説明

バイオマスの水蒸気改質で酸素を使用するための方法及び装置

少なくとも1つの流動床反応器内でのバイオマスの熱化学的ガス化に酸素を使用するための装置を提示かつ記述する。この流動床反応器の流動床内には加熱器が配置され、かつ流動床反応器は、酸素による可燃性ガスの少なくとも部分的な酸化によって加熱可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料、好ましくはバイオマスのガス化及び/又は熱分解用の流動床反応器であって、流動床反応器の流動床を加熱するための加熱器を有し、この加熱器が少なくとも1つの空洞を有する流動床反応器に関する。本発明はさらに、好ましくは上記タイプの流動床反応器における固形燃料、好ましくはバイオマスのガス化及び/又は熱分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気改質を利用してバイオマスから合成ガスを生成する最初の工程は吸熱反応である。従ってエネルギーをプロセスに投入しなければならない。これはバイオマスの部分燃焼によって為し得る。しかしながら、約800℃の温度レベルで反応器に酸素を送達するのは、大量の酸素供給のため、バイオマスの灰成分の融解を引き起こすほど高い温度に局所的に達してしまう可能性があるので容易でない。この理由のため、酸素を水蒸気又は窒素で希釈するか、或いはバイオマスを不活性な床材料の小フラクションとして、熱を床材料に伝達する小さいコークス粒子の形で供給しなければならない。従って、流動床反応器は通常は空気で操作される。
【0003】
最もよく知られているこのタイプの工業プラントは、オーストリアのギュッシング(Guessing(独訳))にある。このプラントは、相互に砂循環(sand circuit、Sandkreislauf(英、独訳))によって連結された2つの流動床反応器を有する。燃焼器と呼ばれる反応器は空気で操作される。ここで、コークス粒子が燃焼し、循環砂床が約950℃に加熱される。これらの酸化条件下におけるコークス粒子の温度は1100℃より高いかもしれない。従って、このタイプの反応器は木材でのみ安全に操作できる。作物タイプのバイオマスを使用すると、その低い灰分融点のため、砂の凝集につながるであろう。
【0004】
水素の生成には有利であろうが、加圧ガス化のためには、このタイプの反応器はあまり適切でない。
【0005】
原則として、流動床反応器を純酸素の直接送達によって自己熱操作してもよい。しかしながら、実際には、たとえ酸素を水蒸気で2分の1に希釈しても、この場合はバイオマスの灰分融点が超過する。その結果、自己熱操作は、特許文献1に開示されているように、特定構成の酸素供給、及び溶融灰分の特殊な抽出を必要とする。この灰分は無機肥料として再利用できない。
【0006】
純酸素では、灰分融点を超過せずにはギュッシングタイプのような外熱(allothermal、allothermer(英、独訳))操作も純酸素注入による自己熱操作もできない。21%の酸素含量(空気)でさえ問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第10242594(A1)号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19807988(A1)号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102008014799(A1)号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102008032166(A1)号明細書
【0008】
【非特許文献1】Zweibett Wirbelschichtvergasung in Guessing mit 2 MWel/4.5MWth [Two-bed fluidised bed gasification in Guessing with 2 MWel/4.5MWth]; R.Rauch, H. Hofbauer; Holzenergiesymposium [Wood energy symposium] 18th October 2002,ETH Zurich, Switzerland
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、上記欠点を回避すること及び流動床反応器でのバイオマスのガス化に酸素を使用できるようにすることである。特に、低い灰分融点を有するバイオマスの水蒸気改質に純酸素を使えるようにすることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1及び16の特徴によって達成される。請求項2〜15及び17〜25は、本発明のさらに有利な構成に関する。
【0011】
本発明によれば、加熱器は、上に述べたように酸素含有ガスを加熱器の空洞に送達するための酸素供給口を有し、空洞は、加熱器の多孔質のガス透過性部分に隣接する。これにより、酸素含有ガスの酸素を用いた制御酸化が可能になる。例えば、それは空気であってよい。しかしながら、技術的には純酸素が好ましい。多孔質かつガス透過性部分は、酸素含有ガスが可燃性ガスと接触し、その結果として可燃性ガスを酸化するという作用をも達成することができ、流動床のコークス粒子は同時には酸素と直接反応できない。その結果として、いずれの場合もコークス粒子は大部分が酸化ゾーンと無関係である。
【0012】
種々多様のやり方で加熱器を形成し得る。しかしながら、多孔質構成のため、費用的理由によって、加熱器が少なくとも1つの管、特に複数の管を含むことが特に好ましい。簡単にするため、以下、多くの場合は単に管それ自体について述べる。繰り返して述べるものではないが、複数の管の代わりに、1つのみの管を設けるか、或いは代わりに又は加えて、異なる構成の加熱器を設けることもできる。
