説明

ハードコートフィルムの製造方法、光学フィルム及び反射防止フィルム

【課題】カール防止層を形成することなく、フィルム端部のカールを防止するハードコートフィルムの製造方法及び、該製造方法で製造した光学フィルム、反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】支持体上に、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布し、塗布膜を形成する塗布工程と、塗布膜を硬化する硬化工程とを有するハードコートフィルムの製造方法において塗布工程の後、塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤を滴下する有機溶剤滴下工程と、有機溶剤滴下工程の後、幅方向両端部を支持体上で幅方向に広げる拡幅工程とを有し、拡幅工程の後、塗布膜を乾燥する乾燥工程と硬化工程を行い、硬化後の塗布膜の幅方向両端部に、塗布膜の幅方向中央部の厚さよりも薄い領域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムの製造方法と該製造法により得られる光学フィルム及び反射防止フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のディスプレイ(画面表示装置)では、表面反射防止膜や熱線吸収膜等の光学薄膜を表面に付与することが多い。特にテレビのような大画面では、このような光学薄膜は、直接、物と接触することがあり、傷が付きやすい。
【0003】
そこで、通常は傷つき防止のためにハードコート層を支持体上に形成し、その上に光学薄膜が形成されたハードコート層付きの光学フィルムが用いられる。
【0004】
このような光学フィルムは、液晶モニター、液晶テレビ、プラズマディスプレイ等の表面保護フィルムや反射防止フィルムとして使用されている。
【0005】
表面保護フィルムや反射防止フィルムとしては、特に最近、大画面化により1000mm以上、更には1330mm以上の幅広フィルムが必要となってきている。また、携帯電話やノートパソコン用として支持体厚みが40μm程度の薄い支持体が使用されるようになってきた。そのため、支持体は樹脂フィルムが使用され、その上に塗布方式により活性線硬化型樹脂などによりハードコート層を形成することが行われている。
【0006】
しかしながら、ハードコート層を樹脂フィルムに塗布した際、特に薄膜化のために、樹脂フィルムを薄くすると、ハードコート層の塗布膜の収縮により、樹脂フィルムの幅方向端部がカールする。そのため、製造工程中において、光学フィルムの蛇行や、しわ、端部の倒れこみ、破断などが発生し、生産性が低下するという問題が発生する。
【0007】
このような問題に対して、ハードコート層を設けた支持体の反対側の面にカール防止層を設けることが行われている。
【0008】
例えば、特許文献1では、カール防止層を支持体面に設け、次にハードコート層をカール防止層と反対側の面に設け、更にカール防止層の上に2層目のカール防止層を設ける方法が提案されている。
【0009】
また、特許文献2では、ハードコート層を設けた支持体の反対側の面に設けるカール防止層の支持体幅方向端部の厚さを厚く塗布する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−109771号公報
【特許文献2】特開2004−250614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2のようなカール防止層を形成してカールを防止する方法では、フィルム中央部のカールは改善できるが、端部のカールは十分に改善できない。また、カール防止層形成用の塗布装置が必要となり、設備が大型化し、また塗布液の管理等が必要となり、生産性が低下するという問題がある。
【0012】
従って、本発明の目的は、ハードコートフィルムの製造方法において、カール防止層を形成することなく、フィルム端部のカールを防止するハードコートフィルムの製造方法及び、該製造方法で製造した光学フィルム、反射防止フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題は、以下の手段により解決することができる。
【0014】
1.支持体上に、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布し、塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜を硬化する硬化工程とを有するハードコートフィルムの製造方法において、
前記塗布工程の後、前記塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤を滴下する有機溶剤滴下工程と、
該有機溶剤滴下工程の後、前記幅方向両端部を前記支持体上で幅方向に広げる拡幅工程とを有し、
前記拡幅工程の後、前記塗布膜を乾燥する乾燥工程と前記硬化工程を行い、
硬化後の前記塗布膜の幅方向両端部に、前記塗布膜の幅方向中央部の厚さよりも薄い領域を形成することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【0015】
2.前記有機溶剤滴下工程で滴下する有機溶剤は、
前記硬化性樹脂に対する貧溶媒と良溶媒の比率(貧溶媒/良溶媒)が0〜1の範囲にあることを特徴とする前記1に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0016】
3.前記薄い領域の幅Dが前記塗布膜の幅方向端部から5mm〜50mmの幅であることを特徴とする前記1又は2に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0017】
4.前記薄い領域の幅Dの中央部80%の範囲において、前記中央部80%の塗布膜中央部側の端点の膜厚h1と、塗布膜端部側の端点の膜厚h2とが、0.1≦h2/h1≦0.7の関係にあることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0018】
5.前記硬化性樹脂は、活性放射線の照射により硬化する活性放射線硬化樹脂であることを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0019】
6.前記有機溶剤滴下工程は、インクジェット方式により滴下することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0020】
7.前記拡幅工程は、
前記塗布膜の幅方向両端部の表面に、前記塗布膜の幅方向中央部から幅方向端部の方向に気体を流し、前記塗布膜の両端部が、幅方向端部側に広がるようにすることを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0021】
8.前記拡幅工程は、
前記支持体の表面が、前記塗布膜の幅方向両端部に向けて、重力方向に傾斜し、前記有機溶剤滴下工程で有機溶剤を滴下した前記塗布膜が、幅方向端部側に広がるようにすることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【0022】
9.前記1から8の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法により得られるハードコートフィルムの表面に光学薄膜層を形成することを特徴とする光学フィルム。
【0023】
