説明

ハロゲン置換アミノテトラリン類

【発明の詳細な説明】
発明の分野 本発明は、新規な1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフチルアミン類および2−インダニルアミン類に関する。
発明の背景 鬱病患者からの証拠により、中枢神経系(CNS)における神経伝達が擾乱されているらしいことが示される。これらの擾乱は神経伝達物質ノルアドレナリン(NA)および5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)を含む。鬱病の治療で最も頻繁に使用される薬剤はこれらの生理学的薬剤のいずれかまたは双方の神経伝達を改善することによって作用すると考えられる。鬱病症を治療するのに用いられる通常の薬剤についての作用機構は一般に間接的であると信じられている。該薬剤は中枢神経の神経末端から放出される神経伝達物質、NAおよび/または5−HTの再摂取を阻害すると考えられ、これによりシナプス間隙のこれらの神経伝達物質の濃度を増加させ、適当な神経伝達を回復させる。例えば、臨床文献に記載されている抗鬱病薬剤ジメリジン(ジメチル−アミノ−1−(4−ブロモフェニル)−1−(3−ピリジル)プロペン)は5−HTニューロンについて高選択性をもつ再摂取抑制剤のごとく作用する。
利用可能なデータは、5−HT神経伝達は第一に鬱病態様および不安を改善し、一方、ノルアドレナリン神経伝達の促進は鬱病患者で微候が起こるのを遅延することを示唆する。近年、CNSにおける5−HT神経伝達の改善について高選択性を有する新しい薬剤を開発する多くの努力がなされている。
中枢5−HTニューロンにおける神経伝達を改善する基本的に異なる方法は、5−HTレセプター、特に5−HT1Aレセプターに直接作用する5−HTレセプター作動剤を用いることであろう。望まない副作用を最小化するためには、この種のレセプターの高選択性が必要であろう。
臨床的には、5−HT1A作動剤は不安解消特性を持つことが証明されている。薬剤ブスピロンは不安解消活性を有する現在利用でき市販されている唯一の5−HT1A作動剤である。この化合物は5−HT1Aレセプターを刺激するのと同用量でドーパミンレセプターに拮抗する。しかしながら、これらのドーパミン拮抗剤特性はこれらの化合物の臨床的利用性を減少させる。何故ならば、ドーパミン拮抗剤での長期処理は晩発性運動障害を生じ得るからである。
新しいCNS活性化合物についての研究は、中枢ドーパミンレセプターに悪影響を与えることなく選択的5−HT1Aレセプター作動剤効果を有する化合物を見い出すことに焦点が当てられている。
近年、薬理学的、生物化学的および電気物理学的証拠の大多数は、ドーパミン作動性ニューロン自体中に位置し、かつドーパミンレセプターのD2レセプターサブクラスに属する特定集団の中枢自己調節ドーパミンレセプターの存在を支持する。これらのレセプターは神経インパルスの流れおよび伝達物質合成を調整し、神経末端から放出されるドーパミンの量を調節する恒常機構の一部である。
中枢ドーパミン伝達に作用する薬剤はパーキンソン症候群および精神分裂症のごとき種々の中枢神経系障害を治療するのに臨床的に有効である。例えば、パーキンソン症候群においては、シナプス後ドーパミンレセプター刺激を増大させることによって黒質線状体機能低下を回復させることができる。精神分裂症においては、シナプス後ドーパミンレセプター刺激の減少を達成することによって症状を正常化することができる。古典的抗精神病剤はシナプス後ドーパミンレセプターを直接的にブロックする。同効果は、適当な神経伝達、輸送機構および伝達物質合成の維持に不可欠な神経内シナプス前の出来事の抑制によって達成できる。
アポモルフィン様の直接的ドーパミンレセプター作動剤はドーパミンオートレセプターならびにシナプス後ドーパミンレセプターを活性化できる。オートレセプター刺激の効果はアポモルフィンを低用量で投与した場合に支配的のようであり、一方、高用量ではドーパミン伝達の減衰はシナプス後レセプター刺激の促進によって影響される。低用量アポモルフィンのヒトにおける抗精神病および抗運動異常効果はこのドーパミンレセプター作動剤のオートレセプター刺激特性によるもののようである。この多数の知見は、中枢神経ドーパミンオートレセプターについての高選択性を有するドーパミンレセプター刺激剤は精神医学的障害を治療するのに価値あるだろうことを示す。
情報の開示の陳述 以下の文献は本出願の審査に重要であろう。
ダーウェント(Derwent)12191K(ベルギー893917)は、インダニルおよびテトラリル基の芳香族環がハロゲン、アルキルC1−C6、トリハロアルキル、アルコキシおよびアルキルチオを含めた種々の基で置換されていてもよいインダニル置換イミダゾール誘導体類およびテトラリルイミダゾール誘導体類を開示している。該化合物はアテローム性動脈硬化症を治療するのに有用である。
英国特許第1377356号は、アミノ基がアルキルC1−C6で置換されたまたは置換されていない8−ヒドロキシおよび8−メトキシ置換−1,1−ジアルキル−2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物は鎮痛剤として有用である。
ダーウェント(Derwent)40378A/23(英国1597140)は、化合物でとりわけ、芳香族環においてハロゲン、ジクロロおよびさらにヒドロキシまたはアルカノイルオキシ基で置換された2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物は心臓疾患および/またはパーキンソン病の治療に有用である。
スイス国637363号(ダーウェント(Derwent)729386)およびスイス国367364は、化合物でとりわけ、芳香族環においてハロゲン、ジクロロおよびさらにヒドロキシ、アルキルまたは他の官能基で置換された2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物は、心疾患、心筋梗塞、高血圧およびパーキンソン病を治療するにおいてそれらを有用とするαおよびβ−アドレナリン作動性ならびにドーパミンレセプターである。
ドイツ国233847号(ダーウェント(Derwent)7233V)は、芳香族環においてアルコキシまたはハロゲンおよびさらにヒドロキシ、アラルキルオキシまたはアシルオキシで置換されたアミノテトラリン類およびアミインダン類を包含し得る非常に広範囲な化合物を開示している。これらの化合物は水軟化剤および滑沢剤における腐食抑制剤ならびにCNS−抑制剤および抗不整脈剤である。
