説明

ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法

【課題】 カラープルーフを作製するハロゲン化銀写真感光材料の製造方法において、画像ムラがなく、露光中の脱落が少ないハロゲン化銀写真感光材料の製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層と反対側に親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料の製造方法において、該親水性コロイド層は親水性コロイド中で分散されたマット剤を含有する塗布液を塗布乾燥したものであることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認する印刷用プルーフに用いるハロゲン化銀写真感光材料に関し、詳しくは湿度が変度しても画像ムラがなく、更に露光する際のドラムから脱落しないハロゲン化銀写真感光材料とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化銀写真感光材料(以下、感光材料ともいう)は高感度である、色再現性に優れている、連続処理に適している等から、一般用の写真分野のみでなく、印刷分野でも、印刷の途中の段階で、最終印刷物の仕上がり状態を事前にチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
上記プルーフ分野では、コンピューター上で編集された画像を、それを出力した印刷用フィルムを用いて、感光材料であるカラー印画紙上に形成させ、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われている。すなわち、現像済みフィルムを平面の原稿台に載せ、蛍光灯等の光源を用いて行う走査露光を、このフィルムを適宜交換しつつ、分解露光することによってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像をカラー印画紙紙に形成させている。
【0004】
ところが近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピューター内のデータから直接画像を得る要求が強まっている。途中でフィルム等の媒体を用いないでプルーフを得る感光材料の画像形成方法の一例として、外面露光ドラムで感光材料を保持する方法がある。すなわち、感光材料を適当な大きさに切断後、吸引孔等を開けた露光ドラムに減圧密着し、この露光ドラムを回転させつつ露光ヘッドを回転軸と平行に移動しながら、画像データに基づいたデジタル信号で光源を変調しながら走査露光を行う。この露光光源の波長を変えることでイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成している。
【0005】
しかしながら、上記の平面の原稿台を用いる方式は、蛍光灯等を用いた走査露光には向いているが、レーザーやLEDを用いた光ビームによる露光方式においては、光学系が大型で複雑となり、その結果非常に高価になるので好ましくない。
【0006】
また、外面露光ドラムを用いた露光方式は、短時間で露光を終了するためには露光ドラムを高速回転させるか、あるいは露光光源数(ch数)を増やすマルチチャンネル化が必要となる。高速回転させた場合、遠心力や空気との抵抗で感光材料がドラムから脱離しやすくなる。これを避けるためには、露光ドラムへの減圧密着度を上げる必要があるが、あまり上げ過ぎると、吸引孔等のドラム表面の影響で画像ムラ等の影響が出やすくなる。
【0007】
また、マルチチャンネル化する場合は、露光ヘッド部が大型化し、コストアップが避けられず、また各chのバラツキによる画像ムラも起こりやすくなる。
【0008】
前記装置は種々の環境下に置かれ、いずれの環境下でも正規に露光されることが望まれている。湿度が高くなると、画像ムラが生じ易く。湿度が低くなると露光ドラムから脱落し易くなる。
【0009】
透明フィルムを用いてハロゲン化銀乳剤を含まない側のスムースター値を規定している(例えば、特許文献1参照。)が、反射支持体、特に薄手の反射支持体を用いた場合は、画像ムラに対して若干効果があるものの、カールの問題の解消には至っていない。また、ゼラチンに対する微粉末の質量比とゼラチン層のpHがゼラチン等電点より高いことを特徴としている開示がある(例えば、特許文献2参照。)が、カールに対しては効果があるが、画像ムラに対してはほとんど効果が見られない。乳剤面側と支持体に対しその反対面側のゼラチン付量のバランスを規定している(例えば、特許文献3参照。)が、画像ムラには若干効果があるが、湿度が変化した場合その効果がないことが判った。
【特許文献1】特開平5−224348号公報
【特許文献2】特開平9−304899号公報
【特許文献3】特開2000−181014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、画像ムラがなく、更に露光する際のドラムから脱落しないハロゲン化銀写真感光材料とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0012】
(請求項1)
支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層と反対側に親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料の製造方法において、該親水性コロイド層は親水性コロイド中で分散されたマット剤を含有する塗布液を塗布乾燥したものであることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
【0013】
(請求項2)
マット剤を含有する塗布液が、親水性コロイド濃度が1〜10質量%、シリカ濃度が1〜10質量%で分散されていることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
【0014】
(請求項3)
支持体がポリオレフィンで被覆された紙支持体であることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
【0015】
(請求項4)
請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法で製造されたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、画像ムラがなく、更に露光する際のドラムから脱落しないハロゲン化銀写真感光材料とその製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を更に詳しく説明する。本発明に用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよく、例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩類等を用いることができる。
【0018】
また有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉誘導体、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載の澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレンあるいはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネート等を用いることができる。
【0019】
