説明

バイサルファイト修飾された核酸を増幅およびコピーするための酵素

本発明は、バイサルファイト修飾または処理された核酸をコピーまたは増幅するための酵素の使用であって、酵素が、天然Taqポリメラーゼと比較して、実質的に同一の条件下で、核酸をコピーまたは増幅するのに、より効率的である使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸、特に、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅する酵素の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動配列決定技術における進歩の結果として、DNAのコーディング領域を決定する多くの研究が行われ、ヒトゲノムを含む多数の動物ゲノムの完全配列決定をもたらした。しかし、長年、ゲノムDNAの大部分は、ノンコーディングであると理解されており、この物質は、かつて「ジャンク」DNAと考えられていた。現在は、DNAの非コード領域の分析は、遺伝子の発現および機能の研究において重要であると考えられている。核酸、特にゲノムDNAにおけるメチル化の状態またはパターンは、動物における遺伝子の発現および制御において機能的または調節的役割を有すると考えられている。
【0003】
一本鎖DNAでは、亜硫酸水素ナトリウムが、5−メチルシトシンのチミンへの極めて遅い速度の脱アミノ化と比較して、優先的にシトシンをウラシルに脱アミノ化することが実証されている(Shapiro, R.、DiFate, V.およびWelcher, M、(1974)J. Am. Chem. Soc. 96: 906-912)。この知見は、Frommerら1992年のバイサルファイトゲノム配列決定プロトコールの開発の根拠として役立った[Frommer M、McDonald LE、Millar DS、Collis CM、Watt F、Grigg GW、Molloy PLおよびPaul CL. PNAS 89: 1827-1831(1992)]。要約すれば、現在実施されているこの方法は、以下の一般的な工程:DNAのアルカリ変性;亜硫酸水素ナトリウムを使用する脱アミノ化;脱塩による脱スルホン化と、それに続く水酸化ナトリウム処理;中和および脱塩を含む。
【0004】
バイサルファイト修飾手順およびその確立された変法の主な不都合の1つは、この手順が、投入した元のDNAの84〜96%を分解することが示されている点である(GrunauらNucleic Acids Research 29(13)e65(2001))。この手順に伴う高損失は、少数の細胞をそのゲノムメチル化状態についてうまく分析すること、またはDNAがすでに部分的に分解された状態にある古い保存試料をうまく分析することが、事実上、極めて困難であることを意味する。さらに、現行法の特有の核酸分解のために、膨大な数の配列中の「ギャップ」により、公共のヒトゲノムプロジェクト(International Human Genome Sequencing Consortium, 2001, Nature, 409, 860-921)または民間のCELERA配列決定プロジェクト(J Craig Venterら2001, Science, 291, 1304-1351)によって成功裏に適用されたものと同じ方法では、生物の完全なゲノムを配列決定し、組み立て、そのゲノムワイドのメチル化プロフィールを決定することができない。
【0005】
現在実施されているバイサルファイト法に伴うさらなる不都合は、一般に、DNAの小さい断片しか増幅できないことである。経験的に、概して、約500塩基対(bp)未満はうまく処理し、増幅できることがわかっている。この技術は、大きな領域の未処理ゲノムDNA(一般的には最大約50kb)の増幅を可能にする長距離ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの新しい分子生物学的な手法には適用できない。目下のところ、哺乳類ゲノム中の多数の遺伝子は長さ50kbを超えるので、インタクトな遺伝子のメチル化状態を分析することはさらに可能でない。
【0006】
