説明

ハロゲン化銀写真感光材料を用いた画像形成方法

【課題】本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、処理液の状態が変化しても、処理後の光沢感低下やプリント保存時の白地ムラが目立ちにくい高品質なプリントを提供する画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀粒子および画像色素供与物質を含んでなるハロゲン化銀写真感光材料をデジタル露光後に現像処理を行って、プリントを得る画像形成方法において、現像処理済みの前記プリントの像鮮明度Cが70以上であり、かつ現像処理ラインの最終処理浴中の固形分量が5g/L以下であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料を用いプリントを得るための画像形成方法に関し、特に処理液の状態が変化しても、処理後の光沢感低下やプリント保存時の白地ムラが目立ちにくい高品質なプリントを提供する画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラの普及により、デジタル化された画像データを用いて様々な画像形成方法によりプリント出力が行われるようになってきた。その中で、豊かな階調性、プリント堅牢性などの観点からハロゲン化銀写真感光材料を用いたプリント(以下「銀塩プリント」と記す)も好ましく用いられている。
【0003】
銀塩プリントが好ましく用いられる理由の一つとして、その独特の表面質感が挙げられる。表面質感には、光沢感や平滑感などが含まれるが、中でも、平滑感は見た目の善し悪しに特に大きな影響を与えるため重要であり、一般に平滑性が高いほど高級感が高く見られる傾向がある。銀塩プリントの平滑性を向上させるための技術としては、その支持体を改良するのが効果的であり、これまで、原紙を改良するものとして、特開2004−37546号公報(紙パルプの配向コントロールなどを制御し、平滑性を向上させている。)また、特開平11−271928号公報(支持体製法で表面側樹脂層の中心線表面粗さ(SRa)を小さく制御する)、特開平10−293379号公報(樹脂被覆層の平滑仕上げ)、特開平8−62775号公報(中紙にサブコート後、樹脂ラミネートする)、特開2005−70753号公報(中紙の加圧乾燥)、特開2005−23432号公報(中紙にカレンダー処理を施す)、また、特開平9−127647号公報(電子線硬化樹脂被覆原紙を使った感光材料)、などが知られている。
【0004】
一方、銀塩プリント品質としてコントラストも重要であり、黒地の締まり(高い最高濃度)および明るい白地が好まれる。特に画像データをデジタル化して扱うようになってから、純白な画像データが用いられるケースが増え、明るい白地は特に重要となってきている。銀塩プリントにおいて、明るい白地を得るための技術として、蛍光増白剤を用いる技術が有効であり、感光材料、支持体、あるいは現像処理浴中に蛍光増白剤を含有させる技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、蛍光原紙を用いるものが、また特許文献2には、蛍光増白剤入り固形処理剤を用いる等の技術が知られている。
【0006】
しかし、原紙の平滑性を向上し、感光材料や現像処理浴中に蛍光増白剤を添加して白地を改良し、かつ最高濃度を高く設定した場合、現像処理液状態の変動によって黒地部分の光沢感が変化しやすい傾向にあり、改良が望まれていた。また、このようにして作成した銀塩プリントを長期間保存時したとき、保存環境によっては白地部分にムラが発生しやすい傾向にあり、これらの改善が望まれていた。
【0007】
検討の結果、処理液状態の変化によって、処理液中に含まれる安定剤などの成分の一部が、感材上に析出しやすくなる場合があると考えられ、平滑性が高く、かつ最高濃度が高い感光材料においては、特に光沢感の変化となって観察されやすくなっているものと考えられる。また、固形分の析出は画像保存時に白地色調変化の原因となりやすく、平滑性向上した場合、表面凹凸の陰影が減少するため、特に目立ちやすくなるものと推定された。
【特許文献1】特開平11−295852号公報
【特許文献2】特開平5−341468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、処理液の状態が変化しても、処理後の光沢感低下やプリント保存時の白地ムラが目立ちにくい高品質なプリントを提供する画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0010】
1.支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀粒子および画像色素供与物質を含んでなるハロゲン化銀写真感光材料をデジタル露光後に現像処理を行って、プリントを得る画像形成方法において、現像処理済みの前記プリントの像鮮明度Cが70以上であり、かつ現像処理ラインの最終処理浴中の固形分量が5g/L以下であることを特徴とする画像形成方法。
【0011】
2.前記ハロゲン化銀写真感光材料の支持体は、紙基質に樹脂をラミネートした樹脂被覆紙であり、かつ感光性層を塗工する側の樹脂層中に、少なくとも一種の蛍光増白剤を含有していることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0012】
3.前記、現像処理ラインの最終処理浴中の蛍光増白剤含有量が0.5g/L以下であることを特徴とする前記1または2に記載の画像形成方法。
【0013】
4.前記、現像処理ラインの最終処理浴が、一般式(Z)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。但し、上記の式の分子内にアゾ基またはジアミノスチルベン構造を含有することはない。)
5.前記ハロゲン化銀写真感光材料中の蛍光増白剤含有量が0.05g/m2以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0016】
6.前記ハロゲン化銀写真感光材料が、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0017】
【化2】

