説明

バイオプロセス液を分析するための方法および装置

バイオプロセス液を分析するための方法および装置を提供する。1つまたは複数の生物学的マーカーに対して親和性を有する複数の捕捉剤をコーティングされた複数の粒子は、バイオプロセス液で結合され、複数の検体−粒子複合体を形成する。このシステムは、サンプルをセンサ表面に移送する移送装置と、任意に、センサ表面に、およびセンサ表面付近に磁界を確立するように構成および配置された構造を含む磁界とをさらに備える。共鳴センサは、センサ表面に結合する検体−粒子複合体の量に対応する信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプロセス液(bioprocess fluid)サンプル中の1つまたは複数の生物学的マーカーを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
タンパク質などの生物学的治療は、様々な動物および宿主細胞モデル中で行われる。一般に、対象となる生成分子は、宿主、宿主細胞、または宿主細胞を成長させるために使用されるならし培地から隔離され、ヒトに投与される前に浄化し、宿主タンパク質およびその他の不純物を除去する。このような宿主タンパク質および不純物の高感度測定は、生成分子の精製時の様々な時点で望ましい。現在、生成分子の精製時に宿主細胞タンパク質および不純物を検出または測定する技術は、一般に、宿主細胞タンパク質または不純物を認識する抗体を使用する酵素免疫吸着測定法を必要とする。このような検定は、完了するのに一般に少なくとも5時間を要し、一般にオフラインで実施され、つまりサンプルは、生産ラインから取り出され、検定が行われる個々の実験室に送られる。検定は、多くの場合、約400pg/mlの検出限界を有する。
【0003】
検体(たとえば、液体培地中の生物因子または生物学的マーカー)を検出するシステムの重大な問題としては、培地中の検体の濃度、およびセンサ表面に対する検体の移送が挙げられる。宿主細胞タンパク質または不純物のバイオプロセス液の分析などの生物学的応用の場合、このような検体の濃度は低くなる傾向があるため、濃度の問題が生じる。さらに、生物学的検体(たとえば、タンパク質および核酸などの細胞、細胞片、および巨大分子)は比較的大きい;したがって、こうした比較的大きい検体は、流体解中で非常に低速で拡散する。タンパク質および核酸などの細胞、細胞片、および分子のほかに、小分子検体の検出は、病気を診断し、患者の体内における薬物動態を監視し、潜在的な薬剤標的用の小分子ライブラリをスクリーニングし、バイオプロセス液を分析するための有用なマーカーである。
【0004】
低濃度の検体を迅速に検出できる改善された検定に対する必要性がある。さらに、小分子検体を含む検体の改善された測定に対する必要性もある。さらに、バイオプロセス液を分析する高感度な方法および装置、並びに精製プロセスを合理化するため、生産ラインにおいてリアルタイムで、またはさらに生産とインラインで使用可能な方法および装置に対する必要性がある。バイオプロセス液をアットラインまたはインラインで、精製プロセスの様々な段階で分析する能力は、生産問題のより迅速なトラブルシューティングを可能にし、その結果、生産の休止時間を最小限にすることが期待される。
【0005】
競合検出の重要な測定基準は、単位時間当たりでセンサ上に蓄積する検体の量である。良好な性能のためには、蓄積速度(および結果として生じる信号過渡)は、センサのドリフトレートと相対的に迅速である必要がある。検体検出システムのもう1つの重要な性能測定基準は、システムが、センサ表面上で被検体を優先的に収集できる程度である。多くの生体サンプルは、外部の背景要素(たとえば、その他のタンパク質、細胞、核酸、汚れ)を含むので、これらの背景要素が所望の測定に干渉するのを防止する必要がある。したがって、検体をセンサに選択的に抜き取り、干渉する背景要素が通過することを可能にする移送方法は、決定的な利点を有する。検体(たとえば、抗体、相補(complimentary)DNA鎖など)のセンサ表面に対する選択的結合に呼応して使用されるこうした方法は、検体の量と相対的に多量の外部背景要素を含むサンプルの高感度測定結果を提供することができる。
【0006】
センサ表面に対する検体の移送を改善するための様々な方法が提案されてきたが、たとえば、濾過、新規な流動形状、音場、電界(時間的に変化する電界、および静電界)、並びに磁界が挙げられる。
【0007】
音響励振は、細胞をフィールドノードに抜き取るために使用されてきたが、この技術のみを使用して、材料を表面に移送することは難しい。
【0008】
電界(電気泳動法、および誘電泳動法)は、移送を強化するために使用されてきたが、すべての検体およびサンプルタイプに広く使用することはできない。こうした方法は、一般に、比較的大きい検体(たとえば、細胞)により効果的である。さらに、微生物の電気的特性は、特定の種および菌種内で変化する可能性があり、意図するすべての動作条件におけるシステムの性能を予測することを難しくする。時には、移送性能を改善するために、サンプルのイオン強度を調整する必要がある。この要件は、検定における最適な結合または洗浄条件と矛盾する可能性がある。また、電界は、エネルギーおよび熱伝導性流体(たとえば、0.1Mリン酸緩衝液)を消散させる可能性があり、加熱は生物学的検体を損傷する可能性があるという点で望ましくない。
【0009】
免疫磁気分離(IMS)法は、検体をサンプルから隔離する先行技術で公知である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
一実施態様では、バイオプロセス液を分析する方法を提供する。実施態様によっては、この方法は、バイオプロセス液、および1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングされた複数の粒子を流体チャンバ内に導入することを含む。流体チャンバの少なくとも1つの表面は、表面に結合する1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤を有する音響デバイスを備える。前記の音響デバイスによる信号の出力は、それによって、バイオプロセス液中の1つまたは複数の生物学的マーカーを検出するために監視される。
【0011】
実施態様によっては、分析は、バイオプロセス液の純度を評価することを含む。たとえば、実施態様によっては、この方法は、バイオプロセス液中のあるレベルの1つまたは複数の生物学的マーカーを検出することを含む。この方法は、バイオプロセス液、および生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングされた複数の粒子を流体チャンバ内に導入することを含む。流体チャンバの少なくとも1つの表面は、表面に結合される1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤を有する音響デバイスを備える。音響デバイスによる信号の出力は、サンプル中の1つまたは複数の生物学的マーカーのレベルを検出して、それによってバイオプロセス液の純度を評価するために監視される。
【0012】
実施態様によっては、この方法は、バイオプロセス液中のあるレベルの1つまたは複数の生物学的マーカーを検出することを含む。バイオプロセス液は、1つまたは複数の生物学的マーカーに対して親和性を有する複数の捕捉剤を含む複数の磁気粒子と結合し、1つまたは複数の生物学的マーカーの少なくとも一部に結合した少なくとも一部の磁気粒子を生成する。結合した流体は流体チャンバ内に方向付けられ、流体チャンバの少なくとも1つの表面は、表面に結合される1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤を有する音響デバイスを備える。磁束は、たわみ板波デバイス(flexual plate wave device)の付近に生成され、複数の結合磁気粒子の少なくとも一部を、たわみ板波デバイスの少なくとも1つの表面に磁気的に引き付け、前記の音響デバイスによって出力された信号は、サンプル中の1つまたは複数の生物学的マーカーのレベルを検出し、それによってバイオプロセス液の純度を評価するために監視される。
【0013】
バイオプロセス液の純度を評価する装置も提供する。実施態様によっては、この装置は、流体が入るための少なくとも1つの開口部と、流体チャンバの少なくとも1つの内面の少なくとも一部分を画定するたわみ板波デバイスとを含む。実施態様によっては、少なくとも1つの内面は、1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングすることが可能である。他の実施態様では、さらに1つの生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングされる。この装置は、たわみ板波デバイスによって出力された少なくとも1つの信号を監視する監視デバイスを備える。実施態様によっては、この装置は、1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングできる複数の磁気粒子を含む。他の実施態様では、複数の磁気粒子は、1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングされる。この装置は、磁気粒子をたわみ板波デバイスに選択的に引き付けるための磁束の供給源も含むことができる。
【0014】
一実施態様では、生物学的マーカーは、磁気粒子(たとえば、磁気ビーズ)に結合して、検体−粒子複合体を形成する。検体−粒子複合体は、傾斜磁界を適用することによって、感知デバイスの表面に移送して局在化される。この磁界は、局所的な磁界ラインと整列する粒子の磁気材料中に偏光を含む。この粒子は、傾斜方向の正味力に遭遇し、その結果、粒子は、磁界強度が比較的高い領域の方向に移動する。磁界の分布は、検体−粒子複合体をサンプル流から抜き取り、これらを感知デバイスの表面全体に分配するために調整される。サンプルの外部背景要素(たとえば、細胞、タンパク質)は、一般に、磁気粒子と比較して非常に低い磁気感度を有し、したがって、磁界はサンプルに著しい影響を与えない。したがって、この背景材料の非常に小さい破片は、センサ表面と相互作用する。
【0015】
一実施態様では、感知デバイスは、2つの理由により磁気粒子で特に良く機能するたわみ板波(FPW)デバイスである。第1に、感知デバイスの表面に磁気粒子が存在すると、増幅されたFPW信号応答を生じる。検体−粒子複合体の比較的大きい結合サイズおよび密度は、検体のみの場合と比べて大きいFPW信号応答を生じる。第2に、FPWデバイス内のセンサの表面は、一般に数μmしかない薄い膜から成り、その結果、磁界供給源をサンプル流に近づけることができるため、センサ表面に比較的大きい磁界および磁界勾配を形成することを可能にする。その結果、非常にわずかな検体をサンプルから捕捉することになる。こうした比較的高い捕捉率および効率では、別の方法で可能な場合に比べて多量のサンプルを比較的短時間で処理することが可能である。
【0016】
別の態様では、共鳴デバイスシステム用のカートリッジは、流体が入るための少なくとも1つの開口部を有する第1流体チャンバと、流体チャンバの少なくとも1つの内面を画定するたわみ板波デバイスとを備える。この装置は、第1流体チャンバの少なくとも1つの内面に磁気粒子を選択的に引き付けるための第1磁束供給源をさらに備える。
【0017】
別の態様では、生物学的マーカー(本明細書では、検体とも呼ぶ)の検出方法は、検体を含む流体(本明細書では、バイオプロセス液とも呼ぶ)を、検体に対して親和性を有する捕捉剤と含む複数の磁気粒子とを合わせ、少なくとも一部検体に結合された少なくとも一部磁気粒子を生成することを含む。この方法は、結合流体を第1流体チャンバ内に導くことをさらに含み、この場合、たわみ板波デバイスの少なくとも1つの表面は、第1流体チャンバ内の流体と流体連通する。この方法は、たわみ板波デバイスに近接して第1磁束を生成し、結合磁気粒子の少なくとも一部をたわみ板波デバイスの少なくとも1つの表面に磁気的に引き付けることも含む。
【0018】
別の態様では、検体検出方法は、流体チャンバ内に位置するたわみ板波デバイスの表面の少なくとも一部分に第1捕捉剤をコーティングし、検体を含む流体を流体チャンバ内に方向付けて、検体の一部をたわみ板波デバイス上に位置する捕捉剤に導くことを含む。この方法は、第2捕捉剤を含む複数の磁気粒子を含む流体を流体チャンバ内に方向付けて、たわみ板波デバイスに近接して磁束を生成し、磁気粒子の少なくとも一部をたわみ板波デバイスの表面方向に引き付けることをさらに含む。
【0019】
本明細書で提供する方法および装置は、対象生成分子を処理および/または精製するどの段階でも使用することができる。一般に、生成分子の処理および/または精製は、原料調製、生成分子の捕捉、中間精製および研磨の段階を含む。バイオプロセス液のサンプルは、本明細書で提供する方法または装置を使用して、任意の1つの段階の前、段階時、段階後にテストすることができる。バイオプロセス液は、1つまたは複数の生物学的マーカーの存在をテスト可能である。バイオプロセス液は、生成分子自体の存在および/または量をテストされることも可能である。さらに、関連精製工程の液体を通る流れは、生成分子の存在および/または量をテスト可能である。この方法では、バイオプロセス液の純度、および対象生成分子の収量を監視することができる。
【0020】
たとえば、多くのバイオプロセス用途では、最初のサンプルまたは原料の流れは、多くの場合、下流精製または処理方法の効率に干渉し、効率を低下させる特性を有する。サンプルまたは原料の流れは、たとえば、核酸、エンドドキシン、細胞残屑、および/または微粒子を有する。濾過などの技術は、バイオプロセス流体中に対象生成分子を維持しながら、生物学的マーカーを除去するために使用することができる。生物学的マーカーおよび対象生成分子のサイズおよび濃度に応じて、精密濾過、限外濾過、もしくはダイアフィルトレーション(diafiltration)法、またはこれらの組合せを使用することができる。結果として得られるバイオプロセス液は、生物学的マーカーの存在および/または量、ならびに生成分子の存在および/または量を分析可能である。
【0021】
最初のサンプルを状態調節した後、生成分子は、比較的未処理の原材料から回収および/または安定化される。回収プロセスは、一般に、ある形式の結合プロセスを伴い、このプロセスでは、生成分子は固体担体に可逆的に結合され、原材料の他の部分は洗い流される。生成分子の可逆結合は、たとえば、生成分子を特異的に結合する1つまたは複数の抗体、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)、または疎水性相互作用を使用して達成することができる。一般に、生成分子とは非常に異なる等電点、疎水性、サイズ、および/または抗原性特性を有する生物学的マーカーは除去される。さらに、生成分子を損傷する可能性がある生物学的マーカー、たとえばプロテアーゼも、最大限の量の生成分子を回収する際に除去される。結果として得られるバイオプロセス液は、生物学的マーカーの存在および/またはレベル、並びに生成分子の存在および/またはレベルを分析可能である。さらに、捕捉段階からの液体を通る流れは、捕捉されなかった生成分子の存在および/またはレベルをテスト可能であり、その結果、操作者は、プロセスとアットラインまたはインラインで捕捉プロセスの効率を最適化することができる。
【0022】
捕捉段階後、中間精製を行うことができる。中間精製後、残存する微量の不純物を除去する工程を実施することができるか、または生成分子との類似性により、除去することが難しかった生物学的マーカーをバイオプロセス液から除去することができる。IEC、疎水性相互作用クロマトグラフィ、および/またはゲル濾過などの技術は、多くの場合、中間の精製、およびより選択的な洗浄または溶出緩衝液による研磨に使用され、サイズ、電荷、および/または対象生成分子に対する疎水性が類似している生物学的マーカーを除去することができる。捕捉段階と同様、液体を通る流れ、および結果として得られるバイオプロセス液は、生成分子の存在および/または量、並びに生物学的マーカーの存在および/または量を分析可能である。
【0023】
本明細書に記載する方法および装置の結果として、バイオプロセス液に関して、生成分子の存在および/または量、並びに汚染物質などの生物学的マーカーの存在および/または量を同じプラットフォーム上で分析することが可能になる。たとえば、装置の一方の表面には、生成分子を結合する捕捉剤がコーティングされ、別の表面には、1つまたは複数の生物学的マーカーを結合する捕捉剤をコーティングすることが可能である。サンプルは、第1および第2表面に導入可能であり、生成分子の存在および/または量は、第1表面の周波数シフトを加入することによって測定可能である。サンプルは、上記のように捕捉剤をコーティングされた粒子(本明細書では、ビーズとも呼ぶ)に関連して、第2表面に導入可能である。生物学的マーカーの存在および/または量は、第2表面を使用して測定することができる。
【0024】
生成分子が、1mg/ml以上の濃度で存在する場合、バイオプロセス液のサンプルは、サンプルを官能化表面に導入する前に、必要に応じて希釈することができる。実施態様によっては、バイオプロセス液は、約10分の1に希釈される。他の実施態様では、バイオプロセス液は、約100分の1に希釈される。
【0025】
