説明

ハイブリッド式自動二輪車

【課題】本発明は、車体フレームの前部にハイブリッド式駆動源を搭載するスクータではない自動二輪車の形態において、車両のバンク角が十分に確保されるようにしながら、所望のモータを設計することが容易なハイブリッド式自動二輪車を提供することを課題とする。
【解決手段】ハイブリッド式自動二輪車10は、エンジン43とモータ44とからなるパワーユニット42で駆動されており、エンジン43のクランク軸118は、車体の長手方向に指向するように配置され、前輪38に近い方の前側軸端部144にモータ44が備えられている。このモータ44は、磁石201を有し、クランク軸118と一体に回転するインナーロータ部202と、このインナーロータ部202の径方向外方に設けられているアウターステータ部204と、から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド式自動二輪車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンとモータとからなるハイブリッド式駆動源で駆動されるハイブリッド式自動二輪車が知られている(例えば、特許文献1(図1、図2)参照。)。
【0003】
特許文献1の図1において、スクータ型自動二輪車の車体フレーム(F)(括弧付き数字は、特許文献1記載の符号を示す。以下同じ。)に、ハイブリッド式パワーユニット(P)が揺動可能に支持されている。
【0004】
特許文献1の図2において、ハイブリッド式パワーユニット(P)は、車体後方のスイングアームと一体に揺動自在に設けられ、車幅方向にクランクシャフト(27)が延びており、このクランクシャフト(27)の軸端に、モータ(110)が連結されている。
【0005】
ところで、特許文献1のハイブリッド式パワーユニットをスクータ型ではない特に、中型又は大型の自動二輪車に適用する場合には、通常の自動二輪車では、パワーユニットが車体フレームの特に前部に固定して設けられているので、クランクシャフトの軸端に、モータを配置して、クランクシャフトの軸長が長くなると、車両のバンク角を十分に確保することができない場合があり、本来、モータの出力より、搭載したいモータのサイズを設計でき難い場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−103384公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車体フレームの前部にハイブリッド式駆動源を搭載するスクータではない自動二輪車の形態において、車両のバンク角が十分に確保されるようにしながら、所望のモータを設計することが容易なハイブリッド式自動二輪車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、エンジンとモータとからなるハイブリッド式駆動源で駆動され、このハイブリッド式駆動源がヘッドパイプからスイングアームピボットの間の車体フレームに搭載されるハイブリッド式自動二輪車であって、エンジンのクランク軸は、車体の長手方向に指向するように配置され、モータは、前輪に近い方の前側軸端部に備えられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、モータは、磁石を有しクランク軸と一体に回転するインナーロータ部と、このインナーロータ部の径方向外方に設けられコイルが巻き付けられているアウターステータ部と、から構成され、インナーロータ部の外幅は、車両を上から見たときに、前輪の幅と略同等若しくは前輪の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、インナーロータ部に設けられる磁石は、車両を上方から見たときに、前輪の幅の外側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明では、エンジンは、クランク軸を中心にして車幅方向左右へ延びる複数のシリンダ部を有し、これらのシリンダ部は、車両を前から見たときに、アウターステータ部に重ならない部位まで車幅方向左右へ延び冷却水が通る冷却水ジャケットを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、インナーロータ部の近傍で、エンジンに、カムチェーン駆動機構が配置され、このカムチェーン駆動機構は、クランク軸に設けられている駆動ギヤと、エンジンのクランクケースにアイドル軸で支持され駆動ギヤで回されるアイドルギヤと、これらのアイドルギヤに一体形成されアイドルギヤよりも小径のアイドルスプロケットと、これらのアイドルスプロケットに巻き掛けたチェーンと、カムシャフトに設けられチェーンで駆動されるカムスプロケットと、からなることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明では、クランク軸の中心からアイドル軸の中心までの距離は、インナーロータ部の外径の半分より小さいことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明では、シリンダ部は、シリンダ軸が水平であることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明では、インナーロータ部は、磁石を保持するロータ積層部と、このロータ積層部をクランク軸に取付けるロータボス部と、から構成され、このロータボス部は、車両前方に開口部を有する椀形状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明では、インナーロータ部は、このインナーロータ部の中心が、前輪の車軸と後輪の車軸を結ぶ線の上又は上方に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、クランク軸は、車体フレームの前部で車体の長手方向を指向するように配置され、モータは、クランク軸の軸端部に配置されているので、エンジンのクランク軸が長い場合であっても、車両のバンク角に影響を与えることなく、自動二輪車にハイブリッド用のモータをその所望の出力サイズに合わせて配置することができる。
