説明

ハイパワーランプの冷却プロセスを正確に制御する方法

動作中にハイパワーランプ(10)を冷却するための空気流を発生させるためのポンプ(20)を有する冷却ユニット(2)が提供される。空気流の値は、ランプ(10)の動作パワーに基づいて空気流の要求された値を決定するためのドライバ(30)を有する制御ユニット(3)によって制御される。制御ユニット(3)は、空気流の圧力及びオリフィス(31)両端での空気流の圧力降下を測定するための2つの圧力センサ(32、33)を有する。ドライバ(30)は、空気流の実際の値を決定するために測定結果を処理するように設計される。空気流の値は、ポンプ(20)へのパワーサプライの調整によって空気流の実際の値と空気流の要求された値との一致を得るように正確に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ、特にハイパワーランプの冷却プロセスを制御する方法であって、前記冷却プロセスがランプの横を流れる冷却媒体によって起こる、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下でHPランプとも呼ばれるハイパワーランプは、比較的ハイパワー、例えば300Wよりも大きいパワーで動作するように設計されるランプである。動作中、HPランプの冷却は、ハイパワーである結果ランプが熱くなりすぎるのを防止するために必要である。通常、HPランプの冷却は、ファンによって発生された圧縮された空気の流れによって起こる。プロセス中、空気がHPランプの方向に吹かれ、ランプの横を流れることが許可される。
【0003】
ファンは、単純に、ランプがスイッチオンされている限り空気の流れを生じるように制御されてもよい。しかし、ファンをより高度な手法で、即ち、ランプ自体の温度の実行可能な表示を構成する、ランプの近傍での温度の測定の結果に基づいて、制御することも可能である。このような場合、ランプの温度が規定の最大値を超えていることを測定が明らかにすると、ファンは、ランプの温度を許容可能なレベルまで低下させるように空気の流れを生じるためにスイッチオンされる。ランプの温度が規定の最小値より下になった途端、ファンは再びスイッチオフされる。ファンがランプの温度に応じて制御されれば、ファンが、ランプの動作期間に亘って繰り返しスイッチオンオフされることは、理解されるであろう。
【0004】
HPランプの分野における最近の発達は、以降ではCPランプとも呼ばれるいわゆるコンパクトパワーランプをもたらした。CPランプの冷却プロセスは、動作中のCPランプの温度に関する厳しい要件を考慮すると、正確に制御されるべきである。上記要件は、CPランプの温度を規定の最小値と規定の最高値との間に維持することを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、CPランプ用に用いられることができる、ランプの冷却プロセスを制御する方法を提供することである。この目的は、冷却媒体の実際の流速が、ランプの動作パワーに関連する要求される値に等しくなるように制御される方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の重要な一側面によれば、ランプの冷却プロセスは、冷却媒体の実際の流速の制御に基づいて実行される。プロセス中、冷却媒体の実際の流速は、冷却されることが必要なランプの動作パワーに関連する要求される値にマッチするようにセットされる。ランプが減光可能であれば、ランプの動作パワーは変化可能であり、この結果、冷却媒体の要求される流速は変化可能である。このような場合、ランプの動作パワーと冷却媒体の要求される流速との間の関係は、例えば、表に定められてもよく、この表は、シミュレーション又は実験の結果に基づいて作成されることができる。
【0007】
異なった値の比較に関する「等しい」及び「マッチする」等の用語に関して、これらは、厳密な意味よりも実際的な意味で解釈されるべきであることは理解されるであろう。例えば、冷却空気の実際の流速と、冷却空気の要求される流速とは、これらの値の間の差がゼロを含む所定の小さな範囲内である限り、等しいと示されることができる。
【0008】
本発明と従来技術との間の重要な差は、本発明によれば、冷却媒体の要求される流速が動作パワーに関連するから、ランプの動作パワーはランプの冷却プロセスを制御するのに役割を果たし、一方で、従来技術によれば、ランプの実際の温度又はランプがスイッチオン又はオフされるという事実のみが、前記プロセスを制御する役割を果たす、ということである。
【0009】
本発明による方法が適用される状況では、冷却プロセスは、従来技術による方法が適用される既知の状況よりも正確に制御されることができる。本発明による方法は、比較的正確なので、CPランプの冷却プロセスを制御するのに適している。
【0010】