更に、本発明に用いられるマット剤として、不定形シリカ、窒化硼素、窒化アルミニウム、球形シリカ、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、ポリメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、シリコーン、テフロン(登録商標)等がある。また、微粒子に滑り性を与えるためワックスやシリコーンオイルをしみ込ませたものや、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いて表面を修飾したものも使用できる。
【0020】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径は0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。より好ましくは平均粒径が4μm以下のものと平均粒径が4μmより大きいマット剤の両方を用いることである。粒子サイズ分布の変動係数としては40%以下であり、更に好ましくは30%以下である。
【0021】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数とは、下記式で表される値である。
【0022】
(粒径の標準偏差)/(平均粒径)×100
本発明に用いられるマット剤は、ハロゲン化銀乳剤層側及び裏面構成層中に含むことができるが、本発明の目的を達成するためには好ましくは裏面構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の裏面構成層(最表面層)である。
【0023】
本発明に用いられるマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法である。
【0024】
本発明において、親水性コロイドとしてはゼラチンが好ましく使用される。特に、ゼラチンの着色成分を除去するためにゼラチン抽出液に過酸化水素処理を施したり、原料のオセインに対し過酸化水素処理を施したものから抽出したり、着色のない原骨から製造されたオセインを用いることで透過率を向上したゼラチンが得られる。ゼラチンはアルカリ処理オセインゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、変性ゼラチンのいずれでもよいが、特にアルカリ処理オセインゼラチンが好ましい。
【0025】
本発明において、マット剤は親水性コロイドの濃度が1乃至10質量%の液中で分散されることが好ましく、更に好ましくは3乃至8質量%である。
【0026】
本発明において、シリカは1乃至10質量%以下の濃度で分散されることが好ましく、更に好ましくは1乃至5質量%以下である。
【0027】
本発明における分散温度は35乃至70℃以下で分散されることが好ましく、更に好ましくは40乃至60℃以下である。
【0028】
本発明の支持体としては、紙を用い、その質量(坪量)が50〜300g/m2であることが好ましく、更に好ましくは80〜150g/m2である。
【0029】
支持体の基体(原紙)は一般的に写真印画紙に用いられている原料から選択できる。例えば、天然パルプ、合成パルプ、天然パルプと合成パルプの混合物の他、各種の抄合わせ紙原料を挙げることができる。針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合パルプ等を主成分とする天然パルプを広く用いることができる。
【0030】
更に、支持体中には一般に製紙で用いられるサイズ剤、定着剤、強力増強剤、充填剤、帯電防止剤、染料、蛍光増白剤等の添加剤が配合されていてもよく、また、表面サイズ剤、表面強力剤、帯電防止剤等を適宜表面に塗布したものであってもよい。
【0031】
支持体の厚みは、70〜200μmであることが好ましく、より好ましくは90〜150μmである。支持体の表面は平滑なものが用いられ、また、その両面をラミネートする樹脂は、エチレン、α−オレフィン類、例えばポリプロピレン等の単独重合体、前記オレフィンの少なくとも2種の共重合体またはこれら各種重合体の少なくとも2種の混合物等から選択することができる。特に好ましいポリオレフィン樹脂は低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンまたはこれらの混合物である。
【0032】
支持体にラミネートされるポリオレフィン樹脂の分子量は特に限定されるものではないが、通常は20,000〜200,000の範囲のものが好ましい。
【0033】
支持体の裏面側(BC側)をラミネートするために用いられるポリオレフィンは、普通、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合物が、それ自体溶融ラミネートされる。そして、この層は一般にマット化加工されることが多い。
【0034】
一般に支持体の表裏両面のラミネートは、ポリオレフィン樹脂組成物を支持体上に溶融押出しコーティング法により形成できる。また、支持体の表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理等を施すことが好ましい。また、ラミネート層表面に親水性コロイド層との接着性を向上させるためのサブコート層、あるいは裏面のラミネート層上に印刷筆記性や帯電防止性を向上するためのバックコート層を設けることが好ましい。
【0035】
支持体表面(ハロゲン化銀乳剤層を設ける側)のラミネートに用いられるポリオレフィン樹脂には、好ましくは13〜20質量%、更に好ましくは15〜20質量%の白色顔料が分散混合される。白色顔料としては、無機及び有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料であり、そのようなものとしては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。これらの中でも好ましくは硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタンであり、更に好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。酸化チタンはルチル型でもアナターゼ型でもよく、また、表面を含水酸化アルミナ、含水酸化フェライト等の金属酸化物で被覆したものも使用される。その他、酸化防止剤や白色性改良のための有色顔料、蛍光増白剤を添加することが好ましい。
【0036】
また、支持体上に白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設することは鮮鋭性が向上し好ましい。白色顔料としては前記と同様の白色顔料を使用することができるが、酸化チタンが好ましい。白色顔料を含有する親水性コロイド層には中空微粒子ポリマーや高沸点有機溶媒を添加することが更に好ましい。
【0037】
支持体の表面の形状は、平滑であってもよいし、適当な表面粗さを有するものでもよいが、印刷物に近い光沢を有するような支持体を選択するのが好ましい。例えば、JIS B 0601−1976に規定される平均表面粗さSRaが0.30〜3.0μmである白色支持体を使用するのが好ましい。
【0038】
本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料の好ましい形態の一つは、赤外感光性乳剤、青色感光性乳剤、緑色感光性乳剤及び赤色感光性乳剤の4種の感光性乳剤で、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像及び黒色画像を形成する。4種の感光性乳剤と形成する画像との組合せは任意に選択できる。
【0039】
黒色画像形成の乳剤は、画像露光し現像されることにより黒色画像の形成可能な乳剤であればよい。好ましい一例では、乳剤は黒色カプラーを含有する黒色画像形成層と組み合わせて使用することができ、また、黒色カプラーの代わりに極大波長の異なる複数のカプラーを用いることができる。また、乳剤が複数の層の画像形成に寄与し、その乳剤が現像されたことによる複数画像の組合せにより黒色画像を形成する場合も好ましい一例である。複数画像の組合せにより黒色画像を形成する例としては、例えばイエロー画像を形成するためのイエロー画像層に乳剤を含有し、別にイエロー画像の補色である青色画像(例えばマゼンタ画像及びシアン画像が同時に形成されることにより青色画像となる)形成層にも乳剤を含有し、乳剤が現像されることで黒色画像が形成されるものがある。更に、乳剤がマゼンタ画像形成層とその補色画像形成層に含有されている場合や、乳剤がシアン画像形成層とその補色画像形成層に含有されている場合もある。