【0018】
車両の長手方向に延ばされたクランク軸の軸端部にモータを備える場合、このモータは、クランク軸の前側軸端部又は後側軸端部のいずれかに配置される。クランク軸の後側軸端部に配置すると、前方からの走行風がエンジンで遮られモータに当たり難くなる。
この点、本発明では、クランク軸の前側軸端部にモータを配置したので、走行風をモータに十分に当てることができ、モータの冷却が促される。
【0019】
請求項2に係る発明では、コイルが巻き付けられているアウターステータ部は、インナーロータ部の径方向外方に設けられており、インナーロータ部の外幅は、前輪の幅と略同一若しくは前輪の幅よりも大きい。
【0020】
前からの走行風は、前輪で左右に分かれ、前輪の側面に沿って流れがちである。アウターステータ部は、コイルが巻かれているので発熱量が大きい。このようなアウターステータ部に前輪の側面に沿った走行風を積極的に当てることができるため、アウターステータ部を効果的に冷却することができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、インナーロータ部に設けられる磁石は、前輪の幅の外側に配置されている。
仮に、磁石が前輪の幅の内側に配置されている場合には、前輪からの飛び石が磁石に当たる可能性が大きくなる。
【0022】
この点、本発明では、インナーロータ部に設けられる磁石は、前輪の幅の外側に配置されている。前輪の幅の外側に磁石が配置されていれば、走行時に、前輪から飛んだ飛び石が磁石へ当たり難くすることができる。前輪からの飛び石の影響が小さくなるため、モータを過度なカバー部材で覆う必要がなくなる。過度なカバー部材で覆うことが不要になれば、車両重量の増加を抑えることができる。
【0023】
請求項4に係る発明では、シリンダ部は、アウターステータ部に重ならない部位まで車幅方向左右へ延び冷却水が通る冷却水ジャケットを備えている。すなわち、車両の前方から見ると、エンジンの冷却水ジャケットが見える。このため、車両前方から後方へ流れる走行風は、エンジンの冷却水ジャケットに当たり、この走行風によって、エンジンの冷却を良好に行わせることができる。
【0024】
請求項5に係る発明では、モータは、クランク軸の軸端部に配置され、モータのトルクをクランク軸に伝達するため、クランク軸の軸端部の軸径は、所定の軸径を確保する必要がある。
また、4サイクルエンジンにおいて、カムシャフトに設けられる駆動側カムスプロケットと、クランク軸に設けられている従動側カムスプロケットのギヤ比は、1:2であり、駆動側カムスプロケットのピッチ円直径と従動側カムスプロケットのピッチ円直径の比率は1:2となる。
【0025】
クランク軸の軸端に所定の軸径が必要になることに加え、従動側カムスプロケットのピッチ円直径が駆動側カムスプロケットのピッチ円直径の2倍になるので、従動側カムスプロケットの外径は一層大きくなる。従動側カムスプロケットの外径が大きくなると、エンジンのヘッドが大型化し、ヘッドが大型化すると、車両のバンク角が小さくなる可能性がある。
【0026】
この点、本発明では、カムチェーン駆動機構に、アイドルギヤ及びアイドル軸が備えられ、このアイドルギヤに一体形成されアイドルギヤよりも小径のアイドルスプロケットが設けられている。アイドルギヤよりも小径のアイドルスプロケットを利用してカムシャフトを駆動するようにしたので、従動側カムスプロケットの外径を小さくすることができる。そうすると、エンジンのヘッドが大型化を抑制することができ、ヘッドの大型化が抑制されれば、車両のバンク角を大きく取ることができる。
【0027】
請求項6に係る発明では、クランク軸の中心からアイドル軸の中心までの距離は、インナーロータ部の外径の半分より小さくした。すなわち、アイドル軸は、インナーロータ部の外周よりも内方に配置されている。アウターステータ部は、アイドル軸の外方に配置されているため、アウターステータの取付自由度を確保することができる。
【0028】
請求項7に係る発明では、エンジンの左右のシリンダは、シリンダ軸が共に水平である。車両を前から見ると、左右のシリンダの側面が大きく見える。このような側面であれば、モータの支点が容易に且つ多数確保できる。したがって、モータの取付に係る自由度を高めることができる。
【0029】
請求項8に係る発明では、インナーロータ部は、椀形状に形成されている。椀形状であれば、外周部分に肉をつけ中央部分を肉抜きすることができる。したがって、椀形状にすることでインナーロータ部の軽量化を図ることができる。インナーロータ部が軽量化されれば、クランク軸への負担を軽減することができ、エンジンの軽量化に寄与する。
【0030】
加えて、インナーロータ部は、車両前方に開口部を有している。