10.前記1から8の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法により得られるハードコートフィルムの表面に反射防止層を形成することを特徴とする反射防止フィルム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ハードコートフィルムの製造方法において、塗布工程の後、塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤を滴下する有機溶剤滴下工程と、該有機溶剤滴下工程の後、幅方向両端部を支持体上で幅方向に広げる拡幅工程とを有し、該拡幅工程の後、塗布膜を乾燥する乾燥工程と硬化工程を行い、硬化後の塗布膜の幅方向両端部に、塗布膜の幅方向中央部の厚さよりも薄い領域を形成することにより、ハードコートフィルムの端部のカールを抑制することができる。よって、製造工程における、フィルムの蛇行や、しわ、端部の倒れこみ、破断などの発生のない、生産性の高いハードコートフィルムの製造方法を提供することができ、また、該製造方法により製造した高品質な光学フィルム、反射防止フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】支持体上に塗布膜を形成するハードコートフィルムの製造方法を説明するための生産装置の模式図である。
【図2】有機溶剤滴下工程と拡幅工程を生産装置1の上部からみた模式図である。
【図3】塗布膜の厚みの薄い領域の幅Dの断面を拡大した模式図である。
【図4】インクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
【図5】インクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
【図6】カールの測定方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図1を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態を示し、支持体上に塗布膜を形成するハードコートフィルムの製造方法を説明するための生産装置の模式図である。
【0028】
図中、1は生産装置を示す。生産装置1を用いたハードコートフィルムの製造方法は、供給装置2を用いて支持体である被塗布物の供給を行う供給工程と、供給された被塗布物上に塗布装置3を用いてハードコート層用塗布液を塗布する塗布工程と、被塗布物上の塗布層を乾燥装置4を用いて乾燥する乾燥工程と、乾燥後の塗布膜及び被塗布物を冷却装置5を用いて冷却する冷却工程と、冷却後、塗布膜を硬化装置7を用いて硬化する硬化工程と、硬化後のハードコート層付きの被塗布物を回収装置6を用いて回収する回収工程とを有し、塗布工程の後であって乾燥工程の前に、塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤滴下装置8を用いて有機溶剤を滴下する有機溶剤滴下工程と、有機溶剤滴下工程の後、幅方向両端部の塗布膜を拡幅装置9を用いて支持体上で幅方向に広げ拡幅工程を行う。
【0029】
供給装置2は、帯状の支持体である被塗布物201が巻き芯に巻かれたロール状被塗布物202を繰り出す繰り出し装置(不図示)を有している。
【0030】
塗布装置3は、供給装置2から連続搬送されてくる被塗布物201を保持するバックアップロール301と、バックアップロール301で保持された連続搬送されてくる被塗布物201に塗布液を塗布する塗布ヘッド302と、塗布時に塗布ヘッド302からの塗布液と被塗布物201との間に形成されるビード(塗布液の溜まり)を安定化するために塗布ヘッド302の上流側に設けられた減圧室303とを有している。
【0031】
塗布ヘッド302から吐出する塗布液は、例えば、活性放射線硬化型樹脂等の硬化性樹脂と有機溶剤を含み、その流量は、不図示のポンプにより調整可能となっている。塗布ヘッド302から吐出する塗布液の流量は、予め調整した塗布ヘッド302の条件で連続塗布したときに、安定して所定の膜厚の塗布層を形成できる量に決めている。
【0032】
また、減圧室303は減圧度を調整することが可能となっている。減圧室303は減圧ブロワ(不図示)に接続されており内部が減圧状態になる。減圧室303は空気漏れがない状態になっており、かつ、バックアップロールとの間隙も狭く調整され、安定した塗布液のビードを形成するようにしている。
【0033】
有機溶剤滴下装置8は、塗布装置3で被塗布物201上に塗布された塗布膜の幅方向両端部に、有機溶剤タンク81に貯留した有機溶剤をポンプ82により所定の量をノズル83から滴下する。有機溶剤の滴下により、幅方向両端部の塗布膜の厚さは、有機溶剤を含み、厚くなるとともに塗布膜の粘度が低下する。
【0034】
有機溶剤の滴下位置は、前記被塗布物201上の塗布膜の幅方向両端部としているが、塗布装置3の塗布ヘッド302の流出口の幅方向両端部近傍に有機溶剤滴下装置8のノズル83を配置して、塗布ヘッド302の流出口から流出し、被塗布物201に到達する前の塗布膜の幅方向両端部に滴下するようにしても良い。
【0035】
拡幅装置9は、ファン90を塗布膜の幅方向中央部に設け、塗布膜の表面の気体の流れを、中央部から端部方向に流れるようにしている。このようにすることで、有機溶剤滴下装置8で有機溶剤を含み厚く、粘度の低くなった幅方向両端部の塗布膜を、より両端部側に広げることができる。
【0036】
乾燥装置4は、被塗布物201の上に塗布された有機溶剤を含む塗布膜を乾燥する。402は乾燥用気体の導入口を示し、403は排出口を示す。乾燥風の温度及び風量は塗布膜の種類及び被塗布物201の種類により適宜決めることが可能となっている。
【0037】
冷却装置5は、乾燥装置4で乾燥された塗布膜を有する被塗布物201の温度を冷却し、適切な温度に調整することができる。502は冷却風の入り口を示し、503は冷却風の出口を示す。冷却風の温度及び風量は塗布膜の種類及び被塗布物201の種類により適宜決めることが可能となっている。また、特に冷却工程5を設けずとも適正な冷却温度になる場合は、冷却装置は設置しなくても良い。
【0038】
被塗布物201上に塗布された塗布膜は、乾燥装置4を経て、残留する有機溶剤の含有量が3〜15質量%になるように調整される。
【0039】
このように調整した後に塗布膜に硬化装置7で、例えば活性放射線照射装置を用いて活性放射線を照射し、塗布膜を硬化する。
【0040】
回収装置6は、塗布膜が形成された被塗布物201(塗布物)を巻き取る。601は巻き芯に巻き取られ回収されたロール状の塗布物を示す。a〜dは塗布膜を有する被塗布物201を搬送する搬送ロールを示す。
【0041】
図2は、有機溶剤滴下装置8と拡幅装置9を生産装置1の上部からみた模式図である。塗布装置3で塗布された幅W0の塗布膜の幅方向両端部にノズル83から有機溶剤を滴下し、更にファン90により両端部の塗布膜を広げて、幅W1にしている。幅W1の両端部には、有機溶剤の含有量が多い領域Dが形成されている。次に乾燥装置4で塗布膜の溶剤を乾燥し、更に硬化装置7で塗布膜を硬化する。
【0042】
このようにすることで、硬化工程の後の塗布膜の膜厚は、幅方向両端部に、塗布膜の幅方向中央部の厚みよりも薄い領域(幅Dの領域)を有している。
【0043】
この薄い領域(幅Dの領域)を塗布膜の幅方向両端部に形成することにより、硬化工程の後のハードコートフィルムの端部のカールを低減することができる。よって、製造工程中におけるフィルムの蛇行や、しわ、端部の倒れこみ、破断などの発生を抑制し、生産性を向上させることができる。
【0044】
また、有機溶剤滴下工程で滴下する有機溶剤は、硬化性樹脂に対する貧溶媒と良溶媒の比率(貧溶媒/良溶媒)が0〜1の範囲にあることが好ましい。貧溶媒と良溶媒の比率をこの範囲にすることで、滴下した有機溶剤が塗布膜と良く混ざり合い、また、膜の白化現象が起きにくく、使用できる製品幅を減少させることがない。
【0045】
また、この端部の膜厚の薄い領域の幅Dは、塗布膜の幅方向端部から5mm〜50mmが好ましい。5mm以下になると、端部カール防止の効果が弱くなり、50mmを越えると最終的な製品幅(W1−2D)が少なくなり、生産性が低下する傾向になる。よって、5mm〜50mmの幅が好ましい。
【0046】
また、薄い領域の幅Dの中央部80%の範囲において、中央部80%の塗布膜中央部側の端点の膜厚h1と、塗布膜端部側の端点の膜厚h2とが、0.1≦h2/h1≦0.7の関係にあることが好ましい。
【0047】
