説明

ハンドル装置

【課題】機器ボックスの設置場所でハンドル装置51を操作する操作者がハンドル装置51のロックが解除されていることを容易に認識することができるハンドル装置を提供する。
【解決手段】ハウジング2下端部には、ソレノイド12によって作動しハンドル4の止め金板25と係脱する受け金レバー13が備えられ、止め金板25が受け金レバー13から外れたハンドル4を手前に引く操作によって、キャビネット側の係止が外れて扉が開かれるハンドル装置1であって、ハンドル4が手前に開かれた状態のときにオンになり、ハウジング2下端部に設けた受け金レバー13に対しハンドル4側の止め金板25が係止したときにオフになる発光ダイオード10を設け、ハンドル4には発光ダイオード10の取り付け位置に対応した開口部34を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器類を格納したボックス本体に扉を係止するハンドル装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハウジングから操作ハンドルを引き出して固定枠体に対する扉の係合を解除するハンドル装置はあった。
このようなハンドル装置では、機器ボックスの管理者が機器ボックスの設置場所から離れている場合であっても、設置場所に赴いて直接錠前ユニットに鍵を挿し込み操作しなければ、ハウジングに対する操作ハンドルの係合を解除することができない。
【0003】
このような課題を解決するものとして特許文献1が開示されている。特許文献1に記載されるハンドル装置では、ハウジングの背面にソレノイドを固着し、ハウジングに枢着した受金レバー板に掛け止め部を形成し、ソレノイドのプランジャーに受金レバー板を枢着し、解錠信号としての所定電流をソレノイドに流すことによって、受金レバー板の掛け止め部と止め金板との係合を解除する。このように機器ボックスの管理者が機器ボックスの設置場所に自ら赴くことなく、機器ボックスは遠隔操作によって開扉可能状態とされる。
【0004】
なお、受金レバー板は、止め金板と掛け止め部とが係合される方向にばね付勢されているので、操作ハンドルの引き出し操作後、ソレノイドへの通電を遮断したときに掛け止め部は元の位置に復帰している。作業者が操作ハンドルを押し戻すときには、止め金板の先端部が受金レバー板の側面を押すので、止め金板の先端部と受金レバー板の掛け止め部とが自動的に係合し操作ハンドルが再び拘束される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3515083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるハンドル装置は、機器ボックスの管理者が機器ボックスの設置場所に自ら赴くことなく、遠隔操作によってソレノイドに所定電流を流し機器ボックスを開扉可能状態とすることができるが、機器ボックスの設置場所でハンドル装置を操作する作業者が、ハンドル装置を一目見てロックが解除されているか否かを容易に判断することができれば便利である。
【0007】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、機器ボックスの設置場所でハンドル装置を操作する操作者がハンドル装置のロックが解除されている、または、ハンドルがハウジングに確実にロックできていないことを容易に認識することができるハンドル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために本発明は、ハウジング下端部にはソレノイドによって作動しハンドルの係止爪片と係脱する係止部材が備えられ、前記係止爪片が係止部材から外れたハンドルを手前に引く操作によってキャビネット側の係止片に対する係止が外れて扉が開かれるようにしたハンドル装置であって、ハウジングに対しハンドルが手前に開かれた状態のときにオンになり、ハウジング下端部に設けた係止部材に対しハンドル側の係止爪片が係止しハウジングに対しハンドルが閉じた状態のときにオフになる発光ダイオードを設けている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、ハウジングに対しハンドルが手前に開かれた状態のときにオンになり、ハウジング下端部に設けた係止部材に対しハンドル側の係止爪片が係止しハウジングに対しハンドルが閉じた状態のときにオフになる発光ダイオードを設けているので、機器ボックスの設置場所でハンドル装置を操作する操作者がハンドル装置のロックが解除されている、または、ハンドルがハウジングに確実にロックできていないことを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ハンドル装置1の斜視図である。
【図2】ハンドル4が閉状態にあり、錠前ユニット24の止め金板25が受け金レバー13の掛け止め部26に係合しているハンドル装置1の断面図である。
【図3】ハンドル4が閉状態にあり、錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26との係合が解除されたハンドル装置1の断面図である。
【図4】ソレノイド12が励磁された状態でハンドル4が開状態となったハンドル装置1の断面図である。
