ノロウィルスモノクローナル抗体及びペプチド
本発明は、ノロウィルスに結合するモノクローナル抗体、ノロウィルスに対するモノクローナル抗体結合を阻害するペプチド、及びノロウィルスが細胞に結合することを阻害するペプチドに関連する。本発明の組成物は、ノロウィルス免疫源、治療、診断、及びワクチンとしての使用が発見される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1.優先権及び関連出願
本願は、係属中の2003年9月24日に提出された米国特許仮出願60/508,262号の優先権を主張する。全ての優先権及び関連出願は、本明細書中、その全体を参照によって組み込まれている。
【0002】
2.連邦政府委託調査に関する記載
本発明は、米国陸軍によって評価された認可番号DAMD17-01-C-0040及びNHIによって評価された認可番号AI-43450の政府支援の下になされている。
【0003】
3.背景
カリシビリダエ(Caliciviridae)科のノロウィルス属は、急性胃腸炎(gasteroenteritis)の非細菌性蔓延に最も共通する原因である形態学的に類似するが抗原性が多彩のウィルスを含んで成る(Huang ら., J. ID. 188: 19-31 (2003))。ノロウィルは、汚染された食物又は水の消費によって主に伝達されるが、ヒトからヒトへの直接伝達も生じうる。ノロウィルス感染症の症状としては、吐き気(nausea)、嘔吐(vomiting)、下痢、水様の非出血性下痢、腹部腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋肉痛、及び咽頭痛が挙げられる。流体のロスにより脱水が生じ、それは、ノロウィルス疾患に最も共通する合併症である。症状は通常24〜60時間続き且つ回復は、通常、深刻な、長期続発症を伴わず完了する。
【0004】
ノロウィルスゲノム RNAのヌクレオチド及び推定アミノ酸配列は、多くの単離物から入手可能である (例えば, DingleらJ Gen. Virol. 76 (Pt9): 2349-2355 (1999); GreenらJ. Infect. Dis. 185: 133-146 (2000); HaleらClinical and Diagnostic Laboratory Immunology 6: 142-145 (1999); JiangらVirology 195: 51-61 (1993); JiangらJ. Med. Virol. 47: 309-316 (1995); Kingらウィルス Genes 15: 5-7 (1997); KobayashiらJ. Clin. Microbiol. 38: 3492-3494 (2000);LambdenらScience 259: 516-519 (1993); LambdenらVirus Genes 10: 149-152 (1995); LewらVirology 200: 319-325 (1994); LiuらArch. Virol. 1140: 1345-1356 (1995);SomeyaらVirology 278: 490-500 (2000)を参照のこと)。ノロウィルス分子生物学における進展に関わらず、免疫力、ウィルス-細胞相互作用、及び抗ウィルス療法の潜在的標的は解明されていない。これらの研究は、ノロウィルスに関する組織培養系及び動物モデルが入手可能ではないため妨げられている。従って、ノロウィルに対する体液性及び細胞性免疫反応並びに病原性におけるウィルス遺伝子産物の役割は、厳重に検証されていない。ボランティア研究は、ノロウィルスチャレンジに対して抵抗体の役割を確立するが、この免疫は寿命が短く且つ種特異性である。約27〜42月続く長期免疫が、チャレンジ研究において確認されているが、プレチャレンジ血清抗体力価又は抗ウィルス抗体反応と相関関係がない。
【0005】
従って、感染防御免疫の標的であり且つ宿主細胞と反応するノロウィルスタンパク質の領域を特定するための方法に対する要請がある。これらの領域を同定することは、ノロウィルス診断試薬、治療、及びワクチンに関する基礎を供する。
【発明の開示】
【0006】
3.発明の概要
本発明は、ノロウィルスのカプシドタンパク質を結合するモノクローナル抗体(MAb)及びMAbによって認識されるノロウィルスのカプシドタンパク質の領域を同定する。一層詳細には、本発明は、ノロウィルスカプシドタンパク質エピトープを同定し且つカプシドタンパク質エピトープのアミノ酸組成を特定する方法を供する。本発明の組成物は、免疫原、ワクチン、抗ウィルス治療剤、及び診断試薬として使用することを発見する。
【0007】
一つの実施態様において、本発明は、ノロウィルスカプシドタンパク質に結合する抗体を提供する。好適な実施態様において、抗体は、ノロウィルスカプシドタンパク質を結合するための第二抗体と競合する。
【0008】
他の実施態様において、本発明は、ノロウィルスカプシド抗体がノロウィルスに結合することを遮断するペプチドを提供する。
【0009】
他の実施態様において、本発明は、ノロウィルスが細胞に結合することを遮断するペプチドを提供する。
【0010】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般式又は配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58 (配列番号:142)(式中、X50はW及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T、G、H及びNから成る群から選択され、そしてTが好適である;X52はR、L、F及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D、P、T、A及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり; X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はQ、G、M、E、W、S、L、T、I、A、V及びNから成る群から選択され;X55はE、D、R、Q、H及びPから成る群から選択され、そしてHが好適であり;X56は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、G、K及びSからなる群から選択され;X57は、L、I、D及びVから成る群から選択され、そして、Lが好適であり;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、S、K、A、Q、V、Y、H、L、T及びWからからなる群から選択される)である。
【0011】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58 (配列番号:143)を含んで成る。
【0012】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)(式中、X50はW及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T及びNから成る群から選択され、そしてTが好適であり;X52はR、L及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり;X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、Q、G、M、E、W、S及びNから成る群から選択され;X55はH及びPから成る群から選択され、そしてH好適であり;X56は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、K及びSからなる群から選択され;X57はL、I、D及びVからなる群から選択され、そしてL 好適であり;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はS、K、A、Q、V、Y、H、L及びWから成る群から選択される)である。
【0013】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは配列W-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58(配列番号:144)(式中、X52は、R及びFからなる群から選択され;X53はP及びGからなる群から選択され;X54は、S、G及びQからなる群から選択され;X55は、H及びEからなる群から選択され;X56はN、G及びQからなる群から選択され;そしてX58は、S及びTからなる群から選択される)である。
【0014】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えばX50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58 (配列番号:144)であり、いくつかの実施態様において、更に(i)アミノ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができ、そして/又は(ii)カルボキシ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドの1又は複数のアミノ酸の例えば、X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58 (配列番号:144)は、いくつかの実施態様において、図8に記載のような、ノロウィルス配列に対応しうる。
【0015】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、式又は配列X60-X6l-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)(式中、X60はW、D、E、G、S及びAからなる群から選択され、そしてWが好適であり;X61はL、I、V及び所定の位置における欠失からなる群から選択され、そしてLが好適であり;X62はI、L、V及びAからなる群から選択され、そしてI及びLが好適であり、そしてIが特に好適であり;X63は、D及びGから成る群から選択され、そしてDが好適であり;X64は、K、V、T 及びFからなる群から選択され、そしてK及びFが好適であり、そしてKが特に好適であり;そしてX65はL及びPから成る群から選択される)である。
【0016】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えば、X60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)は、いくつかの実施態様において、更に(i)アミノ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができ、そして/又は(ii)カルボキシ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えば、X60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65 (配列番号:145)は、図9に記載のノロウィルス配列に対応する1又は複数のアミノ酸配列を含んで成りうる。
【0017】
好適な実施態様において、本発明のペプチドはアミノ酸配列WTRGSHNL(配列番号:1)、WTRGGHGL(配列番号:2)、WTRGQHQL(配列番号:3)、又はWLPAPIDKL(配列番号:4)を含んで成る。
【0018】
他の観点において、本発明は、抗体のノロウィルスへの結合を遮断する方法を供する。一つの実施態様において、標識抗体のノロウィルスへの結合は、他の、好適な、未標識抗体がウィルスへ結合することによって遮断されて良い。他の実施態様において、抗体の結合は、抗体が、本発明のペプチドへ結合することによって阻害されて良い。
【0019】
他の観点において、本発明は、ノロウィルスのカプシドタンパク質へ結合し、そして当該ウィルスの、細胞へ接着又は結合することを予防する抗体を提供する。いくつかの実施態様において、ウィルスが細胞に結合することを妨げることによって、細胞の感染症を予防する。好適な実施態様において、抗体は、NV54.6、NV72.10、又はSMV61.21である。従って、他の観点において、本発明は、ノロウィルスの治療又は予防処置の両方として使用する抗体及び方法を提供する。
【0020】
他の観点において、本発明は、ノロウィルスが細胞への結合することを阻害するペプチドを提供する。いくつかの実施態様において、ウィルスが細胞に結合するのを予防することによって細胞の感染を予防する。好適な実施態様において、本発明のペプチドは、1730(配列番号:1)、1731(配列番号:2)、1732(配列番号:3)、又は1800(配列番号:4)である。従って、他の観点において、本発明は、NVの予防又は治療の両方として使用するペプチド及び方法を提供する。
【0021】
他の観点において、本発明は、宿主において免疫反応を誘導し、従って、感染症を予防する又はNV疾患を軽減する方法を供する。好適な実施態様において、本発明のペプチドは、11730(配列番号:1)、1731(配列番号:2)、1732(配列番号:3)、又は1800(配列番号:4)である。従って、他の観点において、本発明は、ノロウィルスに対する治療又は予防の両方として使用するペプチド及び方法を供する。
【0022】
他の観点において、本発明は、診断剤としての使用を発見する抗体及びペプチドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
5.詳細な説明
本発明は、所定の抗体がノロウィルスのカプシドタンパク質に結合することができ且つノロウィルスが細胞に接着又は結合することを予防できるという発見に関する。本明細書中の「MS抗体」と命名されたこれらの抗体は、例えば、モノクローナル抗体(MAb)、例えば、NV54.6、NV72.10、及びSMV61.21が挙げられる。従って、NV54.6、NV72.10、及び/又はSMV61.21と同じ、類縁の、又は対応するエピトープを結合することができるMS抗体の、ノロウィル感染症もしくは疾患の治療もしくは予防的処置の両方としての使用を発見する。MS抗体は、ファージディスプレースクリーンにより同定されるいくつかのペプチド(本明細書中、用語MSペプチド)を結合することが示されている。MSペプチドは、免疫原として、例えば、治療組成物の、限定はされないが、ワクチンとして、ノロウィルス感染症を予防、改善又は治療することができる免疫反応を生み出すため、又はノロウィルスが細胞に完全に結合するのと競合する治療ペプチドとして使用されて良い。
【0024】
従って、組成物に加え、本発明は、ノロウィルスが細胞へ結合することを阻害する方法を供する。いくつかの実施態様において、ノロウィルスが細胞に結合することを減らす又はなくすことにより感染性が減らされうる。いくつかの実施態様において、本発明は、ノロウィルスが宿主細胞に対して結合することを、本発明のMS抗体又はMSペプチドによって、阻害する方法を含む。この方法は、宿主又は患者におけるノロウィルス疾患の治療、ノロウィルスの同定、及びノロウィルス疾患の診断における使用を発見する。
【0025】
いくつかの実施態様において、カプシドタンパク質と細胞上の対応するリガンドの結合の相互作用を阻害することを含んで成る。相互作用の部位は、MS抗体が結合するエピトープであり、それは細胞よって結合されるカプシドタンパク質に対応しうる。いくつかの実施態様において、MS抗体が結合するエピトープは、細胞リガンドとの相互作用のカプシドタンパク質部位の一次又は二次構造に従い隣接して良く、従って立体的にかかる相互作用を阻害する。従って、MS抗体のノロウィルスに対する結合は、直接的に又は間接的に(例えば、立体的に)、カプシドタンパク質と細胞リガンドの相互作用を阻害する。いくつかの実施態様において、細胞は宿主細胞であり且つMS抗体の結合は、ノロウィルスによる宿主細胞の相互作用を阻害しうる。
【0026】
いくつかの実施態様において、前記方法は、カプシドタンパク質と対応するリガンドの細胞上での結合の相互作用を阻害することを含んで成る。いくつかの実施態様において、本発明のペプチドは、細胞上の対応するリガンドへ結合することができる。リガンドへのペプチドの結合は、ノロウィルスが細胞へ結合することを阻害する。いくつかの実施態様において、細胞は宿主細胞であり且つペプチドがそこへ結合することは、ノロウィルスによる宿主細胞の感染を阻害することができる。
【0027】
従って、本発明は、ノロウィルスに結合し且つMS抗体と競合する抗体を提供する。本明細書中、「ノロウィルス」、「ノロウィルス(NOR)」、「ノロウィルス」及び文法上同等物は、カリシビリダエ(Caliciviridae)群のノロウィルス属のメンバーを意味する。いくつかの実施態様において、ノロウィルスは、類縁の、ポジティブセンス単鎖RNA、ヒト又はヒト以外の哺乳動物種に対して感染性でありうる非エンベロープウィルスを含の集団を含む。いくつかの実施態様において、ノロウィルスは、ヒトにおいて急性胃腸炎を生じうる。ノロウィルスは、電子顕微鏡によって確認される場合、規定の表層構造又は辺縁を有する小型球形ウィルス(SRSV)に言及されうる。ノロウィルスには、15の遺伝子クラスターを含んで成り、核酸及びアミノ酸配列によって規定される少なくとも4つのゲノム集団(GI-IV)が挙げられる。この主要なゲノム集団は、GI及びGIIである。GIII及びGIVは、案ではあるが一般に受け入れられている。GIIIの代表的なものは、ウシ、Jena系統である。GIVは、この時点であるウィルス、アルファトロン(Alphatron)を含む。ノロウィルスの更なる記載は、Vinjeet al. J. Clira. Micro. 41: 1423-1433 (2003)を参照のこと。「ノロウィルス」とは、本明細書中、組換えノロウィルスウィルス様粒子(rNOR VLP)をも意味する。いくつかの実施態様において、例えばSf9細胞中のバキュロウィルスベクターから、細胞中、少なくとも、ORF2によってコードされるノロウィルスカプシドタンパク質の組換発現は、カプシドタンパク質がVLPへと入る偶発的自己集合をもたらす。いくつかの実施態様において、細胞中、例えばSf9細胞中のバキュロウィルスベクターに由来から、ORF1及びORF2によってコードされる少なくともノロウィルスタンパク質の組換え発現はカプシドタンパク質のVLPへの自己集合をもたらしうる。VLPは、構造的にノロウィルに類似するが、ウィルスRNAゲノムを欠き、それ故に感染性ではない。従って、「ノロウィルス」は、欠損性及び欠損-干渉性粒子を含む、感染性又は非感染性粒子であって良いヴァリオンを含む。
【0028】
ノロウィルスの非感染性粒子としては、ノーウォークウィルス(NV, GenBank M87661, NP056821)、サウサンプトンウィルス(SHV, GenBank L07418)、デザートシールドウィルス(DSV, U04469)、ヘッセウィルス(HSV)、チバウィルス(CHV, GenBank AB042808)、ハワイウィルス(HV,GenBank U07611)、スノーマウンテンウィルス(SMV, GenBank U70059)、トロントウィルス(TV, Leiteら, Arch. Virol. 141: 865-875)、ブリストルウィルス(MV, AY032605)、ジュナウィルス(JV, AJ011099)、メリーランドウィルス(MV, AY032605)、セトウィルス(SV, GenBank AB031013)、キャンバーウェル (CV, AF145896)、ロードスデールウィルス(LV, GenBankX86557)、グリムズビーウィルス(GRV, Haleら, Clinical and Diagnostic Laborato7y Im7nunology 6: 142-145)、メキシコウィルス(MXV, GenBankU22498)が挙げられる。各々の核酸及び対応するアミノ酸配列は、全てそれらの全体を本明細書中、参照によって組み込まれている。いくつかの実施態様において、暗号文が同定の目的で使用され且つ系統化されて良い、即ち、ウィルスが単離された宿主種/属の略号/種の略号/系統名/発生年/由来する国が使用され且つ系統化されて良い(Green etal., Human Calici virues, in FieldsVirology VoL 1841-874(主にKnipe及びHowley著 第4版, Lippincott Williams & Wilkins 2001))。ノーウォークウィルス及びスノーマウンテンウィルスがいくつかの実施態様において好適である。
【0029】
本発明は、ノロウィルスタンパク質(例えば、カプシドタンパク質)及びMSペプチドなど、様々なタンパク質を提供する。「タンパク質」とは、本明細書中、2つ以上の共有結合したアミノ酸を意味し、それはタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド及びペプチドを含む。いくつかの実施態様において、2つ以上の共有結合したアミノ酸は、ペプチド結合によって結合している。タンパク質は、天然に生じるアミノ酸及びペプチド結合から、又は合成ペプチドミメチック構造、即ち「類似物」、例えば、ぺプトイド(Simonet al.,PNAS USA 89 (20): 9367 (1992)を参照のこと)(それはプロテアーゼ又は他の生理学的及び/又は保存条件に対して耐性がある)からなる。従って、ペプチドミメチック構造体は、MSペプチドが患者に投与される場合に好適でありうる。従って、「アミノ酸」又は「ペプチド残基」とは、本明細書中、天然に生じるアミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味し、それはアミノ基、カルボキシル基、水素基、及びR-基、又は炭素原子に結合した「側鎖」を含む。従って、いくつかの実施態様において、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、及びノルロイシンは、本発明の目的ためのアミノ酸と考えられてよい。「アミノ酸」には、イミノ酸残基の例えば、プロリン及びヒドロキシプロリンが含まれる。アミノ酸「R基」又は「側鎖」は、(R)又は(S)構造のいずれかにあって良い。好適な実施態様において、アミノ酸は(S)又はL-構造である。様々な例示において、アミノ酸側鎖は、芳香族(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、イオウ(例えば、システイン、シスチン、メチオン)、ヒドロキシル(例えば、セリン、スレオニン、チロシン)、塩基性(例えば、リジン(-NH3)、アルギニン(グアニジニウム)、ヒスチジン(イミダゾール))、酸性(アスパラギン酸(-COOH)、グルタミン酸(-COOH)、アスパラギン(-CONH2)、グルタミン(-CONH2))、脂肪族(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)、及び/又は直鎖状又は枝分かれした炭素鎖を1〜5個有する(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)アルキルである。いくつかの実施態様において、アミノ酸側鎖は、α、β、及び/又はγ炭素などに結合して良い(Stryer. Biocheinistiyl5-42 (第3版. W. H. Freeman & Co. 1988))。もし天然に生じる側鎖が使用されれば、非アミノ酸置換基が、例えばin vivo分解を予防又は減らすために使用されて良い。「天然に生じるアミノ酸」及びその文章上同等物は、本明細書中、細胞によってそれが自然において発見される形態において生産されて良いアミノ酸を意味する。様々な実施態様において、天然に生じるアミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、チロシン(T)、トリプトファン(W)、システイン(C)、メチオニン(M)、セリン(S)、スレオニン(T)、リジン(K)、アルギニン(A)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、ヒドロキシプロリンであって良い。
【0030】
「ノロウィルスペプチド」、「NORペプチド」、及び文法上同等な用語は、本明細書中、ノロウィルスORFから推定されるアミノ酸配列と類似又は同一の配列を含んで成るタンパク質を意味する。いくつかの実施態様において、NORペプチドは、長さ約5〜約150アミノ酸である。好適な実施態様において、NORペプチドは、長さ約5〜約30アミノ酸である。一層さらに好適な実施態様において、NORペプチドは、長さ約5〜約15アミノ酸である。一層さらに好適な実施態様において、NORペプチドは、約8〜約20アミノ酸であり7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び19のペプチドを全て含む。従って、いくつかの実施態様において、NORペプチドはノロウィルスORFから推定された配列よりも短くて良い。いくつかの代替的な実施態様において、NORペプチドは、融合タンパク質等について下に記載のように、ノロウィルスORFから推定されるアミノ酸配列よりも長くて良い。
【0031】
「カプシドペプチド」及び文法上同等な用語は、本明細書中、ノロウィルスのORF2の推定アミノ酸配列と類似する又は同一のNORペプチドを意味する。いくつかの実施態様において、ペプチドとは、本明細書中に記載のとおり、もしそれが、ノロウィルスORF2から推定される配列に対して相同性を有するアミノ酸の配列を含んで成るなら、「カプシドペプチド」を意味する。この関係において、「相同性」は、約75%超、一層好適には約80%超、一層更に好適には約85%超であり且つ最も好適には約90%超である。いくつかの実施態様において、相同性は、約93〜95%以上又は98%でありうる。正確な相同性もペプチドの長さに基づいて決定されて良い。従って、長さ約7〜約15残基のペプチドの好適な相同性は約1又は2アミノ酸置換、挿入、及び/又は決失を有しうる。いくつかの実施態様において、ノロウィルスORF2の推定アミノ酸配列に対する配列類似性又は同一性は長さ約5〜約150アミノ酸である。好適な実施態様において、相同配列又は類似配列は、長さ約5〜約30アミノ酸である。一層好適な実施態様において、相同配列は長さ約5〜約15アミノ酸である。更に好適な実施態様において、相同配列は、長さ約8〜約20アミノ酸である。この関係において、相同性とは、配列の類似性又は同一性を意味し、そして同一性が好適である。この相同性は、下に記載の当業者に公知の標準技術を使用することで特定されるだろう。
【0032】
様々な例となる実施態様において、MSペプチドは、当業者に公知の有機合成技術によって又は組換え技術、例えば下に記載の組換え核酸の発現を通じて生産されて良い。組換えペプチドは、少なくとも1又は複数の特徴によって天然に生ずるタンパク質又はペプチドから区別されて良い。例えば、ペプチドは、通常、野生型宿主と関連している物質及び/もしくは化合物のいくつかもしくは全部から単離もしくは精製されて良く、従って実質的に純粋でありうる。例えば、単離されたペプチドは、物質であって、天然の状態でそれが結合する物質を伴わず、あるサンプル中、総物質の好適には少なくとも約0.5重量%、一層好適には少なくとも約5%重量を構成する物質を伴わない。実質上純粋なペプチドは、総タンパク質の約75重量%以上に含まれて、そして約80%以上が好適であり、そして約90%以上が特に好適である。いくつかの実施態様において、ペプチドは、組換え核酸から発現した場合、当該ペプチドが高い濃度レベルで調製されるように、誘導プロモーター又は高発現プロモーターの使用を通じて、天然において確認されるよりも有意に高い濃度で調製されて良い。代替的に、ペプチドは、天然において通常は発見されない形態、例えば、限定されないが、下に記載のとおり、エピトープ標識の付加又はアミノ酸置換、挿入、及び決失、融合パートナーの形態であって良い。
【0033】
好適な実施態様において、本発明は、下に概略を述べたように、様々な用途において使用するためのMSペプチドを提供する。いくつかの実施態様において、「MSペプチド」とは、カプシドペプチド、例えば、限定されないが、カプシド断片及び合成ペプチド(例えば、有機化学反応によって合成された又は組換え核酸から合成されたペプチド)を意味する。いくつかの実施態様において、MSペプチドは、上記の通り、カプシドタンパク質配列に非常に類似しうる。しかし、代替的な実施態様において、MSペプチドは、カプシドタンパク質配列に非常に相同的でなくて良い。いくつかの実施態様において、MSペプチドは、カプシドタンパク質の立体構造エピトープ又は直線状エピトープのいずれかを模擬することができる。従って、様々な例となる実施態様において、「MSペプチド」は、a)MS抗体がノロウィルスへ結合することを遮断する能力を示す;b)ノロウィルスが細胞へ結合することを遮断する能力を示す;c)ノロウィルスとの抗体交差反応性を誘導する;d)天然に生ずるカプシドタンパク質の生物活性を少なくとも1つ示す;及び/又はe)示された相同性を少なくとも有することができる。好適な実施態様において、MSペプチドは2以上のこれらの特性を示すことができる。好適な実施態様において、MSペプチドは、天然に生ずるタンパク質(再度、直線状又は立体構造エピトープ)と抗原性エピトープを少なくとも1つ共有するが、いくつかの実施態様においてこのことは必要とされなくて良い。様々な例となる実施態様において、本発明のMSペプチドは、天然に生ずる、推定アミノ酸配列よりも長いかあるいは短くて良い。好適な実施態様において、MSペプチドは、本明細書中に記載の配列の部分又は断片を含んで良い。好適な実施態様において、MSペプチドは、ノロウィルスに対する抗体の結合を阻害すること及び/又細胞に対するノロウィルスの結合を阻害することができる。
【0034】
好適な実施態様において、「MSペプチド」は、ノロウィルスORF2から推定されるアミノ酸配列に結合するMS抗体を誘導するペプチドを含む。当業者に公知のように、抗体はエピトープに対して特異的に結合する(Berzofskyらimmunogenicity and Antigen Structure, Fundamental Immunology 631-684 (Paul著 第5版, Lippincott Williams & Wilkins 2003))。「エピトープ」、「抗原決定基」、及び文法上同等な用語は、本明細書中、免疫反応(例えば、抗体, 免疫細胞)の産物によって特異的に結合されて良い抗原又は免疫源の領域を意味し、それは、抗体-結合部位又はT-細胞レセプター中の相補的残基と接触する及び/又は免疫反応を誘導することができる残基を含む(Berzofskyらimmunogenicity and Antigen Structure, Fundamental Immunology 637 (Paul,第5版, Lippincott williams及びWilkins 2003)。当業者に明らかなように、エピトープは、直線状エピトープ又は立体構造エピトープでありうる。「直線エピトープ」とは、直線態様で連結した約5以上で約20を超えないアミノ酸を含んで成るエピトープを意味し、このアミノ酸は、それ自体又はより長い配列の一部として、かかる配列に応じて生じた抗体と結合する。「立体構造エピトープ」とは、その3次(three dimential)、2次及び/又は3次(tertialy)構造が抗体結合の実質上の側面でありうるエピトープに言及される。一般に、画一的ではないが、立体構造エピトープを含んで成るアミノ酸は、タンパク質の一次構造の直線配列を含んで成らない。従って、立体構造エピトープは、非類似直線アミノ酸配列を有するタンパク質によって共有されうる。特定の理論にとらわれることなく、立体構造エピトープは、共有されて良く、何故なら、抗体によって認識される3次構造が2以上のアミノ酸配列の間で共有されうるからだ。従って、いくつかの実施態様において、本発明のMSペプチドは、天然に生じるノロウィルスタンパク質に反応して生産された抗体を結合でき及び/又は天然に生じるノロウィルスタンパク質に結合する抗体を誘導するように天然に生じるノロウィルスタンパク質の立体構造を模倣することができる。
【0035】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、MS抗体の結合について競合するそれらの能力により機能的に規定されている。即ち、MS抗体の例えば、NV54.6、NV72.10及び/又はSMV62.21は、本明細書中に概略を記載した特定のエピトープに結合し、そしてかかる結合のために争うペプチドがMSペプチドである。
【0036】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般式又は配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58 (配列番号:142)(式中、X50は、W及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T、G、H及びN から成る群から選択され、そしてTが好適であり;X52はR、L、F及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D、P、T、A及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり; X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はQ、G、M、E、W、S、L、T、I、A、V及びNから成る群から選択され;X55はE、D、R、Q、H及びPから成る群から選択され、そしてHが好適であり;X56はアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、G、K及びSからなる群から選択され;X57は、L、I、D及びVから成る群から選択され、そして、Lが好適である;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、S、K、A、Q、V、Y、H、L、T及びWからからなる群から選択される)を有することができる。
【0037】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58 (配列番号:143)を含んで成る。
【0038】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)(式中、X50は、W及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T及びNから成る群から選択され、そしてTが好適であり;X52はR、L及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり;X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、Q、G、M、E、W、S及びNから成る群から選択され;X55はH及びPから成る群から選択され、そしてH好適であり;X56は、任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、K及びSからなる群から選択され;X57は、L、I、D及びVからなる群から選択され、そしてLが好適であり;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はS、K、A、Q、V、Y、H、L及びWから成る群から選択される)を含んで成る。
【0039】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは配列W-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58(配列番号:142)(式中、X52は、R及びFからなる群から選択され;X53はP及びGからなる群から選択され;X54は、S、G及びQからなる群から選択され;X55は、H及びEからなる群から選択され;X56はN、G及びQからなる群から選択され;そしてX58は、S及びTからなる群から選択される)を含んで成る。
【0040】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えば、X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58 (配列番号:144)は、いくつかの実施態様において、更に(i)アミノ末端において1又は数個のアミノ酸を含んで成り、そして/又は(ii)更にカルボキシ末端で1又は数個のアミノ酸を含んで成る。いくつかの実施態様において、例えば、MSペプチドの1又は複数のアミノ酸の例えば、X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58(配列番号:144)は、いくつかの実施態様において、図8.に記載のように、ノロウィルス配列に対応する。
