説明

ハイヒール用の機能性中敷

【課題】ハイヒール用の機能性中敷を提供する。
【解決手段】ハイヒールのようにかかとの高い靴に使用される中敷において、基本的な形をなすフレームの上面にポリウレタンを射出してクッション層を形成し、足裏のアーチ部に対応する部分を凸状にしてアーチ支持部を形成し、足指骨と中足骨との間に形成される凹溝に対応する部分には第1突出リブを形成し、第1突出リブとアーチ支持部との間には第2突出リブを形成することによって良い履き心地を提供することを特徴とするハイヒール用の機能性中敷である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に使用される中敷に係り、さらに詳細には、ハイヒールのようにかかとが高く、前足部に荷重が集中する靴に使用される靴用の中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、足を保護する次元を越えて、各種の機能を有したり、特殊な用途に適するように設計される靴が提供されている。代表的には、運動の効果を高める靴、糖尿病の患者に適する靴、特殊な運動に使用される靴などがある。
【0003】
直立歩行する人間にとって足は、身体の荷重を支える役割を行う以外、足を第2の心臓と呼ぶほど重要な身体部位である。靴の履き心地が悪ければ、疲れを感じやすくなり、それによる多様な疾病が発生する。
【0004】
特に、女性には、足の変形による問題点が発生しうるが、その理由は、女性は、男性とは異なり、かかとの高いハイヒールのような靴をよく履くためである。ハイヒールのようなかかとの高い靴を履けば、女性の美しさがさらに強調されうるため、多くの若い女性たちはハイヒールを好む。しかし、ハイヒールを履けば、足指がアーチ状に変形するが、これは、重さの中心がハイヒールの前部に集中して、足指が曲がるためである。また、そのような現象が募れば、足指の筋が変形して収縮し、足指の形が正常にならない。そして、ハイヒールを長時間履けば、初期には疲れを早く感じたり、精神集中力が低下する症状を示し、それがひどくなれば、腰痛、関節炎、椎間板ヘルニア(herniated disk)、血液循環系の問題を引き起こす。
【0005】
ハイヒールを履くこと自体が、一般的な人間の歩行姿勢とは異なるため、前記のような多くの問題点を伴う。足の健康を維持するためには、ヒールの低い靴を履くことが好ましいが、女性にとってハイヒールは、必要悪になっているのが実情である。このような状況から、ハイヒールを履くときに履き心地がよく、足が変形するような問題点を最小化することができる方法が要求される。
【0006】
すなわち、前足部への荷重の集中を緩和させることができると同時に、積極的に良い履き心地を誘導するように構成されるハイヒールの必要性が高い。ハイヒールを履くにあたって、履き心地を人為的に高めうる方法としては、足裏の湧泉穴を積極的に刺激する方法がある。
【0007】
湧泉穴は、足裏のアーチ部をなす凹部に該当し、前記湧泉穴を刺激すると、心臓の活動を安定させ、高血圧または腰痛、喘息などにも非常に効果があると知られている。
【0008】
本発明に関連する従来の技術としては、特許文献1の「足の滑り及び荷重の集中を防止するための靴及び中敷」があり、図1は、前記従来の技術に係る一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、前記従来の技術では、中敷11は、伸縮可能なシート13の上面に等間隔で滑り止め用部材12が複数個形成され、前記滑り止め用部材12は、靴の幅方向に長く形成される。前記従来の技術では、中敷の上面において足裏が接触する部分に、特別な条件なしに一直線の滑り止め用部材12が洗濯板状に形成されて、滑りや傾きを防止するように構成される。
【0009】
特に、平地を歩くときにも前方に荷重が集中するハイヒールのような靴においては、前記従来の技術に記述された滑り止め用部材の正確な位置の選定及び個数が重要であり、歩くときに良い履き心地を誘導するように湧泉穴を刺激することができる方法が要求される。
【0010】
そして、一般的なハイヒールのような靴に使用される中敷の場合、紙材からなるテクション1と呼ばれるもので薄く全体的に形成し、前記テクション1の下部に鉄心2を中足骨からかかとまで備えることによって靴の外形を維持させる。図2は、概略的な従来のハイヒールに使用される中敷の構成を示す斜視図である。前記鉄心2の下部には、一つの底板3がさらに備えられ、前記テクション1と底板3との間に鉄心2が備えられる。前記底板3も紙材からなる。そのように構成される中敷は、クッション能が全くないため、衝撃が足裏にそのまま伝達されて、足の痛みや疲れ感を感じやすくなる。以下、前記テクション1、鉄心2及び底板3からなる従来のハイヒール用中敷を「フレームf」と称す。