広範に使用されている熱安定性ポリメラーゼは、バイサルファイト変換の際に生じた脱塩基部位を迂回することができず、通常、これが増幅反応の停止を引き起こす(Sikorsky, J.A.、Primerano, D.A.、Fenger, T.W.およびDenvir, J.(2004) Biochem. Biophys. Res. Commun. 323、823-230)。さらに、これらのポリメラーゼはまた、スルホン酸基などの嵩高い付加物を含むDNAをうまく効率的に増幅できない。これは、PCR増幅に先立って、アルカリ媒体中、高温でのバイサルファイト変換された核酸の脱スルホン化を必要とし、この手順の間に見られる核酸損傷および損失の大部分をもたらす(Munson, K.、Clark, J.、Lamparska-Kupsik, K.およびSmith, S.S.(2007) Nucl. Acids. Res. 35(9)、2893-2903)。さらに、Tリッチ3塩基ゲノムを効果的に作製すること(非メチル化Cを、Uに、次いで、PCR増幅の間にTに変換するので、主に塩基A、T、Gからなるゲノムが生じる)は、現在利用可能なポリメラーゼにとって大きな困難をもたらし、伸長の間に頻繁なスリップを引き起こす。バイサルファイト変換されたDNAのPCR増幅に際して遭遇するさらなる問題は、Pfu PwoおよびVentのような古細菌DNAポリメラーゼなどのいくつかのポリメラーゼがプロセシングできないウラシルを、一本鎖鋳型が含むということである(Lasken, R.S.、Schuster、D.M.およびRashtchian, A.(1996)J. Biol. Chem. 271(30)、17692-17696)。したがって、現在、比較的小さい遺伝子(<4kb)であっても、メチル化状態を調べるには、PCR反応は、目的の遺伝子領域にわたってスタッガードでなくてはならなかった(D.S Millar, K.K Ow、C.L. Paul、P.J. Russell、P.L. Molloy、S.J. Clarke、1999、Oncogene、18(6):1313-24;Millar DS、Paul CL、Molloy PL、Clarke SJ.(2000).J Biol Chem;275(32):24893-9)。
【0007】
一部の例では、cDNAへの逆転写およびその後のPCRの前にRNAをバイサルファイト修飾することが望ましい。しかし、RNAは、脱スルホン化のために必要な高温およびpHでの分解に対してより一層感受性が高く、これが、感度のさらなる低下をもたらす。バイサルファイト修飾、処理または変換された核酸を効率的にプロセシングできる酵素が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、バイサルファイト修飾または処理された核酸を効率的にプロセシングするその能力において、より効率的である酵素を同定または修飾することが可能であるということを見出した。
【0009】
本発明は、概して、実質的に同一の反応条件下で、バイサルファイト修飾または処理された核酸をコピーまたは増幅するその能力において、現在利用可能な酵素、例えば、真正細菌酵素Taqポリメラーゼ、スーパースクリプトIII逆転写酵素、クレノウエキソポリメラーゼ、BstポリメラーゼまたはBcaポリメラーゼよりも効率的である、新規の、または修飾された酵素の使用に関する。
【0010】
第1の態様では、本発明は、バイサルファイト修飾または処理された核酸をコピーまたは増幅するための酵素の使用であって、酵素が、天然Taqポリメラーゼと比較して、実質的に同一の反応条件下で、核酸をコピーまたは増幅するのに、より効率的である使用に関する。
【0011】
酵素は、脱塩基部位を有する核酸、スルホン酸基などの嵩高い付加物を有する核酸、実質的にA、T、GおよびU塩基のみを有する核酸、または実質的にA、TおよびG塩基のみを有する核酸をコピーまたは増幅できることが好ましい。
【0012】
酵素は、好熱性または中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼまたはそれらの修飾体もしくはキメラ体であり得る。
【0013】
酵素は、EP18012113に記載される酵素、本明細書において定義される5D4、HIV−RTおよびそれらの修飾体から選択されることが好ましい。
【0014】
本発明において使用するのに適した酵素は、参照により本明細書に組み込まれる、WO99/02671、WO00/40712、WO02/22869、WO03/044187、WO05/045およびEP18012113(Medical Research Council)に開示される改変法を使用して得てもよい。
【0015】
第2の態様では、本発明は、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅する方法であって、