【図5】ハンドル4が開状態にありソレノイド12の供給電流が停止されたハンドル装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は、ハンドル装置1の斜視図である。図2は、ハンドル4が閉状態にあり、錠前ユニット24の止め金板25が受け金レバー13の掛け止め部26に係合しているハンドル装置1の断面図である。図3は、ハンドル4が閉状態にあり、錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26との係合が解除されたハンドル装置1の断面図である。図4は、ソレノイド12が励磁された状態でハンドル4が開状態となったハンドル装置1の断面図である。図5は、ハンドル4が開状態にありソレノイド12の供給電流が停止されたハンドル装置1の断面図である。
【0012】
ハンドル装置1は、ハウジング2と、フック3と、ハンドル4と、連結板5と、回動板6と、リンク板7と、リンク板9と、ローラー17とを備えている。ハウジング2には、発光ダイオード10とボタン11とソレノイド12と受け金レバー13とが設けられる。
【0013】
ハンドル4の一端部には操作者が操作する把手部14が形成されており、基端部が連結ピン15によってハウジング2に回転可能に軸支されている。ハンドル4の基端部は、さらに伸延し駆動部16が形成されている。駆動部16の先端部には、リンク板7が連結されており、リンク板7にはキャビネットの上部に設けられた受け金に係止する不図示の係止部が連結される。
【0014】
フック3は、一端部をハウジング2に回転可能に軸支されており、ローラー17を介して駆動部16の端面に当接している。フック3の端面には、ハンドル4が閉状態のときにキャビネット本体の受け金18に係止する係止辺19が形成されている。
回動板6は、一端部がハウジング2に回動可能に軸支されており、他端部にはリンク板9が連結されている。回動板6は連結板5を介してハンドル4に連結されており、リンク板9はハンドル4の操作に伴って上下方向に移動する。リンク板9には、キャビネットの扉の下部に設けられた受け金20に係止する係止部21が連結されている。
【0015】
発光ダイオード10とボタン11とソレノイド12と受け金レバー13とは、ハウジング2のうちハンドル4が閉状態のときハンドル4の把手部14で覆われる部分に収容される。ボタン11は略円筒形を有し先端には把手部14が当接する凸部22が形成されている。凸部22は、ボタン11の内部に設けられたコイルばね23によって前方にばね付勢されている。錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26との係合が解除されると、ばね付勢されたボタン11の凸部22がハウジング2の前面から突出しボタン11がオン状態になる。
錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26とが係合した閉状態のときには、把手部14がボタン11の凸部22に当接し、コイルばね23のばね力に抗して凸部22がボタン11の内部に収容されている。ボタン11は、この状態でオフとなる。
【0016】
発光ダイオード10はボタン11の上方に設けられており、ボタン11がオンになると発光ダイオード10は点灯し、ボタン11がオフになると発光ダイオード10は消灯する。
【0017】
このときハンドル装置1を操作する操作者は、制御パネルからハンドル装置1に送られる信号によって、ボタン11がオフ状態にあり錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26とが係合しているか、あるいは、ボタン11がオン状態にあり錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26との係合が解除されているかを発光ダイオード10の消灯・点灯で容易に確認することができる。
【0018】
また、ハンドル装置1を遠隔操作する管理者は、たとえばハンドル装置1のボタン11から配線を伸ばし信号を制御パネルにも送れるようにしておき、その制御パネルに送られる信号によって、ボタン11がオフ状態にあり錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26とが係合しているか、あるいは、ボタン11がオン状態にあり錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26との係合が解除されているかを遠隔地でも容易に把握することができる。
【0019】
ソレノイド12は、ハウジング2の背面側からボタン11の下方に収容される。受け金レバー13は、ソレノイド12の下方に設置され扉の前面と平行な連結ピン27によって回動可能に軸支されており、ハンドル4の先端部に埋め込み固着された錠前ユニット24の止め金板25が係合する掛け止め部26は、受け金レバー13の端面に形成されている。受け金レバー13の中間部上面側には長穴28が形成されており、受け金レバー13とソレノイド12のプランジャー29とは長穴28に挿通される連結ピン30によって係合している。連結ピン27には、ねじりコイルばね31が設けられており、受け金レバー13は錠前ユニット24側にばね付勢されている。
【0020】
ソレノイド12が通電されていないときには、プランジャー29は上下動可能である。不図示の制御パネルのスイッチをオンにしてソレノイド12に解除信号としての所定電流を供給すると、ソレノイド12の励磁によってプランジャー29がソレノイド12本体側に吸引され、プランジャー29に連結された受け金レバー13が連結ピン27を中心にして上方に回動し、錠前ユニット24の止め金板25と掛け止め部26との係合が解除される。
【0021】