好適には、冷却媒体の実際の流速を決定することは、冷却媒体の実際の流速を制御するプロセス中のステップのうちの1つである。冷却媒体の実際の流速は、例えば従来技術で知られている流速計の助けにより決定されることができる。しかし、本発明の重要な一側面によれば、1つ又は複数の圧力センサを用いるだけで、圧力センサによって実行された圧力測定の結果から冷却媒体の実際の流速を導出することも可能である。圧力センサは流速計よりも、より安価で、より小さく、より信頼性があるので、これは有利な可能性である。更に、圧力に関する情報は、冷却媒体の流速を決定するためにのみ用いられるのではなく、冷却媒体が流れるダクトに漏れ又は遮断が存在するか否かを示すためにも用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ここで、図を参照してより詳細に説明される。図中では類似部分は同一の参照記号で示される。
【0012】
図1において、CPランプ10を持つランプユニット1が示される。ランプ10は、動作中にランプ10によって発せられた光を所定の方向に向けるためのカップ形リフレクタ11によって包囲される。ランプユニット1はランプ10を点火するためのイグナイタ12を有する。
【0013】
図1は、更に、ポンプ20を持つ冷却ユニット2を示す。ポンプ20は、空気を吸い込むための入口21及び空気を吹き出すための出口22を有する。示される例では、吸い込まれた空気を純化するためフィルタ23が入口21の中に配置されている。冷却ユニット2は、冷却空気を運ぶためのダクト24を有し、ダクト24の一方の側はポンプ20の出口22に接続され、ダクト24の他方の側はノズル25に接続される。ランプユニット1のリフレクタ11は穴を有し、ノズル25は、該ノズル25の自由端26がリフレクタ11内に配置されるように前記穴を通じて延在する。
【0014】
ポンプ20の動作中、空気は、ダクト24を通じてノズル25の方向に流される。ノズル25は、ノズル25の自由端26から出る空気流がランプ10に向かうように形成及び配置される。この構成の結果、冷却空気は、ポンプ20の動作中ランプ10の横を流れ、ランプ10は冷却される。
【0015】
ランプ10の温度が所定の最大値を超えることが許可されないという事実を考慮すると、ランプ10の冷却は必要である。冷却なしでは、単にランプ10がその動作中に多量の熱を発生するという事実のため、ランプ10の温度は高くなりすぎる。
【0016】
ランプ10及び冷却空気の流れを制御する目的のため、ドライバ30と、ダクト24に位置するオリフィス31と、2つの圧力センサ32、33とを有する制御ユニット3が設けられる。ランプ10及びポンプ20の動作中に、示されている制御ユニット3が働く態様が、以下の段落で説明される。
【0017】
ランプ10が動作するパワーは所定の値を持ってよいが、ランプ10は、異なった減光レベルが動作パワーの異なった値に対応するように、減光可能であってもよい。このような場合、ドライバ30は、ランプユニット1のユーザから生じる入力に基づいて、ランプ10が動作すべきパワーを決定する。ランプ10は、ドライバ30の第1のパワー出力部34に電気的に接続される。この構成では、ランプ10の動作パワー(の値)は、第1のパワー出力部34におけるパワーサプライ(の値)によって決定される。
【0018】
ランプ10の動作パワーが所定の値を持つならば、冷却空気の要求される所定の流速がドライバ30に設定される。ランプ10が減光可能なら、ドライバ30は、ランプ10の動作パワーのセットされた値に基づいて冷却空気の要求される流速を決定することができる。一般的に、動作パワーの値が高いほど、空気流の要求される値が高くなるということは真実である。
【0019】
空気流の値は、ポンプ20が動作するレベルに直接関係する。従って、ドライバ30は、冷却空気の要求される流速を、ポンプ20への要求されるパワーサプライに変換することができる。ポンプ20に実際にパワーを供給するため、ドライバ30は第2のパワー出力部35を有し、ポンプ20は、ドライバ30のこのパワー出力部35に電気的に接続される。
【0020】
ランプ10の温度が所定の限界の間で正確に維持されるべきであることは重要である。従って、冷却空気の流れが正確に制御されるべきことが重要である。この点について、冷却空気の実際の流速が冷却空気の要求される流速に対応するか否かチェックすることが好ましい。なぜなら、冷却空気の流速は、ポンプ20の性能だけでなく、例えば、圧力及び温度等の条件に依存する空気の密度によっても影響されるからである。圧力に関して、この条件は、ランプユニット1、冷却ユニット2及び制御ユニット3が適用される環境の高度に主に依存することが述べられる。比較的高い場所では、大気圧力の値は700mbarでありうる一方で、より低い場所では大気圧力の値は例えば1000mbarと大幅に高い。示される制御ユニット3は、ランプユニット1が位置する環境の条件の変化を補償するように設計される。冷却空気の実際の流速を決定することは、補償を実現するための主要な因子を構成する。