仮に、インナーロータ部に開口部を有していない場合、前輪をインナーロータに近づけて配置することには制約がある。また、モータの能力を高めたい場合に、インナーロータとの干渉を避けるため、前輪を前方に移動させる必要があった。そうすると、ホイールベースが大きくなり、ホイールベースの拡大は車両の大型化につながることになる。
【0031】
この点、本発明では、インナーロータ部は、車両前方に開口部を有している。このような開口部であれば、前輪とインナーロータとを近づけて配置することができ、前輪とインナーロータとの間のクリアランスを小さく抑えることができ、車両の大型化を抑えることができる。また、車両の大型化を伴うことなく、モータの能力を高めることも可能になる。
【0032】
請求項9に係る発明では、インナーロータの外径は、前輪の車軸と後輪の車軸を結ぶ線の上又は上方に配置されている。走行中に、前輪がストロークした場合に、前輪は、前部に開口部を有する椀部に向け移動するため、前輪とモータとの間のクリアランスを十分に確保することが可能になる。前輪とモータとの間のクリアランスが十分に確保されれば、大型で高出力なモータを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るハイブリッド式自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本発明に係る自動二輪車に備えられているモータの正面図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【図7】本発明に係る自動二輪車の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中および実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、自動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0035】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ハイブリッド式自動二輪車10は、車体フレーム11に、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方に延びているメインフレーム13と、このメインフレーム13の後端部に取り付けピボット軸16を有するピボットプレート17と、このピボットプレート17の後上部から斜め後上方に延びているシートレール18と、このシートレール18の後端部とピボットプレート17の中間部との間を連結しシートレール18を支持するミドルフレーム19と、このミドルフレーム19の上端部から後方に延びているサブレール21と、このサブレール21の後部とミドルフレーム19の間に掛け渡されているシートステー22と、が備えられている車両である。
メインフレーム13の後部下端部近傍に、乗員の足置きとしてのステップ23が取り付けられている。
【0036】
なお、メインフレーム13、ピボットプレート17、シートレール18、ミドルフレーム19、シートステー22及びステップ23は車両の幅方向中心に対し左右に設けられている。
【0037】
ピボットプレート17には、スイングアームピボットとしてのピボット軸16を中心に上下にスイング可能なリヤスイングアーム25が取付けられ、このリヤスイングアーム25の後端部に、最終減速機26が一体に設けられ、この最終減速機26に、後輪車軸27が設けられ、この後輪車軸27に、後輪28が取付けられている。エンジン43の駆動力は、ドライブシャフト45に伝達され、ドライブシャフト45の後端部に設けられている最終減速機26により減速されると共に、回転軸の方向が車両長手方向から車幅方向へ変換され後輪28に伝達される。
【0038】
リヤスイングアーム25の中間部に、リンク機構31を介してリヤクッションユニット32が立設して取付けられ、このリヤクッションユニット32の上端部は、メインフレーム13側に取付けられている。
【0039】
ヘッドパイプ12に、操向自在にフロントフォーク35が取付けられ、このフロントフォーク35に、前輪車軸37を介して前輪38が取付けられ、フロントフォーク35の上端部に、操向ハンドル39が取付けられている。
【0040】
メインフレーム13の下方に、締結部材41a〜41cを介してパワーユニット42が懸架されている。このパワーユニット42は、水平対向型4気筒エンジン43(以下、「エンジン43」とも云う。)と、このエンジン43の前部に設けられているモータ44と、からなるハイブリッド式駆動源である。エンジン43は水冷エンジンである。
【0041】
エンジン43の上方に、吸気系部材47が配置されている。吸気系部材47は、外気を導くエアダクト48を含むエアクリーナ49と、このエアクリーナ49に連結されているスロットルボデイ51と、このスロットルボデイ51から延設されている吸気マニホールド52と、この吸気マニホールド52の先端部に設けられ混合気を溜めるサージタンク53と、このサージタンク53から延設され混合気をエンジン43の各気筒へ導くインテークマニホールド54、54とからなる。
【0042】
エンジン43の下方に、排気系部材57が配置されている。排気系部材57は、エンジン43の各気筒から延びている排気管61、61と、これらの排気管61、61を集合させる集合管62と、この集合管62から後方へ延びている消音器63と、からなる。