【0018】
(式中R1、R2はそれぞれアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、R3は1価の有機基を表す。)
7.現像処理済みの前記プリントの黒地部分の明度が5≦L*≦9であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、処理液の状態が変化しても、処理後の光沢感低下やプリント保存時の白地ムラが目立ちにくい高品質なプリントを提供する画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0021】
本発明においては、支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀粒子および画像色素供与物質を含んでなるハロゲン化銀写真感光材料(以下単に感光材料ともいう)をデジタル露光後に現像処理を行って、プリントを得る画像形成方法において、一つは、得られるプリントの像鮮明度Cが70以上であることを特徴とする。
【0022】
像鮮明度Cとは、塗膜表面に物体が映った時、その像がどの程度鮮明に、また、歪(ゆが)みなく映し出されるかの指標として、特に、自動車ボディー塗装の美観要素を決定づける重要な特性であり、近年発展してきた写像性評価技術の指標である。写像性の測定方法は、JIS H 8686などで規定され、光学的装置を使用し、光学くしを通して得られた光量の波形から写像性を像鮮明度として求める方法である。光学くしは暗部明部の比が1:1で、その幅は0.125、0.5、1.0及び2.0mmの各種のものがある。測定は、光学くしを移動させ、記録紙上の最高波高(M)及び最低波高(m)を読み取り、次式により像鮮明度を求める。
【0023】
C=(M−m)/(M+m)×100
ここで、C:像鮮明度(%)、M:最高波高、m:最低波高である。
【0024】
本発明においては、写像性測定角度を60度に設定し、2.0mmくし歯において得られた値を像鮮明度Cとして用いる。
【0025】
像鮮明度Cは、値が大きいほど写像性に優れ、小さければ「ボケ」又は「歪み」をもっていることを示す指標である。
【0026】
像鮮明度Cを高くするための手段に特に制約はないが、感光材料作成に用いる支持体の平滑性を向上させる手段が有効である。
【0027】
本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料の支持体としては、紙基質に樹脂をラミネートした樹脂被覆紙であることが好ましく、支持体の平滑性を向上する手段の一つとして、例えば紙基質の平滑性を向上する方法が挙げられる。具体的には、原料調整においては、抄紙に用いるパルプ繊維の長さを短くする、あるいは均一に揃えるなど適宜調整する方法、抄紙工程においては、初期工程でパルプの配向が均一になるようにパルプ繊維の展開方法を制御する方法、中期から後期においては、カレンダーロールの本数を増やす、あるいはニップ圧を高めるなど、機械的に平滑化処理を行う方法、乾燥条件を適宜制御して、紙基質の含水量を低く保つ方法などを用いることができる。また、紙基質の作成中、あるいは作成後に紙基質表面に、各種水溶性ポリマー、親水性コロイドあるいはポリマーラテックスを含む塗工液を塗布し、パルプ繊維間の隙間を埋めることで平滑化する方法も好ましく用いられる。
【0028】
また、この紙基質に付与する樹脂ラミネート加工においても、ラミネート厚さの制御、ラミネート素材の選択により、ラミネート時の樹脂の溶融温度、ラミネート速度、ラミネート後の冷却ロール温度などの制御により支持体の平滑性を向上することが可能である。またラミネートに用いる樹脂として、電子線硬化樹脂を用いることも平滑性向上のためには有用である。
【0029】
また、本発明において、もう一つの特徴としては、現像処理ラインの最終処理浴中の固形分量が5g/L以下であることである。
【0030】
カラープリントを得るための画像形成方法において、現像処理工程は一般に、現像−漂白定着−水洗(あるいは、リンス処理・安定化処理)−乾燥の大きく4つの工程からなるが、本発明における最終処理浴とは、乾燥工程の直前に感光材料が処理される処理浴を示すものである。例えばミニラボのように最終処理工程が複数の処理浴で行われる場合には、その工程の最後の処理浴を最終処理浴と定義する。
【0031】
最終処理浴の役割の一つとして、現像および漂白定着工程で使用した薬剤、および感光材料中に予め含有されていた不要な薬剤を洗い出す効果が挙げられる。また、この洗い出し効果の促進、あるいは処理後のプリント品質向上のために、キレート剤、蛍光増白剤、界面活性剤、pH調整剤など種々の添加剤を含有させることも可能である。しかし、処理液の状態が変動しても、処理後の光沢感低下やプリント保存時の白地ムラが目立ちにくいという本発明の効果を得るために、その固形分添加量の総和が5g/L以下であることが必要であり、より好ましくは3g/L以下である。ここで言う最終処理浴の固形分添加量は、最終処理浴の処理組成物を一定量抜き出し、それを乾固して得られた残渣の質量から計算によって算出される処理液1Lあたりの添加剤質量として定義される。
【0032】
本発明においては、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体中に蛍光増白剤を添加する態様が、明るい白地を再現しコントラスト改善効果が高く好ましい。支持体中に蛍光増白剤を添加する方法としては、例えば主に紙パルプで構成される紙基質中に蛍光増白剤を添加する方法、あるいは紙基質を被覆する樹脂ラミネート層中に添加する方法などが挙げられるが、蛍光増白効果を有効に引き出すという観点からは、ハロゲン化銀粒子および画像色素供与物質を含んでなる感光性層(画像形成層)を設ける側の樹脂ラミネート層に蛍光増白剤を添加する方法が好ましく用いられる。
【0033】
樹脂ラミネート層に添加する蛍光増白剤としては、例えばクマリン系、スチルベン系、チオフェン系、オキサゾール系などの化合物を好ましく用いることができ、例えば、クマリン系蛍光増白剤としては、ジアルキルアミノクマリン等の化合物、スチルベン系蛍光増白剤としては、2,5−ビスジメチルアミノスチルベン、ジアルキルスチルベン等の化合物、チオフェン系蛍光増白剤としては、2,5−ビス(5′,7−ジ(t)ブチルベンゾオキサゾリル−2′)チオフェン、2,5−ビス(5′t−ブチルベンゾオキサゾリル−2′)チオフェン、2,5−ビス(5,7−ジ(t)ブチルベンゾオキサゾリル−2′)−3,4−ジメチルチオフェン等の化合物、オキサゾール系蛍光増白剤としては、ビスベンゾオキザゾリルエチレン等の化合物が挙げられる。
【0034】
これら蛍光増白剤のさらに具体的な化合物例は、例えば特公第2633011号4頁〜5頁、特公第2633667号3頁、特開平9−203984号段落(0022)〜(0026)、米国特許第3,449,257号第3カラム67行目〜第4カラム20行目、などに記載されているものが挙げられる。中でも長期保管における樹脂ラミネート層中での安定性の観点から、ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベン系蛍光増白剤を用いることが特に好ましい。
【0035】
蛍光増白剤をラミネート層に添加する場合、その添加量はラミネート樹脂に対して0.005〜1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0036】