【0041】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、一般配列W-Xl-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8 (配列番号:97)(式中、X1は、I、N、S、又はTであって良く;X2は、I、L、又はRであって良く;X3はD、G、K、Q又はSであって良く;X4は、D、E、G、N、M、Q、Sであって良く又は;X5は、H又はPであって良く;X6はF、K、N、Q、R、S、又はTであって良く;X7は、D、I、L、又はVであって良く;そしてX8は、A、H、K、L、Q、S、V、W、又はYであって良い)を有する。
【0042】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般配列 W-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7 (配列番号:98)(式中、X1はI、N、S、又はTであって良く;X2はI、L、又はRであって良く;X3はD、G、K、Q、又はSであって良く;X4は、D、E、G、N、M、Q、S、又はWであって良く;X5はH又はPであって良く;X6はG、F、K、N、Q、R、S、又はTであって良く;そしてX7はD、I、L又はVであって良い)を有しうる。
【0043】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般配列WTRGX9HX10L(配列番号:95)(式中、X9及びXl0は、独立して任意のアミノ酸である)を有しうる。いくつかの実施態様において、X9及びX10は、独立して任意の天然に生ずるアミノ酸である。いくつかの実施態様において、X9はD、E、G、N、M、Q、S、又はWであって良い。いくつかの実施態様において、X9はS、G、又はQであって良い。いくつかの実施態様において、Xl0は、G、F、K、N、Q、R、S、又はTであって良い。いくつかの実施態様において、X10は、G、N、又はQであって良い。いくつかの実施態様において、X9はS、G、又はQであって良く、そしてXl0は独立してX9のG、N、Qであって良い。
【0044】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ぺプチド1730(WTRGSHNL:配列番号:1)、1731(WTRGGHGL:配列番号:2)、1732(WTRGQHQL:配列番号:3)、1733(WSLGQHRIS:配列番号:31)、1734(WIRQGPFDK:配列番号:32)、1735(WTRGMHQVS:配列番号:33)、1736(WTRSEHNLA:配列番号:34)、1737(WTLQWHTIQ:配列番号:35)、1738(WSLDSHRLV:配列番号:36)、1739(WTRGQHKLQ:配列番号:37)、1740(WNIKQHSLY:配列番号:38)、1741(WTRDQHQLH:配列番号:39)、1742(WTLKNHTLS:配列番号:40)、1743(WTRSMHSLL:配列番号:41)、1744(WTRSMHSLV:配列番号:42)、1745(WTRGDHQVW:配列番号:43)、1746(WTRGDHQVX(Xは任意の天然に生ずるアミノ酸であって良い):配列番号:44)、1747(WTRGMHQVW:配列番号:45)であって良い。
【0045】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、式又は配列X60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)(式中、X60は、W、D、E、G、S及びAからなる群から選択され、そしてWが好適であり;X61は、L、I、V及び所定の位置における欠失から選択され、そしてLが好適であり;X62は、I、L、V及びAからなる群から選択され、そしてI及びLが好適であり、そしてIが特に好適であり;X63は、D及びGからなる群から選択され、そしてDが好適であり;X64は、K、V、T及びFからなる群から選択され、そしてK及びFが好適であり、そしてKが特に好適であり;そしてX65はL及びPからなる分から選択される)を有しうる。
【0046】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えばX60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)は、いくつかの実施態様において、さらに(i)1又は数個のアミノ酸を所定のアミノ末端で、そして/又は(ii)1又は数個のアミノ酸をカルボキシ末端で含んで成る。いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えばX60-X6l-P-A-P-X62-X63-X64-X65 (配列番号:145)は、図9に記載のように、1又は数個の、ノロウィルス配列に対応する配列を含んで成ることができる。
【0047】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、一般配列X11-X12-P-A-P-X13-X14-X15-X16(配列番号:46)(式中、X11は、任意のアミノ酸であって良く;X12は、直線状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有して良く;X13は、直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有して良く;X14は、酸性側鎖又は水素側鎖を有するアミノ酸であって良く;X15は、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であって良く;X16は、脂肪族側鎖又はイミノ酸を有するアミノ酸であって良い)を有しうる。
【0048】
いくつかの実施態様において、X11は天然に生ずるアミノ酸であって良く;X12は、天然に生ずる、直鎖状側鎖又は枝分かれ側鎖を有するアミノ酸であって良く;Xl3は、天然に生ずる、直鎖状又は枝分かれした側鎖を有するアミノ酸であって良く;X14は、天然に生ずる、酸性又は水素側鎖を有するアミノ酸であって良く;X15は、天然に生ずる、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であって良く;そしてX16は、脂肪族側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸又は天然に生ずるイミノ酸であって良い)を有しうる。
【0049】
いくつかの実施態様において、X11は、酸性側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸であって良く;X12は、I、L、又はVであって良く;X13はA、I、L、又はVであって良く;X14は、D、E、又はGであって良く;Xl5はK、T、又はVであって良く;そしてX16はL又はPであって良い。
【0050】
いくつかの実施態様において、X11は、Wであって良く;Xl2はI、L、又はVであって良く;X13は、I又はLであって良く;X14は、Dであって良く;X15は、Kであって良く;そしてX16は、Lであって良い。いくつかの実施態様において、X11は、Wであって良く;Xl2はLであって良く;X13はIであって良く;X14は、Dであって良く;X15はKであって良く;そしてX16はLであって良い。
【0051】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ペプチド1800(WLPAPIDKL:配列番号:4)、1801(DIPAPLGVP:配列番号:48)、1802(EIPAPLGTP:配列番号:49)、1803(WIPAPIDKL:配列番号:50)、1804(WVPAPLDKL:配列番号:51)、1805(WIPAPLGKL:配列番号:52)、1806(WVPAPLGKL:配列番号:53)、1807(WIPAPLGVK:配列番号:54)、1808(WIPAPLGTL:配列番号:55)、1809(WVPAPLGTL:配列番号:56)、1810(WIPAPLGVP:配列番号:57)、1811(WIPAPLGTP:配列番号:58)、又は1812(WVPAPLGTP:配列番号:59);1812(WLPAPLDKL:配列番号:100)、1813(WIPAPLGVL:配列番号:101)、1814(WIPAPLGVL:配列番号:102)、1815(DIPAPLGTP:配列番号:103)、又は1816(DVPAPLGTP:配列番号:104)であって良い。
【0052】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、一般配列Xl8-P-A-P-X19-G-F-P (配列番号:60)(式中、Xl8は、脂肪族又はヒドロキシアルキル側鎖を有する任意のアミノ酸であって良く;そしてX19は、直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であって良い)を有しうる。
【0053】
いくつかの実施態様において、X18は、脂肪族又はヒドロキシアルキル側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸であって良く;そしてX19は、直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸であって良い。いくつかの実施態様において、Xl8はA、S、又はGであって良く;そしてX19はI、V、又はAであって良い。
【0054】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ペプチド1900(GPAPIGFP:配列番号:61)、1901(SPAPIGFP:配列番号:62)、1902(SPAPVGFP:配列番号:63)、1903(APAPAGFP:配列番号:64)、1904(WLPAPIGFL:配列番号:65)、1905(WLPAPIGFP:配列番号:66)、1906(WPAPIDKL:配列番号:67)、1907(WPAPIGKL:配列番号:68)、1908(WPAPIGFL:配列番号:69)、1909(WPAPIGFP:配列番号:70)、1910(WLPAPVDKL:配列番号:71)、1911(WLPAPVGKL:配列番号:72)、1912(WLPAPVGFL:配列番号:73)、1913(WLPAPVGFP:配列番号:74)、1914(WPAPVDKL:配列番号:75)、1915(WPAPVGKL:配列番号:76)、1916(WPAPVGFL:配列番号:77)、1917(WPAPVGFP:配列番号:78)、1918(WLPAPADKL:配列番号:79)、1919(WLPAPAGKL :配列番号:80)、1920(WLPAPAGFL:配列番号:81)、1921(WLPAPAGFP:配列番号:82)、1922(WPAPADKL:配列番号:83)、1923(WPAPAGKL:配列番号:84)、1924(WPAPAGFL:配列番号:85)、1925(WPAPAGFP:配列番号:86)、1926(WLPAPIGKL:配列番号:105)であって良い。
【0055】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、他のMSペプチドのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含んで成ることができる。「対応」及び文法上同等物は本明細書中、相同又は類似を意味する。従って、いくつかの実施態様において、第一のMSペプチドは、第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質と相同性又は類似性を有することによって、当該第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質に対応する。いくつかの実施態様において、第一MSペプチドは、第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質に対応するが、当該第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質と上記配列相同性を有する。従って、いくつかの実施態様において、第一及び第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質は、類似配列を有することによって互いに対応しうるが、ここで類似性は構造及び/又は機能的関係によって確認されて良い。例えば、構造的及び/もしくは機能的に関連するタンパク質及び/もしくはペプチドの間での対応は、一次構造を比較することによって確認されて良く、例えば、2以上のノロウィルスORF2とMSペプチドの推定アミノ酸配列を比較することによって確認されて良い。例えば、ノロウィルスのORF2は、ウィルスが細胞に接着すること及び集合することの機能を果たすウィルスカプシドタンパク質をコードすることが示されている。従って、ノロウィルスのORF2の推定アミノ酸配列内の類似配列が確認されて良い。例えば、いくつかの実施態様において、第一のMSペプチドは、第一のノロウィルスORF2の推定アミノ酸配列に相同的である配列である。第一のノロウィルスのアミノ酸配列を第二のノロウィルスORF2アミノ酸配列に対して、下記のように、並べることで、第一のMSペプチドに対応する配列が、第二のノロウィルスORF2 (図8、9)において同定されて良い。様々な例となる実施態様において、類似又は対応する配列は長さ、約5アミノ酸以上、長さ約10アミノ酸以上、長さ約20アミノ酸以上であって良く、そしていくつかの実施態様においては、より長くて良い。好適な実施態様において、対応する配列は好適に逐次的(sequential)である。いくつかの実施態様において、対応する配列は、2つの推定及び/又は予測された3次構造又はノロウィルスカプシドタンパク質を比較することによって決定されて良い。例えば、NVのアミノ酸133〜137に対応する領域は、カプシドタンパク質のヒンジ領域に近い「S」領域内にある。従って、本発明は、このような特定の領域に対応するペプチド及びこのような領域に結合する抗体を含む。
【0056】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、アミノ酸133〜137(GSHNL:配列番号:87)に対応する配列を含んで成ることができる。従って、いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ペプチド1730を含んで成る。いくつかの実施態様において、ペプチド1730に対応するMSペプチドは、限定ではないが、ペプチド2000(WTRAAQNI:配列番号:88)、2001(WTRTSSSL:配列番号:89)、2002 WTRQSRTL:配列番号:90)、2003(WTRPVENL:配列番号:91)、2004(WTRPLENL:配列番号:92)、2005(WTRPTEGL:配列番号:93)、2006(WTRPAEGL:配列番号:106)、2007(WLSPTEGL:配列番号:107)、2008(WLSGSHNL:配列番号:108)、2009(WIRGSHNL:配列番号:109)、2010(WNIGSHNL:配列番号:110)、2011(WLSAAQNI:配列番号:111)、2012(WIRAAQNI:配列番号:112)、2013(WNIAAQNI:配列番号:113)、2014(WLSTSSSL:配列番号:114)、2015(WIRTSSSL:配列番号:115)、2016(WNITSSSL:配列番号:116)、2017(WLSQSTRL:配列番号:117)、2018(WIRQSTRL:配列番号:118)、2019(WNIQSTRL:配列番号:119)、2020(WLSPVENL:配列番号:120)、2021(WIRPVENL:配列番号:121)、2022(WNIPVENL:配列番号:122)、2023(WLSPLENL:配列番号:123)、2024(WIRPLENL:配列番号:124)、2025(WNIPLENL:配列番号:125)、2026(WIRPTEGL:配列番号:126)、2027(WNIPTEGL:配列番号:127)、2028(WLSPAEGL:配列番号:128)、2029(WIRPAEGL:配列番号:129)、2030(WNIPAEGL:配列番号:130)、2031(WTRPIDNL:配列番号:131)、2032(WLSPIDNL:配列番号:132)、2033(WIRPIDNL:配列番号:133)、又は2034(WNIPIDNL:134)、2035(WLSQSRTL:配列番号:135)、2036(WIRQSRTL:配列番号:136)、2037(WNIQSRTL:配列番号:137);2038(WTRPVENI:配列番号:138)、2039(WLSPVENI:配列番号:139)、2040(WIRPVENI:配列番号:140)、2041(WNIPVENI:配列番号:141が挙げられる。
【0057】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、SMV(DIPAPLGVP:配列番号:48)のアミノ酸319〜327に対応する配列を含んで成ることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドは、SMVのアミノ酸320〜324 (IPAPL:配列番号:146)に対応する配列を含んで成りうる。
【0058】
いくつかの実施態様において、本発明のMSペプチドは、アミノ酸配列変異体である。変異体は、1又は複数の3つのクラス:置換、挿入又は欠失の変異体に分類される。これらの変異体は通常、上に概略を示したとおり、カセットもしくはPCR突然変異誘発もしくは他の当業者に周知の技術を使用することで、MSペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発によって、変異体をコードするDNAを生産し、この後組換え細胞培養物中でDNAを発現させることによって調製されて良い。しかし、最大で約100〜150残基を有する変異体MSペプチドが、確立された技術を使用することによって調製されて良い。アミノ酸配列変異体は、変異体の所定の性質であって、カプシドタンパク質アミノ酸配列の天然に生じる変異とは別に、それらを指定する性質を特徴としうる。典型的に、変異体は、天然に生ずる類似物と同等の生物活性を示すが、変異体は、下に概略が一層完全に示されるだろうように、修飾された特徴を有し選択されて良い。
【0059】
アミノ酸配列変異を導入するための部位又は領域は予め決定される一方、突然変異それ自体は予め決定される必要はない。例えば、ある部位での突然変異の実行を至適化するために、ランダム突然変異誘発が、標的コドン又は領域で行われ、そして発現されたMSペプチド変異体が所望の活性の至適組み合わせのためにスクリーニングされて良い。公知の配列を有するDNA中の所定の部位において置換突然変異を生じさせるための技術は周知であり、例えば、M13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発である。突然変異のスクリーニングは、カプシドタンパク質活性のアッセイを使用することで行われて良い。
【0060】
アミノ酸置換は、典型的に一つの残基であり;挿入は大体約1〜20アミノ酸であろうが、非常に多くの挿入も許容されて良い。欠失範囲は約1〜約20残基であるが、いくつかの場合、欠失は非常に多くても良い。
【0061】
置換、欠失、挿入又はそれらの任意の組み合わせが、最終的な誘導体に到るために、使用されて良い。一般に、これらの変化は、分子の変化を最小限にとどめるために、僅かなアミノ酸に対して行われる。しかし、より多くの変化が、所定の状況において許容されて良い。MSペプチドの特性における僅かな変化が所望されている場合、置換は、一般に以下のチャートに従って行われる
【表1】
【0062】
機能又は免疫学的同一性の実質上の変化は、チャートIに示されるものよりも保存性が少ない置換を選択することによってなされる。例えば、置換は、変化の領域;例えば、α-ヘリックス又はβ-シート構造;分子の変化又は疎水性;又は側鎖のかさ(bulk)、におけるポリペプチド骨格の構造に一層有意に影響を与えうる。一般に、ペプチドの性質において最大の変化を生み出すことが期待されている置換は(a)親水性残基、例えば、セリン又スレオニン残基が疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン又はアラニン残基への(又はそれによる)置換;(b)システイン又はプロリンが他の残基への(又はそれによる)置換;(c)陽性側鎖を有する残基、例えば、リジン、アルギニン、又はヒスチジン残基が、陰性残基、例えば、グルタミン又はアスパラギンへの(又はそれによる)置換;又は(d)かさ高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニン残基が、側鎖を有さない、例えばグリシンへの(又はそれによる)置換である。
【0063】
変異体は、典型的に、同等の生物学的活性を有し、同じ免疫反応を誘発し、そして又は天然に生ずる又は親類似物によって誘導される免疫反応によって認識されるが、変異体も必要に応じてMSペプチドの特性を修飾するために選択される。代わりに、変異体は、MSペプチドの生物活性が変化するように設計されて良い。一般に、MSペプチドは、1、2又は3個の置換及び/又は欠失及び/又は挿入を、本明細書中に概略を示した配列に比較して有し、そして一層の置換及び/又は欠失及び/又は挿入が、ペプチドの長さが増加するにつれて許容又は慣用されて良い。
【0064】
MSペプチドの共有結合修飾が本発明の範囲内に含まれており、特に、スクリーニングアッセイ又は治療使用のために含まれている。共有結合修飾の一つの型は、MSペプチドの標的アミノ酸残基を、当該MSペプチドのN末端又はC末端残基の選定の側鎖と反応できる有機誘導体化剤と反応させることである。2官能性剤による誘導は有用であり、例えば、MSペプチドを非水溶性支持マトリクス又は表層に、下記の方法において使用するために、又はin vivo安定性のために使用するために架橋させるために有用である。共通して使用される架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの例えば、4-アジドサリチル酸によるエステル、ホモ二官能性イミドエステルの例えば、ジスクシニミジルエステルの例えば、3,3'-ジチオビス(プロピオン酸スクシニミジル)、二官能性マレイミドの例えば、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン及び剤の例えばメチル-3-[(p-アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートである。
【0065】
他の修飾としては、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアミノ基のメチル化 (T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、N-末端アミンのアセチル化、及び任意のC-末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0066】
加えて、修飾の例えば、ポリエチレングリコール(及び他のグリコール)による、in vivo安定性半減期を伸ばすための誘導体化も挙げられる。
【0067】
本発明のMSペプチドは、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したMSペプチドを含んで成るキメラ分子を形成するように修飾もされうる。好適な実施態様において、MSペプチドは、ペプチド、例えば、免疫源に対する免疫反応を増加させるアジュバント又は他の分子に結合させられて良い。更なる実施態様において、かかるキメラ分子は、MSペプチドと、抗標識抗体が選択的に結合するエピトープを提供する標識ポリペプチドの融合を含んで成る。エピトープ標識は一般に、MSペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端に配置されて良い(又はそれは疎水性アミノ酸領域の、一般に約21残基が除去された後の、「新たな」C-末端に加えられて良い)。MSペプチドのかかるエピトープ標識形態の存在は、標識ポリペプチドに対する抗体を使用することで検出されて良い。そしてまた、エピトープ標識の提供により、MSペプチドが、抗-標識抗体又はエピトープ標識に結合する他の型の親和性マトリクスを使用する親和性精製によって容易に精製されることを可能にする。これはまた、MSペプチドを異種スクリーニング法のための支持体に結合させるためにも有用である。様々な標識ポリペプチド及びそれらの抗体は当業界で周知である。例としては、ポリ-ヒスチジン (ポリ-his)又はポリ-ヒスチジン-グリシン(ポリ-his-gly)標識;flu HA標識ポリペプチド及びその抗体12CA5 (Fieldら,Mol. Cell. Biol. 8: 2159-2165 (1988) 0;c-myc標識及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体(Evanら,Molecular and Cellular Biology 5:3610-3616(1985));及び単純ヘルペスウィルス糖タンパク質D(gD)標識及びその抗体(Paborskyら、Protein Engineering 3(6):547-553(1990))が挙げられる。他の標識ポリペプチドとしては、Flag-ポリペプチド(Hoppら,Biotechnology 6:1204-1210(1988));KT3ポリペプチド(Martinら, Science 255:192-194(1992));チュブリンエピトープペプチド(Skinnerら,Science 266:15163-15166(1991));及びT7遺伝子10タンパク質ペプチド標識(Lutz-Freymermuthら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393-6397(1990))が挙げられる。いくつかの実施態様において、他の融合パートナーは、一般に限定されないが、タンパク質関連物質が周知であり;従って、融合体の全てのタイプ、例えば、本発明のペプチドを含んで成る枝分かれした及び/又は直鎖状融合体が挙げれる。
【0068】
「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、及び文法上同等物は、本明細書中、一緒に共有結合する2以上のヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は、一般に、リホスホジエステル結合を含だろうが、いくつかの場合において、下に概略を記載したように、代替骨格を有しうる核酸類似物が含まれ、例えば、ホスホラミド(Beaucageら, Tetrahedron 49 (10): 1925 (1993)及びその参考文献; Letsinger, J. Org. CZle7n. 35: 3800 (1970); Sprinzlら, Eur. J. Biochem. 81: 579 (1977); Letsingerら, Nucl. Acids Res. 14: 3487 (1986); Sawaiら, Chenu. Lett. 805 (1984), Letsingerら, J. Am. Chemn. Soc. 110: 4470 (1988) ;及びPauwelsら, Cllemica Scripta 26: 141 91986))、ホスホロチオエート(Magら, nucleic acids Res. 19: 1437 (1991) ;及びU. S. Patent No. 5644048)、ホスホロジチオエート(Briuら, J. Am. Chem. Soc. 111: 2321 (1989)、O-メチルホスホラミダイト結合(Eckstein, Oligofzucleotides and Analogues : A Practical Approach, Oxford University Pressを参照のこと)、及びペプチド核酸骨格及び結合(例えば、Egholm, J. Am. Cltem. Soc. 114: 1895 (1992); Meierら, Che7n. In. Ed. Engl. 31: 1008 (1992); Nielsen, Nature 365: 566 (1993); Carlssonら, Nature 380: 207 (1996)を参照のこと、それらの全ては参照によって組み込まれている)が含まれる。他の類似核酸としては、ポジティブ骨格(Denpcyら, Proc. Natl. Acad Sci. USA 92: 6097 (1995);非イオン性骨格(U.S.特許No.4469863,5216141, 5386023,5602240, 5637684; Kiedrowshiら, Angew. Chem. Intl. Ed. English 30 : 423 (1991) ; Letsingerら, J. Am. Chenu. Soc. 110: 4470 (1988); Letsingerら, Nucleoside & Nucleotide 13: 1597 (1994);第2及び3章, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaekerら, Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4 : 395 (1994); Jeffsら, J. Biomolecular NMR 34: 17 (1994); Tetrahedron Lett. 37 : 743 (1996) )並びに非リボース骨格、例えば、U. S.特許No.5235033及び5034506、6及び7章, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y. S. Sanghui及びP. Dan Cookに記載のものが挙げられる。1又は複数の炭素環式糖を含む核酸も定義の中に含まれる(例えば、Jenkinsら, Chem. Soc. Rev. (1995) pp. 169-176を参照のこと)。いくつかの核酸類似物もRawls, C & E News June 2,1997, 35頁に記載されている。これらの参照の全ては、本明細書中、参照によって明確に組み込まれている。
【0069】
当業者に理解されるように、これらの核酸類似物の全ては、本発明における使用が発見されうる。加えて、天然に生ずる核酸と類似物の混合物が調製されて良い。代わりに、様々な核酸類似物の混合物、及び天然に生ずる核酸と類似物の混合物が調製されて良い。
【0070】
核酸は、規定のように、一本鎖又は二本鎖であるかあるいは二本鎖又は一本鎖配列の両方の部分を含んで良い。核酸は、DNA(ゲノムDNA及びcDNAの両方)、RNA又はハイブリッドであって良く、ここで核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、及び塩基、例えば、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサチン、イソシトシン、イソグアニンなどの任意の組み合わせを含む。本明細書中、用語「ヌクレオシド」とは、ヌクレオチド並びにヌクレオシド及び核酸類似物、及び修飾されたヌクレオシドの例えば、アミノ修飾ヌクレオシドが含まれる。加えて、「ヌクレオシド」とは、天然に生じない類似構造物を含む。従って、例えば、各々塩基を含む、ペプチド核酸の個々のユニットは、本明細書中、ヌクレオシドに言及される。
【0071】
「ノロウィルス核酸」、「NOR核酸」及び文法的同等物は、本明細書中、感染性ヴァリオン中へとパッケージングされた陽性-センスゲノムRNA又は完全長ゲノムRNA、複製の介在物質として働くノロウィルスゲノムRNAの陰性-センス逆相補体、ヴァリオンに詰め込まれても詰め込まれなくても良いもしくはmRNAとして機能してもしなくても良い陽性もしくは陰性の極性のサブゲノム長ノロウィルスRNAに相同的又は同一の配列を含んで成る核酸を意味する。いくつかの実施態様において、ノロウィルス核酸は、約8〜100ヌクレオチド長、好適な実施態様において、ノロウィルス核酸は約8〜40ヌクレオチド長であり且つ一層好適な実施態様において、ノロウィルス核酸は長さ約8〜20ヌクレオチドである。本明細書中、核酸は、もし、NVのヌクレオチド配列に対するヌクレオチド配列の全体相同性が、好適に約75%超、一層好適に約80%超、更に一層好適に85%超、そして最も好適には90%超であれば、「ノロウィルス核酸」である。いくつかの実施態様において、相同性は、約93〜95%又は98%の高さであろう。ホモロジーとは、この関係において、配列の類似性又は同一性を意味し、そして同一性が好適である。この相同性は、下に記載の公知の技術を使用することで決定されるだろう。本明細書中で使用された場合、核酸は、もしそれが上記ノロウィルスタンパク質をコードするならば「ノロウィルス核酸」である。好適な実施態様において、ノロウィルス核酸は、ノロウィルスカプシドタンパク質(例えば、カプシドペプチド)又はMSペプチドをコードする。
【0072】
いくつかの実施態様において、ノロウィルス核酸はMSペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、ノロウィルス核酸は、MSペプチドを発現する。従って、いくつかの実施態様において、MSペプチドをコードする核酸は、機能的にプロモーターと結合しており、ここで発現は、当業者に公知のように、構造性及び/又は誘導性であって良い。MSペプチドは、単独で又は1もしくは複数の他のタンパク質との組み合わせのいずれかにおいて発現されて良く、ここでMSペプチドは融合タンパク質(例えば、ファージディスプレー、マルトース結合タンパク質融合体など)として発現されて良い。核酸配列は、本明細書中に記載のMSペプチドを発現する核酸を配列決定することによって決定されて良い。いくつかの実施態様において、MSペプチドを発現する核酸は、当業者に公知の、自動化方法、固層合成方法などを使用することにおいて全部又は一部を合成されて良い。MSペプチドをコードする核酸を設計することは、本明細書中に開示されているMSペプチド配列を、遺伝暗号を使用することで核酸配列へと逆転写することにより、当業者の能力の範囲内である(Stryer. Biochemistry 15-42 (第3版W. H. Freeman & Co. 1988)。いくつかの実施態様において、遺伝暗号は、標準遺伝暗号であって良い。いくつかの実施態様において、遺伝暗号は、酵母、細菌、ミトコンドリアなど、又はその組み合わせによって使用されるコドンに偏っていて良いことを理解するだろう。例として及び限定ではないが、当業者は、WTRGSHNL(配列番号:1)は、ヌクレオチド配列:5'-TGG-ACT-CGT-GGT-TCT-CAT-AAT- CTT(配列番号:94)を含んで成る核酸によってコードされて良い。当業者は、発現には、翻訳の開始及びMSペプチド合成との関係において、適切な配列内でメチオニンのための5コドン(AUG)が必要であり(例えば、 Kozak則)そしてRNAからの発現のために、「T」は、「U」に置換されて良い(例えば、Sambrookら, Molecular Clorairag : A Laboratory Manual (第3版Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)ことにも気付くだろう。
【0073】
当業者に公知のように、多くの異なるプログラムが使用され、タンパク質(又は本明細書中に記載のように核酸)が公知の配列に同一性又は類似性を有するかどうかを決定するために使用されて良い。配列の同一性及び/又は類似性は、当業者に公知の標準的な技術、例えば限定されないが、以下のものを使用することで決定される。SmithとWatermanの局所配列同一性アルゴリズム, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)、NeedlemanとWunschの配列同一性アライメントアルゴリズムJ. Mol. Biol. 48: 443 (1970)によって、PearsonとLipmanの類似性に関する調査方法Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化されたものの実行(GAP、BESTFIT、FASTA、TFASTA:Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WI)によって、Devereuxらにより記載されたBest Fit配列プログラムNucl. Acid Res. 12: 387-395 (1984)によって決定され、好適に、デフォルト設定を使用すること、又は調査により決定される。好適に、%同一性は、次のパラメーターに基づくFastDBにより計算される:ミスマッチペナルティー1;ギャップペナルティー1;ギャップサイズペナルティー0.33;及び連結ペナルティー30(Current Methods in Sequence Conaparison and Analysis in Macromolecule Sequenceing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pp. 127-149, Alan R. Liss, Inc. (1988))。