核酸をバイサルファイト処理する工程と、
天然Taqポリメラーゼと比較して、実質的に同一の条件下で、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅するのに、より効率的である酵素を使用して、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅する工程と
を含む方法を提供する。
【0016】
バイサルファイト処理は、亜硫酸水素ナトリウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウムを使用することが好ましい。
【0017】
バイサルファイト処理は、脱スルホン化工程を実質的に伴わないことが好ましい。
【0018】
好ましくは、当該方法は、バイサルファイト処理に先立って、核酸を変性する工程をさらに含む。
【0019】
変性工程は、アルカリ環境を提供することまたは核酸を加熱することによって実施することが好ましい。
【0020】
バイサルファイト処理によって、試料中のいかなるメチル化ヌクレオチドも変化しないままであり、一方、メチル化されていないヌクレオチドがウラシルに変換されることが好ましい。
【0021】
本方法は、処理された核酸試料を脱塩または単離する工程をさらに含むことが好ましい。
【0022】
酵素は、脱塩基部位を有する核酸、スルホン酸基を含む嵩高い付加物を有する核酸、実質的に、A、T、GおよびU塩基のみを有する核酸、または実質的にA、TおよびG塩基のみを有する核酸をコピーまたは増幅できることが好ましい。
【0023】
酵素は、好熱性ポリメラーゼ、中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼならびにそれらの修飾体およびキメラ体からなる群から選択されることが好ましい。
【0024】
好ましい一形態では、酵素は、キメラ酵素、本明細書において定義される5D4、HIV−RTおよびそれらの修飾体から選択される。
【0025】
好ましい一形態では、酵素は、5D4またはその修飾体である。
【0026】
好ましい一形態では、酵素は、HIV−RTまたはその修飾体である。
【0027】
本方法は、処理された核酸をプロセシングまたは分析して、ヌクレオチド配列、メチル化状態を決定し、核酸の供給源を同定するか、または微生物を検出する工程をさらに含むことが好ましい。
【0028】
バイサルファイト処理された核酸の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR、qPCR、等温増幅またはシグナル増幅によって実施することが好ましい。
【0029】
処理された核酸は、バイサルファイト修飾されたDNA、バイサルファイト修飾されたRNA、またはバイサルファイト修飾されたDNAとバイサルファイト修飾されたRNAとの組合せを含むことが好ましい。
【0030】
第3の態様では、本発明は、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅する方法であって
核酸試料を変性する工程と、
核酸試料を、バイサルファイト試薬を用いて処理する工程および試料をインキュベートして、処理された核酸試料を形成する工程であり、試料中のいかなるメチル化ヌクレオチドも変化しないままであり、一方、メチル化されていないヌクレオチドは、別の形態に変換される工程と、
処理された核酸試料を脱塩または単離する工程と、
バイサルファイト修飾または処理された核酸を効率的にプロセシングする能力において、より効率的である酵素を使用して、バイサルファイト修飾された核酸を増幅、逆転写、消化またはそうでなければ酵素的にプロセシングする工程と
を含む方法を提供する。
【0031】
本方法は、
処理された核酸をプロセシングまたは分析して、ヌクレオチド配列またはメチル化状態を決定する工程
をさらに含む。
【0032】
バイサルファイト処理された核酸の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR、qPCR、等温増幅またはシグナル増幅などの任意の適した手段によって実施できる。
【0033】
変性工程は、アルカリ環境を提供することまたは核酸試料を加熱することによって実施することが好ましい。
【0034】
処理された核酸は、バイサルファイト修飾されたDNA、バイサルファイト修飾されたRNA、またはバイサルファイト修飾されたDNAとバイサルファイト修飾されたRNAとの組合せを含むことが好ましい。