【0013】
本方法によれば、酸素含有ガスを加熱器の空洞に送達し、酸素含有ガス及び/又は可燃性ガスが、加熱器の多孔質のガス透過性部分を通って流れる。可燃性ガスは、酸素含有ガスによって少なくとも部分的に酸化され、その間に熱を放出する。次にこの酸化熱が流動床反応器の流動床に伝達される。
【0014】
簡単にするため、装置及び方法のさらなる改良点をまとめて後述する。当業者は、改良点の特別な装置の特徴及び方法の特徴をそれぞれ認めるであろう。
【0015】
流動床反応器の第1の好ましい構成では、好ましくは管が流動床反応器内に設けられ、少なくともいくつかの管が少なくとも部分的に多孔質のガス透過性管として形成されている。これにより、関与するガスを適切に導くことができる。上で述べたようにあらゆる管が多孔質かつガス透過性であることが絶対的に必要なわけでなく、あらゆる管が連続的に多孔質かつガス透過性である必要もない。
【0016】
特に好ましい流動床反応器では、加熱器が、相互に同心円状に配置された複数の管を含む。このように少なくとも2つの管の複数群が設けられ、いずれの場合も相互に同心円状に設けられている。ここで、当然に、正確に同心の相互配置は必須ではない。各群の管には内管と外管があり、少なくとも内管又は外管は多孔質かつガス透過性であるように形成されている。このようにして、さらなる固定物を設け得る環状空間が内管と外管間に得られる。関与するガスの適切な流れを導くためのさらなる流路としてこの環状空間を使用し得る。
【0017】
このような管の配置では、酸素含有ガスを内管に送達するように酸素供給口を形成し得る。その結果、コークス粒子は環状空間に入れないので、環状空間内でコークス粒子の非存在下にて可燃性ガスの酸化が起こり得る。外管は環状空間内の必要に応じて非常に高温に対する遮蔽物としても作用し得るので、流動床内でコークス粒子の灰分融点が超過することはない。
【0018】
可燃性ガスが、対応して多孔質かつガス透過性の外管を通じて流動床から環状空間に入るのではなく、外側から環状間隙に直接送達される場合、酸素含有ガスは外管と内管の間の環状空間にも送達され得る。その結果、酸素を外管からさらに遠くに維持できるので、望ましくない反応を回避できるか又は少なくとも減らすことができる。
【0019】
可燃性ガスが内管に又は外管及び/又は内管の間の環状空間に送達されるように、可燃性ガスを送達するための可燃性ガス供給口を設けてよい。このようにして、好ましい方法管理に従って可燃性ガスが加熱器に確実に送達されるようにすることができる。
【0020】
例えば可燃性ガスを流動床から加熱器に送達できるため、或いは酸素含有ガス又は酸化されたガスを加熱器から流動床に送達できるためには、それぞれの内管とそれぞれの外管を両方とも多孔質かつガス透過性であるように形成してよい。
【0021】
少なくとも1つの好ましくは多孔質かつガス透過性のさらなる管及び/又は少なくとも1つの必要に応じてガス透過性の熱保護遮蔽物を必要に応じて外管と内管の間に設けてよい。これは、例えば、流動床内のコークス粒子に関して熱遮蔽するために使用し得る。
【0022】
加熱器のガスと流動床のガスの混合を回避しようとする場合、外管を少なくとも1つのガス非透過性ケーシングで囲んでよい。その結果、ケーシングが、いわば可燃性ガスの酸化によって内側から加熱されて、対応する熱を流動床に伝達する。ケーシング自体を同心円状の管として形成してもよい。
【0023】
設計用語で単純に形成される流動床反応器では、酸素供給口が、酸素含有ガスを空洞に送達し、同時に流動化ガスを流動床反応器の流動床に送達するためのノズルフロアを含んでよい。
【0024】
同時に酸素含有ガスと可燃性ガスを加熱器の空洞に送達し、かつ流動化ガスを流動床反応器の流動床に送達するために、可燃性ガス供給口を同様にノズルフロアに組み込んでよい。
【0025】
加熱器は、好ましくは固定流動床及び/又は循環流動床内に設けられる。そこでは、熱伝達が特に良く、流動床の外側よりかなり良い。流動床が不活性な床材料を含んでよい。しかしながら、例えば、流動床がコークス粒子で形成されるように、不活性な床材料が不必要なこともある。これはコークスクラウド(coke cloud、Kokswolke(英、独訳))と呼ばれる。例えば水蒸気改質のため、加熱器を用いて熱と共にうまくコークス粒子を供給することができる。
【0026】
加熱器の多孔質のガス透過性部分、好ましくは少なくとも1つの多孔質のガス透過性管が少なくとも局所的に触媒材料を含み、及び/又は触媒材料で作られている場合、タールの触媒変換が起こり得る。この目的のため、好ましくは可燃性ガスとして、流動床反応器の方法工程の上流で熱分解反応器内で生成されるタール含有熱分解ガスを使用する。可燃性ガスは次に、好ましくはその部分酸化後に多孔質のガス透過性部分を通って流れ、それによって触媒と接触し得る。
【0027】
多孔質のガス透過性部分、特に多孔質のガス透過性管を電気的に加熱できるように形成すれば、上記利点を失うことなく、加熱器の有効性を高めることができる。この場合、多孔質のガス透過性部分、特に多孔質のガス透過性管を必要に応じて抵抗発熱体として使用してよい。従って、多孔質のガス透過性部分、特に多孔質のガス透過性管を導電性金属材料から形成するのが好ましい。しかしながら、あらゆる多孔質のガス透過性部分又はあらゆる多孔質のガス透過性管が電気的に加熱可能である必要はない。特に相互に同心円状に配置された管の場合、1つの内管及び/又は1つの外管が電気的に加熱可能であれば十分であり得る。
【0028】
