説明

バイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラム

【課題】 バイオマス資源の収集・輸送に必要な距離をより正確に算出し、コスト評価の精度を高める。
【解決手段】 バイオマス利用計画支援システム1は、バイオマス分布情報作成手段2と、バイオマス利用施設の最適立地点情報作成手段3と、バイオマス資源の最適収集経路情報作成手段4と、バイオマス利用施設の経済性評価手段5とを備える。バイオマス分布情報作成手段2は、入力された地域及び時期に当て嵌まるバイオマス分布図を出力する。最適立地点情報作成手段3と最適収集経路情報作成手段4は、現実の道路形状に即したラインデータを用いて輸送距離を計算し、輸送距離が最小となる施設立地点および中継地点を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、GIS(Geographic Information System,地理情報システム)技術を利用して、バイオマス分布、バイオマス利用施設の最適配置、バイオマス資源の最適収集経路、バイオマス利用事業の経済性評価を求める方法およびシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス資源の発生量(賦存量)について各種様々な機関や研究者が推計をしており、都道府県単位といった比較的広域の統計データに基づいて、バイオマス資源の地理上の分布を推計することができる。
【0003】
また、バイオマス発電施設の最適立地の策定や最適なバイオマス資源の収集計画の策定においては、例えば非特許文献1に開示されるように、従来は、地図上に表示されたメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として、バイオマス資源の収集ルートの距離を計算し、計算された収集ルートの総距離を用いて収集コストを計算し、当該収集コストに基づいて、計画された施設建設候補地やバイオマス資源収集計画が経済的に妥当であるかの評価(経済性評価)を行うようにしている。上記従来技術の場合、例えば図21に示す例では、A地点からB地点までの距離は、メッシュ区画の1辺の長さをLとすると、4Lとなる。
【0004】
【非特許文献1】楊翠芬、匂坂正幸著(2003)「メッシュデータを用いた千葉市における生ごみ収集システムの経済性評価」地理情報システム学会講演論文集Vol.12、p123〜126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来得られるバイオマス分布情報は、都道府県単位といった広域を対象とした統計データに基づくものであるため、バイオマス利用施設の建設予定地域およびその周辺地域の詳細なバイオマス分布までは分からず、バイオマス利用事業計画やその経済性評価を行う際の資料として、有効活用することが困難となっている。
【0006】
また、バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっている。しかし、従来のバイオマス発電施設の最適立地の策定や最適なバイオマス資源の収集計画の策定においては、地図上に表示されたメッシュ区画の1辺を距離の基本単位とするため、コスト評価の精度がメッシュの解像度に依存してしまう。複雑な境界形状の領域や道路などをメッシュの集合体あるいはメッシュの辺の集合体として表現するには限界があり、例えば図21に示すように、現実の道路100を利用した輸送距離と、メッシュ区画の1辺を距離の基本単位とした場合の距離4Lとの差は大きく、高い精度のコスト評価を行うことが困難となっている。
【0007】
そこで本発明は、バイオマス利用事業計画やその経済性評価を行う際の資料として有効活用できる詳細なバイオマス分布情報を作成できるバイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。また本発明は、バイオマス資源の収集・輸送に必要な距離をより正確に算出して、バイオマス利用施設の最適立地やバイオマス資源の最適収集経路を策定する際のコスト評価の精度を高め、より正確なバイオマス利用事業の経済性評価を行えるバイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のバイオマス利用計画支援方法は、バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報を入力する初期データ入力ステップと、地域条件情報を少なくとも含む条件情報を入力する条件情報入力ステップと、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を前記地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力ステップとを少なくとも有するようにしている。
【0009】
また、請求項15記載のバイオマス利用計画支援システムは、バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報の入力を受け付ける初期データ入力受付手段と、地域条件情報を少なくとも含む条件情報の入力を受け付ける条件情報入力受付手段と、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を前記地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力手段とを少なくとも有している。
【0010】
また、請求項19記載のバイオマス利用計画支援プログラムは、バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報の入力を受け付ける初期データ入力受付手段と、地域条件情報を少なくとも含む条件情報の入力を受け付ける条件情報入力受付手段と、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を前記地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力手段として、コンピュータを機能させるようにしている。
【0011】
したがって、都道府県単位といった広域のデータよりも詳細な、例えば市区町村単位さらには町丁目単位といった極詳細な、バイオマス分布情報を得ることができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス発生場所情報は、地理上の1点を示すポイントデータ、または地理上の3点以上の頂点で囲まれた多角形を示すポリゴンデータであるものとしている。この場合、バイオマス資源の種類や特性に応じて、的確な位置情報を設定できる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス分布情報出力ステップは、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を地図上に表示したバイオマス分布図を出力するようにしている。この場合、利用者はバイオマス量の地域分布の状況を視覚的に把握できる。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記地域条件情報は、道路情報を構成するラインデータを基準とするバッファ単位、行政界単位、地図を格子状に区切ったメッシュ単位で指定可能であるようにしている。この場合、メッシュ単位での地域条件の指定に限らず、行政界および道路沿い領域でのバイオマス分布情報を得ることもできる。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス情報は、バイオマス種情報とバイオマス発生時期情報の一方又は双方を含み、前記条件情報は、時期条件情報を含むようにしている。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から4のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス量情報は、時期別に設定されるとともに、前記条件情報は、時期条件情報を含むようにしている。
【0017】
したがって、バイオマス分布の時期変動(季節変動)を把握することができる。
【0018】
また、請求項7記載のバイオマス利用計画支援方法は、バイオマス利用施設の最適立地点を探索する方法であり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、前記バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定ステップと、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成ステップと、前記バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成ステップと、前記メッシュの一定位置に前記バイオマス利用施設があると仮定し、前記必要バイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に前記バイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出ステップと、前記算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記メッシュの一定位置を前記バイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力ステップとを有するようにしている。
【0019】
また、請求項16記載のバイオマス利用計画支援システムは、バイオマス利用施設の最適立地点を探索するシステムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、前記バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定手段と、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成手段と、前記バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成手段と、前記メッシュの一定位置に前記バイオマス利用施設があると仮定し、前記必要バイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に前記バイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出手段と、前記算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記メッシュの一定位置を前記バイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力手段とを有している。
【0020】
また、請求項20記載のバイオマス利用計画支援プログラムは、バイオマス利用施設の最適立地点を探索するシステムとしてコンピュータを機能させるプログラムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、前記バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定手段と、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成手段と、前記バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成手段と、前記メッシュの一定位置に前記バイオマス利用施設があると仮定し、前記必要バイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に前記バイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出手段と、前記算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記メッシュの一定位置を前記バイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力手段として、コンピュータを機能させるようにしている。