【0040】
別の好ましい一例は、該乳剤はイエロー画像形成層、マゼンタ画像形成層及びシアン画像形成層の何れにも含有され、該乳剤が現像されることにより黒色画像を形成するものである。その場合のイエロー画像形成層、マゼンタ画像形成層、シアン画像形成層に、それ以外の乳剤が含有されてもよいし、含有されない画像形成層であってもよい。
【0041】
本発明のイエロー画像形成性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ画像形成性ハロゲン化銀乳剤層、シアン画像形成性ハロゲン化銀乳剤層は、単独層であっても複数層から構成されてもよい。また、その支持体から塗設される順番は任意に選択できる。
【0042】
青色感光性乳剤、緑色感光性乳剤、赤色感光性乳剤、赤外光感光性乳剤は、何れの乳剤の分光感度領域においても、それ以外の乳剤の該波長での感度に対して少なくとも6倍感度が高いことが望ましい。ここで、感度は、ある画像層の濃度を(最大濃度−0.3)の濃度にするために必要な露光量の逆数である。更に好ましくは8倍以上である。
【0043】
各感光性乳剤は、従来知られている分光増感色素から選択して増感することにより実現することができる。
【0044】
また、赤外光感光性乳剤と緑色光感光性乳剤及び赤色光感光性乳剤の3種の感光性乳剤で、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像を形成する形態では、3種の感光性乳剤と形成する画像との組合せは任意に選択できる。この形態は、特に安価な半導体レーザー光源との組合せが可能となる点で有効である。
【0045】
本発明の感光材料はポジ型感光材料であることが望ましい。このポジ型感光材料は、直接ポジ型方式及びカラーリバーサル方式による感光材料を包含するものであり、また、画像様に生じた銀を漂白する時に同時に色素を漂白してポジ画像を形成する、いわゆる銀色素漂白法を用いた感光材料や、カラー拡散転写法を用いた感光材料等も本発明に含まれる。
【0046】
本発明の感光材料の各乳剤の粒径は、その求められる性能、特に感度、感度バランス、色分離性、鮮鋭性、粒状性等の諸性能を考慮して、広い範囲から選択することができる。
【0047】
本発明の感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、画像露光により表面に潜像を形成する表面潜像型ハロゲン化銀乳剤を用い、現像を行うことによりネガ画像を形成するハロゲン化銀乳剤でもよい。また、粒子表面が予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲン化銀乳剤を用い、画像露光後、カブリ処理(造核処理)を施し、次いで表面現像を行うか、または画像露光後、カブリ処理を施しながら表面現像を行うことにより直接ポジ画像を得ることができるものも好ましく用いられる。なお、内部潜像型ハロゲン化銀乳剤粒子を含有する乳剤とは、ハロゲン化銀結晶粒子の主として内部に感光核を有し、露光によって粒子内部に潜像が形成されるようなハロゲン化銀粒子含有の乳剤をいう。
【0048】
カブリ処理は、全面露光を与えることでもよいし、カブリ剤を用いて化学的に行うのでもよいし、また、強力な現像液を用いてもよく、更に熱処理等によってもよい。
【0049】
全面露光は、画像露光した感光材料を現像液またはその他の水溶液に浸漬するか、または湿潤させた後、全面的に均一露光することによって行われる。ここで使用する光源としては、上記感光材料の感光波長領域の光を有するものであればどのような光源でもよく、また、フラッシュ光の如き高照度光を短時間当てることもできるし、弱い光を長時間当ててもよい。また、全面露光の時間は、感光材料、現像処理条件、使用する光源の種類等により、最終的に最良のポジ画像が得られるよう広範囲に変えることができる。また、全面露光の露光量は、感光材料との組合せにおいて、ある決まった範囲の露光量を与えることが好ましい。通常、過度の露光量を与えると、最小濃度の上昇や減感を起こし、画質が低下する傾向がある。
【0050】
感光材料に用いることのできるカブリ剤の技術としては、特開平6−95283号18頁右欄39行〜19頁左欄41行に記載の内容の技術を使用することが好ましい。
【0051】
本発明の感光材料に用いることのできる予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子の内部に主として潜像を形成し、感光核の大部分を粒子の内部に有するハロゲン化銀粒子を有する乳剤であって、任意のハロゲン化銀、例えば臭化銀、塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀等が包含される。
【0052】
特に好ましくは、塗布銀量が約1〜3.5g/m2の範囲になるように透明な支持体に塗布した試料の一部を、約0.1秒から約1秒までのある定められた時間に亘って光強度スケールに露光し、実質的にハロゲン化銀溶剤を含有しない粒子の表面像のみを現像する下記の表面現像液Aを用いて20℃で4分現像した場合に、同一の乳剤試料の別の一部を同じく露光し、粒子の内部の像を現像する下記の内部現像液Bで20℃で4分間現像した場合に得られる最大濃度の1/5より大きくない最大濃度を示す乳剤である。更に好ましくは、表面現像液Aを用いて得られた最大濃度は内部現像液Bで得られる最大濃度の1/10より大きくないものである。
【0053】
(表面現像液A)
メトール 2.5g
L−アスコルビン酸 10.0g
メタ硼酸ナトリウム(4水塩) 35.0g
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 1000ml
(内部現像液B)
メトール 2.0g
亜硫酸ナトリウム(無水) 90.0g
ハイドロキノン 8.0g
炭酸ナトリウム(1水塩) 52.5g
臭化カリウム 5.0g
沃化カリウム 0.5g
水を加えて 1000ml
また、本発明で好ましく用いられる内部潜像型ハロゲン化銀乳剤は、種々の方法で調製されるものが含まれる。例えば米国特許第2,592,250号に記載されるコンバージョン型ハロゲン化銀乳剤、または米国特許第3,206,316号、同第3,317,322号及び同第3,367,778号に記載される内部化学増感されたハロゲン化銀粒子を有するハロゲン化銀乳剤、または米国特許第3,271,157号、同第3,447,927号に記載される多価金属イオンを内蔵しているハロゲン化銀粒子を有する乳剤、または米国特許第3,761,276号に記載されるドープ剤を含有するハロゲン化銀粒子の粒子表面を弱く化学増感したハロゲン化銀乳剤、または特開昭50−8524号、同50−38525号及び同53−2408号等に記載される積層構造を有する粒子から成るハロゲン化銀乳剤、その他、特開昭52−156614号及び同55−127549号に記載されるハロゲン化銀乳剤等である。
【0054】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、八面体、(100)面と(111)面の混合からなる14面体、(110)面を有する形状、球状、平板状等の何れであってもよい。平均粒径は0.05〜3μmのものが好ましく使用できる。粒径の分布は、粒径及び晶癖が揃った単分散乳剤でもよいし、粒径あるいは晶癖が揃っていない乳剤でもよいが、粒径及び晶癖の揃った単分散性ハロゲン化銀乳剤であることが好ましい。
【0055】