【0021】
ダクト24を通じる冷却空気の流速を測定することができる既知の流れメータは、冷却空気の実際の流速を決定するのに用いられることができる。しかし、CPランプ10を冷却する冷却空気の流速を測定するのには、既知の流れメータよりも正確なメータが好ましい。更に、既知の流れメータは、かなり大きくて高価である。この理由のため、本発明は、ダクト24を通じる冷却空気の実際の流速を決定する代替手法を提案する。
【0022】
本発明によれば、冷却空気の実際の流速は2つの圧力センサ32、33によって示されるデータから導き出され、ここで、1つの圧力センサ32は絶対圧力センサ32であり、他の圧力センサ33は相対圧力センサ33である。
【0023】
絶対圧力センサ32は、ダクト24中の絶対圧力測定位置27で空気圧の値を測定する。絶対圧力測定位置27は、ダクト24中の如何なる適切な位置であってもよいが、好適には、ノズル25に可能な限り近い。ポンプ20が動作していない場合、空気圧の測定された値は、高度によって主に影響される環境の大気圧の値に対応する。ポンプ20が空気流を生じている場合、空気圧の測定された値は、大気圧とダクト24における余分な圧力との合計に対応する。
【0024】
空気圧は温度及び空気密度に直接関係する。温度の影響が無視されてよいと仮定すると、空気密度は絶対圧力センサ32によって示される空気圧の値に基づいて決定されることができる。しかし、本発明の範囲内で、温度の影響を考慮することは可能である。制御ユニット3は、例えばサーモメータ、又は温度を測定するためのあらゆる他の手段を備えてよく、ドライバ30は、空気密度を決定するために温度測定の結果及び圧力測定の結果の両方を処理するように構成されてよい。
【0025】
相対圧力センサ33は、ダクト24の規定された狭窄を構成するオリフィス31におけるの圧力降下の値を測定する。圧力降下の値を測定する目的のため、相対圧力センサ33は、ダクト24における2つの圧力測定位置28、29に接続され、第1の相対圧力測定位置28がオリフィス31の上流にあり、第2の相対圧力測定位置29がオリフィス31の下流にある。冷却空気の流れの圧力は、オリフィス31によって、第1の相対圧力測定位置28から第2の相対圧力測定位置29に流れる間に圧力の値が低下するように影響される。
【0026】
圧力センサ32、33によって実行される圧力測定の結果は、オリフィス31を通じる冷却空気の流速に等しい、ダクト24を通じる冷却空気の流速を決定することを可能にする。オリフィス31を通じる冷却空気の流速は、オリフィスの両端での圧力差を空気密度によって除算した結果の平方根の関数である。上述のとおり、空気密度の値は、絶対圧力センサ32によって示される空気圧に基づいて決定されることができる。冷却空気の流速は、空気密度のこの値及びオリフィス31の両端での圧力降下の値から決定されることができる。
【0027】
有利には、絶対圧力センサ32は、該センサ32が空気流を発生させるためにポンプ20が活性化される前に測定を実行するように制御される。この初期測定の結果として発見される値は、環境の大気圧の値に対応する。この値はドライバ30に記憶され、相対圧力センサ33によって実行される測定の結果に基づいて実際の流速を決定するプロセスで用いられて空気密度の値を決定することが可能である。更に、冷却プロセスの最中に、ドライバ30は、圧力センサ32によって測定された空気圧の値から大気圧の記憶された値を減じることにより、過剰圧力の値を決定することができる。このようにして、冷却プロセスの開始時に、絶対圧力センサ32は、ダクト24中の冷却空気の実際の流れへの高度の影響を補償する役割を果たす一方で冷却プロセスの最中には、絶対圧力センサ32は、冷却ユニット2の状態のモニタリングにおいて役割を果たす。
【0028】
絶対圧力センサ32及び相対圧力センサ33を用いて冷却空気の流速を決定する上述の方法は、圧力センサ32、33が比較的安価で正確である点で有利である。この方法が適用される場合、冷却空気の実際の流速は、実際の流速が既知の流量計によって決定される場合よりも正確に決定される。本方法のアプリケーションは、冷却ランプの状況に制限されないことが理解されるであろう。むしろ、本方法は、流れの実際の値が決定されなければならないあらゆる状況に適用可能である。
【0029】
絶対圧力センサ32の使用の重要な利点は、ダクト24における漏れ又はノズル25とダクト24との間の接続の欠如を検出するのが可能であるということである。後者の状況は、例えばランプユニット1がユーザによって取り替えられたときに起こりうる。絶対圧力センサ32によって測定される圧力の値の偏差、即ち予測よりも低い値は、空気がダクト24から逃げていることの表示である。ダクト24又はノズル25の遮断を検出することも、このような状況では絶対圧力センサ32によって測定される圧力の値が予測されるよりも高くなるので、可能である。
