説明

ハンドノズル及び人体洗浄装置

【課題】ハンドノズル及び人体洗浄装置の操作性を向上させる。
【解決手段】洗浄水を吐水する吐水口が配置され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える操作部を有する本体部と、前記本体部に対して可動に連結された握り部と、を備え、前記握り部を把持しつつ、前記握り部に対して前記本体部を動かすことにより、前記吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向及び吐水位置の少なくともいずれか一方を変えられることを特徴とするハンドノズルが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドノズル及び人体洗浄装置に関し、被介護者の人体を洗浄するハンドノズル及び人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、洋式腰掛便器に腰掛けた被介護者の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被介護者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被介護者の局部を洗浄することができる。
【0003】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部(肛門周辺)の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被介護者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被介護者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【0004】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば介護者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な局部洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された局部洗浄装置に取り付けられた手持ち用ノズルは、単に棒状であり、その操作性が悪いという問題が生じている。
【0006】
例えば、被介護者が手持ち用ノズルを自ら使用したり、介護者が被介護者に対して使用したりするいずれの場合も、被介護者が着座状態では見えない部分を洗浄するために、見えない部分にまでノズルの吐水口を人体下部へ挿入して洗浄動作を行う必要がある。
【0007】
手持ち用ノズルは任意方向に向けて洗浄を行えるメリットがあるものの、吐水方向がどの向きになっているのかが分り難いデメリットがある。被介護者の臀部の全体を洗浄しようとした場合には、使用者の手または手首を動かしながら洗浄を行う必要があり、その際、被介護者の足間に使用者の手が触れたり、洗浄装置の後方などの狭い作業スペースにおいて、使用者の手が被介護者の人体や便座に触れたりして、その操作性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−181934号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記問題点を解決することであり、操作性のよいハンドノズル及び人体洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、洗浄水を吐水する吐水口が配置され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える操作部を有する本体部と、前記本体部に対して可動に連結された握り部と、を備え、前記握り部を把持しつつ、前記握り部に対して前記本体部を動かすことにより、前記吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向及び吐水位置の少なくともいずれか一方を変えられることを特徴とするハンドノズルが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、ハンドノズル及び人体洗浄装置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図2】トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図3】ハンドノズルの第1の機能を説明するための模式図である。
【図4】ハンドノズルのストローク動作の操作を説明するための模式図である。
【図5】第1の機能を有したハンドノズルの変形例を説明するための側部断面模式図である。
【図6】ハンドノズルの第2の機能を説明するための模式図である。
【図7】ハンドノズルのロール動作の操作を説明するための模式図である。
【図8】ハンドノズルの第3の機能を説明するための模式図である。
【図9】ハンドノズルのヨー動作の操作を説明するための模式図である。
【図10】第3の機能を有したハンドノズルの変形例を説明するための模式図である。
【図11】第1〜第3の機能を複合させたハンドノズルの模式図である。
【図12】第1〜第3の機能を複合させたハンドノズルの模式図である。
【図13】第1〜第3の機能を複合させたハンドノズルの模式図である。
【図14】ハンドノズルの操作部の斜視模式図である。
【図15】ハンドノズルの操作部の斜視模式図である。
【図16】本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図17】本実施形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明として、洗浄水を吐水する吐水口が配置され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える操作部を有する本体部と、前記本体部に対して可動に連結された握り部と、を備え、前記握り部を把持しつつ、前記握り部に対して前記本体部を動かすことにより、前記吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向及び吐水位置の少なくともいずれか一方を変えられることを特徴とするハンドノズルが提供される。
このような発明によれば、洗浄部位に対する握り部の相対位置及び方向を変化させることなく、吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向および吐水位置の少なくともいずれかを変化させることが出来るため、操作性が向上する。
【0014】