抵抗発熱体を流動床反応器の高さにわたって分割して設けてもよいので、加熱器の電気加熱力を相互に独立した対応セグメント内で調整及び/又は制御することができる。分割された加熱器は、例えば穴あき金属シートを使用することによって、流動床反応器をも様々な部分に細分割する場合に特に便利である。その結果、例えば、加熱器の個々の電気セグメントの電圧源のために穴あき金属シートを使用できる。
【0029】
本発明によれば、特に好ましい例示実施形態では、酸素含有ガスが加熱器の多孔質のガス透過性部分を通って流動床反応器の流動床の方向に流れ、多孔質のガス透過性部分内及び/又は多孔質のガス透過性部分の、流動床に面している側のすぐそばで、流動床内の可燃性ガスを酸化する。これが酸化粒子とコークス粒子の空間的隔離を果たすので、灰分融解温度の超過を回避することができる。さらに、加熱器の多孔質のガス透過性部分は、酸化によって意図的に加熱され、その後、対応する熱を、例えば熱放射によって流動床、特にコークス粒子に伝達する。
【0030】
代案として、流動床反応器の流動床の可燃性ガスを、加熱器の多孔質のガス透過性部分を通して加熱器の空洞の方向に流して、加熱器の多孔質のガス透過性部分内及び/又は加熱器の空洞内で酸素含有ガスで酸化してもよい。この場合も上記利点が達成される。
【0031】
別の代替方法では、酸素含有ガスが少なくとも1つの多孔質かつガス透過性内管に送達され、この酸素含有ガスは、内管の細孔系を通って、内管と多孔質のガス透過性外管の間の環状空間に流れ込み、かつ可燃性ガスは、内管と外管の間の環状空間に送達される。可燃性ガスは最終的に環状空間内で酸素含有ガスで酸化され、次にこの少なくとも部分的に酸化されたガスが外管の細孔系を通って加熱器から出てくる。少なくとも部分的に酸化されたガスは、好ましくは流動床反応器を加熱するため、流動床反応器に流れ込む。特に、少なくとも部分的に酸化されたガスは流動床反応器の流動床に流れ込み、そこで少なくとも部分的に酸化されたガスの熱がコークス粒子に伝達される。
【0032】
この明細書では、少なくとも部分的に酸化されたガスは、多孔質のガス透過性管及び/又は内管と外管の間の熱保護遮蔽物を通って、好ましくは流動床反応器中に、さらに好ましくは流動床反応器の流動床に流れ込み得る。このようにしてコークス粒子に関して、より良い熱遮蔽が達成される。その結果、コークス粒子に含まれる灰分の融解につながる過剰の温度上昇を回避することができる。
【0033】
好ましい代替方法では、酸素含有ガスが少なくとも1つの多孔質かつガス透過性内管に送達され、そこから酸素含有ガスが内管の細孔系を通って、内管と外管の間の環状空間に流れ込む。さらに環状空間に可燃性ガスが供給され、そこで酸素含有ガスによって酸化される。このようにして少なくとも部分的に酸化されたガスは吐出口(discharge、Abfuehrung(英、独訳))を経て流動床反応器から抽出され、流動床反応器の流動床に直接導入されない。このようにして、対応する混合を防止することができる。
【0034】
代案として、可燃性ガスを少なくとも1つの多孔質かつガス透過性内管に送達し、内管の細孔系を通じて内管と外管の間の環状空間に流し、そこに酸素含有ガスを送達してもよい。その結果、可燃性ガスは環状空間内で酸素含有ガスによって酸化される。そして、少なくとも部分的に酸化されたガスは吐出口を経て流動床反応器から抽出される。
【0035】
少なくともいくつかの方法代替案では、流動床反応器の熱分解反応器の上流からの、好ましくはタールを含有する熱分解ガスを可燃性ガスとして使用するのが好ましい。結果として、このようなガスを供給し、容易に使用することができる。さらに、熱分解ガスを使用すると、それに含まれるタールの排出(unloading、Entfrachtung(英、独訳))につながり得る。
【0036】
別の方法の変形によれば、酸素含有ガスが少なくとも1つの多孔質かつガス透過性内管に送達され、引き続き内管の細孔系を通って内管と外管の間の環状空間に流れ込む。他方で、可燃性ガスは流動床反応器の流動床から多孔質のガス透過性外管を通って内管と外管の間の環状空間の方向に流れる。可燃性ガスは最終的に環状空間内で酸素含有ガスによって酸化され、この少なくとも部分的に酸化されたガスは吐出口を経て流動床反応器から抽出される。
【0037】
設計用語で単純であり、かつ簡単な方法管理のために単純なやり方では、可燃性ガス及び/又は酸素含有ガスが、流動床反応器のノズルフロアを経て送達され、流動床反応器の流動化ガスが、ノズルフロアを通って流動床に送達され得る。
【0038】
本発明では、酸素と、バイオマスから生じたコークス粒子との直接接触を実質的に回避することができる。本発明によれば、外熱操作と自己熱操作の両方が可能である。ここでは、酸素は酸素含有ガス、好ましくは技術的に純粋な酸素を意味するものとする。
【0039】
ここでは、流動床は、バイオマスから生成される浮遊コークス粒子を有するいずれの形態の反応ゾーンをも意味するものとする。流動床は、砂などの不活性な床材料を含有し得る。砂あり及び砂なしの通常の固定流動床、循環流動床又はコークスクラウドに本発明を利用し得る。
【0040】
本明細書では、コークスクラウドは、ガス流内に分布された非常に多くのコークス粒子の配置を意味するものとし、コークス粒子は、その粒径が非常に小さいので、例えば熱分解ガスの形のプロセスガスによって少なくとも懸濁状態で維持され、特に該ガスによってさらに輸送される。
【0041】
好ましくは大きい表面積を有し、かつ少なくとも部分的にガス透過性である、加熱器を形成する構造体が、流動床反応器の流動床内に配置される。
【0042】