【0030】
図1に示される構成では、圧力センサによって実行される圧力測定の結果はドライバ30に伝送される。ドライバ30は、絶対圧力センサ32によって測定された圧力の値を表す信号を受信するための第1の信号入力部36を有する。ドライバ30は、比較圧力センサ33によって測定される圧力差の値を表す信号を受信するための第2の信号入力部37を有する。
【0031】
ドライバ30は、圧力センサ32、33によって実行される測定の結果を処理するように、また、ダクト24を通じる冷却空気の実際の流速を決定するように、設計される。有利には、ドライバ30は、絶対圧力センサ32によって測定される空気圧の値が動作値の通常範囲内であるか否かをチェックするようにも設計される。このような場合、ドライバ30は、空気圧の測定された値が動作値の通常範囲外であると発見されたら、警告信号を生じるように、及び/又は、ランプ10の動作を、場合によっては冷却ユニット2の動作も、停止するように、設計されてよい。
【0032】
ポンプ20の動作パワーの要求される値を決定するために、ドライバ30は、ダクト24を通じる冷却空気の実際の流速を、ダクト24を通じる冷却空気のランプ10の動作パワーに基づいて要求される流速と比較するように設計される。比較された値が同一か又は許可される程度までしか逸脱しない場合、第2のパワー出力部35でポンプ20に供給されるパワーの値が維持される。比較される値の間に大きすぎる差が見つかったら、第2のパワー出力部35でポンプ20に供給されるパワーの値は、差を解消するように調整される。
【0033】
好適には、ランプ10が燃焼している限り、冷却空気の決定される実際の流速を冷却空気の要求される値と比較するプロセスは、連続的に実行される。ランプ10はCPランプなので、冷却空気の流れが正確に制御されることは重要である。冷却空気の流速が、かなりの期間に亘って、ランプ10の動作パワーに基づいて要求される値から大きく逸脱しすぎると、ランプ10の性能及びランプ10自体が悪影響を受ける。このような状況は、ランプ10の完全な故障にさえもつながる可能性がある。
【0034】
絶対圧力センサ32が圧力の可能な値の完全な範囲を示すことができ、該範囲は何百ミリバールもカバーすることが重要である。更に、相対圧力センサ33がオリフィス31両端での圧力降下の値を正確に測定することが可能であることが重要である。圧力降下の変化は、ダクト24中の空気圧の変化よりも大幅に小さいので、相対圧力センサ33は、比較的狭い範囲の値を示すように設計されても十分である。この結果、相対圧力センサ33は、正確性に関する要件を満たすことができる可能性が非常にあり、これは、冷却空気の流れが相対圧力センサ33によって実行される圧力測定の結果に基づいて直接制御されるという事実を考慮すると有利である。
【0035】
本発明は、動作期間の開始時にダクト24及びノズル25の状態をチェックする可能性を提供する。このようにして、安全性は高められることができる。なぜなら、圧力値が絶対圧力センサ32で測定される許容範囲内であるまでランプ10に点火しないことがオプションであるからである。
【0036】
ランプ10の動作パワーの値と、ダクト24を通じる冷却空気の要求される流れとの間の関係は、ランプ10の特性に主に依存する。ランプ10が減光可能であれば、前記関係がドライバ30において設定されることができる形状に関する幾つかのオプションがある。本発明の範囲内において、どの形状が適用されるかは重要でない。例えば、前記関係は表としてドライバ30に設定されてよく、前記表からドライバ30が外挿法によって値を導出することができる。
【0037】
ドライバ30の重要な一側面は、制御ユニット3のこの部品が、ランプ10及びポンプ20へのパワーサプライを制御するように設計されるということである。このようにして、ポンプ20へのパワーサプライをランプ10へのパワーサプライと関連させることが可能である。
【0038】
制御ユニット3の有利な側面は、空気圧及び冷却空気の流れを決定することができることである。このようにして、空気圧を決定すること及び冷却空気の流れを決定することの利点が組み合わせられる。空気圧を決定することは、ダクト24における漏れ又は遮断の存在、又は、ノズル25とダクト24との間の接続の欠如を明らかにする一方で、流れを決定することは、ランプ10の冷却プロセスの特性を明らかにする。本発明の範囲内で、冷却空気の流量を測定するために流量計だけを用いることは可能であるが、このような場合には、ダクト24及びノズル25の状態に関する情報はない。
【0039】
ランプユニット1、冷却ユニット2及び制御ユニット3が器具に構成されてもよいことは理解されるであろう。このような器具は、例えば、ムービングヘッド器具であってもよい。更に、ランプユニット1、冷却ユニット2及び制御ユニット3は、CPランプが有利に適用される如何なる装置(例えばプロジェクタ)の一部であってもよい。