【0074】
有用なアルゴリズムの例は、PILEUPである。PILEUPは、累進的な、ペア様ライメントを使用することで、類縁配列の集団から多数の配列アライメントを創り出す。それはまた、アライメントを創り出すために使用されるクラスター化関係を示すツリーをもプロットする。PILEUPは、Feng及びDoolittle, J. Mol. Evol. 35 : 351-360 (1987)の累進アライメント法の単純化を使用し;この方法は、Higgins及びSharp, CABIOS 5 : 151-153 (1989)に記載の方法に類似する。有用なPILEUPパラメーターは、例えば、デフォルトギャップ重み3.00、デフォルトギャップ長重み0.10、及び重み付けされたエンドギャップである。
【0075】
Altschulら, J. Mol. Biol. 215,403-410, (1990)及びKarlinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787 (1993)に記載された有用なアルゴリズムの他の例は、BLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムはWU-BLAST-2プログラムであり、それはAltschulら, Methods irz Efzzymology 266: 460-480 (1996) (http ://blast. wustl/edu/blast/README. htrnl)から獲得された。WU-BLAST-2は、いくつかの調査パラメーターを使用し、その大部分は、デフォルト値を設定することである。調製可能なパラメーターは、以下の値を伴い設定される:重複長(overlap span)=1、重複比(overlap fraction)=0.125、ワード閾値(word threshold)(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは、ダイナミック値(dynamic values)であり且つそれ自身特定の配列の成分及び注目の配列がサーチされる特定のデータベースの組成に依存して、プログラムによって確立されるが;しかし、この値は感度を高めるために調整されて良い。
【0076】
さらに有用なアルゴリズムは、Altschulらによって報告されたギャップBLAST(Nucleic acids Res. 25: 3389-3402)である。ギャップBLASTは、BLOSUM-62置換コア;閾値Tパラメーター9;非ギャップエクステンション(ungapped extensions)を引き起こすツーヒット法;10+kのコストのkのギャップ長をうめ;16に設定するXu、及びデータベースサーチ段階のために40に設定し、そしてアルゴリズムの出力段階のために67に設定するX56。ギャップアライメントは約22ビットに対応するスコアによって引き起こされる。
【0077】
%アミノ酸配列同一性値は、アライメントをとられる領域における「より長い」配列の残基の総数によって割られたミスマッチする同一残基の数によって特定される。「より長い」配列とは、アライメントをとられる領域(アライメントスコアが無視されるのを最小にするためにWU-Blast-2によって導入されるギャップ)において最も現実的に存在する残基を有するものである。
【0078】
アライメントは、アライメントをとられる配列におけるギャップの導入を伴いうる。加えて、図8、9、10、11、及び12に記載のアミノ酸配列よりも多く又は少なくアミノ酸を含む配列について、一つの実施態様において、配列同一性の%は、アミノ酸総数との関係において同一のアミノ酸の数に基づいて決定されるだろう。従って、例えば、図8、9、10、11、及び12に記載の配列よりも短い配列の配列同一性は、より短い配列におけるアミノ酸の数を使用することで決定されるだろう。%同一性計算において、相対加量(relative weight)は、配列変異の例えば、挿入、欠失、置換などを様々に明確化するために割り当てられていない。
【0079】
一つの実施態様において、同一性のみが陽性にスコアされ(+1)そしてギャップを含む配列変異の全ての形態が「0」の値を割り当てられ、それは、配列類似性計算に関する重み付けスケール又はパラメーターの必要性を取り除く。%配列同一性は、例えば、アライメントをとられる領域における「より短い」配列の残基の総数によって同一残基のマッチングの数を割り、そして100を掛けることによって計算できる。「より長い」配列は、アライメントをとられる配列において最も実際に存在する残基を有するものである。
【0080】
「抗体」及び文法上同等な用語は、本明細書中、ポリクローナル及びモノクローナル抗体(MAb)を意味する。モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の調製及び精製の方法は、当業界で公知であり、そして例えば、例えば、Harlow及びLane, Antibodies : A Laboratory Manual(New York : Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988)に記載されている。「MS抗体」及びその文法上同等な用語には、ノロウィルス、ノロウィルスタンパク質、又はMSペプチドに結合する抗体が含まれる。MS抗体がMSペプチドに結合することが、好適に、ノロウィルスに対するMS抗体の結合を遮断又は阻害する。他の実施態様において、MS抗体は、好適に、ノロウィルスが細胞、例えば、限定されないが、宿主細胞又は赤血球にin vitro及び/又はin vivoで結合することを阻害する。いくつかの実施態様において、MS抗体は、ノロウィルス又はMSペプチドに対して結合することについて他の抗体と競合する。いくつかの実施態様において、MS抗体はNV感染性を中和する。従って、「中和」、「中和する」、「中和すること」及び文法上同等な用語は、本明細書中、ノロウィルスの感染性もしくは能力を阻害もしくは下げることを意味する。他の実施態様において、MS抗体は、宿主をノロウィルス感染症又は疾患(疾患が好適である)から保護する。好適なMS抗体には、実施例に記載のNV54.6、NV72.10、及び/又はSMV62.21が挙げられる。NV8812は、Whiteら J. Virol. 70: 6589-6597 (1996)に記載のMS抗体の定義から除外されている。
【0081】
いくつかの実施態様において、MS抗体は、ノロウィルスカプシドタンパク質及び/又はカプシドタンパク質を含んで成るノロウィルスVLPによる免疫化を伴い生じさせることができる。いくつかの実施態様において、MS抗体は、MSペプチドによる免疫化により生じうる。MSペプチドがMS抗体を生じさせるために使用された場合、当該ペプチドは、少なくとも1つのエピトープ又は抗原決定基を完全長カプシドタンパク質と共有することができる。従って、エピトープ又は決定基は、上記のように、直線状又は構造的であって良い。多くの場合、完全長タンパク質よりも小さいMSペプチドを調製するための抗体は、完全長タンパク質に結合できる。好適な実施態様において、エピトープは独特であって良い;すなわち、抗体は、同じ及び/もしくは異なるゲノグループ及び/もしくは遺伝子クラスターにおいて他のノロウィルスの他のタンパク質に対する交差反応性がない又は殆どない独特のエピトープを生じさせることができる。従って、いくつかの実施態様において、MSペプチドエピトープは、他のノロウィルスに交差反応性である抗体を生じさせることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドには、免疫反応を中和することを伴う。例えば、ノロウィルスに対して抗体を中和することを伴う。くつかの実施態様において、MSペプチドは、細胞、例えば、限定されないが、宿主細胞、CaCo-2細胞、又は赤血球(RBC)へ結合するノロウィルスを阻害する免疫反応を含む。
【0082】
用語「抗体」及び「MS抗体」とは、抗体断片を含み、当業者に公知のように、又は組換えDNA技術を使用することでde novoで合成されるもの又は全体抗体の修飾のいずれかによって生産される、例えばFab、Fab'、F(ab')2又は他の抗体、例えば、単鎖抗体(例えばFv)、キメラ抗体などを含む。用語「抗体」とは、更に、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体でありうるMAb又はポリクローナル抗体を含んで成る。
【0083】
本発明のMS抗体は、ノロウィルスカプシドタンパク質又はMSペプチドに特異的に結合する。「特異的結合」とは、本明細書中、10-4〜10-6M-1の範囲、好適には10-7〜10-9M-1の範囲に結合定数を有するMS抗体を意味する。従って、好適な実施態様において、MS抗体は、第二抗体がノロウィルスへ結合することを遮断する、又はMS抗体はノロウィルスが細胞へ結合することを遮断する。「遮断」、「阻害」及び文法上同等な用語は、本明細書中、宿主細胞又は第二の抗体、特に、抗体の例えばNV54.6、NV72.10、及びSMV61.21に結合するノロウィルスの量を減らすノロウィルスに対するMS抗体の結合を含む。いくつかの実施態様において、遮断は、MS抗体及び第二の抗体(例えば、NV54.6)又はMS抗体及び細胞が、ノロウィルスタンパク質上の同じエピトープ又は領域を認識することが理由で生ずる。いくつかの実施態様において、MS抗体及び第二の抗体又はMS抗体及び細胞が、別個だが空間的に関連するノロウィルス上のエピトープ又は領域を認識することによる。従って、好適な実施態様において、阻害は競合的である。代わりの実施態様において、阻害は、非競合的であるが、これは一般に好ましくはない。一般に、約25%以上の阻害が好適であり、そして約50%以上が特に好適であり、そして約95〜100%の阻害率が特に好適である。
【0084】
好適な実施態様において、本発明のMSペプチドは、直線エピトープ又は構造的エピトープに対して特異的なMS抗体に対して結合するその免疫活性によって同定されて良い。用語、「免疫活性」とは、MSペプチドのMS抗体との交差反応する能力及び/又はMS抗体の生産を誘導する能力を意味する。従って、例えば、タンパク質は、もしそれがノロウィルスカプシドタンパク質を含んで成るタンパク質の免疫活性を示すならば、MSペプチドである。
【0085】
好適な実施態様において、MS抗体が提供されている。MS抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であって良く、後者が好適である。好適な実施態様において、ノロウィルスカプシドに対するMS抗体は、下記のように、ノロウィルスカプシドタンパク質の生物機能を下げる又は除去することができる。即ち、MS抗体(ポリクローナル又はモノクローナル抗体のいずれか)のノロウィルス(又はノロウィルスを含む細胞)に対する付加は、ノロウィルス感染性、宿主細胞に対する結合、又はウィルス収率を減らす又は除去する。一般に、約25%の減少が好適であり、そして約50%の減少が特に好適であり、そして約95〜100% の減少が特に好適である。
【0086】
MSモノクローナル抗体は、抗原上の単一の抗原部位又は単一の抗原決定基に対して特異的である。従って、MSモノクローナル抗体は、複数の異なるエピトープに向けられるポリクローナル抗体とは対照的に、非常に特異的である。MSモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物の上清から獲得される(Kohler及びMilstein, Nature25. 6 : 495-7 (1975); Harlow及びLane, Antibodies : A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988を参照のこと)。
【0087】
好適な実施態様において、MS抗体はヒト化されている。現在のモノクローナル抗体技術を使用することで、当業者は、同定されて良い事実上任意の標的抗原に対して事実上結合するヒト化抗体を生産することができる(Stein, Trends Biotechsaol. 15: 88-90 (1997))。非ヒト (例えば、ネズミ) 抗体のヒト化形態は、免疫グロブリンのキメラ分子、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む免疫グロブリン鎖、又はその断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体には、ヒト免疫グロブリン(受容者抗体)が含まれ、ここで受容者の相補的決定領域 (CDR)を形成する残基は、非ヒト種、例えば、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット又はウサギのCDR(ドナー抗体)に由来する残基によって置換される。いくつかの場合、ヒト免疫グロブリンのFv骨格残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。 ヒト化抗体は、受容者抗体においても導入されたCDR又は骨格配列のいずれにおいても発見されない残基をも含んで成る。一般に、ヒト化抗体は、実質上1以上の、そして典型的に2以上の可変ドメインを含んで成ることができ、ここで、CDR領域の全部又は実質上全部が、ヒト免疫グロブリンのそれに対応し且つFR領域の全部又は実質上全部は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものでありうる。ヒト化抗体は、最適に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含んで成る(Jonesら, Nature 321: 522-525 (1986);Riechmannら, Nature 332: 323-329 (1988);及びPresta,Curer. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992))。
【0088】
非ヒト免疫抗体をヒト化する方法は当業者に周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである源からそれに導入した1又は数個のアミノ酸残基を含んで成る。これらの非ヒトアミノ酸残基は往々にして、インポート残基に言及され、それは典型的に、インポート可変ドメインから採取することができる。ヒト化は、本質的に、ヒト抗体の対応する配列へげっ歯類CDR又はCDR配列を置換することによる以下のWinterと協力者の方法に従い行われて良い(Jonesら, supra ; Riechmannら, supra ;及びVerhoeyenら, Science 239: 1534-1536 (1988) )。ヒト化マウスモノクローナル抗体の更なる例は、当業界で公知であり、例えば、ヒトタンパク質C(O'Connorら, タンパク質 Eng. 11: 321-328 (1998))、インターロイキン2レセプター (Queenら,Proc.Natl. Acad. Sci., U. S. A. 86: 10029-33 (1989))、及びヒト上皮細胞増殖因子レセプター2(Carterら, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 89: 4285-9 (1992))に結合する抗体が挙げられる。従って、かかるヒト化抗体は、キメラ抗体(U.S.特許No.4816567)であり、本明細書中、実質的に、非ヒト種に由来する対応する配列によって置換された完全ヒト可変領域より小さい。実際に、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかのCDR残基及び可能性としてはいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換されて良いヒト抗体であって良い。
【0089】
ヒト抗体は、例えば、フェーズディスプレーライブラリーなど様々な当業界で公知の技術(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581 (1991))を使用することで調製することもできうる。Coleら及びBoernerらの技術は、ヒトモノクローナル抗体を調製するためにも使用することができる(Coleら, Monoclonal Autibodies and Cancer Tllerapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985)及びBoernerら, J. Immunol. 147(1) : 86-95 (1991))。類似して、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座をトランスジェニック動物の例えば、マウス(ここで内生、免疫グロブリン遺伝子は完全に又は部分的に不活性化されている)に導入することによって調製されて良い。チャレンジにより、ヒト抗体生産が確認されて良く、それは全ての観点、例えば、遺伝子再配置、集合、及び/又は抗体のレパートリーにおいてヒトにおいて見られるのに非常に良く似ている。この方法は、例えば、U.S.特許No.5545807、5545806、5569825、5625126、5633425、5661016、及び以下の化学刊行物に記載がある:Marksら, BiolTechnology 10: 779-783 (1992); Lonbergら Nature 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature 368: 812-13 (1994); Fishwildら, Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996); Lonbergand Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)。
【0090】
一度調製されれば、本発明のMS組成物(例えば、抗体及びペプチド)は、使用を多くの用途において発見する。一般に、MS抗体及びMSペプチドは、ノロウィルスと細胞の相互作用を阻害することにおける使用が発見されて良い。いくつかの実施態様において、MS抗体及びMSペプチドは、NV及び/又はSMVと細胞の相互作用を阻害することにおける使用が発見される。従って、下に概略を示したように、治療処置が特に好適である。加えて、これらの組成物は、使用を、対象者、患者、又はサンプル中のノロウィルスの存在を検出する診断アッセイ及びキットにおいて発見する。更に、本発明の組成物は、MS組成物との結合を競合する更なる抗体及びペプチドを発見するために使用することができる。従って、スクリーングアッセイは、一般に、競合的スクリーニングアッセイには限らないが、特に、ハイスループットスクリーニングアッセイも行われて良い。例えば、固層支持体及び結合成分に結合できうる本発明のMS成分が評価されて良い。
【0091】
好適な実施態様において、本発明のMS組成物は、ノロウィルス疾患における使用が発見される。「治療」とは、治療処置及び治療又は予防手段に言及され、本明細書中、対象は、標的となる病的状態又は疾患を予防又は低下(抑制)することである。治療が必要な者としては、既に疾患を伴う者並びに疾患を有する経口にあるもの又は疾患が予防されるべき者である。
【0092】
好適な実施態様において、カプシドタンパク質へ結合し且つ宿主細胞に対するノロウィルスの結合を阻害する本発明のMS抗体は、治療上有効な量で患者に投与される。「治療上有効な量」とは、本明細書中、ノロウィルス疾患を改善するために十分である、ある量の抗体を意味する。この量は、予防又は治療処置が所望されているかどうかに依存して変わりうる。投与量及び治療上有効な量の投与の時間を決定することは、当業者に周知である。これらの量は、疾患の症度又は患者の感度に依存して調節されて良い。
【0093】
好適な実施態様において、本発明のMSペプチドは、免疫原、ワクチン、及び抗ウィルス化合物として使用が発見される。従って、いくつかの実施態様において、ペプチドは、患者、宿主、及び/又は対象者に対する免疫原としてそして/又は治療投与に適切であるように処方されて良い。
【0094】
「ワクチン」とは、本明細書中、患者における免疫反応を除去する抗原又は化合物を意味する。ワクチンは予防的に、例えば、抗原に予め曝されていない患者に対して、ノロウィルスによる後の感染症が予防されるように投与されて良い。代替的に、ワクチンは、ノロウィルスに予め曝された又は感染した患者に対して治療上投与されて良い。他方、いくつかの実施態様において、感染症は予防することができないが、免疫反応は、患者の免疫系が感染症と一層効果的に戦うことを可能にするように生じさせられて良い。従って、例えば、感染症に関連する症状の減少又は抑制がありうる。好適な実施態様において、ノロウィルスは、様々なタイプのノロウィルスに対する免疫反応を誘導するMSペプチドを含んで成る。
【0095】
「免疫反応」及び文法上同等な用語は、本明細書中、宿主又は患者の免疫系の細胞の、抗原(それは、免疫細胞が、外来抗原として又は宿主中で通常検出されない抗原として認識する)に対する免疫系による反応を意味する。いくつかの実施態様において、免疫反応は、抗体反応である。「抗体反応」及び文法上同等な用語は、本明細書中、宿主又は患者の免疫系の、抗原の例えば、ワクチン又はMSペプチド(抗原に対して結合する宿主又は患者の免疫系による生産をもたらす)に対する反応を意味する。免疫反応を誘導するための投与量及び免疫化計画を対象者において決定することは、当業者に周知である。
【0096】
ワクチンとしMSペプチドを投与することは、様々な方法、例えば、非経口的に又は粘膜、例えば、口内、鼻腔、直腸投与において達成されて良い。一般に、MSペプチドは、医薬的に有用な組成物を調製するための公知の方法により処方されて良く、それにより治療上有効な量のMSペプチドが医薬的に許容できる担体との混合において組み合わされて良い。適切なビヒクル及びそれらの製剤は当業界で公知である。かかる組成物は、医薬的に有効な量のMSペプチドを、患者に対する有効な投与のための医薬的に許容できる組成物を調製するための適切な量のビヒクルと一緒に含むことができる。組成物は、塩、バッファー、担体タンパク質の例えば、血清アルブミン、患者の適切な部位又は組織においてMSペプチドを局在化させるためのターゲッティング分子などが挙げられる。組成物は、アジュバントも含んで良い。処方は、実施者の裁量により選択され且つ免疫化の経路、患者の年齢及び免疫状態、及び疾患の症度に依存する。
【0097】
MSペプチドの持続放出投与が、MSペプチドを投与することが求められている任意の疾患又は病気の治療のために適切な放出特性を有する製剤において所望されている場合、ポリペプチドのマイクロカプセル化が熟慮される。持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN)、インターロイキン-2、及びMNrgpl20により首尾良く行われてきた (Johnsonら, Nat. Med. 2: 795-799(1996) ; Yasuda,Biomes.T7ter. 27: 1221-1223 (1993); Horaら,Bio/Technology 8: 755-758 (1990); Cleland, Design and Production of SingleIiizmunization Vaccine Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems in Vaccine Design : TheSubunit arad AdjuvaratApproacla, 439-462 (Powell及びNewman著 Plenum Press 1995) ; W097/03692, W096/40072, W096/07399;及びU. S.特許No.5654010。ポリペプチドの持続放出製剤は、ポリ-乳酸グリコール酸(PLGA)ポリマーを、その生物適合性及び幅広い生物分解特性が理由で使用することで開発されてきた。PLGA、乳酸、及びグリコール酸の分解製品は、ヒトの体内で迅速に除去されうる。更に、このポリマーの分解性は、その分子量及び組成に依存して、数月〜数年に調節されて良い(Lewis, Controlled release of bioactiveagents from lactide/glycolide polymer in Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems 1-41 (Chasin及びLanger著 Marcel Dekker 1990))。
【0098】
「医薬的に許容できる塩」とは、一般に医薬使用において許容可能であることが当業界で理解されている対イオンを伴い調製され且つ親化合物の所望の薬理活性を有する本発明の化合物の塩を意味する。かかる塩としては:(1)酸付加塩であって、無機酸の例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などにより形成された塩;又は有機酸の例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三部ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などにより形成された塩;又は(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオンの例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンにより置換された場合;又は有機塩基の例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどと組み合わされた場合に形成された塩が挙げられる。そしてまた、アミノ酸の塩の例えば、アルギネート、及び有機酸の塩の例えば、グルクロン酸又はガラクツロン酸などが挙げられる(例えば、Bergeら, 1977, J. Pharm. Sci. 66: 1-19を参照のこと)。
【0099】
「医薬的に許容できるビヒクル」とは、本発明の化合物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を意味する。
【0100】
「医薬的に許容できる量」又は「治療上有効な量」とは、所望の生理学的効果を生み出すために十分な量又は所望の結果、特に、疾患(disorder)又は病気(disease)の症状を治療するため、例えば、1もしくは複数の疾患もしくは病気の症状を低減するもしくは除去すること又は疾患もしくは症状を予防することができる量を意味する。従って、好適な実施態様において、ワクチンは、ノロウィルス疾患の1もしくは複数の症状を低減するもしくは除去する又はノロウィルス疾患もしくは症状を予防する免疫反応を意味する。一般に、この範囲は、約0.001mg〜約1gm、そして好適な範囲は、約0.05mgである。これらの量は、もしアジュバントが使用されれば、調製されて良い。
【0101】
好適な実施態様において、本発明の組成物は、抗ウィルス化合物である。「抗ウィルス」及び文法上同等な用語は、本明細書中、NVの複製サイクルを阻害する化合物を意味する。MSペプチドは、予防的に、例えば、以前にNVに暴露されていない患者に対して、NVによるその後の感染症が予防されるように投与されて良い。代替的に、MSペプチドは、NVに予め暴露した又は感染した患者に治療上投与されて良い。MSペプチド化合物は、それ自体で投与されて良いが、典型的に医薬組成物の形態において処方されて投与されて良い。正確な組成は、とりわけ、投与の方法、例えば経口的に又は非経口的に投与されて良く、そして当業者に明らかであって良い。様々な適切な医薬組成物が記載されており、例えば、Retnitgton's Pharmaceutical sciences, 第20版(2001)を参照のこと。
【0102】
経口投与のために適切な製剤は、(a)液体溶液の、例えば、希釈剤の、水、生理食塩水又はPEG400中に懸濁させた有効な量活性成分;(b)カプセル、シャッセ又は錠剤(各々は所定量の活性成分を、液体、固体、粒子又はゼラチンとして含む);(c)適切な液体における懸濁;及び(d)適切なエマルションからなりうる。錠剤形態は、1又は複数のラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、バッファー剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、色素、錠剤分解促進剤、及び医薬的に許容できる担体を含む。ロゼンジ形態は、香味剤の例えばスクロース中に活性成分を含んで成り、並びに不活性塩基の例えば、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアエマルション、ゲル中に活性成分を含んで成るパスチル(pastilles)、及び活性成分に加えて当業者に公知の担体を含んで成ることができる。
【0103】
直腸投与のための適切な製剤としては、例えば、座薬が挙げられ、それは座薬塩基を伴いパッケージングされた核酸からなる。適切な座薬塩基としては、天然もしくは合成のトリグリセリドもしくはパラフィン炭化水素が挙げられる。加えて、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、及びパラフィン炭化水素など塩基と選定の化合物の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0104】
非経口投与のために適切な製剤は、例えば、関節内(関節中)、静脈内、筋内、経皮内、腹腔内、及び皮下経路による、水性及び非水性の、等張性無菌注射溶液が挙げられ、それは抗酸化物質、バッファー、静菌剤、及び製剤を対象受容者の血液と等張にする溶質、及び懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤が挙げられうる水性及び非水性の無菌懸濁を含む。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注射、口内、局所、腹腔内、膀胱内又は髄腔内の注射によって投与されて良い。非経口投与、経口投与、舌下投与及び静脈内投与は好適な投与の方法である。溶液製剤の特異的な例は、約0.5〜100mg/mlの化合物及び約1000mg/mlのプロピレングリコールを水中に含む。適切な溶液製剤の他の特異的な例は、約0.5〜100mg/mlの化合物及び約800〜1000mg/mlのポリエチレングリコール400(PEG400)を水中に含んで成る。
【0105】
適切な懸濁製剤の特異的な例は、約0.5〜30mg/mlの化合物並びに: 水中、約200mg/mlエタノール、約1000mg/ml植物油(例えば、コーン油)、約600〜1000mg/mlのフルーツジュース(例えば、グレープフルーツジュース)、約400〜800mg/mlの乳、約0.1mg/mlのカルボキシメチルセルロース(又は微結晶性セルロース)、約0.5 mg/mlのベンジルアルコール(又はベンジルアルコールと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ)及び約40〜50mMバッファーpH7(例えば、リン酸バッファー、酢酸バッファーもしくはクエン酸バッファー又は代替的に、5%デキストロースがバッファーの代わりに使用されて良い)から成る群から選択された1又は複数の賦形剤から選択される。
【0106】
適切なリポソーム懸濁製剤の特異的な例は、水中、約0.5〜30mg/mlの化合物、約100〜200mg/mlのレシチン(又は他のリン脂質またはリン脂質の混合物)及び任意に約5mg/mlのコレステロールを含んで成りうる。所定のPBI化合物の舌下投与のためには、水中5mg/mlの化合物 と100mg/mlのレシチン及び水中5mg/mlの化合物と100mg/mlのレシチン及び5mg/mlコレステロールを伴うリポソーム懸濁製剤が良好な結果を供する。
【0107】
化合物の製剤は、多重投与又は多重投与密閉容器の例えば、アンプル及びバイアル中に存在して良い。注射溶液及び懸濁は、無菌粉末、顆粒、及び先に記載された種類の錠剤から調製されて良い。
【0108】
医薬調製物は、好適に単位投与形態において投与されて良い。かかる形態において、製剤は、適切な量の活性成分を含む単位投与量へ分割されて良い。単位投与形態は、パッケージングされた調製物であって良く、当該パッケージは個別量の調製物、例えば パッケージングされた錠剤、カプセル、及び粉末をバイアル又はアンプル中に含む。そしてまた、単位投与形態は、カプセル、錠剤、小袋、又はそれ自体ロゼンジであって良い、又はパッケージングされた形態におけるこれらのいずれかの適切なものであって良い。組成物は、もし所望されれば、下に詳細を述べた他の適合する治療剤をも含む。
【0109】
ノロウィルス感染症の治療のための治療使用において、本発明の医薬方法において使用されているMS組成物(例えば、抗体及びペプチド)は、治療上の利点を達成するために適切な投与レベルにおいて、ノロウィルス感染症を伴うと診断された患者へ投与されて良い。「治療上の利点」及び文法上同等な用語は、長期に渡り患者において有利な効果を導く化合物を投与することを意味する。例えば、治療上の利点は、患者におけるノロウィルス力価及び負荷が減ったかあるいは増加が止まった場合に達成されて良い。治療上の利点は、もし化合物の投与により、患者におけるノロウィルス力価又は負荷に関わらず、ノロウィルス感染症に典型的に伴う有害な症状の開始も一緒に遅らせる又は抑制するのならば達成されて良い。
【0110】
MSペプチド及び/又はその組成物は、ノロウィルス感染症を発症する危険がある患者において予防的に、又はノロウィルスに暴露した患者において、ノロウィルス感染症の発症を阻害するために投与されて良い。例えば、MSペプチド及び/又はその組成物は、ノロウィルスに感染しているようである患者に投与されて良い。
【0111】
本発明は更に、ノロウィルスへ結合するMS抗体を遮断する方法を供する。一つの実施態様において、未標識MS抗体は、ノロウィルスを結合して標識抗体の結合を遮断する。代替的な実施態様において、標識MS抗体は、未標識抗体によってノロウィルスに対する結合を阻害されて良い。%阻害は、未標識抗体の存在下での標識−抗体結合の減少によって計算される。本発明は更に、MSペプチドの使用によりノロウィルスへ結合するMS抗体を遮断する方法を供する。好適な実施態様において、標識MS抗体は、MS抗体がノロウィルスへ結合することを遮断するMSペプチドを結合する。%阻害は、MSペプチド不在と比較して、存在下でのMS抗体結合の減少により計算されて良い。本発明は更に、細胞、特に限定はされないが、ノロウィルスにより生産的に結合されて感染性ウィルスを生産しうる細胞(即ち、宿主細胞)へのノロウィルス結合を遮断する方法を提供する。好適な実施態様において、宿主細胞、好適に分化型CaCo-2細胞は、標識ノロウィルス、例えば、組換えノロウィルスVLPが当該細胞へ結合するのを阻害するMSペプチドにより処理されて良い。
【0112】
化合物、例えば、MS抗体、MSペプチド又はノロウィルスは、検出可能シグナルを提供する標識、例えば、放射性同位体、蛍光物質、酵素、抗体、粒子の例えば、限定されないが、磁性粒子、化学発光物質、又は特異的結合分子などに直接又は間接的に結合させられて良い。特異的結合分子には、結合ペアの、例えば、ビオチン及びストレプトアビジン、ジゴキシン及びアンチジゴキシンなどが挙げられる。好適な標識としては、限定されないが、蛍光標識、標識酵素、及び放射性同位体が挙げられる。
【0113】
一般に、標識は4つの種類に分けられる:a)アイソトープ標識、それ、放射性アイソトープ又は重アイソトープであって良い;b)磁性標識、電気的標識、熱標識;c)着色もしく蛍光色素もしくは成分;及びd)結合パートナーであって良い。標識は酵素(セイヨウワサビペルオキシダーゼなど)及び磁性粒子が含まれて良い。好適な実施態様において、検出標識は一次標識でありうる。一次標識は、直接検出されて良く、例えば、限定ではないが、フルオロフォアにより直接、検出されて良い。
【0114】
好適な、標識としては、発色団又は蛍光物質が挙げられるが、好適に蛍光色素又は蛍光成分であって良い。フルオロフォアは、「小分子」フルオールである、又はタンパク質性フルオールのいずれかであって良い。
【0115】