欧州272534−A(ダーウェント(Derwent)88−176680)は広範な開示のうち、化合物でとりわけ、8位がハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)によって置換された2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物はCNS障害、認識欠陥、アルツハイマー病、心血管病、疼痛および腸障害の治療で有用となる脳−5−HT1レセプターについて高親和性を有する有用なセロトニン拮抗剤または作動剤である。
ドイツ国特許第280582号(ダーウェント(Derwent)58247B)は、芳香族環がとりわけアルキル、ハロゲン、ジクロロおよびさらにヒドロキシまたはアルカノイルオキシ基で置換された2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物はα−およびβ−アドレナリン作動性レセプターおよびドーパミンレセプターに対する刺激効果を有し、心臓病、心筋梗塞、血圧上昇およびパーキンソン病の治療で有用である。
ウィクストロム・エイチら(Wikstrom,H.,et al)は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),30,1115(1987)、アミノ基がジメチルまたはジ−n−プロピルで置換されていないまたは置換された4−ヒドロキシおよび4−メトキシ−2−アミノインダン類;5−ヒドロキシ−2−ジメチルアミノインダン;アミノ基がジメチルまたはジ−n−プロピルで置換されたおよび7−ヒドロキシ−2−アミノテトラリンを開示している。この論文はその中枢ドーパミン作動性効果に関連する該化合物の立体配置分析に焦点を当てている。
ジェイ・ジイ・カノンら(J.G.Canon,et al)は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),25,1442〜1446(1982)およびジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),28,515〜518(1985)、とりわけ、一連の2−アミノインダン類の立体配置を扱う研究の中で4−ヒドロキシ−および−5−ヒドロキシ−2−ジ−n−プロピルインダンを開示している。
シーマンら(Seeman,et al)は、モレキュラー・ファルマコロジー(Molecular Pharmacology),28,291〜299(1985)、D2セプター結合の親和性の研究において、多数の公知ヒドロキシ置換およびメトキシ置換アミノテトラリン類およびアミノインダン類を含めている。
エイ・ティ・ドレンら(A.T.Dren,et al)は、ジャーナル・オブ・ファルマシューティカル・サイエンス(J.Pharm.Sci.),67,880〜882(1978)、化合物のうちとりわけ、アミノ基がシクロプロピルメチルまたはシクロプロピルでモノ置換され、かつ芳香族環が5−位または6−位においてメトキシで置換された2−アミノテトラリンを開示している。これらの化合物は局所麻酔活性についてテストされた。
ディ・イー・アメスら(D.E.Ames,et al)は、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイェティ(J.Chem.Soc.)2636(1965)、当該アルコキシ基が1個ないし4個の炭素原子を有する種々のジアルコキシ置換アミノテトラリンの合成を開示している。6−メトキシ−2−アミノ−テトラリンもまた記載されている。
エル・イー・アルビドソン(L.E.Arvidsson)は,ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chwm.)、27,45〜51(1984)、アミンが1〜4個の炭素原子の1個または2個の低級アルキル基、オクチルまたはベンジルで置換され、かつ芳香族環がヒドロキシまたは低級アルコキシで5−および/または8−位が置換された2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物はドーパミンおよび5−ヒドロキシ−トリプタミンレセプター作動剤としてテストされている。
エル・イー・アルビドソンら(L.E.Arvidsson,et al)は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chwm.)、24,921〜923(1981)、アミノ基がn−プロピル、ベンジルまたはジ−n−プロピルで置換された8−メトキシ−2−アミノテトラリン類、および芳香族環が5−、6−、7−または8−位においてヒドロキシで置換された2−ジ−n−プロピルアミノテトラリン類を開示している。これらの化合物はドーパミン作動性およびα−アドレナリン作動性レセプターに対するその効果について評価された。
ジェイ・デイ・マクデルメドら(J.D.McDermed,et al)は,ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),18,362〜67(1975)、芳香族環がヒドロキシ、メチルまたは低級アルキルでモノ−またはジ置換され、かつアミン基が低級アルキル、ベンジル、アルコキシアルキルまたは単環複素環基で置換された多数一連の2−アミノテトラリン類を開示している。これらの化合物はそのドーパミン作動性活性について評価されている。
エル・イー・アルビドソン(L−E.Arvidsson)は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),30,2105〜2109(1987)、8位がヒドロキシまたはメトキシで置換された1−メチル−2−ジ−n−プロピルアミノテトラリン類の5−HTレセプター作動剤活性を評価している。
デイ・ビイ・ルステルホルツら(D.B.Rusterholz,et al)は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),19,99〜102(1976)、5−位または8−位がメチル、ヒドロキシまたはメトキシで置換された5−および/または8−置換−2−アミノテトラリン類を開示している。プロラクチン放出に対するこれらの化合物の効果が評価されている。
ジェイ・ジイ・カノンら(J.G.Cannon,et al)は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、28,515(1985)、優れたドーパミン作動性作動剤への合成前駆体である4−ヒドロキシ−2−(ジ−n−プロピル)アミノインダンの分割を記載している。