【0021】
したがって、輸送距離の計算に、現実の道路形状に即したラインデータを用いるので、従来技術のようにメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として計算した輸送距離と比較して、格段に精度が高まり、より正確な輸送距離を求めることができる。バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっているが、本発明によれば、より正確な輸送距離に基づいて、収集コストが最も低くなる経済的なバイオマス利用施設の配置位置を求めることができる。
【0022】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス利用施設の建設が不可能な地域に該当する前記メッシュを、前記輸送距離算出ステップまたは前記最適立地点出力ステップの対象から除くようにしている。この場合、他の事業等での土地利用が既に決定していたり、あるいは自然環境、防災、文化財の存在、人口等の観点から施設建設候補地として不適当な地域を、施設建設候補地から除くことができる。
【0023】
また、請求項9記載の発明は、請求項7または8記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス分布情報は、請求項1から6のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法のバイオマス分布情報出力ステップで得られるものとしている。この場合、本発明で得られるバイオマス分布情報を有効活用できる。
【0024】
また、請求項10記載の発明は、請求項7から9のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記最適立地点出力ステップは、前記バイオマス利用施設の最適立地点を地図上に表示したバイオマス利用施設の最適配置図を出力するようにしている。この場合、利用者はバイオマス利用施設の最適配置位置を視覚的に把握できる。
【0025】
また、請求項11記載のバイオマス利用計画支援方法は、バイオマス資源の最適収集経路を探索する方法であり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定ステップと、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定ステップと、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定ステップと、前記中継地点ごとに、前記輸送条件の下に前記必要収集量を満たすバイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を前記加工道路情報を用いて算出し、収集したバイオマス資源を前記輸送条件の下に前記各中継地点から前記バイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出し、全ての前記中継地点についての前記収集経路距離と前記中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出ステップとを有し、前記中継地点設定ステップで設定される中継地点を変更し、当該変更毎に、前記収集経路距離算出ステップを繰り返し行い、前記合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力ステップを有するようにしている。
【0026】
また、請求項17記載のバイオマス利用計画支援システムは、バイオマス資源の最適収集経路を探索するシステムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定手段と、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定手段と、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定手段と、前記中継地点ごとに、前記輸送条件の下に前記必要収集量を満たすバイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を前記加工道路情報を用いて算出し、収集したバイオマス資源を前記輸送条件の下に前記各中継地点から前記バイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出し、全ての前記中継地点についての前記収集経路距離と前記中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出手段と、前記中継地点設定手段で設定される中継地点を変更し、当該変更毎に、前記合計収集経路距離の算出を繰り返し行い、前記合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力手段を有している。
【0027】
また、請求項21記載のバイオマス利用計画支援プログラムは、バイオマス資源の最適収集経路を探索するシステムとしてコンピュータを機能させるプログラムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定手段と、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定手段と、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定手段と、前記中継地点ごとに、前記輸送条件の下に前記必要収集量を満たすバイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を前記加工道路情報を用いて算出し、収集したバイオマス資源を前記輸送条件の下に前記各中継地点から前記バイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出し、全ての前記中継地点についての前記収集経路距離と前記中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出手段と、前記中継地点設定手段で設定される中継地点を変更し、当該変更毎に、前記合計収集経路距離の算出を繰り返し行い、前記合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力手段として、コンピュータを機能させるようにしている。
【0028】
したがって、合計収集経路距離の計算に、現実の道路形状に即したラインデータを用いるので、従来技術のようにメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として計算した経路距離と比較して、格段に精度が高まり、より正確な経路距離を求めることができる。バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっているが、本発明によれば、より正確な経路距離に基づいて、収集コストが最も低くなる経済的な中継地点および収集経路を求めることができる。
【0029】
また、請求項12記載の発明は、請求項11記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記最適収集情報出力ステップは、前記最適中継地点と当該最適中継地点に基づくバイオマス資源の収集経路とを地図上に表示したバイオマス資源の最適収集図を出力するようにしている。この場合、利用者は、バイオマス資源の収集に利用する中継地点の最適位置および最適収集経路を視覚的に把握できる。
【0030】
また、請求項13記載の発明は、請求項11または12記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス利用施設の立地情報は、請求項7から10のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法の最適立地点出力ステップで得られるものとしている。この場合、本発明により得られるバイオマス利用施設の立地情報を利用して、最適収集情報を求めることができる。
【0031】
また、請求項14記載の発明は、請求項7から13のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法において、前記バイオマス利用施設はバイオマス発電施設であり、上記算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力する経済性評価処理を有するようにしている。
【0032】
また、請求項18記載の発明は、請求項16または17記載のバイオマス利用計画支援システムにおいて、前記バイオマス利用施設はバイオマス発電施設であり、上記算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力する経済性評価手段を有している。
【0033】
また、請求項22記載の発明は、請求項20または21記載のバイオマス利用計画支援プログラムにおいて、前記バイオマス利用施設はバイオマス発電施設であり、上記算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力する経済性評価手段として、コンピュータを機能させるようにしている。
【0034】
したがって、バイオマス利用単価や発電単価を指標として、バイオマス発電の事業計画(バイオマス発電施設の立地点やバイオマス資源の収集経路)が経済的に妥当であるか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1記載のバイオマス利用計画支援方法および請求項15記載のバイオマス利用計画支援システムおよび請求項19記載のバイオマス利用計画支援プログラムによれば、都道府県単位といった広域のデータよりも詳細な、例えば市区町村単位さらには町丁目単位といった極詳細な、バイオマス分布情報を得ることができる。
【0036】
さらに請求項2記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、バイオマス発生場所情報をポイントデータまたはポリゴンデータとするので、バイオマス資源の種類や特性に応じて、的確な位置情報を設定できる。
【0037】
さらに請求項3記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、バイオマス分布図を出力するので、利用者はバイオマス量の地域分布の状況を視覚的に把握できる。
【0038】
さらに請求項4記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、地域条件情報は、道路情報を構成するラインデータを基準とするバッファ単位、行政界単位、地図を格子状に区切ったメッシュ単位で指定可能であるので、メッシュ単位での地域条件の指定に限らず、行政界および道路沿い領域でのバイオマス分布情報を得ることもできる。
【0039】
さらに請求項5,6記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、条件情報に時期条件情報を含むので、バイオマス分布の時期変動(季節変動)を把握することができる。
【0040】
また、請求項7記載の請求項1記載のバイオマス利用計画支援方法および請求項16記載のバイオマス利用計画支援システムおよび請求項20記載のバイオマス利用計画支援プログラムによれば、輸送距離の計算に、現実の道路形状に即したラインデータを用いるので、従来技術のようにメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として計算した輸送距離と比較して、格段に精度が高まり、より正確な輸送距離を求めることができる。バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっているが、本発明によれば、より正確な輸送距離に基づいて、収集コストが最も低くなる経済的なバイオマス利用施設の配置位置を求めることができる。
