説明

ハードディスクドライブ破壊工具

【課題】 小型軽量で持ち運びが容易であり、しかも安価で取り扱いが簡単かつ電源不要で作業環境を選ばず安全に使用できるハードディスクドライブ破壊工具を提供すること。
【解決手段】 ツール本体3の端部3bを貫通して刻設された雌ネジ部6と送り螺子7および操作ハンドル8から成る直線移動用手動式倍力機構5を利用して穿孔用チップ4をツール本体3の支持面2に対して強力に接離移動させ、ハードディスクドライブ12を貫通して穿孔用チップ4を内部に突入させることでハードディスク12aを破壊する。電源のない所でもハードディスクドライブ12の破壊作業を行うことができ、ハンマーの打撃音や電気ドリルの回転および切削音のような大きな騒音や電磁気も発生せず、また、切削による切粉の発生といった問題もないので作業場所を選ばずに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブを破壊してデータの流出を防止するハードディスクドライブ破壊工具に関する。
【背景技術】
【0002】
情報セキュリティ問題や情報漏洩が今大きな社会問題になっている。特に故障して廃棄されたパーソナルコンピュータの内蔵ハードディスクドライブから情報が何かの拍子に流出したり、故障したハードディスクドライブをそのまま廃棄した結果情報が漏れてしまった等という事件が起こっている。
通常は廃棄に当たってデータの消去を行うものであるが、故障したパーソナルコンピュータや故障したハードディスクドライブ自体では簡単にデータを消去することができない。この場合に有効なのはハードディスクドライブ自体を破壊して二度とデータを取り出せないようにすることである。
【0003】
ハードディスクドライブを破壊する方法としては、ハンマーでハードディスクドライブを打撃して破壊するか、更に、ポンチや鏨などを併用してハードディスクドライブに穴を開けるか、または、電気ドリルで穴を開けてハードディスクドライブを破壊するか、もしくは、プレス装置を使用してハードディスクドライブ自体を圧壊するか、あるいは、特殊なネジを外してハードディスクドライブの外装を分解してディスクを取り出して破壊するか、さもなくば、強力な電磁波を利用した専用装置(電磁破壊機)によって磁気的にハードディスクの記憶内容を破壊するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、ハンマーでハードディスクドライブを打撃したり電気ドリルで穴を開けてハードディスクドライブを破壊するような場合には作業場所の確保や騒音の発生さらには破壊の過程で発生する破片の飛散が問題となり、また、特殊なネジを外してハードディスクドライブを分解してディスクを取り出して破壊する場合には作業工程が煩雑となって作業時間の点で問題がある。
電磁波を利用した専用装置は処理施設等で大量のハードディスクドライブの破壊を行うことを前提としたものであるため、作業性や作業工数的な問題は少ないが、装置自体が高価であり、常時携帯するには大きく重すぎるうえ、作業には電源が必要となり、作業場所によっては電磁気の漏れ等の影響が問題となる場合もある。
【0005】
ハードディスクドライブを破壊する比較的小型の専用装置としては、油圧ジャッキや螺子ジャッキを利用してハードディスクドライブに市販のコンクリート用釘を貫通させるデータ破壊装置が特許文献1として既に提案されているが、このものは、ハードディスクに穿孔される穴が3mm程度と小さく、ハードディスク自体も大きくは変形しないので、デバイスとしてのハードディスクドライブの機能は破壊できても、ハードディスク上のデータそれ自体を十分に破壊できない不都合がある。
しかも、コンクリート用釘をハードディスクドライブに突入させるだけの構成であり、コンクリート用釘を回収したり再使用したりすることはできない構造であるので、ランニングコストが高くなる弊害が生じる。また、駆動源となる油圧ジャッキや螺子ジャッキも十分には小型化されてはおらず、このデータ破壊装置を作業者が常時携帯することは難しい。
【0006】
また、これとは別に、破片の飛散を防止するカバーや切粉を回収するためのトレーを備えた筐体と電気ドリルを上下動させる昇降機構とを有するハードディスク破壊装置が特許文献2として提案されているが、電気ドリルを駆動するための電源が必要であり、騒音が大きく、また、重量も大きいので、その使用場所は大幅に制限される。
【0007】
一方、昨今の情勢では、情報の入ったハードディスクドライブは、たとえ障害を起こして動作不能となっていても、そのままではセキュリティの問題で顧客の施設内から持ち出す事ができない場合がある。