【0043】
シートレール18に、乗員が着座する乗員シート65が設けられている。乗員シート65は、前部シート66と、この前部シート66の後方に連なるように設けた後部シート67とを一体化させてなる。
【0044】
サブレール21に、物を収納するトランク69が取付けられ、このトランク69の前壁69aに、乗員の背中を保持する背もたれ71が取付けられている。サブレール21に、サイドバッグ72が取り付けられている。
【0045】
ヘッドパイプ12に、車両の前方を覆うフロントカウル74が取付けられ、このフロントカウル74に風よけとしてのフロントシールド75が取付けられ、フロントフォーク35に、前輪38の上方を覆う泥よけとしてのフロントフェンダ76が設けられている。
【0046】
次に、エンジン43を含むパワーユニット42を前から見たときの各構成要素の配置等について説明する。
図2に示すように、エンジン43に、シリンダブロック111と一体化されているクランクケース112が設けられ、このクランクケースの前面113に、モータ44が取り付けられ、クランクケースの車両幅方向左右外方に、シリンダヘッド114L、114Rが取り付けられ、これらのシリンダヘッド114L、114Rに、ヘッドカバー115L、115Rが取付けられている。
【0047】
また、シリンダヘッド114L、114Rの上方に、ラジエータユニット116L、116Rが配置され、各ラジエータユニット116L、116Rとエンジン43との間に、冷却水が循環する冷却水パイプ117L、117Rが連結されている。
クランク軸118は、その軸方向が車両長手方向に延びており、シリンダ軸121は、その軸方向が車幅方向水平に延びている。
【0048】
図3に示すように、パワーユニット42のうちのエンジン43について説明する。
エンジン43のケースとなるエンジンブロック122は、左のクランクケース112Lと右のクランクケース112Rとが突き合わされ内側にクランク室124を形成すると共に、左右のシリンダブロック111L、111Rを一体化させたクランクケース112と、このクランクケース112に開けた筒状の穴としての左右のシリンダ部125L、125Rと、これらの左右のシリンダ部125L、125Rを塞ぐ左右のシリンダヘッド114L、114Rと、左右のシリンダヘッド114L、114Rを覆い左右のカムシャフト128L、128Rを収納する左右のカム室129L、129Rが形成されている左右のヘッドカバー115L、115Rと、からなる。左右のシリンダ部125L、125Rは、各々、2列を有し並列に配置されている。
【0049】
クランク軸118は、車体の長手方向に指向するように配置され、エンジンのクランク軸118の軸端部143は、前輪(図1、符号38)に近い方の前側軸端部144と前輪38から遠い方の後側軸端部145とからなる。本実施例では、前側軸端部144に、モータ44が備えられ、後側軸端部145に変速機の側に駆動力を取りだし伝達する出力ギヤ146が備えられ、この出力ギヤ146の後方にウオータポンプ147が配置されている。出力ギヤ146に、サブギヤ148が噛み合っており、このサブギヤ148にダンパ151が結合され、このダンパ151の出力側に交流発電機(ACG)152が取り付けられている。
なお、本実施例では、モータ44をクランク軸118の前側軸端部144に備えているが、モータ44をクランク軸118の後側軸端部145に備えるようにすることは差し支えない。
【0050】
左右のシリンダブロック111L、111Rに、各々、複数のカム軸受部171L、171Rが設けられ、これらのカム軸受部171L、171Rに対応する位置で対向するように、左右のシリンダヘッド114L、114Rに、カムホルダ172L、172Rが設けられ、カム軸部171L、171Rとカムホルダ172L、172Rとにより、カムシャフト128L、128Rは回転自在に支持されている。
【0051】
以下、カムシャフト128L、128Rについて説明する。
左右のカムシャフト128L、128Rに、各シリンダ部125L、125Rごとに、所定のタイミングで吸気弁161を押圧する吸気カム177と、所定のタイミングで排気弁162を押圧する排気カム178とが形成されている。左右のカムシャフト128L、128Rは、カムチェーン駆動機構180により駆動されている。
【0052】
以下、カムチェーン駆動機構180について説明する。
カムチェーン駆動機構180は、クランク軸118に設けられている駆動ギヤ181と、この駆動ギヤ181に噛み合い左のアイドル軸182で各々支持され駆動ギヤ181により回される左のアイドルギヤ183と、この左のアイドル軸182と一体形成されている左のアイドルギヤ183と一体形成され左のアイドルギヤ183よりも小径の左のアイドルスプロケット184と、左のアイドルスプロケット184に巻き掛けた左チェーン185と、左のカムシャフト158Lに設けられ左チェーン185で駆動される左のカムスプロケット186と、駆動ギヤ181に噛み合い右のアイドル軸192で各々支持され駆動ギヤ181により回される右のアイドルギヤ193と、この右のアイドル軸192と一体形成されている右のアイドルギヤ193と一体形成され右のアイドルギヤ193よりも小径の右のアイドルスプロケット194と、右のアイドルスプロケット194に巻き掛けた右チェーン195と、右のカムシャフト128Rに設けられ右チェーン195で駆動される右のカムスプロケット196と、からなる。
【0053】