酸素を用いて、ガスの酸化又は部分酸化によって、この構造体を加熱し、その熱を熱伝導、対流及び熱放射によって流動床に伝達することができる。工業用途の構造体は、好ましくは本質的に複数及び/又は多数の管から形成され得る。流動床反応器の流動床内に多数の管を配置してよい。プロセス管理に応じて、いくつかの管はガス透過性であり、他の管はガスを通さなくてよい。例えば、連結孔隙のある焼結管、穴のあいた織物又は管はガス透過性である。
【0043】
カートリッジフィルターから知られているように、多孔質構造を有する管を用いて有利なプロセス管理を達成することができる。セラミック及び金属材料が適している。管が、同様にガス透過性構造を有するさらなる管を含んでよく、或いはガス不透過性であるように設計してもよい。
【0044】
構造体、特に構造体の外管の加熱を例えば以下のように行ってよい。
(a)構造体、特に管に送達された酸素は、流動床反応器の反応空間内の圧力が多孔質構造体内より低いという十分に正の圧力差を与えると、対応する線を通って、内側から外方へガス透過性外管壁を通って流動床反応器の反応空間の方向に流れる。そして、流動床反応器に含まれるガスが、構造体の外層の細孔内又は構造体のすぐそばで酸化される。この酸化が構造体を加熱することになる。非常に小さい細孔又は微細な穴を有する構造体では、酸化が壁のすぐ近傍で起こり、エネルギーの大部分が管を加熱するために使われる。従って、酸化されたか又は部分的に酸化されたガスが流動床反応器内に残る。従ってこの場合、ガス化は自己熱的である。
【0045】
(b)流動床反応器の反応空間内の圧力が多孔質構造体内より高いという負の圧力差を与えると、流動床反応器のガスは構造体の内部方向に流れる。壁の細孔内又は構造体内で、ガスは、構造体に送達された酸素と反応し、具体的には圧力差の関数として反応する。酸化は、好ましくは(a)の場合と同様に内壁で起こる。酸化されたか又は部分的に酸化されたガス、すなわち反応生成物は、さらに使用するため管から抽出される。このさらなる使用は、例えば、プロセス全体で使用可能な顕熱を生じさせることにある。酸化されたか又は部分的に酸化されたガスをより高い圧力レベルにして、流動床反応器の反応空間に送達してもよい。
【0046】
(c)特に構造体が複数の多孔質層、好ましくは複数の同心円状の多孔質管から構成されている場合、構造体を加熱するためにいずれの所望の可燃性ガスを使用してもよい。結果として、構造体は好ましくは少なくとも2つの同心円状の多孔質管を含む。可燃性ガスを、構造体の多孔質層の中空間、特に同心円状の管間の環状空間、又は構造体の内部若しくはそれぞれ同心円状の内管の内部に導入してよい。すると、酸素が他方のそれぞれの空間、中空間、環状空間又は内部に導入されるので、可燃性ガス及び酸素は、最初は少なくとも1つの層又は壁によって相互に隔離される。
【0047】
酸素が例えばガス透過性内管に導入され、ガスが環状空間に導入されると、正の圧力差があれば、酸素が環状空間に流れ込み、そこでガスが少なくとも部分的に酸化される。従って、内管が熱くなり、熱を外管に伝達し、今度は外管が熱を流動床反応器の流動床に伝達する。タール含有熱分解ガスをガスとして選択する場合は、内管が可能な限り高い温度に達するのが望ましい。この場合、環状空間内に、例えば圧延穴あき金属シートの形で追加の熱保護遮蔽物を配置すると、反応空間内の温度が灰分融解が起こり得るほど高く上昇することなく、対応する中空間内で高い温度に達し得るので有利である。従って、反応ゾーンと最も外側の同心円状の多孔質管の間に熱保護遮蔽物を設ける。熱保護遮蔽物を形成するためのシート金属を最大限の乱流が起こるように構成してよく、そうするとガス分子ができる限り頻繁に熱い管壁と接触する。タールの分解を補助するため、少なくとも内管を触媒的にコーティングするのが有利である。例えば、アンモニアで分解できる、周期表VIII族のニッケル系触媒がこれに適している。ニッケル系触媒のMgO、ZrO又はZrO−Alによるドーピングも有利である。高温での熱分解ガスの触媒的タール分解のため、実質的にタールを含まない合成ガスが得られる。
【0048】
外管がガス透過性の場合、対応する圧力差が掛かるため、実質的に触媒的及び/又は熱的にそのタール含量に達している部分的に酸化された熱分解ガスは、流動床反応器に流れ込むことができる。しかしながら、実質的にタールを含まない熱分解ガスを、さらに使用するため環状空間から合成ガスとして抽出してもよい。この場合、外管はガスを通さなくてよい。
【0049】
(d)酸素によるガスの少なくとも部分的な酸化は、構造体の外部でも起こり得る。最も単純な場合、少なくとも部分的に酸化されたガスは、次に構造体を通って流れるときに構造体を加熱する。そして、構造体が熱を流動床反応器の流動床に伝達する。ガスの少なくとも部分的な酸化は、流動床反応器の完全に外側又は構造体、特に管の直下でも起こり得る。可燃性ガスと酸素の混合は構造体の内側、特に管の内側でも起こり得る。これらの場合も同様に、ガス透過性管が有利であろう。結果として軸方向の温度差が減少し得るからである。
【0050】
タール含有熱分解ガスを可燃性ガスとして使用する場合、構造体、特に少なくとも1つの内管に触媒を供給すると有利である。構造体又は少なくとも1つの管を触媒材料で作ってもよい。結果として、部分的に酸化された熱分解ガスの全てが少なくとも1つの触媒活性構造体を通って流れなければならないので、熱分解ガスのタール含量が(c)の場合でさえ、なおさらに有意に減少し得る。
【0051】
対応する圧力差が掛かるため、可燃性ガスがガス透過性管を通って流動床反応器に流れ込んで、流動床反応器内で酸化される場合、この管に触媒を供給してもよい。構造体の内側に触媒プロセスを置くのは強制ではない。このプロセスを流動床反応器外の装置で行ってもよい。
【0052】
熱分解ガス生成の予備段階については、特許文献2に記載されている。特許文献3及び4も、タール含有熱分解ガスが生成される予備段階を利用する。
【0053】