このためハードディスクドライブの破壊作業は現地で行うことが原則となり、少量のハードディスクドライブの破壊を対象にした常時携帯できる大きさ、重さで電源を必要とせず、ゴミや騒音や電磁波を出さず、扱いが簡便なハードディスクドライブ破壊工具が必要とされている。
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3108834号
【特許文献2】特開2004−158172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記従来技術の不都合を改善し、小型軽量で持ち運びが容易であり、しかも安価で取り扱いが簡単かつ電源不要で作業環境を選ばず安全に使用できるハードディスクドライブ破壊工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のハードディスクドライブ破壊工具は、前記課題を達成するため、両端部間に間隙をおいて略C字型に形成されたツール本体の一端部にハードディスクドライブを支える支持面を形成する一方、前記ツール本体の他端部には、前記ハードディスクに孔を開けるための穿孔用チップを前記支持面に向けて接離移動させる直線移動用手動式倍力機構を設けたことを特徴とする構成を有する。
【0011】
ハードディスクドライブの破壊に際しては、略C字型に形成されたツール本体の両端部間にハードディスクドライブを配置し、ツール本体の一端部に形成された支持面によってハードディスクドライブの一面を支えた状態で該ツール本体の他端部に設けられた直線移動用手動式倍力機構を操作し、ハードディスクに孔を開けるための穿孔用チップを支持面に向けて接近する方向に移動させ、ハードディスクドライブに突入さらには貫通させて、内部のハードディスクを破壊する。そして、破壊作業の完了後、直線移動用手動式倍力機構を操作して穿孔用チップを支持面から離間する方向に移動させて初期位置に復帰させ、破壊されたハードディスクドライブから穿孔用チップを引き抜き、ハードディスクドライブをハードディスクドライブ破壊工具から取り外す。
穿孔用チップを移動させる駆動源として直線移動用手動式倍力機構を利用しているので、電源のない所でもハードディスクドライブの破壊作業を行うことができ、ハンマーの打撃音や電気ドリルの回転および切削音のような大きな騒音や電磁気も発生せず、また、切削による切粉の発生といった問題もないので作業場所を選ばずに使用することができ、ハードディスクドライブを分解せずに内部のハードディスクを破壊できるので、作業工程も簡便である。
直線移動用手動式倍力機構はツール本体の他端部に設けられてツール本体と一体化しているので、全体の構成がコンパクトになり、また、重量も小さいので常時携帯することができる。
直線移動用手動式倍力機構によって穿孔用チップを支持面に対して接離移動させる構成であるから穿孔用チップを再使用してハードディスクドライブの破壊作業を繰り返し行うことができ、実質的な消耗品がないため、ランニングコストも初期費用のみで済む。
【0012】
直線移動用手動式倍力機構は、ツール本体の他端部を貫通して刻設された雌ネジ部と、該雌ネジ部に螺合する螺旋溝を外周に有し其の先端に前記穿孔用チップの基部を保持した送り螺子と、該送り螺子の基部に取り付けられた操作ハンドルとによって構成することができる。
【0013】
また、穿孔用チップは、先端から基部に向けて指数関数的に直径を増大させる略円錐状に形成されていることが望ましい。
【0014】
穿孔用チップの先端を鋭利に尖らせることができるのでハードディスクドライブの外装を容易に突き破ることができ、また、穿孔用チップが一旦ハードディスクドライブに突入した後は、径の大きな部分でハードディスクを広範囲に亘って破壊あるいは変形させることができるので、ハードディスクからのデータのサルベージを著しく困難にすることができる。
【0015】
ツール本体の一端部に形成された支持面には、穿孔用チップの先端部の突入を許容し、其の縁部が穿孔用チップの外周面に当接する孔が穿設されていることが望ましい。
【0016】
穿孔用チップの先端部が支持面に突き当たることがないので穿孔用チップの先端の損傷を防止することができ、反復使用時の穿孔用チップの耐久性が向上する。
【0017】
あるいは、支持面に孔を穿設し、この孔の内側に、穿孔用チップの先端部の突入を許容し、其の縁部が穿孔用チップの外周面に当接する硬質プラスチック製のスリーブを固設した構成としてもよい。
【0018】