モータ44は、クランク軸の軸端部143に配置されている。
モータ44のトルクをクランク軸118に伝達可能にするため、クランク軸の軸端部143の軸径は、所定の太さの軸径を確保する必要がある。
【0054】
ここで、4サイクルエンジンにおいて、カムシャフトに設けられている駆動側カムスプロケットと、クランク軸に設けられている従動側カムスプロケットとの回転比は、2:1であり、駆動側カムスプロケットのピッチ円直径と、従動側カムスプロケットのピッチ円直径との比率は、1:2となる。
【0055】
従動側カムスプロケットのピッチ円直径が駆動側カムスプロケットのピッチ円直径の2倍となることに加え、モータ44のトルクをクランク軸118に伝達可能にするため、クランク軸の軸端に所定の太さの軸径が必要になると、従動側カムスプロケットの外径は一層大きなものが必要になる。上記により、従動側カムスプロケットの外径が大きくなると、エンジンのヘッドが大型化し、ヘッドが大型化すると、車両のバンク角が小さくなる可能性がある。
【0056】
この点、本発明では、カムチェーン駆動機構180に、左右のアイドルギヤ183、193及び左右のアイドル軸182、192が備えられ、この左右のアイドルギヤ183、193に一体形成され左右のアイドルギヤ183、193よりも小径の左右のアイドルスプロケット184、194が設けられている。左右のアイドルギヤ183、193よりも小径の左右のアイドルスプロケット184、194を利用してカムシャフト128L、128Rを駆動するようにしたので、左右のカムスプロケット186、196の外径を小さくすることができる。そうすると、エンジン43のシリンダヘッド114L、114Rの大型化を抑制することができ、シリンダヘッド114L、114Rの大型化が抑制されれば、車両のバンク角(図2、符号α)を大きく取ることができる。
【0057】
図4に示すように、クランクケースのジャーナル受け部133に、クランク軸118のジャーナル部120が回転自在に支持され、このクランク軸118に複数設けられているクランクピン134に、各々、コンロッド135、135の大端部136、136が回動自在に取り付けられ、コンロッド135、135の小端部137L、137Rが車両幅方向外方に向けて延設され、各々のコンロッドの小端部137L、137Rに、ピストンピン138、138が挿通され、これらのピストンピン138、138に、ピストン139、139が取付けられている。
【0058】
クランクピン134とジャーナル部120の間に、クランクピン134とジャーナル部120の間を連結する複数のクランクウエブ140が設けられている。
インテークマニホールド54L、54Rに、燃料噴射用のインジェクタ197L、197Rが取付けられている。
【0059】
各ピストン139は、シリンダ部125L、125Rに摺動自在に設けられ、ピストン139と左右のシリンダ部125L、125Rと左右のシリンダヘッド114L、114Rとの間に各々燃焼室141が形成される。
また、クランクケース112の構成要素としての左右のシリンダブロック111L、111Rに、冷却水通路としての冷却水ジャケット142L、142Rが形成されている。
シリンダ部(シリンダブロック111L、111R)に、冷却水ジャケット142L、142Rが形成され、これらのジャケット142L、142Rは、車両を前から見たときに、アウターステータ部204に重ならない部位まで車幅方向左右へ延びている。すなわち、ジャケット142L、142Rの内方線142Li、142Riは、アウターステータ部204の車両幅方向外側に位置している。
【0060】
次に、吸気弁及び排気弁について説明する。
吸気弁161及び排気弁162は、燃焼室141ごとに設けられ、左右のシリンダヘッド114L、114Rに、各々、閉弁方向に付勢するばね163で付勢され支持されている。吸気弁161及び排気弁162は、シリンダ部125L、125Rの軸線とクランク軸118の軸線を通る平面165に対し上方に傾けて配置され、排気弁162は、吸気弁161よりも車両長手方向前方に配置され、クランク軸118の軸線と平行な方向に並んで配置される。前記平面165に対し下方に傾け、排気弁162と吸気弁161の間に対応する位置で各燃焼室141の中央部に臨むように点火プラグ166が配置されている。
シリンダヘッド114L、114Rに、燃焼室に繋がっている吸気ポート131及び排気ポート132が形成されている。
【0061】
次に、モータの構造について説明する。
図5に示すように、モータ44は、複数の磁石201を有しクランク軸118と一体に回転するインナーロータ部202と、このインナーロータ部202の径方向外方に設けられ複数のコイル203が巻き付けられているアウターステータ部204とから構成されている。
【0062】
アウターステータ部204は、外周に取付用フランジ部206を備え、このフランジ部206から、複数の締結ボルト207を、シリンダ軸が水平に延びているエンジンのシリンダ111(シリンダブロック111)へ延ばし、アウターステータ部204をシリンダブロック111に締結した。つまり、左右に延びているシリンダブロック111L、111Rを一体化させたクランクケース112へアウターステータ部204を取り付けた。
【0063】
アウターステータ部204は、外周に取付用フランジ部206を備えているので、モータ44をエンジン43に取付ける際に、モータ44を左右のシリンダ111L、111Rに取付けることができるので、モータ44の取付に係る自由度を高めることができる。モータ44の取付自由度が高まるので、モータ44を容易にエンジン43に装着することができる。
