の処理プロセスに基づく処理方法により、ノニルフェノール1を酸化,分解し、被処理水3を浄化する。
【0045】
(2)そして、この処理装置2は、処理水供給手段5の処理水槽9,pH調整槽10,処理槽4,後処理槽11等を、順に備えている。
pH調整槽10には、pH調整手段8が付設されている。処理槽4には、過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8等が、付設されており、過酸化水素,2価の鉄イオン,pH調整剤等を、添加可能となっている。
【0046】
(3)さてそこで、被処理水3は、処理水供給手段5の処理水槽9から、処理槽4に供給される。
なお被処理水3は、処理槽4に供給される前に、図示例ではpH調整槽10において、pH調整手段8から例えば硫酸等の酸pH調整剤が添加され、もってpH3〜pH5、例えばpH4程度の弱酸性とされる。
【0047】
(4)処理槽4に供給された被処理水3は、まず、過酸化水素添加手段6から過酸化水素の水溶液が、添加される。過酸化水素は、反応当初に全量添加される。
【0048】
(5)処理槽4では、このように過酸化水素が添加された後、被処理水3に対して、鉄イオン添加手段7から2価の鉄イオン溶液が、添加される。2価の鉄イオンは、過酸化水素添加後の反応中において、分割添加により複数回に分けて間欠的に、複数サイクル繰り返して添加される。
そして、このような鉄イオンの分割添加毎に、pH調整手段8から例えばカセイソーダ等のアルカリpH調整剤が添加され、もって被処理水3は常時、例えばpH4程度の弱酸性を維持する。つまり、OHラジカル生成に最適なpHへと調整される。
【0049】
(6)さてそこで、処理槽4内では、次の第1,第2,第3,第4のように、OHラジカルが生成される。
まず第1に、上述により全量添加されていた過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて、分割添加の都度還元されて、OHラジカルを生成する。すなわち、前記化3(化1,化2)の反応式のフェントン主反応により、2価の鉄イオンが、過酸化水素に電子を供与して3価の鉄イオンになり、電子を供与された過酸化水素が、OHラジカルを生成する。
OHラジカルは、2価の鉄イオンが分割添加されるので、OHラジカルそして2価の鉄イオンが浪費される反応が起こる虞もなく、分割添加の都度、無駄なく効率良く生成される。
これに加え、このフェントン主反応によるOHラジカルの生成は、pH4程度の弱酸性雰囲気下に維持されていることによっても、一段と効率良く確実に実施される。すなわち、このような弱酸雰囲気下であることにより、まず、2価の鉄イオンの電子供与が促進されると共に、更に過酸化水素が、前記化4の反応式により水と酸素に分解,浪費される反応が抑制,回避され、能力いっぱいのOHラジカルを、効率良く生成するようになる。
【0050】
(7)第2に、OHラジカルは、処理槽4内で2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、酸化されることによっても生成される。すなわち、前記化3(化1,化2)の反応式で生成された3価の鉄イオンと水酸化イオンとに基づき、前記化5,化6の反応式によっても、生成される。
この面からも、OHラジカルが効率良く生成される。なお、このOHラジカルの生成も、鉄イオンの分割添加の都度、連鎖的にそれぞれ生成される。
【0051】
(8)更にOHラジカルは、上述した第1,第2に加え、次の第3,第4によって、一段と効率良く生成される。つまりOHラジカルは、上記(6)のフェントン主反応以外でも、その付随的,副次的,連鎖的反応によって、効率良く生成され続ける。
すなわち第3に、前記化3等により生成されたOHラジカルが、前記化7,化8の反応式により、被処理水3等の水と反応することにより、新たなOHラジカルが、連鎖的に繰り返し生成される。このような一連のOHラジカル生成反応が、繰り返される。
第4に、前記化3(化1)の反応式で生成された3価の鉄イオンと、過酸化水素とが、前記化11(化9,化10)の反応式により反応することによっても、新たなOHラジカルが、連鎖的に繰り返し生成される。このような一連のOHラジカル生成反応が、繰り返される。
なお、これらのOHラジカルの生成は、処理槽4内でフェントン試薬の過酸化水素が、使い尽くされてなくなった時に、終了する。
【0052】