本発明において単分散性ハロゲン化銀乳剤とは、平均粒径rmを中心に±20%の粒径範囲内に含まれるハロゲン化銀質量が全ハロゲン化銀粒子質量の60%以上であるものを言い、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上のものである。ここに、平均粒径rmは、粒径riを有する粒子の頻度niとri3との積ni×ri3が最大となる時の粒径riと定義する(有効数字3桁、最小桁数字は4捨5入する)。ここで言う粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合は、その直径、また、球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算した時の直径である。粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡で1万〜5万倍に拡大して撮影し、そのプリント上の粒子直径または投影時の面積を実測することによって得ることができる(測定粒子個数は無差別に1000個以上あることとする)。
【0056】
特に好ましい高度の単分散性乳剤は、
(粒径標準偏差/平均粒径)×100=分布の広さ(%)
により定義した分布の広さが20%以下のものである。ここに、平均粒径及び粒径標準偏差は前記定義のriから求めるものとする。
【0057】
単分散乳剤は、種粒子を含むゼラチン溶液中に、水溶性銀塩溶液と水溶性ハライド溶液をpAg及びpHの制御下ダブルジェット法によって加えることによって得ることができる。添加速度の決定に当たっては、特開昭54−48521号、同58−49938号を参考にできる。更に高度な単分散性乳剤を得る方法としては、特開昭60−122935号に開示されたテトラザインデン化合物の存在下での成長方法が適用できる。また、単分散乳剤を2種以上、同一感色性層に添加することも好ましい。
【0058】
各乳剤層のハロゲン化銀の粒径は、求められる性能、特に感度、感度バランス、色分離性鮮鋭性、粒状性等の諸特性を考慮して広い範囲の中から決定することができる。
【0059】
本発明におけるハロゲン化銀の粒径は、赤感層乳剤は0.1〜0.6μm、緑感層乳剤は、0.15〜0.8μm、青感性乳剤は0.3〜1.2μmの範囲が好ましく使用できる。
【0060】
感光材料には、メルカプト基を有する含窒素複素環化合物を含有するのが好ましい。好ましい化合物としては、特開平6−95283号19頁右欄20〜49行記載の一般式[XI]、特に好ましくは同号公報20頁左欄5行〜20頁右欄2行記載の一般式[XII]、一般式[XIII]、一般式[XIV]である。化合物の具体例としては、例えば特開昭64−73338号11〜15頁に記載される化合物(1)〜(39)を挙げることができる。
【0061】
上記メルカプト化合物は、添加量としては使用する化合物の種類や添加する層によって適宜に変化してよく、一般には、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モルの範囲で、より好ましくは10-6〜10-3モルである。
【0062】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料における、イエロー画像形成性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ画像形成性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン画像形成性ハロゲン化銀乳剤層は、それぞれ互いに異なる分光感度波長領域を有するハロゲン化銀乳剤を含有し、かつ、上記イエロー、マゼンタ、シアン画像形成性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層中に、前記イエロー、マゼンタ、シアン画像形成性ハロゲン化銀乳剤層に含有されるそれぞれ互いに異なる分光感度波長領域を有する乳剤のいずれとも共通の分光感度部分を有するハロゲン化銀乳剤が含有されていることが好ましい。
【0063】
本発明に係る感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては、特開平6−95283号公報7ページ右欄記載の一般式[M−1]で示される化合物が、発色色素の分光吸収特性がよく好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号公報8ページ〜11ページに記載の化合物M−1〜M−19を挙げることができる。更に、他の具体例としては、欧州公開特許0273712号6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び欧州公開特許0235913号36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものがある。
【0064】
マゼンタカプラーは、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常ハロゲン化銀1モル当たり1×10-2モル〜1モル、好ましくは1×10-2モル〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0065】
本発明に係る感光材料において形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは、530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。
【0066】
ここで、本発明に係る感光材料により形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλL0.2及びλmaxは、次の方法で測定される量である。
【0067】
即ち、NDフィルターを通して緑色光を当て現像処理し、分光吸収を測定した時のマゼンタ画像の吸光度の最大値が1.0となるようにNDフィルターの濃度を調節する。λL0.2とは、このマゼンタ画像を分光吸光度曲線上において、最大吸光度が1.0を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2を示す波長をいう。
【0068】
本発明に係る感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有されることが好ましい。これらのカプラーのpKaの差は2以内であることが好ましく、更に好ましくは1.5以内である。本発明に係るマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーは特開平6−95283号公報12ページ右欄に記載の一般記載一般式[Y−Ia]で表されるカプラーである。同号公報の一般式[Y−1]で表されるカプラーのうち特に好ましいものは、一般式[M−1]で表されるマゼンタカプラーと組み合わせる場合、[M−1]で表されるカプラーのpKaより3以上低くないpKa値を有するカプラーである。
【0069】
イエローカプラーとして具体的な化合物例は、特開平6−95283号の12〜13ページ記載の化合物Y−1及びY−2の他、特開平2−139542号の13ページから17ページ記載の化合物(Y−1)〜(Y−58)を好ましく使用することができるが、もちろんこれらに限定されることはない。
【0070】
本発明に係る感光材料において、シアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系またはイミダゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、あるいはウレイド基等を置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2等量型ナフトール系カプラー等が代表される。このうち好ましい化合物としては、特開平6−95283号13ページ記載の一般式[C−I][C−II]が挙げられる。