本発明においては、白地改良を目的として現像処理ラインの最終処理浴中に蛍光増白剤を添加させることも可能であるが、光沢感低下や画像保存でのムラ発生を抑制するという本発明の効果を高めるために、前記、現像処理ラインの最終処理浴中の蛍光増白剤含有量が0.5g/L以下であることが好ましく、実質的には、最終処理浴中に添加しない態様がより好ましい。
【0037】
もし添加する場合の蛍光増白剤としては、水溶性のトリアジルスチルベン系の蛍光増白剤が好ましく、具体的には特開平8−248600号に記載されているような化合物が挙げられる。
【0038】
本発明においては、ハロゲン化銀写真感光材料の塗工層中に蛍光増白剤を含有させることも可能であるが、本発明の効果を高めるために、実質的には感光材料の塗工層中に添加しない態様が好ましい。もし用いる場合においても、蛍光増白剤含有量が0.05g/m2以下であることが好ましい。
【0039】
この蛍光増白剤としては、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発する事のできる化合物であれば制限はない。ハロゲン化銀乳剤層またはその他の写真塗布構成層中に水溶性蛍光増白剤を直接添加する方法は、英国特許第1,072,915号明細書、米国特許第2,322,027号明細書、特公平4−81783号公報等に開示されており、油溶性蛍光増白剤を高沸点有機溶媒に溶解させた後乳化分散して添加する方法が、特公昭45−37376号公報、同45−11111号公報、同51−47043号公報、米国特許第3,416,923号明細書、同第3,418,127号明細書に開示され、さらにポリマー中に蛍光増白剤を添加したり、カプラー等の写真用分散剤と同時に溶解分散したりして添加する方法などが知られている。
【0040】
本発明においては、分子中にスルホン酸基を少なくとも1個以上有する蛍光増白剤が好ましく、なかでも1分子中スルホン酸基を4個以上有するジアミノスチルベン系蛍光増白剤を挙げることができる。例えば特開平4−1633号5頁右上に記載の一般式IIで示される化合物を好ましい化合物として挙げる事ができ、その具体例としては、特開平4−1633号明細書5頁右下〜7頁左上に記載の化合物1〜23を挙げる事ができる。蛍光増白剤は感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性層などのいずれの写真構成層に添加してもよいが、カブリ低減の観点から好ましくは非感光性層である。蛍光増白剤の添加量は、少ないほど本発明の効果が高く、好ましくは0.05g/m2以下である。
【0041】
本発明にかかるハロゲン化銀写真感光材料には、蛍光増白剤の効果を十分に引き出すために、前記一般式(1)で表されるUV吸収剤を用いることが好ましい。
【0042】
一般式(1)において、R1、R2はそれぞれアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、R3は1価の有機基を表す。R1、R2で表されるアルキル基としては炭素数1〜18のものが好ましく、直鎖でも分岐でも、または環状であっても良い。R1、R2で表されるアルコキシ基は炭素数1〜18のものが好ましく、直鎖でも分岐でも、または環状であっても良い。R1、R2で表されるアリール基としてはフェニル基が好ましい。R1、R2で表されるアリールオキシ基としてはフェノキシ基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基は置換基を有しても良い。また、R1及びR2の少なくとも1つは2−ヒドロキシフェニル基を含むことが好ましい。
【0043】
3で表される1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基が挙げられ、特に好ましくはアルコキシ基である。前記アルキル基、アルコキシ基は、直鎖でも分岐でも、または環状であっても良い。又、前記アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基は他の置換基により置換されてもよい。
【0044】
一般式(1)で表されるUV吸収剤の具体例としては、例えば特開平5−117282号段落(0085)〜(0101)、あるいは特開平7−134360号段落(0020)〜(0028)に記載の化合物などを挙げることができる。
【0045】
一般式(1)で示される化合物は、感光性層、非感光性層のいずれに添加しても良いが、好ましくは少なくとも非感光性層に添加されており、さらに好ましくは支持体より最も遠い感光性層に隣接した支持体とは反対側の非感光性層に添加されていることである。添加量に制限はないが、0.05〜15g/m2が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5g/m2である。
【0046】
本発明においては、明るい白地を再現しコントラストを改善する目的で、処理浴中に前記一般式(Z)で表される化合物を添加する態様が好ましい。
【0047】
前記一般式(Z)において、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。但し、上記の式の分子内にアゾ基またはジアミノスチルベン構造を含有することはない。
【0048】
前記の一般式(Z)で表される化合物について更に詳細に説明する。
【0049】
1、R2またはR3で表されるアルキル基は、置換基を有するものを含み、炭素数1〜20のものが好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のものであり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0050】
1、R2またはR3で表されるアリール基は置換基を有するものを含み、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のものであり、例えばフェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2、4−ジスルホフェニル基が挙げられる。
【0051】
1、R2またはR3で表されるヘテロ環基は置換基を有するものを含み、炭素数2〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いたものであり、例えば2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0052】
1及びR2は、好ましくは水素原子、アルキル基およびアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、また更に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
【0053】
1及びR2が結合して形成する含窒素へテロ環としては5員環又は6員環が好ましい。環の例としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環およびモルホリン環が挙げられる。
【0054】
1、X2、Y1またはY2がヘテロ環基の場合、置換基有するものを含み、好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族の含窒素ヘテロ環化合物から窒素原子に結合した1個の水素原子を取り除いた1価の5員環基または6員環基であり、環の例としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環およびモルホリン環が挙げられる。