【0035】
試料は、組織、臓器、細胞、微生物、生体試料または環境試料から得ることができる。組織または臓器は、脳、結腸、泌尿生殖器、肺、腎臓、造血、乳房、胸腺、精巣、卵巣、子宮またはそれらの混合物から選択されることが好ましい。微生物は、細菌、ウイルス、真菌、原虫、ウイロイドまたはそれらの混合物から選択されることが好ましい。生体試料は、血液、尿、糞便、精液、脳脊髄液、洗浄またはそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0036】
先行技術の方法とは異なり、本方法は、それだけには限らないが、現在利用可能な酵素と比較して、バイサルファイト修飾された核酸をプロセシングする能力が増強されているであろう、好熱性および中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素およびエンドヌクレアーゼを含めた酵素を使用する。主に、上記酵素は、Taqポリメラーゼ、スーパースクリプトIII逆転写酵素、クレノウエキソポリメラーゼ、BstポリメラーゼまたはBcaポリメラーゼなどの標準的な酵素と比較して、DNA上の脱塩基部位、スルホン酸基などの嵩高い付加物を迂回し、3塩基ゲノムでより効果的に働く能力において増強された機能を有するが、その他の修飾も生成され得る。スルホン酸基が結合している核酸をプロセシングできる新規酵素の作製によって、バイサルファイト修飾後に核酸を脱スルホン化する必要性は撤廃され、ひいては、現行法で見られる核酸の損傷および損失を削減し、ならびに時間を節約する。さらに、脱塩基部位をより迂回できるポリメラーゼの使用によって、現在利用可能である標準酵素を使用して現在あり得るものよりも、効率的なPCR反応およびより長いPCR産物の作製が可能となる。
【0037】
バイサルファイトは、水の存在下でシトシンをウラシルに修飾する試薬である、亜硫酸水素ナトリウムであることが好ましい。
【0038】
亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)は、シトシンの5,6−二重結合と容易に反応して、スルホン化シトシン反応中間体を形成し、これが脱アミノ化に対して感受性であり、水の存在下でスルホン酸ウラシルを生じる。必要に応じて、弱アルカリ条件下でスルホン酸基を除去してもよく、その結果、ウラシルが形成される。このようにして、すべての保護されていないシトシンが、ウラシルに変換される可能性がある。しかし、任意のメチル化シトシンは、メチル化による保護のためにバイサルファイトによって変換され得ない。
【0039】
DNAのバイサルファイト処理は、任意の非メチル化シトシン(C)を、ウラシル(U)に変換し、その結果、対応する処理されていない核酸と比較してシトシンの総数が減少した核酸をもたらす。したがって、メチル化を有しないバイサルファイト処理された核酸は、実質的に塩基アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)およびウラシル(U)を含むが、依然として、対応する未処理の核酸と実質的に同じ総数の塩基を有する。この処理された核酸が、例えば、PCRによる増幅を受けると、実質的に、塩基アデニン(A)、グアニン(G)およびチミン(T)のみを含む核酸の簡易化形態が形成される。
【0040】
シトシンを含む二本鎖DNAについては、バイサルファイト処理は、2種の核酸(各相補鎖につき1種)をもたらし、各々は、塩基アデニン、グアニン、チミンおよびウラシルを含む。2種の核酸は、二本鎖DNAの2種の一本鎖から生じる。2種の核酸は、シトシンを有さない場合もあるが、依然として、元の処理されていないDNA分子と同じ総数の塩基および配列長を有する。2種の処理された核酸は、互いに相補的でなく、増幅のためのトップ鎖およびボトム鎖鋳型を形成することが重要である。1種または複数の鎖を、増幅またはさらなるプロセシングのための標的として使用できる。処理された核酸の増幅の際に、トップ(またはボトム鎖)中のウラシルは、核酸の対応する増幅産物中ではチミンに置換される。増幅を続けるにつれ、各新規相補鎖が、塩基アデニン、グアニン、チミンしか有しないので、トップ(および/または増幅される場合には、ボトム鎖)は希釈される。
【0041】
第4の態様では、本発明は、バイサルファイト処理された核酸のコピーまたは増幅において、5D4もしくはその修飾された形態、またはHIV−RT逆転写酵素もしくはその修飾された形態からなる群から選択される酵素の使用を提供する。