可燃性ガス、例えばタール含有熱分解ガスを流動床反応器用の流動化ガスとして使用しないか又は完全には使用しないが、代わりに少なくとも部分的な酸化のために構造体に部分的に送達する場合、流動床反応器の操作に十分な流動化ガスを供給するため、流動床反応器のガスの一部を再循環させて、流動化ガスとして使用してよい。この場合、おそらく流動床反応器のアウトプットから合成ガス又は熱分解ガスをインプットに戻す再循環ブロワが必要であろう。
【0054】
熱分解ガスを用いて構造体を加熱すべき場合、まずこのガスを洗浄し、また必要に応じて硫黄等の触媒毒を取り除くことが推奨される。通常は高温ガス脱硫で十分であり、それ自体公知である。圧力インパルスによって管からダストを引き離せるが、フィルターカートリッジの場合に一般的なように、硫黄化合物は低融点灰分の形成をもたらし、それが管内に沈着することがある。
【0055】
導入されたガスを技術的に純粋な酸素で完全に酸化すべき場合、これは再循環ブロワを用いてのみ行えるだろう。部分的に酸化されたガスを再循環させることによって、温度が生じるのを制限できるので、過剰な高温に対して構造体を保護する。合成ガスの発生は、このガスを処理してガス状又は液状物質、例えば水素、メタン、メタノール又は噴霧剤を生成するための別のプロセスの結果として起こることが多い。これらの生成物を変換及び精製すると、可燃性ガス及び水蒸気が生じることが多く、これを用いて流動床反応器内の構造体を加熱することができ、また上述したように可燃性ガスとして使用することができる。これらは水素成分が多いフラクションであってもよく、これから完全酸化によって水蒸気が得られ、これはプロセス全体に非常に有用であり得る。例えば、水蒸気は、本明細書に記載の流動床反応器のため、均質水蒸気反応(シフト)のため、又はメタン化のための流動化ガスとして容易に使用可能である。
【0056】
本発明の装置及び本発明の方法は、加圧プロセス管理のみならず無加圧プロセスにも適している。大規模の加圧プラントでは純酸素の使用が好ましいが、小規模の無加圧プラントでは、少量の純酸素の生成は相対的に非常にコストがかかるので、空気が有利かもしれない。
【0057】
記載した方法では、コークス粒子と酸素の直接接触が回避されるか又は少なくともかなり減少する。代わりに、放射、対流及び熱伝導によってコークス粒子に熱が伝達される。コークス変換は吸熱反応であるため、コークス粒子は、好ましくは常に構造体、周囲ガス又は存在する場合は隣接する砂粒子より冷たい。構造体表面の大きさを通じてコークス粒子と構造体の間の温度差を制御できるので、20℃〜300℃の温度差に設定することができる。従って、本発明は、低融点のバイオマスにも適している。これは、作物タイプの多数の有益なバイオマスに当てはまる。酸素を使用するにもかかわらず、外熱によって改質プロセスを実施できる。このことが合成ガスの製品品質を高める。本発明は、タール含量を熱的に触媒により減らすことも可能にする。
【0058】
バイオマス等の固形燃料の熱分解に合わせて流動床反応器を構成し得る。固形燃料から、好ましくは上記熱分解の熱分解ガスから合成ガスを生成するために流動床反応器を構成してもよい。必要に応じて、第1の反応器部(熱分解反応器)における熱分解と、第2の反応器部(合成ガス反応器)における合成ガスの生成を含んでなる水蒸気改質に合わせて流動床反応器を構成し得る。
【0059】
単に例示実施形態を表すだけである図面の助けを借りて、本発明をさらに詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】多孔質壁を有する管を通して酸素を導入する固定流動床を備えた流動床反応器を示す。
【図2】図1の多孔質管の縦断面図を示す。
【図3】図1の多孔質管の横断面図を示す。
【図4】多孔質壁を有する管を通して酸素を導入する循環流動床を備えた流動床反応器を示す。
【図5】外部に酸化のある流動床反応器を示す。
【図6】2つの同心円状に配置されたガス透過性管を備えた流動床反応器を示す。
【図7】図6のガス透過性管の縦断面図を示す。
【図8】図6のガス透過性管の横断面図を示す。
【図9】熱保護遮蔽物を備えた図6のガス透過性管の横断面図を示す。
【図10】2つの同心円状に配置された管を備え、内管だけがガス透過性であるカスケード型流動床反応器を示す。
【図11】図10の管の縦断面図を示す。
【図12】図10の管の横断面図を示す。
【図13】ガスの酸化が多孔質管の内側で起こる流動床反応器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、ノズルフロア12と上端16の間に固定流動床10を備えた流動床反応器9aを示す。バイオマスのサイズ減少を補助するため、流動床は砂を含有し得る。流動床は、流動化ガス13、例えば水蒸気及び/又は熱分解ガスで流動化される。供給成分によってバイオマス14が流動床反応器に送達される。流動床反応器9a内で生成された合成ガス15は流動床上方の空間11(フリーボード)を通過し、頭部端で流動床反応器9aを去る。流動床は加熱器28を含み、これは、酸素6がライン5の形態の酸素供給口30を介して送達される空洞29を有する複数の多孔質管1aを含む。酸素6は、多孔質管1aで形成された加熱器28の多孔質のガス透過性部分31を通って、流動床10の方向に流れる。
【0062】
流動床10からの可燃性ガスは、拡散及び対流によって多孔質管1aの外層に浸透し、そこで酸素6によって酸化される。それゆえに管1aが加熱され、その熱を熱伝達によって流動床10に移す。流動床のコークス粒子は主に砂及びガスからの熱伝導によって間接的に加熱される。コークスのガス化は吸熱反応なので、コークス粒子は流動床10内で最も冷たい粒子である。管1aの空隙率及び細孔サイズは便宜上、酸素の圧力損が、流動床10の上端と下端の圧力差よりずっと大きくなるように選択される。その結果ほぼ均一の加熱が達成される。同時に、管1aの空隙率及び細孔サイズは、コークス粒子が管1aの細孔系に入って、そこで酸素6と接触できないように選択される。