また、第2の発明では、前記握り部に対する吐水口の位置が、前記本体部又は前記握り部の長手軸方向に沿って可変とされたことを特徴とする。
このような発明によれば、洗浄部位に対する握り部の相対位置及び方向を変化させることなく、吐水口から吐水される洗浄水の吐水位置を、本体部の長手軸方向に沿って変化させることが出来るため、操作性が向上する。
【0015】
また、第3の発明では、前記本体部は、その長手軸方向に延在する回転軸を中心に回動可能とされたことを特徴とする。
このような発明によれば、洗浄部位に対する握り部の相対位置及び方向を変化させることなく、吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向を、本体部の長手軸方向に延在する回転軸を中心に回動させることが出来るため、操作性が向上する。
【0016】
また、第4の発明では、前記本体部は、前記吐水口からの吐水方向に対して略垂直な面内において、前記握り部と前記本体部との連結部を中心として首振り動作可能とされたことを特徴とする。
このような発明によれば、洗浄部位に対する握り部の相対位置及び方向を変化させることなく、吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向を、首振り動作により左右に変化させることが出来るため、操作性が向上する。
【0017】
また、第5の発明によれば、上記第1〜第4のいずれかのハンドノズルと、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器により加熱された洗浄水を前記ハンドノズルに導水するホースと、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
このような発明によれば、洗浄部位に対するハンドノズルの握り部の相対位置及び方向を変化させることなく、適切な洗浄部位に対し適切な温度の洗浄水を吐出することが出来る。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。また、図2は、トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【0019】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器(以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する)500と、その上に設けられた人体洗浄装置100と、便蓋300と、便座400と、を備える。便蓋300および便座400は、例えば人体洗浄装置100に対して開閉自在に軸支されている。また、便器500の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよい。なお、便座400としては、所謂O型のものを例示しているが、U型であってもよい。
【0020】
本実施形態にかかる人体洗浄装置100は、水の温度を調節する熱交換器(温度調節器)110と、熱交換器110からの水を導水するホース120と、ホース120の一端に取り付けられたハンドノズル10と、ハンドノズル10を収納する収納部160と、を有する。熱交換器110は、人体洗浄装置100のケーシング101内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器110により加熱された洗浄水は、ホース120を介してハンドノズル10に供給される。
【0021】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器110を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器110を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本願明細書において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【0022】
また、本実施形態にかかる人体洗浄装置100は、便座400への被介護者の着座を検知する着座センサ170と、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ180と、制御部150と、をさらに有する。着座センサ170および入室検知センサ180としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被介護者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ180により適している。そして、着座センサ170は、便座400への被介護者の着座を検知すると、制御部150に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ180は、トイレ室への被介護者の入室を検知すると、制御部150に検知信号を送信できる。
【0023】
また、図2に示すハンドノズル10は、主に、本体部202と、本体部202に連結された握り部200とを有している。また、本体部202は、把持部137、太幅部134及びノズル先端部201とを含む構成となっている。そして、操作部131を操作することにより、ノズル先端部201に設けられた吐水口135から洗浄水が吐水される。
【0024】
具体的には、本体部202の内部に開閉弁(図2では不図示)を内蔵し、当該開閉弁により、洗浄水の吐水および止水が切り替えられる。さらに、ハンドノズル10は、開閉弁139を開閉させる操作部131と、吐水部136とを有している。ここで、操作部131は、ハンドノズル10の把持部137に設けられている。また、吐水部136には、洗浄水を吐水可能な吐水口135が設けられている。、ハンドノズル10において、吐水口135は操作部131が配置されているハンドノズル10と同じ側に配置されている。すなわち、操作部131のレバー主面に対して垂直に上がる方向を上方とすると、吐水口135も前記上方を向いてハンドノズル10に配置されている。
【0025】
また、ハンドノズル10は、ホース120と把持部137との間に、握り部(グリップ部)200を連結している。そして、ハンドノズル10においては、把持部137に太幅部(支持部)134を接続させて、さらに太幅部(支持部)134にノズル先端部201を接続させている。そして、ノズル先端部201に、上述した吐水口135を設けている。
【0026】
また、操作部131は、軸132において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ133が設けられている。開閉スイッチ133は、図示しないばね等により矢印Aとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作部131は開閉スイッチ133により矢印Aとは反対方向に付勢されている。