【0042】
バイサルファイト処理は、脱スルホン化工程を実質的に伴わないことが好ましい。
【0043】
本明細書を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群を含むことを意味するが、任意のその他の要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群を含まないことを意味するものではないと理解されよう。
【0044】
文書、作用、物質、装置、品目または本明細書に含まれている同様のものについての任意の議論は、単に、本発明に状況を提供することを目的とするものである。これらの問題のいずれかまたはすべてが、先行技術の基礎の一部を形成するか、本発明の開発より前にオーストラリアにおいて存在したような、本発明が関連する技術分野における共通の一般知識であったということの承認ととられるべきではない。
【0045】
本発明がより明確に理解され得るよう、好ましい実施形態を、以下の図面および実施例を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】Taqポリメラーゼ(レーン1、4および7)、Dpo4ポリメラーゼ(レーン2、5および8)およびハイブリッドポリメラーゼ(レーン3、6および9)を用いる、(図A)脱スルホン化および(図B)非脱スルホン化バイサルファイト処理DNAの、PCR増幅の予測された結果を示す図である。バイサルファイト処理されたDNA10pgを、200bp(レーン1〜3)、500bp(レーン4〜6)または2000bp(レーン7〜9)のアンプリコンが得られるプライマーを使用して増幅した。
【図2】逆転写効率の予測された結果を示す図である。スーパースクリプトIIIバッファー中、1.3kb、2.5kb、4kb、6.5kbおよび10kbの全RNA各0.25μgおよび各RT200ユニットおよびランダムヘキサマー0.5μgの混合物から、スーパースクリプトIII(図2Aおよび図2C)およびキメラ逆転写酵素(BおよびD)によって、示された温度で、60分間、反応液20μl中で32P標識したcDNAを合成した。RNAを、バイサルファイト修飾し、脱スルホン化(図2Aおよび図2B)するか、非脱スルホン化(CおよびD)のいずれかとした。cDNA産物を、1.4%アルカリゲルで電気泳動し、X線フィルムに曝露した。
【図3】バイサルファイト処理されたRNAの、HIV−RT逆転写酵素を使用した増幅の結果を示す図である。レーン1.76℃で0分脱スルホン化;レーン2.76℃で1分脱スルホン化;レーン3.76℃で2分脱スルホン化;レーン4.76℃で5分脱スルホン化;レーン5.76℃で10分脱スルホン化;レーン6.76℃で15分脱スルホン化;レーン7.76℃で15分脱スルホン化(対照逆転写酵素);レーン8.RT陰性対照;レーン9.PCR陰性対照。
【図4】Taqおよび5D4酵素間のPCR増幅効率の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
酵素
コンパートメント化自律複製(CSR)またはin vitroコンパートメント化(IVC)という最近開発された技術は、操作して、特定の特徴を有する新規酵素を作製できる1つの技術である(Tawfik, D.SおよびGriffiths, A.D.(1998) Nature Biotech. 16、652-656;Ghadessy, F.J.、Ong, J.L.およびHolliger, P.(2001) PNAS. 98(8)、4552-4557;d' Abbadie, M.、Hofreiter, M.、Vaisman, A.、Loakes, D.、Gasparutto, D.、Cadet, J.、Woodgate, R.、Paabo, S.およびHolliger, P.(2007) Nature Biotech. 25(8)、939-943)。さらに、新規特性を有する、今日まで、古代DNAの増幅のためにしか利用されてこなかった、3つの生物界すべてに見られるDinBファミリーのポリメラーゼ(Boudsocq, F.、Iwai, S.、Hanaoka, F.およびWoodgate, R.(2001) Nucl. Acids. Res. 29、(22)、4607-4616)などの新規酵素が報告されており、これらは、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅するのに有用であり得る。