ここでハンドル装置1の動作について説明する。図2に示すハンドル装置1は、ハンドル4が閉状態にあり、錠前ユニット24の止め金板25が、受け金レバー13の掛け止め部26に係合している。ハンドル装置1の管理者が、制御パネルのスイッチをオンにして、ソレノイド12に解除信号としての所定電流を供給すると、ソレノイド12の励磁によってプランジャー29がソレノイド12本体側に吸引される。プランジャー29に連結された受け金レバー13は、ねじりコイルばね31のばね力に抗してプランジャー29とともにソレノイド12本体側に吸引される。そうすると受け金レバー13は、連結ピン27を中心として回動し、錠前ユニット24の止め金板25と掛け止め部26との係合が解除される。図3は、この状態を示している。
【0022】
錠前ユニット24の止め金板25と掛け止め部26との係合が解除されると、コイルばね23のばね力によってボタン11の凸部22がハウジング2の前面に突出しボタン11がオン状態となる。ボタン11がオン状態となると、発光ダイオード10に電流が供給されて、発光ダイオード10が点灯する。図4は、この状態を示している。操作者はハンドル4の把手部14を手前に引く操作をして、リンク板7,9に連結している係止部とキャビネットに設けられた受け金との係合を解除して扉を開けることができる。
【0023】
次にハンドル装置の管理者が、制御パネルのスイッチをオフ操作してソレノイド12に供給する電流を停止すると、受け金レバー13は、ねじりコイルばね31のばね力によってプランジャー29が突出する方向に回動し、受け金レバー13の先端部がハウジング2の当接面32に係止された状態に戻る。図5は、この状態を示している。
【0024】
操作者が、リンク板7,9に連結した係止部を再び受け金に係止させるために、扉を閉めた後にハンドル4を押し下げていくと、錠前ユニット24の止め金板25が受け金レバー13の傾斜面33に当接し、ねじりコイルばね31のばね力に抗して受け金レバー13をプランジャー29が吸引される方向に回動させる。操作者がさらにハンドル4を押し下げていくと、錠前ユニット24の止め金板25が受け金レバー13の掛け止め部26に係合し、図2の状態に戻る。なお、このとき発光ダイオード10が消灯するので、操作者は容易に止め金板25が掛け止め部26の係合位置に達したことを認識することができる。
【0025】
このように、ハウジング2下端部にはソレノイド12によって作動しハンドル4の係止爪片である止め金板25と係脱する係止部材である受け金レバー13が備えられ、止め金板25が受け金レバー13から外れたハンドル4を手前に引く操作によってキャビネット側の係止片である受け金に対する係止が外れて扉が開かれるようにしたハンドル装置1であって、ハウジング2に対しハンドル4が手前に開かれた状態のときにオンになり、ハウジング2下端部に設けた受け金レバー13に対しハンドル4側の止め金板25が係止しハウジング2に対しハンドル4が閉じた状態のときにオフになる発光ダイオード10を設け、ハンドル4には発光ダイオード10の取り付け位置に対応して開口部34を設けているので、外部から開口部34を通して点灯している発光ダイオード10を見ることができ、機器ボックスの設置場所でハンドル装置51を操作する操作者がハンドル装置51のロックが解除されていることを容易に認識することができる。
【0026】
さらに、ハンドル装置1を遠隔操作する管理者が、たとえばハンドル装置1のボタン11から配線を増やし信号を制御パネルにも送れるようにしておき、その制御パネルに送られる信号によって、ボタン11がオフ状態にあり錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26とが係合しているか、あるいは、ボタン11がオン状態にあり錠前ユニット24の止め金板25と受け金レバー13の掛け止め部26との係合が解除されているかを遠隔地でも容易に把握することができるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 ハンドル装置
2 ハウジング
3 フック
4 ハンドル
5 連結板
6 回動板
7,9 リンク板
10 発光ダイオード
11 ボタン
12 ソレノイド
13 受け金レバー
14 把手部
15,27,30 連結ピン
16 駆動部
17 ローラー
18 受け金
19 係止辺
20 受け金
21 係止部
22 凸部
23 コイルばね
24 錠前ユニット
25 止め金板
26 掛け止め部
28 長穴
29 プランジャー
31 ねじりコイルばね
32 当接面
33 傾斜面
34 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング下端部にはソレノイドによって作動しハンドルの係止爪片と係脱する係止部材が備えられ、前記係止爪片が係止部材から外れたハンドルを手前に引く操作によってキャビネット側の係止片に対する係止が外れて扉が開かれるようにしたハンドル装置であって、
ハウジングに対しハンドルが手前に開かれた状態のときにオンになり、ハウジング下端部に設けた係止部材に対しハンドル側の係止爪片が係止しハウジングに対しハンドルが閉じた状態のときにオフになる発光ダイオードを設けたハンドル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−36651(P2012−36651A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178245(P2010−178245)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(592163893)ジョー・プリンス竹下株式会社 (32)