実施態様によっては、官能化表面は、検体の公知の濃度を使用して校正することができる。実施態様によっては、官能化表面は再利用可能である。使用後、検体、および/または粒子に結合された検体は、適切な洗浄溶液で表面を洗浄することによって除去することができる。実施態様によっては、洗浄溶液はリン酸でよい。洗浄溶液は、たとえば0.1Mリン酸でよい。洗浄溶液は、適切な期間にわたって表面上を流動して、検体、および/または検体−粒子複合体を除去することができる。実施態様によっては、洗浄溶液は、1分間にわたって表面上を流動する。この方法では、官能化表面は、複数回再利用することができる。実施態様によっては、表面は、10回以上再利用することができる。校正された官能化表面は、使用するごとにその後、または検体、および/または検体−粒子複合体を取り除いた後に、再校正する必要がない。
【0026】
本発明の結果として、従来の検定と比べて低レベルの検体を検出することができる。本明細書で提供される方法および装置は、比較的短時間でバイオプロセス液を分析することを可能にし、生産ラインで実施することができる。
【0027】
意外なことに、サンプルごとに比較的少ない粒子を使用すると、検体のより高感度な検出が可能である。これは、検体のサイズが、粒子サイズ台であり、検体が小分子である場合に見られた。さらに、本発明の原理に従って製造されるデバイス、および実施される方法は、センサ表面は薄いため(たとえば、一実施態様では、数ミクロン台)、低濃度の粒子を捕捉するのに特に有用である。一実施態様では、薄い表面は、磁界勾配および磁気粒子と関連して使用される。センサ表面は薄いため、センサ表面の側に、大きい磁界勾配が誘発される可能性がある。大きい磁界勾配は、磁界をセンサの表面付近に集束させることによって、センサ表面に対する磁気粒子の引力を強化し、サンプル中に含まれるその他の材料が流れることを可能にする。この方法では、比較的少数の粒子を使用することができ、それによって、システムの検出限界を改善する。なぜなら、磁界勾配は、粒子を感知表面付近に集中させるのに役立ち、粒子は、検定形式に応じて、結合検体または捕捉剤と相互作用することが可能だからである。磁界勾配は、非特異的に結合した粒子を洗い流すことを可能にするために除去される。したがって、本発明は、検体検出の精度および感度を改善する。
【0028】
本発明の上記およびその他の目的、その様々な特徴、並びに本発明自体は、以下の説明を添付の図面と一緒に読むとさらに完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
好ましい実施態様の説明
本発明は、音響デバイスを使用して、バイオプロセス液などのサンプル中において、1つまたは複数の生物学的マーカー(本明細書では、検体とも呼ぶ)を検出する方法に関する。一般論としては、検体は、検体の存在下で音響デバイスの共鳴周波数を変更するために、捕捉剤(本明細書では、捕捉剤とも呼ぶ)をコーティングされた粒子の能力に基づいて検出される。捕捉剤は、検体に結合することが可能である。捕捉剤をコーティングされた複数の粒子は、サンプルの存在下、任意に競合分子の存在下で音響デバイスの感知表面に暴露される。検出される検体のタイプに応じて、感知表面には、検体を結合可能な捕捉剤(本明細書では、第2捕捉剤とも呼ぶ)がコーティングされるか(たとえば、サンドイッチ形式)、競合分子がコーティングされる(たとえば、小分子形式)。感知表面は、本明細書に記載する流体チャンバまたはチャネルの一部である。さらに、コーティング粒子および/またはサンプルは、静的モードで感知表面に暴露し、たとえば、コーティング粒子および/またはサンプルをチャンバ内に導入し、一定の期間にわたってその期間で培養することができる。もう1つの実施態様では、コーティングされた粒子は、たとえば、コーティング粒子を流体チャンバまたはチャネルに貫流させることによって、非静的モードで感知表面に暴露することができる。
【0030】
一般に、本発明のサンドイッチ検定形式では、音響デバイスの感知表面に結合可能な粒子の量は、サンプル中に存在する検体の量に比例する。サンプル中の検体が比較的高レベルである場合、粒子上捕捉剤のより多くは、サンプルからの検体によって占領される。検体をコーティングされた粒子は、次に、捕捉剤をコーティングされた感知表面に結合することが可能である。好ましい実施態様では、粒子は磁気であり、磁束は、音響デバイスに近接して適用され、複数の磁気粒子の少なくとも1つを感知表面方向に引き付ける。
【0031】
本明細書に記載するとおり、意外なことに、比較的低濃度の粒子を使用すると、検体の比較的低濃度の検出を可能にする。この発見は、粒子による捕捉が必要な検定における従来の通念では、捕捉効率を最大限にするために、多量の粒子を使用する必要があるという点で予想外だった。しかし、図17に示すように、検出限界は、粒子濃度によって著しく影響され、比較的低濃度の粒子を使用すると、比較的低濃度で検体を検出することが可能であることが分かった。手短に言えば、生きている大腸菌は、3×10、3×10、または6×10dynalビーズを使って培養され、本発明の方法によって分析された。
【0032】
粒子濃度が比較的低い場合も、捕捉効率を低下させる。しかし、結局、検出限界の大幅な改善は、捕捉効率に対する影響が比較的小さいことより重要である。理論に拘泥する意図はないが、検体のサイズが粒子台である場合、粒子ごとに1つの検体を結合することは、捕捉剤をコーティングされた表面を結合するのに十分であると思われ、それは、一部には、結合した検体は、一般に、捕捉剤が結合可能な複数の部位を含むためである。多数または高濃度の粒子を使用すると、検体結合していない多くの粒子が生じ、非特異的に表面を結合する粒子の量を増加させることによって、背景信号を増加させる。さらに、粒子の濃度が高い場合、非特異的に結合した粒子は、検体を結合した粒子が表面に結合するのを妨げるか、または防止する。粒子は、約1×10〜約1×10の濃度で使用することができる。もう1つの実施態様では、粒子は、約5×10〜約5×10の濃度である。
【0033】
図7は、音響デバイスの感知表面12に捕捉剤がコーティングされた2つの実施態様を示す。パネルAでは、捕捉剤14は、感知表面12に直接結合される。パネルBでは、捕捉剤14は、結合対32の第1要素で標識される。この表面には、結合対32の第1要素、および結合22の第2要素がコーティングされる。
【0034】
図8に示すように、小分子形式の一実施態様では、競合分子24は、音響デバイスの感知表面12に結合された被検体10を含む(パネルA)。捕捉剤16をコーティングされた粒子14は、検体10を含むサンプルに暴露される(パネルB)。サンプル20からの検体を結合していない粒子結合捕捉剤は、音響デバイスの表面に結合された検体を自由に結合する(パネルC)。パネルCおよびDに示すように、サンプル中の検体が比較的高レベルである場合、粒子上に存在する捕捉剤のより多くがサンプルからの検体によって占領されるため、音響デバイスの感知表面を結合する粒子は少なくなる。音響デバイスによる信号の出力は、表面に結合した粒子の量および/または数を判断し、それによって、1つまたは複数の検体がサンプル中に存在するかどうかを判断するために監視される。さらに、サンプル中に存在する検体の存在または量は、たとえば、信号とコントロールとを比較することによって決定することができる。代りの実施態様では、本明細書に記載するとおり、粒子は、磁気粒子でよい。粒子を流体チャンバ内に導入した後、音響デバイスに近接して磁束が形成され、複数の磁気粒子の少なくとも1つを感知表面方向に引き付ける(たとえば、図1A、1Bおよび2の説明と同様に)。
【0035】
小分子形式のもう1つの実施態様では、図9に示すように、音響デバイスの感知表面12は、競合分子24に結合可能な捕捉剤22(本明細書では、第2捕捉剤とも呼ぶ)をコーティングされる。競合分子は、たとえば、タグ26に結合した被検体10で良く、第2捕捉剤は、このタグに結合可能である。図9に示すように、サンプル中の検体が比較的高レベルの場合、粒子16中に存在する捕捉剤のより多くは、サンプルからの検体で占領されるため、音響デバイスの感知表面に結合する粒子14は比較的少なくなる。第2捕捉剤は、競合分子のタグ部分に結合可能であるため、コーティング粒子は、粒子が競合分子を結合した場合にのみ、音響デバイスの感知表面に結合する。
【0036】
小分子形式のもう1つの実施態様では、図10に示すように、競合分子24は、たとえば、担体28に結合される2つ以上の被検体分子または部分10、および第2捕捉剤40は、検体を結合することが可能である。図10に示すように、第2捕捉剤は、音響デバイスの感知表面に間接的に結合することができる。表面結合捕捉剤および粒子結合捕捉剤は、同じ捕捉剤でよい。捕捉剤16をコーティングされた粒子14は、検体10および競合分子24を含むサンプルに暴露される(パネルB)。サンプルからの検体が結合されていない粒子結合捕捉剤は、競合分子を自由に結合し、その結果、感知表面に結合される捕捉剤によって結合される(パネルC)。パネルDに示すように、サンプル中に存在する検体が比較的高レベルである場合、粒子上に存在する捕捉剤のより多くは、サンプルからの検体によって占領されるため、音響デバイスの感知表面を結合する粒子は少なくなる。検体が、特定のエピトープまたは結合部位の1つのコピーのみを有する小分子である場合、コーティングされた粒子は、その粒子が競合分子に結合する場合のみ、音響デバイスの感知表面に結合する。
【0037】
本発明の方法は、サンプル中の検体の濃度またはレベルを判断するために使用される。本発明の方法により検出または測定される濃度は、絶対濃度または相対濃度でよい。たとえば、この濃度は、体液の同じサンプル中に存在する基準検体の濃度に対する比率である。この濃度は、このデータと、異なる時間に得られた類似のデータとを比較することによって取得され、実際の濃度の著しい変化があったかどうかを判断することができる。さらに、本発明は、検出された検体の量が、予め決められたレベルまたは濃度を超えた場合に正の測定値を提供し、および/または検出された検体の量が、予め決められたレベルまたは濃度未満の場合に負の測定値を提供する2進形式で使用することができる。その他の実施態様では、この方法は、検体の一定の閾値レベルが検出された場合に、正の測定値を提供することができる。
【0038】
本明細書に記載する各々の実施態様では、本発明の範囲を逸脱せずに、以下で説明する方法に、多くの変更を加えることが可能である。
【0039】
サンプル
本発明に使用するのに適するサンプルとしては、検体を含むと思われる任意の材料が挙げられる。このサンプルは、供給源から取得して直接使用するか、またはサンプルを修正するための1つまたは複数の工程後に使用することができる。一実施態様では、サンプルは生体サンプルである。このサンプルは、任意の生物学的供給源(たとえば、血液、唾液、喀痰、血漿、血清、接眼レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、乳汁、腹水、滑液、腹膜液、羊水など)、および糞便から導くことができる。サンプルは、鼻または直腸用の綿棒などの生物学的綿棒から取得することができる。さらに、サンプルは生検材料でよい。サンプルは、ヒト、霊長類、動物、鳥類、またはその他の適切な供給源から取得することができる。実施態様によっては、サンプルはバイオプロセス液である。バイオプロセス液は、たとえば、バイオプロセス液から浄化される生成分子を含む可能性がある。バイオプロセスは、生成分子を含むか、または生成分子を含むことが予想される任意のサンプルでよい。たとえば、バイオプロセス液は、状態調節された組織培養基、乳汁、血液、血漿、血漿画分、基本組織、尿、腹水などでよい。
【0040】
バイオプロセス液は、組み換えで製造された生成分子を含むことができる。実施態様によっては、バイオプロセス液は、組み換え宿主細胞によって製造されたならし培地である。本明細書に記載するとおり、組み換え宿主細胞は、たとえば、生成分子の遺伝暗号を指定する外来遺伝子または核酸を発現することによって、生成分子を生成するように変更された任意の適切な細胞でよい。実施態様によっては、1つまたは複数の外来核酸配列を追加された組み換え宿主細胞は、細菌、真菌、昆虫細胞、および哺乳類細胞からなる群より選択される。こうした核酸配列は、たとえば、対象タンパク質を発現することが可能な構造を含む。外来核酸配列は、たとえば、先行技術で公知の適切なトランスフェクション法を使用するトランスフェクションによって宿主細胞中に導入するか、または適切なウィルスベクターを使用する感染によって導入し、外来核酸によって符号化されたタンパク質を宿主細胞中で発現させることができる。適切な細菌としては、たとえば大腸菌が挙げられる。適切な真菌としては、たとえば、出芽酵母またはメタノール資化性酵母が挙げられる。適切な昆虫細胞としては、たとえばSF9細胞がある。組み換え宿主細胞としては、哺乳類細胞がある。適切な組み換え型哺乳類細胞としては、たとえば、ハイブリドーマ細胞またはトランスフェクト哺乳類細胞がある。適切なトランスフェクト哺乳類細胞としては、たとえば、外来核酸が上記のように追加されるSP2/0細胞、NS/0細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはヒト胎児腎臓(HEK)293細胞が挙げられる。
【0041】
他の実施態様では、バイオプロセス液は、乳汁、状態調節した細胞培養培地、血液、血清、血漿、および血漿画分からなる群より選択される1つまたは複数の液体でよい。他の実施態様では、バイオプロセス液は、細胞ホモジネートおよび組織ホモジネートからなる群より選択される1つまたは複数の液体を含む。
【0042】
実施態様によっては、バイオプロセス液は、内因性生成分子、たとえば凝固因子を含み、免疫グロブリンは、血液またはその断片から隔離することが可能である。
【0043】
上記のとおり、本明細書で提供される方法および装置は、出発物質からの生成物を浄化するために使用されるプロセスの全段階でバイオプロセス液を分析するために使用することができる。本明細書で使用する場合、バイオプロセス液は、最初に取得されたサンプル(馴化した細胞培養培地、血液、血漿、血漿画分、乳汁、組織ホモジネートなど)を含むか、またはサンプルからの生成物を隔離または浄化するために使用される手順時に、サンプルに行われる1つまたは複数の処理工程で良い。一実施態様では、バイオプロセス液には、1つまたは複数の精製工程を行った。こうした精製工程としては、たとえば、遠心分離、濾過、ダイアフィルトレーション、サイズ分画、親和性クロマトグラフィ、IEC、HIC、ゲル濾過、希釈などが挙げられる。
【0044】
実施態様によっては、浄化された生成分子は、約1〜10ng/ml以下の宿主細胞タンパク質、たとえばCHO−HCP、約1ng/ml以下のエンドドキシン、約0.1ng/ml以下のDNA、約1%以下の生成分子の凝集体、およびサブミリグラムの量のタンパク質Aを含む。
【0045】
以下に記載するとおり、サンプルは、たとえば、血液から血漿を調製する、粘性流体を希釈するなど、使用前に前処理を施すことができる。サンプルは、濾過、希釈、酵素で消化、または濃縮することも可能である。一実施態様では、血液サンプルは、個人から取得され、遠心分離されて、結晶が分析される。このサンプルは、検体または検出プロセスを干渉する可能性があるサンプル中の一定の活動を不活性化または変更するように処理することもできる。たとえば、複合体から成る抑制因子をサンプルに添加して、検体に結合する他の分子から検体を分離し、および/または検体に結合する捕捉剤の能力を妨げることができる。こうした抑制因子は、たとえばステロイド抑制因子でよい。エストラジオールの検出の場合、サンプルは、ダナゾールを添加することによって、エストラジオールを性ホルモン結合タンパク質から分離するように処理することができる。
【0046】
生理液および固体以外のその他のサンプルは、環境または食品製造検定の実施に関して、たとえば水、食品などを使用することができる。たとえば、サンプルは、肉類または家禽洗浄液(家禽を洗浄するために使用される溶液)でよい。さらに、検体を含むと思われる固形物は、テストサンプルとして使用することができる。固体テストサンプルは、液体培地を形成するか、または検体を解放するように変更することができる(たとえば、均質化、抽出、消化、または可溶性にする)。
【0047】
サンプルの量は、最小10μlまたは最大150mlでよい。もう1つの実施態様では、サンプルの量は、約1〜約5mlである。
【0048】
捕捉剤
本発明に使用される適切な捕捉剤は、1つまたは複数の検体に結合可能な、対象となる任意の分子(たとえば、生物学的マーカーまたは生成分子)を含む。「捕捉剤」という用語は、対象となる検体または生物学的マーカーに結合可能な分子または多分子複合体を含む。捕捉剤は、好ましくは、実質的に特異的にそれぞれの結合相手に結合する。解離定数(KD)が約10−6未満の捕捉剤が好ましい。捕捉剤は、たとえば、ポリペプチド、核酸、炭水化物、核タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、およびリポタンパク質でもよい。
【0049】
実施態様によっては、バイオプロセス液中の生成分子の存在または量を検出することが望ましい。捕捉剤は、生成分子に結合可能な分子を含む。実施態様によっては、捕捉剤はタンパク質A、タンパク質G、または免疫グロブリンに結合可能なその他の分子である。
【0050】
抗体、または抗体断片は、捕捉剤としてきわめて適している。抗原も、抗体を結合することができるという点で、捕捉剤として適している。リガンドを結合する受容体は、可能な捕捉剤のもう1つの実施例である。タンパク質−捕捉剤は、非共有相互作用によりそれぞれの結合相手とのみ相互作用する作用物質に限られないと考えられる。また、捕捉剤は、捕捉剤が結合するタンパク質に共有付着する。たとえば、捕捉剤は、結合後、その結合相手に光架橋する。
【0051】
本明細書で使用する場合、「複数の捕捉剤」は、様々な捕捉剤の混合物を含み、したがって、1つまたは複数の生物学的マーカーを含む2つ以上のタンパク質、または2つ以上の抗原が複数の捕捉剤によって結合可能である。
【0052】