発明の要約 本発明は、式I(式チャート参照)[式中、X1はハロゲン、CF3、−OR3または−SR4;ここに、R3はアルキル(C1−C8)、アルケニル(C1−C8)、−CH2−シクロアルキル(C3−C8)またはベンジルよりなる群から選択され;ここに、R4はアルキル(C1−C3);ここに、X2は水素、CF3またはハロゲン;ここに、R7は水素またはメチル;ここに、R1は水素、アルキル(C1−C3)またはシクロプロピルメチル;ここに、R2は−CH2−シクロアルキル(C3−C8)、アルキル(C1−C8)、−(CH2−R5または−CH2CH2−Z−(CH2rCH3;ここに、R5はフェニル、2−チォフェンまたは3−チォフェン;ここに、Zは酸素または硫黄;ここにpは1または2、qは2または3、およびrは0ないし3;ただし、(1)X1が−OR3である場合、X2はCF3またはハロゲン;(2)X1がハロゲンである場合、X2は水素;および(3)pが2で場合、X1は8位以外の位置に存在する]で示される化合物およびその医薬上許容される酸付加塩を含む。本明細書中で用いるハロゲンなる語はCl、Br、またはFを意味する。
式Iによって示されるごとく、本発明の化合物は、式IIによって示されるごとくpが2である場合アミノテトラリン誘導体であり、あるいは式IIIによって示されるごとくpが1である場合インダン誘導体である。式IIおよびIIIにおいて、種々の置換基X1、X2、R1、R2およびR7は式Iに記載した意味を有する。
本発明の化合物は選択的薬理学的特性を有し、鬱病徴候、不安徴候、恐慌発作、強迫障害、老人痴呆、痴呆障害関連情緒障害、および性機能の障害を含めた中枢神経系障害を治療するのに有用である。また、本発明の化合物は攻撃挙動、錯乱せん妄状態および性的不能を軽減するのにも有用である。
好ましい態様により、本発明は、式I[式中、R2は−CH2−シクロアルキル(C3−C8)を意味する]の化合物に関する。より好ましい具体例は、式I[式中、R1はアルキル(C1−C3)、R2はシクロプロピルメチル、およびX1はハロゲンを意味する]の化合物である。R7が水素である式Iの化合物もまた好ましい。
本発明の目的は、治療で用いる化合物、特に中枢神経系において治療活性を有する化合物を提供することにある。もう1つの目的は、ヒトを含めた哺乳動物における5−HT1Aレセプターに対する効果を有する化合物を提供することにある。さらにもう1つの目的は、D2レセプターとして公知のドーパミンレセプターのサブクラスに対する効果を有する化合物を提供することにある。
式Iの化合物を使用する医薬使用および医薬製剤は本発明のさらなる態様を構成する。
発明の詳細な記載 本発明の化合物は2の方法:記載した名称および式チャートに含まれる符号を付した構造に対する参照によって同一性が確認される。
本明細書中におけるごとく、括弧に入れた語(Cn−Cm)は、(C1−C8)の化合物のが1ないし8個の炭素原子の化合物およびその異性体を含むごとく包括的である。種々の炭素基を以下の通り定義する:アルキルは脂肪族炭化水素基をいい、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル−、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、およびn−オクチルのごとき分岐または非分岐形を包含する。R3がアルキル(C1−C8)である−OR3によって表されるアルコキシとは酸素によって分子の残りに結合したアルキル基をいい、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、neo−ペントキシ、n−ヘキソキシ、イソヘキソキシ、n−ヘプトキシ、イソヘプトキシ、およびn−オクトキシのごとき分岐または非分岐形を包含する。アルケニルとは二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素の基をいい、エテニル、1−メチル−1−エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル−、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、1−メチル−4−ヘキセニル、3−メチル−1−ヘキセニル、3−メチル−2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、1−メチル−4−ヘプテニル、3−メチル−1−ヘプテニル、3−メチル−2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、または3−オクテニルのごとき分岐および非分岐形を共に包含する。シクロアルキルとはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルのごとき飽和環状炭化水素をいう。ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素またはトリフルオロメチル、すなわちCF3の基をいう、基−SR4はメチルチオ、エチルチオおよびプロピルチオ置換基を代表させたものである。
当業者ならば、本発明の化合物はキラル中心を有し得ることを理解するであろう。式Iの化合物は、窒素原子に隣接した環炭素原子を含めた脂肪族環基に不斉炭素原子を含有する。化合物の治療特性は多かれ少なかれ個々の化合物の立体化学に依存する。本発明の範囲は、純粋形態またはエナンチオマーまたはジオステレマーの混合物いずれかとして式I化合物のエナンチオマーまたはジエステレオマー形態を包含する。純粋なエナンチオマーならびにエナンチオマーもしくはジアステレオエマー混合物は本発明範囲内のものである。
有機および無機の両酸は本発明の化合物の非毒性の医薬上許容される酸付加塩を形成するのに使用できる。酸の例には硫酸、硝酸、リン酸、塩酸、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、パモ酸、エタンジスルホン酸、スルファミン酸、コハク酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマール酸、マレイン酸、および安息香酸がある。これらの塩は当該分野で公知の方法によって容易に調製される。