「蛍光標識」とは、その固有の蛍光特性により検出されて良い任意の分子を意味する。適切な蛍光分子としては、限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラサイトグリーン、スチルベン、ルシファーイェロー、カスケードブルーJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red 640、Cy5、Cy5.5、LCレッド705及びオレゴングリーンが挙げられる。適切な光学色素が、本明細書中、明示によって組み込まれたMolecular Probes Handbook by Richard P. Haugland (1996)に記載されている。適切な蛍光標識としては、限定されないが、緑色蛍光タンパク質(GFP;Chalfie,ら, Science 263 (5148): 802-805 (1994);及びEGFP(Clontech Laboratories, Inc., Genbank Accession Number U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP, Quantum Biotechnologies, Inc. 1801 de Maisonneuve Blvd. West,8th Floor, Montreal, Quebec, Canada H3H1J9 ; Stauber,BiotecAmiques 24 (3): 462-471 (1998);Heim,ら, Curr. Biol. 6: 178-182(1996))、増強黄色蛍光タンパク質 (EYFP, Clontech Laboratories, Inc. )、ルシフェラーゼ(Ichiki,ら, J.Irnm. unol. 150 (12): 5408-5417 (1993))、β-ガラクトシダーゼ(Nolan,ら, Proc Natl Acad Sci USA 85 (8): 2603-2607 (1988) )及びRenilla(WO92/15673, W095/07463, W098/14605、W098/26277、W099/49019、U.S特許No.5292658、5418155、5683888、5741668、5777079、5804387、5874304、5876995、5925558)が挙げられる。上記引例は、本明細書中、明示的に、参照によって組み込まれている。
【0116】
本発明において使用するために特に好適な標識としては:Alexa-Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、カスケードブルー、カスケードイェロー及びR-フィコエリトリン(PE)(分子プローブ、Eugene, OR)、FITC、ローダミン、及びテキサスレッド(Pierce, Rockford, IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science, Pittsburgh, PA)が挙げられる。Cy5PE、Cy5.5PE、Cy7PE、Cy5.5APC、Cy7APCのためのタンデム結合プロトコール及び蛍光プローブ結合定量化は、標識化の程度を測定するために評価されて良いことが当業界で公知である。
【0117】
他の好適な実施態様において、蛍光標識はGFPであって良く、そして一層好適に、レニラ(Renilla)、プチロサルカス(Ptilosarcus)、又はエクオレア(Aequorea)種のGFPであって良い。
【0118】
好適な実施態様において、第二検出可能標識が使用されて良い。第二標識とは、間接的に検出されて良いものである。例えば、第二標識は、一次標識と検出のために結合又は反応することができ、一次標識(例えば、酵素)を生じさせるために更なる産物に対して作用することなどができる。第二標識は、限定されないが、結合パートナーペア;化学修飾可能成分;ヌクレアーゼ阻害物質、酵素の例えば セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性フォスファターゼ、ルシフェラーゼなどの一つである。
【0119】
好適な実施態様において、第二標識は、結合パートナーペアであって良い。例えば、この標識は、ハプテン又は抗原であって良く、それらはその結合パートナーと結合しうる。例えば、適切な結合パートナーとしては、限定されないが、抗原(例えば、タンパク質(ペプチドを含む)及び小分子)及び抗体(その断片を含む(FAbなど));タンパク質及び小分子(ビオチン/ストレプトアビジン);酵素及び基質又は阻害物質;他のタンパク質-タンパク質相互作用ペア;レセプター-リガンド;並びに炭化水素及びそれらの結合パートナーの例えば、レクチンが挙げられる。核酸-核酸結合タンパク質ペアも有用でありうる。好適な結合パートナーペアとしては、限定されないが、ビオチン(又はイミノ-ビオチン)及びストレプトアビジン、ジゲオキシニン(digeoxinin)及びAbs、及びProlinx試薬(Cambrex Biosciences)が挙げられる。
【0120】
好適な実施態様において、結合パートナーは、抗原及び当該抗原へ特異的に結合するだろう抗体を含んで成る。「特異的結合」とは、本明細書中、パートナーが当該系のペアと他の成分又は混入物質を区別するために十分な特異性により結合することを意味する。結合は、アッセイの条件下、例えば、非特異的結合を除去するための洗浄段階下で結合を維持するために十分であるべきだ。いくつかの実施態様において、ペアの解離定数は、約10-4〜10-6M-1未満、そして好適には約10-5〜10-9M-1でありそして約10-7〜10-9M-1が特に好適である。
【0121】
好適な実施態様において、第二標識は、化学的に修飾可能な成分でありうる。この実施態様において、反応性官能基を含んで成る標識は、標識される分子中に組み込まれて良い。次いで、官能基は、一次標識で(例えば、アッセイの前後に)標識されて良い。適切な官能基としては、限定されないが、アミノ基、カルボキシル基、マレイミド基、オキソ基及びチオール基、そしてアミノ基及びチオール基が特に好適である。例えば、アミノ基を含む一次標識は、当業者に公知のリンカーを使用することで、アミノ基を含む第二標識へ結合させられて良く、例えばホモ又はヘテロ二官能性リンカーまた公知である(本明細書中参照によって組み込まれているPierce Chemical Company catalog, Technical section on cross-linkers, pp. 155-200 (1994)を参照のこと)。標識のタイプは実施者の裁量において選択され、 例えば、酵素、放射性同位体標識、及び蛍光標識が挙げられる(Haugland. Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals.第6版. Molecular Probes, Eugene, ORを参照のこと)。
【0122】
本発明は更に、上記組成及び方法のいずれかの範囲内で使用するためのキットを提供する。かかるキットは典型的に、診断アッセイを行うために欠かすことのできない2以上の成分を含んで成る。構成要素は、化合物、試薬、容器及び/又は機器であって良い。例えば、キット内のある容器には、ノロウィルスに特異的に結合するMS抗体及び臨床サンプルからのノロウィルス単離体を同定することにおける使用を発見する。かかる抗体は、上記のように、標識へ結合して提供されて良い。1又は複数の更なる容器が、アッセイにおいて使用される要素の例えば、試薬又はバッファーを含みうる。かかるキットはまた、または代替的に、抗体結合の直接的又は間接的な検出に適したレポーター基を含む上記検出試薬を含む。代替的に、生物試料中、例えば糞便又血清中のノロウィルス抗体を検出するために設計されて良い。かかるキットは、一般に、上記のように、ノロウィルス抗体に結合する少なくとも1つのMSペプチドを含んで成る。かかるMSペプチドは、例えば、臨床サンプル中の抗ノロウィルス抗体の検出における使用を発見する。
【0123】
本願において、単数の使用には、特に断りがない限り複数も含む。本願において引用された全ての刊行物及び類似の資料は、特許、特許出願、記事、書籍、及び取り扱いを、かかる刊行物及び類似の資料に限定されないが、それらの全体を参照によって組み込まれている。1又は複数の組み込まれた刊行物及び類似の資料が本願と異なる又は相反する場合、規定の用語、記載の技術などに限定されないが、本願が支配する。本開示の観点は、以下の例の観点において更に理解されて良く、その例は、いかなる場合も本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0124】
6.実施例
実施例1:MAbs NV54.6及びNV72.10
【0125】
MAbs NV54.6及び72.10を、Balb/cマウスを精製ノーウォークウィルスVLPs(rNV)で免疫化することによって生じさせた。各マウスには、500μgのrNVの2回腹腔内免疫化を与えた。rNV粒子に対して抗体を分泌するハイブリドーマをドットブロットによりスクリーニングした。反応陽性のハイブリドーマ上清を更に、培養中、ヒト前立腺CaCo-2細胞に対する放射活性標識したrNV結合を遮断する能力について選択した。NV54.6及びNV72.10はどちらも、IgG1のものであることがBoerhinger Mannhiem Isotypingキットで特定された。
【0126】
CaCo-2細胞をEarleの最小必須培地(MEM)(10%ウシ胎児血清(FBS)、L-グルタミン、MEM非必須アミノ酸、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)バッファー、ペニシリン、及びストレプトマイシンを補った)中、5%CO2インキュベーター中で増殖させた。コンフルエントな状態になった後7〜14日において、CaCo-2細胞は、分化の生物化学的且つ形態学的なマーカー(ドームの存在下2.3〜2.8μmol/mg/hスクラーゼ活性)を示し且つ分化した培養物(D-CaCo-2)であったと考えられた。
【0127】
組換えノーウォークウィルス(rNV)VLPを、Sf9昆虫細胞(3×106細胞/ml)へノーウォークウィルス(NV)カプシドタンパク質を発現するバキュロウィルス組換え Bac-rNV C8 (Jiangら 1992. Expression, self-assembly, and antigenicity of the Norwalk Virus capsid Protein J. Virol. 66: 6527 : 6532)を感染させることにより10PFU/細胞の感染多重度(M.O.I.)で感染させた。代謝的に放射性標識したrNVを、細胞をメチオニンフリーGraceの培地に、感染後28時(hpi)において、30分に渡り置き、そして25〜30μCiの[35S]メチオニン(トランス-35S-標識; ICN, Irvine,Calif.)/mlを加えることによって調製した。標識の4〜6時間後、50μg未標識メチオニン/mlを加えた。培養物を感染の7日後に収穫し、細胞をペレット化させ、そしてrNVsを、Whiteら 1996. Attachment and entry of recombinant Norwalk virus capsids to cultured human and animal cells J. Virol. 70: 6589-6597によって記載されたように培地中に放出させた。
【0128】
rNP結合アッセイのために、CaCo-2細胞を、24ウェルプレート又は96ウェルプレート(Costar, Cambridge, MA)において、コンフルエントな状態後7〜14日培養した。細胞単層を3回、冷PBS又は血清フリーEagleの最小必須培地(1%ウシ血清アルブミンを含有する)、画分V(BSA; Calbiochem, La Jolla, CA)で洗浄し、そして4℃で冷却した。精製放射性標識rNVを、24ウェルプレートでは200μl/ウェル又は96ウェルプレートでは30μl/ウェルの最終体積における血清フリー培地1%BSAにおいて、2重にウェルに加えた。プレートを、穏やかな撹拌を伴い、内部化を阻害するために、4℃で穏やかな撹拌を伴い1時間に渡りインキュベートした。結合反応を、細胞を3回、冷PBS(0.1% BSAを含有する)で洗浄し、そして放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)バッファー(0.15M NaCl、1%デオキシコール酸ナトリウム、1% Triton X-100、0.1% SDS, 1%トラシロール、10mM Tris-HCI[pH 7.2])で溶解させることによって特定した。サンプルにおける放射活性を、液体シンチレーションスペクトロメトリーによって特定した。細胞の数/ウェルを、3重ウェルに由来するトリプシン処理された細胞を計測することによって特定した。
【0129】
rNV血液凝集反応アッセイのために、集団O、タイプ陰性(0-)全血を回収して2体積のAlsever溶液(2.05%グルコース[w/v]、0.8% クエン酸ナトリウム、0.055%クエン酸、及び0.42%塩化ナトリウム;pH 6.1)中で懸濁させて使用まで4℃で保存した。赤血球(RBC)を洗浄して14mlのPBS-cmf(カルシウム-マグネシウムフリー、pH 7.4)中1mlの細胞を希釈することによってパッキングしそして15分に渡り500xgで遠心した。アッセイを行った直後、パッキングしたRBCを0.85%生理食塩水中0.5%において再懸濁させて氷上で保存した(例えば、5mlの0.85%生理食塩水に対して25μlのパッキングしたRBC)。
【0130】
精製したrNV VLPを、約500mg/mlで出発して、氷上で(0.01Mリン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム、pH5.5)中;孔経0.2μmのフィルターを使用することで無菌ろ過した)連続的に希釈(2倍)した。次いで、希釈物を対応する96ウェルV-底プレートの壁に50μl/lウェルで加えた。等体積(50μl)の0.85%生理食塩水中0.5%RBCを、連続的に希釈したVLPを含有するウェルに加えた。プレートを穏やかに混合し、カバーをし、そして約2時間に渡り4℃でインキュベートする、又はRBCを含み且つPBS-H のみが沈降するまで列になるまでインキュベートする。
【0131】
MAb NV54.6及びNV72.10がVLP赤血球凝集反応を遮断したかどうかを確かめるために、部分的に精製したMAbを、PBS-H中2μg/μlに希釈し、そして1μlのMAb希釈物を、VLPの各連続希釈物に加えた。HAアッセイを上記のように行い、そしてVLP及びMAbを含んだRBCの沈降をHAポジティブコントロールと比較した。結果は、NV54.6が、rNV赤血球凝集反応を最大で62.5μg/ml阻害したことを示した。MAb72.10は、rNV赤血球凝集反応を最大で250μg/ml阻害した。
【0132】
CaCo-2細胞に対するrNVのNV54.6遮断を証明するために、放射性標識したrNVs(15μg/105細胞)を、37℃で1時間に渡り、0.01M PBS(最終体積、20μl)中、精製NV54.6の連続希釈物と混合した。この混合物を氷上で冷却して、血清フリーMEM中10μlの13% BSAを各反応混合物に加え、そして冷血清フリーMEM1%BSAで予め洗浄した96ウェルプレート中のコンフルエント単層に加えた。ノロウィルス無反応抗体、DREGをイソタイプ適合ネガティブコントロールとして使用した。結合を上記のようにアッセイした。図3に示す結果は、精製NV54.6が、用量依存態様において、CaCo-2細胞へのrNVの結合を遮断することを示す。
【0133】
ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングすることによって、NV54.6及びNV72.10は、ペプチド1734(WIRQGPFDK:配列番号:5)、1735(WTRGMHQVS:配列番号:6)、1736(WTRSEHNLA:配列番号:8)、1737(WTLQWHTIQ:配列番号:9)、1738(WSLDSHRLV、配列番号:10)、1739(WTRGQHKLQ:配列番号:11)、1740(WNIKQHSLY:配列番:13)、1741(WTRDQHQLH:配列番号:14)、1742(WTLKNHTLS:配列番号:16)、1743(WTRSMHSLL:配列番号:17)、1744(WTRSMHSLV:配列番号:18)、1745(WTRGDHQVW:配列番号:19)、1746(WTRGDHQVX(Xは任意のアミノ酸であって良い)):配列番号:20)、及び1747(WTRGMHQVW:配列番号:21)であることが発見された。同定されたペプチドのアミノ酸配列を比較することによりコンセンサス配列、例えば、W-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8及びWTRGXHXL(配列番号:96)を獲得した。ペプチド1730、1731、及び1732を合成してこれらコンセンサス配列と一致させ、そしてNV54.6及びNV72.10によって認識されることを発見した。
【0134】
NV54.6及びNV72.10によって認識されたエピトープは、rNVカプシドタンパク質SDS-PAGE及びウェスタンブロットによって、完全に変性させた(沸騰した、SDS及びSDS-ME処理した)rNVカプシドタンパク質とのそれらの反応性を分析することによって構造エピトープであることが発見された。NV54.6及びNV72.10は、電気泳動の前に変性していないrNVカプシドタンパク質とのみ反応した。NV54.6及びNV72.10も、非変性ドットブロットによって試験した他のノロウィルス(TV、SMV、DSV、MV、HV、SHV、LV)のVLPと反応しなかった(図7を参照のこと)。
【0135】
アミノ酸配列1730、1731、及び1732の比較により、ペプチド1730は、モチーフ、GXHXL(配列番号:47)を含んで成る、NVカプシドタンパク質のアミノ酸133〜137に同一な5つのアミノ酸を有する(図8)。この配列は、NV及び他のノロウィルスVP1の保存領域内で発見されたが、それ自体は、GI及びGIIノロウィルスの間で良く保存されておらず(図8)、それはこれら他のウィルスとNV54.6及びNV72.10との反応性が一致する。この5つのアミノ酸配列は、ヒンジ領域に隣接するOEとαヘリクスの間のNVカプシドタンパク質のNループ中に存在する(Prasadら, Science 286: 287-290)。
【0136】
実施例2:MAb61.21
【0137】
MAb SMV61.21を、組換えスノーマウンテンウィルス(rSMV)VLPを免疫原として使用した以外は、実施例1の手順に従い生じさせた。rSMV VLPをLochridgeら Virus Genes 26: 71-82 (2003)に記載のようにして調製した。上記のようにファージディスプレーによって同定されたSMV62.21によって認識されたペプチドは、配列: WLPAPIDKL(1800、配列番号:4)を有することが発見された。このエピトープは、GI及びGIIノロウィルスVPlの間で部分的に保存されている(図9)。NVの対応するPAP配列は、カプシドタンパク質のβ鎖のβEf2とβEf3の間の小ループの部分である(Prasadら Sciefzee 286: 287-290(1999))。Whiteらは、この領域は、NVが培養ヒト細胞及び動物細胞に結合及び侵入することにおいて重要でありうることを示した(J.Virol.70:6589〜6597)。この解釈は、rSMV VLP赤血球凝集反応を阻害するSMV61.21の能力と一致する。グループA、タイプ陽性(A+)RBCを使用したこと以外は、上記のように、赤血球凝集反応阻害アッセイを行った。
【0138】
ウェスタンブロットにおいて、SMV61.21のみが非変性タンパク質と反応し(図6)、それは抗体が構造エピトープを認識することを示した。ドットブロットにおいて、SMV61.21のみがSMVと反応し、そして他の試験したGI又はGIIウィルスは、PAP配列及び隣接する1〜2個のアミノ酸が試験されたウィルスの中で保存されていたが反応しなかった。PAPに由来するカルボキシ末端に対するSMVアミノ酸の3つの位置はVであり、一方で、他の試験したGIIは、対応する位置がTであった(図9)。この一次配列における違いは、ドット流により確認された(図7)SMVとのみのSMV61.21の反応性について説明しうる。GIウィルスは、SMV Vに対応する位置にFを有し、そしてGIIウィルス(図9)に対して欠失を有し、それはSMV61.21との非反応性をもたらしうる。
【0139】
実施例3:ブロッキング-ペプチドELISAプロトコール
Immulon 1 ELISAプレートのウェルを、4℃で一晩のインキュベートによって、10ng/ウェルの精製rNVでコーティングした。プレートを0.05%Tween-20/PBSで一度洗浄した。非特異的タンパク質結合を減らすため、各ウェルを3%ウシ結成アルブミン(BSA)/PBSで45分に渡り室温でブロッキングした。反応混合物を、160μlの最終反応体積における0.1μgのNV54.6を伴い1:1(1mg/ml)ではじめて、2倍希釈〜1:4希釈のペプチド1730、1731、及び1732の連続希釈物を含み調製した。ペプチドIRR1794及び希釈物をネガティブコントロールとしてランした。抗体-ペプチド混合物及びコントロールを45分に渡り室温でインキュベートした。BSAブロッキング溶液を、0.05%Tween-20/PBSにより3回洗浄したプレートからデカンテーションした。各ウェルに50μlの抗体-ペプチド混合物又はコントロールを加え、そしてプレートを1.5時間に渡り室温でインキュベートした。溶液を、0.05%Tween-20/PBSで3回洗浄したプレートからデカンテーションした。ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG(第二抗体)を1:3000に希釈して100μlのアリコートを各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間に渡りインキュベートした。10分続くインキュベーションの後、OPD基質を、10mgの錠剤1つを10mlの0.05Mクエン酸バッファーに溶かすことによって調製した。第二抗体をデカンテーションし、そしてプレートを3回0.05%Tween-20/PBSで洗浄した。5μlの30%H2O2をOPD基質に加えて、100μlを直ぐに各ウェルに加えた。プレートを15分に渡り暗中、室温でインキュベートした。反応を、2.5Mの硫酸を50μl/ウェルで加えることによってとめた。各吸光度を、ELISAプレートリーダー上490nmで十分に測定した。
【0140】
図4に示す結果は、ペプチド1730、1731、及び1732は、IRR1794及び希釈物に比較して、rNVに対するNV54.6の結合を実質上阻害することを示す。SMV62.21及びrSMVでこの研究を繰り返すことにより、SMV62.21が、rSMVのCaCo-2細胞に対する結合を阻害することが示された。
【0141】
実施例4:宿主細胞に結合するrNV又はrSMVを遮断するペプチド
【0142】
CaCo-2細胞に対して結合するrNV及びrSMVのペプチド遮断は、CaCo-2細胞に対するrNVのNV54.6遮断を証明した上記手順に類似して行った。放射性同位体標識したrNV(15μg/105細胞)を、37℃で1時間に渡り、0.01MのPBS中、精製ペプチド1730、1731、1731、1800、又はネガティブコントロール連続希釈物としてIRR1794と混合した。ペプチドの連続希釈物を遊離ペプチド及び担体の例えば、BSAと結合したペプチドにより調製した。この混合物を氷上で冷却し、血清フリーMEM中10μlの3%BSAを各反応混合物に加え且つ冷血清フリーMEM-1%BSAにより予め洗浄した96ウェルプレートにおけるコンフルエント単層に加えた。結合を上記のようにして評価した。結果は、ペプチド1730、1731、1732がrNVの結合を減らしそして1800はrSMVのCaCo-2細胞に対する結合を用量依存態様で下げることを証明する。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】3つの主要なオープンリーディングフレーム(ORF1、-2、-3)及びポリアデニル化された3'末端を含むプロトタイプノロウィルスゲノムRNA、ノーウォークウィルス(NV)の概略図である。ORF1は、解裂してNTPase、VPg、ウィルスプロテアーゼ(Pro)、及びRNA-依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を生じるポリタンパク質をコードする。白抜三角及び文字は、Proによってプロセシングされるポリタンパク質における解裂部位を示す。ORF2は、K227/Tで解裂するカプシドタンパク質(VP1)をコードする;しかし、解裂したカプシドタンパク質は、ヴィリオンにおいて検出されない。ORF3は、マイナーカプシドタンパク質(VP2)をコードする。VPgはゲノムRNA及びORF2から転写されたサブゲノムmRNAの5'-末端に共有結合する。
【図2】組換えノーウォークウィルス様粒子(rNV、VLP)の電子顕微鏡写真、rNV VLPsの3D凍結再生物(Cryoreconstruction)、並びにNVカプシドタンパク質のX-線結晶構造である。「A」、「B」、及び「C」は、T=3の格子を構築する準等価性サブユニット(quasi-equivalent subunits)である。「3」及び「5」は、5-重になった及び3-重になった軸の位置を示す。「N」は、カプシドの内部に面するアミノ末端アーム(アミノ酸10〜49)である。「S」はシェルドメイン(アミノ酸50〜225)である。「P」は、ウィルス粒子表層から伸びたカプソマー(capsomeres)を形成する突起アームドメインである。Pドメインは2つのサブドメイン、P1(アミノ酸226〜278及び406〜520)及びP2(アミノ酸279-405)に分けられる。S及びPドメインは、柔軟なヒンジ領域によって連結されている(Prasadら,Science 286: 287-290 (1999))。
【図3】ブロッキング実験の結果の棒グラフであり、ここでMAb NV54.6は、用量依存態様において、分化したCaCo-2細胞に対するrNV VLPの結合を阻害する。
【図4】ブロッキング実験の結果の棒グラフであり、ここでペプチド1730(WTRGSHNL: 配列番号:1)、1731(WTRGGHGL:配列番号:2)、及び1732(WTRGQHQL:配列番号:3)は、rNV VLPに対するMAb NV54.6の結合を阻害する。IRR 1794(RVYIHPF:配列番号:5)は、ヒトアンジオテンシンIIIに由来する(U. S. 特許No.5854388号参照のこと)。
【図5】ノロウィルス赤血球凝集反応及びノロウィルス赤血球凝集反応阻害の結果を示す。パネルAは、指示VLP濃度におけるrNV VLP赤血球凝集反応を示す。パネルBは、PBS中の非凝集RBCを示す。パネルCは、マウス適合させたインフルエンザウィルスの赤血球凝集反応を示す。パネルDは、MAb NV54.6によるrNV VLPの赤血球凝集反応の阻害を示す。パネルEは、NV54.6がインフルエンザウィルスによる赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルFは、MAb NV72.10によるrNVVLPの血液凝集反応の阻害を示す。パネルGは、NV72.10がインフルエンザウィルスによる赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルHは、MAb DREG55(ネガティブコントロール)がrNV VLPの赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルIは、MAb DREG55が赤血球凝集反応しないことを示す。パネルJは、MAbE186.10がrNV VLPの赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルKは、MAb SMV61.21が、rSMV VLPの血液凝集反応を阻害することを示す。パネルLは、rSMV VLPによる血液凝集反応を示す。パネルMは、PBS中での非凝集RBCを示す。
【図6】ウェスタンブロットにおいてSMV61.21と沸騰及び/又はβ-メルカプトエタノール処理したSMVカプシドタンパク質との反応性を示す。
【図7】非変性ドットブロットにおいてNV54.6、NV72.10、及びSMV61.21と指示ノロウィルスVLPの反応性を示す。
【図8】ノーウォークウィルスカプシドタンパク質の部分配列、及び指示ノロウィルスの、キアウィルス(配列番号:6)、デザートシールドウィルス(配列番号:7)、グリムズビーウィルス(配列番号:8)、ハワイウィルス(配列番号:9)、ロードスデールウィルス(配列番号:10)、Marylandウィルス/145(配列番号:11)、メキシコウィルス(配列番号:12)、ノーウォークウィルス(配列番号:13)、セトウィルス(配列番号:14)、スノーマウンテンウィルス(配列番号:15)、サウサンプトンウィルス(配列番号:16)に由来するそれに対応する配列を示す。
【図9】スノーマウンテンウィルスカプシドタンパク質の粒子の配列及び指示ノロウィルスの、キアウィルス(配列番号:17)、デザートシールドウィルス(配列番号:18)、グリムズビーウィルス(配列番号:19)、ハワイウィルス(配列番号:20)、ロードスデールウィルス(配列番号:21)、Marylandウィルス/145(配列番号:22)、メキシコウィルス(配列番号:23)、ノーウォークウィルス(配列番号:24)、セトウィルス(配列番号:25)、スノーマウンテンウィルス(配列番号:26)、サウサンプトンウィルス(配列番号:27)に由来するそれに対応する配列を示す。
【図10】図10は、NVカプシドタンパク質(配列番号:28)のアミノ酸配列を示す(Jiangら Virology 195(1) : 51-61 (1993))。
【図11】図11は、NV カプシドタンパク質(配列番号:29)のアミノ酸配列を示す(Kobayashiら J. Clin. Microbiol. 38 (9): 3492-3494 (2003))。
【図12】図12は、SMV カプシドタンパク質(配列番号:30)のアミノ酸配列を示す(Lochridgeら、Virus Geeles 26: 71-82(2003))。
【背景技術】
【0001】
1.優先権及び関連出願
本願は、係属中の2003年9月24日に提出された米国特許仮出願60/508,262号の優先権を主張する。全ての優先権及び関連出願は、本明細書中、その全体を参照によって組み込まれている。
【0002】
2.連邦政府委託調査に関する記載
本発明は、米国陸軍によって評価された認可番号DAMD17-01-C-0040及びNHIによって評価された認可番号AI-43450の政府支援の下になされている。
【0003】
3.背景
カリシビリダエ(Caliciviridae)科のノロウィルス属は、急性胃腸炎(gasteroenteritis)の非細菌性蔓延に最も共通する原因である形態学的に類似するが抗原性が多彩のウィルスを含んで成る(Huang ら., J. ID. 188: 19-31 (2003))。ノロウィルは、汚染された食物又は水の消費によって主に伝達されるが、ヒトからヒトへの直接伝達も生じうる。ノロウィルス感染症の症状としては、吐き気(nausea)、嘔吐(vomiting)、下痢、水様の非出血性下痢、腹部腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋肉痛、及び咽頭痛が挙げられる。流体のロスにより脱水が生じ、それは、ノロウィルス疾患に最も共通する合併症である。症状は通常24〜60時間続き且つ回復は、通常、深刻な、長期続発症を伴わず完了する。
【0004】
ノロウィルスゲノム RNAのヌクレオチド及び推定アミノ酸配列は、多くの単離物から入手可能である (例えば, DingleらJ Gen. Virol. 76 (Pt9): 2349-2355 (1999); GreenらJ. Infect. Dis. 185: 133-146 (2000); HaleらClinical and Diagnostic Laboratory Immunology 6: 142-145 (1999); JiangらVirology 195: 51-61 (1993); JiangらJ. Med. Virol. 47: 309-316 (1995); Kingらウィルス Genes 15: 5-7 (1997); KobayashiらJ. Clin. Microbiol. 38: 3492-3494 (2000);LambdenらScience 259: 516-519 (1993); LambdenらVirus Genes 10: 149-152 (1995); LewらVirology 200: 319-325 (1994); LiuらArch. Virol. 1140: 1345-1356 (1995);SomeyaらVirology 278: 490-500 (2000)を参照のこと)。ノロウィルス分子生物学における進展に関わらず、免疫力、ウィルス-細胞相互作用、及び抗ウィルス療法の潜在的標的は解明されていない。これらの研究は、ノロウィルスに関する組織培養系及び動物モデルが入手可能ではないため妨げられている。従って、ノロウィルに対する体液性及び細胞性免疫反応並びに病原性におけるウィルス遺伝子産物の役割は、厳重に検証されていない。ボランティア研究は、ノロウィルスチャレンジに対して抵抗体の役割を確立するが、この免疫は寿命が短く且つ種特異性である。約27〜42月続く長期免疫が、チャレンジ研究において確認されているが、プレチャレンジ血清抗体力価又は抗ウィルス抗体反応と相関関係がない。
【0005】
従って、感染防御免疫の標的であり且つ宿主細胞と反応するノロウィルスタンパク質の領域を特定するための方法に対する要請がある。これらの領域を同定することは、ノロウィルス診断試薬、治療、及びワクチンに関する基礎を供する。
【発明の開示】
【0006】
3.発明の概要
本発明は、ノロウィルスのカプシドタンパク質を結合するモノクローナル抗体(MAb)及びMAbによって認識されるノロウィルスのカプシドタンパク質の領域を同定する。一層詳細には、本発明は、ノロウィルスカプシドタンパク質エピトープを同定し且つカプシドタンパク質エピトープのアミノ酸組成を特定する方法を供する。本発明の組成物は、免疫原、ワクチン、抗ウィルス治療剤、及び診断試薬として使用することを発見する。
【0007】
一つの実施態様において、本発明は、ノロウィルスカプシドタンパク質に結合する抗体を提供する。好適な実施態様において、抗体は、ノロウィルスカプシドタンパク質を結合するための第二抗体と競合する。
【0008】
他の実施態様において、本発明は、ノロウィルスカプシド抗体がノロウィルスに結合することを遮断するペプチドを提供する。
【0009】
他の実施態様において、本発明は、ノロウィルスが細胞に結合することを遮断するペプチドを提供する。
【0010】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般式又は配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58 (配列番号:142)(式中、X50はW及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T、G、H及びNから成る群から選択され、そしてTが好適である;X52はR、L、F及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D、P、T、A及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり; X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はQ、G、M、E、W、S、L、T、I、A、V及びNから成る群から選択され;X55はE、D、R、Q、H及びPから成る群から選択され、そしてHが好適であり;X56は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、G、K及びSからなる群から選択され;X57は、L、I、D及びVから成る群から選択され、そして、Lが好適であり;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、S、K、A、Q、V、Y、H、L、T及びWからからなる群から選択される)である。
【0011】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58 (配列番号:143)を含んで成る。