穿孔用チップの先端の損傷に加え、穿孔用チップの外周面の損傷を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のハードディスクドライブ破壊工具は、穿孔用チップを移動させる駆動源として直線移動用手動式倍力機構を利用しているので、電源のない所でもハードディスクドライブの破壊作業を行うことができ、ハンマーの打撃音や電気ドリルの回転および切削音のような大きな騒音や電磁気も発生せず、また、切削による切粉の発生といった問題もないので作業場所を選ばずに使用することができ、ハードディスクドライブを分解せずに内部のハードディスクを破壊できるので作業工程も簡便化することができる。
【0020】
しかも、直線移動用手動式倍力機構はツール本体の他端部に設けられてツール本体と一体化しているので、全体の構成がコンパクトになり、また、重量も小さいので常時携帯することが可能である。
【0021】
さらに、直線移動用手動式倍力機構によって穿孔用チップを支持面に対して接離移動させる構成であるから穿孔用チップを再使用してハードディスクドライブの破壊作業を繰り返し行うことができ、実質的な消耗品がないため、ランニングコストも初期費用のみで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について一例を挙げて具体的に説明する。図1は本発明を適用した一実施形態のハードディスクドライブ破壊工具1の構成を示した側面図である。
【0023】
この実施形態のハードディスクドライブ破壊工具1は、両端部間に間隙をおいて略C字型に形成され其の一端部3aにハードディスクドライブを支える支持面2を形成されたツール本体3と、ハードディスクに孔を開けるための穿孔用チップ4、および、ツール本体3の他端部3bに設けられ穿孔用チップ4を支持面2に向けて接離移動させる直線移動用手動式倍力機構5によって構成される。
【0024】
直線移動用手動式倍力機構5は、図2に示されるように、ツール本体3の他端部3bを貫通して刻設された雌ネジ部6と、雌ネジ部6に螺合する螺旋溝を外周に有し其の先端に穿孔用チップ4の基部を保持した送り螺子7と、送り螺子7の基部に取り付けられた操作ハンドル8とによって構成される。
【0025】
超硬合金(タングステンカーバイド等)や工具鋼(クロムモリブデン鋼等)あるいはステンレス鋼(SUS410等)からなる穿孔用チップ4は、図3に示されるように、先端から基部に向けて指数関数的に直径を増大させる略円錐状に形成され、その基部に形成された縮径部4aを送り螺子7の先端に形成された図示しない盲穴に圧入した状態で、送り螺子7の先端外周部から径方向内側に向けて螺合された六角穴付セットスクリュー9によって送り螺子7の先端に一体的に固着される。
【0026】
穿孔用チップ4の中心軸CLを含む仮想平面と穿孔用チップ4の外周面4bとの重合部で形成される輪郭線は図3に示されるような指数関数状あるいは円弧状のもので、この実施形態においては、穿孔用チップ4の先端側の部分で此の輪郭線に引かれる接線と中心軸CLとが成す角(以下、テーパ角という)を略10°、また、穿孔用チップ4の基部側の部分でのテーパ角を略60°とすることで、ハードディスクドライブの外装への穿孔用チップ4の先端部の突入を容易とし、同時に、穿孔用チップ4の基部側の拡径部で内部のハードディスクを押圧するようにして広範囲に亘ってハードディスクを破壊あるいは変形させるようにしている。
穿孔用チップ4の直径は先端部で0.5mm前後、また、最大外径部で8mm程度であり、穿孔用チップ4の実際の形状は、図3に示されるような輪郭線を中心軸CLの周りに回転させて得られる中実の回転体である。
【0027】
ツール本体3の一端部3aに形成された支持面2の略中央部には、図4に示されるようにして孔10が穿設され、孔10の内部には、穿孔用チップ4の損傷を防止するため、穿孔用チップ4の先端部の突入を許容し、其の縁部11aが穿孔用チップ4の外周面4bに当接する硬質プラスチック製のスリーブ11たとえばテフロン製のスリーブ11(「テフロン」は登録商標)が圧入されている。
スリーブ11の内径は、穿孔用チップ4の先端部の突入を許容する必要上すくなくとも0.5mm以上の直径が必要である。
孔10を盲穴として形成する場合の孔10の深さ及びスリーブ11の長さは、穿孔用チップ4の外周面4bがスリーブ11の縁部11aに当接しても穿孔用チップ4の先端が孔10の底に底突きしない程度のものとする。
あるいは、スリーブ11を圧入する孔10を小径の貫通孔と大径の盲穴からなる段付きのものとし、大径の孔にスリーブ11を圧入して大径の孔の底面でスリーブ11を支え、穿孔用チップ4の先端を小径の孔に逃がすようにしてもよい。
また、より簡略な構造としたければ、スリーブ11を省略し、穿孔用チップ4の先端部の突入を許容し、其の縁部が穿孔用チップ4の外周面4bに当接する孔を支持面2に穿設するだけでもよい。