「抗体」という用語は、全体的または部分的に、自然に生成されるか、または合成的に生成されるかに関わらず、任意の免疫グロブリンを含む。抗体が被検体に結合する能力を維持する抗体の誘導体も、この用語に含まれる。この用語は、免疫グロブリン結合領域に対して均質または概して均質な結合領域を有する任意のタンパク質も含む。これらのタンパク質は、全体的または部分的に、自然の供給源から導かれ、合成的に製造される。一実施態様では、大多数の捕捉剤は、多クローン性抗体を含む。もう1つの実施態様では、大多数の捕捉剤は、2つ以上の単クローン性抗体の組合せを含む。抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを含む任意の免疫グロブリンの構成要素でよい。検体は、担体タンパク質を結合すると周知されているが、抗体は、自由形式の検体、または検体の担体結合形式に対して特異的である可能性がある。最適な検体を結合することが可能な抗体は、商業的に取得されるか、または抗体を生成するための公知の方法を使用して生成される。
【0053】
抗体という用語は、抗体断片も含む。「抗体断片」という用語は、全長に満たない抗体の何らかの誘導体を意味する。好ましくは、抗体断片は、少なくとも被検体を結合する能力を維持する。抗体断片の実施例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、Fv、dsFvダイアボディ、およびFd断片が挙げられるが、これらだけに限らない。抗体断片は、任意の手段で生成される。たとえば、抗体断片は、完全な抗体の断片化によって酵素的または化学的に生成されるか、または部分的な抗体配列を符号化する遺伝子から組み換えによって生成される。あるいは、抗体断片は、全体的または部分的に合成的に生成される。抗体断片は、任意に単鎖単抗体断片でよい。あるいは、断片は、たとえば、ジスフィルド結合によって互いに結合する複数鎖を含む。この断片も、任意に多分子複合体でよい。機能的な抗体断片は、一般に、少なくとも約50個のアミノ酸を含み、より一般的には、少なくとも約200個のアミノ酸を含む。
【0054】
単鎖Fvs(scFvs)は、ポリペプチドリンカーにより互いに対して共有結合する可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)のみから成る組み換え型抗体断片である。VまたはVはどちらも、NHは、末端ドメインである。ポリペプチドリンカーは可変長および組成でよいが、2つの可変ドメインは、重大な立体干渉がない状態で架橋していることが条件である。一般に、リンカーは、主に、グリシンおよびセリン残基のストレッチから成り、グルタミン酸またはリジン残基が散在して可溶性が得られる。「ダイアボディ」は、二量体scFvsである。ダイアボディの構成要素は、一般に、殆どのscFvsより短いペプチドリンカーを有し、二量体として結合することを優先する。「Fv」断片は、非共有相互作用によって互いに保持される1つのVおよび1つのVドメインから成る抗体断片である。「dsFv」という用語は、本明細書では、V−Vの対を安定させるために遺伝子工学で作られた分子間ジスルフィド結合を有するFvを意味する。「F(ab’)」断片は、pH4.0〜4.5における酵素ペプシンによる消化によって、免疫グロブリン(一般に、IgG)から得られた抗体断片と本質的に等価な抗体断片である。この断片は、組み換えにより生成される。「Fab」断片は、F(ab’)断片中の2つの重鎖部分を結合する1つまたは複数のジスルフィド架橋の還元により得られた抗体断片と本質的に等価な抗体断片である。Fab’断片は、組み換えにより生成される。「Fab」断片は、酵素パパインによる免疫グロブリン(一般に、IgG)の消化によって得られる抗体断片と本質的に等価な抗体断片である。Fab断片は、組み換えにより生成される。Fab断片の重鎖セグメントは、Fd部分である。
【0055】
適切なポリペプチド捕捉剤は、事実上、被検体に結合可能な任意のペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質、または小有機分子などの小分子も含む。一実施態様では、捕捉剤は、被検体に結合可能な抗体である。適切なポリペプチド捕捉剤は、たとえば、組み換え方法を使用するか、合成生成方法を使用するか、または自然の供給源から精製することによって商業的に得られる。ポリペプチドとしては、たとえば、細胞表面タンパク質、細胞表面および可溶性受容体(たとえば、リンパ球細胞表面受容体、ステロイド受容体)、核タンパク質、シグナル変換分子、転写因子、アロステリック酵素(たとえば、プロテアーゼおよびジミチル酸シンテターゼ、セリン/トレオニンキナーゼ、トレオニンキナーゼ、ホスファターゼ、細菌酵素、およびウィルス酵素)、DNAおよび/またはRNA合成または分解などに関連するタンパク質などが挙げられる。以下に詳細に記載するとおり、複数の捕捉剤を使用する場合、捕捉剤は、たとえば互いにイソ型でよい。
【0056】
特定の実施態様では、検体がウィルスである場合、捕捉剤は、ウィルスの細胞表面受容体でよい。たとえば、ウィルスがHIVである場合、捕捉剤は、樹状細胞特異的ICAM3−グラビング非−インテグリン(DC−SIGN)またはCD4でよい。もう1つの実施態様では、捕捉剤は、ウィルス抗原を結合可能な抗体でよい。たとえば、抗原は、gp41またはgp120でよい。捕捉剤は、宿主由来抗原を結合可能な抗体でよい。たとえば、抗原は、CD44、CD54、HLA−DRまたはHLA−DRDPDQなどのヒト白血球抗原(HLA)でよい。
【0057】
捕捉剤は、RNAもしくはDNAなどの核酸、またはペプチド核酸でもよい。一実施態様では、核酸またはペプチド核酸は、核酸またはペプチド核酸検体にハイブリッド可能である。さらに、捕捉剤は、非ヌクレオチド検体に結合可能なアプタマー、核酸でよい(たとえば、タンパク質、小有機分子、または無機分子)。本明細書で使用する場合、アプタマーは、自然発生または修飾ヌクレオチドから成るRNAまたはDNA鎖でよい。
【0058】
適切な捕捉剤は、結合対の構成要素も含む。適切な結合対としては、たとえば、ビオチンおよびアビジン、またはビオチンおよびアビジン誘導体(たとえば、ストレプトアビジンおよびニュートラビジンが挙げられる。
【0059】
捕捉剤は、上記のように表面もしくはビーズに結合するか、またはポリペプチド、核酸、タンパク質Aなどを表面に付着させる標準的な技術を使用することによって結合することができる。
【0060】
検体
本明細書で使用する場合、「検体」という用語は、たとえば、捕捉剤によって認識される分子構造を意味する。たとえば、検体という用語は、抗体によって認識されるエピトープを指示する可能性があるか、または受容体によって結合されるリガンドの部分を含む可能性がある。検体という用語は、捕捉剤によって認識される分子構造を含む比較的大きい分子である。検体は、細胞の一部、たとえばタンパク質の細胞表面でよい。検体は、ユーザが選択する(たとえば、事前に選択する)被検体でよい。検体は、たとえば、小分子ライブラリスクリーニングにおいて、対象となる捕捉剤を結合する能力に基づいて選択することができる。
【0061】
実施態様によっては、検体は、バイオプロセス液中に存在する生物学的マーカーである。本明細書に記載するとおり、バイオプロセス液の分析は、対象となる生物学的マーカーに応じて、商業的に入手可能で、特に取り上げられた様々な捕捉剤に関連して本明細書に記載する装置を使用して実施することができる。当業者は、実施例IXに記載されている情報に基づいて、対象となる生物学的マーカーに適する捕捉剤を選択することができ、その生物学的マーカーの存在および/または量についてバイオプロセス液を分析することができる。たとえば、エンドドキシンを結合する捕捉剤、およびタンパク質Aを結合する捕捉剤をは商業的に入手可能である。
【0062】
生物学的マーカーのパネルの1つまたは複数の生物学的マーカーの存在を評価するか、または検出することが可能である。検体のパネルは、本明細書に記載する競合形式を使用して検出される1つまたは複数の検体を含むことが可能である。検体のパネルは、本明細書に記載するサンドイッチ検定形式を使用して検出される1つまたは複数の検体を含むことが可能である。一実施態様では、各々の検体は、以下に記載する別個のカートリッジを使用して検出される。1つまたは複数の検体のパネルをテストするには、1つのサンプルを2つ以上の部分標本に分割する。各々の部分標本は、たとえば、テストされる各検体用の異なるカートリッジを使用して、異なる検体についてテストすることができる。この方法では、異なる検体のパネルは、異なる検体をテストして検出するために、複数のサンプルを取得し、および/または異なるタイプの装置を使用する必要がない状態でテストされる。
【0063】
本明細書で使用する場合、生物学的マーカーは、出発物質中に存在するか、もしくは存在すると考えられるか、または処理の際にバイオプロセス液中に導入される、生成分子以外の任意の構成要素でよい。1つまたは複数の生物学的マーカーの性質は、一部にはバイオプロセス液の供給源、つまり馴化した細胞培養培地、血液、乳汁などに基づく。実施態様によっては、生物学的マーカーは、宿主細胞タンパク質(HCP)を含む。HCPは、たとえば、生成されるか、および/または宿主細胞によって培養基中にもたらされるタンパク質または抗原の混合物でよい。他の実施態様では、生物学的マーカーは、たとえば、核酸、タンパク質、プロテイナーゼ、またはウィルスでよい。他の実施態様では、1つまたは複数の生物学的マーカーは、宿主動物からの1つまたは複数の乳汁抗原、血清抗原、または血漿抗原を含むことができる。さらに、生物学的マーカーは、対象となる生成物の凝集体、たとえば免疫グロブリンの凝集体、生成分子の変異体、脱糖バージョンの生成分子などでよい。
【0064】
実施態様によっては、さらに1つの生物学的マーカーは、1つまたは複数の不純物を含む。こうした不純物は、精製プロセスの際に、多くの場合は偶発的に導入される可能性がある。たとえば、タンパク質Aまたはタンパク質Gコラムは、多くの場合、バイオプロセス液からの抗体を浄化するために使用される。しかし、少量のタンパク質Aまたはタンパク質Gは、このコラムから落ち、それによってバイオプロセス液を汚染する場合がある。実施態様によっては、上記のとおり、不純物は微生物または微生物抗原であり、たとえば、タンパク質A、タンパク質G、エンドドキシン、リポ多糖類、およびその他の微生物毒素を含む。実施態様によっては、1つまたは複数の生物学的マーカーは、生成分子の隔離または精製を促進するためにバイオプロセス液に添加される1つまたは複数の試薬を含むが、これらは、最終生成物では除去される。
【0065】
本明細書で使用する場合、1つまたは複数の生物学的マーカーは、上記の生物学的マーカーの任意の組合せでよい。生成分子は、たとえば抗原性、分子量、等電点、疎水性、安定性などを含む多くの基準によって生物学的マーカーと区別することができる。
【0066】
一実施態様では、被検体は小分子である。小分子としては、約100g/mol以下の分子量を有する有機または無機分子が挙げられる。一般に、小分子検体は、1つまたはいくつかの結合位置のみを含む。小分子は、いくつかまたは1つのみの結合位置を有するため、本発明は、競合結合を使用して、小分子検体を検出および/または定量化する。
【0067】
小分子としては、たとえば、ステロイド、脂質、炭水化物、ペプチド、および複素環式化合物(たとえば、FADおよびNADHなどの共同因子を含む塩基)が挙げられる。検体(たとえば、小分子)は、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、1級アミン、2級アミン、3級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、チオエステル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カーボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、アリールスルホン酸、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホン酸、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、および/または酸塩化物、好ましくはアルデヒド、ケトン、1級アミン、2級アミン、アルコール、チオエステル、ジスルフィド、カルボン酸、アセタール、ジオール、アミノアルコールおよび/またはエポキシド、最も好ましくはアルデヒド、ケトン、1級アミン、2級アミンおよび/またはジスルフィド、並びにこれらの組合せを含む小有機分子のライブラリの一部でよい。
【0068】
被検体は、ポリペプチド、核酸、炭水化物、核タンパク質、グリコペプチド、または糖脂質でもよい。有用な検体としては、たとえば、酵素、ステロイド、ホルモン、転写因子、成長因子、免疫グロブリン、ステロイド受容体、核タンパク質、シグナル変換構成要素、アロステリック酵素調節因子などが挙げられる。被検体は、たとえば、商業的に、組み換えにより、合成的に、または自然の供給源から精製することによって取得できる。好ましい実施態様では、被検体は、特定のヒトの病気または症状に関連がある。
【0069】
適切な成長因子としては、サイトカイン、たとえばエリスロポエチン/EPO、顆粒球コロニー刺激受容体、顆粒球マクロファージコロニー刺激受容体、トロンボポエチン(TPO)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12、成長ホルモン、プロラクチン、ヒト胎盤ラクトーゲン(LPL)、CNTF、およびオクトスタチンが挙げられる。適切なステロイドとしては、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、およびこれらの誘導体が挙げられるが、これらだけに限らない。その他の適切な検体としては、たとえば、インスリン、インスリン様成長因子1(IGF−1)、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、胎盤成長因子(PLGF)、TGF−αおよびTGF−β)、その他のホルモンおよび受容体、たとえば骨格形態発生因子、卵胞刺激ホルモン(FSH)、および黄体化ホルモン(LH)、組織壊死因子(TNF)、アポトーシス因子−1および−2(AP−1およびAP−2)、並びにmdm2が挙げられる。
【0070】
一実施態様では、検体は、心臓マーカーである。心臓マーカーは、先行技術で十分に公知であり、たとえばc−トロポニンIおよびT、ミオグロビン、クレアチンキナーゼMB(CK−MB)、および虚血変性アルブミンが挙げられる。一実施態様では、本発明は、検体のパネルを検出して、患者の病状を評価するために使用される。一実施態様では、心臓マーカーのパネルがテストされる。こうしたパネルとしては、たとえばc−トロポニン−I、CK−MB、およびミオグロビン検体が挙げられる。
【0071】
もう1つの実施態様では、検体は、ウィルス(vial)感染のマーカーである。ウィルス感染のマーカーとしては、たとえば、炎症マーカー、循環ウィルスタンパク質、CD4+細胞、肝臓酵素、および抗ウィルス抗体が挙げられる。
【0072】
被検体は、たとえば薬剤管理目的、または患者の薬剤服用遵守のため、患者サンプル中の薬剤のレベルを測定するのに有用な治療薬剤でもよい。適切な治療薬剤としては、プロテアーゼ阻害剤および免疫抑制剤(immunosupressant)が挙げられるが、これらだけに限らない。適切なプロテアーゼ抑制剤としては、ageneraser(アゲネラーゼ)、reyataz、lexiva、telzir、crixivan(クリキシバン)、kaletra(カレトラ)、viracep(ヴィラセプト)、norvi、invirase(インビラーゼ)、aortovase、aptivus(アプティバス)、など)が挙げられる。適切な免疫抑制剤としては、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチルなどが挙げられる。
【0073】
被検体は、病原体または微生物、たとえば細菌、もしくは細菌胞子、ウィルス、寄生生物、プリオン、またはその他の病原体、もしくはその細胞壁、もしくは表面成分、たとえばグラム陽性ペプチドグリカン、リポタイコ酸およびテイコ酸、並びにグラム陰性エンドドキシン(たとえば、)リポ多糖類)でよい。細菌検体としては、たとえば赤痢菌sp.、たとえば志賀赤痢菌、カンピロバクター菌sp.、たとえばカンピロバクタージェジュニ、エンテロコッカス属sp.、たとえばエンテロコッカスフェカリス、Bacillus anthracis(炭素菌)、Yersinia pestis(ペスト菌)、連鎖球菌種、Bordetella pertussis(百日咳菌)、Streptococcal 種(連鎖球菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌)、Clostridium difficile(クロストリジウム属ディフィシル)、Clostridium tetani(破傷風菌)、Clostridium botulinum(ボツリヌス菌)、Escherichia coli(大腸菌)、Salmonella thyphimurim(サルモネラティフィリウム)、Salmonella enterica(サルモネラエンテリカ)、クラミジア種、 Treponema pallidum(梅毒トレポネーマ)、Neisseria gonorrhoeae(淋菌)、 Borrelia burgdorferi(ボレリアブルグドルフェリ)、Vibrio cholerae(コレラ菌)、ジフテリア菌、およびヘリコバクターピロリ菌が挙げられる。寄生生物としては、たとえば、ジアルジア属、マラリア、およびクリプトスポリジア(crytosporidia)が挙げられる。ウィルス検体としては、たとえば、ライノウィルス、黄熱、コクサッキーB群ウィルス(CB1、CB2、CB3、CB4、CB5、およびCB6)、犬パルボウィルス(CPV)、1型単純ヘルペスウィルス(HSV1)、ワクシニアウィルス、T4様ウィルス、アデノウィルス、B型インフルエンザウィルス、A型インフルエンザ、鳥インフルエンザ、ライノウィルス、コロナウィルス(たとえば、SARS)、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、肝炎ウィルス、ヘルペスウィルス、ウェストナイルウィルス、およびエボラウィルスが挙げられる。