【0041】
さらに請求項8記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、他の事業等での土地利用が既に決定していたり、あるいは自然環境、防災、文化財の存在、人口等の観点から施設建設候補地として不適当な地域を、施設建設候補地から除くことができる。
【0042】
さらに請求項9記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、本発明で得られるバイオマス分布情報を有効活用して、バイオマス利用施設の最適立地点を求めることができる。
【0043】
さらに請求項10記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、バイオマス利用施設の最適配置図を出力するので、利用者はバイオマス利用施設の最適配置位置を視覚的に把握できる。
【0044】
また、請求項11記載のバイオマス利用計画支援方法および請求項17記載のバイオマス利用計画支援システムおよび請求項21記載のバイオマス利用計画支援プログラムによれば、合計収集経路距離の計算に、現実の道路形状に即したラインデータを用いるので、従来技術のようにメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として計算した経路距離と比較して、格段に精度が高まり、より正確な経路距離を求めることができる。バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっているが、本発明によれば、より正確な経路距離に基づいて、収集コストが最も低くなる経済的な中継地点および収集経路を求めることができる。
【0045】
さらに請求項12記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、バイオマス資源の最適収集図を出力するので、利用者は、バイオマス資源の収集に利用する中継地点の最適位置および最適収集経路を視覚的に把握できる。
【0046】
さらに請求項13記載のバイオマス利用計画支援方法によれば、本発明により得られるバイオマス利用施設の立地情報を利用して、最適収集情報を求めることができる。
【0047】
さらに請求項14記載の請求項1記載のバイオマス利用計画支援方法および請求項18記載のバイオマス利用計画支援システムおよび請求項22記載のバイオマス利用計画支援プログラムによれば、バイオマス利用単価や発電単価を指標として、バイオマス発電の事業計画(バイオマス発電施設の立地点やバイオマス資源の収集経路)が経済的に妥当であるか否かを判断することができる。
【0048】
本発明によれば、どの地域のどの時期(どの季節)であれば、どの地点にバイオマス利用施設やバイオマス資源の収集中継地点を設置することが経済的に好ましいか、を検討することができる。さらに、種々条件(時期条件、中継地点位置、中継地点数、輸送条件など)を変えて、各条件に対応した各種資料(バイオマス分布図、バイオマス利用施設の最適配置図、バイオマス資源の最適収集図、経済性評価図表)を揃えることで、これらの資料を地域バイオマス発電事業化可能性調査(FS調査)に大いに役立てることができる。これにより、バイオマス利用計画に関わる意思決定を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0050】
図1から図20に本発明のバイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラムの実施の一形態を示す。本実施形態のバイオマス利用計画支援方法は、例えば図2に示すように、バイオマス分布情報の作成処理(S1)と、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)と、バイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理(S3)と、バイオマス利用施設の経済性評価処理(S4)との大きく4つの処理より構成される。
【0051】
バイオマス分布情報の作成処理(S1)は、例えば図3に示すように、バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報を入力する初期データ入力ステップ(S101)と、地域条件情報を少なくとも含む条件情報を入力する条件情報入力ステップ(S102)と、入力された条件情報に該当するバイオマス量情報を地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力ステップ(S103)とを有している。
【0052】
また、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)は、例えば図4に示すように、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定ステップ(S201)と、バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成ステップ(S202)と、バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成ステップ(S203)と、メッシュの一定位置にバイオマス利用施設があると仮定し、必要バイオマス量を最寄のバイオマス発生場所から順にバイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出ステップ(S204)と、算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となるメッシュの一定位置をバイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力ステップ(S205)とを有している。
【0053】
また、バイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理(S3)は、例えば図5に示すように、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定ステップ(S302)と、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定ステップ(S303)と、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定ステップ(S304)と、中継地点ごとに、設定された輸送条件の下に必要収集量を満たすバイオマス量を最寄のバイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を加工道路情報を用いて算出し、さらに収集したバイオマス資源を設定された輸送条件の下に各中継地点からバイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を加工道路情報を用いて算出し、全ての中継地点についての収集経路距離と中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出ステップ(S305)とを有し、中継地点設定ステップで設定される中継地点の位置や数を変更し(S306;Yes,S304)、当該変更毎に、収集経路距離算出ステップを繰り返し行い(S305)、合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力ステップを有している(S309)。
【0054】
ここで、本実施形態のバイオマス利用施設は、バイオマス発電施設であるものとしている。バイオマス利用施設の経済性評価処理(S4)は、算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力するようにしている。
【0055】
上記のバイオマス利用計画支援方法はバイオマス利用計画支援システム1として装置化される。このバイオマス利用計画支援システム1は、例えば図1に示すように、バイオマス分布情報作成手段2と、バイオマス利用施設の最適立地点情報作成手段3と、バイオマス資源の最適収集経路情報作成手段4と、バイオマス利用施設の経済性評価手段5とを備えている。
【0056】
バイオマス分布情報作成手段2は、バイオマス分布情報の作成処理(S1)を実行し、上述したバイオマス情報と地理情報の入力を受け付ける初期データ入力受付手段11と、上述した条件情報の入力を受け付ける条件情報入力受付手段12と、入力された条件情報に該当するバイオマス量情報を地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力手段13とを有している。
【0057】
バイオマス利用施設の最適立地点情報作成手段3は、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)を実行し、バイオマス分布情報と、道路情報と、バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定手段21と、バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成手段22と、バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成手段23と、メッシュの一定位置にバイオマス利用施設があると仮定し、必要バイオマス量を最寄のバイオマス発生場所から順にバイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出手段24と、算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となるメッシュの一定位置をバイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力手段25とを有している。
【0058】
バイオマス資源の最適収集経路情報作成手段4は、バイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理(S3)を実行し、上述した加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定手段31と、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定手段32と、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定手段33と、中継地点ごとに、設定された輸送条件の下に必要収集量を満たすバイオマス量を最寄のバイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を加工道路情報を用いて算出し、さらに収集したバイオマス資源を設定された輸送条件の下に各中継地点からバイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を加工道路情報を用いて算出し、全ての中継地点についての収集経路距離と中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出手段34と、中継地点設定手段33で設定される中継地点の位置や数を変更し、当該変更毎に、合計収集経路距離の算出を繰り返し行い、合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力手段35とを有している。
【0059】
バイオマス利用施設の経済性評価手段5は、バイオマス利用施設の経済性評価処理(S4)を実行し、算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力するようにしている。
【0060】