(9)さて、OHラジカルは、このように効率良く生成されると共に、極めて強力な酸化力を備えている。そこで処理槽4では、被処理水3中に低濃度で含有されたノニルフェノール1が、このOHラジカルにて酸化され、もって水,炭酸ガス,酸素等の低分子化合物へと、無機化されてしまう。
【0053】
(10)被処理水3は、含有されていたノニルフェノール1が、このようにして、水,炭酸ガス,酸素へと無機化され、もって処理槽4から後処理槽11へと排出される。図示の後処理槽11は、中和槽12,沈殿槽13,凝集沈殿槽14,濾過槽15,pH調整槽16,処理水槽17等を備えている。
なお過酸化水素は、前述によりOHラジカル生成に無駄なく有効使用されるので、処理後の残存量は僅かであり、中和槽12における中和剤の使用も、極く僅か又は皆無となる(例えば、残存過酸化物イオン濃度は、使用過酸化水素の0〜3%以下程度となる)。
そして被処理水3は、後処理槽11を経由することにより、排水可能な状態に調整されて、外部排水される。
【0054】
(11)この処理装置2および処理方法では、上述したように、フェントン法の処理プロセス等に基づき、被処理水3に含有された有害な有機化合物であるノニルフェノール1を、低分子化合物へと無機化するが、これは簡単容易に実現される。
すなわち、過酸化水素,2価の鉄イオン,pH調整剤等のフェントン試薬等の薬品添加量は、反応理論値から実際必要量が容易に算出される。反応理論値より多目の例えば数倍程度が、実際必要量として添加され、もって添加量の最適化が実現される。
又、この処理装置2は、処理槽4を中心に、処理水槽9や後処理槽11が配設されると共に、過酸化水素添加手段6,鉄イオン添加手段7,pH調整手段8等が付設された構成よりなる。つまり、この処理方法では、比較的簡単な構成の処理装置2が用いられており、安定的な処理が可能である。
本発明の作用等は、このようになっている。
【0055】
《ノニルフェノール1の酸化,分解過程の詳細について》
ここで、本発明の処理装置2および処理方法に関し、その酸化,分解反応の詳細について説明しておく。
すなわち、処理槽4内におけるノニルフェノール1の酸化,分解反応(つまり、処理槽4における反応その3:ノニルフェノールの酸化,分解と題して前述した所)について、その理論的裏付を検証しておく。
ノニルフェノール1(分子式:C1524O),(構造式:C19OH),(更に詳しい構造式:HO-C-[CH-CH(CH)]-H)や、その分解過程の不安定な中間体の有機構造は、以下に述べる化12〜化14の連鎖プロセスを辿ることにより、順次、OHラジカルにて酸化され、水(HO),炭酸ガス(CO),酸素(O)へと、分解されて行く。
そして、まず最初に、OHラジカルによる酸化,分解反応が、次の化12の各反応式に示した連鎖プロセス(1)〜(4)を辿って、順次進行する。
【0056】
【化12】

【0057】
上記化12の反応式については、次のとおり。出発物質であるノニルフェノール1は、プロセス(1),(2),(3),(4)を辿り、OHラジカルによる環状炭化水素の酸化,分解反応が進行して行く。OHラジカルは多くの場合、反応により水に帰す。
すなわちノニルフェノール1は、まずプロセス(1)において、OHラジカルがOH基のHを酸化して水に帰すと同時に、その環状構造を開環せしめる。そしてプロセス(2)において、OHラジカルによる酸化,分解反応が更に進行し、C=Oの二重構造が形成される。プロセス(3)に至ると、OHラジカルがH基(水素原子)を酸化して水に帰した後、不対電子をもつ炭素CにOHラジカルが付加される。
そしてプロセス(4)で、OHラジカルがOH基を酸化して水に帰すと同時に、O=C=C=O,不対電子を持つ炭素化合物,炭酸ガス,酸素等が生成される(なお、式中の※印表記は、不対電子を持つ炭素Cを示す。以下同様)。
しかる後、O=C=C=Oの部分については、後述する化14の連鎖プロセス(9)〜(11)を辿ることになる。他方、不対電子を持つ炭素化合物の部分については、次の化13の連鎖プロセス(5)〜(8)を辿ることになる。
【0058】
【化13】

【0059】
上記化13の反応式については、次のとおり。まず、前記化12のプロセス(4)で生成された不対電子を持つ炭素化合物に対して、化13のプロセス(5)で、それぞれOHラジカルが付加される。そしてプロセス(6)で、OHラジカルがOH基を酸化して水に帰すと同時に、不対電子を持つ新たな炭素化合物と、炭素ガスや酸素が生成される。