【0074】
上記のとおり、実施態様によっては、複数の検体が検出される。一実施態様では、検体は、同じ分子構造を有する。検体は、たとえば、対象となる同じ分子種でよい。もう1つの実施態様では、異なる検体(本明細書では、第1検体および第2検体とも呼ぶ)は、比較的大きい分子の一部である。したがって、検体は、比較的大きい分子に結合するか、または比較的大きい分子内に含まれる特定の結合位置(エピトープなど)でよい。したがって、検出される異なる検体は、異なる分子の一部でよい。
【0075】
検体は、以下に記載するように、またはポリペプチド、核酸などを表面に付着されるための標準的な技術を使用することによって、表面またはビーズに結合することができる。一実施態様では、検体は、表面に直接結合される。検体は、たとえば、表面に結合対の第1要素をコーティングすることによって表面に間接的に結合させることができる。検体は、結合対の第2要素に結合または付着され、次に、結合対の第1および第2要素間の相互作用を介して表面に結合する。適切な結合対としては、たとえば、ビオチンおよびアビジン、またはビオチンおよびアビジンの誘導体、たとえばストレプトアビジンおよびニュートラビジンが挙げられる。
【0076】
検定形式
上記のとおり、本発明の一実施態様では、複数の磁気粒子は、流体チャンバ内に導入される。磁気粒子は、検体を結合可能な第1捕捉剤をコーティングされ、流体チャンバの少なくとも1つの表面は、競合分子に結合可能な第2捕捉剤をコーティングされた音響デバイスを備える。表面には、任意の適切な方法を使用して、結合対の第2要素をコーティングすることができる。たとえば、表面には、以下に記載するようにビオチンをコーティングし、ビオチン化表面は、アビジンまたはアビジンの誘導体に暴露され、第2捕捉剤はビオチンに結合することができる。
【0077】
もう1つの実施態様では、複数の磁気粒子および競合分子は、流体チャンバ内に導入される。磁気粒子は、検体を結合可能な第1捕捉剤をコーティングされる。流体チャンバの少なくとも1つの表面は、競合分子に結合可能な第2捕捉剤をコーティングされた音響デバイスを備える。一実施態様では、競合分子は、タグに連結または結合する検体を含み、第2捕捉剤は、タグに結合可能である。タグは、捕捉剤が認識可能な任意の部分でよい。一実施態様では、タグは、結合対の一方の構成要素であり、捕捉剤は、結合対の他方の構成要素である。たとえば、タグはビオチンでよく、捕捉剤はアビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラビジンでよい。この実施態様では、ビオチンは、分子をビオチンに結合する公知の方法を使用して検体に連結され、競合分子を形成する。表面には、任意の適切な方法を使用して、結合対の第2要素をコーティングすることができる。たとえば、表面は、以下に記載するようにビオチンをコーティングされ、次に、ビオチン化表面は、アビジンまたはアビジンの誘導体に暴露することができる。
【0078】
もう1つの実施態様では、競合分子は、担体に結合した2つ以上の検体分子を含み、第2捕捉剤は、検体を結合することができる。もう1つの実施態様では、担体は、2つ以上の検体分子を連結または結合可能な任意の分子でよい。担体は、タンパク質A、核酸、またはその他のポリマーでよい。一実施態様では、担体は、ウシ血清アルブミンである。もう1つの実施態様では、担体は、西洋ワサビペルオキシダーゼである。この実施態様では、2つ以上の検体分子は、以下に記載するように担体に連結するか、または公知の連結技術を使用して、競合分子を形成することができる。表面には、以下に記載するように捕捉剤がコーティングされる。
【0079】
本発明の方法の一実施態様によると、複数の粒子は、様々な異なる暴露順序を使用して、サンプルに暴露することができる。たとえば、一実施態様では、複数の粒子がサンプルに暴露され、次に、流体チャンバ内に導入される。サンプルは、サンプル暴露粒子を流体チャンバ内に導入する前に濃縮される。サンプルは、たとえば、粒子を溶液から除去し、粒子を比較的少量の液体中に懸濁させることによって濃縮される。
【0080】
もう1つの実施態様では、サンプルは、複数の粒子を導入する前に、流体チャンバ内に導入される。さらに別の実施態様では、複数の粒子は、サンプルを流体チャンバ内に添加する前に、流体チャンバ内に導入される。
【0081】
もう1つの実施態様では、上記のとおり、複数の粒子は、サンプルに、および競合分子に暴露される。複数の粒子は、多くの異なる順序でサンプルおよび競合分子に暴露することができる。たとえば、一実施態様では、複数の粒子は、サンプルに、および競合分子に暴露され、次に流体チャンバ内に導入される。もう1つの実施態様では、サンプルおよび競合分子は、複数の粒子を導入する前に流体チャンバ内に導入される。さらに別の実施態様では、複数の粒子は、サンプルおよび/または競合分子を流体チャンバ内に導入する前に、流体チャンバ内に導入される。
【0082】
制御信号/正規化
もう1つの実施態様では、サンプルの暴露に応答して音響デバイスの信号出力は、制御信号と比較されるか、または正規化される。制御信号は、ユーザによって提供されるか、または取得される。たとえば、制御信号は、特定の検体、捕捉剤、または特定のモデル、使用するデバイスのバージョンまたは型式に基づいてユーザに提供される値でよい。一実施態様では、制御信号は、ロット基準で取得される。たとえば、制御信号は、ユーザによって取得される検体の特定のロットを表す信号でよい。代表的な信号は、たとえば、サンプルをテストする前、テスト中、またはテスト後に実験的に導くことができる。実施態様によっては、制御信号は、たとえば、特定の捕捉剤、および特定バージョンの音響デバイスを使って、検体の既知の量を分析することによって得られる検量曲線である。
【0083】
もう1つの実施態様では、制御信号は、使用基準で得られる。たとえば、一意の制御信号は、特定の検体および/または捕捉剤が、特定の音響デバイスでテストされるごとに取得することができる。一実施態様では、制御信号は、同じ検体および/または捕捉剤を使用して、ただしサンプルが存在しない状態で取得される。制御信号は、捕捉剤をコーティングされた流体チャンバ内に第2の複数の粒子を導入することによって取得することができる。流体チャンバの少なくとも1つの表面は、第2検体が結合した音響デバイスを備える。前記音響デバイスによる信号の出力は、後続のテストで使用する制御信号を決定するために監視される。
【0084】
多重化に関して以下で説明するとおり、複数の異なる磁気粒子は、流体チャンバの同じか、または異なる表面に暴露することができる。
【0085】
音響デバイス
音響デバイスは、主にデバイスと流体との間の音響相互作用を通して流体に結合する。代表的な音響デバイスは、表面弾性波デバイス、たわみ板波デバイス、ラム波デバイス、およびカンチレバーデバイスを備える。音響デバイスは、デバイスと流体との間のある程度の粘性相互作用を通して流体に結合するが、結合は、主に音響結合である。粘性相互作用デバイスは、主にデバイスと流体との間の粘性相互作用を通して流体に結合する。代表的な粘性相互作用デバイスとしては、水晶微量天秤(QCM)デバイス、横調波表面弾性波デバイス、および音響プレートモードのデバイスが挙げられる。「表面弾性波」という用語は、デバイスが流体にどのように結合するのではなく、エネルギーがデバイスの構造内で搬送される方法を指示する。音響デバイスは、流体がデバイスの相当な面積上で相互作用するデバイスである。音響デバイスは、デバイスの平面に近接して流体に音響学的に結合する実質的な面外運動に反応する(つまり、運動エネルギー、一エネルギー、および損失は、主に流体内で搬送される)。粘性相互作用デバイスは、デバイスの平面に近接して流体に音響学的に結合しない面内運動に主に反応する。
【0086】
たとえば、流体中の生物学的または化学的物質の検出および定量化を必要とする用途では、音響デバイスと流体との間の結合は、デバイスの平面に対する厚さが一般に約100nm〜約10ミクロンであり、粘性相互作用デバイスと流体との間の結合は、デバイスの平面に対する厚さが約10nm〜約100nmである。
【0087】
表面弾性波デバイス、および横調波表面弾性波デバイスはともに、個々の構造内のエネルギーを類似の方法で搬送する。表面弾性波デバイスは、流体に著しく音響結合し、横調波表面弾性波デバイスは、主に粘性相互作用を通して流体に結合する。
【0088】
本発明により構成された検体検出システム100の一実施態様を図1Aに示す。システム100は、FPWデバイス104を通して、様々なテスト溶液(本明細書では、「テスト流体」または「流体」とも呼ぶ)を移送するチャネル網102を備える。以下の米国特許および特許出願は、本発明に使用するのに適する様々なタイプのFPWデバイスの実施例を説明しており、これらはすべて、引用することにより本明細書に援用する:米国特許第5,129,262号、米国特許第5,189,914号、米国特許第6,688,158B2号、米国特許出願第10/324,685号、米国特許第5,668,303号、米国特許第5,836,203号、米国特許出願第20040038195号。
【0089】
たとえば、米国特許第5,129,262号は、ラム波伝播媒質を形成する薄く平坦な材料シートを有する超音波センサを記載している。平板モード波としても周知されているラム波は、有限厚の材料を通してのみ伝播可能である。伝播SAWの波長の何百倍台の厚さを有する伝播媒質を必要とする表面弾性波(SAW)と対照的に、ラム波は、最大でわずか数波長厚、一般に、伝播ラム波の波長の一部のみを伝播媒質を必要とする。シートの厚さは、約12ミクロン以下である。ラム波発生器は、平面シートにラム波を生成し、出力デバイスは、シートに沿って伝播するラム波の伝播特性を表す電気信号を生成する。測定デバイスは、出力電気信号の選択された特性を測定する。平面シートは、シートに作用する測定量の値に応じていくつかの物理特性を有し、その結果、これらの物理特性は、シートに沿って伝播するラム波の伝播特性を決定する。出力デバイスからの電気信号は伝播特性を表し、電気信号は、シートに作用する測定量の値も表す。
【0090】
米国特許第5,129,262号に記載されているラム波デバイスは、たとえば生物学的感知に使用される。上記の平面シートは、抗体分子を予めコーティングすることができ、デバイスの周波数は、対応する抗原を含む液体中に浸漬するか、またはこうした液体に接触した後に変化する。伝播媒質の表面における抗原−抗体の付着は、シート中のラム波の位相速度を変更するように作用する。位相速度の変化によって、遅延線発生器形式のデバイスにおける周波数が変化する。また、シートは、多孔性および透過性材料から製造されるため、抗体分子をシートの比較的大きい表面積にコーティングすることが可能であり、さらに、抗原を含む液体が膜を通って流れることを可能にし、その結果、抗原−抗体の付着を加速することができる。その他の生物学的相互作用も感知され、その他のアプリケーションとしては、免疫検定、臨床ラボラトリテスト、インビボ生物医学監視、および生物医学調査が挙げられる。
【0091】
上記の実施態様に使用されるテスト溶液、たとえばブロッキング溶液106、サンプル108、および緩衝液110は、貯留容器112から調達される。各々の貯蔵器112からのチャネル経路は、バルブ114でゲートされ、FPWデバイス104の入口ポート118に至る結合点116に対する特定のテスト溶液の流れを制御する。テスト溶液は、FPWデバイス104を通って流れ、ポンプ122に至る出口ポート120を介して出て行く。ポンプ122は、チャネル網102、およびFPWデバイス104を通してテスト溶液を抜き取り、テスト溶液を廃棄物容器124に導く。
【0092】
図1Bは、検体検出システム100のもう1つの実施態様を示す。この実施態様は、FPWデバイス104、およびこれに関連する流体チャンバ160をカートリッジ103として、つまり取外し可能かつ交換可能な消耗構成要素としてパッケージする。実施態様によっては、デバイス104を取る流れを変更するプラグ、障害物、またはバッフルなどの流体制御デバイス101を備える。一実施態様では、流体制御デバイス101によって、デバイス104を通る流体の流れは、流体制御デバイス101が存在しない場合と比べてセンサ表面143の近くを通過する。さらに、入力されるテスト溶液の供給源は、テスト溶液をカートリッジ103の入り口109内に導くための出口107を有する入力流体チャンバ105として示されている。実施態様によっては、磁気粒子は、最初は入力流体チャンバ105内に位置し、検体を含む流体は、入力流体チャンバ105内の磁気粒子と混合され、次に、FPWデバイス104が位置するカートリッジ103内に方向付けられる。磁気粒子は、デバイスによって(たとえば、ポンプまたは磁気攪拌器の作用によって)入力流体チャンバ105内で、検体を含む流体と混合される。図1Bは、カートリッジ103の出口115から流体を受け入れる入口113を有する出力流体チャンバ111をさらに示す。この出力流体チャンバ111は、本明細書に記載する1つまたは複数の流体制御デバイスを備え、廃棄流体を保存および/または処理する1つまたは複数の機構を備える。
【0093】
少なくとも1つの実施態様では、入力流体チャンバ105の出口107が、カートリッジ103の入口109と会合する接合点が構成され、繰返し可能な接続および切断を可能にするように配置される。同様に、カートリッジ103の出口115が、出力流体チャンバ111の入口113に会合する接合点が構成され、繰返し可能な接続および切断を可能にするように配置される。実施態様によっては、これらの接合点は、接続および切断用のツール、たとえば結合および減結合に作用するレンチまたはその他のツールが必要なねじ付きカップリングが必要であるように構成および配置される。他の実施態様では、これらの接合点は、余分なツールまたは付属品を必要とせずに、迅速かつ容易な手動接続および切断が可能であるように構成および配置される。こうした結合は、ツールが必要であるか、必要ではないかに関わらず、先行技術で公知である。実施態様によっては、複数の入力流体チャンバおよび出力流体チャンバがある。実施態様によっては、1つまたは複数の入力および/または出力流体チャンバは、カートリッジ103の一部である。さらに、実施態様によっては、1つまたは複数の磁束供給源はカートリッジの一部である。
【0094】
FPWデバイス104を図2および図2Aに詳細に示す。FPWデバイス104では、歪エネルギーは、デバイス内の屈曲および伸張で搬送される。実施態様によっては、FPWデバイス104の厚さ対波長比は1未満であり、場合によっては、1未満よりはるかに少ないことが望ましい。一般に、FPWデバイス104の波長「λ」は、本明細書に記載する櫛形電極のピッチにほぼ等しい。一実施態様では、FPWデバイス104の厚さ対波長比は2μm/38μmである。他の実施態様では、FPWデバイス104は、デバイスに関連する特定のモード(たとえば、ゼロ番目のモードから上位のモードまので任意のモード)、またはモードの帯域幅を隔離するように意図されている。たとえば、上記のとおり2μm/38μmの厚さ/波長を有するFPWデバイス104は、FPWデバイス104の第80モードを隔離するであろう。FPWデバイス104は、デバイス上に配置される櫛形電極の特定のパターンを選択することによって、この効果を達成するように設計することができる。一実施態様では、FPWデバイス104は矩形である。FPWデバイス104は、あるいは円形もしくは楕円形、または他の何らかの平面形状でよい。
【0095】
一般に、FPWデバイス104は、先行技術で公知の微細加工技術を使用してシリコンウェハ130から構成される。上記の実施態様では、キャビティ132は、ウェハ130にエッチングされ、約1.6mm長、0.3mm幅、および2μm厚の薄い懸濁膜134を生成する。ウェハ130の全体の厚さは約500μmなので、キャビティ132の深さは、ウェハ130の厚さよりわずかに小さい。0.5μmの窒化アルミニウム(AIN)層136は、図2Aの拡大差込図に示すように、膜134の外面(つまり、キャビティ132に対向する表面)に蒸着される。2セットの櫛形金属電極138は、AIN層上に蒸着される。金の薄層140(約500オングストローム)は、捕捉剤の不動化(以下で詳細に説明する)を促進するために、膜134の内面(つまり、キャビティ132に面する表面)に蒸着される。実施態様によっては、2セットの櫛形電極の第1セットは、膜134の左半分の側部(図2に示す)に位置する作動または開始部分)である。2セットの櫛形電極の第2セットは、膜134の右半分の側部(図2に示す)に位置する感知または受信部分)である。実施態様によっては、2セットの櫛形電極は、膜134の長さに沿って(図2の左から右に見て)並列に配置され、2セットの一方は作動または開始部分であり、2セットの第2セットは感知または受信部分である。
【0096】
動作時、器具/制御電極126(図1A参照)は、時間的に変化する電気信号を電極138の少なくとも一方に印加して、懸濁膜134に振動を生成する。また、器具/制御電極126は、センサ信号を第2セットの電極138から受信することによって、膜134の新道徳性を監視する。液体が膜134のキャビティ側132と接触すると、プレート構造の最大反応は約15〜25MHzである。器具/制御電極126は、基準信号をと、第2セットの電極からのセンサ信号とを比較して、センサ信号の相対振幅および位相角度の変化を周波数の関数として決定する。器具/制御電極126は、これらの変化を解釈して、目標検体の存在を検出する。実施態様によっては、器具/制御電極は、たとえば、膜134の内面上の目標検体の濃度も判断する。