【0027】
例えば、介護者などが操作部131を矢印Aの方向に押すと、開閉スイッチ133は操作部131により矢印Aの方向に押される。そうすると、ハンドノズル10内に設けられた開閉弁139が開放され、洗浄水が吐水口135から噴射される。
一方、介護者などが操作部131から手を離すと、操作部131および開閉スイッチ133は、矢印Aとは反対方向に付勢されているため、矢印Aとは反対方向に押し上げられる。そうすると、開閉弁139は閉止され、吐水口135からの洗浄水の噴射は停止される。このように、ハンドノズル10の把持部137には、吐水口135からの吐水または止水を切り替える切替手段が設けられている。
あるいは、開閉弁139は、制御部150からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【0028】
なお、ハンドノズル10では、把持部137、太幅部134及びノズル先端部201とを含めた部位を本体部202とする。従って、図2から分かるように、本体部202と握り部200とは直列状に連結している。
また、ノズル先端部201と太幅部134とは、一体の構造であってもよく、ノズル先端部201が太幅部134に着脱可能な構造であってもよい。
一体構造とした場合は、部品点数及び組み立て工数の低減により、少ないコストで製作することが出るという利点を有する。
一方、ノズル先端部201が着脱可能な別部品とした場合は、汚水を浴びやすいノズル先端部201を取り外しての洗浄作業を容易に行うことが出来るほか、定期的に交換して清浄な状態を保つことができるという利点を有する。
【0029】
続いて、ハンドノズル10の機能について詳細に説明する。ハンドノズル10では、握り部200を固定しつつ、本体部202を動作することにより、吐水口135から吐水される洗浄水の方向先を変えられることを特徴としている。
【0030】
図3は、ハンドノズルの第1の機能を説明するための模式図である。図3では、ハンドノズルの側部模式図が示されている。
第1の機能では、ハンドノズルが伸縮することにより、握り部200に対する吐水口の位置が、前記本体部又は前記握り部の長手軸方向に沿って可変とされたことを特徴としている。
ハンドノズル10aは、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、その長手方向(ハンドノズル10aの中心軸Cの軸方向)に伸縮する機能を有している。
【0031】
具体的には、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、本体部202を握り部200から離したり(図3(a)参照)、再度、本体部202を握り部200側に戻したりすることができる(図3(b)参照)。また、このような伸縮運動をストローク動作と呼称する。
【0032】
図示するように、把持部137は、握り部200側に内パイプ137pを延出している。また、内パイプ137pの外径を握り部200の内径よりも小さくしている。そして、内パイプ137pと握り部200とを互いに勘合させている。
【0033】
このような構造であれば、内パイプ137pを握り部200内でスライドさせることにより、テレスコープ式に本体部202を握り部200から離したり、一旦離した本体部202を再び握り部200に戻したりすることができる。この際、ハンドノズル10a全体が延びる最大の長さは、内パイプ137pの長さ分になる。そして、洗浄水は、ホース120から供給されて握り部200内を通過し、続いて把持部137内を通過し、さらに、ノズル先端部201内を通過して吐水口135から放出される。
なお、内パイプ137pと握り部200との界面には、例えば、Oリング等のパッキンを挟持して、洗浄水の水密性を向上させてもよい。
【0034】
次に、ハンドノズル10aのストローク動作の操作方法について説明する。
図4は、ハンドノズルのストローク動作の操作を説明するための模式図である。
ハンドノズル10aのストローク動作をするときには、図示するように、手で握り部200を握り、把持部137の裏側に、例えば親指以外の指を添える。そして、親指を操作部131上に載置した後、当該操作部131を介して親指で本体部202全体を押したり(図4(a)参照)、引いたりする(図4(b)参照)。
【0035】
このような操作によって、本体部202を握り部200から離したり、一旦離した本体部202を再び握り部200側に戻したりすることができる。すなわち、ストローク動作が可能になる。そして、このストローク動作においては、洗浄部位に対する握り部200の相対位置が変わることがなく、操作者の手が便器内へ進出してしまうことや、被介護者の足などに触れることが防止出来る。
【0036】
また、この動作に追従して、吐水口135の位置を、握り部200から離したり、近づけたりすることができる。すなわち、握り手の位置を変えないで、親指のみの操作を施すことにより、本体部202に配置された吐水口135の位置を握り部200から離したり、近づけたりすることができる。
【0037】
また、ハンドノズル10aでは、ノズル先端部201の中心軸から見た操作部131が取り付けられている方向、及び、同じくノズル先端部の中心軸から見た吐水口135が設けられている方向が、同一方向となっている。従って、当該操作部131の位置から、吐水口135の位置を直感的に察知することができる。すなわち、吐水口135が被介護者の臀部下に隠れても、吐水口135の位置を直感的に判断することができる。
【0038】
また、ハンドノズル10aでは、洗浄中において、親指のみの操作を施すことにより、吐水口135の位置を自由に変えることができる。すなわち、握り手の位置を変えないで、洗浄水の吐水先をストローク動作の範囲内において自由に設定できる。
【0039】
従って、便座400に着座している被介護者の臀部を洗浄する場合には、介護者などの握り手を被介護者の臀部の下まで挿入させる必要がない。すなわち、介護者などの握り手を着座した被介護者の手前に位置させるだけで、上述したストローク動作を施すことにより、被介護者の臀部の手前から奥までを満遍なく洗浄することができる。
なお、伸縮量については、被介護者の体の大きさ等に合わせて適宜調節すればよい。
【0040】
また、ハンドノズル10aでは、操作部131が被介護者の臀部の下に隠れず、常に操作容易な位置にある。これにより、その操作性が向上する。例えば、吐水と止水の繰り返し操作を遅延なく行うことができる。
【0041】