それから、プロセス(7)で、その不対電子を持つ炭素化合物に、OHラジカルが付加される。もってプロセス(8)に至り、OHラジカルがそのOH基を酸化して水に帰すと同時に、炭酸ガスや酸素が生成される。このようにして、不対電子を持つ炭素化合物は、この化13の各プロセスを辿ることにより、最終的にすべて、水,炭酸ガス,酸素に酸化,分解されてしまう。
他方、前述した化12のプロセス(4)の残基であるO=C=C=Oの部分については、次の化14の反応式のとおり。
【0060】
【化14】

【0061】
上記化14の反応式については、次のとおり。まず、プロセス(9)−1では、OHラジカルによる水の酸化分解により、発生期の原子状水素(H+e)が生成される。
もって、プロセス(9)−2において、この発生期の原子状水素により、プロセス(4)で生成されていたO=C=C=Oは、ホルムアルデヒド(HCHO)を生成する。そして、プロセス(10)を経由してプロセス(11)に至り、OHラジカルにて、最終的にすべてが、水,炭酸ガス,酸素に酸化,分解されてしまう。
結論として、ノニルフェノール1は、このような化12〜化14の反応式に示した連鎖プロセス(1)〜(11)を辿ることにより、理論上すべて、水と炭酸ガスと酸素に酸化,分解されてしまう。
そこで、以上説明した所を総括すると、次の化15の総括反応式が得られる。すなわち、連鎖プロセス(1)〜(11)の各反応式を合算すると、次のようになる。
【0062】
【化15】

【0063】
この化15の総括反応式については、次のとおり。化15の反応式のように、1モルのノニルフェノール1は、理論上は、118モルのOHラジカルにより、15モルの炭酸ガスと、71モルの水と、9モルの酸素とに、酸化,分解される。
OHラジカルは、この例では、反応理論値として118モルを予め準備すれば良いが、実際必要量としては、例えば、その数倍程度と多目に準備される。勿論、OHラジカルの生成物質である過酸化水素や2価の鉄イオン等についても、同様である。
ノニルフェノール1の酸化,分解過程の詳細は、このようになっている。
【実施例】
【0064】
次に、本発明の処理装置2および処理方法の実施例について、説明する。
この実施例では、処理槽4に対し、ノニルフェノール1およびエチレングリコールを含有した被処理水3を、サンプル原水として供給して、実験した。そしてサンプル毎に、それぞれの実験条件のもとで各薬品を所定順序で添加してフェントン処理し、もってそれぞれの実験結果が得られた。以下、これらについて詳述する。
まず、この実施例の前提条件については、次のとおり。
前提条件として、被処理水3について、ノニルフェノール1のみならずエチレングリコールを含有せしめた理由は、次の各点にある。すなわち、ノニルフェノール1の水への溶解性,水溶性や分散性を向上させる点、工業廃水ではノニルフェノール1がエチレングリコールと共に排出されるケースが多い点、共に難分解性の有機化合物でありフェントン処理にて水,炭酸ガス,酸素に酸化,分解される点、等にある。
因に、エチレングリコールのフェントン処理による酸化,分解の総括反応式は、次の化16のとおり(ノニルフェノール1については、前述した化15の総括反応式を参照)。
【0065】
【化16】

【0066】
次に、この実施例の実験条件については、次のとおり。
(1)まずサンプル1は、ノニルフェノール1を3.7mg/L含有すると共に、エチレングリコールを100mg/L含有した1Lの処理水3よりなり、サンプル原水として、処理槽4に供給される。つまり、サンプル2−1,2−2,3の原水となる。
(2)サンプル2−1およびサンプル2−2では、供給されたサンプル1の処理水3を、硫酸添加量を除き同一実験条件のもとで、日時を変えてフェントン処理した。
(3)サンプル3では、サンプル2−1および2−2に比し、硫酸第一鉄7水和物(FeSO・7HO)の添加量を約2割減少させた実験条件のもとで、サンプル1の処理水3をフェントン処理した。
(4)サンプル4では、まず、ノニルフェノール1を3.7mg/L含有すると共に、エチレングリコールをサンプル1,2−1,2−2,3に比し1.5倍の150mg/L含有した1Lの処理水3を、サンプル原水とした。つまり、エチレングリコールの増量により、ノニルフェノール1の溶解性や分散性をより向上させた処理水3を、サンプル原水として処理槽4に供給した。もってサンプル4では、その所定実験条件のもとで、これをフェントン処理した。
そして、各サンプル2−1,2−2,3,4毎の実験条件については、次の表1のとおり。
過酸化水素や硫酸第一鉄7水和物は、フェントン試薬として添加される。硫酸(HSO)やカセイソーダ(NaOH)は、pH調整剤として添加される。ポリ塩化アルミニウム(PAC)は、フェントン処理後に凝集剤として添加される。
