説明

ハンドタップ

【課題】被加工物に雌ねじを形成する際に、略円柱状本体が雌ねじ形成用孔の中心線に沿って該雌ねじ形成用孔内に正確に挿入され、該雌ねじ形成用孔内に雌ねじが正確に形成されるようにしたハンドタップを提供する。
【解決手段】略円柱状本体3における一端部4の周面4aに雌ねじ形成刃5を設けてなるハンドタップ1において、該略円柱状本体3における当該一端部4の端面4bには、被加工物に穿設された円筒状の雌ねじ形成用孔と略同一の直径を有する円柱状の突起13を突設し、該被加工物に雌ねじを形成する際に、該突起13により該略円柱状本体3が該雌ねじ形成用孔の中心線に沿って案内され、該雌ねじ形成用孔内に正確に挿入されるようにしたことを特徴とするハンドタップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手作業によりめねじを形成するためのハンドタップ(手回しタップ)に関するものであり、例えば自動車のエンジンルーム内の如き狭くて入り組んだ場所に配設されている部材、部品、部分等の被加工物に対し、当該場所にてめねじを形成することができるようにしたハンドタップに係るものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドタップとしては、例えば本考案者が提案した実用新案登録第3084779号公報に示すように、略円柱状本体(シャンク)の一端部に雌ねじ形成刃を設けてなるもの(以下「従来のハンドタップ」という。)が既に知られている。
【0003】
すなわち、従来のハンドタップ1は、図4、図5に示すように、略円柱状本体3における一端部4の周面4aに、被加工物の所定場所に雌ねじを形成するための雌ねじ形成刃5を形成してなるものである。
【0004】
従来のハンドタップ1により被加工物に雌ねじを形成する際には、該被加工物に雌ねじを形成するための円筒状の雌ねじ形成用孔を予め穿設し、該略円柱状本体3の他端部に保持体を外嵌し、該保持体を把持して該雌ねじ形成用孔内に略円柱状本体3の一端部を圧入しつつ、該保持体を回転させるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3084779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、従来のハンドタップにおいては、上述の如く被加工物に雌ねじを形成する際に、該ハンドタップが雌ねじ形成用孔の中心線に対し傾斜するおそれがある。該ハンドタップが雌ねじ形成用孔の中心線に対し傾斜したときには、雌ねじを正確に形成することができない。
【0007】
本発明は、上記従来のハンドタップにおけるこのような問題を解決し、被加工物に雌ねじを形成する際に、略円柱状本体が雌ねじ形成用孔の中心線に沿って該雌ねじ形成用孔内に正確に挿入され、該雌ねじ形成用孔内に雌ねじが正確に形成されるようにしたハンドタップを提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、下記のハンドタップを提供するものである。
【0009】
略円柱状本体における一端部の周面に雌ねじ形成刃を設けてなるハンドタップにおいて、
該略円柱状本体における当該一端部の端面には、被加工物に穿設された円筒状の雌ねじ形成用孔と略同一の直径を有する円柱状の突起を突設し、該被加工物に雌ねじを形成する際に、該突起により該略円柱状本体が該雌ねじ形成用孔の中心線に沿って案内され、該雌ねじ形成用孔内に正確に挿入されるようにしたことを特徴とするハンドタップ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、略円柱状本体における前記一端部の周面には、被加工物に穿設された円筒状の雌ねじ形成用孔と略同一の直径を有する円柱状の突起を突設し、該被加工物に雌ねじを形成する際に、該突起により該略円柱状本体が該雌ねじ形成用孔の中心線に沿って案内され、該雌ねじ形成用孔内に正確に挿入されるようにしたため、ハンドタップは、該雌ねじ形成用孔の中心線に対し傾斜することなく、該雌ねじ形成用孔内に雌ねじを正確に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明によるハンドタップの一例を示す側面図である。
【図2】図2は、同上ハンドタップの正面図である。
【図3】図3は、同上ハンドタップの使用状態の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、従来のハンドタップの一例を示す側面図である。
【図5】図5は、同上ハンドタップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるハンドタップ11は、金属製の略円柱状本体(シャンク)3における一端部4の周面4aに雌ねじ形成刃5を設けてなる点においては、上記従来のハンドタップ1と同様である。
【0013】
しかして、本発明によるハンドタップ11においては、略円柱状本体3における当該一端部4の端面4bには、被加工物7に穿設された円筒状の雌ねじ形成用孔9と略同一の直径を有する円柱状の突起13を突設し、該被加工物7に雌ねじを形成する際に、該突起13により該略円柱状本体3が該雌ねじ形成用孔9の中心線に沿って案内され、該雌ねじ形成用孔9内に正確に挿入されるようになす。図3参照。突起13の長さは、一例として、該突起13の直径にほぼ等しい。
【0014】
図3に示す事例においては、略円柱状本体3の他端部6には、保持体15を外嵌し、該保持体15を把持して該雌ねじ形成用孔9内に略円柱状本体3の一端部4を圧入しつつ、該保持体15を回転させるようにしている。
【符号の説明】
【0015】
1 従来のハンドタップ
3 略円柱状本体
4 一端部
4a 周面
4b 端面
5 雌ねじ形成刃
6 他端部
7 被加工物
9 雌ねじ形成用孔
11 本発明によるハンドタップ
13 突起
15 保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円柱状本体における一端部の周面に雌ねじ形成刃を設けてなるハンドタップにおいて、
該略円柱状本体における当該一端部の端面には、被加工物に穿設された円筒状の雌ねじ形成用孔と略同一の直径を有する円柱状の突起を突設し、該被加工物に雌ねじを形成する際に、該突起により該略円柱状本体が該雌ねじ形成用孔の中心線に沿って案内され、該雌ねじ形成用孔内に正確に挿入されるようにしたことを特徴とするハンドタップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22704(P2013−22704A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161518(P2011−161518)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(303040437)株式会社サンツール (5)