【0012】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)(式中、X50はW及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T及びNから成る群から選択され、そしてTが好適であり;X52はR、L及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり;X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、Q、G、M、E、W、S及びNから成る群から選択され;X55はH及びPから成る群から選択され、そしてH好適であり;X56は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、K及びSからなる群から選択され;X57はL、I、D及びVからなる群から選択され、そしてL 好適であり;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はS、K、A、Q、V、Y、H、L及びWから成る群から選択される)である。
【0013】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは配列W-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58(配列番号:144)(式中、X52は、R及びFからなる群から選択され;X53はP及びGからなる群から選択され;X54は、S、G及びQからなる群から選択され;X55は、H及びEからなる群から選択され;X56はN、G及びQからなる群から選択され;そしてX58は、S及びTからなる群から選択される)である。
【0014】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えばX50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58 (配列番号:144)であり、いくつかの実施態様において、更に(i)アミノ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができ、そして/又は(ii)カルボキシ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドの1又は複数のアミノ酸の例えば、X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58 (配列番号:144)は、いくつかの実施態様において、図8に記載のような、ノロウィルス配列に対応しうる。
【0015】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、式又は配列X60-X6l-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)(式中、X60はW、D、E、G、S及びAからなる群から選択され、そしてWが好適であり;X61はL、I、V及び所定の位置における欠失からなる群から選択され、そしてLが好適であり;X62はI、L、V及びAからなる群から選択され、そしてI及びLが好適であり、そしてIが特に好適であり;X63は、D及びGから成る群から選択され、そしてDが好適であり;X64は、K、V、T 及びFからなる群から選択され、そしてK及びFが好適であり、そしてKが特に好適であり;そしてX65はL及びPから成る群から選択される)である。
【0016】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えば、X60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)は、いくつかの実施態様において、更に(i)アミノ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができ、そして/又は(ii)カルボキシ末端において1又は複数のアミノ酸を含んで成ることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えば、X60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65 (配列番号:145)は、図9に記載のノロウィルス配列に対応する1又は複数のアミノ酸配列を含んで成りうる。
【0017】
好適な実施態様において、本発明のペプチドはアミノ酸配列WTRGSHNL(配列番号:1)、WTRGGHGL(配列番号:2)、WTRGQHQL(配列番号:3)、又はWLPAPIDKL(配列番号:4)を含んで成る。
【0018】
他の観点において、本発明は、抗体のノロウィルスへの結合を遮断する方法を供する。一つの実施態様において、標識抗体のノロウィルスへの結合は、他の、好適な、未標識抗体がウィルスへ結合することによって遮断されて良い。他の実施態様において、抗体の結合は、抗体が、本発明のペプチドへ結合することによって阻害されて良い。
【0019】
他の観点において、本発明は、ノロウィルスのカプシドタンパク質へ結合し、そして当該ウィルスの、細胞へ接着又は結合することを予防する抗体を提供する。いくつかの実施態様において、ウィルスが細胞に結合することを妨げることによって、細胞の感染症を予防する。好適な実施態様において、抗体は、NV54.6、NV72.10、又はSMV61.21である。従って、他の観点において、本発明は、ノロウィルスの治療又は予防処置の両方として使用する抗体及び方法を提供する。
【0020】
他の観点において、本発明は、ノロウィルスが細胞への結合することを阻害するペプチドを提供する。いくつかの実施態様において、ウィルスが細胞に結合するのを予防することによって細胞の感染を予防する。好適な実施態様において、本発明のペプチドは、1730(配列番号:1)、1731(配列番号:2)、1732(配列番号:3)、又は1800(配列番号:4)である。従って、他の観点において、本発明は、NVの予防又は治療の両方として使用するペプチド及び方法を提供する。
【0021】
他の観点において、本発明は、宿主において免疫反応を誘導し、従って、感染症を予防する又はNV疾患を軽減する方法を供する。好適な実施態様において、本発明のペプチドは、11730(配列番号:1)、1731(配列番号:2)、1732(配列番号:3)、又は1800(配列番号:4)である。従って、他の観点において、本発明は、ノロウィルスに対する治療又は予防の両方として使用するペプチド及び方法を供する。
【0022】
他の観点において、本発明は、診断剤としての使用を発見する抗体及びペプチドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
5.詳細な説明
本発明は、所定の抗体がノロウィルスのカプシドタンパク質に結合することができ且つノロウィルスが細胞に接着又は結合することを予防できるという発見に関する。本明細書中の「MS抗体」と命名されたこれらの抗体は、例えば、モノクローナル抗体(MAb)、例えば、NV54.6、NV72.10、及びSMV61.21が挙げられる。従って、NV54.6、NV72.10、及び/又はSMV61.21と同じ、類縁の、又は対応するエピトープを結合することができるMS抗体の、ノロウィル感染症もしくは疾患の治療もしくは予防的処置の両方としての使用を発見する。MS抗体は、ファージディスプレースクリーンにより同定されるいくつかのペプチド(本明細書中、用語MSペプチド)を結合することが示されている。MSペプチドは、免疫原として、例えば、治療組成物の、限定はされないが、ワクチンとして、ノロウィルス感染症を予防、改善又は治療することができる免疫反応を生み出すため、又はノロウィルスが細胞に完全に結合するのと競合する治療ペプチドとして使用されて良い。
【0024】
従って、組成物に加え、本発明は、ノロウィルスが細胞へ結合することを阻害する方法を供する。いくつかの実施態様において、ノロウィルスが細胞に結合することを減らす又はなくすことにより感染性が減らされうる。いくつかの実施態様において、本発明は、ノロウィルスが宿主細胞に対して結合することを、本発明のMS抗体又はMSペプチドによって、阻害する方法を含む。この方法は、宿主又は患者におけるノロウィルス疾患の治療、ノロウィルスの同定、及びノロウィルス疾患の診断における使用を発見する。
【0025】
いくつかの実施態様において、カプシドタンパク質と細胞上の対応するリガンドの結合の相互作用を阻害することを含んで成る。相互作用の部位は、MS抗体が結合するエピトープであり、それは細胞よって結合されるカプシドタンパク質に対応しうる。いくつかの実施態様において、MS抗体が結合するエピトープは、細胞リガンドとの相互作用のカプシドタンパク質部位の一次又は二次構造に従い隣接して良く、従って立体的にかかる相互作用を阻害する。従って、MS抗体のノロウィルスに対する結合は、直接的に又は間接的に(例えば、立体的に)、カプシドタンパク質と細胞リガンドの相互作用を阻害する。いくつかの実施態様において、細胞は宿主細胞であり且つMS抗体の結合は、ノロウィルスによる宿主細胞の相互作用を阻害しうる。
【0026】
いくつかの実施態様において、前記方法は、カプシドタンパク質と対応するリガンドの細胞上での結合の相互作用を阻害することを含んで成る。いくつかの実施態様において、本発明のペプチドは、細胞上の対応するリガンドへ結合することができる。リガンドへのペプチドの結合は、ノロウィルスが細胞へ結合することを阻害する。いくつかの実施態様において、細胞は宿主細胞であり且つペプチドがそこへ結合することは、ノロウィルスによる宿主細胞の感染を阻害することができる。
【0027】
従って、本発明は、ノロウィルスに結合し且つMS抗体と競合する抗体を提供する。本明細書中、「ノロウィルス」、「ノロウィルス(NOR)」、「ノロウィルス」及び文法上同等物は、カリシビリダエ(Caliciviridae)群のノロウィルス属のメンバーを意味する。いくつかの実施態様において、ノロウィルスは、類縁の、ポジティブセンス単鎖RNA、ヒト又はヒト以外の哺乳動物種に対して感染性でありうる非エンベロープウィルスを含の集団を含む。いくつかの実施態様において、ノロウィルスは、ヒトにおいて急性胃腸炎を生じうる。ノロウィルスは、電子顕微鏡によって確認される場合、規定の表層構造又は辺縁を有する小型球形ウィルス(SRSV)に言及されうる。ノロウィルスには、15の遺伝子クラスターを含んで成り、核酸及びアミノ酸配列によって規定される少なくとも4つのゲノム集団(GI-IV)が挙げられる。この主要なゲノム集団は、GI及びGIIである。GIII及びGIVは、案ではあるが一般に受け入れられている。GIIIの代表的なものは、ウシ、Jena系統である。GIVは、この時点であるウィルス、アルファトロン(Alphatron)を含む。ノロウィルスの更なる記載は、Vinjeet al. J. Clira. Micro. 41: 1423-1433 (2003)を参照のこと。「ノロウィルス」とは、本明細書中、組換えノロウィルスウィルス様粒子(rNOR VLP)をも意味する。いくつかの実施態様において、例えばSf9細胞中のバキュロウィルスベクターから、細胞中、少なくとも、ORF2によってコードされるノロウィルスカプシドタンパク質の組換発現は、カプシドタンパク質がVLPへと入る偶発的自己集合をもたらす。いくつかの実施態様において、細胞中、例えばSf9細胞中のバキュロウィルスベクターに由来から、ORF1及びORF2によってコードされる少なくともノロウィルスタンパク質の組換え発現はカプシドタンパク質のVLPへの自己集合をもたらしうる。VLPは、構造的にノロウィルに類似するが、ウィルスRNAゲノムを欠き、それ故に感染性ではない。従って、「ノロウィルス」は、欠損性及び欠損-干渉性粒子を含む、感染性又は非感染性粒子であって良いヴァリオンを含む。
【0028】
ノロウィルスの非感染性粒子としては、ノーウォークウィルス(NV, GenBank M87661, NP056821)、サウサンプトンウィルス(SHV, GenBank L07418)、デザートシールドウィルス(DSV, U04469)、ヘッセウィルス(HSV)、チバウィルス(CHV, GenBank AB042808)、ハワイウィルス(HV,GenBank U07611)、スノーマウンテンウィルス(SMV, GenBank U70059)、トロントウィルス(TV, Leiteら, Arch. Virol. 141: 865-875)、ブリストルウィルス(MV, AY032605)、ジュナウィルス(JV, AJ011099)、メリーランドウィルス(MV, AY032605)、セトウィルス(SV, GenBank AB031013)、キャンバーウェル (CV, AF145896)、ロードスデールウィルス(LV, GenBankX86557)、グリムズビーウィルス(GRV, Haleら, Clinical and Diagnostic Laborato7y Im7nunology 6: 142-145)、メキシコウィルス(MXV, GenBankU22498)が挙げられる。各々の核酸及び対応するアミノ酸配列は、全てそれらの全体を本明細書中、参照によって組み込まれている。いくつかの実施態様において、暗号文が同定の目的で使用され且つ系統化されて良い、即ち、ウィルスが単離された宿主種/属の略号/種の略号/系統名/発生年/由来する国が使用され且つ系統化されて良い(Green etal., Human Calici virues, in FieldsVirology VoL 1841-874(主にKnipe及びHowley著 第4版, Lippincott Williams & Wilkins 2001))。ノーウォークウィルス及びスノーマウンテンウィルスがいくつかの実施態様において好適である。
【0029】
本発明は、ノロウィルスタンパク質(例えば、カプシドタンパク質)及びMSペプチドなど、様々なタンパク質を提供する。「タンパク質」とは、本明細書中、2つ以上の共有結合したアミノ酸を意味し、それはタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド及びペプチドを含む。いくつかの実施態様において、2つ以上の共有結合したアミノ酸は、ペプチド結合によって結合している。タンパク質は、天然に生じるアミノ酸及びペプチド結合から、又は合成ペプチドミメチック構造、即ち「類似物」、例えば、ぺプトイド(Simonet al.,PNAS USA 89 (20): 9367 (1992)を参照のこと)(それはプロテアーゼ又は他の生理学的及び/又は保存条件に対して耐性がある)からなる。従って、ペプチドミメチック構造体は、MSペプチドが患者に投与される場合に好適でありうる。従って、「アミノ酸」又は「ペプチド残基」とは、本明細書中、天然に生じるアミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味し、それはアミノ基、カルボキシル基、水素基、及びR-基、又は炭素原子に結合した「側鎖」を含む。従って、いくつかの実施態様において、ホモフェニルアラニン、シトルリン、オルニチン、及びノルロイシンは、本発明の目的ためのアミノ酸と考えられてよい。「アミノ酸」には、イミノ酸残基の例えば、プロリン及びヒドロキシプロリンが含まれる。アミノ酸「R基」又は「側鎖」は、(R)又は(S)構造のいずれかにあって良い。好適な実施態様において、アミノ酸は(S)又はL-構造である。様々な例示において、アミノ酸側鎖は、芳香族(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、イオウ(例えば、システイン、シスチン、メチオン)、ヒドロキシル(例えば、セリン、スレオニン、チロシン)、塩基性(例えば、リジン(-NH3)、アルギニン(グアニジニウム)、ヒスチジン(イミダゾール))、酸性(アスパラギン酸(-COOH)、グルタミン酸(-COOH)、アスパラギン(-CONH2)、グルタミン(-CONH2))、脂肪族(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)、及び/又は直鎖状又は枝分かれした炭素鎖を1〜5個有する(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)アルキルである。いくつかの実施態様において、アミノ酸側鎖は、α、β、及び/又はγ炭素などに結合して良い(Stryer. Biocheinistiyl5-42 (第3版. W. H. Freeman & Co. 1988))。もし天然に生じる側鎖が使用されれば、非アミノ酸置換基が、例えばin vivo分解を予防又は減らすために使用されて良い。「天然に生じるアミノ酸」及びその文章上同等物は、本明細書中、細胞によってそれが自然において発見される形態において生産されて良いアミノ酸を意味する。様々な実施態様において、天然に生じるアミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、チロシン(T)、トリプトファン(W)、システイン(C)、メチオニン(M)、セリン(S)、スレオニン(T)、リジン(K)、アルギニン(A)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、ヒドロキシプロリンであって良い。
【0030】
「ノロウィルスペプチド」、「NORペプチド」、及び文法上同等な用語は、本明細書中、ノロウィルスORFから推定されるアミノ酸配列と類似又は同一の配列を含んで成るタンパク質を意味する。いくつかの実施態様において、NORペプチドは、長さ約5〜約150アミノ酸である。好適な実施態様において、NORペプチドは、長さ約5〜約30アミノ酸である。一層さらに好適な実施態様において、NORペプチドは、長さ約5〜約15アミノ酸である。一層さらに好適な実施態様において、NORペプチドは、約8〜約20アミノ酸であり7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び19のペプチドを全て含む。従って、いくつかの実施態様において、NORペプチドはノロウィルスORFから推定された配列よりも短くて良い。いくつかの代替的な実施態様において、NORペプチドは、融合タンパク質等について下に記載のように、ノロウィルスORFから推定されるアミノ酸配列よりも長くて良い。
【0031】
「カプシドペプチド」及び文法上同等な用語は、本明細書中、ノロウィルスのORF2の推定アミノ酸配列と類似する又は同一のNORペプチドを意味する。いくつかの実施態様において、ペプチドとは、本明細書中に記載のとおり、もしそれが、ノロウィルスORF2から推定される配列に対して相同性を有するアミノ酸の配列を含んで成るなら、「カプシドペプチド」を意味する。この関係において、「相同性」は、約75%超、一層好適には約80%超、一層更に好適には約85%超であり且つ最も好適には約90%超である。いくつかの実施態様において、相同性は、約93〜95%以上又は98%でありうる。正確な相同性もペプチドの長さに基づいて決定されて良い。従って、長さ約7〜約15残基のペプチドの好適な相同性は約1又は2アミノ酸置換、挿入、及び/又は決失を有しうる。いくつかの実施態様において、ノロウィルスORF2の推定アミノ酸配列に対する配列類似性又は同一性は長さ約5〜約150アミノ酸である。好適な実施態様において、相同配列又は類似配列は、長さ約5〜約30アミノ酸である。一層好適な実施態様において、相同配列は長さ約5〜約15アミノ酸である。更に好適な実施態様において、相同配列は、長さ約8〜約20アミノ酸である。この関係において、相同性とは、配列の類似性又は同一性を意味し、そして同一性が好適である。この相同性は、下に記載の当業者に公知の標準技術を使用することで特定されるだろう。
【0032】
様々な例となる実施態様において、MSペプチドは、当業者に公知の有機合成技術によって又は組換え技術、例えば下に記載の組換え核酸の発現を通じて生産されて良い。組換えペプチドは、少なくとも1又は複数の特徴によって天然に生ずるタンパク質又はペプチドから区別されて良い。例えば、ペプチドは、通常、野生型宿主と関連している物質及び/もしくは化合物のいくつかもしくは全部から単離もしくは精製されて良く、従って実質的に純粋でありうる。例えば、単離されたペプチドは、物質であって、天然の状態でそれが結合する物質を伴わず、あるサンプル中、総物質の好適には少なくとも約0.5重量%、一層好適には少なくとも約5%重量を構成する物質を伴わない。実質上純粋なペプチドは、総タンパク質の約75重量%以上に含まれて、そして約80%以上が好適であり、そして約90%以上が特に好適である。いくつかの実施態様において、ペプチドは、組換え核酸から発現した場合、当該ペプチドが高い濃度レベルで調製されるように、誘導プロモーター又は高発現プロモーターの使用を通じて、天然において確認されるよりも有意に高い濃度で調製されて良い。代替的に、ペプチドは、天然において通常は発見されない形態、例えば、限定されないが、下に記載のとおり、エピトープ標識の付加又はアミノ酸置換、挿入、及び決失、融合パートナーの形態であって良い。
【0033】
好適な実施態様において、本発明は、下に概略を述べたように、様々な用途において使用するためのMSペプチドを提供する。いくつかの実施態様において、「MSペプチド」とは、カプシドペプチド、例えば、限定されないが、カプシド断片及び合成ペプチド(例えば、有機化学反応によって合成された又は組換え核酸から合成されたペプチド)を意味する。いくつかの実施態様において、MSペプチドは、上記の通り、カプシドタンパク質配列に非常に類似しうる。しかし、代替的な実施態様において、MSペプチドは、カプシドタンパク質配列に非常に相同的でなくて良い。いくつかの実施態様において、MSペプチドは、カプシドタンパク質の立体構造エピトープ又は直線状エピトープのいずれかを模擬することができる。従って、様々な例となる実施態様において、「MSペプチド」は、a)MS抗体がノロウィルスへ結合することを遮断する能力を示す;b)ノロウィルスが細胞へ結合することを遮断する能力を示す;c)ノロウィルスとの抗体交差反応性を誘導する;d)天然に生ずるカプシドタンパク質の生物活性を少なくとも1つ示す;及び/又はe)示された相同性を少なくとも有することができる。好適な実施態様において、MSペプチドは2以上のこれらの特性を示すことができる。好適な実施態様において、MSペプチドは、天然に生ずるタンパク質(再度、直線状又は立体構造エピトープ)と抗原性エピトープを少なくとも1つ共有するが、いくつかの実施態様においてこのことは必要とされなくて良い。様々な例となる実施態様において、本発明のMSペプチドは、天然に生ずる、推定アミノ酸配列よりも長いかあるいは短くて良い。好適な実施態様において、MSペプチドは、本明細書中に記載の配列の部分又は断片を含んで良い。好適な実施態様において、MSペプチドは、ノロウィルスに対する抗体の結合を阻害すること及び/又細胞に対するノロウィルスの結合を阻害することができる。
【0034】
好適な実施態様において、「MSペプチド」は、ノロウィルスORF2から推定されるアミノ酸配列に結合するMS抗体を誘導するペプチドを含む。当業者に公知のように、抗体はエピトープに対して特異的に結合する(Berzofskyらimmunogenicity and Antigen Structure, Fundamental Immunology 631-684 (Paul著 第5版, Lippincott Williams & Wilkins 2003))。「エピトープ」、「抗原決定基」、及び文法上同等な用語は、本明細書中、免疫反応(例えば、抗体, 免疫細胞)の産物によって特異的に結合されて良い抗原又は免疫源の領域を意味し、それは、抗体-結合部位又はT-細胞レセプター中の相補的残基と接触する及び/又は免疫反応を誘導することができる残基を含む(Berzofskyらimmunogenicity and Antigen Structure, Fundamental Immunology 637 (Paul,第5版, Lippincott williams及びWilkins 2003)。当業者に明らかなように、エピトープは、直線状エピトープ又は立体構造エピトープでありうる。「直線エピトープ」とは、直線態様で連結した約5以上で約20を超えないアミノ酸を含んで成るエピトープを意味し、このアミノ酸は、それ自体又はより長い配列の一部として、かかる配列に応じて生じた抗体と結合する。「立体構造エピトープ」とは、その3次(three dimential)、2次及び/又は3次(tertialy)構造が抗体結合の実質上の側面でありうるエピトープに言及される。一般に、画一的ではないが、立体構造エピトープを含んで成るアミノ酸は、タンパク質の一次構造の直線配列を含んで成らない。従って、立体構造エピトープは、非類似直線アミノ酸配列を有するタンパク質によって共有されうる。特定の理論にとらわれることなく、立体構造エピトープは、共有されて良く、何故なら、抗体によって認識される3次構造が2以上のアミノ酸配列の間で共有されうるからだ。従って、いくつかの実施態様において、本発明のMSペプチドは、天然に生じるノロウィルスタンパク質に反応して生産された抗体を結合でき及び/又は天然に生じるノロウィルスタンパク質に結合する抗体を誘導するように天然に生じるノロウィルスタンパク質の立体構造を模倣することができる。
【0035】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、MS抗体の結合について競合するそれらの能力により機能的に規定されている。即ち、MS抗体の例えば、NV54.6、NV72.10及び/又はSMV62.21は、本明細書中に概略を記載した特定のエピトープに結合し、そしてかかる結合のために争うペプチドがMSペプチドである。
【0036】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般式又は配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58 (配列番号:142)(式中、X50は、W及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T、G、H及びN から成る群から選択され、そしてTが好適であり;X52はR、L、F及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D、P、T、A及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり; X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はQ、G、M、E、W、S、L、T、I、A、V及びNから成る群から選択され;X55はE、D、R、Q、H及びPから成る群から選択され、そしてHが好適であり;X56はアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、G、K及びSからなる群から選択され;X57は、L、I、D及びVから成る群から選択され、そして、Lが好適である;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、S、K、A、Q、V、Y、H、L、T及びWからからなる群から選択される)を有することができる。
【0037】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58 (配列番号:143)を含んで成る。
【0038】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、配列X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)(式中、X50は、W及びPから成る群から選択され、そしてWが好適であり;X51はS、I、T及びNから成る群から選択され、そしてTが好適であり;X52はR、L及びIから成る群から選択され、そしてRが好適であり;X53はG、Q、S、D及びKから成る群から選択され、そしてGが好適であり;X54は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸は、Q、G、M、E、W、S及びNから成る群から選択され;X55はH及びPから成る群から選択され、そしてH好適であり;X56は、任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はR、F、Q、N、T、K及びSからなる群から選択され;X57は、L、I、D及びVからなる群から選択され、そしてLが好適であり;そしてX58は任意のアミノ酸であり、そして好適なアミノ酸はS、K、A、Q、V、Y、H、L及びWから成る群から選択される)を含んで成る。
【0039】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは配列W-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58(配列番号:142)(式中、X52は、R及びFからなる群から選択され;X53はP及びGからなる群から選択され;X54は、S、G及びQからなる群から選択され;X55は、H及びEからなる群から選択され;X56はN、G及びQからなる群から選択され;そしてX58は、S及びTからなる群から選択される)を含んで成る。
【0040】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えば、X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58 (配列番号:144)は、いくつかの実施態様において、更に(i)アミノ末端において1又は数個のアミノ酸を含んで成り、そして/又は(ii)更にカルボキシ末端で1又は数個のアミノ酸を含んで成る。いくつかの実施態様において、例えば、MSペプチドの1又は複数のアミノ酸の例えば、X50-X51-X52-X53-X54-X55-X56-X57-X58(配列番号:142)、W-T-R-G-X54-H-X56-L-X58(配列番号:143)、及びW-T-X52-X53-X54-X55-X56-L-X58(配列番号:144)は、いくつかの実施態様において、図8.に記載のように、ノロウィルス配列に対応する。
【0041】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、一般配列W-Xl-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8 (配列番号:97)(式中、X1は、I、N、S、又はTであって良く;X2は、I、L、又はRであって良く;X3はD、G、K、Q又はSであって良く;X4は、D、E、G、N、M、Q、Sであって良く又は;X5は、H又はPであって良く;X6はF、K、N、Q、R、S、又はTであって良く;X7は、D、I、L、又はVであって良く;そしてX8は、A、H、K、L、Q、S、V、W、又はYであって良い)を有する。
【0042】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般配列 W-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7 (配列番号:98)(式中、X1はI、N、S、又はTであって良く;X2はI、L、又はRであって良く;X3はD、G、K、Q、又はSであって良く;X4は、D、E、G、N、M、Q、S、又はWであって良く;X5はH又はPであって良く;X6はG、F、K、N、Q、R、S、又はTであって良く;そしてX7はD、I、L又はVであって良い)を有しうる。
【0043】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは一般配列WTRGX9HX10L(配列番号:95)(式中、X9及びXl0は、独立して任意のアミノ酸である)を有しうる。いくつかの実施態様において、X9及びX10は、独立して任意の天然に生ずるアミノ酸である。いくつかの実施態様において、X9はD、E、G、N、M、Q、S、又はWであって良い。いくつかの実施態様において、X9はS、G、又はQであって良い。いくつかの実施態様において、Xl0は、G、F、K、N、Q、R、S、又はTであって良い。いくつかの実施態様において、X10は、G、N、又はQであって良い。いくつかの実施態様において、X9はS、G、又はQであって良く、そしてXl0は独立してX9のG、N、Qであって良い。
【0044】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ぺプチド1730(WTRGSHNL:配列番号:1)、1731(WTRGGHGL:配列番号:2)、1732(WTRGQHQL:配列番号:3)、1733(WSLGQHRIS:配列番号:31)、1734(WIRQGPFDK:配列番号:32)、1735(WTRGMHQVS:配列番号:33)、1736(WTRSEHNLA:配列番号:34)、1737(WTLQWHTIQ:配列番号:35)、1738(WSLDSHRLV:配列番号:36)、1739(WTRGQHKLQ:配列番号:37)、1740(WNIKQHSLY:配列番号:38)、1741(WTRDQHQLH:配列番号:39)、1742(WTLKNHTLS:配列番号:40)、1743(WTRSMHSLL:配列番号:41)、1744(WTRSMHSLV:配列番号:42)、1745(WTRGDHQVW:配列番号:43)、1746(WTRGDHQVX(Xは任意の天然に生ずるアミノ酸であって良い):配列番号:44)、1747(WTRGMHQVW:配列番号:45)であって良い。
【0045】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、式又は配列X60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)(式中、X60は、W、D、E、G、S及びAからなる群から選択され、そしてWが好適であり;X61は、L、I、V及び所定の位置における欠失から選択され、そしてLが好適であり;X62は、I、L、V及びAからなる群から選択され、そしてI及びLが好適であり、そしてIが特に好適であり;X63は、D及びGからなる群から選択され、そしてDが好適であり;X64は、K、V、T及びFからなる群から選択され、そしてK及びFが好適であり、そしてKが特に好適であり;そしてX65はL及びPからなる分から選択される)を有しうる。
【0046】
いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えばX60-X61-P-A-P-X62-X63-X64-X65(配列番号:145)は、いくつかの実施態様において、さらに(i)1又は数個のアミノ酸を所定のアミノ末端で、そして/又は(ii)1又は数個のアミノ酸をカルボキシ末端で含んで成る。いくつかの実施態様において、MSペプチドの例えばX60-X6l-P-A-P-X62-X63-X64-X65 (配列番号:145)は、図9に記載のように、1又は数個の、ノロウィルス配列に対応する配列を含んで成ることができる。
【0047】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、一般配列X11-X12-P-A-P-X13-X14-X15-X16(配列番号:46)(式中、X11は、任意のアミノ酸であって良く;X12は、直線状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有して良く;X13は、直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有して良く;X14は、酸性側鎖又は水素側鎖を有するアミノ酸であって良く;X15は、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であって良く;X16は、脂肪族側鎖又はイミノ酸を有するアミノ酸であって良い)を有しうる。
【0048】
いくつかの実施態様において、X11は天然に生ずるアミノ酸であって良く;X12は、天然に生ずる、直鎖状側鎖又は枝分かれ側鎖を有するアミノ酸であって良く;Xl3は、天然に生ずる、直鎖状又は枝分かれした側鎖を有するアミノ酸であって良く;X14は、天然に生ずる、酸性又は水素側鎖を有するアミノ酸であって良く;X15は、天然に生ずる、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であって良く;そしてX16は、脂肪族側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸又は天然に生ずるイミノ酸であって良い)を有しうる。
【0049】
いくつかの実施態様において、X11は、酸性側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸であって良く;X12は、I、L、又はVであって良く;X13はA、I、L、又はVであって良く;X14は、D、E、又はGであって良く;Xl5はK、T、又はVであって良く;そしてX16はL又はPであって良い。
【0050】
いくつかの実施態様において、X11は、Wであって良く;Xl2はI、L、又はVであって良く;X13は、I又はLであって良く;X14は、Dであって良く;X15は、Kであって良く;そしてX16は、Lであって良い。いくつかの実施態様において、X11は、Wであって良く;Xl2はLであって良く;X13はIであって良く;X14は、Dであって良く;X15はKであって良く;そしてX16はLであって良い。