図3は、この薄い領域の幅Dの断面を拡大した模式図である。中央部80%の塗布膜中央部側の端点の膜厚h1と、塗布膜端部側の端点の膜厚h2とは、図3における点Aと点Bのことである。Lは、ハードコート層が塗布されていない未塗布幅を示す。
【0048】
h2/h1が0.1未満になると、幅手中央部のカールが大きく端部薄膜化の効果が出にくい傾向があり、0.7を越えると、端部薄膜化によるカール低減の効果が少なくなる傾向がある。よって、10〜70%が好ましい。
【0049】
また、硬化性樹脂としては、活性放射線硬化樹脂が好ましい。活性放射線硬化樹脂を用いることにより、紫外線などの活性放射線の照射により、硬度の高いハードコート層を短時間で、また、省スペースで形成することができるので好ましい。
【0050】
また、有機溶剤滴下工程における有機溶剤の滴下には、有機溶剤滴下装置8にインクジェット方式を用いるのが好ましい。インクジェット方式を用いることにより、有機溶剤の吐出液滴を小さくでき、かつ均一に散布することができ、薄い領域の幅Dをより均一に形成することができ、よりカールを抑制することができる。
【0051】
また、拡幅工程は、有機溶剤を滴下した幅方向両端部の塗布膜を両端部側に広げる工程であって、拡幅装置9を用いなくても、粘度が低下している塗布膜が両端部側に広がれば、それでも良いが、拡幅装置9を用いた方が安定して広げることができる。図1に示したファン90を用いる方法以外に、図1に示す搬送ロールaの形状を両端部の径が細くなるクラウンロールを用いて、被塗布物201の幅方向両端部が重力方向に傾くようにすることで、塗布膜を幅方向両端部に広げるようにして、薄い領域Dを形成するようにしても良い。また、ファン90とクラウンロールを組み合わせて用いてもよい。ファン90の位置は、塗布膜中央部に限るものではなく、塗布膜の幅手方向端部側の有機溶剤を滴下した領域の上部の気体の流れを幅手方向端部側に作る構成であれば良く、両端部付近に複数配置しても良い。
【0052】
以下、本発明に用いられる材料について詳細に説明する。
【0053】
支持体としての樹脂フィルムには特に限定はなく、例えば、透明樹脂フィルムとしてポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルローストリアセテート或いはセルロース誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム或いはポリアリレート系フィルム等を挙げることが出来る。
【0054】
使用するフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
【0055】
以下、セルロースエステルフィルムの製膜法について述べる。セルロースエステルフィルムは一般的に、セルロースエステルフレーク原料及び可塑剤をメチレンクロライドに溶解して粘稠液とし、これに可塑剤を溶解してドープとなし、エクストルーダーダイスから、エンドレスに回転するステンレス等の金属ベルト(バンドともいう)上に流延して、乾燥させ、生乾きの状態でベルトから剥離し、ロール等の搬送装置により、両面から乾燥させて巻き取り、作られる。光学フィルムの製造に用いられるセルロースエステルフィルムは、乾燥過程でテンター等の装置によってフィルムの端部を把持され、幅方向に張力を付与して幅保持若しくは延伸されたものであることがより高い平面性が得られるために好ましい。
【0056】
セルロースエステルフィルムのセルロースエステル樹脂としては、セルロースの低級脂肪酸エステル樹脂であることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸が好ましく、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの特に好ましい例として挙げられる。
【0057】
また、上記以外にも、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、最も好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルとしてはセルローストリアセテート(以下、TACという)、セルロースアセテートプロピオネートである。
【0058】
セルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
【0059】
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を測定する。
【0060】
測定条件は以下の通りである。
【0061】
〈ゲルパーミエーションクロマトグラフィー:GPCによる分子量測定〉
GPCによる数平均分子量の測定方法は、試料固形分濃度が0.1%となるようにテトラヒドロフランを用いて希釈した。粒子を含むためフィルターを用いて粒子を除去し、カラム温度25℃で、以下の条件により測定を行った。
【0062】
カラム;東ソー社TSKgelG5000HXL−TSKgelG2000H XL
溶離液;THF(テトラヒドロフラン)
ポンプ;L6000(日立製作所(株)製)
流量 :1.0ml/min
検出 ;RI Model 504(GLサイエンス社製)
試料濃度;0.8%
標準試料・校正曲線;標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
【0063】
セルロースエステルとしては、アセチル基及び/またはプロピオニル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をX、またプロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルが特に好ましい。
【0064】
(I)2.5≦X+Y≦3.0
(II)0≦Y≦1.2
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
【0065】
セルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステルのどちらかを単独或いは任意の比率で混合して用いることが出来る。ベルトやドラムからの剥離性が若しくは問題になれば、ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用すれば生産性が高く好ましい。木材パルプから合成されたセルロースエステルを混合して用いた場合、綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が40質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため好ましく、60質量%以上が更に好ましく、単独で使用することが最も好ましい。
【0066】
ドープを作製する際に使用される溶媒としては、セルロースエステルを溶解出来る溶媒であれば何でも良く、また単独で溶解出来ない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解出来るものであれば使用することが出来る。一般的には良溶媒であるメチレンクロライドとセルロースエステルの貧溶媒からなる混合溶媒を用い、かつ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30質量%含有するものが好ましく用いられる。
【0067】
このほか使用出来る良溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来るが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
【0068】
セルロースエステルの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール等を挙げることが出来、これらの貧溶媒は単独若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0069】
可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