本発明の化合物は以下に記載し、チャートで模式的に示す方法の1つによって得られる。本発明の化合物は、そのすべてが当該分野でよく知られた種々の方法によって調製される。R1が水素、エチルまたはプロピルであって、R2が−CH2−シクロアルキルC5−C8、アルキルC2−C8、−(CH2−R5または−CH2CH2O(CH2rCH3である化合物を調製するには、式C−1の化合物(チャートI参照)を式RyCOハライド[式中、RyはシクロアルキルC5−C8、アルキルC1−C7、−(CH2−R5または−CH2O−(CH2rCH3、tは1または2、およびrは0〜3を意味する]の酸ハライド、例えば酸塩化物で処理して式C−2の化合物を得る。チャートIに記載した式の構造において、置換基L1およびL2は、順次かつ選択的に除去してヒドロキシ基を与えることができる当該分野で公知の保護基である。例えば、窒素ガス下、120℃で3時間48%HBrで処理するか、または還流下、水性メタノール、エタノールまたはn−ブタノールのごとき水性低級アルコール中、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのごとき無機塩基で1/2ないし12時間処理することによって、C−2のアミドを式C−3のヒドロキシアミドに変換する。次いで、当該分野で公知の方法を用いて該C−3ヒドロキシアミド化合物をアミンアミド化合物C−4に変換し、引き続いて、よく知られたサンドマイヤー反応を用いることによって、該アミンを水素、塩素または臭素に変換して式C−5の化合物を得る。式C−5において、基X3は水素、塩素、または臭素である。式C−5化合物の臭素基は、160℃におけるアルゴン下での4時間のDMPU中のトリフルオロ酢酸ナトリウムおよひ臭化銅での処理によってトリフルオロメチル置換基に変換できる。対応するフルオロ置換化合物は、当該分野でよく知られた手法によってヘキサフルオロリン酸ジアゾニウムを用いるC−4のアミンのジアゾ化によって調製できる。式C−3化合物のヒドロキシ基をC−4化合物のアミンに変換する好ましいプロセスは、フェイザーおよびフェイザー(Feiser and Feiser),有機合成における試薬(Reagents in Organic Systhesis),4:86〜88、およびシェラーおよびベティ(Sherrer and Beatty)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),37,1681(1972)に記載されている。式C−5の化合物は、残存するL1保護基を除去し、適当なアルキル化試薬で該ヒドロキシ基をアルキル化するか、または該ヒドロキシをアミンに変換し、続いて前記したごとくに塩素または臭素に変換することによって式C−6化合物に変換される。該ヒドロキシ基を適当なアルキル化試薬と反応させるためには、脱保護ヒドロキシ化合物を、炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムのごとき塩基の存在下、アセトニトリルまたはアセトンのごとき有機溶媒中で、アルキルハライド、またはRbがアルキルC1−C8、アルケニルC1−C8、−CH2−シクロアルキルC3−C8またはベンジルであってXまたは該ハライドがCl、Br、I、TsOであるトシレートRbXで処理できる。X1およびX2がハロゲンである式C−6の化合物は、L1およびL2保護基を除去してジヒドロキシ化合物を得、続いてジアミン、ひき続いてジハロゲン化合物へ変換することによって得られることが理解される。
式C−6の化合物は、例えば、エーテルまたはテトラヒドロフラン中の水素化リチウムアルミニウム、酢酸またはトリフルオロ酢酸中のホウ水素化ナトリウム、テトラヒドロフラン中のジボラン、またはQがテトラブチルアンモニウムイオンを表すジクロロメタンおよびジクロロエタン混合液中のQBH4を用いる混合水素化物還元により、R6が−CH2シクロアルキルC5−C8、アルキルC2−C8、−(CH2−R5または−CH2CH2O(CH2rCH3である式C−7の化合物に変換できる。該試薬QBH4は、該アミド化合物がハロゲン特に臭素で芳香族環が置換されている場合に特に好ましい。該化合物C−7は本発明の最終生成物であり、また、RXがメチルまたはエチルである式RXCOハライドの酸ハライド、例えば酸塩化物での処理によってR2がアルキル(C2−C3)である本発明の化合物を調製するのに使用して式C−18の化合物を得ることができる。式C−18の化合物は前記した混合水素化物還元によってR1がエチルまたはプロピルである式Iの化合物に変換される。
R1がシクロプロピルメチルであってR2がシクロプロピルメチルまたはシクロブチルメチルである式Iの化合物を調製するには、式C−1の化合物をチャートIに概説した工程2〜5に記載した処理に付す。要するに、式C−1の化合物を処理して選択的にL2保護基を除去してヒドロキシ置換化合物を得、これをアミン置換、続いて、ハロゲン置換化合物に変換する。次いで、該ハロゲン置換化合物を処理してL1保護基を除去し、得られたヒドロキシ置換化合物を適当なアルキル化試薬で処理するか、またはアミン、次いで、前記したごときハロゲン基に変換して式C−8の化合物を得る。該式C−8の化合物は、適当なシクロアルキル酸ハライドで処理し、続いて得られたアミドを一般に前記した水素化物還元法で還元することによって、R1がシクロプロピルメチルであってR2がシクロプロピルメチルまたはシクロブチルメチルである式Iの化合物に変換される。
R1またはR2がメチルである式Iの化合物を調製するには、式C−1の化合物をヨウ化メチルで処理して対応するモノメチル化化合物を得るか、またはNaBH3CNの存在下で水中のホルムアルデヒドおよびpH5の氷酢酸数滴で処理して対応するジメチル化化合物を得る。得られたモノ−またはジ−メチル化化合物を、次いで、チャートIの工程2〜5に記載した処理に付してR1またはR2がメチルである式Iの化合物を得る。
R2が−CH2CH2S(CH2rCH3である式Iの化合物を得るには、式C−9のケトンをNaBH3CNの存在下で、rが0ないし3である式H2NCH2CH2S(CH2rCH3のアルキルチアアルキルアミンで処理して式C−10の化合物を得る。次いで、該式C−10の化合物を工程2〜5に記載した処理に付して式C−11の化合物を得、これが式I化合物によって表される本発明の最終生成物である。式C−11の化合物は、式C−6の化合物をC−7の化合物に変換するについて前記したごとく酸ハライドで適当に処理し、続いて混合水素化物還元または前記したごとくヨウ化メチルで処理することによってR1がアルキルC1−C3またはシクロプロピルメチルである式Iの化合物に変換できる。
X2が水素である式Iの化合物を得るには、式C−1の出発化合物を芳香族環がL1Oのみで置換された対応する化合物で置き換えるだけでよい。
式C−1の化合物または芳香族環がL1Oでのみ置換された該対応する化合物は、公知または商業的に入手できる式−12の化合物[式中、R8は水素または前記したL1Oを意味する]のケトンを塩基の存在下でヒドロキシルアミンで処理して中間体オキシムを得、これを接触水素化によって対応するアミンに還元することによって得られる。