ところで、上述した機能を備えていないハンドノズルを用いて、手首により強制的にハンドノズルを前後に移動させると、移動距離が定まらないために、臀部のうち洗浄対象ではない部分に洗浄水が飛着してしまう場合や、人体を外れて便器外へ水が飛散する場合がある。また、洗浄水が便座400と便器500の間から飛出する場合もある。これにより、洗浄水が無駄になってしまうと同時に、周囲への水の飛散による清掃作業の負荷も問題となる。
然るに、ハンドノズル10aを用いれば、伸縮量が定まっているので、不要な部分の方向に洗浄水が噴出することはない。
【0042】
図5は、第1の機能を有したハンドノズルの変形例を説明するための側部断面模式図である。
ハンドノズル10aaは、握り部200の位置が固定した状態で、本体部202を握り部200から離したり、再度、本体部202を握り部200側に戻したりする機能を有している。
また、把持部137は、握り部200側に内パイプ137pを延出している。また、内パイプ137pの外径を握り部200の内径よりも小さくしている。そして、内パイプ137pと握り部200とを互いに勘合させている。
そして、ハンドノズル10aaの内部においては、握り部200内の開口200hと把持部137内の開口137hとをフレキシブルなパイプ20により連通している。
【0043】
このような構造であれば、内パイプ137pを握り部200内でスライドさせることにより、テレスコープ式に本体部202を握り部200から離したり(図5(a)参照)、一旦離した本体部202を再び握り部200に戻したりすることができる(図5(b)参照)。そして、ハンドノズル10aa全体が延びる最大の長さは、内パイプ137pの長さ分になる。従って、パイプ20の長さは、開口200hと開口137hとが離れる最大の距離以上とすればよい。
【0044】
このような長さであれば、開口200hと開口137hとが最大の距離で離れても、パイプ20の端が開口200hあるいは開口137hから外れることはない。また、図示するようにパイプ20は蛇行状にハンドノズル10aa内に設置されているために、パイプ20は高い柔軟性を有している。そして、洗浄水は、ホース120から供給されて、握り部200内を通過し、続いてパイプ20内を通過し、さらに、ノズル先端部201内を通って吐水口135から放出される。
このような構造のハンドノズル10aaであっても、上述したハンドノズル10aと同様の効果を得る。なお、パイプ20の表面は、図示するように滑らかな面でもよく、蛇腹状であってもよい。
【0045】
図6は、ハンドノズルの第2の機能を説明するための模式図である。図6では、ハンドノズルの側部模式図が示されている。
第2の機能では、本体部202が、その長手軸方向に延在する回転軸を中心に回動可能とされたことを特徴としている。
ハンドノズル10bは、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、本体部202をハンドノズル10bの中心軸Cを中心に回動する機能を有している。
【0046】
具体的には、握り部200側をハンドノズル10bの手前とすると、ハンドノズル10bは、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、本体部202がその中心軸を中心に握り部200に対し右に回転したり(図6(a)参照)、あるいは左に回転したり(図6(b)参照)する回動機能を有している。また、このような回動運動をロール動作と呼称する。
【0047】
図示するように、把持部137は、握り部200側に内パイプ137pを延出している。また、内パイプ137pの外径を握り部200の内径よりも小さくしている。そして、内パイプ137pと握り部200とを互いに勘合させている。
【0048】
このような構造であれば、内パイプ137pを握り部200内で回動させることにより、本体部202を握り部200に対し、回動することができる。
なお、内パイプ137pと握り部200との界面には、例えば、Oリング等のパッキンを挟持して、洗浄水の水密性を向上させてもよい。
【0049】
次に、ハンドノズル10bのロール動作の操作方法について説明する。
図7は、ハンドノズルのロール動作の操作を説明するための模式図である。
ハンドノズル10bのロール動作をするときには、図示するように、手で握り部200を握り、把持部137の裏側に、例えば親指以外の指を添える(図7(a)参照)。そして、親指を操作部131上に載置した後、当該操作部131を介して親指で本体部202全体を左に回転させたり(図7(b)参照)、本体部202全体を右に回転させたりする(図7(c)参照)。ここで、握り部200側をハンドノズル10bの手前としている。
【0050】
このような操作によって、本体部202を握り部200に対して回動することができる。すなわち、ロール動作が可能になる。そして、このロール動作においては、洗浄部位に対する握り部200の相対位置が変わることがない。
【0051】
また、この動作に追従して、吐水口135の位置を、握り部200に対して回動することができる。すなわち、握り手の位置を変えないで、親指のみの操作を施すことにより、本体部202に配置された吐水口135の位置を握り部200に対して回動することができる。
【0052】
また、ハンドノズル10bでは、ノズル先端部201の中心軸から見た操作部131が取り付けられている方向、及び、同じくノズル先端部の中心軸から見た吐水口135が設けられている方向が、同一方向となっている。従って、操作部131の位置から、吐水口135の位置を直感的に察知することができる。すなわち、吐水口135が被介護者の臀部下に隠れても、吐水口135の位置を直感的に判断することができる。
【0053】
また、ハンドノズル10bでは、洗浄中においては、親指のみの操作を施すことにより、吐水口135の位置を自由に回動できる。すなわち、握り手の位置を変えないで、洗浄水の吐水先をロール動作範囲内において自由に設定できる。
【0054】
従って、便座400に着座している被介護者の臀部を洗浄する場合には、介護者などの握り手を被介護者の臀部の下まで挿入させる必要がない。すなわち、介護者などの握り手を着座した被介護者の手前に位置させるだけで、上述したロール動作を施すことにより、被介護者の臀部の右から左までを満遍なく洗浄することができる。
なお、回動角については、被介護者の体の大きさ等に合わせて適宜調節すればよい。
【0055】
また、ハンドノズル10bでは、ハンドノズル10bの操作部131が被介護者の臀部の下に隠れず、常に操作容易な位置にある。これにより、操作部131の操作性が向上する。例えば、吐水と止水の繰り返し操作を遅延なく行うことができる。
【0056】