上記のバイオマス利用計画支援システム1は、例えば既存の又は新規のコンピュータ(計算機)40により実現される。このコンピュータ40は、例えば図6に示すように、中央処理演算装置(CPU)41、RAMやROMおよびハードディスクなどの記憶装置42、キーボードやマウスなどの入力装置43、ディスプレイやプリンタ等の出力装置44、CDやFDなどの媒体に記録されたデータを読み取るディスクドライブ等のデータ読取装置45などのハードウェア資源がバス46により接続されて構成されている。このコンピュータ40上で本発明に係わるバイオマス利用計画支援プログラムが実行されることにより、コンピュータ40がバイオマス利用計画支援システム1の各手段として機能する。以下、バイオマス利用計画支援システム1の各手段が実行する処理の内容について更に詳細に説明する。
【0061】
先ず、バイオマス分布情報の作成処理(図2のS1)について説明する。初期データ入力ステップ(図3のS101)では、入力装置43とデータ読取装置45の一方又は双方を介して、バイオマス情報と地理情報がコンピュータ40に入力され、記憶装置42に記録される。バイオマス情報にはバイオマス発生場所情報が含まれる。本実施形態におけるバイオマス発生場所情報は、地理上の1点を示すポイントデータ、または地理上の3点以上の頂点で囲まれた多角形を示すポリゴンデータであるものとしている。ポイントデータは地理上の特定点を示す座標情報で表される。座標情報が、緯度経度座標系の場合には、距離が正確に表現されるUTM(ユニバーサル横メルカトル投影法)座標系もしくは平面直角座標系に変換する。ポリゴンデータは、例えば多角形の頂点を構成する複数のポイントデータで表される。本実施形態では、バイオマス情報を管理するデータ形式として、例えば既存のGIS(Geographic Information System,地理情報システム)のデータ形式を利用している。これにより、バイオマス情報を既存のGISデータと同様に扱える。GISデータは、一般に、ポイントデータ(点)、ラインデータ(線)、ポリゴンデータ(面)の3種類の形式の地理データ(位置およびトポロジー)と、これに付随する属性情報で構成される。図7の符号51がポイントデータの例を示し、符号52がラインデータの例を示し、符号53がポリゴンデータの例を示す。また、符号59はラインデータが結ぶノードを示す。
【0062】
例えば地図上の点で発生するバイオマス資源については、バイオマス発生場所情報をポイントデータとする。ポイントで発生するバイオマス資源としては、発生地点が特定できる事業所や工場など(具体的には製材所や畜産場など)の廃棄物、例えば工場残材、畜産系汚泥、下水汚泥、動物性残渣(食品廃棄物)や、一度点に集める公園剪定屑、生活及び事業系厨芥類(生ゴミ)などが該当する。
【0063】
一方、地図上の面で発生するバイオマス資源については、バイオマス発生場所情報をポリゴンデータとする。面で発生するバイオマス資源としては、広範囲にわたってバイオマス資源が発生するため発生源が一点に特定できないもの、例えば林地残材(針葉樹・広葉樹)や農業系残渣などが該当する。
【0064】
バイオマス量情報は、GISデータの属性情報として、上記バイオマス発生場所情報と関連付けられる。例えば本実施形態では、バイオマス量情報として、該当するバイオマス発生源(点または面)における1日あたりのバイオマス産出量(kg/日)を設定する。また、バイオマス利用施設が当該バイオマス発生源から入手することができる1日あたりのバイオマス量(利用可能量)を、バイオマス量情報として設定する。なお、バイオマス量は、重さで表さずに、エネルギーで表すようにしても良い。
【0065】
また、本実施形態では、バイオマスの種別を示すバイオマス種情報をバイオマス情報に含めるようにしている。バイオマス種情報は、GISデータの属性情報として、上記バイオマス発生場所情報と関連付けられる。バイオマス種情報より、当該バイオマス資源の発生時期が分かるので、バイオマス種情報をバイオマス情報に含めることにより、時期別または季節別のバイオマス分布情報を求めることができる。図8にバイオマス情報のデータ構造の一例を示す。なお、バイオマス発生時期情報を、バイオマス種情報に加えて又はバイオマス種情報の代わりに、バイオマス情報に含めるようにしても良い。また、バイオマス資源の産出量は季節により変化する場合があるため、例えば図9に示すように、時期別(月または季節別)に、バイオマス量情報を設定するようにしても良い。
【0066】
バイオマス情報と共に入力される地理情報は、例えば地図情報、道路情報、都道府県・市区町村などの行政界情報、各種施設等の住所情報を含む。かかる地理情報として、例えば既存のGISデータを利用して良い。なお、地理情報の座標系と、バイオマス情報の座標系が異なる場合には、適宜座標変換等を行い、地理情報とバイオマス情報の座標系を一致させる。これにより、作成したバイオマス情報を既存の地理情報(既存のGISデータ)に関連付けることができる。バイオマス情報と地理情報を入力する初期データ入力ステップにより、GISデータにバイオマス情報が挿入されたバイオマス情報データベース14が構築される。
【0067】
条件情報入力ステップ(図3のS102)では、入力装置43を介して、地域条件情報を含む条件情報がコンピュータ40に入力される。入力された条件情報に該当するバイオマス情報が、バイオマス情報データベース14から呼び出されることとなる。
【0068】
条件情報入力ステップにおける地域条件情報の入力方法として、例えば本実施形態では、以下3種類の方法を用意している。即ち、(1)道路情報を構成するラインデータを基準とするバッファ単位で地域条件を指定する方法(以下、第1地域条件指定法と呼ぶ。)、(2)行政界単位で地域条件を指定する方法(以下、第2地域条件指定法と呼ぶ。)、(3)地図を格子状に区切ったメッシュ単位で地域条件を指定する方法(以下、第3地域条件指定法と呼ぶ。)、の3種類である。具体的には、例えば図10のフローチャートに示すように、解析者等のシステム利用者がコンピュータ40と対話的に、地域条件情報の入力を行えるようにしている。
【0069】
先ず、例えば出力装置44としてのディスプレイ上にメニュー画面を表示して、システム利用者が上記3種のいずれかの方法を選択できるようにする(S102−1)。次に、地図を出力装置44としてのディスプレイ上に表示する(S102−2)。第1地域条件指定法が選択されている場合は、図11に示すように道路が記された地図を表示し、第2地域条件指定法が選択されている場合は、図12に示すように行政界の境界が記された地図を表示し、第3地域条件指定法が選択されている場合は、図13に示すようにメッシュが記された地図を表示する。なお、図11の符号52が地図上の道路を表すラインデータを示し、図12の符号54が地図上の行政界の境界を示し、図13の符号55が地図上のメッシュを示す。
【0070】
システム利用者は、表示された地図上でマウス等の入力装置43を用いて、地域条件情報の対象地域を指定する(S102−3)。第1地域条件指定法が選択されている場合は、システム利用者は地図に表示された道路を指定する。道路は例えばラインデータ単位で指定可能とする。指定された道路から例えば一定幅のバッファが発生し、バッファに含まれる領域が地域条件情報の対象地域となる。なお、バッファの幅はシステム利用者が指定できるようにしても良い。図14の符号56は、指定された道路から発生したバッファに含まれる領域を示す。第2地域条件指定法が選択されている場合は、システム利用者は行政界の境界で区切られた地域を指定する。指定可能な地域は1つに限らず、複数の地域を選択可能である。指定された地域が地域条件情報の対象地域となる。なお、マウスのドラッグ操作により矩形の選択領域を地図上に表示し、選択領域に含まれる地域をすべて地域条件情報の対象地域として認識するようにしても良い。図15の符号57は、選択された地域を示す。第3地域条件指定法が選択されている場合は、地図上に表示されたメッシュを指定する。指定可能なメッシュは1つに限らず、複数のメッシュを選択可能である。指定されたメッシュに含まれる領域が地域条件情報の対象地域となる。図16の符号58は、選択されたメッシュに含まれる領域を示す。
【0071】
上記のようにシステム利用者が指定した領域を、例えば図14〜図16に示すように出力装置44としてのディスプレイ上に表示して、システム利用者が確認できるようにする(S102−4,S102−5)。なお、システム利用者が自身が指定した地域条件情報の対象地域を明確に把握できるように、指定した対象地域の色を変化させる等の工夫を行っても良い。また、マウス等のポインティングデバイスを使った入力に限らず、例えば第2地域条件指定法を選択する場合には、キーボード等で都道府県名や市区町村名などを入力するようにしても良い。
【0072】
指定された地域条件情報の対象地域が確定されると(S102−5;Yes)、入力された地域条件情報が記憶装置42に一時記録される。
【0073】
また、本実施形態では、条件情報入力ステップで入力される条件情報には、時期条件情報を含めることができるようにしている。時期条件情報は、例えば月(1月〜12月)または季節(春夏秋冬)である。時期条件情報を入力する場合には(S102−6;Yes)、入力装置43を介して入力された時期条件情報が記憶装置42に一時記録される。
【0074】
本実施形態のバイオマス分布情報出力ステップ(図3のS103)では、入力された地域条件情報と条件一致と判断され、かつ入力された時期条件情報と条件一致と判断されたバイオマス情報を、バイオマス情報データベース14から呼び出す。バイオマス分布情報出力ステップの処理は、コンピュータ40により自動的に行われる。
【0075】
入力された地域条件情報の対象地域に、バイオマス発生場所情報が該当するバイオマス情報が、条件一致と判断され、それ以外は条件不一致と判断される。なお、バイオマス発生場所情報がポリゴンデータの場合は、例えばポリゴン(面)の一部が上記対象地域に含まれていたら条件一致とする。但し、ポリゴン(面)が完全に上記対象地域に包含されている場合に条件一致とするようにしても良い。
【0076】
また、バイオマス情報にバイオマス発生時期情報が含まれる場合は、入力された時期条件情報が当該バイオマス発生時期情報に該当する場合に、条件一致と判断され、それ以外は条件不一致と判断される。また、バイオマス情報にバイオマス発生時期情報が含まれず、バイオマス種情報が含まれる場合は、バイオマス種−バイオマス発生時期変換テーブルが用意される。このテーブルは、バイオマス種ごとにバイオマス発生時期が記述されたデータ構造を有している。この場合、入力された時期条件情報に基づいて、当該バイオマス種−バイオマス発生時期変換テーブルが参照され、入力された時期条件情報に対応するバイオマス種が特定される。当該特定されたバイオマス種と、バイオマス種情報が一致するバイオマス情報が、条件一致と判断され、それ以外は条件不一致と判断される。また、図9に示すようにバイオマス量情報が時期別に設定されている場合には、入力された時期条件情報に対応するバイオマス量情報がバイオマス情報データベース14から呼び出される。
【0077】
そして、バイオマス分布情報出力ステップでは、入力された条件情報と条件一致と判断してバイオマス情報データベース14から呼び出したバイオマス情報を用いて、バイオマス量情報を地図上に重ねて表示したバイオマス分布図を、出力装置44としてのディスプレイ上に表示出力する。なお、出力装置44としてのプリンタにバイオマス分布図を印刷出力しても良い。このバイオマス分布図は、例えばバイオマス量に応じて地図上のバイオマス発生場所を異なる色(濃淡も含む)で塗り分けたものである。
【0078】
このように出力されたバイオマス分布図によれば、システム利用者は、バイオマス量の地域分布の状況を視覚的に把握できる。また、バイオマス発生場所情報は、ポイント(点)またはポリゴン(面)を単位としているので、都道府県単位といった広域のデータよりも詳細な、例えば市区町村単位さらには町丁目単位といった極詳細な、バイオマス分布情報を得ることができる。また、メッシュ単位での地域条件の指定に限らず、行政界および道路沿い領域でのバイオマス分布情報を得ることもできる。また、時期条件も加えることで、バイオマス分布の時期変動(季節変動)を視覚的に把握することもできる。このバイオマス分布図は、例えばバイオマス利用施設の立地可能性を初期段階で検討するのに有効である。