式Iの化合物の純粋なエナンチオマーは、式Iの適当な最終生成物の第二級アミンまたはチャートIに記載したまたは式チャートに記載したごときそれへの中間体を(−)−O−メチルマンデル酸アミドに変換し、続いて2のジアステレオマーをクロマトグラフィーで分離し、続いて痕跡量の水およびメチルリチウムを含むテトラヒドロフラン中のカリウムtert−ブトキシドでの反応によって切断することにより調製できる。不完全な反応の場合は、メチルリチウムをフォルマシンド(formancide)のエーテル溶液に添加し、引き続いて水でクエンチし、次いでエーテル抽出して第二級アミンを得ることによって、中間体N−ホルミル誘導体を切断することができる。該第二級アミンはすでに記載した方法を用いて第三級アミンに変換することができる。
臨床プラクティスにおいて、本発明の化合物は、通常、医薬上許容される担体と組み合わせた、遊離塩基または塩酸塩、乳酸塩、酢酸塩、スルファミン酸塩のごとき医薬上許容される酸付加塩としての活性成分よりなる医薬製剤の形態で、経口、経直腸、または注射によって投与できる。診療場で治療すべき患者に対する使用および該患者への投与は当業者ににより容易に理解されるであろう。
治療処置において、本発明の化合物の適当な日用量は、経口適用で、1〜2000mg、好ましくは50〜500mg、非経口適用で、0.1〜100mg、好ましくは0.5〜50mgである。該日用量は、好ましくは、毎日1ないし4回の分割投与量で投与し、該投与量は約70kgの体重を有する者を基礎とするものである。
pが2である場合に芳香族環でX1が8位にある本発明の化合物は、いずれのドーパミン作動性活性を有さずして非常に選択的な5−HT1Aレセプターである。これらの化合物は特に効果的な不安解消および抗鬱剤である。これらの化合物についての他の使用は、恐慌発作、強迫障害、および老人性痴呆、特に痴呆障害で見られる情緒障害を含む。加えて、中枢5−HTレセプター活性化は性挙動の媒介に関与すると信じられている。これらの化合物は性活動を刺激し、性的不能を軽減するのに有用であろう。
pが2である場合の芳香族環でX1が5位にある本発明の化合物は選択的D2オートレセプター作動剤である。これらの化合物は特に効率的な抗精神病剤であり、パーキンソン病の治療に有用である。
R2がシクロアルキルメチルである化合物もまた高い経口能および長期持続作用を有する。これらの両特徴は効果的な臨床処置に有用である。
中枢神経系障害を治療するための本発明の化合物の利用性はレセルピン前処理ラットの行動および生物化学的活性で示される。
レセルピンのCNSモノアミン貯蔵の枯渇は、低運動、カタレプシー、筋肉硬直、猫背姿勢ならびに多数のモノアミン枯渇の他の中枢および末梢徴候によって特徴付けられる「神経弛緩症候群]を引き起こす。この症候群の全部または一部は、DAまたは5−HTレセプターを直接または間接に刺激する薬剤の投与によって逆行できる。
例えば、アポモルフィンでのDAレセプターの刺激は、鼻をすする、かじる、および飛ぶごとき移動性および固定性両挙動を引き起こす。他方、例えばMAO抑制剤と組み合わせた5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)での5−HTレセプターの刺激は、非常に異なる挙動を引き起こす。動物はケージの床に倒れ伏し、広げた前足を歩行さえ、すなわち「ピアノを引く動作をし」、後足は外転し、しばしば前体にいくらか恐怖を、およびスタウプテール(Staubtail)、すなわち硬直した尾を立てて、前進運動を示す。
評価する化合物は中枢DA−および5−HTレセプター(シナプス前および/後)刺激活性について生物化学的に試験した。この生物化学的スクリーニング方法の概念は、DA−または5−HT−レセプター作動剤はレセプターを刺激し、調節フィードバック系を通じて各々チロシンまたはトリプトファンヒドロキシル化活性を減少させ、続いてシナプス前ニューロンにおけるDAおよび5−HTの合成速度を減少させることである。NSD1015(3−ヒドロキシベンジルヒドラジン塩酸塩)での芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼのin vivo抑制の後に測定したごとく、ドーパおよび5−HTP形成は、各々、エイチ・ウクストロムら(H.Wikstrom,et al)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),27,1030(1984)に記載されているごとくDA−および5−HT−合成速度の直接的な尺度として把握されている。
以下の実施例は種々の化合物の調製の仕方および/または本発明の種々のプロセスを実行する仕方を記載するものであり、単に例示的なものと解釈されるべきものであって、断じてこれまでの開示を限定するものではない。当業者ならば、反応体ならびに反応の条件および技術双方に関する手法から適当な変形を認識するであろう。
実施例実施例1 5−ブロモ−8−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン(OSU641)
8−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン・HCl200mg(0.67ミリモル)を無水EtOH20mlに溶解し、Br2(CH2Cl2中の0.3mlBr2の溶液0.6ml(1:1))を0℃、撹拌下で添加した、反応はGLC分析(220℃等温でのキャピラリGCはRt=435分を与えた)によるとその温度での2時間後完了した、減圧下で溶媒を除去し、残渣を無水EtOHに溶解し、HCl飽和EtOHを添加した。蒸発により油を得、これをEtOHに溶解した。CO2/EtOH浴中で冷却した後、エーテルの添加により、結晶224mgを得た。GC−MS(等温250℃)により、m/e=339.10(10.4%)/341.10(9.0%)にM+/M+2を有し、Rt=2.56分の生成物を得た。
実施例2 8−ブロモ−5−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ−テトラリン(OSU646)
5−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン・HCl150mg(0.50ミリモル)を無水EtOH7mlに溶解し、Br2(9.65ml EtOH中の0.35ml Br2の溶液1ml)を−10℃〜0℃での撹拌下に添加した。反応はGLC分析(250℃等温でのキャピラリGCによりRt=5.53分を与えた)によるとその温度での2時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去し、残渣を無水CH2cl2に溶解し、HCl飽和EtOHを添加した。蒸発により茶色の油を得、これをEtOHに溶解した。エーテルの添加により結晶60mgを得た。GC−MS(等温250℃)により、m/e=339/341にM+/M+2を持つRt=2.56分の生成物を得た。
