説明

ハンガー

【課題】
肩や背中、首筋等にもハンガーによる芳香・消臭・殺菌機能を行き渡らせることができ、自動車等のアシストグリップに掛止させて使用したときでもハンガーに掛けた衣服等を傷めることがないハンガーを提供する。
【解決手段】
ハンガー本体の少なくとも左右端部寄り部分を中空状にして消臭又は/及び殺菌材の収納空間を形成し、収納空間の周壁部分に複数の通気孔を透設し、開口端部を蓋体で閉塞可能に構成し、消臭又は/及び殺菌材は竹を乾留若しくは爆砕して形成された炭化繊維もしくは当該炭化繊維を含んだ部材で形成するとともに、一対の鉤形部材の先端部同士を連結した吊持具をハンガー本体の中央部分に立設して挟持部を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として衣服類等を吊持するハンガーに関し、特に、ハンガー本体に芳香・消臭機能を有するハンガーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のハンガーとしては、中央部にフックの吊持部を回転可能に設けた筒状のハンガー本体内にその両端の開口部から芳香剤を充填した後、当該両端の開口部に、芳香出口孔を多数設けたキャップを嵌着し、その芳香出口孔から芳香を発散させるようにしたものがある。(例えば特許文献1)
【0003】
ところが、こうしたハンガーでは芳香若しくは消臭薬剤のミストがキャップに設けられた芳香出口孔からのみ放散されるだけなので、これに衣服を掛けて使用する場合、このキャップの芳香出口孔の近傍、つまり肩先部分にしか芳香・消臭機能が作用しない、つまり背中や首筋、腋の下等に肝心の部位には芳香・消臭機能が行き渡らないという問題があった。
加えて、上記公報に記載されたハンガーでは吊持部が回転可能に設けられているために、これを自動車等のアシストグリップに掛止させた場合、自動車の振動やゆれでハンガーががたつき、車体と接触して騒音を発生したり、ハンガーに掛けた衣服を傷めてしまうという問題もあった。
【特許文献1】登録実用新案第3058253号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑み提案されたもので、肩や背中、首筋等にもハンガーによる芳香・消臭・殺菌機能を行き渡らせることができるとともに、自動車等のアシストグリップに掛止させた場合、振動やゆれでハンガーががたつき、車体と接触して騒音を発したり、ハンガーに掛けた衣服等を傷めることがないハンガーを提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係るハンガーは、円弧状またはへの字状、若しくは直線状に形成されたハンガー本体と、当該ハンガー本体の中央部分に設けられた吊持部とからなり、ハンガー本体は、少なくとも左右端部寄り部分が中空状に形成され、当該中空状部分に消臭又は/及び殺菌材の収納空間を形成し、当該収納空間の周壁部分に複数の通気孔を透設するとともに、開口端部を蓋体で閉塞可能に構成し、消臭又は/及び殺菌材は竹を乾留若しくは爆砕して形成された炭化繊維もしくは当該炭化繊維を含んだ部材で形成されており、吊持部は一対の鉤形部材の先端部同士を連結した吊持具をハンガー本体の中央部分に立設したことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のハンガーでは、ハンガー本体が金属製の円筒又は角筒で形成されていることや、吊持具の脚部端をハンガー本体の中央部分を貫通させ、外部に突出した雄ネジ部分にキャップを螺着して吊持具をハンガー本体に着脱可能に取り付けるようにしたこと、さらにはハンガーの側面視において、吊持具を掛止部に掛止させたときに掛止部形成面より離間するように、吊持具の中心線がハンガー本体の中心線に対して傾斜させたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のハンガーによれば、ハンガー本体の少なくとも左右端部寄り部分が中空状に形成し、この中空状部分に消臭又は/及び殺菌材の収納空間を形成し、当該収納空間の周壁部分に複数の通気孔を透設するとともに、開口端部を蓋体で閉塞可能に構成し、消臭又は/及び殺菌材は竹を乾留若しくは爆砕して形成された炭化繊維もしくは当該炭化繊維を含んだ部材で形成するようにしてあるので、収納空間を形成する周壁部分に形成された複数の通気孔より、ハンガーによる芳香・消臭・殺菌等の薬剤の薬効が発揮される。
これにより、肩や背中、首筋等にも芳香・消臭・殺菌機能を行き渡らせることができる。
【0008】