【0079】
なお、上記の例では、条件情報として、地域条件情報と時期条件情報とを入力したが、時期条件情報に代えて又は加えて、バイオマス量やバイオマス種を条件情報に含めるようにしても良い。この場合、バイオマスの種類別に発生場所の傾向を視覚的に把握することができ、また、バイオマス量に応じたバイオマス発生源の地域分布を視覚的に把握できる。また、バイオマス分布情報出力ステップで出力するのは、上述したバイオマス分布図に限らない。例えば、バイオマス分布情報を表形式で表したもの(例えばバイオマス発生源の住所とバイオマス量が記述された表)を出力するようにしても良い。
【0080】
次に、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)について説明する。
【0081】
初期データ設定ステップ(図4のS201)で設定するバイオマス分布情報は、例えば先に説明したバイオマス分布情報の作成処理(S1)により得られたものを利用する。また、同ステップ(S201)で設定する道路情報は、先に説明したバイオマス分布情報の作成処理(S1)で入力される地理情報に含まれるものを利用する。また、同ステップ(S201)で設定する必要バイオマス量は、例えば周囲のバイオマス発生源から1日で入手する量(kg/日)とし、入力装置43を介してシステム利用者がコンピュータ40に入力する。設定された上記初期パラメータは、記憶装置42に記録される。以降の加工道路情報作成ステップ(S202)、メッシュ生成ステップ(S203)、輸送距離算出ステップ(S204)、最適立地点出力ステップ(S205)は、コンピュータ40により自動で行われる。
【0082】
加工道路情報作成ステップ(S202)において加工道路情報を作成する方法として、例えば以下の2通りが考えられる。第1の方法は、バイオマス発生場所と、最も近接する道路を結ぶ新たな道路を作成するものである(以下、第1道路情報加工法と呼ぶ)。第2の方法は、バイオマス発生場所から最も近接する道路上に当該バイオマス発生場所を機械的に移動させるものである(以下、第2道路情報加工法と呼ぶ)。
【0083】
第1道路情報加工法について説明する。先ず、各バイオマス発生場所のバイオマス発生点を特定する。バイオマス発生場所がポイントデータであれば、そのポイントをバイオマス発生点とする。バイオマス発生場所がポリゴンデータであれば、そのポリゴンの重心をバイオマス発生点とする。そして、上記バイオマス発生点の位置に道路情報における新たなノードを生成する。そして、当該新規ノードと最も近接する既存の道路情報におけるノードを探索し、探索されたノードと上記新規ノードとを結ぶ新たなラインデータを生成する。
【0084】
次に第2道路情報加工法について説明する。先ず、上記第1道路情報加工法と同様に各バイオマス発生場所のバイオマス発生点を特定する。そして、上記バイオマス発生点と最も近接する既存の道路情報におけるラインデータを探索し、探索されたラインデータ上の、上記バイオマス発生点との距離が最も短くなる位置に、道路情報における新たなノードを生成する。
【0085】
バイオマス情報と道路情報は、元々独立した情報であり、これらの情報を単純にオーバレイする(即ち重ね合わせる)だけでは、バイオマス情報に含まれるバイオマス発生場所を道路情報のノードとして認識することはできないが、上記の加工道路情報作成ステップにより、バイオマス発生場所を道路情報のノードとして認識することができ、道路情報とバイオマス情報とが結合する。このように作成した加工道路情報を用いて、収集コストの試算に必要な輸送距離を求める。以下、上記のように生成したバイオマス発生点を示すノードをバイオマス発生ノードと呼ぶ。
【0086】
メッシュ生成ステップ(S203)では、バイオマス分布図を格子状に区切ったメッシュを生成する。メッシュ数(格子数)が多いほど、計算量は多くなるが、出力されるバイオマス利用施設の最適立地点情報の精度は高くなる。なお、生成するメッシュ数(格子数)をシステム利用者が指定できるようにしても良い。
【0087】
輸送距離算出ステップ(S204)では、例えば図17に示すフローチャートに従って、メッシュごとに輸送距離を算出する。先ず、未選択のメッシュの中からバイオマス利用施設の仮定立地点となる一のメッシュを選択する(S204−1)。例えば本実施形態では、選択されたメッシュの中心位置を、バイオマス利用施設の立地点と仮定する。そして、上記の第1道路情報加工法または第2道路情報加工法と同様にして、上記仮定立地点もしくはその近傍に道路情報のノードを生成する。当該生成したノードを仮定施設ノードと呼ぶ。
【0088】
次に、最寄のバイオマス発生ノードから順に仮定施設ノードへバイオマス資源を収集したとし、各バイオマス発生ノードからの入手バイオマス量が必要バイオマス量に達するまで上記収集を繰り返した場合の輸送距離を計算する。具体的には、先ず、「入手バイオマス量」と「合計輸送距離」の値をクリアする、即ち0にする(S204−3)。次に、仮定施設ノードからの直線距離が最短となるバイオマス発生ノードを検索し、収集対象として選択する(S204−4)。但し、既に選択されたことのあるバイオマス発生ノードは除く。選択したバイオマス発生ノードと仮定施設ノードとを結ぶルート(経路)の中から最短距離となるルートを検索し、当該ルートを構成するラインデータの総延長距離を計算する(S204−5)。なお、上記最短ルート検索のアルゴリズムは、特定のものには限定されず、例えばカーナビゲーションシステムなどで利用されている既存のものを利用して良い。これにより、上記バイオマス発生ノード−仮定施設ノード間の片道距離が計算される。例えば本実施形態では、上記片道距離を2倍にして往復距離を求め、当該往復距離を上記バイオマス発生ノード−仮定施設ノード間の輸送距離とする。そして、上記計算した輸送距離を「合計輸送距離」に加算する(S204−6)。また、選択したバイオマス発生ノードから得られるバイオマス量を、「入手バイオマス量」に加算する(S204−7)。バイオマス発生ノードから得られるバイオマス量は、例えばバイオマス情報に含まれる利用可能量を用いる。そして、「入手バイオマス量」がバイオマス利用施設の必要バイオマス量に達したか判断する(S204−8)。なお、入手バイオマス量と必要バイオマス量の単位は、重さで表さずに、エネルギーで表すようにしても良い。
【0089】
「入手バイオマス量」が必要バイオマス量に達するまで、仮定施設ノードの近くのバイオマス発生ノードの選択、上記バイオマス発生ノード−仮定施設ノード間の輸送距離の計算、計算した輸送距離の「合計輸送距離」への加算、選択したバイオマス発生ノードから得られるバイオマス量の「入手バイオマス量」への加算が繰り返される(S204−8;No,S204−4〜S204−7)。
【0090】
「入手バイオマス量」が必要バイオマス量に達すると(S204−8;Yes)、選択されたメッシュの情報(例えば縦横行列の座標情報)と、計算された「合計輸送距離」とが、関連付けされて記録される(S204−9)。以上の処理は各メッシュについて行われる(S204−10;No,S204−1〜S204−9)。
【0091】
最適立地点出力ステップ(図4のS205)では、上記のようにメッシュごとに算出された合計輸送距離を用いて、メッシュごとに収集コストを算定し、収集コストが最小となるメッシュを特定し、当該メッシュの中心位置をバイオマス利用施設の最適立地点として出力する。例えば本実施形態では、輸送距離の長短がバイオマス資源の収集費用(金額)に最も影響を与えるとの観点から、輸送距離そのものを収集コストとしている。このため、本実施形態では、輸送距離が最小となるメッシュの中心位置がバイオマス利用施設の最適立地点として出力される。
【0092】
なお、バイオマス資源の種類によって、バイオマス資源提供者に対価を支払う場合と、バイオマス資源提供者から対価の支払を受ける場合(逆有償)とがあるため、バイオマス資源の購入費用を上記収集コストに加味しても良い。この場合は、コンピュータ40に入力するバイオマス情報に、単位バイオマス量あたりの購入価格または逆有償価格を含めるようにする。収集コストにバイオマス資源の購入費用を加味することで、輸送距離が大きくなっても逆有償により収集コストが小さくなる可能性にも対応できる。
【0093】
ここで、例えば本実施形態では、バイオマス利用施設の建設が不可能な地域に該当するメッシュを、輸送距離算出ステップまたは最適立地点出力ステップの対象から除くようにしている。バイオマス利用施設の建設が不可能な地域は、例えば他の事業(バイオマス利用以外の事業)等での土地利用が既に決定していたり、あるいは自然環境、防災、文化財の存在、人口等の観点から施設建設候補地として不適当な地域を、システム利用者が適宜設定できる。計算量削減の観点からは、上記立地不可地域に該当するメッシュの除外は、輸送距離算出ステップ(S204)で行うことが好ましい。このため本実施形態では、上記立地不可地域に該当しないメッシュに対してのみ、輸送距離の算出を行うようにしている(図17のS204−2)。この結果、最適立地点出力ステップ(S205)の対象となるメッシュは、輸送距離が算出されているメッシュ、即ち立地不可地域に該当しないメッシュとなる。
【0094】
本実施形態の最適立地点出力ステップ(S205)では、上記のように決定された最適立地点を地図上に表示したバイオマス利用施設の最適配置図を、出力装置44としてのディスプレイ上に表示出力するようにしている。なお、出力装置44としてのプリンタにバイオマス利用施設の最適配置図を印刷出力しても良い。このバイオマス利用施設の最適配置図によれば、システム利用者は、バイオマス利用施設の最適配置位置を視覚的に把握できる。なお、先に説明したバイオマス分布図をバイオマス利用施設の最適配置図に重ねて表示しても良い。また、本発明では、輸送距離の計算に、現実の道路形状に即したラインデータを用いているので、従来技術のようにメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として計算した輸送距離と比較して、格段に精度が高まり、より正確な輸送距離を求めることができる。バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっているが、本発明によれば、より正確な輸送距離に基づいて、収集コストが最も低くなる経済的なバイオマス利用施設の配置位置を求めることができる。
【0095】
次に、バイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理(S3)について説明する。
【0096】
地理条件設定ステップ(図5のS302)で設定するバイオマス利用施設の立地情報および加工道路情報は、例えば先に説明したバイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)により得られたものを利用する。また、輸送条件設定ステップ(S303)で設定する輸送量条件は、例えば輸送車1台の積載限界量であり、入力装置43を介してシステム利用者がコンピュータ40に入力する。設定・入力されたこれらの情報は、記憶装置42に記録される。
【0097】
中継地点設定ステップ(S304)で設定する中継地点の数および中継地点の位置は、例えば、予め中継地点の候補地として挙がっている位置、あるいはシステム利用者の判断で中継地点の候補地として適当と考えられる位置を、出力装置44としてのディスプレイ上に表示された地図上にシステム利用者が入力装置43を介してコンピュータ40に手動で入力する。ただし、ランダムに或いは一定のアルゴリズムに従って、コンピュータ40が自動的に中継地点の数や位置を決定するようにしても良い。また、中継地点設定ステップ(S304)で設定する中継地点毎の必要収集量は、例えば、上述したバイオマス利用施設の必要バイオマス量を中継地点数で割った値とする。なお、システム利用者が中継地点ごとに必要収集量を手動で入力しても良い。
【0098】