【0048】
本発明において使用するのに適した酵素の例は、参照により本明細書に組み込まれる、WO99/02671、WO00/40712、WO02/22869、WO03/044187、WO05/045およびEP18012113(Medical Research Council)に開示される改変法を使用して得られる。
【0049】
本発明において使用するための可能性ある候補であるか、またはバイサルファイト処理された核酸に対する活性を開発または増強するためにさらに修飾される、いくつかの修飾された酵素が、EP18012113に開示されている。例として、2F3、1A10、1A9、2F12、1C2、2G6、1A8、2F11、2H4、2H9、1B12、2H2、1C8、2H10X、3A10、3B5、3B6、3B8、3B10、3C12、3D1、4D1および5D4と表される酵素が挙げられる。酵素5D4は、本発明に特に適していることが本発明者によって見出された。
【0050】
種々の突然変異誘発および/または組換え技術を使用して、突然変異体/ハイブリッド酵素を作製できる。エラープローンPCR突然変異誘発(Zaccolo, M.およびGherardi, E.(1999) J. Mol. Biol. 285、775-783)、付着伸長プロセス(staggered extension process)(StEp;Zhao, H.、Giver, L.、Shao, Z. Afftholter, J.A.およびArnold, F.H.(1998) Nature biotech. 16、258-261)および分子育種(d' Abbadie, M.、Hofreiter, M.、Vaisman, A.、Loakes, D.、Gasparutto, D.、Cadet, J.、Woodgate, R.、Paabo, S.およびHolliger, P.(2007) Nature Biotech. 25(8)、939-943)は、適した技術の例であるが、その他の技術も使用してよい。
【0051】
エラープローンPCR突然変異誘発は、PCR反応の間に配列に突然変異誘発するランダム工程であり、これでは、in vitroでのDNA合成反応において、ピリミジンの三リン酸誘導体(6−(2−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3,4−ジヒドロ−8H−ピリミド−[4,5−c][1,2]オキサジン−7−オン;dP)およびプリン(8−オキソ−2’−デオキシグアノシン;8−oxodG)ヌクレオシド類似体が使用され、突然変異誘発物質として作用する。使用されるプライマーは、通常、ビオチン化されて(または異なる標識を保持して)、突然変異体PCR産物が野生型DNAから精製されるのを可能にし、その結果、突然変異配列をクローニングし、望ましい特長についてスクリーニングし、次いで、突然変異誘発およびスクリーニングのさらなるラウンドに付すことができる。この手順によって、これまでに達成されたものよりも少なくとも1桁大きい、より高い頻度のアミノ酸残基置換が得られる。
【0052】
付着伸長プロセス(StEP)は、in vitro突然変異誘発とPCR形式での鋳型配列の組換えを組み合わせている。鋳型配列(単数および複数)を、一般的なフランキングプライマーを用いてプライミングし、極度に短いアニーリングおよび伸長工程を用いるPCRサイクリングを行う。短い伸長時間は、各ラウンドの際に不完全なプライマー伸長をもたらす。その後のサイクルにおいて、増大するフラグメントが、配列相補性に基づいて異なる鋳型とアニールし、伸長し、さらに効果的に、異なる遺伝子間の組換えにつながる。この工程を、全長配列が作製されるまで続け、伸長時間を微調整することによって、交換される遺伝子セグメントの長さにわたって、いくつかの対照が得られる。
【0053】
分子育種は、ランダム突然変異誘発手順単独よりも、損傷許容性ポリメラーゼの選択にとって優れていると実証されている。この手順は、StEPを利用して、種々の生物に由来する種々のポリメラーゼのセグメントを組み換える。これによって、さまざまなキメラポリメラーゼが得られ、次いで、これらを所望の性状について調べる。このプロトコールはまた、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼなどといったその他のキメラ酵素の作製にとっても適している。
【0054】