さらに、吊持部が、一対の鉤形部材の先端部同士を連結したハンガー本体の中央部分に立設するようにしてあるので、本発明にかかるハンガーを、自動車等のアシストグリップに掛止させた場合、振動やゆれでハンガーががたつくことがない。これにより、従来のハンガーのように車体と接触して騒音を発生したり、ハンガーに掛けた衣服等を傷めることを防止することができる利点がある。
【0009】
また、ハンガー本体を金属製の円筒又は角筒で形成するようにすると、中実のものから切削により形成しなくても済み、簡単で安価に実施することができる利点がある。
加えて、吊持具の脚部端をハンガー本体の中央部分を貫通し、外部に突出した雄ネジ部分にキャップを螺着して吊持具をハンガー本体に着脱可能に取り付けるようにしたものでは、分解した状態搬送することができ、嵩張らず、輸送や収納等に至便なものとなる。
【0010】
また、ハンガーの側面視において、吊持具を掛止部に掛止させたときに掛止部形成面より離間するように、吊持具の軸心がハンガー本体の軸心に対して傾斜させたものでは、自動車等のアシストグリップに掛止させて使用する時に、ハンガー本体が掛止部形成面より離間した状態に保持されるので、自動車等の振動やゆれでハンガーががたつくことがなく、車体と接触して騒音が発声するのを防止する効果や、ハンガーに掛けた衣服等が傷むのを防止する効果を一層向上させることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るハンガーの望ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はハンガーの全体斜視図であって、図中符号1はハンガーを全体的に示す。
このハンガー1は、ハンガー本体2と、ハンガー本体2の中央部に立設された吊持具3からなる吊持部4とを備えてなる。
上記ハンガー本体2は、アルミニウム等の軽金属製の筒状パイプを緩やかな円弧状に曲成し、図2に示すように内部には消臭又は/及び殺菌材の収納空間5を形成するとともに、当該筒状パイプの中央部分6を除く左右部分6a・6bには複数の通気孔7が穿設されている。
【0012】
また、前記収納空間5の開口端部6cは後述する消臭ないし殺菌材8を挿入した後、ゴム又は合成樹脂製の蓋体9で閉塞される。
斯くして開口端部6cが蓋体9で蓋されると、収納空間5は上記通気孔7で収納空間と外部とが連通される。
尚、上記消臭ないし殺菌材8は、竹を乾留若しくは爆砕して繊維状の炭化物とし、この炭化物を合成繊維と混練してシート状にしたものを折り畳んで、若しくは丸めて形成したものであるが、これをたとえば図3に示すように竹の繊維状炭化物のみで形成することもできる。
本発明で使用する上記竹の繊維状の炭化物には消臭と殺菌(防黴)効果があり、これに芳香剤を加えて使用することもできる。
【0013】
上記吊持具3は、形状的には側面視において略フック状に形成された一対の鉤形部材3a・3bを、左右に対峙させ、その先端部分3cが連結された状態で一体となっているが、実際に吊持具3を形成する場合、図4に示すように1本のアルミニウム等の線材を成形冶具により、上記形状に成形される。
また、吊持具3の脚部は段落ちの小径に形成され、この小径部分に雄ネジが形成されている(図5参照)。
こうして形成された吊持具3は、図1及び図5に示すように、ハンガー本体2の中央部分6に上下にわたって形成された装着孔10に挿入し、下方の装着孔10から突出した雄ネジ11に、これに螺合する雌ネジ12を形成した固定用のキャップ13を嵌合させる。
尚、蓋体9は図7に示すようにネジ嵌合18により取り付けるようにしてもよいことは勿論である。
【0014】
ハンガー本体2の中央部分に上下にわたって形成された下方の装着孔10は上記吊持具3の脚部の小径の雄ネジが貫通するように小径に形成されていることから、吊持具3は、図5に示すようにハンガー本体2の底部を脚部とキャップ13との間に挟んだ状態で確りと固定される。
尚、吊持具3は、その鉤形部材3a・3b部分は斜めに長く形成されている。
即ち、図6に示すように側面視においてハンガー本体2の中心線L1に対して鉤形部材3a・3b部分の中心線L2を傾斜させて、この吊持具3がたとえば図8に示すように自動車室内14のアシストグリップ(掛止部)15に掛止された時、ハンガー本体2の左右部分(肩部分)6a・6bが自動車室内14のウインドウやサイドパネル部分(掛止部形成面)16から離れるようになっている。
【0015】
上記のように形成された本発明のハンガー1は、ハンガー本体2の開口端部6cから消臭ないし殺菌材8を収納空間5内に充填した後、蓋体9で当該開口端部6cを閉塞する。
次に、ハンガー本体2に衣服類17を掛ける。ハンガー本体2部分に掛止された衣服類17はハンガー本体2の周面部分に穿設された通気孔7から消臭ないし殺菌材8の薬効が放散されるとともに、衣服類17の臭いが通気孔7から、竹を乾留若しくは爆砕して繊維状の炭化物に吸着される。