【0011】
ハイヒールのような靴は、その形態的な特異性から、着用者は必然的にひどい痛みや足指の変形のような問題点を経験し、そのような問題点がさらにひどくなれば、手術を受けなければならない場合も発生する。より良い履き心地の提供は、身体全般に対する健康維持に寄与することができるため、それについての研究が持続されねばならず、十分な需要がある限り、無限な可能性を持つ分野であると言えるであろう。
【特許文献1】韓国実用新案出願第20−2006−0005615号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ハイヒールのようにかかとの高い靴に使用される中敷であって、フレームの上面にポリウレタンを射出してクッション層を形成し、前記クッション層には、特殊な機能を有するアーチ支持部及び二つの突出リブを形成して、歩行時に積極的に湧泉穴を刺激するようにし、また二つの突出リブによって足裏の位置を決めうる中敷を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明は、ハイヒールのようにかかとの高い靴に使用される中敷において、基本的な形をなすフレームの上面にポリウレタンを射出してクッション層を形成し、足裏のアーチ部に対応する部分を凸状にしてアーチ支持部を形成し、足指骨と中足骨との間に形成される凹溝に対応する部分には第1突出リブを形成し、前記第1突出リブと前記アーチ支持部との間には第2突出リブを形成することによって良い履き心地を提供することを特徴とするハイヒール用の機能性中敷を提供する。
【0014】
前記第1突出リブは、実際凹溝のように「へ」状を有し、前記第2突出リブは、曲がった形状を有しうる。
【0015】
また、前記アーチ支持部には、左右側面に貫通する一つ以上の貫通孔が形成されうる。
【0016】
さらに、前記第1突出リブ及び第2突出リブには、上部から長手方向に陥没する複数のスロットが形成されうる。
【0017】
さらに、前記スロットには、前記突出リブをなす材質より軟質または硬質である異種の材質からなる補助突出リブが結合されうる。
【0018】
さらに、前記アーチ支持部は、前記貫通孔と連結されて、アーチ支持部の上面に開口される空気排出孔が備えられうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る靴用の中敷は、ハイヒールのような靴に適用されて、足裏に加えられる衝撃を緩和させ、湧泉穴を刺激して、より良い履き心地はもとより、身体全般の機能を高め、また足が前方に滑ることによって誘発される足指の変形のような問題点を緩和させることができる。
【0020】
さらに、空気の循環を誘導して、足の健康や快適さの維持にも寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るハイヒール用の機能性中敷(以下、「機能性中敷」と言う)についてさらに詳細に説明する。
【0022】
特に、注目する事項として、本発明は、前述の従来の技術と異なり、ハイヒールのようなかかとの高い靴に使用される中敷に適用される技術であって、靴の着用時に複合的に履き心地を最大限高めうるように構成されるところに差をつける。そして、図3は、足の構造を示す構造図である。
【実施例1】
【0023】
本発明に係る機能性中敷を説明するにあたって、好ましい実施形態を示す関連図面を参照する。図4は、第1実施形態に係る機能性中敷の概略的な斜視図であり、図5は、靴の着用時の状態を示す概略的な側面図であり、図6は、機能性中敷がハイヒールに結合された状態を示す斜視図である。
【0024】
図4ないし図6に示すように、本発明の機能性中敷は、かかとの高いハイヒールのような靴に適用されるものであって、中敷としての基本的な形をなすフレームfの上面にクッション層100が形成される。前記クッション層100は、ポリウレタンのような材質を射出成形することによって形成され、このようなクッション層100は、そのものに高い弾性があり、衝撃吸収機能を有する。前記フレームfは、前述の従来の技術のように、従来、ハイヒール用の中敷として使用されている薄くかつ硬い構造物を意味する。
【0025】