【0028】
パーソナルコンピュータ等から取り外したハードディスクドライブの外観の一例を図5に示す。
【0029】
このハードディスクドライブ12を破壊する際には、図6および図7に示されるように、ハードディスクドライブ破壊工具1におけるツール本体3の一端部3aに形成された支持面2と穿孔用チップ4との間にハードディスク12aが位置するようにしてハードディスクドライブ12を保持し、この状態を維持したまま操作ハンドル8を時計方向に回して送り螺子7に支持面2へ向かう方向の送りを掛けて穿孔用チップ4の先端をハードディスクドライブ12の外装に突き当てる。
【0030】
穿孔用チップ4の先端の外径は0.5mm前後と細く、また、当該箇所におけるテーパ角は10°前後と小さいので、ハードディスクドライブ12の外装に穿孔用チップ4の鋭利な先端部分を確実に突入させることができる。
【0031】
そして、このまま操作ハンドル8を回して穿孔用チップ4の送りを進めると、ハードディスクドライブ12の外装が深絞り状に塑性変形して加工硬化することで一時的に送りに対する反力が増加するが、一旦この深絞り状の塑性変形部の先端に穴が開くと、それ以降は、徐々に拡径する穿孔用チップ4の外周面4bが穴を押し広げつつ破るようにして突入していくようになるので、穿孔用チップ4の突入によって外装の穴の内側に摺接する外周面4bのテーパ角が徐々に増大しても、この穿孔作業を支障なく継続することができる。
【0032】
穿孔用チップ4の送りを更に進めることにより遂には穿孔用チップ4がハードディスクドライブ12の外装を貫通し、更に、内部のハードディスク12aの面に対して略直角の向きで突き当たり、ハードディスク12aそれ自体に穴を開けると共に穴の周辺を変形させて破壊し、最終的に、ハードディスクドライブ12を貫通して反対側に突出する。
穿孔用チップ4は基部側で8mm程度と太めに構成されているので、ハードディスク12aのディスク面を広範囲に亘って破壊し、あるいは、圧壊するようにして変形させることができるので、ハードディスク12aからのデータのサルベージは殆ど不可能となる。
なお、ハードディスク12aからのデータの漏洩をより確実に防止するためには、ハードディスク12aに穿孔用チップ4を貫通させる作業を、穿孔の対象箇所を変えながら、数回(2回〜4回)繰り返すようにすれば万全である。
【0033】
穿孔用チップ4の突入したハードディスクドライブ12の穴は穿孔用チップ4の外周面4bあるいは送り螺子7の外周面で塞がれ、また、穿孔用チップ4が突出するハードディスクドライブ12の裏面側の穴はツール本体3の支持面2で塞がれるので、ハードディスク12aの基材がガラス等の場合であっても、破壊で生じた破片が外部に飛び散って作業場を汚損したり作業者に危害を与えるといった心配はない。
また、破壊に際して打撃力を利用していないので、ハードディスクドライブ12に穿孔用チップ4が喰い込んでいく際の僅かな音を別にすれば騒音は殆ど発生しない。
【0034】
更に、穿孔用チップ4に送りを掛ける直線移動用手動式倍力機構5は、ツール本体3の他端部3bを貫通して刻設された雌ネジ部6と、雌ネジ部6に螺合する螺旋溝を備えた送り螺子7、および、送り螺子7を回転させるロッド状の操作ハンドル8から成る簡単な構造のものであって電力の供給を必要としないから、電源のない所でもハードディスクドライブ12の破壊作業を行うことができ、また、周辺装置への電磁気の影響の心配も全くないので使用場所を選ばない。
【0035】
また、ハードディスクドライブ12を分解しなくても内部のハードディスク12aを簡単に破壊することができるので、作業工程が簡便である。
【0036】
直線移動用手動式倍力機構5はツール本体3と一体化して全体の構成がコンパクトかつ軽量になっており、特に、この実施形態では、操作ハンドル8をロッド状のもので構成しているので、ツール本体3と同一面上に位置するように操作ハンドル8の回転位置を調整してハードディスクドライブ破壊工具1をフラットな状態とすることで、このハードディスクドライブ破壊工具1をポケットに入れて簡単に携帯することができる。
【0037】
超硬合金(タングステンカーバイド等)や工具鋼(クロムモリブデン鋼等)あるいはステンレス鋼(SUS410等)からなる穿孔用チップ4は、ハードディスクドライブ12の外装やハードディスク12aに比べて十分に丈夫であり、また、穿孔用チップ4の細く鋭利な先端部分は支持面2に直に突き当たることがなく硬質プラスチック製のスリーブ11によって守られているので、高硬度で靱性の低い材料で穿孔用チップ4を形成した場合であっても、その先端部や外周部に不用意な損傷が発生することはなく、この穿孔用チップ4を反復使用して多数のハードディスクドライブ12を破壊することができ、消耗パーツの取り替え等に伴うランニングコストやメンテナンス費用も低く抑えることができる。