以下にコンピュータ40が自動的に中継地点の位置を決定する場合の処理の一例について、図18のフローチャートに従って説明する。先ず、システム利用者が中継地点数をコンピュータ40に入力する(S501)。以降の処理(S502〜S507)は、コンピュータ40により自動で行われる。先に説明したバイオマス分布図をバイオマス利用施設の最適配置図に重ねたものを対象地図として、対象地図を入力された中継地点数の領域に分割する(S502)。当該分割された領域を分割領域と呼ぶ。次に、未選択の分割領域の中から1つの分割領域を選択する(S503)。そして選択した分割領域を格子状に区切ったメッシュを当該分割領域上に生成する(S504)。次に、生成したメッシュの中のどのメッシュの中に中継地点を設定するのが最適か、探索する処理を行う(S505)。具体的には、図17に示す輸送距離算出ステップ(S204)と同様の処理を行う。
【0099】
即ち、未選択のメッシュの中から中継地点の仮定立地点となる一のメッシュを選択する(S204−1参照)。例えば選択されたメッシュの中心位置を、中継地点の立地点と仮定する。そして、上記の第1道路情報加工法または第2道路情報加工法と同様にして、上記仮定立地点もしくはその近傍に道路情報のノードを生成する。当該生成したノードを仮定中継地ノードと呼ぶ。次に、最寄のバイオマス発生ノードから順に仮定中継地ノードへバイオマス資源を収集したとし、各バイオマス発生ノードからの入手バイオマス量が必要収集量に達するまで上記収集を繰り返した場合の輸送距離を計算する。具体的には、先ず、「入手バイオマス量」と「合計輸送距離」の値をクリアする(S204−3参照)。次に、仮定中継地ノードからの直線距離が最短となるバイオマス発生ノードを検索し、収集対象として選択する(S204−4参照)。但し、既に選択されたことのあるバイオマス発生ノードは除く。選択したバイオマス発生ノードと仮定中継地ノードとを結ぶルート(経路)の中から最短距離となるルートを検索し、当該ルートを構成するラインデータの総延長距離を計算する(S204−5参照)。なお、上記最短ルート検索のアルゴリズムは、特定のものには限定されず、例えばカーナビゲーションシステムなどで利用されている既存のものを利用して良い。これにより、上記バイオマス発生ノード−仮定中継地ノード間の片道距離が計算される。例えば本実施形態では、上記片道距離を2倍にして往復距離を求め、当該往復距離を上記バイオマス発生ノード−仮定中継地ノード間の輸送距離とする。そして、上記計算した輸送距離を「合計輸送距離」に加算する(S204−6参照)。また、選択したバイオマス発生ノードから得られるバイオマス量を、「入手バイオマス量」に加算する(S204−7参照)。バイオマス発生ノードから得られるバイオマス量は、例えばバイオマス情報に含まれる利用可能量を用いる。そして、「入手バイオマス量」が中継地点の必要収集量に達したか判断する(S204−8参照)。「入手バイオマス量」が必要収集量に達するまで、仮定中継地ノードの近くのバイオマス発生ノードの選択、上記バイオマス発生ノード−仮定中継地ノード間の輸送距離の計算、計算した輸送距離の「合計輸送距離」への加算、選択したバイオマス発生ノードから得られるバイオマス量の「入手バイオマス量」への加算が繰り返される。「入手バイオマス量」が必要収集量に達すると、選択されたメッシュの情報(例えば縦横行列の座標情報)と、計算された「合計輸送距離」とが、関連付けされて記録される(S204−9参照)。以上の処理は各メッシュについて行われる。
【0100】
その後、上記のようにメッシュごとに算出された合計輸送距離を用いて、メッシュごとに収集コストを算定し、収集コストが最小となるメッシュを特定し、当該メッシュの中心位置を該当する分割領域の中継地点として設定する(図18のS506)。例えば本実施形態では、輸送距離の長短がバイオマス資源の収集費用(金額)に最も影響を与えるとの観点から、輸送距離そのものを収集コストとしている。このため、本実施形態では、輸送距離が最小となるメッシュの中心位置が、該当する分割領域の中継地点として設定される。但し、バイオマス資源の購入費用を上記収集コストに加味しても良い。以上の処理は各分割領域について行われ、各分割領域ごとに1つの中継地点が設定される(S507;Yes,S503〜S506)。なお、中継地点の設定が不可能な地域に該当するメッシュは、最適中継地点探索処理から除くようにしている(図17のS204−2参照)。
【0101】
収集経路距離算出ステップ(図5のS305)では、上記のように手動または自動で設定された中継地点に基づいて、合計収集経路距離を例えば図19及び図20のフローチャートに示す処理に従って算出する。この収集経路距離算出ステップは、コンピュータ40により自動で行われる。
【0102】
先ず、「入手バイオマス量」「積載バイオマス量」「合計収集経路距離」の各値をクリアする、即ち0にする(図19のS305−1)。次に、未選択の中継地点の中から一の中継地点を選択する(S305−2)。そして、現地点を選択した中継地点に設定する(S305−3)。次に、現地点のノードからの直線距離が最短となるバイオマス発生ノードを検索し、検索したバイオマス発生ノードを収集対象として選択する(S305−4)。但し、既に選択されたことのあるバイオマス発生ノードは除く。次に、選択したバイオマス発生ノードから得られるバイオマス量として、バイオマス情報に含まれる利用可能量を用いて、上記選択バイオマス発生ノードから得られるバイオマス量と現時点での積載バイオマス量との和が、輸送量条件として設定された積載限界量を上回っていないか、判断する(S305−5)。上回っている場合は(S305−5;Yes)、当該バイオマス発生ノードの利用可能量のすべてを輸送することはできないので、積載限界量から積載バイオマス量を差し引いた量を、選択バイオマス発生ノードから得られるバイオマス量とする(S305−6)。上回っていない場合には(S305−5;No)、当該バイオマス発生ノードの利用可能量すべてを輸送することができるので、利用可能量が選択バイオマス発生ノードから得られるバイオマス量となる。
【0103】
次に、選択バイオマス発生ノードから得られるバイオマス量を、「入手バイオマス量」と「積載バイオマス量」にそれぞれ加算する(S305−7)。また、選択したバイオマス発生ノードと現地点のノードとを結ぶルート(経路)の中から最短距離となるルートを検索し、当該ルートを構成するラインデータの総延長距離を計算する。なお、上記最短ルート検索のアルゴリズムは、特定のものには限定されず、例えばカーナビゲーションシステムなどで利用されている既存のものを利用して良い。そして、上記計算した距離を「合計収集経路距離」に加算する(S305−9)。そして、現地点を選択したバイオマス発生点に設定する(S305−10)。そして、「入手バイオマス量」が中継地点の必要収集量に達したか判断する(S305−11)。なお、入手バイオマス量と必要収集量の単位は、重さで表さずに、エネルギーで表すようにしても良い。
【0104】
「入手バイオマス量」が中継地点の必要収集量に達していなければ(S305−11;No)、「積載バイオマス量」が積載限界量に達しているか判断する(S305−12)。「積載バイオマス量」が積載限界量に達していなければ(S305−12;No)、次のバイオマス発生源からバイオマス資源を入手するべく、現地点のノードからの直線距離が最短となるバイオマス発生ノードを検索して収集対象として選択し(但し、既に選択されたことのあるバイオマス発生ノードは除く)、以降の上述した処理を繰り返す(S305−4〜S305−11)。「積載バイオマス量」が積載限界量に達していれば(S305−12;Yes)、中継地点に帰るべく、現地点のノードと選択中継地点のノードとを結ぶルート(経路)の中から最短距離となるルートを検索し、当該ルートを構成するラインデータの総延長距離を計算する(S305−13)。そして、上記計算した距離を「合計収集経路距離」に加算する(S305−14)。そして、「積載バイオマス量」の値をクリアする、即ち0にする(S305−15)。そして、現地点を選択中継地点に設定し(S305−3)、現地点のノードからの直線距離が最短となるバイオマス発生ノードを検索して収集対象として選択し(但し、既に選択されたことのあるバイオマス発生ノードは除く)、以降の上述した処理を繰り返す(S305−4〜S305−11)。なお、輸送手段としての輸送車が選択中継地点に帰って来た回数により、1台の輸送車を用いる場合の必要な往復回数や、複数台の輸送車を用いる場合の必要な輸送車台数が分かる。
【0105】
「入手バイオマス量」が中継地点の必要収集量に達していれば(S305−11;Yes)、中継地点に帰るべく、現地点のノードと選択中継地点のノードとを結ぶルート(経路)の中から最短距離となるルートを検索し(S305−16)、当該ルートを構成するラインデータの総延長距離を計算する。そして、上記計算した距離を「合計収集経路距離」に加算する(S305−17)。その後、中継地点とバイオマス利用施設との間の輸送距離を算出する処理を行う(S305−18)。
【0106】
中継地点−施設間輸送距離算出処理(S305−18)の内容を、図20のフローチャートに従って説明する。先ず、選択中継地点のノードとバイオマス利用施設のノードとを結ぶルート(経路)の中から最短距離となるルートを検索し、当該ルートを構成するラインデータの総延長距離を計算する(S601)。これにより、選択中継地点ノード−バイオマス利用施設ノード間の片道距離が計算される。さらに、例えば本実施形態では、上記片道距離を2倍にして往復距離を求める。また、選択中継地点の必要収集量を積載限界量で割り算して(割り切れない場合や小数点は切り上げて整数とする)、輸送車が1台とした場合の必要往復回数を求める。なお、この必要往復回数は、複数台の輸送車を用いる場合には、必要な輸送車台数を示す。そして、当該必要往復回数と上記往復距離とを掛け算した値を、上記選択中継地点ノード−バイオマス利用施設ノード間の必要輸送距離とする(S602)。当該必要輸送距離を「合計収集経路距離」に加算する(S603)。
【0107】
以上の処理を設定された中継地点ごとに実行する(図19のS305−19;Yes,S305−2〜S305−18)。これにより、設定された一群の中継地点に対応する「合計収集経路距離」が計算される。さらに、中継地点の位置や数を変更して、収集経路距離算出ステップを再度実行する(S306;Yes,S305)。これにより、当該設定変更された中継地点に対応する「合計収集経路距離」が計算される。各回の一群の中継地点の設定内容(中継地点の位置および数)には、特定のカウンタ番号が与えられ(S301,S308)、中継地点の各設定内容と当該設定の場合に対応する「合計収集経路距離」とは関連付けられて記録される(S307)。
【0108】
中継地点の位置や数の設定変更をこれ以上しない場合には(S306;No)、最適収集情報出力ステップ(S309)に移行する。最適収集情報出力ステップはコンピュータ40により自動で行われる。最適収集情報出力ステップでは、上記のように中継地点の設定内容に応じて算出された合計収集経路距離を用いて、中継地点の設定内容ごとに収集コストを算定し、収集コストが最小となる中継地点の組を特定し、当該中継地点の組を最適中継地点として出力する。例えば本実施形態では、輸送距離の長短がバイオマス資源の収集費用(金額)に最も影響を与えるとの観点から、合計収集経路距離そのものを収集コストとしている。このため、本実施形態では、合計収集経路距離が最小となる組の中継地点が最適中継地点として出力される。
【0109】
なお、バイオマス資源の種類によって、バイオマス資源提供者に対価を支払う場合と、バイオマス資源提供者から対価の支払を受ける場合(逆有償)とがあるため、バイオマス資源の購入費用を上記収集コストに加味しても良い。この場合は、バイオマス情報に、単位バイオマス量あたりの購入価格または逆有償価格を含めるようにする。収集コストにバイオマス資源の購入費用を加味することで、輸送距離が大きくなっても逆有償により収集コストが小さくなる可能性にも対応できる。
【0110】