【0097】
被検体を目標とする捕捉剤は、上記のとおり、膜134の内面を覆う金140の薄層上で不動化される。この表面には、適切な連結化合物をコーティングすることができる。適切な連結化合物は、商業的に入手可能である。一実施態様では、連結化合物は、以下に記載するとおり、ビオチンPEGジスルフィドを含む。もう1つの実施態様では、チオール末端アルキル鎖は、自己集合単分子層(SAM)を形成する金表面に連結される。SAM鎖の断片は、反応基(たとえば、カルボキシル)で終端し、先行技術で公知の生化学的工程を使用して、SAM鎖に対する捕捉剤の共有結合的連結を可能にする。残りのSAM鎖は、好ましくは非特異的結合に抵抗する親水性特性を有する非反応基で終端する(たとえば、エチレングリコールのオリゴマー)。その他の表面の化学的性質は、文献に記載されており、捕捉表面を生成するために使用することができる。
【0098】
FPWデバイス104は、膜134の外面の電極138に対する電極138の電気接続を可能にする。さらに、FPWデバイス104は、チャネルブロック142によって機械的に支持され、膜134の内面をテスト溶液に接触させ、センサ表面143を液体サンプルに接触させるための界面を設けることを可能にする。チャネルブロック142は、テスト溶液が、入口ポート118から膜134の内面を通過し、次に出口ポート120から出て行くことを可能にする経路(流体チャンバ160)を形成する。シール144は、FPWデバイス104とチャネルブロック142との間に形成され、テスト溶液が、FPWデバイス104とチャネルブロック142との組合せ内に形成されたチャネル102から漏出するのを防止する。したがって、チャネルブロック142は流体チャンバを形成し、FPWデバイス104は、その内壁の1つを構成する。
【0099】
FPWデバイス104とチャネルブロック142との組合せによるチャネル102は、直径約0.5mmである。チャネルブロック142は、他の材料の中でもプラスチック、金属、またはセラミックを含む多様な材料から形成することができる。
【0100】
システム100は、システム100内の少なくとも1つの流体特性、たとえば、いくつか例を挙げると流量、圧力、または軌跡を変更する1つまたは複数の流体制御デバイスを備える。デバイスを通過し、センサ表面143上を通る様々なテスト溶液の流れを方向付け、制御する、図1Aに示すポンプ122およびバルブ114(テストプロトコルを実施するために要求される)はすべて、流体制御デバイスの実施例である。一般に、流体制御デバイスは、デバイス104の流体チャンバ160内の少なくとも1つの表面付近における少なくとも1つの流体特性を変化させる。一般に、これは、磁気粒子をセンサ表面143の少なくとも一部分に沿って分布させるために行われる。上記のとおり、実施態様によっては、流体制御デバイスはポンプである(たとえば、蠕動ポンプ、遠心ポンプ、回転ポンプ、電気浸透ポンプ)。実施態様によっては、ポンプは、流体チャンバの入口側に位置し、他の実施態様では、ポンプは、流体チャンバの出口側に位置する。実施態様によっては、このデバイスは、流体チャンバに対して配置され、流体チャンバの少なくとも1つの内面付近における流体の流れを変更する分流器である(たとえば、プラグ、障害壁、またはバッフル)。
【0101】
図1Aを参照すると、単一ポンプ122は、FPWデバイス104の廃棄側に配置される。ポンプ122が生成する吸引力は、サンプル108中の緩衝液110または検体を、FPWデバイス104の供給側にあるそれぞれ個々の貯留容器112から抜き取る。バルブ114は、デバイス104の供給側に配置され、テストプロトコル時の任意の時間に、どのテスト溶液をセンサ表面143上に導くかを制御する。ポンプ122は、テストの流量を制御する。
【0102】
温度を調整するデバイス(たとえば、熱電冷却器)は、FPWデバイス104およびチャネルブロック142に結合される。これは、デバイス104を比較的一定した既知の温度に維持することによって、FPWデバイス104の出力部に対する可変環境条件の影響を減少させる。代わりの実施態様では、温度センサが、たとえばFPWデバイス104の一部として、システム100内に含まれる。FPWデバイス104からのセンサ信号は、時間内の特定の瞬間に(または、一定の時間に)、温度センサの出力に基づいて評価され、温度の変化と無関係な信号が生成される。こうした評価は、数式モデル、もしくは分析モデル、または数学モデルおよび分析モデルの何らかのハイブリッドな組合せに基づいて行われる。
【0103】
システム100の実施態様によっては、フィルタは、テスト溶液の経路内に備えられ、特定サイズの粒子(たとえば、磁気粒子および生体物質)を選択的にフィルタリングして、」流体チャンバに入るのを防止する。一例として、特定のテストプロトコルは、テスト時にフィルタを変更する工程を含む。これは、異なるタイプ(つまり、サイズ)の検体および磁気粒子を流体チャンバ内に方向付けて、それによって、システム100によって、テストの異なる部分でテストすることを可能にする。
【0104】
一実施態様では、それぞれの表面に捕捉剤をコーティングされた磁気粒子(たとえば、常磁性もしくは超常磁性ビーズまたは微小球)は、検体を含むサンプルと混合される。規定の混合時間後、検体−粒子複合体146は、非特異的材料を結合した粒子147、および何も結合していない粒子148と同様の結果を生じる。粒子146、147、および178は、サンプル貯蔵器112内に配置される。
【0105】
システム100は、膜134付近に磁束を生成するための磁界誘発構造150をさらに備える。図1Aでは、磁束の供給源は、通常はFPWデバイス104の膜134に近接して配置される収縮式磁石150である。磁石150は、膜134に近接している場合、膜134付近に著しい傾斜磁界を生成する。収縮式磁石150は、器具/制御電極126の制御下で、膜134付近の磁界を実質的に減少させるのに十分な距離だけ、膜134から収縮させることができる。一実施態様では、磁石150は、膜134付近にある場合、膜134のセンサ表面143から約200μmに位置する。もう1つの実施態様では、磁石150は、膜に近接している場合、膜134のセンサ表面143から約50μm〜約100μmに位置する。
【0106】
磁石150は、膜134に近接している場合、磁気粒子をサンプルからセンサ表面143に抜き取るための磁束供給源を提供する。検体−粒子複合体146、並びに非特異的に結合した材料を含む粒子147、および何も結合していない粒子148は、液体サンプルから移動して、センサ表面143に遭遇する。検体は、センサ表面143上の捕捉剤と結合する。したがって、検体は、磁気粒子とセンサ表面との間に連結を形成する。非特異的に結合した材料を含む粒子147、および何も結合していない粒子148は、磁界によってセンサ表面に保持される。さらに、粒子146、147、および148とセンサ表面143との間には、弱い結合力が作用する可能性がある。プロトコルの洗浄工程では(以下に詳細に記載する)、磁石150は収縮し、センサ表面143に蓄積した粒子が遭遇する磁力を減少させる。洗浄流量は増加し、検体によって表面に結合していない粒子147および148を除去する。非特異的に結合した材料を含む粒子147、および何も結合していない粒子148は、検体−粒子複合体146より弱くセンサ表面143に連結するので、比較的低い洗浄流量(および、対応する流体力)でセンサ表面143から解放される。したがって、磁石150を取り外す(つまり、粒子146、147、および148がセンサ表面143で遭遇する磁力を実質的に減少させる)ことは、検体146を含む粒子と、検体を含まない粒子(粒子147および148)とを区別するために使用される。磁石150を係合および収縮させる1つの技法は、カムシステム(図示しない)によって作動されるカートリッジ(図示しない)上に磁石150を実装することである。
【0107】
磁石150の材料、幾何学的形状、およびセンサ表面143からの距離は、磁界の形状および磁界勾配を決定し、したがって、検体−粒子複合体146が遭遇する力を決定する。収縮式磁石150として使用される高強度永久磁石は、商業的に利用可能である。たとえば、直径1mmの円筒状NdFeB磁石は、数社から調達可能である(たとえば、Dexter Magnetic Technologies)。一実施態様では、直径1mmおよび長さ1mmのNdFeB磁石150は、係合時にセンサ表面143の0.1mm以内に配置される。磁石150は、収縮すると、センサ表面143から少なくとも0.5mmである。FPWデバイス104の膜134は、非常に薄く(2μm)、非磁性材料(たとえば、シリコン、窒化アルミニウム、または金)から製造されるため、膜134は、デバイス104のセンサ表面143側において磁界を著しく動揺させることはない。その結果、高度の収集効率に必要なとおり、非常に高い磁界、および大きい磁界勾配が達成される。
【0108】
チャネル102を通るサンプルの流量は、良好な収集効率に必要な滞留時間によって決定される(たとえば、操作者が指定する)。サンプルの流量は、センサ表面143上の平均速度が約1〜約5mm/秒であるように調節される。直径約3μmの酸化鉄常磁性粒子の場合、約50%の収集効率を達成することができる。
【0109】
磁束(つまり、磁石)の供給源150のその他の構成を使用してよい。たとえば、永久磁石の代わりに電磁石を使用することができる。電磁石は、磁束をデバイス104のセンサ表面143付近に集束させるために延在する磁極片を含む。
【0110】
あるいは、磁化可能材料は、センサ表面143に隣接して(0.1mm以内)形成および配置することができ、個々の磁石は、磁化可能材料中に磁界を誘導する磁化可能材料の開放面と結合する。材料中に誘発される磁界は、センサ表面143付近の望ましい磁界勾配を確認するのに役立つ。こうして、大きく低コストの磁石を使用することができ、材料の作りに応じて、1つの磁石を使用して、複数のセンサに対応することができる。この目的に有用な材料の実施例は、純鉄、高mu粒子、たとえば合金49(高ニッケル含有量の鉄)、snaシリコンは画ね(一般に1〜2%のシリコン)である。こうした磁化可能材料、および関連する磁石を使用する利点は、センサ組立体が単純化され、比較的低コストの製造が可能なことである。低精度の作動装置は、磁石を係合および収縮させるために使用することができ、なぜなら、磁石は強磁性コアにのみ接触する必要があるか、または完全に取り外してよいからである。磁石150がセンサ表面143に近接して配置される上記の実施態様では、良好な検定再現性を達成するために、比較的高レベルの制度が必要である。この方法では、磁界強度は多少失われるが、それでもなお、良好な捕捉効率(たとえば、>10%)を達成するように設計することが可能である。
【0111】
磁界誘導構造(たとえば、磁石または強磁性材料)の先端の形状は、表面における磁界勾配を強化し、および/または集中させるように調整される。FPWデバイス104のサイズ(たとえば、0.3mm×1.6mm)は、一般に、従来のように形成される磁石、または機械加工される誘導子より小さいため、膜134に隣接する磁界誘導構造部分は、センサ表面143の1つまたは複数の位置に磁界を集中させるためにテーパが付けられる。先端のテーパ形成は、局所的な磁界振幅および局所的な磁界勾配の両方を増加させるように作用する。たとえば、ウェッジ形先端は、現在のFPWデバイス104の幾何学的形状に十分に適する。
【0112】
システム100の一実施態様は、磁束の第1供給源150に対向するか、または部分的に対向する磁束の任意の第2供給源150aを備える。磁束のこの第2供給源150aは、センサ表面143に付着したいくつかの磁気粒子を取り除くために使用することができる。これは、たとえば、結合検体を持たない磁気粒子148を取り除く;これらの磁気粒子148は、検体を結合している粒子146ほどセンサ表面143に強く付着していないと思われる。実施態様によっては、第1磁束供給源150はオフになるか、またはセンサ表面143から移動して離れ、次に、第2磁束供給源150aは、流体チャンバの少なくとも1つの表面に対して配置され、磁気粒子を選択的に除去する。これは、たとえば、結合検体を持たず、したがって、センサ表面143にそれほど強く結合していない磁気粒子148を除去するために行われる。これは、結合検体を持たない磁気粒子148を除去するために、流体の流れを増加させるのと同様の効果を達成するであろう。
【0113】
デバイス104の表面143上の検体−粒子複合体146の分布を調節すると、デバイスの性能を改善することができる。なぜなら、デバイス104は懸濁する膜134を有しており、膜134の全部が、検出可能な共鳴の移動質量に一様に役立つわけではないからである。たとえば、システム100は、検体−粒子複合体146をFPWデバイス104の幅の3分の1の範囲内に、膜134の長軸の中心線の中間の3分の2に沿って分布させるように構成および配置することができる。流れの場の効果を考慮に入れると、磁界誘導構造(たとえば、磁石150)の先端の形状は、磁界振幅および磁界勾配が、センサの膜134上の方向に増加する形状でよい。つまり、境界層の検体が部分的に消耗している下流領域の検体−粒子複合体146は、上流の検体−粒子複合体146よりも高度の磁界および磁界勾配に遭遇する。
【0114】
一般に、システム100は、センサ表面143の1つまたは複数の特定の領域に磁気粒子を集中させるように構成および配置することができる。デバイス104の応答は、製造材料の特性、およびセンサ構造の詳細によって、センサ表面143全体で均一ではない。したがって、デバイス104の高感度領域は、デバイス104の長軸および短軸の中心線に対して不均一かつ非対称である。したがって、磁界誘導構造の先端は、磁気粒子を最高感度の1つまたは複数の領域に集中させるように賦形される。
【0115】
デバイス104を通る流量の変更は、特定の磁界分布では、検体−粒子複合体146のより均一な被覆を達成するために使用することができる。特定の磁界では、磁気粒子は、弾道物体が身体重力の存在下で落下すると思われるように、バルク流体の流量によって決定されたとおりにセンサ表面143と相互作用する。しかし、この場合、磁気誘導力が支配する。検体−粒子複合体146は、流れの方向に沿った実質的に異なる位置で、センサ表面143と相互作用することが可能である。さらに、磁気粒子が堆積すると(磁気粒子がセンサ表面143に暴露される場合、望ましくない事象)、流れは逆転し、その後前方に脈動して堆積を引き上げ、より多くの粒子をセンサ表面143とやり取りする可能性がある。システム100の一実施態様では、センサ表面143に沿った磁気粒子の選択的な位置は、検出プロトコルの間に、磁束供給源、およびセンサ表面143に沿った流体の流れの1つまたは複数の特性を選択的に変更することによって達成される。
【0116】
システム100の一実施態様としては、センサ表面143に付着または吸引される磁気粒子の少なくとも1つの特性を特徴付けるためのデバイス(たとえば、光学、磁気)が挙げられる。このデバイスは、FPWデバイス104の一体部分であるか、または磁石150の一部であるか、またはシステム100のその他の構成要素から離れている別個の部分でよい。こうしたデバイスは、粒子の存在を検出するために使用され、さらに、粒子に関連するパラメータ、たとえばセンサ表面143に引き付けられる粒子のサイズ、量、濃度、もしくは密度を判断するために使用される。
【0117】
システム100の一実施態様は、操作者またはコンピュータが、システム100、またはシステムの特定の構成要素を識別して、システムまたは構成要素の使用を追跡することを可能にする識別デバイスを備える。識別デバイスは、バーコード、識別番号、またはその他の識別マークなどの記号または画像を含む。識別デバイスは、受動的であるか、または能動的であるかに関わらず、実際の構成要素、たとえばRFIDタグ、一体回路、または情報を識別するために先行技術で公知のこうしたその他の構成要素を含む。識別デバイスは、多くのこうしたデバイスは、先行技術で公知だが、検討された任意の識別デバイスを使用してよい。
【0118】
生物学的検体を検出するための検体−粒子複合体146と組み合わせて、FPWデバイス104を使用する一般的な検出プロトコル200を図3に示す。
【0119】
検出プロトコル200の第1工程202は、検体サンプルを取得して調製する202。様々な調製プロセスは、テストされる検体の特定のタイプに応じて、テスト前に行う必要がある。たとえば、食物中の微生物(たとえば、牛挽肉中の大腸菌)を検出するため、サンプルは、最初に濃縮培養液と混合され、消化、培養、および濾過される。血液中のタンパク質を検出するには、タンパク質は、最初に濾過または遠心分離され、血清が分離される。サンプル調製工程を含むテストプロトコルの特定の実施例は、本明細書に記載されている。
【0120】
検出プロセスの次の工程204は、親和性コーティングされた常磁性粒子(つまり、ビーズ)を調製された検体サンプルと混合することである。常磁性または超常磁性粒子は、多くのベンダー(たとえば、ノルウェイ、オスロのDynal Biotech)から商業的に入手可能である。50nm〜10μmの代表的な直径範囲、およびこうした粒子は、様々な検体(たとえば、細胞、タンパク質、および核酸)を目標とする親和性作用物質(たとえば、抗体、タンパク質)を既にと付された状態で調達可能である。あるいは、粒子は、最適な捕捉剤を付着させるために、様々な反応化学基(たとえば、エポキシ、カルボキシル、およびアミン)と共に調達可能である。標準の生化学プロトコルは、この目的のために入手可能である。
【0121】