このとき、通気孔7がハンガー本体2に広く形成されていることから、ハンガーに掛止された衣服類17は従来のもののように1点に偏ることなく良好に消臭・殺菌される。
【0016】
そして、衣服類17を掛止したハンガー1の吊持具3が自動車室内14のアシストグリップ15に掛止されると、すると、前述したようにハンガー本体2の開口端部(肩部)6cがウインドウやサイドパネル部分16から離れるようになっていることから、自動車の運転中、振動やゆれたりしたときでもハンガー1が殆どがたつかず、ハンガー1に掛けた衣服類17がウインドウやサイドパネル部分16に当接して音を発生したり、傷ついたりするのが防止される。
【0017】
尚、上記実施の形態ではハンガー本体2をアルミニウム等の軽金属製の筒状パイプを緩やかな円弧状に曲成して形成するようにしてあるが、素材はアルミニウム等の軽金属製に限られず、合成樹脂製にすることもできる。
また、ハンガー本体2は円筒に限られず、角筒で形成することができるのはもとより、円弧上は「へ」の字状や直線状にすることもできる。
さらに、ハンガー本体2は筒状に限られず、中実の素材で形成し、先端寄り部分を切削等で消臭ないし殺菌材8の収納空間5を形成するようにすることもできるし、上記通気孔7は図示の円孔に変えて長孔やスリットで形成することもできるのは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は本発明にかかるハンガーの斜視図である。
【図2】は本発明にかかるハンガーの開口端部の分解斜視図である。
【図3】は本発明にかかるハンガーの収納空間に装填される殺菌材の変形例を示す斜視 図である。
【図4】は本発明にかかるハンガーの吊持部の斜視図である。
【図5】は本発明にかかるハンガーの吊持部野構造を示す縦断面図である。
【図6】は本発明にかかるハンガーの側面図である。
【図7】は本発明にかかるハンガーの開口端部の側面図である。
【図8】は本発明にかかるハンガーの使用状態の正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・・ハンガー
2・・・ハンガー本体
3・・・吊持具
4・・・吊持部
5・・・収納空間
6・・・中央部分
7・・・通気孔
8・・・殺菌材
9・・・蓋体
10・・・装着孔
11・・・雄ネジ
12・・・雌ネジ
13・・・キャップ
15・・・アシストグリップ(掛止部)
16・・・ウインドウやサイドパネル部分(掛止部形成面)
17・・・衣服類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状またはへの字状、若しくは直線状に形成されたハンガー本体と、当該ハンガー本体の中央部分に設けられた吊持部とからなり、ハンガー本体は、少なくとも左右端部寄り部分が中空パイプ状に形成され、当該中空パイプ状部分に消臭又は/及び殺菌材の収納空間を形成し、当該収納空間の周壁部分に複数の通気孔を透設するとともに、開口端部を蓋体で閉塞可能に構成し、消臭又は/及び殺菌材は竹を乾留若しくは爆砕して形成された炭化繊維もしくは当該炭化繊維を含んだ部材で形成されており、吊持部は先端部同士を連結した一対の鉤形部材をハンガー本体の中央部分に立設したことを特徴とするハンガー。
【請求項2】
ハンガー本体が金属製の円筒又は角筒で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンガー。
【請求項3】
吊持具の脚部端をハンガー本体の中央部分を貫通し、外部に突出した雄ネジ部分にキャップを螺着して吊持具をハンガー本体に着脱可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のハンガー。
【請求項4】
ハンガーの側面視において、吊持具を掛止部に掛止させたときに掛止部形成面より離間するように、吊持具の中心線がハンガー本体の中心線に対して傾斜させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のハンガー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−151657(P2007−151657A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347762(P2005−347762)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(501188742)株式会社マツシタ (3)
【Fターム(参考)】