本実施形態の最適収集情報出力ステップ(S309)は、上記のように決定された最適中継地点と当該最適中継地点に基づくバイオマス資源の収集経路とを地図上に表示したバイオマス資源の最適収集図を、出力装置44としてのディスプレイ上に表示出力するようにしている。なお、出力装置44としてのプリンタにバイオマス資源の最適収集図を印刷出力しても良い。また、各中継地点から各バイオマス発生点へとバイオマス資源を収集する様子、各中継地点からバイオマス利用施設に収集したバイオマス資源を輸送する様子を、画面地図上の道路をトレースする、例えば輸送車が移動した経路を色を変更して順次表示して、一定時間ごとに輸送車移動経路が延びていく様子を表示することで、収集経路を分かりやすく見やすくするようにしても良い。
【0111】
このバイオマス資源の最適収集図によれば、システム利用者は、バイオマス資源の収集に利用する中継地点の最適位置および最適収集経路を視覚的に把握できる。なお、先に説明したバイオマス分布図やバイオマス利用施設の最適配置図を、バイオマス資源の最適収集図に重ねて表示しても良い。また、本発明では、合計収集経路距離の計算に、現実の道路形状に即したラインデータを用いているので、従来技術のようにメッシュ区画の1辺を距離の基本単位として計算した経路距離と比較して、格段に精度が高まり、より正確な経路距離を求めることができる。バイオマス資源は「広く・薄く」存在するために、収集コストの低減が大きな課題となっているが、本発明によれば、より正確な経路距離に基づいて、収集コストが最も低くなる経済的な中継地点および収集経路を求めることができる。
【0112】
次に、バイオマス利用施設の経済性評価処理(S4)について説明する。
【0113】
上記経済性評価処理(S4)で求めるバイオマス利用単価は、例えば単位バイオマス量(単位質量または単位体積または単位エネルギー)あたりのバイオマス利用コストを示す。バイオマス利用コストは、例えば、バイオマス資源をバイオマス利用施設に輸送するのに必要となる輸送コスト、バイオマス資源を入手するための購入コスト(逆有償の場合も含む)、バイオマス資源の加工に必要な加工コストからなる。例えば、「バイオマス利用コスト=輸送コスト+購入コスト+加工コスト」「輸送コスト=距離×A+B(但し、Aは距離に比例するコスト(燃料費など)であり、Bは距離とは無関係に発生するコストを示す)」「バイオマス利用単価=バイオマス利用コスト/バイオマス量」と表すことができる。輸送コストの計算に必要な距離と、バイオマス利用施設に収集されるバイオマス量は、上述した処理により求めることができるので、その他のコスト計算に必要なパラメータ(購入コスト、加工コスト、輸送コストの内の距離に比例する部分A、輸送コストの内の距離とは無関係に発生する部分B)を与えることで、バイオマス利用単価を求めることができる。
【0114】
また、上記経済性評価処理(S4)で求めるバイオマス発電単価は、例えば単位発電量および単位稼働時間あたりのバイオマス発電コストを示す。バイオマス発電コストは、バイオマス利用コストと、バイオマス利用施設に関わるコスト(施設建設費や施設の維持管理に必要なコストなど)からなる。発電量は、例えば入手バイオマス量と発電効率から求めることができる。バイオマス利用コストと、バイオマス利用施設に収集されるバイオマス量とは、上述した処理により求めることができるので、その他のコスト計算に必要なパラメータ(発電効率やバイオマス利用施設に関わるコスト)を与えることで、バイオマス発電単価を求めることができる。
【0115】
例えば本実施形態の経済性評価処理では、バイオマス発電施設において将来予測される発電により得られる収入と上記発電を実現するのに要する支出とを対比させた図または表(経済性評価図表と呼ぶ)を出力するようにしている。上記将来のバイオマス発電施設の収入および支出は、上記算定したバイオマス利用単価やバイオマス発電単価に基づいて求められる。出力された経済性評価図表は、バイオマス発電の事業計画(バイオマス発電施設の立地点やバイオマス資源の収集経路)が経済的に妥当であるか否かの判断に利用することができる。
【0116】
以上のように本発明によれば、どの地域のどの時期(どの季節)であれば、どの地点にバイオマス利用施設やバイオマス資源の収集中継地点を設置することが経済的に好ましいか、を検討することができる。さらに、種々条件(時期条件、中継地点位置、中継地点数、輸送条件など)を変えて、各条件に対応した各種資料(バイオマス分布図、バイオマス利用施設の最適配置図、バイオマス資源の最適収集図、経済性評価図表)を揃えることで、これらの資料を地域バイオマス発電事業化可能性調査(FS調査)に大いに役立てることができる。これにより、バイオマス利用計画に関わる意思決定を支援することができる。
【0117】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述の実施形態では、バイオマス分布情報の作成処理(S1)と、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)と、バイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理(S3)と、バイオマス利用施設の経済性評価処理(S4)とを、互いに連携させて連続して実施したが、これらの各処理を独立して行うことも可能である。例えば別手段によりバイオマス分布情報が得られる場合には、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)において、必ずしもバイオマス分布情報の作成処理(S1)の結果情報を利用しなくとも良く、バイオマス利用施設の立地点が既に確定しているような場合には、バイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理(S3)において、バイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理(S2)の結果情報を利用しなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明のバイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラムの実施の一形態を示し、システム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明のバイオマス利用計画支援方法およびシステムおよびプログラムの処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2のバイオマス分布情報作成処理を更に詳細に示すフローチャートである。
【図4】図2のバイオマス利用施設の最適立地点情報の作成処理を更に詳細に示すフローチャートである。
【図5】図2のバイオマス資源の最適収集経路情報の作成処理を更に詳細に示すフローチャートである。
【図6】本発明のバイオマス利用計画支援プログラムが実装されるコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図7】ポイントデータ、ラインデータ、ポリゴンデータを示す概念図である。
【図8】バイオマス情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図9】バイオマス情報のデータ構造の他の例を示す図である。
【図10】図3の条件情報入力ステップを更に詳細に示すフローチャートである。
【図11】道路情報を構成するラインデータを基準とするバッファ単位で地域条件情報を指定する場合の画面表示例を示す図である。
【図12】行政界単位で地域条件情報を指定する場合の画面表示例を示す図である。
【図13】地図を格子状に区切ったメッシュ単位で地域条件情報を指定する場合の画面表示例を示す図である。
【図14】道路情報を構成するラインデータを基準とするバッファ単位で地域条件情報を指定した場合の画面表示例を示す図である。
【図15】行政界単位で地域条件情報を指定した場合の画面表示例を示す図である。
【図16】地図を格子状に区切ったメッシュ単位で地域条件情報を指定した場合の画面表示例を示す図である。
【図17】図4の輸送距離算出ステップを更に詳細に示すフローチャートである。
【図18】コンピュータが自動的に中継地点の位置を決定する場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】図5の収集経路距離算出ステップを更に詳細に示すフローチャートである。
【図20】図19の中継地点−施設間輸送距離算出処理を更に詳細に示すフローチャートである。
【図21】従来のバイオマス資源の収集計画の策定に用いる収集ルートの距離の計算法を示す概念図である。
【符号の説明】
【0119】
1 バイオマス利用計画支援システム
2 バイオマス分布情報作成手段
3 バイオマス利用施設の最適立地点情報作成手段
4 バイオマス資源の最適収集経路情報作成手段
5 バイオマス利用施設の経済性評価手段
11 初期データ入力受付手段
12 条件情報入力受付手段
13 バイオマス分布情報出力手段
14 バイオマス情報データベース
21 初期データ設定手段
22 加工道路情報作成手段
23 メッシュ生成手段
24 輸送距離算出手段
25 最適立地点出力手段
31 地理条件設定手段
32 輸送条件設定手段
33 中継地点設定手段
34 収集経路距離算出手段
35 最適収集情報出力手段
40 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報を入力する初期データ入力ステップと、地域条件情報を少なくとも含む条件情報を入力する条件情報入力ステップと、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を前記地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力ステップとを少なくとも有することを特徴とするバイオマス利用計画支援方法。
【請求項2】
前記バイオマス発生場所情報は、地理上の1点を示すポイントデータ、または地理上の3点以上の頂点で囲まれた多角形を示すポリゴンデータであることを特徴とする請求項1記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項3】
前記バイオマス分布情報出力ステップは、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を地図上に表示したバイオマス分布図を出力することを特徴とする請求項1または2記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項4】
前記地域条件情報は、道路情報を構成するラインデータを基準とするバッファ単位、行政界単位、地図を格子状に区切ったメッシュ単位で指定可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項5】
前記バイオマス情報は、バイオマス種情報とバイオマス発生時期情報の一方又は双方を含み、前記条件情報は、時期条件情報を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項6】
前記バイオマス量情報は、時期別に設定されるとともに、前記条件情報は、時期条件情報を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項7】
バイオマス利用施設の最適立地点を探索する方法であり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、前記バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定ステップと、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成ステップと、前記バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成ステップと、前記メッシュの一定位置に前記バイオマス利用施設があると仮定し、前記必要バイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に前記バイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出ステップと、前記算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記メッシュの一定位置を前記バイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力ステップとを有することを特徴とするバイオマス利用計画支援方法。