【0064】
図6に示すように、モータ44は、クランク軸の前側軸端部144に取付けられるボス部材211と、このボス部材211に取付けられるインナーロータ部202と、このインナーロータ部202を囲うように配置されエンジン43に取付けられているアウターステータ部204と、インナーロータ部202及びアウターステータ部204の側部を覆うモータケース212と、このモータケースの前面に開けた開口213に蓋をする蓋部214と、を備える。
【0065】
ボス部材211に、インナーロータ部202が取付けられている。
このインナーロータ部202は、複数の磁石201と、これらの磁石201を保持するロータ積層部217と、このロータ積層部217をクランク軸118に取付けるロータボス部218と、から構成されている。
詳細には、ロータボス部218の外周面239に、ロータ積層部217が取付けられている。
【0066】
ロータ積層部217は、インナーロータ部の外周部221の近傍に積層した薄板状の磁極板222と、これらの磁極板222に、車両正面視で、矩形状に12個開けた穴部223に挿入した12個の磁石201と、磁極板222の両端部に設け積層した磁極板222を保持させる前後の保持クリップ板224、225とから構成されている。
【0067】
ロータボス部の後面231に、リング状の磁極マグネット232が取り付けられ、この磁極マグネット232に臨む位置に、磁極マグネット232を検出する磁極センサ233が配置されている。
磁極センサ233は、モータケース212に、回転中心に向けステー234が延設され、このステーの先端部235に取り付けられている。
【0068】
ロータボス部218は、車両前方に開口部237を有し車両後方に向け凹み椀形状に形成されている椀部238を有する。
蓋部214に、椀部238の形状に沿わせるように車両後方に凹ませた凹部229が形成されている。
アウターステータ部204は、18個のステータコイル203を有し、これらのステータコイル203は、インナーロータ部202を囲うように配置されている。
【0069】
ボス部材211は、クランク軸の前側軸端部144に、中心部に前記前側軸端部144を挿通可能にする中心穴241と、この中心穴241の周囲を囲うように複数個開けインナーロータ部202が複数の締結ボルト207で締結する複数の締結穴242と、周縁部243に、インナーロータ部の後面244に形成したロータ側嵌合部としての爪部228と嵌合するように形成したボス側嵌合部としての凹部229とを有する。
【0070】
そして、中心穴241に前側軸端部144を挿通させ、メインナット248でボス部材211をクランク軸118に固着させ、ボス部材の前面211fにインナーロータ部の後面244を当て、6つの締結穴242に各々締結ボルト207をねじ込んで、インナーロータ部202をボス部材211に固着させた。
【0071】
以下、カム駆動機構の構成部材である左右のアイドル軸182、192とモータ44の構成部材であるインナーロータ部202の間の位置関係、その他について説明する。
左右のアイドル軸182、192は、インナーロータ部の外周221よりも内方に配置されている。詳細には、クランク軸の中心Cからアイドル軸の中心CIまでの距離(P)は、インナーロータ部の外径の半分の距離(Ri)より小さく設定されている。
【0072】
アウターステータ部204は、左右のアイドル軸182、192の外方に配置され、アウターステータ部204に影響されないため、アウターステータ部204の取付自由度が確保される。
【0073】
また、クランクウエブ140の外径Da(直径Da)は、アイドル軸の間隔(2P)よりも大きく(2P<Da)、ロータボス部218の外周面239の外径Db(直径Db)よりも小さく(Da<Db)、インナーロータ部202の外周部221の外径(2Ri)よりも小さい(Da<2Ri)。ここで、インナーロータ部202の外周部221の外径(2Ri)は、アウターステータ部204の内径よりも若干小さな値である。
【0074】
図5に戻って、インナーロータ部の内周面に形成したローターボス部227は、車両前面視で、クランク軸の軸中心Cに向け凸状に張り出し爪状を呈する複数の爪部228を有し、これらの爪部228と嵌合可能に、ボス部材211に複数の凹部229が形成されている。インナーロータ部の内周面226に形成したロータボス部218を、ボス部材の凹部229に嵌合させることで、インナーロータ部202をクランク軸118に確実に固着させ、クランク軸118とインナーロータ部202の間に位相ずれなどが発生することを防止できる。
【0075】
図3に戻って、エンジン43は、クランク軸118を中心にして車幅方向左右の右へ延びる複数のシリンダ部125L、125Rを有し、これらのシリンダ部125L、125Rは、車両を前から見たときに、前記アウターステータ部204に重ならない部位まで車幅方向左右へ延び冷却水が通る冷却水ジャケット142L、142Rを備えている。
【0076】
シリンダ部125L、125Rは、アウターステータ部204に重ならない部位まで車幅方向左右へ延び冷却水が通る冷却水ジャケット142L、142Rを備えている。エンジンの冷却水ジャケット142L、142Rは、モータのアウターステータ部204で覆われていないので、車両前方から後方へ流れる走行風は、エンジンの冷却水ジャケット142L、142Rに当たり、この走行風によって、エンジン43の冷却を良好に行わせることができる。