【0070】
中でも、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等が好ましい。特に多価アルコールエステル系可塑剤を用いることが好ましい。
【0071】
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
【0072】
好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
【0073】
一般式(a) R−(OH)
但し、Rはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
【0074】
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0075】
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0076】
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0078】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
【0079】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
【0080】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
【0081】
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0082】
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
【0083】
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
【0084】
【化1】

【0085】
【化2】

【0086】
【化3】

【0087】
【化4】

【0088】
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0089】
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
【0090】
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
【0091】
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
【0092】
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることができる。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
【0093】
また、他の可塑剤としてリン酸エステル系可塑剤を用いることも出来、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
【0094】
このほか、特開2003−12859号記載のアクリルポリマーなどを含有させることも好ましい。
【0095】
これらの可塑剤は単独或いは2種以上併用して用いることが出来る。
【0096】
可塑剤の使用量は寸法安定性、加工性の点を考慮すると、セルロースエステルに対して、1〜40質量%添加させることが出来、3〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは4〜15質量%である。3質量%未満の場合は、スリット加工や打ち抜き加工した際、滑らかな切断面を得ることが出来ず、切り屑の発生が多くなる。
【0097】
セルロースエステルフィルムには酸化防止剤や紫外線吸収剤などを添加することが好ましい。
【0098】
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0099】
また、この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。
【0100】
セルロースエステルフィルムは、その高い寸法安定性から、偏光板または液晶表示用部材等に使用されるが、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0101】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体的には380nmの透過率が10%未満であることが好ましく、特に5%未満であることがより好ましい。
【0102】
好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。また、特開平6−148430号、特開2002−47357号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。或いは特開平10−152568号に記載されている紫外線吸収剤を用いることも出来る。
【0103】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式〔1〕で示される化合物が好ましく用いられる。
【0104】
【化5】

【0105】
式中、R、R、R、R及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、RとRは閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0106】
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していて良い。
【0107】
以下に紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0108】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバ・ジャパン(株)製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、チバ・ジャパン(株)製)
以下にベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0109】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
セルロースエステルフィルムでは、フィルムに滑り性を付与し、ロール状フィルムのブロッキングを防止するために微粒子を添加することが好ましい。
【0110】
微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
【0111】
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステル積層フィルムの濁度を低減出来るので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
【0112】
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
【0113】
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
【0114】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0115】
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用出来る。
【0116】
微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを好ましく使用することが出来る。
【0117】
《調製方法A》
溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0118】
《調製方法B》
溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。ここで添加するセルロースエステルとして、本発明の固形物を添加することが特に好ましい。