【請求項8】
前記バイオマス利用施設の建設が不可能な地域に該当する前記メッシュを、前記輸送距離算出ステップまたは前記最適立地点出力ステップの対象から除くことを特徴とする請求項7記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項9】
前記バイオマス分布情報は、請求項1から6のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法のバイオマス分布情報出力ステップで得られるものであることを特徴とする請求項7または8記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項10】
前記最適立地点出力ステップは、前記バイオマス利用施設の最適立地点を地図上に表示したバイオマス利用施設の最適配置図を出力することを特徴とする請求項7から9のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項11】
バイオマス資源の最適収集経路を探索する方法であり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定ステップと、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定ステップと、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定ステップと、前記中継地点ごとに、前記輸送条件の下に前記必要収集量を満たすバイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を前記加工道路情報を用いて算出し、収集したバイオマス資源を前記輸送条件の下に前記各中継地点から前記バイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出し、全ての前記中継地点についての前記収集経路距離と前記中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出ステップとを有し、前記中継地点設定ステップで設定される中継地点を変更し、当該変更毎に、前記収集経路距離算出ステップを繰り返し行い、前記合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力ステップを有することを特徴とするバイオマス利用計画支援方法。
【請求項12】
前記最適収集情報出力ステップは、前記最適中継地点と当該最適中継地点に基づくバイオマス資源の収集経路とを地図上に表示したバイオマス資源の最適収集図を出力することを特徴とする請求項11記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項13】
前記バイオマス利用施設の立地情報は、請求項7から10のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法の最適立地点出力ステップで得られるものであることを特徴とする請求項11または12記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項14】
前記バイオマス利用施設はバイオマス発電施設であり、上記算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力する経済性評価処理を有することを特徴とする請求項7から13のいずれか1つに記載のバイオマス利用計画支援方法。
【請求項15】
バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報の入力を受け付ける初期データ入力受付手段と、地域条件情報を少なくとも含む条件情報の入力を受け付ける条件情報入力受付手段と、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を前記地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力手段とを少なくとも有することを特徴とするバイオマス利用計画支援システム。
【請求項16】
バイオマス利用施設の最適立地点を探索するシステムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、前記バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定手段と、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成手段と、前記バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成手段と、前記メッシュの一定位置に前記バイオマス利用施設があると仮定し、前記必要バイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に前記バイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出手段と、前記算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記メッシュの一定位置を前記バイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力手段とを有することを特徴とするバイオマス利用計画支援システム。
【請求項17】
バイオマス資源の最適収集経路を探索するシステムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定手段と、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定手段と、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定手段と、前記中継地点ごとに、前記輸送条件の下に前記必要収集量を満たすバイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を前記加工道路情報を用いて算出し、収集したバイオマス資源を前記輸送条件の下に前記各中継地点から前記バイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出し、全ての前記中継地点についての前記収集経路距離と前記中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出手段と、前記中継地点設定手段で設定される中継地点を変更し、当該変更毎に、前記合計収集経路距離の算出を繰り返し行い、前記合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力手段を有することを特徴とするバイオマス利用計画支援システム。
【請求項18】
前記バイオマス利用施設はバイオマス発電施設であり、上記算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力する経済性評価手段を有することを特徴とする請求項16または17記載のバイオマス利用計画支援システム。
【請求項19】
バイオマス発生場所情報とバイオマス量情報とを少なくとも含む組よりなるバイオマス情報と地理情報の入力を受け付ける初期データ入力受付手段と、地域条件情報を少なくとも含む条件情報の入力を受け付ける条件情報入力受付手段と、入力された前記条件情報に該当するバイオマス量情報を前記地理情報と関連付けて出力するバイオマス分布情報出力手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするバイオマス利用計画支援プログラム。
【請求項20】
バイオマス利用施設の最適立地点を探索するシステムとしてコンピュータを機能させるプログラムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報と、前記バイオマス利用施設の必要バイオマス量を少なくとも含む初期パラメータとを設定する初期データ設定手段と、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報を作成する加工道路情報作成手段と、前記バイオマス分布情報の地図を格子状に区切ったメッシュを生成するメッシュ生成手段と、前記メッシュの一定位置に前記バイオマス利用施設があると仮定し、前記必要バイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に前記バイオマス利用施設へと収集するのに要する輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出する輸送距離算出手段と、前記算出された輸送距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記メッシュの一定位置を前記バイオマス利用施設の最適立地点として出力する最適立地点出力手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするバイオマス利用計画支援プログラム。
【請求項21】
バイオマス資源の最適収集経路を探索するシステムとしてコンピュータを機能させるプログラムであり、バイオマス量情報と地理情報とが関連付けられたバイオマス分布情報と、座標情報を有するノードおよびノード間を接続するラインデータで表される道路情報とを用いて、前記バイオマス分布情報のバイオマス発生場所を、前記道路情報における新たなノードとして発生させた加工道路情報と、バイオマス利用施設の立地情報とを設定する地理条件設定手段と、輸送手段の輸送量条件を少なくとも含む輸送条件を設定する輸送条件設定手段と、1以上の中継地点および各中継地点に収集するバイオマス資源の必要収集量を設定する中継地点設定手段と、前記中継地点ごとに、前記輸送条件の下に前記必要収集量を満たすバイオマス量を最寄の前記バイオマス発生場所から順に収集するのに要する収集経路距離を前記加工道路情報を用いて算出し、収集したバイオマス資源を前記輸送条件の下に前記各中継地点から前記バイオマス利用施設に輸送するのに要する中継地点−施設間輸送距離を前記加工道路情報を用いて算出し、全ての前記中継地点についての前記収集経路距離と前記中継地点−施設間輸送距離との総和からバイオマス資源の合計収集経路距離を求める収集経路距離算出手段と、前記中継地点設定手段で設定される中継地点を変更し、当該変更毎に、前記合計収集経路距離の算出を繰り返し行い、前記合計収集経路距離を用いて算定された収集コストが最小となる前記中継地点の組を、最適中継地点として出力する最適収集情報出力手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするバイオマス利用計画支援プログラム。
【請求項22】
前記バイオマス利用施設はバイオマス発電施設であり、上記算出された収集コストに基づいて、バイオマス利用単価と、発電単価の一方または双方を算定し出力する経済性評価手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする請求項20または21記載のバイオマス利用計画支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−99285(P2006−99285A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282643(P2004−282643)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(504364286)株式会社電力計算センター (1)
【Fターム(参考)】