【0040】
当業者には、本発明の範囲が、上述の例に限定されるのではなく、その変形及び修正が、添付の請求項に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、可能であることが明らかであろう。
【0041】
例えば、示される例におけるようにただ1つのノズル25の代わりに、複数のノズル25が設けられてもよい。複数のノズル25が設けられたら、ランプユニット1のリフレクタ11が複数の穴を有することが理解されるであろう。複数のノズル25の使用が、全ての側が同時に冷却されることができるように、ランプ10の異なった側を冷却する有利な可能性を提供するか、又は、一時に1つのノズル25が、ランプの他方の側よりも熱いランプの上側を構成する、ランプ10の一方の側を冷却するのに、用いられることができる。後者のオプションは、ランプ10が移動される状況において重要であり、この結果、ランプ10の上側を構成する方の側は、常に同一ではない。
【0042】
複数のノズル25が用いられる状況では、ダクト24は、冷却空気が流れる方向に見て測定位置27、28、29の後ろで分かれるように設計されることができる。このような構成では、絶対圧力センサ32及び相対圧力センサ33の1つの組を適用するので十分である。ダクト24の異なった分岐路の状態をモニタリングするため、制御可能な空気スイッチ等が、チェックされている1つの分岐以外の全ての分岐を一時的にブロックするために用いられることができる。
【0043】
他の可能性は、各ノズル25が個々のダクト24に接続され、各ダクト24は、絶対圧力センサ32及び相対圧力センサ33の個々の組に関連する、ということである。このような構成では、個々のダクト24の冷却空気の流量が、個別にチェックされて制御されてもよい。
【0044】
複数のノズル25が適用される場合、冷却ユニット2及び制御ユニット3のデザインに多くの可能性があること、及び、上記段落におけるこれらの可能性のうちの2つへの言及は、制限的な効果を持つことを意図されないことが理解されるであろう。
【0045】
示されるランプ10はCPランプであるが、このことは、ランプが動作中に冷却されなければならないあらゆる適切なランプであることができないことを意味しない。どんな場合でも、ランプ10は、如何なる種類のHPランプであってもよい。
【0046】
要約すると、冷却媒体の流れを発生させるためのポンプ20を持つ冷却ユニット2が、動作中にランプユニット1のハイパワーランプ10を冷却するために設けられ、ここでランプ10が減光可能でありうる。冷却媒体の流速は、冷却ユニット2のポンプ20へのパワーサプライと、ランプユニット1のランプ10へのパワーサプライとの両方を制御するためのドライバ30を有する制御ユニット3によって制御される。制御ユニット3のドライバ30は、ランプ10の動作パワーに基づいて冷却媒体の要求される流速を決定するように設計される。
【0047】
制御ユニット3は、冷却媒体の流れの圧力を示すための絶対圧力センサ32と、オリフィス31の両端での冷却媒体の流れの圧力降下を示すための相対圧力センサ33とを有する。制御ユニット3のドライバ30は、示された流れ圧力及び示された圧力降下を、冷却媒体の実際の流速を決定するために処理するように設計される。冷却媒体の流速は、冷却媒体の実際の流速と冷却媒体の要求される流速との一致を得るためのポンプ20へのパワーサプライの調整によって正確に制御される。
【0048】
本発明の範囲内で、制御ユニット3は、種々の手法で構成されることができる。制御ユニット3は、図1に示されるような絶対圧力センサ32、相対圧力センサ33及びオリフィス31を必ずしも有する必要はない。以下の段落では、制御ユニット3の多くの可能な別の実施例が議論される。
【0049】
比較的単純な実施例では、制御ユニット3は、ドライバ30しか有さず、該ドライバ30は、第1のパワー出力部34でランプユニット1に接続され、第2のパワー出力部でポンプ20に接続される。この実施例において、ドライバ30は、ランプ10及びポンプ20の両方に、それぞれ所定の値を持つパワーを供給するように設計されることができる。本発明の重要な一側面によれば、ポンプ20のパワーの値は、冷却空気の発生された流れによってランプ10の温度が所定の最小値と所定の最大値との間に保持されることができるように選択される。従って、ポンプ20へのパワーサプライの値は、大気圧等の環境条件の平均値を仮定して、ランプ10の動作パワーの値に基づいて決定される。センサ32、33の欠如により、冷却空気の得られる流速についてのフィードバックは供給されることができず、環境条件の変化を補償することが可能でない。更に、冷却ユニット2の条件をチェックすることが可能でない。ランプ10が減光可能なら、ドライバ30は、ランプ10及びポンプ20のパワーの値の少なくとも2つの組合せを含み、ポンプ20へのパワーサプライの適当な値は、ランプ10のセット動作パワーに基づいて見つけられる。