ハイヒールのようにかかとの高い靴は、かかとが高いため、荷重が足指側に集中する傾向があり、それによって多くの問題点が発生する。本発明に係る機能性中敷の場合、そのような問題点に対応するように、通常のフレームfの上面全体にクッション層100を備えるが、前記クッション層100には、特殊な機能を有するアーチ支持部110及び二つの突出リブ(第1突出リブ120及び第2突出リブ130)が備えられる。
【0026】
前記アーチ支持部110は、足裏のアーチ部に存在する湧泉穴を刺激するように備えられるものであって、前記足裏のアーチ部に対応する位置に凸状に形成される。前記アーチ支持部110は、足裏のアーチ部と類似するように緩やかな曲率をなして、着用時に足裏のアーチ部とアーチ支持部とが接触する。
【0027】
そして、前記アーチ支持部110より前方に二つの突出リブがさらに備えられるが、前記アーチ支持部110から足の前部に向かって第2突出リブ130及び第1突出リブ120が順次に形成される。前記第1突出リブ120及び第2突出リブ130は、相互所定間隔で隔離しており、所定の空間を形成する。さらに具体的には、第1突出リブ120は、足指骨と中足骨との間に形成される凹溝hに対応する位置に形成され、第2突出リブ130は、第1突出リブ120とアーチ支持部110との間に形成される。図4に示すように、本発明に係る機能性中敷を採択した靴を履けば、前記第1突出リブ120と第2突出リブ130との間に形成される空間に、足裏を構成するアーチ部と前記凹溝との間に凸状に形成される一部の区間が位置し、それによって、足が前方に滑ることを緩和させることができる。また、突出した第1突出リブ120及び第2突出リブ130は、接触する足裏を指圧する機能を同時に行う。
【0028】
特に、前記第1突出リブ120及び第2突出リブ130を構成するにあたって、前記第1突出リブ120は、足裏に形成される凹溝の実際の形状と類似した「へ」状に形成されることが好ましく、第2突出リブ130は、曲がった形状に形成されることが好ましい。
【0029】
そして、前記第1突出リブ120及び第2突出リブ130は、その断面が半円形を有するか、または上端が尖った三角形などの形状を有するように形成されることができる。前記第1突出リブ120は、第2突出リブ130のような曲がった形状に形成されることも可能である。
【実施例2】
【0030】
以下、本発明の第2実施形態に係る機能性中敷について説明する。図7は、機能性中敷の概略的な斜視図である。
【0031】
図7に示すように、第2実施形態は、第1実施形態を基にするが、前記第1突出リブ120及び第2突出リブ130に複数の陥没したスロットsが備えられることを特徴とする。前記スロットsは、上部から陥没して長手方向に形成され、それによって、第1突出リブ120及び第2突出リブ130は連続的な凹凸を形成する。
【0032】
さらに好ましくは、前記第1突出リブ120及び第2突出リブ130に形成されるスロットsに、異種の材質からなる補助突出リブ140をさらに備えることが好ましい。前記補助突出リブ140は、第1突出リブ120または第2突出リブ130と同じ高さに形成されてもよく、場合によっては、補助突出リブ140をさらに高く形成してもよい。そして、前記補助突出リブ140の材質は、第1突出リブ120または第2突出リブ130をなす材質とは異なり、さらに硬質なもの、または軟質なものから形成することが好ましい。
【0033】
前記第1突出リブ120及び第2突出リブ130に陥没した複数のスロットsを形成すれば、足裏と接触するときに足裏が滑ることをより確実に緩和させることができ、また指圧の効果も向上させることができる。また、スロットsを通って通気が行われうるため、足を快適に維持することができる。そして、前記スロットsに補助突出リブ140を備えることによって、材質の差または高さの差による利点を得ることができる。
【実施例3】
【0034】
本発明の第3実施形態に係る機能性中敷について説明する。図8は、第3実施形態に係る機能性中敷の概略的な斜視図である。
【0035】
第3実施形態での機能性中敷は、第1実施形態を基にして、前記アーチ支持部110に複数の貫通孔115を備えることを特徴とする。図8に示すように、クッション層100に形成されるアーチ支持部110は、他の部位より厚く、前記アーチ支持部110の左右側面には、一つ以上の貫通孔115が備えられるように構成する。
【0036】