ところで、上述した機能を備えていないハンドノズルを用いて、手首により強制的にハンドノズルを回動させると、回動角が定まらないために、洗浄対象でない臀部に洗浄水が飛着してしまう場合がある。また、洗浄水が便座400と便器500の間から飛出する場合もある。これにより、洗浄水が無駄になってしまうと同時に、周囲への水の飛散による清掃作業の負荷も問題となる。
しかし、ハンドノズル10bを用いれば、回動角が定まっているので、不要な部分の方向に洗浄水が噴出することはない。
【0057】
図8は、ハンドノズルの第3の機能を説明するための模式図である。ここで、図8(a)では、ハンドノズルの側部模式図が示され、図8(b)及び図8(c)では、ハンドノズルの上部模式図が示されている。特に、図8(c)では、ハンドノズルの第3の機能の動作を説明するための模式図が示されている。
【0058】
第3の機能では、本体部202は、吐水口135からの吐水方向(図8(a)に矢印で表した)に対して略垂直な面内において、握り部200と本体部202との連結部を中心として首振り動作可能とされている。すなわち、握り部200の定点を中心に、本体部202が首振り動作することを特徴としている。
ハンドノズル10cは、握り部200の位置が固定した状態で、その本体部202が首振り動作する機能を有している。
具体的には、握り部200をハンドノズル10cの手前とすると、ハンドノズル10cは、握り部200の位置が固定した状態で、本体部202が握り部200に対し右側に振れたり、左側に振れたりする首振り機能を有している(図8(c)参照)。このような首振り動作をヨー動作と呼称する。
【0059】
図8(a)及び図8(b)に示すように、把持部137は、握り部200側に内パイプ137pを延出している。また、内パイプ137pの外径は握り部200の内径よりも小さい。また、握り部200は、把持部137側に、上下に対向する支持部200a,200bを延出している。そして、支持部200a,200bが内パイプ137pを挟持し、内パイプ137pが支持部200a,200bにより首振り自在に軸支されている。
また、ハンドノズル10cでは、内パイプ137pを軸支している部分より先端側に操作部131が位置している。
【0060】
図9は、ハンドノズルのヨー動作の操作を説明するための模式図である。
ハンドノズル10cのヨー動作をするときには、図示するように、手で握り部200を握り、把持部137の裏側に、例えば親指以外の指を添える。そして、親指を操作部131上に載置した後、当該操作部131を介して親指で本体部202全体を左に振ったり(図9(a)参照)、本体部202全体を右に振ったりする(図9(b)参照)。ここで、握り部200側をハンドノズル10cの手前側としている。
【0061】
このような操作によって、内パイプ137pを軸支している部分を定点として、本体部202を握り部200に対して振ることができる。すなわち、ヨー動作が可能になる。そして、このヨー動作においては、洗浄部位に対する握り部200の相対位置が変わることがない。
【0062】
また、この動作に追従して、吐水口135の位置を、握り部200に対して振ることができる。すなわち、握り手の位置を変えないで、親指のみの操作を施すことにより、本体部202に配置された吐水口135の位置を握り部200に対して振ることができる。
【0063】
また、ハンドノズル10cでは、ノズル先端部201の中心軸から見た操作部131が取り付けられている方向、及び、同じくノズル先端部の中心軸から見た吐水口135が設けられている方向が、同一方向となっている。従って、操作部131の位置から、吐水口135の位置を直感的に察知することができる。すなわち、吐水口135が被介護者の臀部下に隠れても、吐水口135の位置を直感的に判断することができる。
【0064】
また、洗浄中においては、親指のみの操作を施すことにより、吐水口135の位置を自由に振ることができることから、握り手の位置を変えないで、洗浄水の吐水先をヨー動作範囲内において自由に設定できる。
【0065】
従って、便座400に着座している被介護者の臀部を洗浄する場合には、介護者などの握り手を被介護者の臀部の下まで挿入させる必要がない。すなわち、介護者などの握り手は着座した被介護者の手前に位置させて、上述したヨー動作を施すことにより、被介護者の臀部の右から左までを満遍なく洗浄することができる。
なお、首振り角については、被介護者の体の大きさ等に合わせて適宜調節すればよい。
【0066】
また、ハンドノズル10cでは、ハンドノズル10cの操作部131が被介護者の臀部の下に隠れず、常に操作容易な位置にある。これにより、操作部131の操作性が向上する。例えば、吐水と止水の繰り返し操作を遅延なく行うことができる。
【0067】
ところで、上述した機能を備えていないハンドノズルを用いて、手首により強制的にハンドノズルにヨー動作を施すと、首振り角が定まらないために、臀部のうち洗浄対象ではない部分に洗浄水が飛着してしまう場合がある。また、洗浄水が便座400と便器500の間から飛出する場合もある。これにより、洗浄水が無駄になってしまうと同時に、周囲への水の飛散による清掃作業の負荷も問題となる。
然るに、ハンドノズル10cを用いれば、首振り角が定まっているので、不要な部分の方向に洗浄水が噴出することはない。
【0068】
図10は、第3の機能を有したハンドノズルの変形例を説明するための模式図である。ここで、図10(a)では、ハンドノズルの側部模式図が示され、図10(b)及び図10(c)では、ハンドノズルの上部模式図が示されている。特に、図10(c)では、ハンドノズルの第3の機能の動作を説明するための模式図が示されている。
【0069】
ハンドノズル10caは、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、その本体部202が首振り動作する機能を有している。
具体的には、握り部200をハンドノズル10caの手前とすると、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、本体部202が握り部200に対し、右側に振れたり、左側に振れたりする首振り機能を有している(図10(c)参照)。
【0070】
図10(a)及び図10(b)に示すように、握り部200は、把持部137側に内パイプ200pを延出している。また、内パイプ200pの外径は把持部137の内径よりも小さい。また、把持部137は、握り部200側に、上下に対向する支持部137a,137bを延出している。そして、支持部137a,137bが内パイプ200pを挟持し、内パイプ200pが支持部137a,137bにより軸支されている。また、ハンドノズル10caでは、内パイプ200pを軸支している部分より手前側(握り部200側)に操作部131が延出している。
【0071】