【0055】
1、X2、Y1及びY2がいずれも−N(R1)R2の場合、4つのR1及び4つのR2のうち、アリール基は2個以下であることが好ましい。
【0056】
Lで表されるアリーレン基は置換基有するものを含み、フェニレン基またはナフチレン基が好ましく、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロー1,4−フェニレンが挙げられる。
【0057】
これらの中でも好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンであり、さらに好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレンである。
【0058】
Lで表されるヘテロ環基は置換基を有するものを含み、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜8のものであり、例えば3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。
【0059】
Lで表されるアルキレン基、アルケニレン基は置換基を有するものも含み、炭素数は1〜10のものが好ましく、2〜5がより好ましい。例えば、エチレン、トリエチレン、プロピレン、ビニレン、プロピレン等が挙げられる。
【0060】
本発明に用いる一般式(Z)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
【0061】
また本発明においては、上記一般式(Z)で表される化合物を1種のみを用いても良いが、溶解性の向上など必要に応じて2種以上混合して用いることも好ましい。
【0062】
本発明に用いる一般式(Z)で表される化合物は、現像工程における乾燥工程の一つ前の処理工程、すなわち水洗、あるいはリンス処理または安定化処理工程等現像処理ラインの最終処理浴で用いられる処理液に使用する態様が好ましい。
【0063】
安定化液またはリンス液への添加量は、最終処理浴中の固形分量が5g/L以下であるという本発明の範疇であれば特に制限はないが、処理液の保存安定性の観点から使用液1リットルあたり0.1mmol以上20mmol以下が好まく、0.5mmol以上10mmol以下が特に好ましい。
【0064】
一般式(Z)で表わされる化合物は、例えば松井弘次著,有機合成化学協会誌,第17巻528頁(1959年刊)及び特許第2,618,748号を参考にして合成することができる。
【0065】
本発明の画像形成方法は、デジタル露光をすることを特徴とするが、本発明においては、(R,G,B)=(0,0,0)で表される画像データに基づき露光され現像されたプリントの画像領域を黒地部分と定義する。本発明においては、黒地部分の明度は5≦L*≦9である態様が好ましい。ここで、L*は、CIE1976L***により定義された色空間におけるL*値であり、本発明においては、D65光源、2度視野条件におけるL*値を用いる。L*<5の場合、すなわち黒地濃度が比較的高い場合であるが、この場合、処理条件変動による黒地部分の光沢差がやや目立ちやすくなってくる。一方、L*>9の場合、すなわち黒地部分の濃度が比較的低い場合であるが、この場合黒地部分の光沢差はあまり目立たないものの、プリント全体のコントラストがやや低下する傾向にある。そのため、本発明においては、黒地部分の明度が5≦L*≦9である態様が好ましい。
【0066】
以下、本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理ラインについて説明する。
【0067】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理ラインとしては、少なくとも発色現像工程、脱銀工程、リンス処理または安定化処理工程から構成されていることが好ましく、本発明における最終処理浴に用いられる処理液は、リンス処理または安定化処理工程において用いられる安定化液である。
【0068】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理ラインの最終処理工程において用いられる安定化液は、前記のように、一般式(Z)で表される化合物を含有することが好ましい。一般式(Z)で表される化合物は1種のみを用いても良いが、溶解性の向上など必要に応じて2種以上混合して用いることも好ましい。
【0069】
前記のように、本発明に用いる一般式(Z)で表される化合物の安定化液への添加量は、処理液の保存安定性の観点から使用液1リットルあたり0.1mmol以上20mmol以下が好まく、0.5mmol以上10mmol以下が特に好ましい。
【0070】
本発明の安定化液には、前記のほか、水中の金属イオンの封鎖剤としてキレート剤(例えば、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(例えば、炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(例えば、ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(例えば、トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩等)等、通常安定化液に含有せしめる成分を適宜用いることができる。
【0071】
更に、亜硫酸塩、重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含有させることもできる。亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。また、スルフィン酸化合物やピロリンドン構造をもつ化合物、界面活性剤を添加することができる。
【0072】
本発明の安定化液においては、前記の通り、蛍光増白剤は含有しないことが好ましいが、添加する場合、蛍光増白剤含有量が0.5g/L以下であることが好ましく、水溶性のトリアジルスチルベン系の蛍光増白剤が好ましく、具体的には前記の通り、特開平8−248600号に記載されているような化合物が挙げられる。
【0073】
安定化液が、現像処理ラインの最終処理浴で用いられる場合、最終処理浴中の固形分量が5g/L以下であることが本発明の特徴であり、前記各成分は、これを超えない範疇であればよい。
【0074】
最終処理浴における安定化液が上記構成を採ることにより、安定化処理槽で発生する固化物による影響を低減し、処理後の光沢感の変化がなく、プリント保存時の白地ムラが目立たないという、安定化液組成物に起因するカラーペーパーへの付着物による影響を緩和する効果が最大限発揮される。
【0075】
上記説明した安定化液に添加する各種化合物は、あらゆる塩の形で添加することができるが、本発明の安定化処理組成物においては、全カチオンに対してアンモニウム塩の比率が50モル%未満とすることが特徴であり、アンモニウム塩の比率が50モル%以上では、処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料を高温下で長期間にわたり保存した際に、イエローステインの発生が助長される。
【0076】
本発明においては、アンモニウム塩の比率としては好ましくは25%未満であり、特には、安定化液がアンモニウム塩を全く含有しない構成であることが好ましい。
【0077】