バイサルファイト修飾された核酸とともに使用するための注目する酵素として、それだけには限らないが、好熱性および中温性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq、Pfu、Tth、Tfl、Pfx、Pfx50(商標)、Tko、Bst、Bca、Vent(登録商標)、Deep Vent(商標)、Phusion(商標)、ABV、UlTima、DyNAzyme EXT(商標)、Therminator、polκ、pol IV、Dbh、Dpo4およびDpo4様酵素、DNA I、DNA Iポリメラーゼのクレノウ断片、クレノウエキソ−、Phi29、T4およびT7 DNAポリメラーゼ)、逆転写酵素(例えば、AMV RT、M−MuLV RT、ThermoX RT(商標)、Thermoscript RT(商標)、スーパースクリプトIII)、およびエンドヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼIII、IV、V、VIII、T7エンドヌクレアーゼI、hOGG1、UDG、Fpg、USER)およびそれらの突然変異体またはキメラが挙げられる。
【0055】
バイサルファイト修飾されたDNAまたはRNAをプロセシングするその能力において優れている本発明に適した新規酵素は、上記で示される1種または複数の技術、またはこれらの技術の組合せまたは突然変異誘発および/または組換えのその他の適した技術を使用して、または多様な細菌種から新規種類のポリメラーゼ、例えば、バイサルファイト処理された核酸試料を使用する場合に有用であり得る、独特の特性を有するとわかっているDinBファミリーのポリメラーゼ(Boudsocq, F.、Iwai, S.、Hanaoka, F.およびWoodgate, R. (2001) Nucl. Acids. Res. 29、(22)、4607-4616)を単離することによって作製できる。限定するものではないが、中でも、好熱性および中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素およびエンドヌクレアーゼが標的とされる。酵素の同一クラスまたは異なるクラスに由来する2種以上の酵素に、組換えを行い、多数の突然変異体/ハイブリッド酵素を得る。ハイブリッド酵素をスクリーニングし、高処理能力およびDNA損傷に対して高い許容度を示すものを選択し、さらに調べる。選択するアッセイは、調べられている酵素の種類に応じて変わる。例えば、ポリメラーゼ活性は、PCRによってアッセイし、「新規」酵素の野生型およびバイサルファイト修飾された鋳型を増幅する能力を、親ポリメラーゼのものと比較すればよい。この場合には、バイサルファイト修飾されたDNAを増幅する優れた能力を示すクローンを、バイサルファイト変換されたDNAを、親ポリメラーゼよりも良好なレベルに効率的に増幅する能力を示しながら、満足のいくレベルの処理能力および熱安定性を示すポリメラーゼまたは複数のポリメラーゼが作製されるまで、組換えおよび再選択のさらなるラウンドのために選択する。バイサルファイト修飾された核酸は、脱スルホン化されても、されなくてもよい。
【0056】
2種の異なる酵素のキメラが、バイサルファイト修飾されたDNAの増幅にとって有益であり得る例として、高い処理能力を有するが、DNA損傷に対する許容度が低い熱安定性ポリメラーゼTaqと、低い処理能力を有するが、これまでのいくつかの種類のDNA損傷、例えば、脱塩基部位および嵩高い付加物を複製できるDpo4様酵素の組換えがある(McDonald, J.P.、Hall, A.、Gasparutto, D.、Cadet, J.、Ballantyne, J.およびWoodgate, R.(2006) 34(4)、1102-1111)。ポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ、DNA修飾酵素およびその他の酵素の任意の組合せを、これらの技術を使用して一緒に組換えてもよく、バイサルファイト変換された核酸のプロセシングにおけるその使用は、本発明によって本明細書において対象とされる。
【0057】
適用