常磁性粒子が添加されたサンプルは、検体および捕捉剤によって決まる一定量の時間にわたって攪拌される206。このプロセスの際、粒子は検体と結合し、その結果、検体は粒子上に捕捉される。場合によっては、サンプルは、この時点で直接テストされる。しかし、他の場合には、分離工程208を行って、粒子に結合した検体を元のサンプルの残りの部分から隔離すると有利である。これらの分離工程208は、検定時における他の生体物質からの干渉を減少させる。こうした分離工程を実行するための手動または自動化機器は、商業的に入手可能である(たとえば、Dexter Magnetic Technologies、Dynal Biotech)。基本的なプロセスは、磁石を使用して、サンプル液の大部分を吸引できるように、常磁性粒子を表面上に局在化させることである。次に、磁石(たとえば図1Aの磁石150)が除去され、清潔な緩衝液溶液が添加され、粒子を再び懸濁させる。
【0122】
一実施態様では、FPWデバイス104を使って、検体サンプルを処理する前に、基準工程210が実行される。基準工程210では、基準溶液106がシステムを貫流し、センサ104を洗浄/遮断し、器具/制御電極126はデバイス104を励起して、デバイス104から結果として生じる基準信号を記録する。
【0123】
サンプル移送工程212は、基準工程210に従う。検体−粒子複合体146を含むサンプル108は、磁石150が係合したセンサ表面143上を流れる。検体−粒子複合体146は、センサ表面143上に収集される。規定量のサンプル108をデバイス104に貫流させた後、磁石150を収縮させて、検体が結合されていない粒子147および148をセンサ表面143から解放し、流れを洗浄溶液(たとえば、緩衝液溶液110)に切り換える。この洗浄溶液の流量は、緩やかに結合している粒子147および148、並びにセンサ表面143に結合しているサンプル中のその他の物質を除去するのに役立つ。
【0124】
取得工程214は、サンプル移送工程212に従う。基準溶液106は、デバイス104を通って流れ、器具/制御電極126はデバイス104を励起して、デバイス104からの最終的な基準信号を取得および記録する。
【0125】
システム100は、最初の基準信号と最後の基準信号とを比較する216ことによって、移送工程212でセンサ表面143上に蓄積する検体の量を決定し、この量は、それぞれ取得工程214の前および後における基準溶液中のFPWデバイス104の振動特性に対応する。センサ表面143に結合した検体−粒子複合体146は、FPWデバイス104の振動特性を変化させ、振動特性の変化量は、センサ表面143に結合する検体−粒子複合体の量に対応する。
【0126】
図4は、複数のFPWデバイス104からの信号の変化を、例示的な検出プロトコルの時間の関数として示す。方形信号は、検体に暴露されるデバイス104に対応する;三角形および星形は、負の制御(ビーズ上に検体が存在しない)に対応する。図4(および、以下に説明するとおり図5)に示すデータは、検体が大腸菌、細菌、または一般に細胞検体である例示的な検出プロトコルを表す。
【0127】
この特定の実験では、共鳴ピークの周波数を追跡した。図4は、FPWデバイス104の共鳴周波数が、磁気粒子146、147、および148が表面に蓄積すると減少することを示す。磁石150が除去され、磁気粒子の一部が洗い流されると、デバイス104の周波数が増加する。結局、システムは、テストの開始時に取得された最初の基準線、または制御の基準線と比較することが可能な最終基準線を確立する。
【0128】
図5は、最初の検体濃度の関数として検出された最終信号の変化を示すサマリプロットである。
【0129】
その他の検出プロトコルは、上記のシステム100と共に使用される。個々の工程は、特定の用途または検体の要件に応じて、除去または追加することができる。たとえば、図6は、図4に類似する検出プロトコルの時間発展プロットを示す。しかし、図6は、タンパク質を検出するシステム100の能力を実証するPSA検定の検出プロトコルを示す。また、流れの方向は、プロトコルの際に逆転させることができる。たとえば、流れの方向を逆転させることは、非特異的に結合した材料をデバイスから洗浄するか、または使用可能なサンプルをさらに効率的に使用するのに役立つ。
【0130】
検出プロトコルのもう1つの変形は、洗浄工程と結合工程とを交互に行うことを含む。これは、デバイスのダイナミックレンジをより良く利用することを可能にする。場合によっては、粒子の大部分は、特に低い検体濃度では検体を結合していない。粒子を繰り返し結合および洗い流すことによって、より多くの検体−粒子複合体146を蓄積し、その結果、測定感度を改善することが可能である。
【0131】
移送工程212で、センサ表面143における磁界分布を変更または操作すると、特定の粒子に付着した検体がセンサ表面143に遭遇する可能性が高まる。たとえば、場の空間分布が、結合時に交互になる場合、センサ表面143における常磁性粒子を回転させることが可能である。実施態様によっては、場の空間分布を制御することによって、操作者または器具/制御電極126は、センサ表面143に沿った常磁性粒子の回転を制御するために使用することができる。
【0132】
上記のとおり、第2磁界(つまり、第2磁束供給源)をシステム100に導入すると、検定状態の制御が改善され、検定の特異性が強化される。たとえば、上記のプロトコルの結合工程または洗浄工程では、二次磁界をセンサ表面143に適用すると、結合磁気粒子を弱く引き剥がす役割を果たす。二次磁界の強度は、センサ表面143における検体−粒子複合体146上に力を生成するように調整することができ、この力は、特異的に結合した検体の結合力未満だが、非特異的に結合した材料の一般的な結合力を超える力である。この工程の順序は、テストの特異性をさらに高めるために、検定時に複数回繰り返すことができる。
【0133】
センサ表面143上の様々な検体−粒子複合体146の相対結合強度は、FPWデバイス104の反応を監視しながら、洗浄工程で、この磁気引抜き力を増加(連続的、または個別に)することによって決まる。相対結合強度に関する情報は、サンプル108中の様々な検体を区別するために使用することができる。
【0134】
サンプルがデバイス104と相互作用する特定の方法は、他の実施態様では異なってよい。上記の実施態様では、システム100は、チャネルを通してサンプルを流し、検体−粒子複合体146とセンサ表面143との接触を確立する。システム100の別の変形では、FPWデバイス104は、プローブ上に実装し、検体に結合した磁気粒子を含むテスト溶液内に少なくとも部分的に浸漬される。この実施態様では、浸漬は、結合磁気粒子をセンサ表面143に近接して配置すれば十分であり、その結果、粒子はセンサ表面143方向に引き付けられ、その後、本明細書に記載するように検出される。基準信号を取得するには、デバイス104(または、カートリッジ103)は、基準テスト溶液中に浸漬される。実施態様によっては、デバイス104の一部分(たとえば、膜134)がプローブに実装される。さらに、膜134のセンサ表面143の一部のみが、検体に結合した磁気粒子を含む溶液と接触して配置される。これらの実施態様では、流体中のプローブの浸漬または制御された運動は、結合磁気粒子をセンサ表面143に近接して配置すれば十分であり、その結果、粒子はセンサ表面143方向に引き付けられ、その後検出される。
【0135】
システム100のもう1つの別の実施態様は、サンプル108を保持するウェル内に部分的に浸漬されて、その後取り出すことが可能な管の内部に、デバイス104を実装することを伴う。ポンプは、サンプルが浸漬された時に、サンプルを管内、およびセンサ表面143(または、カートリッジ103)上に抜き取る吸引力を適用する。サンプルは、次に、ポンプを逆転させるか、または単に管を換気することによってウェル内に逆に押し出される。サンプルを引抜き、および解放するこのサイクルは、収集効率を改善し、ひいては検定の性能を改善するために繰り返すことができる。
【0136】
以下の実施例は、本明細書に記載するシステム100の一実施態様では、検体を検出するためのシステム100を準備し、使用する工程を示す。
【実施例】
【0137】
実施例I たわみ板波デバイスの表面の捕捉剤機能化のための一般的な方法
1.たわみ板波デバイス104の表面(センサ表面143)上に金を蒸着し、金の表面143に、たとえば酸素血漿で浄化する。
【0138】
2.金の表面143に理想的な界面化学は、1)非特定的結合抵抗、および2)捕捉剤の共有結合的付着のために、表面に位置する反応基を提供するものである。金の表面143のための例示的な界面化学は、アルカンチオールの自己組立て単分子層(SAM)である。SAMは、2つのアルカンチオールの混合物から形成することができる;一方のアルカンチオールは、捕捉剤のその後の共有結合的付着のための反応基で終端し、もう一方は非反応基で終端する。一例として、EG−OH(EG3)およびEG−OCHCOOH(EG6)終端C11−アルカンチオールの混合物は、この目的に使用される。一実施態様では、たわみ板波デバイス104(特に、デバイス104の表面143)は、アルカンチオール溶液と接触して配置され、室温で、たとえば約16時間にわたって培養することができる。たわみ板波デバイス104の表面143は、次に、エタノールで洗浄され、窒素を吹き付けて乾燥される。
【0139】
3.次の工程は、たわみ板波デバイス104の表面143に対する捕捉剤の共有結合的付着を伴う。捕捉剤または検体の共有結合的付着には、多くの方法が使用される。例示的な方法は、ビオチンリンカー部分をSAMに共有結合的に連結し、次に、ストレプトアビジン連結層を介して、ビオチン化抗体または検体をたわみ板波デバイス表面143に結合することを伴う。
【0140】
実施例II たとえば、図3の方法を使用して、牛挽肉中の大腸菌0157:H7を検出する(図5は、様々な濃度の大腸菌表すデータを含む)。
【0141】
1.約100cfu/mLを超える濃度の大腸菌O157:H7を含む検体サンプルを用意する。
【0142】
a.免疫磁気分離を実施することによって、溶液中の検体サンプルを濃縮する。商業的な様々な器具(たとえば、Matrix MicrosciencesによるPATHATRIX(商標)(抗体コーティング常磁性粒子)、およびDynal BiotechによるBEAD RETRIEVER(商標)(磁気ビーズプロセッサ)、または手動の方法は、免疫磁気分離を行うために使用される。例示的な方法は、以下を含む:
b.大腸菌抗体(たとえば、Dynal Biotechから入手可能なDynabeads抗大腸菌0157)をコーティングされた磁気ビーズを、管の底の磁気ビーズペレットが消えるまで再懸濁させる。マイクロ遠心管を磁気プレートのラック(たとえば、Dynal MPC−S)内に配置する。1〜20μLの磁気ビーズストック溶液を管内にピペットで取る(選択した磁気ビーズストックの量は、所望の最終的なビーズの濃度に基づく)。
【0143】
c.1mLの検体サンプルを、磁気プレートのラック内の管、および管付近に添加する。
【0144】
d.管を数回反転させる。管内の溶液を室温で、10〜60分間にわたって培養し、静かに連続的に攪拌して、磁気ビーズが沈殿するのを防止する。
【0145】
e.管を数回反転させ、磁気ビーズを、管の側のペレット中に注ぐ。適切に回収するために、3分間置く。
【0146】
f.管を開放し、サンプルの浮遊物、および残りの液体を念入りに吸引し、管のキャップ内に廃棄する。
【0147】
g.磁気プレートを取り外す。
【0148】
h.1mLの洗浄緩衝液(PBS−TWEEN(登録商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を管に添加する。管のキャップを閉鎖し、ラックを数回反転させて、ビーズを再懸濁させる。
【0149】
j.工程e〜hを2回繰り返す。
【0150】
k.vortex混合器を使用して、管の中身を暫時混合する。
【0151】
2.大腸菌O157:H7の検出
a.大腸菌O157:H7抗体で、たわみ板波デバイス104の表面143を官能化する(A.3およびA.4の工程の説明と同様)。
【0152】
b.標準の洗浄緩衝液(0.5%のTWEEN(登録商標)20を含む1xPBS)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)中に第1入口ホースを配置し、大腸菌O157:H7を結合した磁気ビーズ(B.2で調製)を含む管中に、第2入口ホースを配置する。第1入口ホースおよび第2入口ホースは、t継手で結合され、その結果、2つのホースは流体連通し、第1入口ホース、または第2入口ホースからの流体は、流体チャンバ160の入口に方向付けられる。2本のホースは各々、個々のホースを通る流体の流れを可能にするか、または制限することができる。
【0153】
c.第1出口ホースを流体チャンバ160の出口と流体連通させて配置する。第1出口ホースからの流体は、廃棄物収集瓶内に収集される。
【0154】
d.基準出力信号は、たわみ板波デバイスを使用して取得される。基準出力信号は、流体チャンバ160内に流入するとともに、流体チャンバ160から流出する標準洗浄緩衝液を使って約5分間にわたり、標準ポンプ速度(たとえば、200μL/分)で測定する。
【0155】
e.第1磁束供給源150が係合し、次に、検体を含む管からの流体は、流体チャンバ160の入口内に方向付けられる。流体は、流体チャンバ160の入口内に方向付けられ、所望の量が少なくとも1つの表面143に付着するまで、たわみ板波デバイス160の少なくとも1つの表面143上で、大腸菌O157:H7と結合する磁気ビーズを蓄積する。流体は、一実施態様では、所望の量は、たとえば、たわみ板波デバイス104の出力部で、約4000ppmの周波数シフトがある場合に達成される。
【0156】
f.次に、検体を含む管からの流体の流れは中断される。洗浄緩衝液の管からの流体は、次に、流体チャンバ160内に方向付けられ、非特異的に結合した材料(つまり、1)磁気ビーズ、および2)検体が結合された磁気ビーズ以外の材料)を洗い流す。
【0157】
g.次に、第1磁束供給源150が分離される。
【0158】
h.自動洗浄プロトコルを開始して、任意の磁気ビーズまたはマトリックス成分を除去する。
【0159】
i.次に、屈曲波プレートデバイス104によって出力される最終信号を測定する。基準信号は、検体サンプル中の大腸菌O157:H7の濃度を決定するために、最終信号と比較される。
【0160】
実施例III たとえば、図3の方法の工程を使用して、ヒトの血液血清中の前立腺特異抗原(PSA)を検出する。
【0161】
1.ヒトの血液サンプルから遠心分離することによって、ヒトの血清を含む検体サンプルを調製する。
【0162】
2.免疫磁気分離を行うことによって、溶液中の検体サンプルを濃縮する。商業的な様々な器具(たとえば、Matrix Microsciencesによる PATHATRIX(商標)(抗体コーティング常磁性粒子)、およびDynal BiotechによるBEAD RETRIEVER(商標)(磁気ビーズプロセッサ)、または手動の方法は、免疫磁気分離を行うために使用される。例示的な方法は、以下を含む:
a.PSA抗体(たとえば、Dynal Biotechから入手可能なDynabeads抗PSA)をコーティングされた磁気ビーズを、管の底の磁気ビーズペレットが消えるまで再懸濁させる。マイクロ遠心管を磁気プレートのラック(たとえば、Dynal MPC−S)内に配置する。1〜20μLの磁気ビーズストック溶液を管内にピペットで取る(選択した磁気ビーズストックの量は、所望の最終的なビーズの濃度に基づく)。
【0163】
b.1mLの検体サンプルを、磁気プレートのラック内の管、および管付近に添加する。
【0164】
c.管を数回反転させる。管内の溶液を室温で、10〜60分間にわたって培養し、静かに連続的に攪拌して、磁気ビーズが沈殿するのを防止する。
【0165】
d.管を数回反転させ、磁気ビーズを、管の側のペレット中に注ぐ。適切に回収するために、3分間置く。
【0166】
e.管を開放し、サンプルの浮遊物、および残りの液体を念入りに吸引し、管のキャップ内に廃棄する。
【0167】
f.磁気プレートを取り外す。
【0168】
g.1mLの洗浄緩衝液(PBS−TWEEN(登録商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を管に添加する。管のキャップを閉鎖し、ラックを数回反転させて、ビーズを再懸濁させる。
【0169】
h.工程d〜gを2回繰り返す。
【0170】
i.vortex混合器を使用して、管の中身を暫時混合する。
【0171】
3.PSAの検出
a.PSA抗体で、たわみ板波デバイス104の表面143を官能化する(A.3およびA.4の工程の説明と同様)。
【0172】
b.標準の洗浄緩衝液(0.05%のTWEEN(登録商標)20を含む1xPBS)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)中に第1入口ホースを配置し、PSAを結合した磁気ビーズ(B.2で調製)を含む管中に第2入口ホースを配置する。第1入口ホースおよび第2入口ホースは、t継手で結合され、その結果、2つのホースは流体連通し、第1入口ホース、または第2入口ホースからの流体は、流体チャンバ160の入口に方向付けられる。2本のホースは各々、個々のホースを通る流体の流れを可能にするか、または制限することができる。
【0173】
c.第1出口ホースを流体チャンバ160の出口と流体連通させて配置する。第1出口ホースからの流体は、廃棄物収集瓶内に収集される。
【0174】
d.基準出力信号は、たわみ板波デバイス104を使用して取得される。基準出力信号は、流体チャンバ160内に流入するとともに、流体チャンバ160から流出する標準洗浄緩衝液を使って約5分間にわたり、標準ポンプ速度(たとえば、200μL/分)で測定する。
【0175】