【0063】
図4は、循環流動床を備えた流動床反応器9bを示す。このタイプの反応器では、ガス速度が非常に高いので、固定流動床は設置されない。流動床10の床材料は、サイクロン27と、サイホンガス8で操作されるサイホンを用いて、それ自体既知の方法で一定に循環させられる。従って、多孔質管1aはほとんど全ての反応空間を満たすことができる。ノズルフロア12は、プレート17及び18で形成された二重フロアから成る。この二重フロアを用いて酸素6を分布させる。酸素6を別のやり方で分布させることもできるであろう。
【0064】
経験により、ノズルフロア上の最初の数センチメートルの管1aに伝達される熱は、流動床反応器9bの中心部におけるほど多くない。この理由のため、下部の管1aは加熱せず、そこでは管1aを多孔質にしないのが得策である。これは、短いガスを通さない管の形の保護管4と共に管1aを挿入又は容器に入れることによって為し得る。二重フロアのため、流動化ガス13は、プレート17及び18で形成された二重フロアを通って伸長する複数の管ノズル20を介して供給される。逆止め弁21としてプレートが設けられている。管1aに加えて、流動床反応器9aに流動化ガスが供給される。
【0065】
図5は、固定流動床10を備えた流動床反応器9aを示す。固定流動床10内では、可燃性ガス供給口32を通じて外部から送達されたいずれの所望の可燃性ガス7も、このために設けられた装置22内で少なくとも部分的に酸素6で酸化される。加熱かつ部分的に酸化されたガスは、図4に描写されたものと同様に、二重フロアを通り、複数の多孔質管1aを通って流動床10に流れ込む。管1aの数が多い場合は、熱は主に放射、熱伝導及び対流によって流動床に伝達される。管1aの数が少ない場合は、熱は部分的酸化されたガス自体によって伝達される。両方の場合、コークス粒子は酸素と接触しない。
【0066】
この設計は、タール含有熱分解ガスの酸化又は部分酸化に特に適しており、好ましくは酸化前にダストを除くべきである。部分的に酸化された熱分解ガスの昇温をタールの触媒分解に利用できる。これは管1aに触媒を供給するか、又は流動床反応器の外部に触媒反応器を配置することによって為し得る。部分酸化又は触媒反応によってガスが激しく過熱する場合、例えば複数の管1aによって、管1aの温度が、流動床10内の灰分が融解するほど高くならないことを確保すべきである。
【0067】
図6は、固定流動床10を備えた流動床反応器9aを示す。この固定流動床10内では、管1aがさらなる同心円状に配置された多孔質管2aを含み、その空隙率は、コークス粒子が管の細孔系に入れないか、又は少なくとも管を通過できないように選択される。同心円状に配置された管1a、2aが環状空間33を形成し、可燃性ガス7の激しい過熱を許容する。酸素6による酸化又は部分酸化は内管2aで起こり、熱を主に放射熱として外管1aに伝達するからである。環状空間に追加のガス透過性管3をも配置すると、温度上昇を強め得る。例えば管3を圧延金属シートで形成してよく、シート金属ラグ(metal lug、Blechfahnen(英、独訳))がフローバッフル(baffles、Stromstoerer(英、独訳))としてシート金属上に残るように開口をスタンプすることができる。この設計は、タールの熱/触媒分解に特に適している。好ましくは、少なくとも内管2が触媒活性層を有するか又は全体的に触媒材料で作られるべきである。保護管4は、この場合、管3の入口では、まだ冷たいのでタールを含む熱分解ガスが流動床反応器9aに到達し得ないように、より長いと好ましいであろう。むしろ、タール分子が高温の内管2aに入って接触する機会を与えるべきである。金属シートの代わりに、この場合は、タール分解用の触媒活性層を有する多孔質管として熱保護遮蔽物3を形成してもよい。
【0068】
図6〜9に示すように、酸化又は部分的に酸化されたガス7は、流動床10に放出され得る。ここでは、ガス7及び酸素6の送達は、プレート17、18及び19で形成される2つのチャンバーを有するノズルフロア12を通じて行われる。
【0069】
図10は、砂等の不活性な床材料を含む固定流動床10と、2つのさらなる流動床23とを備えたカスケード型流動床反応器9cを示す。これらの流動床23は、流動床10から持ち上げられるコークスクラウドのみから成る。さらなる流動床23と固定流動床10の間に、反応空間11がある。図6に描写されたものと同様に、構造体は複数の管1bによって形成され、各管は、同心円状に配置されたさらなる内管2a又は2bを有する。2つの管によって形成される環状空間に可燃性ガス7が導入される。酸素6が内管2aに送達される。砂を含む流動床10の領域内では、内管2aは多孔質管2aから成り、さらなる流動床23及び反応空間11の領域内では、内管は穴あき管2b又は流れ抵抗がより高い管2b(これは固定流動床10内の多孔質管より少ない酸素6を通す)から成る。このことは、固定流動床10内の熱伝達がさらなる流動床23及び反応空間11内におけるよりずっと大きいので都合が良い。管1bは、ガス非透過性である。従って、酸化されたか又は部分的に酸化されたガス24は、中間フロア25によって形成される空間26に放出されるにちがいない。そこから、ガス24はプロセス全体でのさらなる使用のため移動する。
【0070】