そして、図10(c)に示すように、握り部200の洗浄部位に対する位置を変化させること無く、本体部202を握り部200に対し、右側に振ったり、左側に振ったりすることができる。ここで、握り部200をハンドノズル10caの手前としている。
【0072】
なお、ハンドノズル10caでは、操作部131が握り部200上にまで延出していることから、握り部200を右側に振ったときに本体部202が左に振られ、握り部200を左側に振ったときに本体部202が右に振られる。
このような構造のハンドノズル10caであっても、上述したハンドノズル10cと同様の効果を得る。
【0073】
なお、上述した第1〜第3の機能は、それぞれが独立した機能ではなく、少なくとも2つの機能を複合させた構造であってもよい。
例えば、第1〜第3の機能をすべて兼ね備えたハンドノズルについて説明する。
【0074】
図11〜図13には、第1〜第3の機能を複合させたハンドノズルの模式図が示されている。
ハンドノズル10dは、上述したハンドノズル10a,10aa,10b,10c,10caとは別に、パイプ状の中間部材30を本体部202と握り部200との間に備えている。
図11に示すように、ハンドノズル10dは、握り部200の位置が固定した状態で、その長手方向(ハンドノズル10dの中心軸Cの軸方向)に伸縮する機能を有している。
【0075】
具体的には、握り部200の位置が固定した状態で、本体部202及び中間部材30を握り部200から離したり(図11(a)参照)、再度、本体部202及び中間部材30を握り部200側に戻したりする機能を有している(図11(b)参照)。
【0076】
ここで、中間部材30は、握り部200側に内パイプ30paを延出している。また、内パイプ30paの外径を握り部200の内径よりも小さくしている。そして、内パイプ30paと握り部200とを互いに勘合させている。
【0077】
このような構造であれば、内パイプ30paを握り部200内でスライドさせることにより、テレスコープ式に本体部202及び中間部材30を握り部200から離したり、本体部202及び中間部材30を再び握り部200に戻したりすることができる。なお、ハンドノズル10d全体が延びる最大の長さは、内パイプ30paの長さ分になる。
このように、ハンドノズル10dは、ストローク動作機能を備えている。
【0078】
また、ハンドノズル10dにおいては、図12に示すように、握り部200の位置が固定した状態で、本体部202及び中間部材30をハンドノズル10dの中心軸Cを中心に回動させることができる。
具体的には、握り部200の位置が固定した状態で、本体部202及び中間部材30を握り部200に対し右に回転させたり(図12(a)参照)、あるいは左に回転させたり(図12(b)参照)することができる。ここで、握り部200側をハンドノズル10dの手前側としている。
このように、ハンドノズル10dは、ロール動作機能を備えている。
【0079】
さらに、ハンドノズル10dは、図11に示すように、中間部材30において、把持部137側に内パイプ30pbを延出している。また、内パイプ30pbの外径は把持部137の内径よりも小さい。また、把持部137においては、中間部材30側に、上下に対向する支持部137a,137bを延出している。そして、支持部137a,137bが内パイプ30pbを挟持し、内パイプ30pbが支持部137a,137bにより軸支されている。
【0080】
そして、図13に示すように、握り部200の位置が固定した状態で、本体部202を握り部200及び中間部材30に対し、左側に振ったり(図13(a)参照)、右側に振ったり(図13(b)参照)することができる。
このように、ハンドノズル10dは、ヨー動作機能を備えている。
【0081】
以上説明したように、ハンドノズル10dは、上述したストローク動作機能、ロール動作機能、ヨー動作機能のすべてを兼ね備えている。そして、このようなハンドノズル10dは、上述した第1〜第3の機能を有するハンドノズルの効果をすべて有している。
なお、上述した親指による操作を補助するために、操作部131には、指先を掛止するための凹部を設けてもよい。その構造を、図14に示す。
【0082】
図14は、ハンドノズルの操作部の斜視模式図である。
図示するように、操作部131のレバー主面には、指先を掛止するための凹部131hが設けられている。また、操作部131とは反対側のハンドノズルの本体部202にも凹部202hを設けてもよい。
このような構造であれば、上述したストローク動作、ロール動作、ヨー動作を実施するときに、指が操作部131に引っかかり易くなり、指による操作がし易い。従って、操作性がさらに向上する。
【0083】
なお、凹部131h内には、ゴムラバー等のストッパ用シートを配置してもよい。
また、上述した親指による操作を補助する別の例として、開閉スイッチ133の両側に、指先を掛止するための突起部133tを設けてもよい。その構造を、図15に示す。
【0084】
図15は、ハンドノズルの操作部の斜視模式図である。
図示するように、開閉スイッチ133の両側には、指先を掛止するための突起部133tが設けられている。このような構造であれば、上述したストローク動作、ロール動作、ヨー動作を実施するときに、指が開閉スイッチ133に引っかかり易くなり、指の操作がし易い。従って、操作性がさらに向上する。
なお、本実施の形態では、操作部131上に載置する指として、親指を用いた例を示したが、操作部131上に載置する指は、親指以外の指であってもかまわない。
【0085】
次に、人体洗浄装置100の他の部材について補説する。
図1に示す収納部160は、その上面に設けられた開口部161と、その内部に設けられた収納孔163と、ハンドノズル10の吐水口135からの水を外部へ排出する排水路165と、を有する。ハンドノズル10は、使用されていないときには、その収納部160に収納されている。より具体的には、ハンドノズル10の少なくとも一部は、開口部161から挿入され、収納部160の内部、すなわち収納孔163に収納されている。なお、収納部160は、便器500に付設されていてもよいし、あるいは便器500に付設されていなくともよい。
【0086】
ホース120は、その一端においてハンドノズル10に接続され、その他端においてケーシング101に接続されている。また、ホース120は、図1に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル10の把持部137を手で持ちつつ、少なくとも吐水口135の部分を便座400に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル10の把持部137を手で持ち、操作部131を矢印Aの方向に押しつつ、便座400に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル10を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器110はヒータを有するため、本実施形態にかかる人体洗浄装置100は、加熱された洗浄水を吐水できる。