実施例3 4−ブロモ−7−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)インダン(OSU648)
4−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)インダン・HCl155mg(0.55ミリモル)を無水EtOH20mlに溶解し、Br2(CH2Cl2中のBr2の溶液0.3ml(1:1))を室温にて撹拌下に添加した。GLC分析(250℃等温におけるキャピラリGCはRt=2.37分を与えた)によると、反応はその温度での2時間後完了した。減圧下で溶媒を除去し、残渣を無水EtOHに溶解し、HCl飽和EtOHを添加した。蒸発により油を得、これをEtOHに溶解し、結晶を形成させた。これらをエーテルで洗浄し、遠心により結晶100mgを得た。GC−MS(250℃等温)により、m/e=325.00(5.6%)/327.10(4.7%)にM+/M+2を有し、Rt=1.70分の生成物およびm/e=296.00(100%)/298.00(96.3%)にベースのピーク対を得た。
実施例4 シス−1S,2R−8−ブロモ−5−メトキシ−1−メチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン(OSU491)
シス1S,2R−5−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン・HCl00mg(0.37ミリモル)を無水EtOH15mlに溶解し、Br2(10ml中CH2Cl2中の0.16mlBr2の溶液1.5ml)を室温、撹拌下で添加した。GC分析(250℃等温でのキャピラリGACはRt=3.6分を与えた)によると、その温度での2時間後、反応が完了した。減圧下で溶媒を除去し、残渣を10%Na2CO3で塩基性化し、CH2で抽出した。乾燥(Na2SO4)、濾過および蒸発の後、残渣をクロマトグラフィー(SiO2)に付し、純粋な生成物を含有する画分をプールし、蒸発により油78mgを得、これを無水EtOHに溶解し、HCl飽和EtOHを添加した。蒸発により油を得たが、、これから結晶は得られなかった。GC−MS(250℃等温)により、m/e=353.10(12.6%)/335.10(10.7%)にM+/M+2をもつRt=2.62分の生成物を得た。ベースピーク対はm/e=324.10(96.1%)/326.10(100.0%)に出現した。
実施例5 シス−1S,2R−5−ブロモ−8−メトキシ−1−メチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン(OSU493)
シス1S,2R−8−メトキシ−1−メチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン・HCl29mg(0.093ミリモル)を無水EtOH5mlに溶解し、Br2(CH2Cl210ml中の0.054ml Br2の溶液1.5ml)を室温、撹拌下で添加した。GLC分析(180〜280℃;16℃/分におけるキャピラリGCはRt=6.01分を与えた)によると、反応はその温度での2時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去し、EtOH/エーテルから結晶34mgを得た(融点193〜198℃)。GC−MS(250℃等温)により、m/e=353.10(12.6%)/355.10(11.0%)にM+/M+2を有し、Rt=2.58分の生成物およびm/e=174.10におけるベースのピークを得た。m/e=324.10(92.1%)/326.10(85.8%)において他のピーク。
実施例6 5−ブロモ−8−メトキシ−2−(ジ−n−シクロプロピルアミノ)テトラリン(OSU327)
8−メトキシ−2−(ジ−n−シクロプロピルアミノ)テトラリン・HCl160mg(0.50ミリモル)を無水EtOH25mlに溶解し、室温で撹拌しつつ過剰のBr2(10ml CH2Cl2中のBr20.1mlの溶液)を添加した。GLC分析(250℃;16℃/分におけるキャピラリGCはRt=6.47分を与えた)によるとその温度での2時間後、反応は完了した。減圧下で溶媒を除去し、茶色がかった色の油を10%Na2CO3およびCH2Cl2間に分配した。有機層を乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させて油178mgを得、これは生成物62%およびモノ−アルキル化同族体38%を含有していた。純粋な生成物はクロマトグラフィー(SiO2:アセトン)の後に得られ、溶媒の蒸発の後、残存する油をHCl飽和EtOHで塩酸塩に変換した。EtOH/エーテルから結晶を得た。GC−MS(250℃等温)により、m/e=363.15(46.5%)/365.25(44.9%)にM+/M+2を有し、Rt=4.64分の生成物を得た。
実施例7 (−)−5−ブロモ−8−メトキシ−2−(ジシクロプロピルメチルアミノ)テトラリン((−)−OSU327)
8−メトキシ−2−(ジ−シクロプロピルメチルアミノ)テトラリン(OSU427)311mg(1.09ミリモル)を10mgCH2Cl2中の0.6ml Br2を含有する溶液1.5mlを含むEtOHで臭素化した。室温での一晩後、溶媒を蒸発させ、粗生成物(HBr塩)をアセトン/エーテルから再結晶して153〜154℃で融解する。白色結晶311mgを得た。αD20=−51.2゜。GC/MSはm/e=363.10(43.1%)および365.00(41.9%)ならびにm/e=160.5におけるベースピークを示した。
実施例8 5−ブロモ−8−メトキシ−2−(シクロプロピルメチルアミノ)テトラリン(OSU328)
塩基としての8−メトキシ−2−(シクロプロピルアミノ)テトラリン200mg(0.70ミリモル)を無水EtOH25mlに溶解し、過剰のBr2(10ml CH2Cl2中の0.1ml Br2の溶液)を室温、撹拌下で添加した。GC分析(250℃;16℃/分キャピラリGCはRt=3.29分を与えた)によると、その温度での0.5度間後に、反応は完了した。減圧下で溶媒を除去した後、茶色がかた色の残存油を10%Na2CO3およびCH2Cl2間に分配した。有機層を乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させて油を得、これは生成物を含有しており、これをHCl飽和EtOHで塩酸塩に変換した。EtOH/エーテルから結晶115mgを得た。融点279〜281℃。GC−MS(250℃等温)はm/e=309.00(36.5%)/311.00(34.9%)にM+/M+2を持ち、Rt=2.42分の生成物を得た。