【0119】
これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0120】
《調製方法C》
溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0121】
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
【0122】
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶媒などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0123】
使用される溶媒は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
【0124】
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部が更に好ましく、0.08〜0.12質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低く、凝集物も少ない点が優れている。
【0125】
分散機は通常の分散機が使用出来る。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。
【0126】
メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。
【0127】
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
【0128】
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)或いはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
【0129】
また、これらの微粒子はフィルムの厚味方向で均一に分布していてもよいが、より好ましくは主に表面近傍に存在するように分布していることが好ましく、例えば、共流延法により、2種以上のドープを用いて、微粒子を主に表層側に配置されたドープに添加することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。好ましくは3種のドープを使用して表層側の少なくとも1つのドープ若しくは表層側の2つのドープに主に微粒子を添加することが望ましく、中心層を形成するドープには微粒子がほとんど含まれないか、まったく含まれないことが好ましい。可塑剤或いは紫外線吸収剤などでブリードアウトの恐れがある添加剤は主に中心層を形成するドープに添加し、表層側の2つのドープには中心層を形成するドープへの添加量に対して80質量%未満の添加量とすることが好ましく、より好ましくは50質量%未満とすることであり、ほとんど添加しないかまったく添加しないことが、工程汚染を防止する点でより好ましい。
【0130】
この様な製膜工程で得られたセルロースエステルフィルムを一度巻き取った後、或いは巻き取ることなく連続的に、本発明のハードコートフィルムの製造方法によって、塗布層を設けることが出来る。
【0131】
本発明に係る硬化性樹脂を用いたハードコート層について説明する。硬化性樹脂を用いたハードコート層とは、例えば、紫外線や電子線のような活性放射線照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性放射線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性放射線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0132】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、若しくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば特開昭59−151110号)。
【0133】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号)。
【0134】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種若しくは2種以上を選択して使用することが出来る。
【0135】
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、テトラメチルウラムモノサルファイド、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。紫外線硬化性樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
【0136】
活性放射線としては、電子線、X線、放射線、可視光線、紫外線等が挙げられるが、特に紫外線が好ましく用いられ、その場合、紫外線を発生する光源であればいずれでも使用出来る。例えば、前記した低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、好ましくは、前述のように積算光量(波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)で50〜350mJ/cmである。
【0137】
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、若しくは2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性が優れたフィルムを得ることが出来る。
【0138】
この活性放射線硬化樹脂層(ハードコート層)に、表示装置パネルの表面に防眩性を与えるために、また他の物質との密着性を防ぐために、或いは耐擦り傷性付与のために、無機或いは有機の微粒子を加えることも出来る。例えば、無機粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることが出来、また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、或いはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物に加えることが出来る。これらの粒子粉末の平均粒径としては、0.01μm〜10μmであり、紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部となるように配合することが望ましい。防眩効果を付与するには、平均粒径0.1〜3μm、樹脂組成物100質量部に対して1〜15質量部が好適である。
【0139】
塗布液に含まれる有機溶剤は紫外線照射前に蒸発させ、残留する有機溶剤の含有率が3〜15質量%となるように、乾燥工程で乾燥する。
【0140】
塗布液として使用出来る有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酪酸エチルなどのエステル類、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル(具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等)、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート))、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の炭化水素類その他の溶剤などが挙げられる。特にこれらに限定されるものではないが、これらを適宜混合した溶剤が好ましく用いられる。
【0141】