本発明の安定化処理組成物の形態としては、固体処理剤であることが、本発明の目的をより効果的に発現する。固体処理剤の中でも最も好ましいのは錠剤タイプの固体処理剤である。
【0078】
写真処理剤を固体化するには、濃厚液または微粉ないし粒子写真処理剤と水溶性結着剤を混練し成型化するか、仮成型した写真処理剤の表面に水溶性結着剤を噴霧したりすることで被覆層を形成する等、任意の手段が採用でき、例えば、特開平4−29136号、同4−85533号、同4−85534号、同4−85535号、同4−85536号、同4−172341号の各公報に記載の内容を参照することができる。
【0079】
好ましい錠剤の製造法としては、粉末状の固体処理剤を造粒した後、打錠工程を行い形成する方法である。単に固体処理剤成分を混合し打錠工程により形成された固体形処理剤より溶解性や保存性が改良され結果として写真性能も安定になるという利点がある。
【0080】
錠剤形成のための造粒方法としては、例えば、転動造粒、押し出し造粒、圧縮造粒、解砕造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒等公知の方法を用いることができる。錠剤形成のためには、得られた造粒物の平均粒径は造粒物を混合し、加圧圧縮する際、成分の不均一化、いわゆる偏析が起こりにくいという点で、100〜800μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは200〜700μmである。更に粒度分布は造粒物粒子の60%以上が±100〜150μmの偏差内にあるものが好ましい。得られた造粒物はそのまま顆粒として用いられる。次に得られた造粒物を加圧圧縮する際には公知の圧縮機、例えば油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッテングマシンを用いることができる。加圧圧縮されて得られる固体処理剤は任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点からまたはユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題からは円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0081】
更に好ましくは造粒時、各成分毎、例えば、アルカリ剤、還元剤、漂白剤、保恒剤等を分別造粒することによって更に上記効果が顕著になる。
【0082】
錠剤処理剤の製造方法は、例えば、特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号の各公報、英国特許第1,213,808号明細書に記載される一般的な方法で製造でき、更に顆粒処理剤は、特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号及び同3−39739号等の公報に記載される一般的な方法で製造できる。更に又粉末処理剤は、例えば、特開昭54−133332号公報、あるいは英国特許第725,892号、同第729,862号及びドイツ特許第3,733,861号等の明細書に記載されるが如き一般的な方法で製造できる。
【0083】
安定化処理工程における処理温度は、処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の種類、特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の見地から望ましい。好ましくは5秒〜1分45秒、更に好ましくは10秒〜1分であることが好ましい。
【0084】
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましい。具体的な好ましい補充量は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の単位面積あたり前浴からの持込み量の0.5〜50倍が好ましく、より好ましくは3倍〜40倍である。またはハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下である。また、補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
【0085】
本発明においては、安定化液を用いた安定化工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2層以上で構成されていても良いが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
【0086】
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながらハロゲン化銀カラー写真感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理がなされる方式である。
【0087】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法においては、露光を施したハロゲン化銀カラー写真感光材料を、発色処理工程(発色現像液)での処理に続いて、漂白工程(漂白液)、定着工程(定着液)あるいは漂白定着工程(漂白定着液)、安定化工程(安定化液)を経て、乾燥する。また、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。以下に本発明で用いられる発色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液について説明する。
【0088】
本発明に係る発色現像液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0089】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル)−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル)−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキンメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは、例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは遊離塩基型(フリー体ともいう)である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、現像液1L当たり2mmol〜200mmolが好ましく、より好ましくは6mmol〜100mmolであり、特に10mmol〜40mmolが好ましい。
【0090】
本発明に用いられる発色現像液においては、発色現像主薬の酸化による消失を減じるため、保恒剤を含有することが好ましい。代表的な保恒剤としては、ヒドロキシルアミン誘導体が挙げられる。本発明で用いることのできるヒドロキシルアミン誘導体としては、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン塩の他、例えば、特開平1−97953号、同1−186939号、同1−186940号、同1−187557号公報などに記載されているヒドロキシルアミン誘導体を用いることができるが、特に、下記一般式〔A〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体が好ましい。
【0091】
【化3】