図13は、流動床10の領域内に、流動床10の上方の空間内で、ガスを通さない管1bに併合する複数の多孔質管1aを備えた流動床反応器9aを示す。各管1aは、同心円状に配置されたさらなる多孔質管2aを含み、これが酸素6を環状空間に流れ込ませる。酸素6は、プレート17及び18で形成された二重フロアを通って管2aに流れ込む。この場合、可燃性ガス7は、減圧することによって流動床10から抽出される。酸化されたか又は部分的に酸化されたガス24は、プロセス全体でのさらなる使用のために移動する。合成ガスが、生じた二酸化炭素を積んでいないので、本プロセスを外熱ガス化法と分類することができる。反応は平衡反応なので、流動床内では再び、酸化された水素及び酸化された一酸化炭素が絶えず生成される。
【符号の説明】
【0071】
1a 加熱可能な多孔質又は穴あき管
1b 加熱可能な管
2a 多孔質内管
2b 穴あき内管
3 熱保護遮蔽物
4 流入領域の密封用保護管
5 供給管
6 酸素
7 可燃性ガス
8 サイホンガス
9a 固定流動床を備えた流動床反応器
9b 循環流動床を備えた流動床反応器
9c 多段階流動床反応器
10 固定流動床
11 流動床上方の空間(フリーボード)
12 ノズルフロア
13 流動化ガス
14 バイオマス又はコークス(残留コークス)
15 合成ガス又は製品ガス
16 固定流動床の上限
17 ノズルフロアの上部プレート
18 ノズルフロアの下部プレート
19 ノズルフロアの中部プレート
20 ノズルフロアのノズル
21 ノズル上の逆止め弁
22 燃焼器
23 コークス用の流動化ステージ(流動床)
24 プロセス全体でさらに使うためのガス
25 中間フロア
26 ガス捕集空間
27 サイクロン
28 加熱器
29 空洞
30 酸素供給口
31 多孔質のガス透過性部分
32 可燃性ガス供給口
33 環状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形燃料、好ましくはバイオマス(14)のガス化及び/又は熱分解用の流動床反応器(9a、9b)であって、流動床反応器(9a、9b)の流動床(10)を加熱するための加熱器(28)を有し、この加熱器(28)が少なくとも1つの空洞(29)を有する流動床反応器(9a、9b)において、加熱器(28)が、酸素含有ガス(6)を加熱器(28)の空洞(29)に送達するための酸素供給口(30)を有し、かつ空洞(29)が、加熱器(28)の多孔質のガス透過性部分(31)に隣接していることを特徴とする流動床反応器(9a、9b)。
【請求項2】
加熱器(28)が、流動床反応器(9a、9b)に設けられた複数の管(1a、1b、2a、2b)を含み、かつ少なくともいくつかの管(1a、2a)が、少なくとも部分的に多孔質のガス透過性管(1a、2a)として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流動床反応器。
【請求項3】
加熱器(28)が、相互に同心円状に配置され、それぞれ内管(1a、1b、2a、2b)及び外管(1a、1b、2a、2b)を有する複数の管(1a、1b、2a、2b)を含み、かつ少なくとも内管(1a、2a)又は外管(1a、2a)が多孔質かつガス透過性であるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の流動床反応器。
【請求項4】
酸素供給口(30)が、外管(1a、1b、2a、2b)と内管(1a、1b、2a、2b)の間の環状空間(33)に酸素含有ガス(6)を送達するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の流動床反応器。
【請求項5】
酸素供給口(30)が、内管(1a、1b、2a、2b)に酸素含有ガス(6)を送達するように形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項6】
内管(1a、1b、2a、2b)に、或いは外管(1a、1b、2a、2b)及び/又は内管(1a、1b、2a、2b)の間の環状空間(33)に可燃性ガス(7)を送達するため、可燃性ガス(7)を送達するための可燃性ガス供給口(32)が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項7】
それぞれの内管(1a、2a)とそれぞれの外管(1a、2a)が両方とも多孔質かつガス透過性であるように形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項8】
少なくとも1つのさらなる必要に応じて多孔質かつガス透過性の管及び/又は少なくとも1つの必要に応じて多孔質かつガス透過性の熱保護遮蔽物(3)が、内管(1a、1b、2a、2b)と外管(1a、1b、2a、2b)の間の環状空間(33)に設けられていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項9】
外管(2a)が、好ましくは管(1b)の形の少なくとも1つのガス非透過性ケーシングで囲まれていることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項10】
酸素供給口(30)が、酸素含有ガス(6)を空洞(29)に送達し、同時に流動化ガスを流動床反応器(9a、9b)の流動床(10)に送達するためのノズルフロア(12)を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項11】
酸素含有ガス(6)と可燃性ガス(7)を空洞(29)に、及び流動化ガスを流動床反応器(9a、9b)の流動床(10)に同時に送達するため、可燃性ガス供給口(32)がノズルフロアに組み込まれていることを特徴とする請求項10に記載の流動床反応器。
【請求項12】
加熱器(28)が、不活性な床材料を含むか若しくは含まない固定流動床(10)及び/又は循環流動床内に設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項13】