硬化性樹脂に対する良溶媒としては、特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酪酸エチルなどのエステル類が好ましい。また、貧溶媒としては、特にメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサンを挙げることができる。塗布液としては、特にこれら良溶媒と貧溶媒を混合して用いるのが、溶解性がよく且つ塗布面が均一になり好ましい。
【0142】
活性放射線硬化樹脂を含有する塗布液のハードコートフィルムの製造方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押出コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることが出来る。
【0143】
塗布量はウェット膜厚で0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。
【0144】
支持体であるフィルムの上にハードコート層を塗布した後、有機溶剤滴下工程として、その幅方向両端部に滴下する有機溶剤としては、上記の塗布液に使用できる有機溶剤と同じものを使用することができる。滴下する有機溶剤としては、硬化性樹脂に対する貧溶媒と良溶媒の比率(貧溶媒/良溶媒)が0〜1の範囲にあることが好ましく、更に好ましいのは、上記塗布液に用いた良溶媒及び貧溶媒を用いるのが良い。上記塗布液に用いた良溶媒及び貧溶媒と同じものを用いることにより、より滴下する有機溶剤が塗布膜に混ざりやすくなる。
【0145】
塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤を滴下する方法としては、スリット状の開口部を有するノズルや円形のノズルを複数配置したものなど、所定量の有機溶剤を滴下できるものであれば良いが、微小な液滴を所定の幅で均一に散布できるインクジェット方式が好ましい。
【0146】
図4は、本発明に係るインクジェット方法に用いることの出来るインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
【0147】
図4(a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線矢視拡大図である。図中、110は基板、120は圧電素子、130は流路板、130aはインク流路、130bは壁部、140は共通液室構成部材、140aは共通液室、150はインク供給パイプ、160はノズルプレート、160aはノズル、170は駆動用回路プリント板(PCB)、180はリード部、190は駆動電極、200は溝、210は保護板、220は流体抵抗、230、240は電極、250は上部隔壁、260はヒータ、270はヒータ電源、280は伝熱部材、10はインクジェットヘッドである。
【0148】
集積化されたインクジェットヘッド10において、電極230、240を有する積層された圧電素子120は、流路130aに対応して、該流路130a方向に溝加工が施され、溝200と駆動圧電素子120bと非駆動圧電素子120aに区分される。溝200には充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子120には、上部隔壁250を介して流路板130が接合される。即ち、前記上部隔壁250は、非駆動圧電素子120aと隣接する流路を隔てる壁部130bとで支持される。駆動圧電素子120bの幅は流路130aの幅よりも僅かに狭く、駆動用回路プリント板(PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子120bはパルス状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子120bは厚み方向に変化し、上部隔壁250を介して流路130aの容積が変化し、その結果ノズルプレート160のノズル160aより有機溶剤の液滴を吐出する。
【0149】
流路板130上には、伝熱部材280を介してヒータ260がそれぞれ接着されている。伝熱部材280はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材280は、ヒータ260からの熱を効率良く流路板130に伝え、かつ、ヒータ260からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としており、従って、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、或いは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
【0150】
圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変化し、その容積変化によりノズルからインク液滴となって噴射する。圧電素子には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルよりインクがインク液滴となって噴射する。
【0151】
図5は、本発明で用いることの出来るインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
【0152】
図5において、図5の(a)はヘッド部の断面図、図5の(b)はノズルプレートの平面図である。図中、201は基材フィルム、310は液滴、320はノズルである。ノズル320より噴射した有機溶剤の液滴310は基材フィルム201方向に飛翔して付着する。透明基材フィルム1上に着弾した有機溶剤の液滴は、周辺に濡れ広がる。
【0153】
本発明においては、図5の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズル320は、千鳥状に配置することが好ましく、また、基材フィルム201の搬送方向に並列に多段に設けることが好ましい。
【0154】
インクジェットヘッドと基材フィルムとの距離は0.2〜100mmが好ましい。また、液滴吐出速度を上げるなどにより吐出後の液滴を分裂させて液滴としてより小さな液滴を形成したり、吐出速度を抑制して大きめの液滴を形成することが出来る。
【0155】
ノズルからの有機溶剤の吐出量は、基材フィルムの幅方向両端部に行くに従い多くなるように、ノズルの開口や他の吐出条件を制御するのが好ましい。このようにすることで、幅方向両端部に行くに従い、ハードコート層の膜厚が、より均一でなだらかに薄くなるようにすることができる。
【0156】
有機溶剤の吐出速度は、液滴先端の速度V1をピエゾ式のインクジェット装置のピエゾ素子に印加する電圧を増減させることにより一般に0.1〜20m/sの範囲で制御出来る。好ましくは1〜20m/sの範囲である。更に、液滴先端の速度V1の好ましい下限は5m/s、好ましい上限は12m/sである。
【0157】
吐出時間tは、ピエゾ素子に印加する電圧の制御条件に応じて3μs〜1msに設定される。ピエゾ素子に印加する電圧の制御条件は、安定的に液滴を吐出できるように、波形制御条件、液滴の表面張力や粘度等に応じて設定される。
【0158】
本発明に用いられるインクジェットヘッドは、基材フィルムの幅手方向の両端部に配置し、ハードコート層用の塗布層を塗布した基材フィルムを搬送しながらその表面に有機溶剤を吐出する。インクジェットヘッドには、多数のノズルをライン状に配置し、インクジェットヘッドを固定して、有機溶剤を吐出するラインヘッド方式や、インクジェットヘッドが副走査方向に移動しながらその表面に有機溶剤を吐出するシリアルヘッド方式を用いることができるが、本発明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。
【0159】
このように硬化性樹脂として例えば活性放射線硬化樹脂を含有した塗布層の幅方向両端部に有機溶剤を滴下した後、乾燥工程で、塗布層に含まれる有機溶剤を乾燥し、紫外線等の活性線を照射する。照射時間に特に制限はないが、0.1秒〜5分が好ましく、硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から0.1秒〜1分がより好ましい。
【0160】