【0092】
上記一般式〔A〕において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキルスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
【0093】
上記一般式〔A〕において、Lは炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基、または、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に、炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、または、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。なお、B及びR′は前記Aの説明に記載のそれらと同義である。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
【0094】
以下に、一般式〔A〕で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0095】
【化4】

【0096】
【化5】

【0097】
【化6】

【0098】
また、保恒剤として亜硫酸塩を使用することも好ましく、その濃度は、カラーネガフィルム用発色現像液においては、0.005〜1.0mol/Lが好ましく、カラーペーパー用は色現像液においては、0〜0.1mol/Lが好ましい。本発明で用いることのできる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなどを挙げることができる。
【0099】
発色現像液には、上記説明した保恒剤の他に、下記に示す保恒剤の使用を制限するものではない。ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などを挙げることができる。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同第2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
【0100】
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンの如き特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
【0101】
本発明に用いられる発色現像液は9.0以上、13.5以下であることが好ましく、更に好ましく9.5以上、12.0以下であり、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含ませることができる。
【0102】
発色現像処理液を調製したときに、上記pHを保持する観点からは、下記に示す緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH10.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カプリなど)がなく、安価であるといった観点から好ましい緩衝剤である。
【0103】
上記緩衝剤の例示化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0104】
これら緩衝剤は、発色現像液1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0105】
本発明に用いられる発色現像液には、その他の成分として、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液処理中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1リットル当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
【0106】
本発明に用いられる発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液1リットルあたり0.001〜0.2モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0107】
発色現像液には、必要に応じて、ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0108】
また、本発明に用いられる発色現像液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販のジアミノスチルベン系増自剤を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkol BRKが好ましい。
【0109】
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記した蛍光増白剤の添加量としては、発色現像液1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0110】
カラーペーパー用の発色現像処理液中に臭素イオンが含まれる場合は、1.0×10-3モル/リットル以下であることが好ましい。カラ−ペーパー用の発色現像処理液では、塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが好ましいが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のこともある。
【0111】
また、本発明において、処理方法で適用されうる発色現像の処理温度は、現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、30〜55℃が好ましく、より好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、5〜90秒が好ましく、より好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。なお、本発明でいう発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程(例えば漂白定着液)に入るまでの時間をいう。自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程に向けて液外を搬送される時間(いわゆるクロスオーバータイム)との両者の合計を発色現像時間という。また、クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。
【0112】
本発明において、漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸及び有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
【0113】
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットルが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
【0114】
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージャー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
【0115】
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸及びこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
【0116】
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物及びチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.1〜5.0モルが好ましく、更に好ましくは0.3〜2.0モルの範囲である。漂白定着液または定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、更には5〜9が特に好ましい。
【0117】
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
【0118】
漂白液、定着液、漂白定着液は、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等などの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
【0119】
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0120】
また、本発明の処理方法に適用されうる、漂白定着工程に要する時間は90秒以下であることが好ましく、より好ましくは45秒以下である。ここでいう漂白定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また。漂白定着液の温度は20〜70℃が好ましく、望ましくは25〜50℃である。また、漂白定着液の補充量は200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜100ml/m2である。
【0121】
漂白処理液の補充量は、200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは50ml/m2〜200ml/m2である。また、漂白工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう漂白工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。
【0122】
定着処理液の補充量は、600ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20ml/m2〜500ml/m2である。また、定着工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25℃〜50℃であることが好ましい。
【0123】
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、画像色素供与物質としてイエロー色素形成カプラーを含有する青感光性ハロゲン化銀乳剤層、画像色素供与物質としてマゼンタ色素形成カプラーを含有する緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラーを含有する赤感光性ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0124】
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーの構成例を説明する。
【0125】
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、中でも塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、あるいは塩沃化銀の場合、本発明の効果が顕著となり好ましい。また、迅速処理性、処理安定性の観点からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0126】
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間露光における高濃度域での特性曲線の軟調化を軽減する観点から、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤を好ましく用いることができる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面、あるいは結晶粒子の頂点であることが特に好ましい。
【0127】
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間の走査露光での軟調化を軽減する観点から、重金属イオンを含有させたハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や錯塩の形態でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。
【0128】
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子またはイオンとしては、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0129】
ハロゲン化銀粒子に上述の重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の時期で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体或いは一部に亘って連続的に行うことができる。
【0130】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に1×10-8モル以上、5×10-5モル以下が好ましい。
【0131】
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0132】
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子は単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
【0133】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び、感度や他の写真性能などを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使って、これを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積として、これを表すことができる。
【0134】
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、下記式によって定義される。
【0135】
変動係数=S/R
(ここで、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子においては、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0136】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れの方法により得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一度に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後、成長させたものでもよい。種粒子を調製する方法と粒子を成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0137】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、あるいはそれらの組合せた方法など、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0138】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0139】
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、中でもイオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲が好ましい。
【0140】
金増感剤としては、例えば、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、例えば、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0141】
本発明に係る感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の構成層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
【0142】
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料、及び特開平6−3770号公報明細書記載の染料、さらに特開平11−119379号公報に記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。
【0143】
本発明に係る感光材料中に蛍光増白剤を添加することが、白地性改良の観点から好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0144】
本発明に係る感光材料は、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0145】
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の分光増感に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
【0146】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0147】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0148】
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)または(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許第488,248号明細書及び同第491,197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0149】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許第333,185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許第456,226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許第484,909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0150】
また、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号〔0012〕〜同〔0059〕の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0151】
本発明において、マゼンタ色画像形成層で用いるマゼンタカプラーとして、例えば、5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級または3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号〔0009〕〜同〔0026〕はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854,384号明細書、同第884,640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0152】
また、本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、欧州特許第447,969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許第482,552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州特許第953,870A1号明細書、同第953,871A1号明細書、同第953,872A1号明細書、同第953,873A1号明細書、同第953,874A1号明細書、同第953,875A1号明細書等に記載のピロール−2または3−イル若しくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0153】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加する方法として水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0154】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0155】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も用いることができる。
【0156】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開昭64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物及び特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0157】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報の9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報の10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
【0158】
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良したりすることが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報の13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14及び17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0159】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良したりすることが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0160】
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0161】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましく、例えば、特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤及び抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料の処理前あるいは処理後の表面物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0162】
本発明に係る感光材料においては、イエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を、それぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数の色画像形成層でユニットを形成してもよい。
【0163】
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料及び特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0164】
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0165】
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
【0166】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0167】
本発明に係る感光材料中には、蛍光増白剤は、前記のように、本発明の効果を高めるために、実質的には感光材料中に添加しない態様が好ましい。もし用いる場合においても、蛍光増白剤含有量が0.05g/m2以下であることが好ましい。
【0168】
紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、前記の分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物が好ましい。
【0169】
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
【0170】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0171】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0172】
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0173】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、及び塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0174】
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0175】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられる。
【0176】
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0177】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0178】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
【0179】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0180】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく好ましい。
【0181】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
【0182】
本発明においては、前記のように、支持体中に蛍光増白剤を添加する態様が好ましい。特に、ハロゲン化銀粒子および画像色素供与物質を含んでなる感光性層(画像形成層)を設ける側の樹脂ラミネート層に蛍光増白剤を添加する方法が好ましく用いられる。
【0183】
本発明に用いることができる支持体の厚さに特に制限はないが、現像処理後に皮膜中に残存する固体成分の析出を抑制するために、現像処理後の乾燥工程における乾燥温度を下げた場合でも乾燥効率が低下しにくいという観点から、好ましくは平均厚さが250μm以下、さらに好ましくは220μm以下である態様が望ましい。
【0184】
本発明に係る感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0185】
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【実施例】
【0186】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0187】
実施例1
〈支持体A〜Eの作製〉
表1に示す坪量の写真用原紙について、その表裏に密度が0.92の低密度ポリエチレンを押し出し塗布法により塗布して両面をポリエチレンで被覆した支持体A〜Eを作製した。なお、表側(感材層塗布側)のポリエチレン樹脂層にアナターゼ型酸化チタンを13%、および蛍光増白剤(FB−1)を25mg/m2となるように含有する。この時、ラミネート前の紙基質の含水率、および表側及び裏側のポリエチレンの付き量(g/m2)を表1に示すように変化させた。
【0188】
〈支持体Fの作成〉
上述の支持体Bの作製において、表側(感材層塗布側)のポリエチレン樹脂層から蛍光増白剤(FB−1)を除いた以外は同様にして、支持体Fを作製した。
【0189】
蛍光増白剤(FB−1):4,4′−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン
【0190】
【表1】