【0077】
以上に述べたハイブリッド式自動二輪車の作用を次に述べる。
クランク軸118は、車体の長手方向を指向するように配置され、モータは、クランク軸の前側軸端部144に配置されているので、エンジンのクランク軸118が長い場合であっても、車両のバンク角(図2、符号α)に影響を与えることなく、自動二輪車(図2、符号10)にモータ44を配置することができる。
【0078】
加えて、モータ44は、前輪38に近い方の前側軸端部144に配置されている。モータ44が前輪38の近い側の前側軸端部144に配置されていれば、走行風は遮られ難くなる。走行風は遮られ難くなるので、モータ44を確実に冷却することができる。
【0079】
図7において、前輪38が路面からの衝撃を吸収するとき、フロントフォーク35の下端部に取付けられている前輪38は、フロントフォーク35の作用により上方に移動し、図想像線に示される位置まで移動する可能性がある。このとき、インナーロータ部202は、車両前方に開口部237を有する椀形状に形成された椀部238が設けられ、インナーロータ部202の前方を塞ぐ蓋部214に椀部238に沿うように凹部229が形成されている。
【0080】
仮に、インナーロータ部に開口部を有していない場合、前輪をインナーロータに近づけて配置することには制約がある。また、モータの能力を高めたい場合に、インナーロータとの干渉を避けるため、前輪を前方に移動させる必要があった。そうすると、車両のホイールベースが長くなり、車両の大型化につながる可能性がある。
【0081】
この点、本発明では、インナーロータ部202は、車両前方に開口部237を有している。このような開口部237が備えられていれば、前輪38とインナーロータ部202とを近づけて配置することができ、前輪38とインナーロータ部202との間のクリアランスを小さくすることができ、車両の大型化を抑えることができる。また、車両の大型化を伴うことなく、モータ44の能力を高めることも可能になる。
【0082】
また、インナーロータ部202は、椀形状に形成されているので、インナーロータ部202の外径を大きくしながら、インナーロータ部202の重量を抑えることができる。インナーロータ部202の重量が抑えられれば、クランク軸118の剛性を必要最小限なものとすることができ、エンジン43の軽量化にも寄与する。
【0083】
インナーロータ部202は、このインナーロータ部の中心Cが、前輪の車軸37と後輪の車軸27を結ぶ線(HL)の上方に配置されている。インナーロータ部の中心Cは、クランク軸の中心Cでもある。
走行中に、前輪38がストロークした場合に、前輪38は、前部に開口部237を有する椀部238に向け移動するため、前輪38とモータ44との間のクリアランスを十分に確保することが可能になる。前輪38とモータ44との間のクリアランスが十分に確保することができれば、大型で高出力なモータ44を配置することが可能になる。
【0084】
なお、本実施例では、インナーロータ部202は、このインナーロータの中心Cが、前輪の車軸37と後輪の車軸27を結ぶ線HLの上方に配置されているが、インナーロータの中心Cが、前輪の車軸37と後輪の車軸27を結ぶ線の上になるように配置することは差し支えない。
【0085】
図7(b)において、インナーロータ部の外幅(RW)は、車両を上から見たときに、前輪の幅(FW)よりも大きい。
コイル203が巻き付けられているアウターステータ部204は、インナーロータ部202の径方向外方に設けられており、インナーロータ部の外幅(RW)は、前輪の幅(FW)よりも大きい。つまり、発熱を伴うアウターステータ部204は、前輪38の外側に配置されている。このため、走行風は、前輪38に遮られることなくアウターステータ部204に当たるので、モータ44を良好に冷却することができる。
【0086】
なお、本実施例において、インナーロータ部の外幅は、前輪の幅よりも大きいものとしたが、インナーロータ部の外幅を、前輪の幅と略同等にすることは差し支えない。
【0087】
さらに、インナーロータ部202に複数個設けられている磁石201は、車両を上方から見たときに、前輪38の幅(FW)の外側に配置されている。
仮に、磁石が前輪の幅の内側に配置されていると、前輪からの飛び石が当たる可能性が大きくなる。
【0088】
この点、本発明では、インナーロータ部202に設けられる磁石201は、前輪38の幅の外側に配置されているので、走行時に、前輪38からの飛び石が当たる可能性を小さくすることができる。前輪38からの飛び石の影響が小さくなるため、モータ44を過度なカバー部材で覆う必要がなくなる。過度なカバー部材で覆うことが不要になれば、車両重量の増加を抑えることができる。
【0089】
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、エンジンとモータとからなるハイブリッド式駆動源で駆動されるハイブリッド式自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0091】