【0051】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ペプチド1800(WLPAPIDKL:配列番号:4)、1801(DIPAPLGVP:配列番号:48)、1802(EIPAPLGTP:配列番号:49)、1803(WIPAPIDKL:配列番号:50)、1804(WVPAPLDKL:配列番号:51)、1805(WIPAPLGKL:配列番号:52)、1806(WVPAPLGKL:配列番号:53)、1807(WIPAPLGVK:配列番号:54)、1808(WIPAPLGTL:配列番号:55)、1809(WVPAPLGTL:配列番号:56)、1810(WIPAPLGVP:配列番号:57)、1811(WIPAPLGTP:配列番号:58)、又は1812(WVPAPLGTP:配列番号:59);1812(WLPAPLDKL:配列番号:100)、1813(WIPAPLGVL:配列番号:101)、1814(WIPAPLGVL:配列番号:102)、1815(DIPAPLGTP:配列番号:103)、又は1816(DVPAPLGTP:配列番号:104)であって良い。
【0052】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、一般配列Xl8-P-A-P-X19-G-F-P (配列番号:60)(式中、Xl8は、脂肪族又はヒドロキシアルキル側鎖を有する任意のアミノ酸であって良く;そしてX19は、直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であって良い)を有しうる。
【0053】
いくつかの実施態様において、X18は、脂肪族又はヒドロキシアルキル側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸であって良く;そしてX19は、直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有する天然に生ずるアミノ酸であって良い。いくつかの実施態様において、Xl8はA、S、又はGであって良く;そしてX19はI、V、又はAであって良い。
【0054】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ペプチド1900(GPAPIGFP:配列番号:61)、1901(SPAPIGFP:配列番号:62)、1902(SPAPVGFP:配列番号:63)、1903(APAPAGFP:配列番号:64)、1904(WLPAPIGFL:配列番号:65)、1905(WLPAPIGFP:配列番号:66)、1906(WPAPIDKL:配列番号:67)、1907(WPAPIGKL:配列番号:68)、1908(WPAPIGFL:配列番号:69)、1909(WPAPIGFP:配列番号:70)、1910(WLPAPVDKL:配列番号:71)、1911(WLPAPVGKL:配列番号:72)、1912(WLPAPVGFL:配列番号:73)、1913(WLPAPVGFP:配列番号:74)、1914(WPAPVDKL:配列番号:75)、1915(WPAPVGKL:配列番号:76)、1916(WPAPVGFL:配列番号:77)、1917(WPAPVGFP:配列番号:78)、1918(WLPAPADKL:配列番号:79)、1919(WLPAPAGKL :配列番号:80)、1920(WLPAPAGFL:配列番号:81)、1921(WLPAPAGFP:配列番号:82)、1922(WPAPADKL:配列番号:83)、1923(WPAPAGKL:配列番号:84)、1924(WPAPAGFL:配列番号:85)、1925(WPAPAGFP:配列番号:86)、1926(WLPAPIGKL:配列番号:105)であって良い。
【0055】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、他のMSペプチドのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含んで成ることができる。「対応」及び文法上同等物は本明細書中、相同又は類似を意味する。従って、いくつかの実施態様において、第一のMSペプチドは、第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質と相同性又は類似性を有することによって、当該第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質に対応する。いくつかの実施態様において、第一MSペプチドは、第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質に対応するが、当該第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質と上記配列相同性を有する。従って、いくつかの実施態様において、第一及び第二のMSペプチド又はノロウィルスタンパク質は、類似配列を有することによって互いに対応しうるが、ここで類似性は構造及び/又は機能的関係によって確認されて良い。例えば、構造的及び/もしくは機能的に関連するタンパク質及び/もしくはペプチドの間での対応は、一次構造を比較することによって確認されて良く、例えば、2以上のノロウィルスORF2とMSペプチドの推定アミノ酸配列を比較することによって確認されて良い。例えば、ノロウィルスのORF2は、ウィルスが細胞に接着すること及び集合することの機能を果たすウィルスカプシドタンパク質をコードすることが示されている。従って、ノロウィルスのORF2の推定アミノ酸配列内の類似配列が確認されて良い。例えば、いくつかの実施態様において、第一のMSペプチドは、第一のノロウィルスORF2の推定アミノ酸配列に相同的である配列である。第一のノロウィルスのアミノ酸配列を第二のノロウィルスORF2アミノ酸配列に対して、下記のように、並べることで、第一のMSペプチドに対応する配列が、第二のノロウィルスORF2 (図8、9)において同定されて良い。様々な例となる実施態様において、類似又は対応する配列は長さ、約5アミノ酸以上、長さ約10アミノ酸以上、長さ約20アミノ酸以上であって良く、そしていくつかの実施態様においては、より長くて良い。好適な実施態様において、対応する配列は好適に逐次的(sequential)である。いくつかの実施態様において、対応する配列は、2つの推定及び/又は予測された3次構造又はノロウィルスカプシドタンパク質を比較することによって決定されて良い。例えば、NVのアミノ酸133〜137に対応する領域は、カプシドタンパク質のヒンジ領域に近い「S」領域内にある。従って、本発明は、このような特定の領域に対応するペプチド及びこのような領域に結合する抗体を含む。
【0056】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、アミノ酸133〜137(GSHNL:配列番号:87)に対応する配列を含んで成ることができる。従って、いくつかの実施態様において、MSペプチドは、ペプチド1730を含んで成る。いくつかの実施態様において、ペプチド1730に対応するMSペプチドは、限定ではないが、ペプチド2000(WTRAAQNI:配列番号:88)、2001(WTRTSSSL:配列番号:89)、2002 WTRQSRTL:配列番号:90)、2003(WTRPVENL:配列番号:91)、2004(WTRPLENL:配列番号:92)、2005(WTRPTEGL:配列番号:93)、2006(WTRPAEGL:配列番号:106)、2007(WLSPTEGL:配列番号:107)、2008(WLSGSHNL:配列番号:108)、2009(WIRGSHNL:配列番号:109)、2010(WNIGSHNL:配列番号:110)、2011(WLSAAQNI:配列番号:111)、2012(WIRAAQNI:配列番号:112)、2013(WNIAAQNI:配列番号:113)、2014(WLSTSSSL:配列番号:114)、2015(WIRTSSSL:配列番号:115)、2016(WNITSSSL:配列番号:116)、2017(WLSQSTRL:配列番号:117)、2018(WIRQSTRL:配列番号:118)、2019(WNIQSTRL:配列番号:119)、2020(WLSPVENL:配列番号:120)、2021(WIRPVENL:配列番号:121)、2022(WNIPVENL:配列番号:122)、2023(WLSPLENL:配列番号:123)、2024(WIRPLENL:配列番号:124)、2025(WNIPLENL:配列番号:125)、2026(WIRPTEGL:配列番号:126)、2027(WNIPTEGL:配列番号:127)、2028(WLSPAEGL:配列番号:128)、2029(WIRPAEGL:配列番号:129)、2030(WNIPAEGL:配列番号:130)、2031(WTRPIDNL:配列番号:131)、2032(WLSPIDNL:配列番号:132)、2033(WIRPIDNL:配列番号:133)、又は2034(WNIPIDNL:134)、2035(WLSQSRTL:配列番号:135)、2036(WIRQSRTL:配列番号:136)、2037(WNIQSRTL:配列番号:137);2038(WTRPVENI:配列番号:138)、2039(WLSPVENI:配列番号:139)、2040(WIRPVENI:配列番号:140)、2041(WNIPVENI:配列番号:141が挙げられる。
【0057】
いくつかの実施態様において、MSペプチドは、SMV(DIPAPLGVP:配列番号:48)のアミノ酸319〜327に対応する配列を含んで成ることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドは、SMVのアミノ酸320〜324 (IPAPL:配列番号:146)に対応する配列を含んで成りうる。
【0058】
いくつかの実施態様において、本発明のMSペプチドは、アミノ酸配列変異体である。変異体は、1又は複数の3つのクラス:置換、挿入又は欠失の変異体に分類される。これらの変異体は通常、上に概略を示したとおり、カセットもしくはPCR突然変異誘発もしくは他の当業者に周知の技術を使用することで、MSペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的突然変異誘発によって、変異体をコードするDNAを生産し、この後組換え細胞培養物中でDNAを発現させることによって調製されて良い。しかし、最大で約100〜150残基を有する変異体MSペプチドが、確立された技術を使用することによって調製されて良い。アミノ酸配列変異体は、変異体の所定の性質であって、カプシドタンパク質アミノ酸配列の天然に生じる変異とは別に、それらを指定する性質を特徴としうる。典型的に、変異体は、天然に生ずる類似物と同等の生物活性を示すが、変異体は、下に概略が一層完全に示されるだろうように、修飾された特徴を有し選択されて良い。
【0059】
アミノ酸配列変異を導入するための部位又は領域は予め決定される一方、突然変異それ自体は予め決定される必要はない。例えば、ある部位での突然変異の実行を至適化するために、ランダム突然変異誘発が、標的コドン又は領域で行われ、そして発現されたMSペプチド変異体が所望の活性の至適組み合わせのためにスクリーニングされて良い。公知の配列を有するDNA中の所定の部位において置換突然変異を生じさせるための技術は周知であり、例えば、M13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発である。突然変異のスクリーニングは、カプシドタンパク質活性のアッセイを使用することで行われて良い。
【0060】
アミノ酸置換は、典型的に一つの残基であり;挿入は大体約1〜20アミノ酸であろうが、非常に多くの挿入も許容されて良い。欠失範囲は約1〜約20残基であるが、いくつかの場合、欠失は非常に多くても良い。
【0061】
置換、欠失、挿入又はそれらの任意の組み合わせが、最終的な誘導体に到るために、使用されて良い。一般に、これらの変化は、分子の変化を最小限にとどめるために、僅かなアミノ酸に対して行われる。しかし、より多くの変化が、所定の状況において許容されて良い。MSペプチドの特性における僅かな変化が所望されている場合、置換は、一般に以下のチャートに従って行われる
【表1】
【0062】
機能又は免疫学的同一性の実質上の変化は、チャートIに示されるものよりも保存性が少ない置換を選択することによってなされる。例えば、置換は、変化の領域;例えば、α-ヘリックス又はβ-シート構造;分子の変化又は疎水性;又は側鎖のかさ(bulk)、におけるポリペプチド骨格の構造に一層有意に影響を与えうる。一般に、ペプチドの性質において最大の変化を生み出すことが期待されている置換は(a)親水性残基、例えば、セリン又スレオニン残基が疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン又はアラニン残基への(又はそれによる)置換;(b)システイン又はプロリンが他の残基への(又はそれによる)置換;(c)陽性側鎖を有する残基、例えば、リジン、アルギニン、又はヒスチジン残基が、陰性残基、例えば、グルタミン又はアスパラギンへの(又はそれによる)置換;又は(d)かさ高い側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニン残基が、側鎖を有さない、例えばグリシンへの(又はそれによる)置換である。
【0063】
変異体は、典型的に、同等の生物学的活性を有し、同じ免疫反応を誘発し、そして又は天然に生ずる又は親類似物によって誘導される免疫反応によって認識されるが、変異体も必要に応じてMSペプチドの特性を修飾するために選択される。代わりに、変異体は、MSペプチドの生物活性が変化するように設計されて良い。一般に、MSペプチドは、1、2又は3個の置換及び/又は欠失及び/又は挿入を、本明細書中に概略を示した配列に比較して有し、そして一層の置換及び/又は欠失及び/又は挿入が、ペプチドの長さが増加するにつれて許容又は慣用されて良い。
【0064】
MSペプチドの共有結合修飾が本発明の範囲内に含まれており、特に、スクリーニングアッセイ又は治療使用のために含まれている。共有結合修飾の一つの型は、MSペプチドの標的アミノ酸残基を、当該MSペプチドのN末端又はC末端残基の選定の側鎖と反応できる有機誘導体化剤と反応させることである。2官能性剤による誘導は有用であり、例えば、MSペプチドを非水溶性支持マトリクス又は表層に、下記の方法において使用するために、又はin vivo安定性のために使用するために架橋させるために有用である。共通して使用される架橋剤は、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの例えば、4-アジドサリチル酸によるエステル、ホモ二官能性イミドエステルの例えば、ジスクシニミジルエステルの例えば、3,3'-ジチオビス(プロピオン酸スクシニミジル)、二官能性マレイミドの例えば、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン及び剤の例えばメチル-3-[(p-アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートである。
【0065】
他の修飾としては、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアミノ基のメチル化 (T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、N-末端アミンのアセチル化、及び任意のC-末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0066】
加えて、修飾の例えば、ポリエチレングリコール(及び他のグリコール)による、in vivo安定性半減期を伸ばすための誘導体化も挙げられる。
【0067】
本発明のMSペプチドは、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したMSペプチドを含んで成るキメラ分子を形成するように修飾もされうる。好適な実施態様において、MSペプチドは、ペプチド、例えば、免疫源に対する免疫反応を増加させるアジュバント又は他の分子に結合させられて良い。更なる実施態様において、かかるキメラ分子は、MSペプチドと、抗標識抗体が選択的に結合するエピトープを提供する標識ポリペプチドの融合を含んで成る。エピトープ標識は一般に、MSペプチドのアミノ末端又はカルボキシ末端に配置されて良い(又はそれは疎水性アミノ酸領域の、一般に約21残基が除去された後の、「新たな」C-末端に加えられて良い)。MSペプチドのかかるエピトープ標識形態の存在は、標識ポリペプチドに対する抗体を使用することで検出されて良い。そしてまた、エピトープ標識の提供により、MSペプチドが、抗-標識抗体又はエピトープ標識に結合する他の型の親和性マトリクスを使用する親和性精製によって容易に精製されることを可能にする。これはまた、MSペプチドを異種スクリーニング法のための支持体に結合させるためにも有用である。様々な標識ポリペプチド及びそれらの抗体は当業界で周知である。例としては、ポリ-ヒスチジン (ポリ-his)又はポリ-ヒスチジン-グリシン(ポリ-his-gly)標識;flu HA標識ポリペプチド及びその抗体12CA5 (Fieldら,Mol. Cell. Biol. 8: 2159-2165 (1988) 0;c-myc標識及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体(Evanら,Molecular and Cellular Biology 5:3610-3616(1985));及び単純ヘルペスウィルス糖タンパク質D(gD)標識及びその抗体(Paborskyら、Protein Engineering 3(6):547-553(1990))が挙げられる。他の標識ポリペプチドとしては、Flag-ポリペプチド(Hoppら,Biotechnology 6:1204-1210(1988));KT3ポリペプチド(Martinら, Science 255:192-194(1992));チュブリンエピトープペプチド(Skinnerら,Science 266:15163-15166(1991));及びT7遺伝子10タンパク質ペプチド標識(Lutz-Freymermuthら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393-6397(1990))が挙げられる。いくつかの実施態様において、他の融合パートナーは、一般に限定されないが、タンパク質関連物質が周知であり;従って、融合体の全てのタイプ、例えば、本発明のペプチドを含んで成る枝分かれした及び/又は直鎖状融合体が挙げれる。
【0068】
「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、及び文法上同等物は、本明細書中、一緒に共有結合する2以上のヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は、一般に、リホスホジエステル結合を含だろうが、いくつかの場合において、下に概略を記載したように、代替骨格を有しうる核酸類似物が含まれ、例えば、ホスホラミド(Beaucageら, Tetrahedron 49 (10): 1925 (1993)及びその参考文献; Letsinger, J. Org. CZle7n. 35: 3800 (1970); Sprinzlら, Eur. J. Biochem. 81: 579 (1977); Letsingerら, Nucl. Acids Res. 14: 3487 (1986); Sawaiら, Chenu. Lett. 805 (1984), Letsingerら, J. Am. Chemn. Soc. 110: 4470 (1988) ;及びPauwelsら, Cllemica Scripta 26: 141 91986))、ホスホロチオエート(Magら, nucleic acids Res. 19: 1437 (1991) ;及びU. S. Patent No. 5644048)、ホスホロジチオエート(Briuら, J. Am. Chem. Soc. 111: 2321 (1989)、O-メチルホスホラミダイト結合(Eckstein, Oligofzucleotides and Analogues : A Practical Approach, Oxford University Pressを参照のこと)、及びペプチド核酸骨格及び結合(例えば、Egholm, J. Am. Cltem. Soc. 114: 1895 (1992); Meierら, Che7n. In. Ed. Engl. 31: 1008 (1992); Nielsen, Nature 365: 566 (1993); Carlssonら, Nature 380: 207 (1996)を参照のこと、それらの全ては参照によって組み込まれている)が含まれる。他の類似核酸としては、ポジティブ骨格(Denpcyら, Proc. Natl. Acad Sci. USA 92: 6097 (1995);非イオン性骨格(U.S.特許No.4469863,5216141, 5386023,5602240, 5637684; Kiedrowshiら, Angew. Chem. Intl. Ed. English 30 : 423 (1991) ; Letsingerら, J. Am. Chenu. Soc. 110: 4470 (1988); Letsingerら, Nucleoside & Nucleotide 13: 1597 (1994);第2及び3章, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y. S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaekerら, Bioorganic & Medicinal Chem. Lett. 4 : 395 (1994); Jeffsら, J. Biomolecular NMR 34: 17 (1994); Tetrahedron Lett. 37 : 743 (1996) )並びに非リボース骨格、例えば、U. S.特許No.5235033及び5034506、6及び7章, ASC Symposium Series 580, Carbohydrate Modifications in Antisense Research, Ed. Y. S. Sanghui及びP. Dan Cookに記載のものが挙げられる。1又は複数の炭素環式糖を含む核酸も定義の中に含まれる(例えば、Jenkinsら, Chem. Soc. Rev. (1995) pp. 169-176を参照のこと)。いくつかの核酸類似物もRawls, C & E News June 2,1997, 35頁に記載されている。これらの参照の全ては、本明細書中、参照によって明確に組み込まれている。
【0069】
当業者に理解されるように、これらの核酸類似物の全ては、本発明における使用が発見されうる。加えて、天然に生ずる核酸と類似物の混合物が調製されて良い。代わりに、様々な核酸類似物の混合物、及び天然に生ずる核酸と類似物の混合物が調製されて良い。
【0070】
核酸は、規定のように、一本鎖又は二本鎖であるかあるいは二本鎖又は一本鎖配列の両方の部分を含んで良い。核酸は、DNA(ゲノムDNA及びcDNAの両方)、RNA又はハイブリッドであって良く、ここで核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、及び塩基、例えば、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサチン、イソシトシン、イソグアニンなどの任意の組み合わせを含む。本明細書中、用語「ヌクレオシド」とは、ヌクレオチド並びにヌクレオシド及び核酸類似物、及び修飾されたヌクレオシドの例えば、アミノ修飾ヌクレオシドが含まれる。加えて、「ヌクレオシド」とは、天然に生じない類似構造物を含む。従って、例えば、各々塩基を含む、ペプチド核酸の個々のユニットは、本明細書中、ヌクレオシドに言及される。
【0071】
「ノロウィルス核酸」、「NOR核酸」及び文法的同等物は、本明細書中、感染性ヴァリオン中へとパッケージングされた陽性-センスゲノムRNA又は完全長ゲノムRNA、複製の介在物質として働くノロウィルスゲノムRNAの陰性-センス逆相補体、ヴァリオンに詰め込まれても詰め込まれなくても良いもしくはmRNAとして機能してもしなくても良い陽性もしくは陰性の極性のサブゲノム長ノロウィルスRNAに相同的又は同一の配列を含んで成る核酸を意味する。いくつかの実施態様において、ノロウィルス核酸は、約8〜100ヌクレオチド長、好適な実施態様において、ノロウィルス核酸は約8〜40ヌクレオチド長であり且つ一層好適な実施態様において、ノロウィルス核酸は長さ約8〜20ヌクレオチドである。本明細書中、核酸は、もし、NVのヌクレオチド配列に対するヌクレオチド配列の全体相同性が、好適に約75%超、一層好適に約80%超、更に一層好適に85%超、そして最も好適には90%超であれば、「ノロウィルス核酸」である。いくつかの実施態様において、相同性は、約93〜95%又は98%の高さであろう。ホモロジーとは、この関係において、配列の類似性又は同一性を意味し、そして同一性が好適である。この相同性は、下に記載の公知の技術を使用することで決定されるだろう。本明細書中で使用された場合、核酸は、もしそれが上記ノロウィルスタンパク質をコードするならば「ノロウィルス核酸」である。好適な実施態様において、ノロウィルス核酸は、ノロウィルスカプシドタンパク質(例えば、カプシドペプチド)又はMSペプチドをコードする。
【0072】
いくつかの実施態様において、ノロウィルス核酸はMSペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、ノロウィルス核酸は、MSペプチドを発現する。従って、いくつかの実施態様において、MSペプチドをコードする核酸は、機能的にプロモーターと結合しており、ここで発現は、当業者に公知のように、構造性及び/又は誘導性であって良い。MSペプチドは、単独で又は1もしくは複数の他のタンパク質との組み合わせのいずれかにおいて発現されて良く、ここでMSペプチドは融合タンパク質(例えば、ファージディスプレー、マルトース結合タンパク質融合体など)として発現されて良い。核酸配列は、本明細書中に記載のMSペプチドを発現する核酸を配列決定することによって決定されて良い。いくつかの実施態様において、MSペプチドを発現する核酸は、当業者に公知の、自動化方法、固層合成方法などを使用することにおいて全部又は一部を合成されて良い。MSペプチドをコードする核酸を設計することは、本明細書中に開示されているMSペプチド配列を、遺伝暗号を使用することで核酸配列へと逆転写することにより、当業者の能力の範囲内である(Stryer. Biochemistry 15-42 (第3版W. H. Freeman & Co. 1988)。いくつかの実施態様において、遺伝暗号は、標準遺伝暗号であって良い。いくつかの実施態様において、遺伝暗号は、酵母、細菌、ミトコンドリアなど、又はその組み合わせによって使用されるコドンに偏っていて良いことを理解するだろう。例として及び限定ではないが、当業者は、WTRGSHNL(配列番号:1)は、ヌクレオチド配列:5'-TGG-ACT-CGT-GGT-TCT-CAT-AAT- CTT(配列番号:94)を含んで成る核酸によってコードされて良い。当業者は、発現には、翻訳の開始及びMSペプチド合成との関係において、適切な配列内でメチオニンのための5コドン(AUG)が必要であり(例えば、 Kozak則)そしてRNAからの発現のために、「T」は、「U」に置換されて良い(例えば、Sambrookら, Molecular Clorairag : A Laboratory Manual (第3版Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)ことにも気付くだろう。
【0073】
当業者に公知のように、多くの異なるプログラムが使用され、タンパク質(又は本明細書中に記載のように核酸)が公知の配列に同一性又は類似性を有するかどうかを決定するために使用されて良い。配列の同一性及び/又は類似性は、当業者に公知の標準的な技術、例えば限定されないが、以下のものを使用することで決定される。SmithとWatermanの局所配列同一性アルゴリズム, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)、NeedlemanとWunschの配列同一性アライメントアルゴリズムJ. Mol. Biol. 48: 443 (1970)によって、PearsonとLipmanの類似性に関する調査方法Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化されたものの実行(GAP、BESTFIT、FASTA、TFASTA:Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WI)によって、Devereuxらにより記載されたBest Fit配列プログラムNucl. Acid Res. 12: 387-395 (1984)によって決定され、好適に、デフォルト設定を使用すること、又は調査により決定される。好適に、%同一性は、次のパラメーターに基づくFastDBにより計算される:ミスマッチペナルティー1;ギャップペナルティー1;ギャップサイズペナルティー0.33;及び連結ペナルティー30(Current Methods in Sequence Conaparison and Analysis in Macromolecule Sequenceing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pp. 127-149, Alan R. Liss, Inc. (1988))。
【0074】
有用なアルゴリズムの例は、PILEUPである。PILEUPは、累進的な、ペア様ライメントを使用することで、類縁配列の集団から多数の配列アライメントを創り出す。それはまた、アライメントを創り出すために使用されるクラスター化関係を示すツリーをもプロットする。PILEUPは、Feng及びDoolittle, J. Mol. Evol. 35 : 351-360 (1987)の累進アライメント法の単純化を使用し;この方法は、Higgins及びSharp, CABIOS 5 : 151-153 (1989)に記載の方法に類似する。有用なPILEUPパラメーターは、例えば、デフォルトギャップ重み3.00、デフォルトギャップ長重み0.10、及び重み付けされたエンドギャップである。
【0075】
Altschulら, J. Mol. Biol. 215,403-410, (1990)及びKarlinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787 (1993)に記載された有用なアルゴリズムの他の例は、BLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムはWU-BLAST-2プログラムであり、それはAltschulら, Methods irz Efzzymology 266: 460-480 (1996) (http ://blast. wustl/edu/blast/README. htrnl)から獲得された。WU-BLAST-2は、いくつかの調査パラメーターを使用し、その大部分は、デフォルト値を設定することである。調製可能なパラメーターは、以下の値を伴い設定される:重複長(overlap span)=1、重複比(overlap fraction)=0.125、ワード閾値(word threshold)(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは、ダイナミック値(dynamic values)であり且つそれ自身特定の配列の成分及び注目の配列がサーチされる特定のデータベースの組成に依存して、プログラムによって確立されるが;しかし、この値は感度を高めるために調整されて良い。
【0076】
さらに有用なアルゴリズムは、Altschulらによって報告されたギャップBLAST(Nucleic acids Res. 25: 3389-3402)である。ギャップBLASTは、BLOSUM-62置換コア;閾値Tパラメーター9;非ギャップエクステンション(ungapped extensions)を引き起こすツーヒット法;10+kのコストのkのギャップ長をうめ;16に設定するXu、及びデータベースサーチ段階のために40に設定し、そしてアルゴリズムの出力段階のために67に設定するX56。ギャップアライメントは約22ビットに対応するスコアによって引き起こされる。
【0077】
%アミノ酸配列同一性値は、アライメントをとられる領域における「より長い」配列の残基の総数によって割られたミスマッチする同一残基の数によって特定される。「より長い」配列とは、アライメントをとられる領域(アライメントスコアが無視されるのを最小にするためにWU-Blast-2によって導入されるギャップ)において最も現実的に存在する残基を有するものである。
【0078】
アライメントは、アライメントをとられる配列におけるギャップの導入を伴いうる。加えて、図8、9、10、11、及び12に記載のアミノ酸配列よりも多く又は少なくアミノ酸を含む配列について、一つの実施態様において、配列同一性の%は、アミノ酸総数との関係において同一のアミノ酸の数に基づいて決定されるだろう。従って、例えば、図8、9、10、11、及び12に記載の配列よりも短い配列の配列同一性は、より短い配列におけるアミノ酸の数を使用することで決定されるだろう。%同一性計算において、相対加量(relative weight)は、配列変異の例えば、挿入、欠失、置換などを様々に明確化するために割り当てられていない。
【0079】
一つの実施態様において、同一性のみが陽性にスコアされ(+1)そしてギャップを含む配列変異の全ての形態が「0」の値を割り当てられ、それは、配列類似性計算に関する重み付けスケール又はパラメーターの必要性を取り除く。%配列同一性は、例えば、アライメントをとられる領域における「より短い」配列の残基の総数によって同一残基のマッチングの数を割り、そして100を掛けることによって計算できる。「より長い」配列は、アライメントをとられる配列において最も実際に存在する残基を有するものである。
【0080】
「抗体」及び文法上同等な用語は、本明細書中、ポリクローナル及びモノクローナル抗体(MAb)を意味する。モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の調製及び精製の方法は、当業界で公知であり、そして例えば、例えば、Harlow及びLane, Antibodies : A Laboratory Manual(New York : Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988)に記載されている。「MS抗体」及びその文法上同等な用語には、ノロウィルス、ノロウィルスタンパク質、又はMSペプチドに結合する抗体が含まれる。MS抗体がMSペプチドに結合することが、好適に、ノロウィルスに対するMS抗体の結合を遮断又は阻害する。他の実施態様において、MS抗体は、好適に、ノロウィルスが細胞、例えば、限定されないが、宿主細胞又は赤血球にin vitro及び/又はin vivoで結合することを阻害する。いくつかの実施態様において、MS抗体は、ノロウィルス又はMSペプチドに対して結合することについて他の抗体と競合する。いくつかの実施態様において、MS抗体はNV感染性を中和する。従って、「中和」、「中和する」、「中和すること」及び文法上同等な用語は、本明細書中、ノロウィルスの感染性もしくは能力を阻害もしくは下げることを意味する。他の実施態様において、MS抗体は、宿主をノロウィルス感染症又は疾患(疾患が好適である)から保護する。好適なMS抗体には、実施例に記載のNV54.6、NV72.10、及び/又はSMV62.21が挙げられる。NV8812は、Whiteら J. Virol. 70: 6589-6597 (1996)に記載のMS抗体の定義から除外されている。
【0081】