【0191】
〈ハロゲン化銀乳剤の調製〉
以下の方法に従って、各感光性ハロゲン化銀乳剤を調製した。
【0192】
〔青感光性ハロゲン化銀乳剤の調製〕
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)を、pAgを7.3、pHを3.0に制御しつつ30分かけて同時添加した。続いて、下記(C液)及び(D液)をpAgを8.0、pHを5.5に制御しつつ150分かけて同時添加した。更に、下記(E液)及び(F液)を、pAgを8.0、pHを5.5に制御しつつ、30分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は、特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0193】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 71.9g
2IrCl6 4×10-8モル/モルAg
4Fe(CN)6 2×10-5モル/モルAg
臭化カリウム 0.7g
水を加えて 420ml
(D液)
硝酸銀 210g
水を加えて 420ml
(E液)
塩化ナトリウム 30.8g
臭化カリウム 0.30g
水を加えて 180ml
(F液)
硝酸銀 90g
水を加えて 180ml
上記各液の添加が終了した後、花王アトラス社製のデモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して、平均粒径が0.64μm、粒径分布の変動係数が0.07、塩化銀含有率が99.5モル%の単分散立方体乳剤である乳剤EMP−1Aを得た。
【0194】
次いで、上記EMP−1Aの調製において、(A液)と(B液)の添加時間、(C液)と(D液)の添加時間、及び(E液)と(F液)の添加時間をそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径が0.50μm、粒径分布の変動係数が0.07、塩化銀含有率が99.5モル%の単分散立方体乳剤である乳剤EMP−1Bを調整した。
【0195】
次いで、上記乳剤EMP−1Aに対し、下記化合物を用いて60℃にて化学増感を行った。また、乳剤EMP−1Bに対しても同様に化学増感した後、増感された乳剤EMP−1Aと乳剤EMP−1Bを銀量比で1:1の割合で混合して、青感光性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0196】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 4×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 4×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
〔緑感光性ハロゲン化銀乳剤の調製〕
前記乳剤EMP−1Aの調製において、(A液)と(B液)、(C液)と(D液)及び(E液)と(F液)の添加時間をそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径が0.50μm、粒径分布の変動係数が0.08、塩化銀含有率が99.5モル%の単分散立方体乳剤である乳剤EMP−2A、及び平均粒径が0.42μm、粒径分布の変動係数が0.08、塩化銀含有率が99.5モル%の単分散立方体乳剤である乳剤EMP−2Bを調製した。
【0197】
上記調製した乳剤EMP−2Aに対し、下記化合物を用い60℃にて化学増感を行った。また、乳剤EMP−2Bに対しても同様に化学増感した後、増感された乳剤EMP−2Aと乳剤EMP−2Bとを、銀量比で1:1の割合で混合し、緑感光性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
【0198】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3.0×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3.5×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3.1×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〔赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製〕
前記乳剤EPM−1Aの調製において、(A液)と(B液)、(C液)と(D液)及び(E液)と(F液)の添加時間をそれぞれ変更した以外は同様にして、平均粒径が0.40μm、粒径分布の変動係数が0.08、塩化銀含有率が99.5モル%の単分散立方体乳剤である乳剤EMP−3A及び、平均粒径が0.42μm、粒径分布の変動係数が0.08、塩化銀含有率が99.5モル%の単分散立方体乳剤である乳剤EMP−3Bを調製した。
【0199】
上記調製した乳剤EMP−3Aに対し、下記化合物を用い60℃にて化学増感を行った。また、乳剤EMP−3Bに対しても同様に化学増感した後、増感された乳剤EMP−3Aと乳剤EMP−3Bとを、銀量比で1:1の割合で混合し、赤感光性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
【0200】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 4×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 4×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
安定剤:SS−1 2×10-3モル/モルAgX
【0201】
【化7】

【0202】
〈感光材料P101の作製〉
作製した支持体Aををコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層(0G層)50g/m2)を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設し、カラーペーパーである試料101を作製した。ただし表2、3中、ハロゲン化銀乳剤の添加量は、銀に換算して記載した。
【0203】
上記感光材料P101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0204】
【表2】

【0205】
【表3】

【0206】
なお、表1、表2に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0207】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0208】
【化8】

【0209】
【化9】

【0210】
【化10】

【0211】
【化11】

【0212】
【化12】

【0213】
〈感光材料P102〜P110の作成〉
前述の感光材料(P101)の作製において、表4に示すように、使用した支持体を、また第2層への添加剤(PVP及び蛍光増白剤W−1)追加、紫外線吸収層の紫外線吸収剤種類を変更した以外は同様にして、感光材料P102〜P110を作製した。
【0214】
【表4】

【0215】
【化13】

【0216】
(評価用プリントの作成)
上述のようにして作成した感光材料P101〜P110に対して、デジタルミニラボR1super(コニカミノルタ(株)製)を用いて、以下のような露光・現像処理を行い、プリントを作成した。
【0217】
露光は、photoshop7.0(アドビ社製)を用いて作成した黒ベタ及び白ベタ部を含む画像データを用いて行った。また、R1superの安定化浴の浴液および補充液を表5に示すように変更して(Stb−1〜Stb−4)、同様のプリント作成を行った。
【0218】
【表5】