10…ハイブリッド式自動二輪車、11…車体フレーム、12…ヘッドパイプ、16…スイングアームピボット(ピボット軸)、27…後輪の車軸(後輪車軸)、37…前輪の車軸(前輪車軸)、38…前輪、42…ハイブリッド駆動源(パワーユニット)、43…エンジン、44…モータ、112、112L、112R…クランクケース、118…クランク軸、125L、125R…シリンダ部、128L、128R…カムシャフト、142L、142R…冷却水ジャケット、143…クランク軸の軸端部、144…前側軸端部、180…カムチェーン駆動機構、181…駆動ギヤ、182…左のアイドル軸、183…左のアイドルギヤ、184…左のアイドルスプロケット、185…左チェーン、186…左のカムスプロケット、192…右のアイドル軸、193…右のアイドルギヤ、194…右のアイドルスプロケット、195…右チェーン、196…右のカムスプロケット、201…磁石、202…インナーロータ部、203…コイル、204…アウターステータ部、217…ロータ積層部、218…ロータボス部、237…開口部、HL…前輪の車軸と後輪の車軸を結ぶ線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(43)とモータ(44)とからなるハイブリッド式駆動源(42)で駆動され、このハイブリッド式駆動源(42)がヘッドパイプ(12)からスイングアームピボット(16)の間の車体フレーム(11)に搭載されるハイブリッド式自動二輪車であって、
前記エンジン(43)のクランク軸(118)は、車体の長手方向に指向するように配置され、前記モータ(44)は、前輪(38)に近い方の前側軸端部(144)に備えられていることを特徴とするハイブリッド式自動二輪車。
【請求項2】
前記モータ(44)は、磁石(201)を有し前記クランク軸(118)と一体に回転するインナーロータ部(202)と、このインナーロータ部(202)の径方向外方に設けられコイル(203)が巻き付けられているアウターステータ部(204)と、から構成され、
前記インナーロータ部(202)の外幅は、車両を上から見たときに、前記前輪(38)の幅と略同等若しくは前記前輪(38)の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項3】
前記インナーロータ部(202)に設けられる磁石(201)は、車両を上方から見たときに、前記前輪(38)の幅の外側に配置されていることを特徴とする請求項2記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項4】
前記エンジン(43)は、前記クランク軸(118)を中心にして車幅方向左右へ延びる複数のシリンダ部(111L、111R)を有し、これらのシリンダ部(111L、111R)は、車両を前から見たときに、前記アウターステータ部(204)に重ならない部位まで車幅方向左右へ延び冷却水が通る冷却水ジャケット(142L、142R)を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項5】
前記インナーロータ部(202)の近傍で、前記エンジン(43)に、カムチェーン駆動機構(180)が配置され、このカムチェーン駆動機構(180)は、前記クランク軸(118)に設けられている駆動ギヤ(181)と、前記エンジン(43)のクランクケース(112)にアイドル軸(182、192)で支持され前記駆動ギヤ(181)で回されるアイドルギヤ(183、193)と、これらのアイドルギヤ(183、193)に一体形成され前記アイドルギヤ(183、193)よりも小径のアイドルスプロケット(184、194)と、これらのアイドルスプロケット(184、194)に巻き掛けたチェーン(185、195)と、カムシャフト(128L、128R)に設けられ前記チェーン(185、195)で駆動されるカムスプロケット(186、196)と、からなることを特徴とする請求項2、請求項3又は請求項4のいずれか1項記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項6】
前記クランク軸(118)の中心からアイドル軸(182、192)の中心までの距離は、前記インナーロータ部(202)の外径の半分より小さいことを特徴とする請求項5記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項7】
前記シリンダ部(125L、125R)は、シリンダ軸(121)が水平であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項8】
前記インナーロータ部(202)は、前記磁石(201)を保持するロータ積層部(217)と、このロータ積層部(217)を前記クランク軸(118)に取付けるロータボス部(218)と、から構成され、このロータボス部(218)は、車両前方に開口部(237)を有する椀形状に形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載のハイブリッド式自動二輪車。
【請求項9】
前記インナーロータ部(202)は、このインナーロータ部の中心が、前記前輪の車軸(37)と前記後輪の車軸(27)を結ぶ線(HL)の上又は上方に配置されていることを特徴とする請求項8記載のハイブリッド式自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−73627(P2011−73627A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228587(P2009−228587)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)