前記貫通孔115は、円形または楕円形の断面を有するように構成されうるが、それらに制限されるものではなく、多様な断面の形状を有しうる。そして、前記アーチ支持部110の左右側面には、一つの貫通孔115が形成されてもよく、小さなサイズの貫通孔115が複数個形成されてもよい。
【0037】
本発明での機能性中敷は、ポリウレタンからなるクッション層100によって衝撃吸収機能を有するが、それに加え、アーチ支持部110に貫通孔115を備えることによって緩衝効果をさらに高めることができる。もちろん、前記アーチ支持部110は足裏と接触するため、湧泉穴を刺激することができる。
【0038】
第3実施形態に係る機能性中敷を構成するにあたってさらに好ましくは、前記アーチ支持部110に左右貫通する貫通孔115を備えるが、前記貫通孔115から前記アーチ支持部110の上面に開口される複数の空気排出孔116を備える。前記アーチ支持部110に備えられる貫通孔115は、着地時には荷重を受けて収縮してポンピング機能を行うことができる。したがって、前記アーチ支持部110の上面と貫通孔115とを連結する空気排出孔116を備えることによって、貫通孔115に存在する空気が空気排出孔116を通じて足裏に排出されうるため、空気循環機能を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る機能性中敷は、かかとの高い女性用ハイヒールのような靴に適用されて、より良い履き心地を提供することができ、足の変形のような問題点を緩和させうるため、かかとの高いハイヒール類、サンダル類などに利用される可能性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来の技術に係る靴用の中敷及び靴を示す斜視図である。
【図2】従来のハイヒールに使用される中敷の構成を示す斜視図である。
【図3】足の構造を示す構造図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る機能性中敷の概略的な斜視図である。
【図5】靴の着用時の状態を示す概略的な側面図である。
【図6】機能性中敷がハイヒールに結合された状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る機能性中敷の斜視図である。
【図8】第3実施形態に係る機能性中敷の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
100 クッション層
f フレーム
110 アーチ支持部
115 貫通孔
116 空気排出孔
120 第1突出リブ
130 第2突出リブ
140 補助突出リブ
s スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイヒールのようにかかとの高い靴に使用される中敷において、
基本的な形をなすフレームの上面にポリウレタンを射出してクッション層を形成し、足裏のアーチ部に対応する部分を凸状にしてアーチ支持部を形成し、足指骨と中足骨との間に形成される凹溝に対応する部分には第1突出リブを形成し、前記第1突出リブと前記アーチ支持部との間には第2突出リブを形成することによって良い履き心地を提供することを特徴とするハイヒール用の機能性中敷。
【請求項2】
前記第1突出リブは、実際凹溝のように「へ」状を有し、前記第2突出リブは、曲がった形状を有することを特徴とする請求項1に記載のハイヒール用の機能性中敷。
【請求項3】
前記アーチ支持部には、左右側面に貫通する一つ以上の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイヒール用の機能性中敷。
【請求項4】
前記第1突出リブ及び第2突出リブには、上部から長手方向に陷沒する複数のスロットが形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイヒール用の機能性中敷。
【請求項5】
前記スロットには、前記突出リブをなす材質より軟質または硬質である異種の材質からなる補助突出リブが結合されることを特徴とする請求項4に記載のハイヒール用の機能性中敷。
【請求項6】
前記アーチ支持部は、前記貫通孔と連結されて、アーチ支持部の上面に開口される空気排出孔が備えられることを特徴とする請求項3に記載のハイヒール用の機能性中敷。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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