いくつかの実施態様において、MS抗体は、ノロウィルスカプシドタンパク質及び/又はカプシドタンパク質を含んで成るノロウィルスVLPによる免疫化を伴い生じさせることができる。いくつかの実施態様において、MS抗体は、MSペプチドによる免疫化により生じうる。MSペプチドがMS抗体を生じさせるために使用された場合、当該ペプチドは、少なくとも1つのエピトープ又は抗原決定基を完全長カプシドタンパク質と共有することができる。従って、エピトープ又は決定基は、上記のように、直線状又は構造的であって良い。多くの場合、完全長タンパク質よりも小さいMSペプチドを調製するための抗体は、完全長タンパク質に結合できる。好適な実施態様において、エピトープは独特であって良い;すなわち、抗体は、同じ及び/もしくは異なるゲノグループ及び/もしくは遺伝子クラスターにおいて他のノロウィルスの他のタンパク質に対する交差反応性がない又は殆どない独特のエピトープを生じさせることができる。従って、いくつかの実施態様において、MSペプチドエピトープは、他のノロウィルスに交差反応性である抗体を生じさせることができる。いくつかの実施態様において、MSペプチドには、免疫反応を中和することを伴う。例えば、ノロウィルスに対して抗体を中和することを伴う。くつかの実施態様において、MSペプチドは、細胞、例えば、限定されないが、宿主細胞、CaCo-2細胞、又は赤血球(RBC)へ結合するノロウィルスを阻害する免疫反応を含む。
【0082】
用語「抗体」及び「MS抗体」とは、抗体断片を含み、当業者に公知のように、又は組換えDNA技術を使用することでde novoで合成されるもの又は全体抗体の修飾のいずれかによって生産される、例えばFab、Fab'、F(ab')2又は他の抗体、例えば、単鎖抗体(例えばFv)、キメラ抗体などを含む。用語「抗体」とは、更に、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体でありうるMAb又はポリクローナル抗体を含んで成る。
【0083】
本発明のMS抗体は、ノロウィルスカプシドタンパク質又はMSペプチドに特異的に結合する。「特異的結合」とは、本明細書中、10-4〜10-6M-1の範囲、好適には10-7〜10-9M-1の範囲に結合定数を有するMS抗体を意味する。従って、好適な実施態様において、MS抗体は、第二抗体がノロウィルスへ結合することを遮断する、又はMS抗体はノロウィルスが細胞へ結合することを遮断する。「遮断」、「阻害」及び文法上同等な用語は、本明細書中、宿主細胞又は第二の抗体、特に、抗体の例えばNV54.6、NV72.10、及びSMV61.21に結合するノロウィルスの量を減らすノロウィルスに対するMS抗体の結合を含む。いくつかの実施態様において、遮断は、MS抗体及び第二の抗体(例えば、NV54.6)又はMS抗体及び細胞が、ノロウィルスタンパク質上の同じエピトープ又は領域を認識することが理由で生ずる。いくつかの実施態様において、MS抗体及び第二の抗体又はMS抗体及び細胞が、別個だが空間的に関連するノロウィルス上のエピトープ又は領域を認識することによる。従って、好適な実施態様において、阻害は競合的である。代わりの実施態様において、阻害は、非競合的であるが、これは一般に好ましくはない。一般に、約25%以上の阻害が好適であり、そして約50%以上が特に好適であり、そして約95〜100%の阻害率が特に好適である。
【0084】
好適な実施態様において、本発明のMSペプチドは、直線エピトープ又は構造的エピトープに対して特異的なMS抗体に対して結合するその免疫活性によって同定されて良い。用語、「免疫活性」とは、MSペプチドのMS抗体との交差反応する能力及び/又はMS抗体の生産を誘導する能力を意味する。従って、例えば、タンパク質は、もしそれがノロウィルスカプシドタンパク質を含んで成るタンパク質の免疫活性を示すならば、MSペプチドである。
【0085】
好適な実施態様において、MS抗体が提供されている。MS抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であって良く、後者が好適である。好適な実施態様において、ノロウィルスカプシドに対するMS抗体は、下記のように、ノロウィルスカプシドタンパク質の生物機能を下げる又は除去することができる。即ち、MS抗体(ポリクローナル又はモノクローナル抗体のいずれか)のノロウィルス(又はノロウィルスを含む細胞)に対する付加は、ノロウィルス感染性、宿主細胞に対する結合、又はウィルス収率を減らす又は除去する。一般に、約25%の減少が好適であり、そして約50%の減少が特に好適であり、そして約95〜100% の減少が特に好適である。
【0086】
MSモノクローナル抗体は、抗原上の単一の抗原部位又は単一の抗原決定基に対して特異的である。従って、MSモノクローナル抗体は、複数の異なるエピトープに向けられるポリクローナル抗体とは対照的に、非常に特異的である。MSモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物の上清から獲得される(Kohler及びMilstein, Nature25. 6 : 495-7 (1975); Harlow及びLane, Antibodies : A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988を参照のこと)。
【0087】
好適な実施態様において、MS抗体はヒト化されている。現在のモノクローナル抗体技術を使用することで、当業者は、同定されて良い事実上任意の標的抗原に対して事実上結合するヒト化抗体を生産することができる(Stein, Trends Biotechsaol. 15: 88-90 (1997))。非ヒト (例えば、ネズミ) 抗体のヒト化形態は、免疫グロブリンのキメラ分子、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む免疫グロブリン鎖、又はその断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体には、ヒト免疫グロブリン(受容者抗体)が含まれ、ここで受容者の相補的決定領域 (CDR)を形成する残基は、非ヒト種、例えば、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット又はウサギのCDR(ドナー抗体)に由来する残基によって置換される。いくつかの場合、ヒト免疫グロブリンのFv骨格残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。 ヒト化抗体は、受容者抗体においても導入されたCDR又は骨格配列のいずれにおいても発見されない残基をも含んで成る。一般に、ヒト化抗体は、実質上1以上の、そして典型的に2以上の可変ドメインを含んで成ることができ、ここで、CDR領域の全部又は実質上全部が、ヒト免疫グロブリンのそれに対応し且つFR領域の全部又は実質上全部は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものでありうる。ヒト化抗体は、最適に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含んで成る(Jonesら, Nature 321: 522-525 (1986);Riechmannら, Nature 332: 323-329 (1988);及びPresta,Curer. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992))。
【0088】
非ヒト免疫抗体をヒト化する方法は当業者に周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである源からそれに導入した1又は数個のアミノ酸残基を含んで成る。これらの非ヒトアミノ酸残基は往々にして、インポート残基に言及され、それは典型的に、インポート可変ドメインから採取することができる。ヒト化は、本質的に、ヒト抗体の対応する配列へげっ歯類CDR又はCDR配列を置換することによる以下のWinterと協力者の方法に従い行われて良い(Jonesら, supra ; Riechmannら, supra ;及びVerhoeyenら, Science 239: 1534-1536 (1988) )。ヒト化マウスモノクローナル抗体の更なる例は、当業界で公知であり、例えば、ヒトタンパク質C(O'Connorら, タンパク質 Eng. 11: 321-328 (1998))、インターロイキン2レセプター (Queenら,Proc.Natl. Acad. Sci., U. S. A. 86: 10029-33 (1989))、及びヒト上皮細胞増殖因子レセプター2(Carterら, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 89: 4285-9 (1992))に結合する抗体が挙げられる。従って、かかるヒト化抗体は、キメラ抗体(U.S.特許No.4816567)であり、本明細書中、実質的に、非ヒト種に由来する対応する配列によって置換された完全ヒト可変領域より小さい。実際に、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかのCDR残基及び可能性としてはいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換されて良いヒト抗体であって良い。
【0089】
ヒト抗体は、例えば、フェーズディスプレーライブラリーなど様々な当業界で公知の技術(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581 (1991))を使用することで調製することもできうる。Coleら及びBoernerらの技術は、ヒトモノクローナル抗体を調製するためにも使用することができる(Coleら, Monoclonal Autibodies and Cancer Tllerapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985)及びBoernerら, J. Immunol. 147(1) : 86-95 (1991))。類似して、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座をトランスジェニック動物の例えば、マウス(ここで内生、免疫グロブリン遺伝子は完全に又は部分的に不活性化されている)に導入することによって調製されて良い。チャレンジにより、ヒト抗体生産が確認されて良く、それは全ての観点、例えば、遺伝子再配置、集合、及び/又は抗体のレパートリーにおいてヒトにおいて見られるのに非常に良く似ている。この方法は、例えば、U.S.特許No.5545807、5545806、5569825、5625126、5633425、5661016、及び以下の化学刊行物に記載がある:Marksら, BiolTechnology 10: 779-783 (1992); Lonbergら Nature 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature 368: 812-13 (1994); Fishwildら, Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996); Lonbergand Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)。
【0090】
一度調製されれば、本発明のMS組成物(例えば、抗体及びペプチド)は、使用を多くの用途において発見する。一般に、MS抗体及びMSペプチドは、ノロウィルスと細胞の相互作用を阻害することにおける使用が発見されて良い。いくつかの実施態様において、MS抗体及びMSペプチドは、NV及び/又はSMVと細胞の相互作用を阻害することにおける使用が発見される。従って、下に概略を示したように、治療処置が特に好適である。加えて、これらの組成物は、使用を、対象者、患者、又はサンプル中のノロウィルスの存在を検出する診断アッセイ及びキットにおいて発見する。更に、本発明の組成物は、MS組成物との結合を競合する更なる抗体及びペプチドを発見するために使用することができる。従って、スクリーングアッセイは、一般に、競合的スクリーニングアッセイには限らないが、特に、ハイスループットスクリーニングアッセイも行われて良い。例えば、固層支持体及び結合成分に結合できうる本発明のMS成分が評価されて良い。
【0091】
好適な実施態様において、本発明のMS組成物は、ノロウィルス疾患における使用が発見される。「治療」とは、治療処置及び治療又は予防手段に言及され、本明細書中、対象は、標的となる病的状態又は疾患を予防又は低下(抑制)することである。治療が必要な者としては、既に疾患を伴う者並びに疾患を有する経口にあるもの又は疾患が予防されるべき者である。
【0092】
好適な実施態様において、カプシドタンパク質へ結合し且つ宿主細胞に対するノロウィルスの結合を阻害する本発明のMS抗体は、治療上有効な量で患者に投与される。「治療上有効な量」とは、本明細書中、ノロウィルス疾患を改善するために十分である、ある量の抗体を意味する。この量は、予防又は治療処置が所望されているかどうかに依存して変わりうる。投与量及び治療上有効な量の投与の時間を決定することは、当業者に周知である。これらの量は、疾患の症度又は患者の感度に依存して調節されて良い。
【0093】
好適な実施態様において、本発明のMSペプチドは、免疫原、ワクチン、及び抗ウィルス化合物として使用が発見される。従って、いくつかの実施態様において、ペプチドは、患者、宿主、及び/又は対象者に対する免疫原としてそして/又は治療投与に適切であるように処方されて良い。
【0094】
「ワクチン」とは、本明細書中、患者における免疫反応を除去する抗原又は化合物を意味する。ワクチンは予防的に、例えば、抗原に予め曝されていない患者に対して、ノロウィルスによる後の感染症が予防されるように投与されて良い。代替的に、ワクチンは、ノロウィルスに予め曝された又は感染した患者に対して治療上投与されて良い。他方、いくつかの実施態様において、感染症は予防することができないが、免疫反応は、患者の免疫系が感染症と一層効果的に戦うことを可能にするように生じさせられて良い。従って、例えば、感染症に関連する症状の減少又は抑制がありうる。好適な実施態様において、ノロウィルスは、様々なタイプのノロウィルスに対する免疫反応を誘導するMSペプチドを含んで成る。
【0095】
「免疫反応」及び文法上同等な用語は、本明細書中、宿主又は患者の免疫系の細胞の、抗原(それは、免疫細胞が、外来抗原として又は宿主中で通常検出されない抗原として認識する)に対する免疫系による反応を意味する。いくつかの実施態様において、免疫反応は、抗体反応である。「抗体反応」及び文法上同等な用語は、本明細書中、宿主又は患者の免疫系の、抗原の例えば、ワクチン又はMSペプチド(抗原に対して結合する宿主又は患者の免疫系による生産をもたらす)に対する反応を意味する。免疫反応を誘導するための投与量及び免疫化計画を対象者において決定することは、当業者に周知である。
【0096】
ワクチンとしMSペプチドを投与することは、様々な方法、例えば、非経口的に又は粘膜、例えば、口内、鼻腔、直腸投与において達成されて良い。一般に、MSペプチドは、医薬的に有用な組成物を調製するための公知の方法により処方されて良く、それにより治療上有効な量のMSペプチドが医薬的に許容できる担体との混合において組み合わされて良い。適切なビヒクル及びそれらの製剤は当業界で公知である。かかる組成物は、医薬的に有効な量のMSペプチドを、患者に対する有効な投与のための医薬的に許容できる組成物を調製するための適切な量のビヒクルと一緒に含むことができる。組成物は、塩、バッファー、担体タンパク質の例えば、血清アルブミン、患者の適切な部位又は組織においてMSペプチドを局在化させるためのターゲッティング分子などが挙げられる。組成物は、アジュバントも含んで良い。処方は、実施者の裁量により選択され且つ免疫化の経路、患者の年齢及び免疫状態、及び疾患の症度に依存する。
【0097】
MSペプチドの持続放出投与が、MSペプチドを投与することが求められている任意の疾患又は病気の治療のために適切な放出特性を有する製剤において所望されている場合、ポリペプチドのマイクロカプセル化が熟慮される。持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN)、インターロイキン-2、及びMNrgpl20により首尾良く行われてきた (Johnsonら, Nat. Med. 2: 795-799(1996) ; Yasuda,Biomes.T7ter. 27: 1221-1223 (1993); Horaら,Bio/Technology 8: 755-758 (1990); Cleland, Design and Production of SingleIiizmunization Vaccine Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems in Vaccine Design : TheSubunit arad AdjuvaratApproacla, 439-462 (Powell及びNewman著 Plenum Press 1995) ; W097/03692, W096/40072, W096/07399;及びU. S.特許No.5654010。ポリペプチドの持続放出製剤は、ポリ-乳酸グリコール酸(PLGA)ポリマーを、その生物適合性及び幅広い生物分解特性が理由で使用することで開発されてきた。PLGA、乳酸、及びグリコール酸の分解製品は、ヒトの体内で迅速に除去されうる。更に、このポリマーの分解性は、その分子量及び組成に依存して、数月〜数年に調節されて良い(Lewis, Controlled release of bioactiveagents from lactide/glycolide polymer in Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems 1-41 (Chasin及びLanger著 Marcel Dekker 1990))。
【0098】
「医薬的に許容できる塩」とは、一般に医薬使用において許容可能であることが当業界で理解されている対イオンを伴い調製され且つ親化合物の所望の薬理活性を有する本発明の化合物の塩を意味する。かかる塩としては:(1)酸付加塩であって、無機酸の例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などにより形成された塩;又は有機酸の例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三部ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などにより形成された塩;又は(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオンの例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンにより置換された場合;又は有機塩基の例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどと組み合わされた場合に形成された塩が挙げられる。そしてまた、アミノ酸の塩の例えば、アルギネート、及び有機酸の塩の例えば、グルクロン酸又はガラクツロン酸などが挙げられる(例えば、Bergeら, 1977, J. Pharm. Sci. 66: 1-19を参照のこと)。
【0099】
「医薬的に許容できるビヒクル」とは、本発明の化合物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を意味する。
【0100】
「医薬的に許容できる量」又は「治療上有効な量」とは、所望の生理学的効果を生み出すために十分な量又は所望の結果、特に、疾患(disorder)又は病気(disease)の症状を治療するため、例えば、1もしくは複数の疾患もしくは病気の症状を低減するもしくは除去すること又は疾患もしくは症状を予防することができる量を意味する。従って、好適な実施態様において、ワクチンは、ノロウィルス疾患の1もしくは複数の症状を低減するもしくは除去する又はノロウィルス疾患もしくは症状を予防する免疫反応を意味する。一般に、この範囲は、約0.001mg〜約1gm、そして好適な範囲は、約0.05mgである。これらの量は、もしアジュバントが使用されれば、調製されて良い。
【0101】
好適な実施態様において、本発明の組成物は、抗ウィルス化合物である。「抗ウィルス」及び文法上同等な用語は、本明細書中、NVの複製サイクルを阻害する化合物を意味する。MSペプチドは、予防的に、例えば、以前にNVに暴露されていない患者に対して、NVによるその後の感染症が予防されるように投与されて良い。代替的に、MSペプチドは、NVに予め暴露した又は感染した患者に治療上投与されて良い。MSペプチド化合物は、それ自体で投与されて良いが、典型的に医薬組成物の形態において処方されて投与されて良い。正確な組成は、とりわけ、投与の方法、例えば経口的に又は非経口的に投与されて良く、そして当業者に明らかであって良い。様々な適切な医薬組成物が記載されており、例えば、Retnitgton's Pharmaceutical sciences, 第20版(2001)を参照のこと。
【0102】
経口投与のために適切な製剤は、(a)液体溶液の、例えば、希釈剤の、水、生理食塩水又はPEG400中に懸濁させた有効な量活性成分;(b)カプセル、シャッセ又は錠剤(各々は所定量の活性成分を、液体、固体、粒子又はゼラチンとして含む);(c)適切な液体における懸濁;及び(d)適切なエマルションからなりうる。錠剤形態は、1又は複数のラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、バッファー剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、色素、錠剤分解促進剤、及び医薬的に許容できる担体を含む。ロゼンジ形態は、香味剤の例えばスクロース中に活性成分を含んで成り、並びに不活性塩基の例えば、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアエマルション、ゲル中に活性成分を含んで成るパスチル(pastilles)、及び活性成分に加えて当業者に公知の担体を含んで成ることができる。
【0103】
直腸投与のための適切な製剤としては、例えば、座薬が挙げられ、それは座薬塩基を伴いパッケージングされた核酸からなる。適切な座薬塩基としては、天然もしくは合成のトリグリセリドもしくはパラフィン炭化水素が挙げられる。加えて、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、及びパラフィン炭化水素など塩基と選定の化合物の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0104】
非経口投与のために適切な製剤は、例えば、関節内(関節中)、静脈内、筋内、経皮内、腹腔内、及び皮下経路による、水性及び非水性の、等張性無菌注射溶液が挙げられ、それは抗酸化物質、バッファー、静菌剤、及び製剤を対象受容者の血液と等張にする溶質、及び懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤が挙げられうる水性及び非水性の無菌懸濁を含む。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注射、口内、局所、腹腔内、膀胱内又は髄腔内の注射によって投与されて良い。非経口投与、経口投与、舌下投与及び静脈内投与は好適な投与の方法である。溶液製剤の特異的な例は、約0.5〜100mg/mlの化合物及び約1000mg/mlのプロピレングリコールを水中に含む。適切な溶液製剤の他の特異的な例は、約0.5〜100mg/mlの化合物及び約800〜1000mg/mlのポリエチレングリコール400(PEG400)を水中に含んで成る。
【0105】
適切な懸濁製剤の特異的な例は、約0.5〜30mg/mlの化合物並びに: 水中、約200mg/mlエタノール、約1000mg/ml植物油(例えば、コーン油)、約600〜1000mg/mlのフルーツジュース(例えば、グレープフルーツジュース)、約400〜800mg/mlの乳、約0.1mg/mlのカルボキシメチルセルロース(又は微結晶性セルロース)、約0.5 mg/mlのベンジルアルコール(又はベンジルアルコールと塩化ベンザルコニウムの組み合わせ)及び約40〜50mMバッファーpH7(例えば、リン酸バッファー、酢酸バッファーもしくはクエン酸バッファー又は代替的に、5%デキストロースがバッファーの代わりに使用されて良い)から成る群から選択された1又は複数の賦形剤から選択される。
【0106】
適切なリポソーム懸濁製剤の特異的な例は、水中、約0.5〜30mg/mlの化合物、約100〜200mg/mlのレシチン(又は他のリン脂質またはリン脂質の混合物)及び任意に約5mg/mlのコレステロールを含んで成りうる。所定のPBI化合物の舌下投与のためには、水中5mg/mlの化合物 と100mg/mlのレシチン及び水中5mg/mlの化合物と100mg/mlのレシチン及び5mg/mlコレステロールを伴うリポソーム懸濁製剤が良好な結果を供する。
【0107】
化合物の製剤は、多重投与又は多重投与密閉容器の例えば、アンプル及びバイアル中に存在して良い。注射溶液及び懸濁は、無菌粉末、顆粒、及び先に記載された種類の錠剤から調製されて良い。
【0108】
医薬調製物は、好適に単位投与形態において投与されて良い。かかる形態において、製剤は、適切な量の活性成分を含む単位投与量へ分割されて良い。単位投与形態は、パッケージングされた調製物であって良く、当該パッケージは個別量の調製物、例えば パッケージングされた錠剤、カプセル、及び粉末をバイアル又はアンプル中に含む。そしてまた、単位投与形態は、カプセル、錠剤、小袋、又はそれ自体ロゼンジであって良い、又はパッケージングされた形態におけるこれらのいずれかの適切なものであって良い。組成物は、もし所望されれば、下に詳細を述べた他の適合する治療剤をも含む。
【0109】
ノロウィルス感染症の治療のための治療使用において、本発明の医薬方法において使用されているMS組成物(例えば、抗体及びペプチド)は、治療上の利点を達成するために適切な投与レベルにおいて、ノロウィルス感染症を伴うと診断された患者へ投与されて良い。「治療上の利点」及び文法上同等な用語は、長期に渡り患者において有利な効果を導く化合物を投与することを意味する。例えば、治療上の利点は、患者におけるノロウィルス力価及び負荷が減ったかあるいは増加が止まった場合に達成されて良い。治療上の利点は、もし化合物の投与により、患者におけるノロウィルス力価又は負荷に関わらず、ノロウィルス感染症に典型的に伴う有害な症状の開始も一緒に遅らせる又は抑制するのならば達成されて良い。
【0110】
MSペプチド及び/又はその組成物は、ノロウィルス感染症を発症する危険がある患者において予防的に、又はノロウィルスに暴露した患者において、ノロウィルス感染症の発症を阻害するために投与されて良い。例えば、MSペプチド及び/又はその組成物は、ノロウィルスに感染しているようである患者に投与されて良い。
【0111】
本発明は更に、ノロウィルスへ結合するMS抗体を遮断する方法を供する。一つの実施態様において、未標識MS抗体は、ノロウィルスを結合して標識抗体の結合を遮断する。代替的な実施態様において、標識MS抗体は、未標識抗体によってノロウィルスに対する結合を阻害されて良い。%阻害は、未標識抗体の存在下での標識−抗体結合の減少によって計算される。本発明は更に、MSペプチドの使用によりノロウィルスへ結合するMS抗体を遮断する方法を供する。好適な実施態様において、標識MS抗体は、MS抗体がノロウィルスへ結合することを遮断するMSペプチドを結合する。%阻害は、MSペプチド不在と比較して、存在下でのMS抗体結合の減少により計算されて良い。本発明は更に、細胞、特に限定はされないが、ノロウィルスにより生産的に結合されて感染性ウィルスを生産しうる細胞(即ち、宿主細胞)へのノロウィルス結合を遮断する方法を提供する。好適な実施態様において、宿主細胞、好適に分化型CaCo-2細胞は、標識ノロウィルス、例えば、組換えノロウィルスVLPが当該細胞へ結合するのを阻害するMSペプチドにより処理されて良い。
【0112】
化合物、例えば、MS抗体、MSペプチド又はノロウィルスは、検出可能シグナルを提供する標識、例えば、放射性同位体、蛍光物質、酵素、抗体、粒子の例えば、限定されないが、磁性粒子、化学発光物質、又は特異的結合分子などに直接又は間接的に結合させられて良い。特異的結合分子には、結合ペアの、例えば、ビオチン及びストレプトアビジン、ジゴキシン及びアンチジゴキシンなどが挙げられる。好適な標識としては、限定されないが、蛍光標識、標識酵素、及び放射性同位体が挙げられる。
【0113】
一般に、標識は4つの種類に分けられる:a)アイソトープ標識、それ、放射性アイソトープ又は重アイソトープであって良い;b)磁性標識、電気的標識、熱標識;c)着色もしく蛍光色素もしくは成分;及びd)結合パートナーであって良い。標識は酵素(セイヨウワサビペルオキシダーゼなど)及び磁性粒子が含まれて良い。好適な実施態様において、検出標識は一次標識でありうる。一次標識は、直接検出されて良く、例えば、限定ではないが、フルオロフォアにより直接、検出されて良い。
【0114】
好適な、標識としては、発色団又は蛍光物質が挙げられるが、好適に蛍光色素又は蛍光成分であって良い。フルオロフォアは、「小分子」フルオールである、又はタンパク質性フルオールのいずれかであって良い。
【0115】
「蛍光標識」とは、その固有の蛍光特性により検出されて良い任意の分子を意味する。適切な蛍光分子としては、限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラサイトグリーン、スチルベン、ルシファーイェロー、カスケードブルーJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red 640、Cy5、Cy5.5、LCレッド705及びオレゴングリーンが挙げられる。適切な光学色素が、本明細書中、明示によって組み込まれたMolecular Probes Handbook by Richard P. Haugland (1996)に記載されている。適切な蛍光標識としては、限定されないが、緑色蛍光タンパク質(GFP;Chalfie,ら, Science 263 (5148): 802-805 (1994);及びEGFP(Clontech Laboratories, Inc., Genbank Accession Number U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP, Quantum Biotechnologies, Inc. 1801 de Maisonneuve Blvd. West,8th Floor, Montreal, Quebec, Canada H3H1J9 ; Stauber,BiotecAmiques 24 (3): 462-471 (1998);Heim,ら, Curr. Biol. 6: 178-182(1996))、増強黄色蛍光タンパク質 (EYFP, Clontech Laboratories, Inc. )、ルシフェラーゼ(Ichiki,ら, J.Irnm. unol. 150 (12): 5408-5417 (1993))、β-ガラクトシダーゼ(Nolan,ら, Proc Natl Acad Sci USA 85 (8): 2603-2607 (1988) )及びRenilla(WO92/15673, W095/07463, W098/14605、W098/26277、W099/49019、U.S特許No.5292658、5418155、5683888、5741668、5777079、5804387、5874304、5876995、5925558)が挙げられる。上記引例は、本明細書中、明示的に、参照によって組み込まれている。
【0116】
本発明において使用するために特に好適な標識としては:Alexa-Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、カスケードブルー、カスケードイェロー及びR-フィコエリトリン(PE)(分子プローブ、Eugene, OR)、FITC、ローダミン、及びテキサスレッド(Pierce, Rockford, IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science, Pittsburgh, PA)が挙げられる。Cy5PE、Cy5.5PE、Cy7PE、Cy5.5APC、Cy7APCのためのタンデム結合プロトコール及び蛍光プローブ結合定量化は、標識化の程度を測定するために評価されて良いことが当業界で公知である。
【0117】
他の好適な実施態様において、蛍光標識はGFPであって良く、そして一層好適に、レニラ(Renilla)、プチロサルカス(Ptilosarcus)、又はエクオレア(Aequorea)種のGFPであって良い。
【0118】
好適な実施態様において、第二検出可能標識が使用されて良い。第二標識とは、間接的に検出されて良いものである。例えば、第二標識は、一次標識と検出のために結合又は反応することができ、一次標識(例えば、酵素)を生じさせるために更なる産物に対して作用することなどができる。第二標識は、限定されないが、結合パートナーペア;化学修飾可能成分;ヌクレアーゼ阻害物質、酵素の例えば セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性フォスファターゼ、ルシフェラーゼなどの一つである。
【0119】
好適な実施態様において、第二標識は、結合パートナーペアであって良い。例えば、この標識は、ハプテン又は抗原であって良く、それらはその結合パートナーと結合しうる。例えば、適切な結合パートナーとしては、限定されないが、抗原(例えば、タンパク質(ペプチドを含む)及び小分子)及び抗体(その断片を含む(FAbなど));タンパク質及び小分子(ビオチン/ストレプトアビジン);酵素及び基質又は阻害物質;他のタンパク質-タンパク質相互作用ペア;レセプター-リガンド;並びに炭化水素及びそれらの結合パートナーの例えば、レクチンが挙げられる。核酸-核酸結合タンパク質ペアも有用でありうる。好適な結合パートナーペアとしては、限定されないが、ビオチン(又はイミノ-ビオチン)及びストレプトアビジン、ジゲオキシニン(digeoxinin)及びAbs、及びProlinx試薬(Cambrex Biosciences)が挙げられる。
【0120】
好適な実施態様において、結合パートナーは、抗原及び当該抗原へ特異的に結合するだろう抗体を含んで成る。「特異的結合」とは、本明細書中、パートナーが当該系のペアと他の成分又は混入物質を区別するために十分な特異性により結合することを意味する。結合は、アッセイの条件下、例えば、非特異的結合を除去するための洗浄段階下で結合を維持するために十分であるべきだ。いくつかの実施態様において、ペアの解離定数は、約10-4〜10-6M-1未満、そして好適には約10-5〜10-9M-1でありそして約10-7〜10-9M-1が特に好適である。
【0121】
好適な実施態様において、第二標識は、化学的に修飾可能な成分でありうる。この実施態様において、反応性官能基を含んで成る標識は、標識される分子中に組み込まれて良い。次いで、官能基は、一次標識で(例えば、アッセイの前後に)標識されて良い。適切な官能基としては、限定されないが、アミノ基、カルボキシル基、マレイミド基、オキソ基及びチオール基、そしてアミノ基及びチオール基が特に好適である。例えば、アミノ基を含む一次標識は、当業者に公知のリンカーを使用することで、アミノ基を含む第二標識へ結合させられて良く、例えばホモ又はヘテロ二官能性リンカーまた公知である(本明細書中参照によって組み込まれているPierce Chemical Company catalog, Technical section on cross-linkers, pp. 155-200 (1994)を参照のこと)。標識のタイプは実施者の裁量において選択され、 例えば、酵素、放射性同位体標識、及び蛍光標識が挙げられる(Haugland. Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals.第6版. Molecular Probes, Eugene, ORを参照のこと)。
【0122】
本発明は更に、上記組成及び方法のいずれかの範囲内で使用するためのキットを提供する。かかるキットは典型的に、診断アッセイを行うために欠かすことのできない2以上の成分を含んで成る。構成要素は、化合物、試薬、容器及び/又は機器であって良い。例えば、キット内のある容器には、ノロウィルスに特異的に結合するMS抗体及び臨床サンプルからのノロウィルス単離体を同定することにおける使用を発見する。かかる抗体は、上記のように、標識へ結合して提供されて良い。1又は複数の更なる容器が、アッセイにおいて使用される要素の例えば、試薬又はバッファーを含みうる。かかるキットはまた、または代替的に、抗体結合の直接的又は間接的な検出に適したレポーター基を含む上記検出試薬を含む。代替的に、生物試料中、例えば糞便又血清中のノロウィルス抗体を検出するために設計されて良い。かかるキットは、一般に、上記のように、ノロウィルス抗体に結合する少なくとも1つのMSペプチドを含んで成る。かかるMSペプチドは、例えば、臨床サンプル中の抗ノロウィルス抗体の検出における使用を発見する。