【0087】
ここで、ハンドノズル10の吐水口135は、便器500の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部136あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル10に汚水や汚物が付着したまま収納部160に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。これに対して、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、収納部160に収納された状態のハンドノズル10の少なくとも吐水部136を洗浄できる。ハンドノズル10の使用後には、そのハンドノズル10は、ほぼ必ず収納部160に収納される。そのため、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、収納部160においてハンドノズル10を洗浄することにより、そのハンドノズル10を清潔な状態に確保することができる。以下、収納部160に収納された状態のハンドノズル10を洗浄する動作について、図面を参照しつつ説明する。
【0088】
図16は、本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本実施形態のハンドノズル10は、図2に表したように、吐水部136よりも幅が大きい太幅部(支持部)134を有する。太幅部134は、吐水口135よりもホース120側に設けられ、吐水口135側からホース120側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されている。
【0089】
一方、収納部160の開口部161の開口面積は、ハンドノズル10の吐水部136の最外形よりも大きく、太幅部134の少なくとも一部の外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル10をその先端138側から開口部161に挿入し、収納部160に収納すると、図16に表したように、太幅部134の少なくとも一部は収納部160の開口部161に引っ掛かる。その結果、ハンドノズル10は、これよりも収納部160の内部には進入できない。
【0090】
収納部160の内部、すなわち収納孔163の高さHは、ハンドノズル10が収納された状態、すなわち太幅部134が開口部161に引っ掛かった状態において、収納部160の内部に進入したハンドノズル10の部分の長さよりも大きい。つまり、収納部160の収納孔163の高さHは、太幅部134が開口部161に支持された状態において、ハンドノズル10の先端138が収納孔163の底面162に当接しないように適宜設定されている。
【0091】
そして、収納部160に設けられた図示しない赤外線投光式センサやリミットスイッチなどと呼ばれる開閉式スイッチが、収納部160に収納されたハンドノズル10を検知すると、制御部150はハンドノズル10内に設けられた開閉弁139を開放し吐水口135から洗浄水を吐水させる。そうすると、吐水口135から吐水された洗浄水610は、図16に表したように、収納孔163に一時貯留される。つまり、吐水口135から吐水された洗浄水610が、収納孔163に一時貯留されるように、排水路165の形状が適宜設定されている。
【0092】
洗浄水610が収納孔163に一時貯留されると、図16に表したように、ハンドノズル10の吐水部136は、洗浄水610に浸される。そうすると、ハンドノズル10の吐水部136は、洗浄水610により洗浄される。
【0093】
このとき、ハンドノズル10の先端138は、収納孔163の底面162には当接していないため、収納孔163に一時貯留された洗浄水610は、滞留することなく排水路165から便器500内に排出される。つまり、ハンドノズル10の先端138は、収納孔163の底面162から離間しているため、収納孔163に一時貯留された洗浄水610は、円滑に流れ排水路165から便器500内に排出される。なお、排水路165から流出した洗浄水610は、必ずしも便器500内に排出されなくともよく、例えば排水路165の先端あるいは先端近傍に設けられた図示しない受け皿などの容器に排出されてもよい。
【0094】
そのため、洗浄水610により洗い落とされた汚水や汚物が、ハンドノズル10の吐水部136あるいはその近傍により進路を遮られるおそれは少なく、再び吐水口135の部分に付着するおそれは少ない。また、収納孔163に一時貯留された洗浄水610は、ハンドノズル10の先端138と、収納孔163の底面162と、の間を円滑に流れるため、洗浄性を向上させることができる。これにより、本実施形態にかかる人体洗浄装置100は、ハンドノズル10の清潔な状態を確保することができる。
【0095】
なお、赤外線投光式センサや開閉式スイッチの検知結果に基づいて、吐水口135から洗浄水610を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、介護者などがハンドノズル10を収納した後に、介護者自身が操作部131を操作して吐水口135から洗浄水610を吐水させてもよい。あるいは、介護者などが、図示しないリモコンに設けられた洗浄スイッチを操作することにより、制御部150が開閉弁139を開放し、吐水口135から洗浄水610を吐水させてもよい。
【0096】
一方、吐水口135からの洗浄水610を止水する場合には、制御部150のタイマ制御機能を利用できる。制御部150は、タイマ制御機能を有し、開閉弁139を開放させてから所定時間が経過すると、開閉弁139を閉止できる。そうすると、開閉弁139を開放させてから所定時間が経過した後に、吐水口135からの洗浄水610を止水することができる。
【0097】
あるいは、収納孔163に一時貯留された洗浄水610の透明度を検知する濁度センサなどの検知結果に基づいて、吐水口135から洗浄水610を止水させてもよい。ハンドノズル10に付着した汚水や汚物が洗浄水610により洗い落とされると、収納孔163に一時貯留された洗浄水610の透明度は低下するが、洗浄水610が排水路165から排出されるにつれて上昇する。そして、図示しない濁度センサが、洗浄水610の透明度が所定値以上に達したことを検知すると、制御部150は開閉弁139を閉止して吐水口135からの洗浄水610を止水することができる。