因に、サンプル2−1,2−2等において過酸化水素は、1.77mL/Lとなっているが、その内訳は、ノニルフェノールのフェントン処理用として0.15mL/L、そして、エチレングリコールフェントン処理用として1.62mL/Lである。又、硫酸第一鉄7水和物は、2.83g/Lとなっているが、その内訳は、ノニルフェノールのフェントン処理用として0.241g/L、そして、エチレングリコールのフェントン処理用として2.59g/Lである。
【0067】
【表1】

【0068】
次に、この実施例の実験結果については、次のとおり。
フェントン処理前のサンプル1の被処理水3と、上述した実験条件に基づきフェントン処理した後のサンプル2−1,2−2,3,4の被処理水3とについて、含有されるノニルフェノールの含有量、その他の分析項目についてそれぞれ計測した結果、次の表2のデータが得られた。
なお、サンプル2−1,2−2,3,4のデータは、分析サンプルであるフェントン処理後の被処理水3を、凝集沈殿,固液分離した濾過液を対象に、計測して得られた。
【0069】
【表2】

【0070】
この表2の実験結果により、ノニルフェノール1は、水と炭酸ガスと酸素とに酸化,分離,無機化されてしまい、被処理水3中には殆ど存在しなくなったことが、データ的に確認された。
サンプル2−1では0.2mg/L、サンプル2−2では0.07mg/L、サンプル3では0.18mg/L、サンプル4では0.01mg/L程度となり、サンプル1の3.7mg/Lからの高い除去率が、達成された。
又、これらの点は、COD−CrやCOD−Mn(2クロム酸カリウムや過マンガン酸カリウムを使用した科学的酸素消費量)のデータや、BOD(生物化学的酸素消費量)のデータや、TOC(有機体炭素)のデータ、電気伝導率のデータ等々によっても、裏付けられた。サンプル4のCOD−Crについては、定量下限値である5mg/L未満であったことを示す。なお、実測値は、4.7mg/Lであった。
実施例については、以上のとおり。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係るノニルフェノール処理装置および処理方法について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、その1例の構成フロー図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ノニルフェノール
2 処理装置
3 被処理水
4 処理槽
5 処理水供給手段
6 過酸化水素添加手段
7 鉄イオン添加手段
8 pH調整手段
9 処理水槽
10 pH調整槽
11 後処理槽
12 中和槽
13 沈殿槽
14 凝集沈殿槽
15 濾過槽
16 pH調整槽
17 処理水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に含有されたノニルフェノールを、フェントン法に基づき酸化,分解する処理装置であって、処理槽と、該処理槽に付設された処理水供給手段,過酸化水素添加手段,鉄イオン添加手段,pH調整手段とを、備えており、
該処理水供給手段は、該処理槽にノニルフェノールを含有した被処理水を供給し、該過酸化水素添加手段は、該処理槽の被処理水に過酸化水素を添加し、該鉄イオン添加手段は、該処理槽の被処理水に2価の鉄イオンを添加し、
該pH調整手段は、該処理水供給手段から該処理槽に供給される被処理水、および該処理槽の被処理水にpH調整剤を添加して、被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とするノニルフェノール処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したノニルフェノール処理装置において、該過酸化水素添加手段は、反応当初に過酸化水素の水溶液を全量添加し、該鉄イオン添加手段は、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して、2価の鉄イオン溶液を分割添加し、
該pH調整手段は、過酸化水素の添加前には酸pH調整剤を添加し、過酸化水素の添加後においては2価の鉄イオン溶液の分割添加毎に、アルカリpH調整剤を添加すること、を特徴とするノニルフェノール処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載したノニルフェノール処理装置において、該鉄イオン添加手段は、硫酸第一鉄の水溶液を添加し、