【0050】
図1に示される実施例に対して修正された他の代替実施例において、制御ユニット3は、絶対圧力センサ32の代わりに過剰圧力センサを有する。この実施例は、過剰圧力センサで測定される過剰な圧力の値に基づいて冷却ユニット2の状態をチェックすることの可能性を提供する。しかし、大気圧に関する情報が過剰圧力センサから得られることができないので、制御ユニット3は、冷却空気の流速への大気圧の値の変化の影響を補償することができない。制御ユニット3のこの実施例が適用される状況では、冷却空気の実際の流速は、相対圧力センサ33によって測定される圧力降下及びドライバ30に設定される空気密度の所定の値に基づいて決定される。好適には、空気密度の所定の値は、例えば950mbar〜1050mbarの如何なる値であってもよい大気圧の平均値に基づく。
【0051】
図1に示される実施例に対して修正された更に他の代替実施例では、制御ユニット3は、絶対圧力センサ32の代わりに過剰圧力センサを有するが、オリフィス31及び相対圧力センサ33は有さない。この実施例では、制御ユニット3は、冷却空気の流れの過剰圧力の値を測定することしかできない。この値に基づいて、冷却ユニット2の状態の表示を得ることが可能である。更に、これは明確な特性を持つノズル25の過剰圧力に関連するので、実際の流速の表示を得ることも可能である。しかし、環境条件に関する情報を得ることは可能でなく、実際の流速は、非常に正確には決定されることができない。
【0052】
図1に示される実施例に対して修正された更に他の代替実施例において、制御ユニット3は、ドライバ30、オリフィス31及び相対圧力センサ33を有するが、絶対圧力センサ32は有しない。絶対圧力センサ32の欠如のため、冷却ユニット2の状態をチェックすることは可能でない。更に、環境条件の変化を補償することは可能でない。代わりに、空気密度の所定の値がドライバ30に設定され、これが、ポンプ20によって発生される冷却空気の実際の流速を計算するのに用いられる。上述のとおり、空気密度の所定の値は、例えば950mbar〜1050mbarのいかなる値であってもよい大気圧の平均値に基づいてよい。
【0053】
図2に示される更に他の代替実施例において、制御ユニットは、ドライバ30、オリフィス31及び相対圧力センサ33を有し、先の段落において説明された実施例のような絶対圧力センサ32を有しない。しかし、この実施例によれば、切換弁38を通じて、相対圧力センサ33の一方の側は第1の圧力測定位置28に接続され、他方の側は第2の圧力測定位置29に接続される。この切換弁38は、相対圧力センサ33を第2の圧力測定位置29に接続するか、又は、大気圧が支配的な環境に接続するか選択することを可能にする。切換弁38は、その位置を連続的に交互に変えるように制御されてよく、このため相対圧力センサ33は交互に変わる態様で適用されることができる。相対圧力センサ33は、第2の圧力測定位置29に接続されるとオリフィス31の両端での圧力降下を決定することができ、環境に接続されると、これは、過剰圧力を決定することができる。このようにして、相対圧力センサ33のみを有する制御ユニット3のこの実施例は、上記で更に説明された相対圧力センサ33に加えて過剰圧力センサを有する制御ユニット3の実施例として機能することができる。
【0054】
図3に示される更に他の代替実施例において、制御ユニット3は、ドライバ30及び絶対圧力センサ32を有するが、オリフィス31及び相対圧力センサ33は有さない。絶対圧力センサ32は、空気流を発生するようにポンプ20が活性化される前に、動作期間の最初に測定を実行するように制御される。このようにして、環境の大気圧の値が見つけられ、ドライバ30に記憶される。冷却プロセスの最中に、ドライバ30は、絶対圧力センサ32により測定される空気圧の値から大気圧の記憶された値を減じることにより、過剰圧力の値を決定することができる。更に、上述のとおりドライバ30は、実際の流速は明確な特性を持つノズル25のための過剰な圧力の値に関連するという事実を考慮して、ダクトにおける冷却空気の実際の流速を計算することができる。プロセス中で、絶対圧力センサ32は大気圧の値を各冷却プロセスの開始時に決定することができ、ドライバ30は、大気圧の測定された値に基づいて空気密度の値を決定することができるので、実際の流速への高度の影響を補償することが可能である。更に、絶対圧力センサ32により測定される圧力値から、冷却ユニット2の状態に関連する情報を導出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ランプと、前記ランプを冷却するための冷却ユニットと、前記ランプ及び前記冷却ユニットを制御するための本発明の第1の好適な実施例による制御ユニットとを持つランプユニットを図式的に示す。