【0219】
表において添加剤の単位はg/L
【0220】
【化14】

【0221】
さらに、プリント作成前後で、安定化浴の最終浴から安定化液を抜き取り、乾固質量を求め、その平均値を最終浴中の固形成分とした。
各感光材料および安定化液の組み合わせ(runD101〜D123;表4に示す)で得たプリントそれぞれについて以下の評価を行った。
【0222】
〈プリントの評価〉
(像鮮明度C)
プリントの像鮮明度Cは、JIS H 8686に規定する方法に準じて、写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機械(株)製)で反射60度、光学くし2mmでの像鮮明度C%(C値)を測定した。測定は同一試料でプリントの縦方向、横方向で各々5回行い、計10回測定の平均値をとった。像鮮明度Cの値が大きいほど、平滑感が高く好ましいプリントであることを表す。
【0223】
(黒地光沢感)
プリントの光沢感は、黒ベタプリントについて光沢度を測定し、これを光沢感の指標とした。光沢度は、JIS Z 8741に規定する方法に準じて、日本電色工業社製の光沢度計(VGS−1001DP)を用いて60度鏡面光沢度を測定し、これを光沢度とした。測定は同一試料でプリントの縦方向、横方向で各々5回行い、計10回測定の平均値をとった。光沢度の値が高いほど光沢感に優れた好ましいプリントである。良好な光沢感を得るためには、前述の像鮮明度Cと光沢度の両方が高い値を示す必要があり、どちらか一方の値が低い場合には、十分な光沢感を得ることができない。
【0224】
(コントラスト)
各プリントの白ベタ画像及び黒ベタ画像について、spectroscan測色計(Gretag macbeth社製)を用いて測定を行い、D65/2度視野条件でのL***値を求め、白ベタ画像と黒ベタ画像のL*の差の絶対値をコントラストを表す指標とした。この値が大きいほど、文字画像など黒白のコントラスト対比が目立つ画像において、メリハリのきいた再現が可能であることを表す。
【0225】
(保存でのムラ)
各プリントの白ベタ画像について、75℃60%RHの恒温恒湿機内に24時間放置した後取り出し、23℃55%RHの環境に24時間放置するというサイクルを計14回行い、発生するステインのムラについて、10人の被験者で目視による5段階の主観評価を行った。数値が大きいほど、ムラが目立たず良好であることを表す。
【0226】
上記のように評価を実施した結果を表6に併せて示す。
【0227】
【表6】

【0228】
表6の結果より、D101〜D103及びD122、D123は、現像処理ラインの最終浴中の固形分量が5g/L以下であるという本発明の要件を満たしておらず、黒地光沢度が低く、また保存でのムラも目立ちやすくなっており好ましくないことがわかる。また、D101、D104、D107、D110、D113、及びD115で得られたプリントは、像鮮明度Cが70以上という本発明の要件をみたしておらず、プリントのゆず肌感が目立ち、高級感に欠け好ましくないことに加え、さらにプリントのコントラストも低めであった。これらに対し、本発明の要件を満たすその他のプリントは、高い光沢感を維持しつつ、さらに処理液の状態が変化しても、処理後の光沢感低下やプリント保存時の白地ムラが目立ちにくい高品質なプリントを得ることができた。
【0229】
実施例2
〈感光材料P111〜P114の作成〉
実施例1の感光材料P102の作製において、各感色性層のハロゲン化銀量を表7に示すように変更した以外は同様にして、感光材料P111〜P112を、また感光材料P103の作成において各感色性層のハロゲン化銀量を表7に示すように変更した以外は同様にして、感光材料P113〜P114を作製した。
【0230】
【表7】

【0231】
このようにして作成した感光材料P111〜P114に対し、実施例1と同様の評価を行った。また、数値に表しにくい光沢質感の安定性を評価するために、黒ベタを含むプリントを多数枚作成し、光沢質感の安定性について10人の被験者で目視5段階の主観評価を行った。数値が大きいほど、多数枚プリントを連続作成した場合に光沢質感のばらつきが小さく、安定した光沢質感が得られていることを表す。
【0232】
結果を合わせて表8に示す。
【0233】
【表8】

【0234】
表8の結果より、黒地L*が5以上9以下という本発明の好ましい範囲を満たすD201およびD204で得られたプリントが、総合的にもっとも評価が高かった。これは、D202およびD205に対しては、黒地濃度が高く、高コントラストであるために光沢の質感が高く評価され、またD203及びD206に対しては、コントラストは若干劣るものの、多数枚の連続プリントを実施しても黒ベタ部分の光沢感の変化が小さく、安定したプリントが得られたことによる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀粒子および画像色素供与物質を含んでなるハロゲン化銀写真感光材料をデジタル露光後に現像処理を行って、プリントを得る画像形成方法において、現像処理済みの前記プリントの像鮮明度Cが70以上であり、かつ現像処理ラインの最終処理浴中の固形分量が5g/L以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化銀写真感光材料の支持体は、紙基質に樹脂をラミネートした樹脂被覆紙であり、かつ感光性層を塗工する側の樹脂層中に、少なくとも一種の蛍光増白剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記、現像処理ラインの最終処理浴中の蛍光増白剤含有量が0.5g/L以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記、現像処理ラインの最終処理浴が、一般式(Z)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【化1】

(式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。但し、上記の式の分子内にアゾ基またはジアミノスチルベン構造を含有することはない。)
【請求項5】
前記ハロゲン化銀写真感光材料中の蛍光増白剤含有量が0.05g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化銀写真感光材料が、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【化2】

(式中R1、R2はそれぞれアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、R3は1価の有機基を表す。)
【請求項7】
現像処理済みの前記プリントの黒地部分の明度が5≦L*≦9であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。

【公開番号】特開2007−101838(P2007−101838A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290816(P2005−290816)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】