該pH調整手段は、例えば硫酸又はカセイソーダを添加し、もって該処理槽内の被処理水をpH4程度に維持して、添加される過酸化水素の水と酸素への分解反応を抑制すること、を特徴とするノニルフェノール処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載したノニルフェノール処理装置において、該処理槽内では、全量添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて、分割添加の都度還元されてOHラジカルを生成すると共に、
被処理水に含有されたノニルフェノールが、このOHラジカルにて酸化,分解され、もって水や炭酸ガス等の低分子化合物に無機化されること、を特徴とするノニルフェノール処理装置。
【請求項5】
被処理水に含有されたノニルフェノールを、フェントン法の処理プロセスに基づき酸化,分解する処理方法であって、ノニルフェノールを含有した被処理水に対し、過酸化水素と2価の鉄イオンとpH調整剤とが添加されると共に、
過酸化水素は、反応当初に全量添加され、2価の鉄イオンは、過酸化水素の添加後に間欠的に複数サイクル繰り返して分割添加され、
pH調整剤は、過酸化水素の添加前は酸pH調整剤が添加され、過酸化水素の添加後は2価の鉄イオンの分割添加毎にアルカリpH調整剤が添加され、もって被処理水を所定の弱酸性に維持すること、を特徴とするノニルフェノール処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載したノニルフェノール処理方法において、全量添加された過酸化水素が、触媒として分割添加される2価の鉄イオンにて、分割添加の都度還元されてOHラジカルが生成され、
もって、被処理水に含有されたノニルフェノールが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とするノニルフェノール処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載したノニルフェノールの処理方法において、更に、過酸化水素の還元反応にて生成された水酸化イオンが、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成された3価の鉄イオンにて酸化されて、OHラジカルが生成され、
もって、被処理水に含有されたノニルフェノールが、このOHラジカルにて酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とするノニルフェノール処理方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載したノニルフェノール処理方法において、生成されたOHラジカルが、更に被処理水等の水と反応して、新たなOHラジカルと水とを生成する反応が、連鎖的に繰り返され、
もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、被処理水に含有されたノニルフェノールが酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とするノニルフェノール処理方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載したノニルフェノール処理方法において、2価の鉄イオンの酸化反応にて生成される3価の鉄イオンと、過酸化水素とが反応して、少なくとも新たなOHラジカルを生成する反応が、連鎖的に繰り返され、
もって、このように繰り返し新たに生成されるOHラジカルにて、被処理水に含有されたノニルフェノールが酸化,分解されて、水,炭酸ガス,酸素等に無機化されること、を特徴とするノニルフェノール処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−82907(P2009−82907A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230444(P2008−230444)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(500561931)三井造船プラントエンジニアリング株式会社 (41)
【出願人】(507141066)株式会社ニクス (10)
【Fターム(参考)】