【図2】図1に示されるランプユニット及び冷却ユニット並びに本発明の第2の好適な実施例による制御ユニットを図式的に示す。
【図3】図1に示されるランプユニット及び冷却ユニット並びに本発明の第3の好適な実施例による制御ユニットを図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ、特にハイパワーランプの冷却プロセスを制御する方法であって、前記冷却プロセスは前記ランプの横を流れる冷却媒体によって起こり、前記冷却媒体の実際の流速は、前記ランプの動作パワーに関連する要求される値に等しくなるように制御される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
a)前記冷却媒体の前記実際の流速を決定するステップと、
b)ステップa)の最中に決定された前記冷却媒体の前記実際の流速を前記冷却媒体の要求される流速と比較するステップと、前記冷却媒体の前記実際の値と前記要求される流速との間の差が見つかったら、
c)前記冷却媒体の前記実際の流速を、前記冷却媒体の前記要求される流速に等しくなるように調整するステップと、
を有する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記冷却媒体の流速は、ステップa)の最中の前記冷却媒体の前記実際の流速を決定するプロセス中に直接測定される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、ステップa)の最中に前記冷却媒体の前記実際の流速を決定するために、前記冷却媒体の前記流れの少なくとも1つの圧力特性が測定される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記冷却媒体の前記流れの中に位置するオリフィスの両端での前記冷却媒体の圧力降下が測定される、方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法において、環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力が測定される、方法。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の方法において、前記冷却媒体の圧力が測定され、該圧力は環境大気圧と前記環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力との合計である、方法。
【請求項8】
請求項4に記載の方法において、前記冷却媒体の前記流れの中に位置するオリフィスの両端での前記冷却媒体の圧力降下と環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力とが交互に測定される、方法。
【請求項9】
−ランプ、特にハイパワーランプを有するランプユニットと、
−動作中に前記ランプを冷却するための冷却ユニットと、
−前記ランプユニットへのパワーサプライ及び前記冷却ユニットへのパワーサプライの両方を制御するための制御ユニットと、
を有する装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記冷却ユニットは、冷却媒体の流れを発生させるためのポンプ手段及び前記冷却媒体の前記流れを前記ランプの方に向けるための方向決め手段を有し、前記制御ユニットは、前記冷却媒体の実際の流速を決定するための流れ決定手段を有する、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記流れ決定手段は、前記冷却媒体の前記流れの少なくとも1つの圧力特性を示すための少なくとも1つの圧力センサを有する、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記流れ決定手段は、
−前記冷却媒体の流れの中に位置するオリフィスと、
−前記オリフィスの両端での前記冷却媒体の前記流れの圧力降下を示すための相対圧力センサと、
を有する、装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の装置において、前記流れ決定手段は、環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力を示すための過剰圧力センサを有する、装置。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の装置において、前記流れ決定手段は、前記冷却媒体の前記流れの圧力を示すための絶対圧力センサを有し、前記圧力は、環境大気圧と前記環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力との合計である、装置。