【0123】
本願において、単数の使用には、特に断りがない限り複数も含む。本願において引用された全ての刊行物及び類似の資料は、特許、特許出願、記事、書籍、及び取り扱いを、かかる刊行物及び類似の資料に限定されないが、それらの全体を参照によって組み込まれている。1又は複数の組み込まれた刊行物及び類似の資料が本願と異なる又は相反する場合、規定の用語、記載の技術などに限定されないが、本願が支配する。本開示の観点は、以下の例の観点において更に理解されて良く、その例は、いかなる場合も本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0124】
6.実施例
実施例1:MAbs NV54.6及びNV72.10
【0125】
MAbs NV54.6及び72.10を、Balb/cマウスを精製ノーウォークウィルスVLPs(rNV)で免疫化することによって生じさせた。各マウスには、500μgのrNVの2回腹腔内免疫化を与えた。rNV粒子に対して抗体を分泌するハイブリドーマをドットブロットによりスクリーニングした。反応陽性のハイブリドーマ上清を更に、培養中、ヒト前立腺CaCo-2細胞に対する放射活性標識したrNV結合を遮断する能力について選択した。NV54.6及びNV72.10はどちらも、IgG1のものであることがBoerhinger Mannhiem Isotypingキットで特定された。
【0126】
CaCo-2細胞をEarleの最小必須培地(MEM)(10%ウシ胎児血清(FBS)、L-グルタミン、MEM非必須アミノ酸、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)バッファー、ペニシリン、及びストレプトマイシンを補った)中、5%CO2インキュベーター中で増殖させた。コンフルエントな状態になった後7〜14日において、CaCo-2細胞は、分化の生物化学的且つ形態学的なマーカー(ドームの存在下2.3〜2.8μmol/mg/hスクラーゼ活性)を示し且つ分化した培養物(D-CaCo-2)であったと考えられた。
【0127】
組換えノーウォークウィルス(rNV)VLPを、Sf9昆虫細胞(3×106細胞/ml)へノーウォークウィルス(NV)カプシドタンパク質を発現するバキュロウィルス組換え Bac-rNV C8 (Jiangら 1992. Expression, self-assembly, and antigenicity of the Norwalk Virus capsid Protein J. Virol. 66: 6527 : 6532)を感染させることにより10PFU/細胞の感染多重度(M.O.I.)で感染させた。代謝的に放射性標識したrNVを、細胞をメチオニンフリーGraceの培地に、感染後28時(hpi)において、30分に渡り置き、そして25〜30μCiの[35S]メチオニン(トランス-35S-標識; ICN, Irvine,Calif.)/mlを加えることによって調製した。標識の4〜6時間後、50μg未標識メチオニン/mlを加えた。培養物を感染の7日後に収穫し、細胞をペレット化させ、そしてrNVsを、Whiteら 1996. Attachment and entry of recombinant Norwalk virus capsids to cultured human and animal cells J. Virol. 70: 6589-6597によって記載されたように培地中に放出させた。
【0128】
rNP結合アッセイのために、CaCo-2細胞を、24ウェルプレート又は96ウェルプレート(Costar, Cambridge, MA)において、コンフルエントな状態後7〜14日培養した。細胞単層を3回、冷PBS又は血清フリーEagleの最小必須培地(1%ウシ血清アルブミンを含有する)、画分V(BSA; Calbiochem, La Jolla, CA)で洗浄し、そして4℃で冷却した。精製放射性標識rNVを、24ウェルプレートでは200μl/ウェル又は96ウェルプレートでは30μl/ウェルの最終体積における血清フリー培地1%BSAにおいて、2重にウェルに加えた。プレートを、穏やかな撹拌を伴い、内部化を阻害するために、4℃で穏やかな撹拌を伴い1時間に渡りインキュベートした。結合反応を、細胞を3回、冷PBS(0.1% BSAを含有する)で洗浄し、そして放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)バッファー(0.15M NaCl、1%デオキシコール酸ナトリウム、1% Triton X-100、0.1% SDS, 1%トラシロール、10mM Tris-HCI[pH 7.2])で溶解させることによって特定した。サンプルにおける放射活性を、液体シンチレーションスペクトロメトリーによって特定した。細胞の数/ウェルを、3重ウェルに由来するトリプシン処理された細胞を計測することによって特定した。
【0129】
rNV血液凝集反応アッセイのために、集団O、タイプ陰性(0-)全血を回収して2体積のAlsever溶液(2.05%グルコース[w/v]、0.8% クエン酸ナトリウム、0.055%クエン酸、及び0.42%塩化ナトリウム;pH 6.1)中で懸濁させて使用まで4℃で保存した。赤血球(RBC)を洗浄して14mlのPBS-cmf(カルシウム-マグネシウムフリー、pH 7.4)中1mlの細胞を希釈することによってパッキングしそして15分に渡り500xgで遠心した。アッセイを行った直後、パッキングしたRBCを0.85%生理食塩水中0.5%において再懸濁させて氷上で保存した(例えば、5mlの0.85%生理食塩水に対して25μlのパッキングしたRBC)。
【0130】
精製したrNV VLPを、約500mg/mlで出発して、氷上で(0.01Mリン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム、pH5.5)中;孔経0.2μmのフィルターを使用することで無菌ろ過した)連続的に希釈(2倍)した。次いで、希釈物を対応する96ウェルV-底プレートの壁に50μl/lウェルで加えた。等体積(50μl)の0.85%生理食塩水中0.5%RBCを、連続的に希釈したVLPを含有するウェルに加えた。プレートを穏やかに混合し、カバーをし、そして約2時間に渡り4℃でインキュベートする、又はRBCを含み且つPBS-H のみが沈降するまで列になるまでインキュベートする。
【0131】
MAb NV54.6及びNV72.10がVLP赤血球凝集反応を遮断したかどうかを確かめるために、部分的に精製したMAbを、PBS-H中2μg/μlに希釈し、そして1μlのMAb希釈物を、VLPの各連続希釈物に加えた。HAアッセイを上記のように行い、そしてVLP及びMAbを含んだRBCの沈降をHAポジティブコントロールと比較した。結果は、NV54.6が、rNV赤血球凝集反応を最大で62.5μg/ml阻害したことを示した。MAb72.10は、rNV赤血球凝集反応を最大で250μg/ml阻害した。
【0132】
CaCo-2細胞に対するrNVのNV54.6遮断を証明するために、放射性標識したrNVs(15μg/105細胞)を、37℃で1時間に渡り、0.01M PBS(最終体積、20μl)中、精製NV54.6の連続希釈物と混合した。この混合物を氷上で冷却して、血清フリーMEM中10μlの13% BSAを各反応混合物に加え、そして冷血清フリーMEM1%BSAで予め洗浄した96ウェルプレート中のコンフルエント単層に加えた。ノロウィルス無反応抗体、DREGをイソタイプ適合ネガティブコントロールとして使用した。結合を上記のようにアッセイした。図3に示す結果は、精製NV54.6が、用量依存態様において、CaCo-2細胞へのrNVの結合を遮断することを示す。
【0133】
ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングすることによって、NV54.6及びNV72.10は、ペプチド1734(WIRQGPFDK:配列番号:5)、1735(WTRGMHQVS:配列番号:6)、1736(WTRSEHNLA:配列番号:8)、1737(WTLQWHTIQ:配列番号:9)、1738(WSLDSHRLV、配列番号:10)、1739(WTRGQHKLQ:配列番号:11)、1740(WNIKQHSLY:配列番:13)、1741(WTRDQHQLH:配列番号:14)、1742(WTLKNHTLS:配列番号:16)、1743(WTRSMHSLL:配列番号:17)、1744(WTRSMHSLV:配列番号:18)、1745(WTRGDHQVW:配列番号:19)、1746(WTRGDHQVX(Xは任意のアミノ酸であって良い)):配列番号:20)、及び1747(WTRGMHQVW:配列番号:21)であることが発見された。同定されたペプチドのアミノ酸配列を比較することによりコンセンサス配列、例えば、W-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8及びWTRGXHXL(配列番号:96)を獲得した。ペプチド1730、1731、及び1732を合成してこれらコンセンサス配列と一致させ、そしてNV54.6及びNV72.10によって認識されることを発見した。
【0134】
NV54.6及びNV72.10によって認識されたエピトープは、rNVカプシドタンパク質SDS-PAGE及びウェスタンブロットによって、完全に変性させた(沸騰した、SDS及びSDS-ME処理した)rNVカプシドタンパク質とのそれらの反応性を分析することによって構造エピトープであることが発見された。NV54.6及びNV72.10は、電気泳動の前に変性していないrNVカプシドタンパク質とのみ反応した。NV54.6及びNV72.10も、非変性ドットブロットによって試験した他のノロウィルス(TV、SMV、DSV、MV、HV、SHV、LV)のVLPと反応しなかった(図7を参照のこと)。
【0135】
アミノ酸配列1730、1731、及び1732の比較により、ペプチド1730は、モチーフ、GXHXL(配列番号:47)を含んで成る、NVカプシドタンパク質のアミノ酸133〜137に同一な5つのアミノ酸を有する(図8)。この配列は、NV及び他のノロウィルスVP1の保存領域内で発見されたが、それ自体は、GI及びGIIノロウィルスの間で良く保存されておらず(図8)、それはこれら他のウィルスとNV54.6及びNV72.10との反応性が一致する。この5つのアミノ酸配列は、ヒンジ領域に隣接するOEとαヘリクスの間のNVカプシドタンパク質のNループ中に存在する(Prasadら, Science 286: 287-290)。
【0136】
実施例2:MAb61.21
【0137】
MAb SMV61.21を、組換えスノーマウンテンウィルス(rSMV)VLPを免疫原として使用した以外は、実施例1の手順に従い生じさせた。rSMV VLPをLochridgeら Virus Genes 26: 71-82 (2003)に記載のようにして調製した。上記のようにファージディスプレーによって同定されたSMV62.21によって認識されたペプチドは、配列: WLPAPIDKL(1800、配列番号:4)を有することが発見された。このエピトープは、GI及びGIIノロウィルスVPlの間で部分的に保存されている(図9)。NVの対応するPAP配列は、カプシドタンパク質のβ鎖のβEf2とβEf3の間の小ループの部分である(Prasadら Sciefzee 286: 287-290(1999))。Whiteらは、この領域は、NVが培養ヒト細胞及び動物細胞に結合及び侵入することにおいて重要でありうることを示した(J.Virol.70:6589〜6597)。この解釈は、rSMV VLP赤血球凝集反応を阻害するSMV61.21の能力と一致する。グループA、タイプ陽性(A+)RBCを使用したこと以外は、上記のように、赤血球凝集反応阻害アッセイを行った。
【0138】
ウェスタンブロットにおいて、SMV61.21のみが非変性タンパク質と反応し(図6)、それは抗体が構造エピトープを認識することを示した。ドットブロットにおいて、SMV61.21のみがSMVと反応し、そして他の試験したGI又はGIIウィルスは、PAP配列及び隣接する1〜2個のアミノ酸が試験されたウィルスの中で保存されていたが反応しなかった。PAPに由来するカルボキシ末端に対するSMVアミノ酸の3つの位置はVであり、一方で、他の試験したGIIは、対応する位置がTであった(図9)。この一次配列における違いは、ドット流により確認された(図7)SMVとのみのSMV61.21の反応性について説明しうる。GIウィルスは、SMV Vに対応する位置にFを有し、そしてGIIウィルス(図9)に対して欠失を有し、それはSMV61.21との非反応性をもたらしうる。
【0139】
実施例3:ブロッキング-ペプチドELISAプロトコール
Immulon 1 ELISAプレートのウェルを、4℃で一晩のインキュベートによって、10ng/ウェルの精製rNVでコーティングした。プレートを0.05%Tween-20/PBSで一度洗浄した。非特異的タンパク質結合を減らすため、各ウェルを3%ウシ結成アルブミン(BSA)/PBSで45分に渡り室温でブロッキングした。反応混合物を、160μlの最終反応体積における0.1μgのNV54.6を伴い1:1(1mg/ml)ではじめて、2倍希釈〜1:4希釈のペプチド1730、1731、及び1732の連続希釈物を含み調製した。ペプチドIRR1794及び希釈物をネガティブコントロールとしてランした。抗体-ペプチド混合物及びコントロールを45分に渡り室温でインキュベートした。BSAブロッキング溶液を、0.05%Tween-20/PBSにより3回洗浄したプレートからデカンテーションした。各ウェルに50μlの抗体-ペプチド混合物又はコントロールを加え、そしてプレートを1.5時間に渡り室温でインキュベートした。溶液を、0.05%Tween-20/PBSで3回洗浄したプレートからデカンテーションした。ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG(第二抗体)を1:3000に希釈して100μlのアリコートを各ウェルに加えた。プレートを室温で1時間に渡りインキュベートした。10分続くインキュベーションの後、OPD基質を、10mgの錠剤1つを10mlの0.05Mクエン酸バッファーに溶かすことによって調製した。第二抗体をデカンテーションし、そしてプレートを3回0.05%Tween-20/PBSで洗浄した。5μlの30%H2O2をOPD基質に加えて、100μlを直ぐに各ウェルに加えた。プレートを15分に渡り暗中、室温でインキュベートした。反応を、2.5Mの硫酸を50μl/ウェルで加えることによってとめた。各吸光度を、ELISAプレートリーダー上490nmで十分に測定した。
【0140】
図4に示す結果は、ペプチド1730、1731、及び1732は、IRR1794及び希釈物に比較して、rNVに対するNV54.6の結合を実質上阻害することを示す。SMV62.21及びrSMVでこの研究を繰り返すことにより、SMV62.21が、rSMVのCaCo-2細胞に対する結合を阻害することが示された。
【0141】
実施例4:宿主細胞に結合するrNV又はrSMVを遮断するペプチド
【0142】
CaCo-2細胞に対して結合するrNV及びrSMVのペプチド遮断は、CaCo-2細胞に対するrNVのNV54.6遮断を証明した上記手順に類似して行った。放射性同位体標識したrNV(15μg/105細胞)を、37℃で1時間に渡り、0.01MのPBS中、精製ペプチド1730、1731、1731、1800、又はネガティブコントロール連続希釈物としてIRR1794と混合した。ペプチドの連続希釈物を遊離ペプチド及び担体の例えば、BSAと結合したペプチドにより調製した。この混合物を氷上で冷却し、血清フリーMEM中10μlの3%BSAを各反応混合物に加え且つ冷血清フリーMEM-1%BSAにより予め洗浄した96ウェルプレートにおけるコンフルエント単層に加えた。結合を上記のようにして評価した。結果は、ペプチド1730、1731、1732がrNVの結合を減らしそして1800はrSMVのCaCo-2細胞に対する結合を用量依存態様で下げることを証明する。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】3つの主要なオープンリーディングフレーム(ORF1、-2、-3)及びポリアデニル化された3'末端を含むプロトタイプノロウィルスゲノムRNA、ノーウォークウィルス(NV)の概略図である。ORF1は、解裂してNTPase、VPg、ウィルスプロテアーゼ(Pro)、及びRNA-依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を生じるポリタンパク質をコードする。白抜三角及び文字は、Proによってプロセシングされるポリタンパク質における解裂部位を示す。ORF2は、K227/Tで解裂するカプシドタンパク質(VP1)をコードする;しかし、解裂したカプシドタンパク質は、ヴィリオンにおいて検出されない。ORF3は、マイナーカプシドタンパク質(VP2)をコードする。VPgはゲノムRNA及びORF2から転写されたサブゲノムmRNAの5'-末端に共有結合する。
【図2】組換えノーウォークウィルス様粒子(rNV、VLP)の電子顕微鏡写真、rNV VLPsの3D凍結再生物(Cryoreconstruction)、並びにNVカプシドタンパク質のX-線結晶構造である。「A」、「B」、及び「C」は、T=3の格子を構築する準等価性サブユニット(quasi-equivalent subunits)である。「3」及び「5」は、5-重になった及び3-重になった軸の位置を示す。「N」は、カプシドの内部に面するアミノ末端アーム(アミノ酸10〜49)である。「S」はシェルドメイン(アミノ酸50〜225)である。「P」は、ウィルス粒子表層から伸びたカプソマー(capsomeres)を形成する突起アームドメインである。Pドメインは2つのサブドメイン、P1(アミノ酸226〜278及び406〜520)及びP2(アミノ酸279-405)に分けられる。S及びPドメインは、柔軟なヒンジ領域によって連結されている(Prasadら,Science 286: 287-290 (1999))。
【図3】ブロッキング実験の結果の棒グラフであり、ここでMAb NV54.6は、用量依存態様において、分化したCaCo-2細胞に対するrNV VLPの結合を阻害する。
【図4】ブロッキング実験の結果の棒グラフであり、ここでペプチド1730(WTRGSHNL: 配列番号:1)、1731(WTRGGHGL:配列番号:2)、及び1732(WTRGQHQL:配列番号:3)は、rNV VLPに対するMAb NV54.6の結合を阻害する。IRR 1794(RVYIHPF:配列番号:5)は、ヒトアンジオテンシンIIIに由来する(U. S. 特許No.5854388号参照のこと)。
【図5】ノロウィルス赤血球凝集反応及びノロウィルス赤血球凝集反応阻害の結果を示す。パネルAは、指示VLP濃度におけるrNV VLP赤血球凝集反応を示す。パネルBは、PBS中の非凝集RBCを示す。パネルCは、マウス適合させたインフルエンザウィルスの赤血球凝集反応を示す。パネルDは、MAb NV54.6によるrNV VLPの赤血球凝集反応の阻害を示す。パネルEは、NV54.6がインフルエンザウィルスによる赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルFは、MAb NV72.10によるrNVVLPの血液凝集反応の阻害を示す。パネルGは、NV72.10がインフルエンザウィルスによる赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルHは、MAb DREG55(ネガティブコントロール)がrNV VLPの赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルIは、MAb DREG55が赤血球凝集反応しないことを示す。パネルJは、MAbE186.10がrNV VLPの赤血球凝集反応を阻害しないことを示す。パネルKは、MAb SMV61.21が、rSMV VLPの血液凝集反応を阻害することを示す。パネルLは、rSMV VLPによる血液凝集反応を示す。パネルMは、PBS中での非凝集RBCを示す。
【図6】ウェスタンブロットにおいてSMV61.21と沸騰及び/又はβ-メルカプトエタノール処理したSMVカプシドタンパク質との反応性を示す。
【図7】非変性ドットブロットにおいてNV54.6、NV72.10、及びSMV61.21と指示ノロウィルスVLPの反応性を示す。
【図8】ノーウォークウィルスカプシドタンパク質の部分配列、及び指示ノロウィルスの、キアウィルス(配列番号:6)、デザートシールドウィルス(配列番号:7)、グリムズビーウィルス(配列番号:8)、ハワイウィルス(配列番号:9)、ロードスデールウィルス(配列番号:10)、Marylandウィルス/145(配列番号:11)、メキシコウィルス(配列番号:12)、ノーウォークウィルス(配列番号:13)、セトウィルス(配列番号:14)、スノーマウンテンウィルス(配列番号:15)、サウサンプトンウィルス(配列番号:16)に由来するそれに対応する配列を示す。
【図9】スノーマウンテンウィルスカプシドタンパク質の粒子の配列及び指示ノロウィルスの、キアウィルス(配列番号:17)、デザートシールドウィルス(配列番号:18)、グリムズビーウィルス(配列番号:19)、ハワイウィルス(配列番号:20)、ロードスデールウィルス(配列番号:21)、Marylandウィルス/145(配列番号:22)、メキシコウィルス(配列番号:23)、ノーウォークウィルス(配列番号:24)、セトウィルス(配列番号:25)、スノーマウンテンウィルス(配列番号:26)、サウサンプトンウィルス(配列番号:27)に由来するそれに対応する配列を示す。
【図10】図10は、NVカプシドタンパク質(配列番号:28)のアミノ酸配列を示す(Jiangら Virology 195(1) : 51-61 (1993))。
【図11】図11は、NV カプシドタンパク質(配列番号:29)のアミノ酸配列を示す(Kobayashiら J. Clin. Microbiol. 38 (9): 3492-3494 (2003))。
【図12】図12は、SMV カプシドタンパク質(配列番号:30)のアミノ酸配列を示す(Lochridgeら、Virus Geeles 26: 71-82(2003))。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞へのノロウィルスの結合を阻害する組換えペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドがノーウォークウィルスのアミノ酸133〜137に対応する配列を含んで成る、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドの配列がWTRGX9HX10L(配列番号:95)(式中、X9及びX10は独立して任意の天然に生ずるアミノ酸でありうる)を含んで成る、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドの配列が、ペプチド1730、1731及び1732からなる群から選択されたペプチド配列に対して約90%以上相同的である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
前記配列が、ペプチド1730、1731、及び1732からなる群から選択される、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
前記ノロウィルスが遺伝子群Iノロウィルスである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
前記ノロウィルスが、遺伝子群IIのノロウィルスである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
前記ペプチドの配列がスノーマウンテンウィルスのアミノ酸319〜327に対応する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項9】
前記ペプチド配列の配列が、X11-X12-P-A-P-X13-X14-X15-X16 (配列番号:46)(式中、X11はアミノ酸であり;X12は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X13は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X14は、酸性側鎖又は水素側鎖を有するアミノ酸であり;X15は、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;そしてX16は脂肪族側鎖を有するアミノ酸、又はイミノ酸である)を含んで成る、請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
前記X12及びX13は、独立してロイシン、イソロイシン、バリン、及びアラニンから成る群から選択される、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
前記配列がWLPAPIDKLを含んで成る、請求項10に記載のペプチド。
【請求項12】
前記細胞がCaCo-2細胞である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項13】
前記細胞が赤血球である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項14】
前記ペプチドが対象者における免疫反応を誘導するために適切であるように処方されている、請求項1に記載のペプチド。
【請求項15】
ノーウォークウィルスのアミノ酸133〜137に対応するアミノ酸配列を含んで成るノロウィルスペプチドエピトープへ結合する単離された抗体。
【請求項16】
スノーマウンテンウィルスのアミノ酸319〜327に対応するアミノ酸配列を含んで成るノロウィルスペプチドエピトープに結合する単離された抗体。
【請求項17】
細胞とペプチドを接触させ、それによってノロウィルスが当該細胞に結合することを阻害することを含んで成る、ノロウィルスが細胞へ結合することを阻害する方法。
【請求項18】
前記ペプチドが前記ノロウィルスのVP1タンパク質が前記細胞に結合することを阻害する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ペプチドの配列が、ノーウォークウィルスのアミノ酸133〜137に対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ペプチドの配列がWTRGX9HX10L(配列番号:95)(式中、X9及びX10は独立して任意の天然に生ずるアミノ酸である)を含んで成る、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ペプチドの配列は、ペプチド1730、1731及び1732から選択されたペプチド配列に対して約90%以上相同的である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記ペプチドの配列が、ペプチド1730、1731、及び1732からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記ノロウィルスが遺伝子群Iのノロウィルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記ノロウィルスが、遺伝子群IIのノロウィルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記ペプチドの配列がスノーマウンテンウィルスのアミノ酸319〜327に対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記ペプチド配列の配列が、X11-X12-P-A-P-X13-X14-X15-X16 (配列番号:46)(式中、X11はアミノ酸であり;X12は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X13は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X14は、酸性又は水素側鎖を有するアミノ酸であり;X15は、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;そしてX16は脂肪族側鎖を有するアミノ酸、又はイミノ酸である)を含んで成る、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記X12及びX13は、独立してロイシン、イソロイシン、バリン、及びアラニンから成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記配列がWLPAPIDKLを含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項1】
細胞へのノロウィルスの結合を阻害する組換えペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドがノーウォークウィルスのアミノ酸133〜137に対応する配列を含んで成る、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドの配列がWTRGX9HX10L(配列番号:95)(式中、X9及びX10は独立して任意の天然に生ずるアミノ酸でありうる)を含んで成る、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドの配列が、ペプチド1730、1731及び1732からなる群から選択されたペプチド配列に対して約90%以上相同的である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
前記配列が、ペプチド1730、1731、及び1732からなる群から選択される、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
前記ノロウィルスが遺伝子群Iノロウィルスである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
前記ノロウィルスが、遺伝子群IIのノロウィルスである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
前記ペプチドの配列がスノーマウンテンウィルスのアミノ酸319〜327に対応する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項9】
前記ペプチド配列の配列が、X11-X12-P-A-P-X13-X14-X15-X16 (配列番号:46)(式中、X11はアミノ酸であり;X12は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X13は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X14は、酸性側鎖又は水素側鎖を有するアミノ酸であり;X15は、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;そしてX16は脂肪族側鎖を有するアミノ酸、又はイミノ酸である)を含んで成る、請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
前記X12及びX13は、独立してロイシン、イソロイシン、バリン、及びアラニンから成る群から選択される、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
前記配列がWLPAPIDKLを含んで成る、請求項10に記載のペプチド。
【請求項12】
前記細胞がCaCo-2細胞である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項13】
前記細胞が赤血球である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項14】
前記ペプチドが対象者における免疫反応を誘導するために適切であるように処方されている、請求項1に記載のペプチド。
【請求項15】
ノーウォークウィルスのアミノ酸133〜137に対応するアミノ酸配列を含んで成るノロウィルスペプチドエピトープへ結合する単離された抗体。
【請求項16】
スノーマウンテンウィルスのアミノ酸319〜327に対応するアミノ酸配列を含んで成るノロウィルスペプチドエピトープに結合する単離された抗体。
【請求項17】
細胞とペプチドを接触させ、それによってノロウィルスが当該細胞に結合することを阻害することを含んで成る、ノロウィルスが細胞へ結合することを阻害する方法。
【請求項18】
前記ペプチドが前記ノロウィルスのVP1タンパク質が前記細胞に結合することを阻害する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ペプチドの配列が、ノーウォークウィルスのアミノ酸133〜137に対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ペプチドの配列がWTRGX9HX10L(配列番号:95)(式中、X9及びX10は独立して任意の天然に生ずるアミノ酸である)を含んで成る、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ペプチドの配列は、ペプチド1730、1731及び1732から選択されたペプチド配列に対して約90%以上相同的である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記ペプチドの配列が、ペプチド1730、1731、及び1732からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記ノロウィルスが遺伝子群Iのノロウィルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記ノロウィルスが、遺伝子群IIのノロウィルスである、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記ペプチドの配列がスノーマウンテンウィルスのアミノ酸319〜327に対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記ペプチド配列の配列が、X11-X12-P-A-P-X13-X14-X15-X16 (配列番号:46)(式中、X11はアミノ酸であり;X12は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X13は直鎖状又は枝分かれしたアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;X14は、酸性又は水素側鎖を有するアミノ酸であり;X15は、塩基性、アルキル、又はヒドロキシアルキル側鎖を有するアミノ酸であり;そしてX16は脂肪族側鎖を有するアミノ酸、又はイミノ酸である)を含んで成る、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記X12及びX13は、独立してロイシン、イソロイシン、バリン、及びアラニンから成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記配列がWLPAPIDKLを含んで成る、請求項27に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−537137(P2007−537137A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528248(P2006−528248)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031473
【国際公開番号】WO2005/030806
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506098103)モンタナ ステート ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031473
【国際公開番号】WO2005/030806
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506098103)モンタナ ステート ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
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