加熱器(28)が、不活性な床材料を含まないコークスクラウド床内に設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項14】
加熱器(28)の多孔質のガス透過性部分(31)、好ましくは少なくとも1つの多孔質のガス透過性管(1a、2a)が、少なくとも局所的に触媒材料を含み、及び/又は触媒材料で作られていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項15】
多孔質のガス透過性部分(31)、特に多孔質のガス透過性管(1a、2a)が、電気的に加熱可能であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の流動床反応器。
【請求項16】
好ましくは請求項1〜15のいずれか1項に記載の流動床反応器内における固形燃料、好ましくはバイオマスのガス化及び/又は熱分解方法であって、
酸素含有ガスが加熱器の空洞に送達され、
酸素含有ガス及び/又は可燃性ガスが、加熱器の多孔質のガス透過性部分を通って流れ、
可燃性ガスが、酸素含有ガスによって少なくとも部分的に酸化され、その間に熱を放出し、かつ
この少なくとも部分的な酸化によって放出された熱が、流動床反応器の流動床に伝達される、
方法。
【請求項17】
酸素含有ガスが、加熱器の多孔質のガス透過性部分を通って、流動床反応器の流動床の方向に流れ、かつ多孔質のガス透過性部分内で及び/又は多孔質のガス透過性部分の、流動床に面する側のすぐそばで流動床内の可燃性ガスを酸化する、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
流動床反応器の流動床の可燃性ガスが、加熱器の多孔質のガス透過性部分を通って、加熱器の空洞の方向に流れ、かつ加熱器の多孔質のガス透過性部分内及び/又は加熱器の空洞内で酸素含有ガスによって酸化される、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
酸素含有ガスが、少なくとも1つの多孔質かつガス透過性の内管に送達され、
この酸素含有ガスが、内管の細孔系を通って、内管と多孔質のガス透過性外管の間の環状空間に流れ込み、
可燃性ガスが、内管と外管の間の環状空間に送達され、
この可燃性ガスが、環状空間内で酸素含有ガスによって酸化され、かつ
この少なくとも部分的に酸化されたガスが、外管の細孔系を通って、好ましくは流動床反応器に、さらに好ましくは流動床反応器の流動床に流れ込む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも部分的に酸化されたガスが、多孔質のガス透過性管及び/又は内管と外管の間の熱保護遮蔽物を通って、好ましくは流動床反応器に、さらに好ましくは流動床反応器の流動床に流れ込む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
酸素含有ガスが、少なくとも1つの多孔質かつガス透過性の内管に送達され、
この酸素含有ガスが、内管の細孔系を通って、内管と外管の間の環状空間に流れ込み、
可燃性ガスが、内管と外管の間の環状空間に送達され、
この可燃性ガスが、環状空間内で酸素含有ガスによって酸化され、かつ
この少なくとも部分的に酸化されたガスが、吐出口を経て流動床反応器から抽出される、
請求項16に記載の方法。
【請求項22】
可燃性ガスが、少なくとも1つの多孔質かつガス透過性の内管に送達され、
この可燃性ガスが、内管の細孔系を通って、内管と外管の間の環状空間に流れ込み、
酸素含有ガスが、内管と外管の間の環状空間に送達され、
可燃性ガスが、環状空間内で酸素含有ガスによって酸化され、かつ
この少なくとも部分的に酸化されたガスが、吐出口を経て流動床反応器から抽出される、
請求項16に記載の方法。
【請求項23】
流動床反応器の熱分解反応器の上流からの、好ましくはタールを含有する熱分解ガスを可燃性ガスとして使用する、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
酸素含有ガスが、少なくとも1つの多孔質かつガス透過性の内管に送達され、
この酸素含有ガスが、内管の細孔系を通って、内管と外管の間の環状空間に流れ込み、
可燃性ガスが、流動床反応器の流動床から多孔質のガス透過性外管を通って、内管と外管の間の中空間の方向に流れ、
この可燃性ガスが、酸素含有ガスによって酸化され、かつ
この少なくとも部分的に酸化されたガスが、吐出口を経て流動床反応器から抽出される、
請求項16に記載の方法。
【請求項25】
可燃性ガス及び/又は酸素含有ガスが、二重フロアを経て流動床反応器に送達され、かつ
流動床反応器の流動化ガスが、二重フロアを通って流動床に送達される、
請求項16〜24のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−503923(P2013−503923A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527238(P2012−527238)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005408
【国際公開番号】WO2011/026630
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(510236081)
【氏名又は名称原語表記】Karl−Heinz Tetzlaff
【住所又は居所原語表記】Moerikestrasse 6,65779 Kelkheim,Germany