【請求項15】
請求項11に記載の装置において、前記流れ決定手段は、
−前記冷却媒体の流れの中に位置するオリフィスと、
−相対圧力センサであって、該相対圧力センサの一方の側は、前記冷却媒体が流れる方向に見て、前記オリフィスの上流で第1の相対圧力測定位置に接続されている、相対圧力センサと、
−前記相対圧力センサの他方の側を、前記オリフィスの両端での前記冷却媒体の前記流れの圧力降下を示すために、前記冷却媒体が流れる方向に見て前記オリフィスの下流の第2の相対圧力測定位置に、そして、環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力を示すために、前記冷却媒体の前記流れの外の位置に、交互に接続する制御可能なスイッチ手段と、
を有する、装置。
【請求項16】
請求項11乃至15の何れか1項に記載の装置において、前記制御ユニットは、前記ランプ及び前記少なくとも1つの圧力センサに接続されたドライバを有し、前記ドライバは、前記冷却ユニットへのパワーサプライを、前記ランプへのパワーサプライと前記少なくとも1つの圧力センサによって示される前記冷却媒体の前記流れの少なくとも1つの圧力特性とに基づいて決定するように設計される、装置。
【請求項17】
請求項13及び14に従属する請求項16に記載の装置において、前記ドライバは、前記圧力センサによって示される前記冷却媒体の前記流れの前記圧力特性の値が所定の範囲内であるか否かチェックし、前記圧力センサによって示される前記冷却媒体の前記流れの前記圧力特性の前記値が前記所定の範囲外であると検出されたら前記ランプへの前記パワーサプライを止めるように設計される、装置。
【請求項18】
請求項15に従属する請求項16に記載の装置において、前記ドライバは、前記圧力センサによって示される前記冷却媒体の前記流れの前記過剰圧力の値が所定の範囲内であるか否かチェックし、前記圧力センサによって示される前記冷却媒体の前記流れの前記過剰圧力の前記値が前記所定の値の範囲外であると検出されたら前記ランプへの前記パワーサプライを止めるように設計される、装置。
【請求項19】
請求項9乃至18の何れか1項に記載の装置を有するプロジェクタ。
【請求項20】
請求項9乃至18の何れか1項に記載の装置を有するムービングヘッド器具。
【請求項21】
ランプを有するランプユニットへのパワーサプライ及び動作中に前記ランプを冷却するための冷却ユニットへのパワーサプライの両方を制御するためのドライバであって、前記冷却ユニットの前記動作パワーの要求される値と前記ランプの前記動作パワーとの間の関係は、前記ドライバ中に定められている、ドライバ。
【請求項22】
請求項21に記載のドライバにおいて、前記冷却ユニットの前記動作パワーの値を前記冷却媒体の実際の流速にも基づいて決定するように設計されるドライバ。
【請求項23】
請求項22に記載のドライバにおいて、前記冷却媒体の実際の流速を前記冷却媒体の前記流れの少なくとも1つの圧力特性の値に基づいて計算するように設計されるドライバ。
【請求項24】
請求項23に記載のドライバにおいて、前記冷却媒体の前記流れの前記圧力特性の前記値が所定の範囲内であるか否かチェックし、前記冷却媒体の前記流れの前記圧力特性の前記値が前記所定の範囲外であると検出されたら前記ランプへの前記パワーサプライを止めるように設計されるドライバ。
【請求項25】
ダクトを通じる冷却媒体の流れの値を決定する方法であって、前記冷却媒体の圧力の値を測定するステップを有し、前記圧力は、環境大気圧及び前記環境大気圧に対する前記冷却媒体の前記流れの過剰な圧力の合計である、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、更に、
−前記冷却媒体の流れの中に位置するオリフィスの両端での前記冷却媒体の圧力降下の前記値を測定するステップと、
−前記冷却媒体の前記圧力の前記測定された値に基づいて前記冷却媒体の密度の値を決定するステップと、
−前記冷却媒体の前記密度及び前記オリフィスの両端での前記冷却媒体の前記流れの前記圧力降下の前記測定された値の前記決定された値に基づいて前記冷却媒体の前記流速を決定するステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514270(P2007−514270A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530790(P2006−530790)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050621
【国際公開番号】WO2004/102068
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】