硬化時の酸素阻害を防ぎ、表面硬度を確保するため、N等の不活性ガスを満たし、酸素濃度を5%以下で硬化させる方法が用いられる。好ましくは酸素濃度3%以下がよい。
【0161】
このようにして硬化した後のハードコートフィルムは、幅方向両端部のカールが抑制され、製造工程中のフィルムの蛇行や、しわ、端部の倒れこみ、破断などが発生せず、安定して回収工程6でロール状に巻くことができる。
【0162】
本発明のハードコートフィルムの製造方法により製造されたハードコート層上に高屈折率層或いは低屈折率層などの反射防止層を塗設し光学フィルムを形成することが出来、反射光の色ムラが著しく改善された光学フィルムが得られる。
【0163】
本発明の製造方法により得られる光学フィルムの層構成としては、下記の例が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。このうち、クリアハードコート層、防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層のうち少なくとも1層は塗布乾燥の後、活性線照射し硬化する層とすることが出来る。反射防止層はTiやSiのどの金属アルコキシドを用いたゾルゲル法で形成してもよく、Zr、Zn、Ti、Si、Sn、In等の金属酸化物微粒子とバインダーを含む組成物を塗設してもよい。
バックコート層/樹脂フィルム/クリアハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/樹脂フィルム/クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/樹脂フィルム/クリアハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/樹脂フィルム/防眩性ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/樹脂フィルム/防眩性ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/樹脂フィルム/防眩性ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
本発明によって得られた光学フィルムは平面性に優れるため、特に液晶表示装置、或いは有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイの前面に用いられる反射防止フィルム或いは防眩フィルム、クリアハードコートフィルムとして有用であり、優れた視認性を提供することが出来、これらを偏光板保護フィルムとして用いた偏光板或いは表示装置を提供することが出来る。
【実施例】
【0164】
以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5)
《透明樹脂フィルムの作製》
(ドープ組成物)
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 100質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 1質量部
チヌビン171(チバ・ジャパン(株)製) 1質量部
酸化珪素微粒子(アエロジル200V) 0.1質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹伴しながら完全に溶解した。
【0165】
次に、このドープ組成物を濾過、冷却して33℃に保ちステンレスバンド上に均一に流延し、剥離が可能になるまで溶媒を蒸発させたところで、ステンレスバンド上から剥離後、テンターによって幅把持しながら乾燥させ、幅手方向で1.1倍となるように延伸し、更に多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ膜厚40μm、幅1330mm、長さ2000mの透明樹脂フィルムを得た。
【0166】
《ハードコート層の形成》
(ハードコート層塗布組成物)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製) 2質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
酢酸エチル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
上記作製した透明樹脂フィルムの表面に、上記ハードコート層塗布組成物(粘度5.9mPa・s)を押し出しコート(コータの種類:ダイ、減圧度:−1000Pa、塗布液吐出量:21g/m、塗布速度:50m/min)により押し出して塗布した。塗布幅W0は、1300mmとした。
【0167】
《幅方向両端部への有機溶剤の滴下》
(有機溶剤組成)
良溶媒として、
酢酸エチル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
貧溶媒として、
イソプロピルアルコール 50質量部
上記のようにハードコート層塗布組成物の有機溶剤と同じ組成の有機溶剤を用い、有機溶剤滴下装置8としてインクジェット方式を用いて、幅方向両端部に有機溶剤を滴下した。
【0168】
インクジェット吐出装置は、ノズル径が3.5mμのノズルを256個所有するインクジェットヘッドとした。
【0169】
また、拡幅工程として、ブロアーを用いて塗布膜中央部側から塗布膜端部側に気体の流れを形成した。ブロアーは、端部付近に台設置し、塗布膜端部で塗布膜面から1cm離れたところの風速を3.0〜6.0m/minの範囲で調整した。
【0170】
乾燥工程では乾燥終了までは炉内温度70℃、境膜伝熱数h20W/m℃、乾燥後は炉内温度50℃、境膜伝熱数h30W/m℃、ロールサポート方式の2プロセスを設定し、連続乾燥した。冷却工程は温度30℃、境膜伝熱数h30W/m℃で塗布膜の温度を調整した。
【0171】
その後、硬化工程として、紫外線照射設備を使用して紫外線を照射した。酸素濃度は3%で硬化させた。活性線光源には紫外線ランプ(アイグラフィック(株)社製高圧水銀タイプ)を用いた。
【0172】
インクジェットヘッドからの有機溶剤の滴下量とブロアーの風速を調整して、幅方向中央部の膜厚が7μmで、未塗布幅Lが10mm、幅方向両端部の膜厚の薄い領域Dが50mm、領域Dの中央部80%における塗布膜中央部側の端点Aの膜厚h1と、塗布膜端部側の端点Bの膜厚h2が表1に示す値のハードコート層を有する実施例1から5のハードコートフィルムを得た。
(比較例1)
比較例1は、実施例1において、有機溶剤滴下工程及び拡幅工程を行わなかった他は、実施例1と同様にハードコートフィルムを作製した。
(評価)
得られた実施例1から5及び比較例のハードコートフィルムの長さ1000mのところの端部のカールの測定と、フィルム欠陥として、しわや端部の倒れこみ、破断などを評価した。図6にカールの測定方法を示す。図6の(a)は平面図、(b)は断面図を示す。ハードコートフィルム1000mの位置の幅方向端部を、図のように100mm×100mm切り出し、それにSUS版で、未塗布領域Lから中央部側25mmのところを押さえ、そのときの図6(b)におけるカール高さKを測定し、評価した。ハードコートフィルムのしわや端部の倒れこみ、破断など欠陥の評価は、目視により全長に渡って評価した。カールの高さが5mm未満を◎、5mm以上10mm未満を○、10mm以上15mm未満を△、15mm以上を×とし、10mm以上のカールがあるとシワなどが発生し、15mm以上になると端部の破断がみられ、製品として使用することができない。以上により得られた結果を、表1に示す。
【0173】
【表1】

【0174】