【0071】
シアンカプラーは、通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0072】
本発明に係る感光材料において、イエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。
【0073】
イエローカプラーの具体例としては、例えば特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載のY−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載のY−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に、特開平6−95283号の21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー等も挙げることができる。
【0074】
本発明に係る感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。ここでλL0.2はイエロー画像に対してもマゼンタ画像の場合と同様に定義される。
【0075】
イエローカプラーは、通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-2〜1モル、好ましくは1×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0076】
マゼンタ色画像、シアン色画像、及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加することが好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号公報22ページ記載の一般式[HBS−I]及び[HBS−II]で示される化合物が好ましく、より好ましくは同号公報22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。
【0077】
本発明に係る感光材料におけるイエロー画像形成層、マゼンタ画像形成層、シアン画像形成層は、支持体上に積層塗布されるが、支持体からの順番はどのような順番でもよい。一つの好ましい実施態様は、例えば支持体に近い側からシアン画像形成層、マゼンタ画像形成層、イエロー画像形成層となる。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
【0078】
マゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため、褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開昭64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物及び特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が、特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0079】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに用いられる水中油滴型乳化分散法は、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液等の親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラー等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、本発明に係る一般式(2)で表す化合物が最も好ましいが、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等の高沸点有機溶媒も好ましく用いることができる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては、3.5〜7.0であることが好ましい。また、2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0080】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間及び塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく、各々10時間以内が好ましく、3時間以内が好ましく、更には20分以内がより好ましい。
【0081】
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としては、ハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号明細書13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14及び17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0082】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0083】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号の(8)ページ〜(9)ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0084】
本発明に係る感光材料は、シアン画像形成性ハロゲン化銀乳剤層の分光感度の極大波長における生試料の反射濃度が、好ましくは0.7以上のものである。上記の感光材料は、本発明の写真構成層のいずれかに前記波長に吸収を有する染料、黒色コロイド銀の如き着色材料を含有させることにより得ることができる。本発明に係る感光材料においては、任意のハロゲン化銀乳剤層中及び/またはそれ以外の親水性コロイド写真構成層中に水溶性の染料を含有することができる。また、本発明に係る感光材料においては、任意のハロゲン化銀乳剤層中及び/またはそれ以外の親水性コロイド写真構成層中に、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルファモイル基の少なくとも一つを有する染料を固体分散して含有することができる。
【0085】
カルボキシル基、スルファモイル基、スルホンアミド基の少なくとも一つを有する染料としては、特開平6−95283号14〜16ページ記載の一般式[I]〜[IX]で示される化合物を挙げることができる。
【0086】
一般式[I]〜[IX]のうち[I]〜[VIII]で表される染料の具体例としては、例えば特開平4−18545号13〜35ページに記載されるI−1〜VIII−7を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
染料やコロイド銀を含有する層は、特に制限はないが、支持体と支持体に最も近い乳剤層との間の非感光性親水性コロイド層に含有されるのが好ましい。
【0088】
本発明に係る感光材料におけるハロゲン化銀は、通常用いられる増感色素によって光学的に分光増感することができる。内部潜像型ハロゲン化銀乳剤、ネガ型ハロゲン化銀乳剤等の超色増感に用いられる増感色素を組み合わせて用いることは、本発明のハロゲン化銀乳剤に対しても有用である。増感色素については、リサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure、以下RDと略す)15162号及び17643号を参照することができる。
【0089】
本発明に係る感光材料には、足元階調を調整する化合物を添加することが好ましい。好ましい化合物としては、特開平6−95283号公報17ページ記載の一般式[AO−II]で示される化合物が好ましい。好ましい化合物例としては同号公報18ページに記載の化合物II−1〜II−8を挙げることができる。