【0098】
また、ハンドノズル10の太幅部134は、吐水口135側からホース120側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されているが、これだけに限定されるわけではない。ハンドノズル10は、その先端138が収納孔163の底面162から離間できるように、収納部160に支持され得る形状を有していればよい。
【0099】
次に、本実施形態にかかる人体洗浄装置100の構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図17は、本実施形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【0100】
本実施形態にかかる人体洗浄装置100では、まず、給水源としての水道から継手103を介して、水が給水弁190に供給される。給水弁190は、熱交換器110よりも上流側に設けられ、制御部150からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁190が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁190が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【0101】
続いて、水道からの水が給水弁190を介して熱交換器110に供給されると、熱交換器110に貯留され加熱されていた洗浄水は、継手105を介してホース120に供給される。続いて、ホース120に供給された水は、ハンドノズル10内の開閉弁139に供給される。開閉弁139が開放されている場合には、吐水口135から洗浄水610が吐水され、開閉弁139が閉止されている場合には、吐水口135からの洗浄水610は止水される。
【0102】
そして、開閉弁139が開放され、吐水口135から洗浄水610が吐水されると、その洗浄水610は、収納孔163に一時貯留される。このとき、ハンドノズル10の先端138は、収納孔163の底面162には当接していないため、収納孔163に一時貯留された洗浄水610は、滞留することなく排水路165から便器500内に排出される。つまり、ハンドノズル10の先端138は、収納孔163の底面162から離間しているため、収納孔163に一時貯留された洗浄水610は、円滑に流れ排水路165から便器500内に排出される。そのため、ハンドノズル10の清潔な状態を確保することができる。
【0103】
なお、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器110に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器110に水を供給することができる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部160の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、ハンドノズル10を収納部160に収納すると、操作部131は、開閉弁139を閉止させる状態から開放させる状態へと遷移されてもよい。これによれば、ハンドノズル10が収納部160に収納された状態では、開閉弁139は常に開放されることになるため、制御部150は、開閉弁139を制御しなくとも、給水弁190を制御するだけで、吐水口135から洗浄水610を収納孔163内に供給できる。
【0105】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0106】
10,10a,10aa,10b,10c,10ca,10d ハンドノズル
20 パイプ
30 中間部材
30pa,30pb 内パイプ
100 人体洗浄装置
101 ケーシング
103,105 継手
110 熱交換器
120 ホース
130 ハンドノズル
131 操作部
131h,202h 凹部
132 軸
133 開閉スイッチ
133t 突起部
134 太幅部
135 吐水口
136 吐水部
137 把持部
137a,137b,200a,200b 支持部
137h,200h 開口
137p,200p 内パイプ
138 先端
139 開閉弁
150 制御部
160 収納部
161 開口部
162 底面
163 収納孔
165 排水路
170 着座センサ
180 入室検知センサ
190 給水弁
200 握り部
201 ノズル先端部
202 本体部
300 便蓋
400 便座
500 便器
610 洗浄水
C 中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を吐水する吐水口が配置され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える操作部を有する本体部と、
前記本体部に対して可動に連結された握り部と、
を備え、
前記握り部を把持しつつ、前記握り部に対して前記本体部を動かすことにより、前記吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向及び吐水位置の少なくともいずれか一方を変えられることを特徴とするハンドノズル。
【請求項2】
前記握り部に対する前記吐水口の位置が、前記本体部又は前記握り部の長手軸方向に沿って可変とされたことを特徴とする請求項1に記載のハンドノズル。
【請求項3】
前記本体部は、その長手軸方向に延在する回転軸を中心に回動可能とされたことを特徴とする請求項1または2に記載のハンドノズル。
【請求項4】
前記本体部は、前記吐水口からの吐水方向に対して略垂直な面内において、前記握り部と前記本体部との連結部を中心として首振り動作可能とされたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のハンドノズル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のハンドノズルと、
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器により加熱された洗浄水を前記ハンドノズルに導水するホースと、
を備えたことを特徴とする人体洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−189955(P2010−189955A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36351(P2009−36351)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】