表1の実施例1〜5及び比較例1の結果から、ハードコート層の塗布工程の後、塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤を滴下する有機溶剤滴下工程と、該有機溶剤滴下工程の後、幅方向両端部を支持体上で幅方向に広げる拡幅工程とを有し、拡幅工程の後、塗布膜を乾燥する乾燥工程と硬化工程を行い、硬化後の塗布膜の幅方向両端部に、塗布膜の幅方向中央部の厚さよりも薄い領域を形成することにより、ハードコートフィルムの端部カールを効果的に抑制することができ、また、フィルム欠陥も認められないことがわかる。また、実施例1〜5の結果から、膜厚の薄い領域の幅Dの中央部80%の範囲において、前記中央部80%の塗布膜中央部側の端点の膜厚h1と、塗布膜端部側の端点の膜厚h2とが、0.1≦h2/h1≦0.7の関係にあることが、よりカールが少なく、好ましいことが判る。
【0175】
更に作製した実施例3のハードコートフィルムを用いて下記の反射防止層を形成し、反射防止フィルムを作製した。
【0176】
《多層反射防止層の形成》
(中屈折率層塗布組成物)
テトラ(n)ブトキシチタン 250質量部
末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000)
0.48質量部
アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBE903)
22質量部
UV硬化性エポキシ樹脂(旭電化社製KR500) 21質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 4900質量部
イソプロピルアルコール 4840質量部
(高屈折率層塗布組成物)
テトラ(n)ブトキシチタン 310質量部
末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000)
0.4質量部
アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBE903)
4.8質量部
UV硬化性エポキシ樹脂(旭電化社製KR500) 4.6質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 4900質量部
イソプロピルアルコール 4800質量部
(テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製)
テトラエトキシシラン580gとエタノール1144gを混合し、これにクエン酸水溶液(クエン酸1水和物5.4gを水272gに溶解したもの)を添加した後に、25℃にて1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
【0177】
(低屈折率層塗布組成物)
テトラエトキシシラン加水分解物A 1020質量部
末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000)
0.42質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 2700質量部
イソプロピルアルコール 6300質量部
上記ハードコート層を有するハードコートフィルム3のハードコート層の上に、中屈折率層をダイを用いて塗布し、乾燥部で乾燥し、冷却装置で冷却した。その後、紫外線照射設備を使用して紫外線を照射した。このように作製した中屈折率層の上に高屈折率層、低屈折率層の順番でダイを用いて塗布し、乾燥後の残留溶媒含有量は5%となるように乾燥し、乾燥部で乾燥した後、冷却装置で冷却し、塗布膜の温度が30℃になるように調整した。その後、紫外線照射設備を使用して紫外線を照射した。この時の照度を300mW/cm、積算光量を100mJ/cmとした。このように各反射防止層を硬化させ、多層反射防止層を形成した。酸素濃度は3%で硬化させた。
【0178】
この時の各層の膜厚を、中屈折層が0.075μm、高屈折層が0.070μm、低屈折率層が0.093μmとなるように塗布ヘッドからの塗布物の流量を調整し、多層反射防止層を有する反射防止フィルムを作製した。
【0179】
作製した各反射防止フィルムの反射防止層を塗設したのとは反対側の面に黒いアクリル板を貼り付け、反射防止層塗設面側表面を強い白色光源で照射し、目視による色ムラ発生の有無を確認し、更に、アクリル板を外し、透過光による色ムラ発生の有無を確認したが、共にフィルム表面のシワなどに起因する色ムラは認められず、品質の良い反射防止フィルムを作製することができた。
【符号の説明】
【0180】
1 生産装置
2 供給装置
201 被塗布物、基材フィルム
202 ロール状被塗布物
3 塗布装置
301 バックアップロール
302 塗布ヘッド
303 減圧室
4 乾燥装置
402 導入口
403 排出口
5 冷却装置
502 入り口
503 出口
6 回収装置
601 ロール状塗布物
7 硬化装置、活性放射線照射装置
8 有機溶剤滴下装置
81 有機溶剤タンク
82 ポンプ
83 ノズル
9 拡幅装置
90 ファン
10 インクジェットヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、硬化性樹脂を含む塗布液を塗布し、塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜を硬化する硬化工程とを有するハードコートフィルムの製造方法において、
前記塗布工程の後、前記塗布膜の幅方向両端部に有機溶剤を滴下する有機溶剤滴下工程と、
該有機溶剤滴下工程の後、前記幅方向両端部を前記支持体上で幅方向に広げる拡幅工程とを有し、
前記拡幅工程の後、前記塗布膜を乾燥する乾燥工程と前記硬化工程を行い、
硬化後の前記塗布膜の幅方向両端部に、前記塗布膜の幅方向中央部の厚さよりも薄い領域を形成することを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記有機溶剤滴下工程で滴下する有機溶剤は、
前記硬化性樹脂に対する貧溶媒と良溶媒の比率(貧溶媒/良溶媒)が0〜1の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記薄い領域の幅Dが前記塗布膜の幅方向端部から5mm〜50mmの幅であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記薄い領域の幅Dの中央部80%の範囲において、前記中央部80%の塗布膜中央部側の端点の膜厚h1と、塗布膜端部側の端点の膜厚h2とが、0.1≦h2/h1≦0.7の関係にあることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記硬化性樹脂は、活性放射線の照射により硬化する活性放射線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記有機溶剤滴下工程は、インクジェット方式により滴下することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記拡幅工程は、
前記塗布膜の幅方向両端部の表面に、前記塗布膜の幅方向中央部から幅方向端部の方向に気体を流し、前記塗布膜の両端部が、幅方向端部側に広がるようにすることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記拡幅工程は、
前記支持体の表面が、前記塗布膜の幅方向両端部に向けて、重力方向に傾斜し、前記有機溶剤滴下工程で有機溶剤を滴下した前記塗布膜が、幅方向端部側に広がるようにすることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法により得られるハードコートフィルムの表面に光学薄膜層を形成することを特徴とする光学フィルム。
【請求項10】
請求項1から8の何れか1項に記載のハードコートフィルムの製造方法により得られるハードコートフィルムの表面に反射防止層を形成することを特徴とする反射防止フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−59154(P2011−59154A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205589(P2009−205589)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】