実施例9 5−および7−ブロモ−2−テトラロン m−ブロモフェニル酢酸3.4g(16ミリモル)をCH2Cl210mlに溶解し、SOCl21.5ml(2.8g、24ミリモル)を添加し、混合物を1.5時間還流した。溶媒および過剰のSOCl2の蒸発により、酸塩化物を得、これをCH2Cl210mlに溶解し、−5℃にてAlCl39.2g(69ミリモル)のCH2Cl2200ml中混合物に20分間滴下した。エテンを反応混合物に2時間通気した。反応物を氷−水75mlをゆっくりと添加することによってクエンチした。相を分離し、有機相を10%HClで1回、および10%Na2CO3で3回洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、溶媒を蒸発させた。残存する油をEtOH−水に溶解し、Na2S2O54.1gの水溶液に添加した。硫酸水素塩アダクトを沈澱させ、濾過し、乾燥した(6.2g)。
分離に先立ち、該硫酸水素塩アダクトを水に溶解し、2ΜのNaOHで塩基性化し、続いてエーテルで3回抽出した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて粗製物質2.5gを得た。2の異性体を石油エーテル/エーテル(3:1)を用いるシリカゲルカラムで分離してOSU71A(5−ブロモ−2−テトラロン)0.52g、続いてOSU71B(7−ブモモ−2−テトラロン)1.37gを得た。該異性体は芳香族領域における-H NMRによって同定される(OSU17A:δ7.1(2のd,j1=4,j2=6.2H),7.49(t,1H);OSU17B;δ7.12(d,1H),7.29(S,1H),7.35(q,j1=8,j2=2,1H)
実施例10 5,6,7または8−アミノ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン 0.92M MeLiのエーテル中撹拌溶液9.2mlにヘキサン9ml中のメトキシルアミン8.5ミリモル(1滴/秒)、続いて(5,6,7,または8−ブロモ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリンおよびn−BuLiから調製した)5,6,7または8−リチオ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリンの1.55Μ溶液2.6ml(4.3ミリモル)を滴下した。混合物を2時間、−15℃まで加温し、水0.5mlでクエンチした。得られた混合物の仕上処理により、所望の5,6,7または8−アミノ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリンを得た。
実施例11 5,6,7または8−トリフルオロメチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン 5,6,7または8−ブロモ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン5ミリモル、トリフルオロ酢酸ナトリウム20ミリモルおよびヨウ化銅(I)10ミリモルの1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン(DMPU)40ml中混合物をArガス下、4時間加熱した(160℃)。反応混合物の仕上処理により、5,6,7または8−トリフルオロメチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリンを70%の収率(GC−分析)で得た。特別の例として、8−CF3異性体はGC/MSでm/e=299.15(5.8%)にてΜ+およびm/e=270.15(Μ−29)にてベースピークを有する。
実施例12 5,6,7または8−メチルチオ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン 5,6,7または8−ブロモ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン1.5g(4.5ミリモル)の乾燥エーテル20ml中溶液を窒素雰囲気下で−78℃まで冷却した。S−BuLi7ml(10ミリモル)を添加し、混合物を1時間撹拌した。メチルスルファイド0.31g(5ミリモル)を添加し、混合物を3時間撹拌した。温度が−10℃に到達したときに水を添加した。仕上処理により生成物を得た。
実施例13(a)5,および7−ブロモ−2−テトラロン m−ブロモ−フェニル酢酸3.4g(15.8ミリモル)をCH2Cl210mlに溶解し、SOCl21.5mlを添加し、混合物を1.5時間還流した。溶媒および過剰のSOCl2の蒸発により酸塩化物を得、これをCH2Cl225mlに溶解し、−5℃にて、AlCl39.2g(69.0ミリモル)のCH2Cl2200ml中混合物に20分間で滴下した。反応混合物にエテンガスを2〜3時間通気した。水75mlをゆっくりと添加することによって反応物をクエンチした。相を分離し、有機層を10%塩酸で1回、10%Na2CO3で3回洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残存する油をEtOH−水に溶解し、Na2S2O54.0gの水溶液に添加した。硫酸水素塩アダクトを沈澱させ、濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥した(6.2g)。GC/MSは両異性体についてm/e=224(65%)にてΜ+/Μ+2を示した。該硫酸水素塩アダクトを10%Na2CO3で処理し、該ケトンをエーテルで抽出し、溶媒の蒸発後に2.5gを得た。2のケトンの混合物(5−および7−ブロモ−2−テトラロン)を、p−エーテル/ジ−i−エーテル(3:1)で溶出するクロマトグラフィー(SiO2)によって分離し、異性体1 0.52g(89%および異性体2の11%)および異性体2 1.37g(99%および異性体1の1%)を得た。NMR分析により異性体1および異性体2を各々5−ブロモ−2−テトラロンおよび7−ブロモ−2−テトラロンであるとの帰属が得られた。
(b)5−ブロモ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン前記クロマトグラフィーからの5−ブロモ−2−テトラノン 0.47g(89%)をベネン(benene)(登録商標)150mlに溶解し、p−トルオルスルホン酸36mgおよびジ−n−プロピルアミン1.8mlを添加した。水分離下で、混合物をディーン・スターク装置中で48時間還流した。溶媒を除去し、残渣をMeOH75mlに再溶解し、NaBH3CN1.9gを添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、残渣をCH2Cl2100mlに再溶解し、水、次いで15%NaOHで洗浄した。有機層を分離し、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、生成物0.59gを得、これをクロマトグラフィー(SiO2、EtOHで溶出)に付して生成物0.4gを塩基として得、これをHCl飽和EtOHでその塩酸塩に変換した。蒸発およびEtOH/エーテルからの再結晶により151〜156℃で融解する結晶0.39gを得た。GC/MSはm/e=309(10%)/311(10%)にΜ+/Μ+2を示した。