【0090】
該[AO−II]の化合物の添加量は、0.001〜0.50g/m2が好ましく、より好ましくは0.005〜0.20g/m2である。化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、炭素数5以上のキノン誘導体を[AO−II]の化合物に添加して使用することもできる。しかし、これらいずれの場合でも、その使用量は全体として0.001〜0.50g/m2の範囲にあることが好ましい。
【0091】
本発明に係る感光材料を用いて画像を形成するには、光源部走査露光方式の自動現像機を用いることが好ましい。特に好ましい画像形成のための機器、システムの具体例としては、コニカ社製Digital Konsensus等を挙げることができる。
【0092】
本発明は現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用することが好ましく、特に反射支持体を有する直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用することが好ましい。例えばカラープルーフ用感光材料を挙げることができる。
【0093】
本発明では、感光材料はロール状に巻かれたものが明室で取り扱えるカートリッジに予め装填されていることが好ましい。明室で取り扱えるカートリッジでは、明室において中の感光材料が光を受けることのないような遮光する手段と同時に、機器に装着された場合にカートリッジからスムーズに引き出すことのできる感光材料引き出し部があり、通常明室において取り扱われる場合は、中の感光材料は光で感光することはないものである。
【0094】
本発明においては、明室カートリッジの中にロール状に巻かれた感光材料が予め装填されており、しかも感光材料の乳剤面がロールの外側に配置されるように巻かれていることが好ましい。
【0095】
明室カートリッジは、種々のものが提案されているが、公知の明室カートリッジは全て使用することができる。また、遮光性のフランジを有するロール感光材料の外周を遮光性のリーダーで覆うことにより、感光材料は遮光されつつ明室で取り扱え、露光装置に装填後、リーダーを除去することで暗室を必要とせず、容易に機器に感光材料のロールを装填できる所謂イージーローディングの感光材料も本発明の画像形成方法においては明室カートリッジに含まれる。その場合には、読取り可能な情報はリーダーに付与することもできるし、フランジ等に付与することもできる。
【0096】
一方、ロールを巻き付ける芯(以下、コアと称す)は強度、防湿性、伸縮性、表面形状及び感光材料最内面との滑り性、クッションによる感光材料の押され具合、さらにはコスト及び感光材料への影響等の面から総合的に決定することが好ましい。具体的にはバージンパルプ、古紙、再生紙等の天然紙、合成紙、プラスチックまたはその周囲に防湿フィルム、金属箔、金属蒸着フィルム、ラミネートしたもの、さらにはその表面にポリウレタンフォーム、発泡ポリエチレンシート、発泡ポリエチレンペーパー等を積層させて、クッション性を付与したもの等を適宜採用することができる。
【0097】
本発明は感光材料を塗布後、直径70〜100mmのコアに巻き付け、25〜40℃の条件下で3〜10日保管後使用することが好ましい。更に好ましくは70〜85mmのコアに巻き付け、30〜40℃の条件下で保管することである。
【0098】
引き続き処理の説明を行う。本発明に係る感光材料または現像処理液中には、蛍光増白剤を含有させることが白地性を改良する上で好ましい。
【0099】
本発明に係る感光材料を現像処理する際、発色現像液、漂白定着液、安定化液はそれぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。
【0100】
本発明に係る感光材料の現像処理では、発色現像液にて使用することのできる発色現像主薬としてアミノフェノール類、フェニレンジアミン類が挙げられ、p−フェニレンジアミン類が好ましい。具体的には、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、ジエチルアミノ−o−トルイジン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン等の発色現像主薬が挙げられる。
【0101】
その他に、補助現像主薬として、通常のハロゲン化銀現像剤、例えば、ハイドロキノンの如きポリヒドロキシベンゼン類、アミノフェノール類、3−ピラゾリドン類、アスコルビン酸とその誘導体、レダクトン類等、あるいはその混合物を含んでいてもよく、具体的には、ハイドロキノン、アミノフェノール、N−メチルアミノフェノール、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、アスコルビン酸、等が挙げられる。これらの現像主薬を全て、あるいは一部を予め感光材料中に含有し、高pH水溶液浸漬中にハロゲン化銀に作用させるようにすることもできる。
【0102】
本発明に係る感光材料の処理に使用される発色現像液には、更に特定のカブリ防止剤及び現像抑制剤を含有することができ、あるいはそれらの現像液添加剤を感光材料の構成層中に任意に組み入れることも可能である。
【0103】
本発明では発色現像液を任意のpH領域で使用できるが、迅速処理の観点から、そのpHは9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpHが9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0104】
発色現像の処理温度は35℃以上70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からは余り高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0105】
発色現像液には、発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができ、例えば、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤等が用いられる。
【0106】
本発明に係る感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施し、漂白処理は定着処理と同時に行ってもよい。定着処理の後は、通常は安定化処理を行い、種々のアルカリ剤でpHを調整し、処理乾燥後の感光材料の膜面pHを7以下にすることが好ましい。
【0107】
膜面pHの測定方法としては、一例としては、感光材料を23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置した後、表面に0.3mol/Lの硝酸カリウム水溶液をピペットで2滴滴下し、東亜電波(株)製の膜面pH電極(GST−5213F)を接触させ3分間平衡化させ、pH値を読みとることにより求めることができる。
【0108】
本発明に係る感光材料には、更に公知の写真用添加剤を使用することができ、例えば、表1に示したRD17643及びRD18716に記載の化合物が挙げられる。
【0109】
【表1】

【実施例】
【0110】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0111】
実施例1
マット剤分散
表2に示すゼラチン濃度の水溶液中にシリカマット剤(富士シリシア化学株式会社製サイリシア430)を表2に示す濃度で添加し、50℃において、T.K.HOMO DISPERを用いて撹拌速度2000rpmで30分間撹拌して分散し、シリカマット剤分散液を調製した。
【0112】
裏面側(バックコート層)塗布液の調製