e.第1磁束供給源150が係合し、次に、検体を含む管からの流体は、流体チャンバ160の入口内に方向付けられる。流体は、流体チャンバ160の入口内に方向付けられ、所望の量が少なくとも1つの表面143に付着するまで、たわみ板波デバイス104の少なくとも1つの表面143上で、PSAと結合する磁気ビーズを蓄積する。流体は、一実施態様では、所望の量は、たとえば、たわみ板波デバイス104の出力部で、約4000ppmの周波数シフトがある場合に達成される。
【0176】
f.次に、検体を含む管からの流体の流れは中断される。洗浄緩衝液の管からの流体は、次に、流体チャンバ160内に方向付けられ、非特異的に結合した材料(つまり、1)磁気ビーズ、および2)検体が結合された磁気ビーズ以外の材料)を洗い流す。
【0177】
g.次に、第1磁束供給源150が分離される。
【0178】
h.自動洗浄プロトコルを開始して、任意の磁気ビーズまたはマトリックス成分を除去する。
【0179】
i.次に、屈曲波プレートデバイス104によって出力される最終信号を測定する。基準信号は、検体サンプル中のPSAの濃度を決定するために、最終信号と比較される。
【0180】
実施例IV:校正器I中のPSA
実例として実験を実施し、本発明の原理に従って、図1Aのシステム100を使用してデータを取得した。抗前立腺特異抗原(PSA)捕捉抗体(カリフォルニア州、サンディエゴに事業所を有するPN 90205,Scripps Laboratories Inc.)で官能化したDynaltトシル活性化超常磁性ビーズは、サンプルに暴露された。サンプルは、約0pg/mL、10pg/mL、100pg/mL、および500pg/mLの遊離PSA [マサチューセッツ州、コンコードに事業所を有するFitzgerald Industries International,Inc.]でスパイクした1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、および1%ウシ血清アルブミン(BSA)から成る。サンプルに対して約2x10ビーズ/mL台のビーズ濃度を実験に使用した。スパイクしたサンプルは、ビーズとともに徐々に連続的に攪拌して、1時間にわたって攪拌した。
【0181】
カートリッジ(図示しない)内の単一チップ上に設けられた図2の8つのたわみ板波(FPW)デバイス104は、0.05%のTWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)[ミズーリ州セントルイスに事業所を有するSigma−Aldrich Co.]を含む1×PBSで最初にプライムした後、相補的な抗PSA抗体(カリフォルニア州、サンディエゴに事業所を有するPN 90197,Scripps Laboratories Inc.)で官能化した。
【0182】
データは、たとえば、2006年5月2日に出願されたMasters等の米国特許出願「Methods and Apparatus for Assay Measurements」(代理人名簿番号BIO−008)に記載連続的にいるように取得し、分析した。各々がトラッキングセンサ位相に対応し、各々が基準信号に関連する8つの個々の周波数の基準測定(本明細書の以前の説明に類似する)は、約17800秒で行った。トラッキング位相は、デバイスの共振帯の範囲内で、応答の振幅がピーク値付近であり、位相応答が、周波数の変化に対して著しい線形範囲を有する周波数付近であるように、各々のデバイスに関して最初に選択される。各々の時点でセンサ位相をトラッキングする場合、個々のデバイスのトラッキング周波数は、1)ある周波数範囲でデバイスを掃引し、基準信号に対する各々の励起周波数における応答の位相を記録する、2)励起周波数に関連する関数を各々のデバイスの測定位相に適応させる、および3)その関数を使用して、以前に決定されたトラッキング位相に対応するトラッキング周波数を計算することによって発見される。
【0183】
この実施態様では、デバイスは、約20MHzで動作し、掃引範囲は約20KHzである。この範囲では、位相特性は実質的に線形であり、適応関数を線形にすることが可能である。各々のデバイスの基準信号は、励起によって同時に駆動される受動電気構成要素のネットワークの出力部、抵抗器、およびコンデンサを備える。基準ネットワークは、減衰に一致し、かつ共鳴付近でデバイスに好ましい位相シフトを提供する。基準周波数は、トラッキングされた周波数によって参照されて正規化され、時間内に選択された位置でパーツパーミリオン(ppm)として示される。
【0184】
各々のデバイス104の感知表面143は、捕捉剤で官能化した。金コーティングチップは、一般的な処理条件が、約2分間で50Wの酸素血漿源を使用して洗浄した。このチップは、その後、純粋エタノール中に30分間浸漬した。次に、このチップは、エタノール中のビオチンPEGジスルフィド溶液(ノルウェイ、オスロに事業所を有するPolypure ASのカタログ番号41151−0895)の0.5mM溶液に移し、一昼夜培養した。チップは、30分間にわたって、純粋エタノール溶液に戻した。チップは、短時間で最終的にエタノールですすぎ洗いし、窒素流を使用して、吹き付け乾燥させた。調製条件の変形は、同様の結果を達成するように行うことができる。
【0185】
デバイス104の結果として得られるビオチン化表面には、10μg/mlのニュートラビジン溶液をビオチン化表面に1時間にわたって流すことによって、ニュートラビジン(イリノイ州、ロックフォードに事業所を有するPN 31000, Pierce Biotechnology,Inc.)をコーティングした。抗体は、メーカー(カリフォルニア州、カールスバッドに事業所を有するPN F−6347、Invitrogen CorporationC)の指示に従ってビオチン化し、次に、5μg/mlのビオチン化抗体溶液(1x PBS 0.1% BSA緩衝液中に希釈)をニュートラビジンコーティング表面上に1時間流すことによって、ニュートラビジン化表面に結合した。
【0186】
PSAサンプルを導入し、同時に、約17900〜約18200秒まで、センサ表面143付近に磁界を生成した。遊離PSAの約0pg/mL、10pg/mL、100pg/mLおよび500pg/mLのサンプルは各々、2つの異なるデバイス104に提供した(合計8つのデバイス)。サンプルは、センサ上を流れる500μLの容量当たりの合計サンプルの流れで、約100μL/分でセンサ上を流した。この方法では、遊離PSSAをコーティングされたDynalトシル活性化超常磁性ビーズは、デバイス104の実質的な表面(表面143)に結合した。各々のビーズは、複数の接着剤によってデバイス104の表面143に結合した。複数の結合剤は各々、デバイス104の表面にそれぞれ結合する差別的な力を生じる。各々のサンプルのビーズの集合の結合および分離特性は、そのサンプル中の検体の濃度を決定する。
【0187】
約18200秒では、サンプルは、プライミング緩衝液(1×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)と交換した。図11に示すように、各々の信号の変化(位置30参照)は、18200秒〜18400秒から観察したが、これは、サンプル流体を緩衝液流体に切り換えることに関連するバルク流体の変化を表す。約18400秒では、磁界は分離した。緩衝液流体(0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレートを含む1×PBS)の流速は、約18200秒〜約18400秒で約50μL/分だった(センサ表面143における約1.5mm/秒の流速に相当する)。
【0188】
この流速は、次の450秒(約18400秒から約18850秒)で、約50μL/分から約300μL/分まで線形増分で増加した(流速は、450秒間の30秒ごとに約17μL/分増加した)。この方法では、制御された外的影響(つまり、この実施態様では、流速)は、流速を約18400と約1850秒の間で増加させることによって与えた)。約18400秒と約18850秒との間の曲線部分は、その期間におけるセンサ表面143に結合したビーズ(およびその他の非特異的材料)の量の変化を示す信号を表す。
【0189】
図11は、取得されたデータおよび時間のプロットのグラフの例である。このプロットのY軸は、デバイス104の共鳴付近のトラッキングされたセンサ移送において、デバイス104によって出力される信号の相対振幅の変化である(パーツパーミリオンによる)。プロットのX軸は、秒単位による時間である。このプロットは、時間内の選択された時点において、トラッキングされた周波数によって参照され、正規化される変化である。
【0190】
トラッキングされた周波数のパーツパーミリオンで示される各曲線に関するデータは、約18350秒における曲線の値によってさらに正規化され、同じ流体の導入前に測定された基準周波数を参照する。各々のデータ曲線は、サンプルが導入される場合に比べて、約18350秒で100%の値に調整した。次に、正規化曲線の各々に関連するデータは、次に、約18400秒で磁界を除去した後、450秒で(約18400秒から約18850秒まで)時間に関して統合した。
【0191】
統合は、個々のデバイス信号レベルを蓄積することによって行い、各々の間隔レベルは、個々の間隔期間を乗算し、合計が行われた期間で最終的な和を除算した。これは、デバイスの表面143に結合した材料要素(ビーズ)の正規化量を提供し、これらの値は、各々のサンプルに関連する検体の濃度の測定基準としてここに示す。この方法では、検体の濃度は、約18400秒と約18850秒との間の期間で、各々のデバイス104の表面143に結合する材料要素の量の変化に基づいて決定される。図11に示すように、サンプルをシステム内に導入してから約9分未満で、約10pg/mLの遊離PSSAが検出された。
【0192】
実施態様によっては、たとえば、曲線内で観察される正常変動外のデータ点は省略される。たとえば、隣接データ点に対する値の大きさ程度を超えて変動するスプリアスデータ点は、後続の分析から省略される。このデータ点は、たとえば操作者、またはコンピュータプログラムによって、データから除去される。
【0193】
実施例V:血清中のエストラジオールの競合検定
遊離エストラジオールに特異的なヒツジの単クローン性抗体は、標準の方法を使用して、Dynal M280トシル活性化ビーズに結合させた。
【0194】
センサ表面は、ジスルフィド−PEG−ビオチンを金センサ表面に結合し、上記のとおり、次にニュートラビジン(Pierce PN 31000)、および次にビオチン化抗体を結合することによって構成した。
【0195】
BSA結合エストラジオール、E2−6−CMO−BSA(Sigma PN E5630)は、次に、1×PBS緩衝液中で希釈した10μg/mlのBSA結合エストラジオールを抗体表面に1時間にわたって流すことにより、抗体表面に結合させた。エストラジオールは、BSA上の複数のアミン部位に結合するため(BSAのモル当たり30モルのエストラジオール)、上記の方法は、適度に密な小分子表面を溶液に提供する。
【0196】
70%の炭素剥離ヒト血清(Texas Biologicals)、30% 1×PBS0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)を含むサンプル溶液は、0pg/ml、10pg/ml、30pg/ml、200pg/ml中でスパイクした遊離エストラジオール(Sigma)を使って製造した。濃度〜2x10/ml中のビーズは、サンプルで2時間培養した。ビーズは、次に、代表的なプロトコルを使用してFPW上を流し、結果は約0.5時間で得られた(本明細書の記載と同様)。
【0197】
サンプルによっては、ダナゾールも、複合体から成る抑制因子として添加し、エストラジオールなどの性ホルモン結合タンパク質など、任意の干渉分子を除去した。約10〜100ng/mlレベルを添加した。
【0198】
サンプルは、磁界が係合した状態でFPW上を約70uLで流れ、ビーズはセンサ表面上に蓄積した。50ul/分で開始し、500ul/分で終了し、30秒ごとに50ul/分の洗浄プロトコルは、センサ表面から結合ビーズを洗い流すために使用した。FPW信号は、暴露レベルを与える正規化信号によって正規化し、これらの信号は洗浄期間で統合した。図12に示すように、10pg/ml未満は、抑制因子添加剤36の存在下で検出することができ、50pg/ml未満は、抑制因子添加剤34の存在下で検出することができる。
【0199】
実施例VI:FK−506用の競合検定
1.FK−506は、緩衝液(1%BSAを含む0.05% PBS TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート))に添加し、FK−506濃度が0、0.5、2.0、および20ng/mlの検体サンプルを生成した。
【0200】
2.上記のように調製した1×10/mlの抗FK−506IgMの8μlをコーティングしたビーズを各々のサンプルに添加し、室温で30〜60分間培養した。これらのビーズは、抗FK−506IgM(Fitzgerald Industries Intl)を、メーカーの指示に従って(Invitrogen Corporation)常磁性ビーズに結合することによって調製される。検体サンプルは、上記の溶液中で濃縮した。
【0201】
3.FK−506(Diasorin Inc.)で標識された担体(HPR)を含む500μlの溶液をサンプルに添加し、室温で60分間培養した。
【0202】
4.サンプルは、センサが捕捉剤(抗FK−506IgM)で官能化されたFPWデバイスを使用して分析した。図10を参照すると、センサ12は、上記のとおりニュートラビジン30で官能化し、抗FK−506IgMは、標準のビオチン化方法を使用して、ビオチン化した32。図10のパネルBに示すとおり、検体10(この場合は、FK−506)は、競合分子24、および捕捉剤14(この場合は、抗FK−506抗体)で標識された粒子16と混合した。この実施例では、競合分子24には、検体FK−506)で標識された担体HRPが含まれていた。パネルCおよびDに示すように、サンプル中の比較的低レベルのFK−506は、粒子が競合分子に結合することを可能にし、ひいてはセンサ表面に結合すると予想される。比較的高レベルのFK−506は、粒子の多くが、サンプルからのFK−506に結合するため、感知表面に結合する粒子は少なくなると予想される。図13および14に示すように、0.5ng/ml〜20ng/mlの範囲のFK−506濃度は、サンプルをデバイス内に導入してから最短で15分で検出された。
【0203】
実施例VII:血液中のFK−506の競合検定
1.100μlの血液それぞれの4つのサンプルは、0、3、10、または30ng/mlのFK−506でスパイクした。薬剤は、メーカーの指示(Diasorin Inc.)に従って、タンパク質消化プロトコルを実行することにより、血液マトリックスから抽出した。
【0204】
2.600マイクロリットルのタンパク質消化試薬を各サンプルに添加した。
【0205】
3.サンプルは、渦流で混合し、室温(約23℃)で15分間培養し、半透明の混合物を生成する。
【0206】
4.消化反応は、サンプルを75℃で35分間培養することによって停止し、暗褐色の混合物を生成する。
【0207】
5.サンプルは、渦流によって混合し、1800gで10分間遠心分離して、500〜600μlの浮遊物を生成する。
【0208】
6.500マイクロリットルの浮遊物を新しい管内に移し、FK−506の濃度が同じ4つのサンプルを1つの管内で混合し、FK−506の各々の濃度ごとに2mlの浮遊物を生成する。
【0209】
7.サンプルは、上記のとおりに分析した。図15および16に示すとおり、0.5ng/ml〜20ng/mlのFK−506の濃度が、サンプルをデバイス中に導入してから最短で8分間で検出された。
【0210】
実施例VII 緩衝液中のcトロポニン
3つの単クローン性捕捉抗体(Fitzgerald10−T79−クローン番号M8010521、M0110609、およびM0110510)は、それぞれ2:2:1の比率のDynal M280トシル活性化ビーズに結合した。単クローン性Ab、10−T79B、クローン番号M8010509は、Invitrogen標識キットF−6347でビオチン化し、PolypureビオチンPEGジスルフィドリンカー(上記のとおり)を使用して、金をコーティングしたFPWセンサに結合し、その後、ニュートラビジン(Pierce PN 31000)で変性させた。
【0211】
トロポニンI抗原は、0ng/ml、0.2ng/ml、1ng/ml、および5ng/mlの濃度で、1×PBS1%BSAに希釈した。ビーズ(本明細書では、粒子とも呼ぶ)は、〜2×10/mlの濃度で添加し、サンプルを7〜10分間培養した後、センサに抜き取り(3〜5分)、次に5分間洗浄した。結果を図18に示す。0ng/mlの検体を含むサンプルに関連する背景レベルは、参考として0.01ng/mlにプロットする。
【0212】
実施例VIII 炭素剥離血清中のc−トロポニン
サンプルは、70%の炭素剥離血清、30%のリン酸塩緩衝生理食塩水0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)で調製した。心臓−トロポニン−I(Biospacific)は、最終濃度0ng/ml、0.4ng/ml、1ng/ml、および5ng/mlまで添加した。ビーズは、Dynal標準プロトコルに従って抗cトロポニン抗体(Biospacific PN A34440)で官能化し、サンプルで15分間培養した後、サンプルを個々のセンサ上に流した。
【0213】
センサは、上記のとおり、ニュートラビジン、およびビオチン化多クローン性抗体(Biospacific PN G−129−C)で官能化した。ビーズ/複合体の混合物をセンサ上に流し、センサは、緩衝液を15uL/分で5分間にわたって流すことにより洗浄した。データは、磁界を除去した後2分の時点で観察した。0ng/mlのサンプルを使用して、背景レベルの信号を減算補正した。図19に示すように、最小で0.4mg/mlのcトロポニンが検出された。