(c)7−ブロモ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン 該7−ブロモ異性体をその前記5−ブロモ異性体についての7−ブロモ−テトラロン1.3gから合成して、塩酸塩1.03gを171〜176℃で融解する結晶として得た。GC/MSはm/e=309(10%)/311(10%)にΜ+/Μ+2およびm/e=130にベースピークを示した。
実施例14(a)7−ジアゾニウム−8−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアンモニウム)テトラリン ビス(ヘキサフルオロホスフェート)
(3)方法III 文献の手法(ラザフォード・ケイ・ジイ;レドモンド・ダブリュー(Rutherford,K.G.;Redomond,W.)、オーガニック・シンセシス(Organicc Sysnthesis),V,133)に従い、アニリン誘導体7−アミノ−8−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン0.27g(0.77ミリモル)のジアゾ化および対応するジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートの沈澱を行った。真空下、一晩の室温での乾燥後の無色沈澱の収量0.41g(91%):融点105〜110℃(分解)
(b)7−フルオロ−8−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン ジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート(3)0.35g(0.6ミリモル)を190℃(油浴)にてポンプ真空下、1.25時間熱分解してタール状残渣を得、これを10%Na2CO325mlおよびエーテル25ml間に分配した。水相をエーテルで抽出した(3×23ml)。有機抽出物100mlを乾燥し(Na2SO4)、蒸発させて黄色油を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2/軽質石油エーテル:酢酸エチル:トリエチルアミン89:10:1)に付した。無色油の収率62mg(27%)。










【特許請求の範囲】
【請求項1】式II:

[式中、XはF、ClもしくはBrまたはCF3;ここに、OR3は5−または8−位にあり、R3は(C1−C8)アルキル、(C2−C8)アルケニル、−CH2−(C3−C8)シクロアルキルまたはベンジル;
ここに、R7はHまたはCH3;ここに、R1はH、(C1−C3)アルキルまたはシクロプロピルメチル;およびここに、R2は−CH2−(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C8)アルキル、−(CH2−R5または−CH2CH2−Z−(CH2rCH3、ここに、R5はフェニル、2−チオフェンまたは3−チオフェン、Zは酸素または硫黄、qは2または3、およびrは0ないし3を意味する、但し、OR3(R3=メチル)が5位にあり、X(X=Cl)8位にあって、R1=R7=Hである場合、R2はC2H5ではない。]
で示される化合物またはその医薬上許容される酸付加塩。
【請求項2】治療目的で使用するための式III:

[式中、X、R1、R2、R3、R7は請求の範囲第1項の定義に同じ]
で示される化合物またはその医薬上許容される酸付加塩。
【請求項3】XがF、ClまたはBrである請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項4】R2が−CH2−(C3−C8)シクロアルキルである請求の範囲第3項記載の化合物。
【請求項5】R2が−CH2−(C3−C8)シクロアルキルである請求の範囲第2項記載の化合物。
【請求項6】R2が(C1−C8)アルキル、−(CH2−R5または−CH2CH2−Z(CH2rCH3である請求の範囲第2項記載の化合物。
【請求項7】8−ブロモ−5−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン、またはシス−1S,2R−8−ブロモ−5−メトキシ−1−メチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリンである請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項8】5−ブロモ−8−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン、シス−1S,2R−5−ブロモ−8−メトキシ−1−メチル−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン、5−ブロモ−8−メトキシ−2−[ジ(シクロプロピルメチル)アミノ]テトラリン、または(−)−5−ブロモ−8−メトキシ−2−[ジ(シクロプロピルメチル)アミノ]テトラリンである請求の範囲第1項記載の化合物。
【請求項9】4−ブロモ−7−メトキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)インダンである請求の範囲第2項記載の化合物。

【特許番号】第2868897号
【登録日】平成10年(1998)12月25日
【発行日】平成11年(1999)3月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−502272
【出願日】平成2年(1990)1月3日
【公表番号】特表平4−502620
【公表日】平成4年(1992)5月14日
【国際出願番号】PCT/US90/00015
【国際公開番号】WO90/07490
【国際公開日】平成2年(1990)7月12日
【審査請求日】平成8年(1996)12月27日
【出願人】(999999999)ジ・アップジョン・カンパニー
【参考文献】
【文献】J.Med.Chem.,(1982)25(2)p.136−141
【文献】J.Med.Chem.,(1986)29(9)p.1615−1627