支持体に近いほうからBC−1層、BC−2層の順でバックコート層を表2に示すように2層構成でゼラチン、硬膜剤(H−2、ゼラチン1g当たり20mgをBC−2層に添加)、シリカマット剤を表2に示す量を塗設した。尚、試料1〜5及び36〜40はシリカマット剤のみ分散した塗布液とゼラチンのみの塗布液とで表2の各層を得た。又、試料31〜40のBC−1層は、ゼラチンのみの塗布液を用いた。ゼラチンの付量は表2になるようにゼラチンのみの塗布液を上述したシリカマット剤分散液に添加、混合した塗布液により調整した。
【0113】
乾燥が終了した試料の表側にハロゲン化銀乳剤層の塗設を下記手順に沿って行った。
【0114】
《乳剤EM−P1の調製》
オセインゼラチンを含む水溶液を40℃に制御しながら、アンモニア及び硝酸銀を含む水溶液と、臭化カリウムを含む水溶液とをコントロールダブルジェット法で同時に添加して、粒径0.25μmの立方体臭化銀コア乳剤を得た。その際、粒子形状として立方体が得られるようにpH及びpAgを制御した。
【0115】
得られたコア乳剤に、更にアンモニア及び硝酸銀を含む水溶液と、臭化カリウム及び塩化ナトリウム(モル比でKBr:NaCl=50:50)を含む水溶液とをコントロールダブルジェット法で同時に添加して、平均粒径0.42μmとなるまでシェルを形成した。その際、粒子形状として立方体が得られるようにpH及びpAgを制御した。
【0116】
水洗を行い水溶性塩を除去した後、ゼラチンを加えて乳剤EM−P1を得た。この乳剤の粒径分布の広さは8%であった。
【0117】
《乳剤EM−P2の調製》
オセインゼラチンを含む水溶液を40℃に制御しながら、アンモニア及び硝酸銀を含む水溶液と、臭化カリウム及び塩化ナトリウム(モル比でKBr:NaCl=95:5)を含む水溶液とをコントロールダブルジェット法で同時に添加して、粒径0.18μmの立方体塩臭化銀コア乳剤を得た。その際、粒子形状として立方体が得られるようにpH及びpAgを制御した。
【0118】
得られたコア乳剤に、更にアンモニア及び硝酸銀を含む水溶液と、臭化カリウム及び塩化ナトリウム(モル比でKBr:NaCl=40:60)を含む水溶液とをコントロールダブルジェット法で同時に添加して、平均粒径0.25μmとなるまでシェルを形成した。その際、粒子形状として立方体が得られるようにpH及びpAgを制御した。
【0119】
水洗を行い水溶性塩を除去した後、ゼラチンを加えて乳剤EM−P2を得た。この乳剤の粒径分布の広さは8%であった。
【0120】
乳剤EM−P1、EM−P2を、それぞれ塗布銀量が銀として2g/m2になるように透明な三酢酸セルロース支持体上に塗布した試料の一部を0.5秒光楔露光し、前記表面現像液Aを用いて20℃で4分現像し、他の試料の一部を同様に露光後、前記内部現像液Bで20℃で4分間現像した。表面現像の最大濃度は、内部現像の最大濃度の約1/12であった。これで、EM−P1、EM−P2は共に内部潜像型のハロゲン化銀乳剤であることが確かめられた。
【0121】
《緑感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》
乳剤EM−P1に増感色素(GS−1)を加えて最適に色増感した後、抑制剤(T−1)を銀1モル当たり100mg添加し緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G1を調製した。
T−1:4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
《赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》
乳剤EM−P2に増感色素(RS−1,RS−2)を加えて最適に色増感した他は緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G1と同様にして、赤感光性ハロゲン化銀乳剤Em−R1を調製した。
【0122】
《赤外感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》
乳剤EM−P2に増感色素(IRS−1,IRS−2)を加えて最適に色増感し、抑制剤(AF−1)を添加した他は緑感光性ハロゲン化銀乳剤Em−G1と同様にして、赤外感光性ハロゲン化銀乳剤Em−IFR1を調製した。
AF−1:アスコルビン酸ナトリウム・1水塩
【0123】
【化1】

【0124】
【化2】

【0125】
《多層感光材料試料の作製》
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、厚さ110μmの紙パルプ支持体上に、下記に示す層構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層側に塗設した。各素材の数値は塗布量(g/m2)を示す。なお各乳剤の添加量は銀に換算した量を示す。
【0126】
《多層感光材料試料の層構成》
第8層(紫外線吸収層) 塗布量(g/m2
ゼラチン 1.60
紫外線吸収剤(UV−1) 0.200
界面活性剤(SU−3) 0.002
シリカマット剤 0.01
硬膜剤(H−1) 0.008
第7層(赤感層)
ゼラチン 1.25
赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R1) 0.35
マゼンタカプラー(M−1) 0.25
イエローカプラー(Y−2) 0.02
ステイン防止剤(HQ−1) 0.035
界面活性剤(SU−3) 0.003
抑制剤(T−1、T−2、T−3、モル比1:1:1) 0.0036
高沸点有機溶媒(SO−1) 0.38
第6層(中間層)
ゼラチン 0.80
ハイドロキノン(HQ)誘導体(HQ−2) 0.04
ハイドロキノン(HQ)誘導体(HQ−3) 0.02
界面活性剤(SU−1) 0.002
高沸点溶媒(SO−2) 0.005
イラジエーション防止染料(AI−2) 0.003
硬膜剤(H−3) 0.010
第5層(緑感層)
ゼラチン 0.90
緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G1) 0.37
シアンカプラー(C−1) 0.35
ステイン防止剤(HQ−1) 0.02
界面活性剤(SU−3) 0.002
抑制剤(T−1、T−2、T−3、モル比1:1:1) 0.002
高沸点有機溶媒(SO−2) 0.40
第4層(中間層)
ゼラチン 0.08
ハイドロキノン(HQ)誘導体(HQ−2) 0.04
ハイドロキノン(HQ)誘導体(HQ−3) 0.02
界面活性剤(SU−1) 0.001
高沸点溶媒(SO−2) 0.005
イラジエーション防止染料(AI−1) 0.003
硬膜剤(H−3) 0.010
第3層(赤外感光層)
ゼラチン 1.10
赤外感光性ハロゲン化銀乳剤(Em−IFR1) 0.40
イエローカプラー(Y−1) 0.19
イエローカプラー(Y−2) 0.19
ステイン防止剤(HQ−1) 0.04
界面活性剤(SU−3) 0.002
抑制剤(T−1、T−2、T−3、モル比1:1:1) 0.004
高沸点有機溶媒(SO−1) 0.30
第2層(中間層)
ゼラチン 1.20
ハイドロキノン(HQ)誘導体(HQ−2) 0.04
ハイドロキノン(HQ)誘導体(HQ−3) 0.02
高沸点溶媒(SO−2) 0.005
海面活性剤(SU−1) 0.001
イラジエーション防止染料(AI−3) 0.003
硬膜剤(H−3) 0.017
第1層(白色顔料含有層)
ゼラチン 2.00
スチレン/n−ブチルメタクリレート/2−スルホエチルメタクリレート
ナトリウム塩 0.12
黒色コロイド銀 0.08
ポリビニルピロリドン 0.10
酸化チタン(平均1次粒径0.25μm) 0.50
界面活性剤(SU−2) 0.002
支持体
ポリエチレンラミネート紙(微量の着色剤含有)
上記試料の作製に用いたその他の添加剤の詳細を以下に示す。
【0127】
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
SO−2:ジ−i−デシルフタレート