【0214】
実施例IX 溶解全血中のcトロポニン
サンプルは、50%の全血(Texas Biologicals)50%リン酸塩緩衝生理食塩水0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)で構成した。心臓−トロポニン−I(Biospacific)は、0ng/ml、0.4ng/ml、1ng/ml、および5ng/mlの濃度で添加した。Dynal標準プロトコルに従って、抗−cトロポニン抗体(Bioscpacific PN A34440)で官能化したビーズは、サンプルで15分間培養した後、結果を個々のセンサ上に流した。
【0215】
センサは、上記のとおり、ニュートラビジン、およびビオチン化抗cトロポニン多クローン性抗体(Biospacific PN G−129−C)で官能化した。ビーズ/複合体の混合物に暴露した後、センサは、緩衝液を50uL/分〜150uL/分で、30秒ごとに10ul/分の増分で流すことによって洗浄した。信号データは、洗浄期間の実質的な部分で統合した。0ng/mlのサンプルを使用して、背景レベルの信号を減算補正した。図20に示すように、最小で0.4mg/mlのcトロポニンが検出された。
【0216】
実施例X CHO−HCPの検出
官能化ビーズ−Dynal M280トシル活性化ビーズ(上記)は、メーカーの標準プロトコルを使用して、抗CHO−TOP多クローン性抗体(CygnusTechnologies F015)に結合した。
【0217】
センサは、同じ多クローン性抗体を使用して調製した。多クローン性抗体は、上記のようにビオチン化し、最初にビオチンPEGジスルフィドの副層を使用してFPWセンサ表面にコーティングし、Polypure PN# 41151−0895を金FPW表面にコーティングし、Polypureコーティングサブ表面は、その後ニュートラビジン、Pierce PN 31000と層状にして、最後に、上記で以前に説明した方法と同様に、ビオチン化捕捉抗体で官能化した。
【0218】
抗原は、0ng/ml、06 ng/ml、2ng/ml、および10ng/mlの濃度で、1X PBS 1% BSA中で希釈して、スパイクされたサンプルを製造した。スパイクされたサンプルは、約1x10−5x10ビーズ/mlの濃度で、官能化ビーズを使って培養した。サンプルは、官能化ビーズを使って、2時間にわたって培養した。〜20分間のFPW検出プロセスは、上記のPSAの実施例に類似する方法で行った。センサ上に微小粒子を装填し、その後サンプルを培養するには、70ul/分の流量(センサごとに使用した210uLのサンプル)で約3分間要した。装填後、緩衝液、0.5%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)を含む1×リン酸塩緩衝生理食塩水を導入し、蓄積微小粒子の基準測定を行った。次に、吸引磁界を除去し、微小粒子を、上記のPSA検定実施例と同様の範囲の洗浄流量に暴露した。図21に示すように、本明細書で提供する方法は、宿主細胞タンパク質を検出する標準ELISA検定と少なくとも同様の感度である。さらに、CHO−HCPをテストする合計時間は、推奨されるELISA5時間プロトコルと比べて2.5時間の範囲だった。
【0219】
実施例XI:タンパク質A/G官能化センサ
センサは、タンパク質A/Gを使用して官能化した。金表面を有するFPWチップは、最初に、チップをアセトン中に10分間浸漬し、次にエタノール中に10分間浸漬してチップの表面を洗浄することによって、タンパク質A/Gで官能化した。チップは、次に、電極側およびウェル側の両方で、O血漿中で(50W、2分)灰化した。5mgの組み換え型タンパク質A/G(Pierce PN 21186)は、2mlのPBS中に懸濁させて、2.5mg/mlの原液を与えた。金表面上で培養する前に、タンパク質A/G原液を750ug/mlに希釈した。タンパク質A/G(750ug/ml)溶液は、個々のウェル内のチップに添加した。このチップは、湿度チャンバ内に配置し、18時間培養した。チップは、次に、1X PBSまたはDI水で十分に洗浄して乾燥させ、カートリッジ内に入れる。
【0220】
表面は、既知の抗体濃度で校正することができる。さらに、抗体は、校正された表面から剥離することができ、校正された表面は再使用(resused)できる。抗体は、表面を0.1Mリン酸で洗浄することによって剥離することができる。剥離した表面は、10回以上再使用(resused)可能である。
【0221】
サンプルを装填するには、緩衝液(1×リン酸塩緩衝生理食塩水0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)をカートリッジに添加し、センサの表面を湿潤させた。BSA緩衝液中で0.1mg/mlまたは0.01mg/mlという最終単クローン性抗体濃度を有するサンプル(6mg/mlの原液をセンサ湿潤緩衝液(1×リン酸塩緩衝生理食塩水、0.05%TWEEN(登録商標)20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート)中で希釈して調製)をカートリッジ内に導入し、タンパク質A/Gに結合する単クローン性抗体の直接周波数シフト信号を検出した。検出は、サンプルを装填する1〜4分間で行った。サンプルを50uL/分で装填してから2分後(正味100uLの希釈サンプルを使用した)、サンプルは逆に緩衝液に切り換えて、センサからの信号を平均した。各々の読取り後、および緩衝液をセンサウェルに流した後、0.1Mリン酸溶液をセンサ上に1分間流し、結合単クローン性抗体を除去し(本明細書では、剥離とも呼ぶ)、表面を次の動作のために回復させた。このプロセスは、同じサンプルを使って3回繰り返した。0.1mg/mlおよび0.01mg/mlサンプルの両方の結果は、5〜10%の範囲内で再現可能だった。
【0222】
本発明は、その精神、またはその本質的な特色から逸脱せずに、その他の特定の形式で具現される。したがって、本発明の実施態様は、実例であって、制限的なものではないと考えるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって指示され、したがって、請求の範囲と等価な意味および範囲内に含まれるすべての変更は本願に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1A】図1Aは、本発明に従って構成された検体検出システムの一実施態様を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aに示す検体検出システムの一部分のもう1つの実施態様を示す。
【図2】図2は、図1Aに示すFPWセンサのより詳細な図を示す。
【図3】図3は、生物学的検体を検出するための検体−粒子複合体に関連して、FPWセンサを使用するための一般的な検出プロトコルを示す。
【図4】図4は、複数のFPWセンサからの信号の変化を例示的な検出プロトコルの時間の関数として示す。
【図5】図5は、最初の検体濃度の関数として検出された最終信号の変化を示すサマリプロットである。
【図6】図6は、図4に示すプロットに類似しているが、PSA検体の検出プロトコルの時間発展プロットを示す。
【図7】図7は、音響デバイスの感知表面に捕捉剤を付着させるための2つの形式の略図である。
【図8】図8は、競合分子(たとえば、検体)が感知表面に結合する本発明の一実施態様の略図である。
【図9】図9は、競合分子が、タグに連結する被検体であり、音響デバイスの感知表面に、タグに結合可能な捕捉剤がコーティングされる本発明の一実施態様の略図である。
【図10】図10は、競合分子が、担体と、担体に結合した2つ以上の被検体分子とを含み、音響デバイスの感知表面に、被検体に結合可能な捕捉剤をコーティングされる本発明の一実施態様の略図である。
【図11】図11は、複数のFPWセンサからの信号の変化をPSA濃度の関数として示す。
【図12】図12は、複数のFPWセンサからの信号の変化を、血清中のエストラジオール濃度の関数として示す。
【図13】図13は、緩衝液中のFK−506の用量反応曲線である。
【図14】図14は、複数のFPWセンサからの信号の変化を、緩衝液中のFK−506濃度の関数として示す。
【図15】図15は、血清中のFK−506の用量反応曲線である。
【図16】図16は、複数のFPWセンサからの信号の変化を、血清中のFK−506濃度の関数として示す。
【図17】図17は、複数のFPWセンサからの信号の変化を、粒子濃度の関数としえ示す。
【図18】図18は、緩衝液中のc−トロポニン−Iの用量反応曲線を示す。
【図19】図19は、血清中のc−トロポニン−Iの用量反応曲線を示す。
【図20】図20は、溶解全血中のc−トロポニン−Iの用量反応曲線を示す。
【図21】図21は、緩衝液中のCHO−HSPの用量反応曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセス液を分析するための方法であって、該方法が、
a)バイオプロセス液、および1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングされた複数の粒子を流体チャンバ内に導入する工程であって、該流体チャンバの少なくとも1つの表面が、そこに結合される該1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤を有する音響デバイスを備える、工程と、
b)該音響デバイスによる信号の出力を監視し、それによって、該バイオプロセス液中の1つまたは複数の生物学的マーカーを検出する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記バイオプロセス液が、組み換え宿主細胞によって生成されたならし培地である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組み換え宿主細胞が、細菌、真菌、昆虫細胞、および哺乳類細胞からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオプロセス液が、乳汁、馴化した細胞培養培地、血液、血清、血漿、および血漿画分からなる群より選択される1つまたは複数の液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオプロセス液が、細胞ホモジネートおよび組織ホモジネートからなる群より選択される1つまたは複数の液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程a)の前に、前記バイオプロセス液が、粒子状物質の除去、ダイアフィルトレーション、サイズ分画、クロマトグラフィ、および希釈からなる群より選択される1つまたは複数の処理に供されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の生物学的マーカーが宿主細胞タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の生物学的マーカーが、1つまたは複数の不純物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の不純物が細菌抗原である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記不純物がウィルスである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数の生物学的マーカーが、乳汁抗原、血清抗原、血漿抗原、および免疫グロブリン凝集体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記音響デバイスがたわみ板波デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子が磁性であり、前記方法が、前記音響デバイスに近接して磁束を形成し、複数の磁気粒子の少なくとも1つを前記少なくとも1つの表面に向かって引き付ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記磁束が工程b)の前に除去される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の捕捉剤が多クローン性抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の捕捉剤が、2つ以上の単クローン性抗体の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
バイオプロセス液中の1つまたは複数の生物学的マーカーのレベルを検出することを含む、該バイオプロセス液の純度を評価するための方法であって、
a)該バイオプロセス液、および該生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティングされた複数の粒子を流体チャンバ内に導入する工程であって、該流体チャンバの少なくとも1つの表面が、そこに結合される該1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤を有する音響デバイスを備える、工程と、
b)該音響デバイスによる信号の出力を監視し、その結果、該サンプル中の1つまたは複数の生物学的マーカーのレベルを検出し、それによってバイオプロセス液の純度を評価する工程と
を含む、方法。
【請求項18】
バイオプロセス液中の1つまたは複数の生物学的マーカーのレベルを検出することを含む、バイオプロセス液の純度を評価するための方法であって、
a)該バイオプロセス液と、1つまたは複数の生物学的マーカーに対して親和性を有する複数の捕捉剤を含む複数の磁気粒子とを合わせ、該1つまたは複数の生物学的マーカーの少なくとも一部に結合した少なくとも一部の磁気粒子を生成する工程と、
b)該合わせた流体を流体チャンバ内に導く工程であって、該流体チャンバの少なくとも1つの表面が、そこに結合される該1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤を有する音響デバイスを含む、工程と、
c)たわみ板波デバイスに近接して磁束を形成し、該複数の結合磁気粒子の少なくとも一部を該たわみ板波デバイスの少なくとも1つの表面に磁気的に引き付ける工程と、
d)該音響デバイスによる信号の出力を監視し、その結果、該サンプル中の1つまたは複数の生物学的マーカーのレベルを検出し、それによってバイオプロセス液の純度を評価する工程と
を含む、方法。
【請求項19】
前記たわみ板波デバイスの前記少なくとも1つの表面に近接する前記磁束の少なくとも1つを選択的に変更する工程、または該たわみ板波デバイスの該少なくとも1つの表面に近接する流体の流れの少なくとも1つの特性を変更して、該たわみ板波デバイスの該少なくとも1つの表面の少なくとも一部分上に前記複数の結合磁気粒子の少なくとも一部を選択的に配置する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体の流れの前記少なくとも1つの特性が、流体圧力、流量、および流体の軌跡からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流体の流れの少なくとも1つの特性を変更する工程が、前記流体の流路を変更して、前記たわみ板波デバイスの少なくとも1つの表面付近の前記磁気粒子の運動を制御する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記たわみ板波デバイスを励起して、該たわみ板波デバイスの前記少なくとも1つの表面に付着する物質を選択的に取り除く工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
バイオプロセス液の純度を評価するための装置であって、
a)流体が入る少なくとも1つの開口部を有する流体チャンバと、
b)該流体チャンバの少なくとも1つの内面の少なくとも一部分を画定し、1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティング可能なたわみ板波デバイスと、
c)該たわみ板波デバイスによる少なくとも1つの信号出力を監視する監視デバイスと、
d)1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をコーティング可能な複数の磁気粒子と、
e)磁気粒子を該たわみ板波デバイスに選択的に引き付ける第1磁束供給源と
を備える装置。
【請求項24】
前記流体チャンバの前記少なくとも1つの内面が、そこに結合される前記1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をさらに含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記複数の磁気粒子が、そこに結合される1つまたは複数の生物学的マーカーを結合可能な複数の捕捉剤をさらに含む、請求項23に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2009−520209(P2009−520209A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547416(P2008−547416)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048327
【国際公開番号】WO2007/075619
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508153707)バイオスケール, インコーポレイテッド (4)