【0038】
破壊作業の完了後、最終的に、操作ハンドル8を反時計方向に回転して穿孔用チップ4を支持面2から離間する方向に移動させることで初期位置に復帰させ、破壊されたハードディスクドライブ12をハードディスクドライブ破壊工具1から取り外す。
この際、穿孔用チップ4や支持面2で塞がれていたハードディスクドライブ12の穴からハードディスク12aの基材となっていたガラス等の破片あるいは其の他のゴミ等が零れ落ちる可能性もあるので、破壊されたハードディスクドライブ12をハードディスクドライブ破壊工具1から取り外す際には、ハードディスクドライブ破壊工具1やハードディスクドライブ12及び此れらを保持する手を大きめのビニール袋等の中に入れ、周辺にゴミ等が散らないようにして取り外し作業を行うことが望ましい。
【0039】
なお、リーマ形状の穿孔用チップ4を使用するような場合には、リーマとして機能する刃の部分で軽い切削作業が行われることになるので、この際に発生する切粉等の飛散を防止する必要上、ハードディスクドライブ破壊工具1やハードディスクドライブ12及び此れらを保持する手を大きめのビニール袋等の中に入れたままの状態で一連の破壊作業と破壊したハードディスクドライブ12の取り外し作業を行うことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した一実施形態のハードディスクドライブ破壊工具の構成を示した側面図である。
【図2】同実施形態の直線移動用手動式倍力機構の構成を示した斜視図である。
【図3】同実施形態の穿孔用チップの構成を示した側面図である。
【図4】ツール本体の一端部に形成された支持面の構成を示した斜視図である。
【図5】破壊の対象となるハードディスクドライブの外観を示した図である。
【図6】ハードディスクドライブを破壊する際の段取りについて上方から示した斜視図である。
【図7】ハードディスクドライブを破壊する際の段取りについて側方から示した斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ハードディスクドライブ破壊工具
2 支持面
3 ツール本体
3a 一端部
3b 他端部
4 穿孔用チップ
4a 縮径部
4b 外周面
5 直線移動用手動式倍力機構
6 雌ネジ部
7 送り螺子
8 操作ハンドル
9 六角穴付セットスクリュー
10 孔
11 スリーブ
11a 縁部
12 ハードディスクドライブ
12a ハードディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部間に間隙をおいて略C字型に形成されたツール本体の一端部にハードディスクドライブを支える支持面を形成する一方、前記ツール本体の他端部には、前記ハードディスクに孔を開けるための穿孔用チップを前記支持面に向けて接離移動させる直線移動用手動式倍力機構を設けたことを特徴とするハードディスクドライブ破壊工具。
【請求項2】
前記直線移動用手動式倍力機構が、前記ツール本体の他端部を貫通して刻設された雌ネジ部と、該雌ネジ部に螺合する螺旋溝を外周に有し其の先端に前記穿孔用チップの基部を保持した送り螺子と、該送り螺子の基部に取り付けられた操作ハンドルとによって構成されていることを特徴とするハードディスクドライブ破壊工具。
【請求項3】
前記穿孔用チップが、先端から基部に向けて指数関数的に直径を増大させる略円錐状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のハードディスクドライブ破壊工具。
【請求項4】
前記支持面に、前記穿孔用チップの先端部の突入を許容し、其の縁部が前記穿孔用チップの外周面に当接する孔が穿設されていることを特徴とする請求項3記載のハードディスクドライブ破壊工具。
【請求項5】
前記支持面に孔が穿設され、この孔の内側に、前記穿孔用チップの先端部の突入を許容し、其の縁部が前記穿孔用チップの外周面に当接する硬質プラスチック製のスリーブが固設されていることを特徴とする請求項3記載のハードディスクドライブ破壊工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−323783(P2007−323783A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155448(P2006−155448)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)