HQ−1:2,5−ジ(t−ブチル)ハイドロキノン
HQ−2:2,5−ビス〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
T−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
T−2:N−ベンジルアデニン
T−3:2−メルカプトベンゾチアゾール
【0128】
【化3】

【0129】
【化4】

【0130】
【化5】

【0131】
これらの試料を570mm幅、長さ45mに裁断し、画像形成面が表となるようにコアに巻き付けてロール状に加工して、明室タイプのカートリッジに収納した。
【0132】
得られた試料を下記レーザー走査露光装置で網点テストチャートを赤外レーザー光(半導体レーザー:GaAlAs、λmax;約780nm)、赤色レーザー光(半導体レーザー:AlGaInAs、λmax;約670nm)、緑色レーザー光(ヘリウム・ネオンレーザー、λmax;約544nm)で露光した。また、試料は露光回転ドラムに吸引密着し回転数2000枚点/分で行い、主走査と副走査で画像を記録した。但し、その際、赤外半導体レーザーを10個並べ、光学的手段を介して試料に10ビームのレーザー光として同時露光を行った。
【0133】
なお、露光回転ドラムは直径375mm、長さ750mmの半円柱状のアルミ製のものを準備した。このアルミドラムの円周方向に幅1.2mm、深さ0.8mmの吸引溝(直径1mmの吸引孔が100mm間隔で溝内にあり)を29mm間隔で設け、ここからブロアー(220V、50Hz、出力0.24kW)で吸引を行った。試料の搬送は搬送ローラーとガイド板を組み合わせて、感光材料ロールから繰り出し、露光回転ドラムに装填後、上記吸引孔から吸引しつつ、スクイズローラーでドラムに密着させるようにした。試料は850mmの長さで切断した後、上記回転ドラムに吸引し、露光した。露光は23℃、表2に示す10及び80%RHの条件下で実施した。
【0134】
露光を行った試料を下記の処理工程により処理を行って画像を得た。
(処理工程−1)
処理工程 温度 時間
浸漬(現像液) 37℃ 12秒
カブリ露光 − 12秒
現像 37℃ 95秒
漂白定着 35℃ 45秒
安定化処理 25〜30℃ 90秒
乾燥 60〜85℃ 40秒
(発色現像液組成)
ベンジルアルコール 15.0ml
硫酸第二セリウム 0.015g
エチレングリコール 8.0ml
亜硫酸カリウム 2.5g
臭化カリウム 0.6g
塩化ナトリウム 0.2g
炭酸カリウム 25.0g
T−1 0.1g
ヒドロキシルアミン硫酸塩 5.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム 2.0g
4−アミノ−N−エチル−N−
(β−ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩 4.5g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
1.0g
水酸化カリウム 2.0g
ジエチレングリコール 15.0ml
水を加えて全量を1000mlとし、pH10.15に調整する。
(漂白定着液組成)
ジエチレントリアミン五酢酸第2鉄アンモニウム 90.0g
ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 180.0ml
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール 0.15g
炭酸カリウムまたは氷酢酸でpH7.1に調整し、水を加えて全量を1000mlとする。
(安定化液組成)
o−フェニルフェノール 0.3g
亜硫酸カリウム(50%水溶液) 12.0ml
エチレングリコール 10.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.5g
塩化ビスマス 0.2g
硫酸亜鉛七水塩 0.7g
水酸化アンモニウム(28%水溶液) 2.0g
ポリビニルピロリドン(K−17) 0.2g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
2.0g
水を加えて全量を1000mlとし、水酸化アンモニウムまたは硫酸でpH7.5に調整する。
【0135】
なお、安定化処理は2槽構成の向流方式にした。
【0136】
以下にランニング処理を行う際の補充液の処方を示す。
(発色現像補充液)
ベンジルアルコール 18.5ml
硫酸第二セリウム 0.015g
エチレングリコール 10.0ml
亜硫酸カリウム 2.5g
臭化カリウム 0.3g
塩化ナトリウム 0.2g
炭酸カリウム 25.0g
T−1 0.1g
ヒドロキシルアミン硫酸塩 5.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム 2.0g
4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
アニリン硫酸塩 5.4g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体)
1.0g
水酸化カリウム 2.0g
ジエチレングリコール 18.0ml
水を加えて全量を1リットルとしpH10.35に調整する。
(漂白定着液補充液)
前記漂白定着液に同じ。
(安定液補充液)
前記安定化液に同じ。
【0137】
なお、補充量は
現像補充液 500ml/m2
漂白定着液 350ml/m2
安定液 600ml/m2
とした。
【0138】
現像処理を終わった試料について下記評価を行い、結果を表2に示す。
【0139】
<画像ムラ>
試料の種類により、露光ドラムへの密着状態が変化し、露光ドラムからの浮き、過度の密着による吸引溝ムラ等で画像ムラが発生する。この画像ムラについて下記に示す基準に沿って現像済試料を目視評価した。
○ 画像ムラが認められない
△ 画像ムラはあるが、実用上問題ないレベル
× 問題のある画像ムラ
<試料の脱落>
試料を50枚連続で露光を行い、脱落の有無について評価を行い、結果を表2に示す。
【0140】
【表2】

【0141】
表2から明らかなように、親水性コロイド中で分散されたマット剤を含有することにより、画像ムラがなく、露光中の脱落が少ないことが判る。更に、親水性コロイド濃度が1乃至10質量%、シリカ濃度が1乃至10質量%で分散されることで更に品質の向上が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体を挟んでハロゲン化銀乳剤層と反対側に親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料の製造方法において、該親水性コロイド層は親水性コロイド中で分散されたマット剤を含有する塗布液を塗布乾燥したものであることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
【請求項2】
マット剤を含有する塗布液が、親水性コロイド濃度が1〜10質量%、シリカ濃度が1〜10質量%で分散されていることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
【請求項3】
支持体がポリオレフィンで被覆された紙支持体であることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法で製造されたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。

【公開番号】特開2006−78845(P2006−78845A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263759(P2004−263759)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】