本発明は、バイサルファイト修飾された核酸をプロセシングする能力が増強された酵素を利用するための方法を提供する。本方法は、それらが、例えば、それだけには限らないが、バイサルファイト修飾されたDNAのPCR増幅効率の改善およびアンプリコン長の増大を可能にする、また、バイサルファイト修飾されたRNAの効率的逆転写および/またはワンステップの逆転写PCRを可能にする、新規な多くの酵素を同定できるという点で有利である。本発明の方法は、試料を脱スルホン化する必要なく、一般的な分子生物学的技術を使用して、バイサルファイト修飾された核酸を操作できる簡易な手順を提供し、これは、これまでに知られている方法に対して、収率を大幅に改善し、高い分子量DNAを維持する。バイサルファイト修飾技術と結び付けられたこれらの酵素は、少数の細胞中のゲノムの、保存された核酸の、および大きな範囲の核酸の、または遺伝子全体のメチル化状態を成功裏に分析することができる。これらのすべてがこれまでは不可能であった。
【0058】
本明細書において、用語「より効率的な活性」または「改善された活性」とは、本発明の単離された酵素が、実質的に同一の反応条件下で、現在使用されている標準的な酵素、例えば、Taqポリメラーゼ、スーパースクリプトIII逆転写酵素クレノウエキソポリメラーゼ、BstポリメラーゼまたはBcaポリメラーゼと比較して、実質的なエラーが少なく、または全くなく、バイサルファイト修飾された核酸をより効果的にプロセシングできることを意味する。
【0059】
バイサルファイト修飾された試料は、DNA、またはRNA、またはDNAおよびRNA両方の組合せを含み得る。
【0060】
試料は、組織、細胞から調製してよく、または血液、尿、糞便、精液、脳脊髄液、洗浄などの任意の生体試料、脳、結腸、泌尿生殖器、肺、腎臓、造血、乳房、胸腺、精巣、卵巣、子宮などの供給源から得た細胞または組織、胚または胚以外の系統から得た組織、環境試料、植物、細菌、細胞内寄生生物、ウイルス、真菌、原虫およびウイロイドなどをはじめとする微生物であり得る。本発明による処理に適した、最良の記載された哺乳類細胞種は、B.Albertsら,1989年,The Molecular Biology of the Cell,第2版,Garland Publishing Inc New York and London,995−997に要約されている。
【0061】
ヒト、動物、植物、細菌、真菌およびウイルス起源の試料から得たDNAの5−メチルシトシン残基の分析は、死後48時間までの受精から得たすべての細胞、組織および臓器における、すべての生活環ステージ、ならびに、顕微鏡スライドなどの組織学的供給源に由来し得る試料、ブロックに包埋された試料、または合成もしくは天然表面から、もしくは液体から抽出された試料に及ぶものとする。
【0062】
分析は、健常な個人(WHOによって定義される健康)の細胞、組織および臓器間ならびに罹患個人から得た細胞、組織および臓器間の天然に存在する変動を含む。この意味で罹患は、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第12版、Jean D Wilsonら編、McGraw Hill Incおよび続くその後の版に記載されるか、参照される、すべてのヒト疾患、苦痛、不快および異常な状態;ならびにOMIM(Online Mendelian Inheritance in Man、www.ncbi.gov)に記載されるすべての疾患、苦痛、不快および異常な状態を含むが、主な死因、すなわち、悪性腫瘍、(癌)、虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、肺炎およびインフルエンザ、動脈の疾患、(アテローム性動脈硬化症および大動脈瘤を含む)、真性糖尿病、ならびに不安神経症、ストレス関連精神神経状態および肥満症などの社会的に衰弱する状態と一緒の中枢神経系疾患ならびに異常な染色体数または染色体再編に起因するすべての状態、(常染色体ならびに性染色体が関与する異数性、重複、欠乏、転座および挿入)、ならびにミトコンドリアゲノムの同様の異常に重点を置く。
【0063】
正常な個体または罹患個体は、(i)多様な民族性および進化的系統の集団、(ii)種族および地理的隔離集団、(iii)亜種、(iv)同一または異なる性別の双子または高次の多胎児、(v)正常な接合方法、人工授精、胚幹細胞法による、または核移植(体細胞または生殖系列核から得た)によるクローニングから、またはミトコンドリアもしくはその他の細胞小器官の投入もしくは修飾から生じる個体、(vi)トランスジェニックノックアウト、ノックインまたはノックダウン法(in vivo、ex vivo、または遺伝子活性が一時的にまたは永久に改変される任意の方法、例えば、RNAi、リボザイム、トランスポゾン活性化、薬物または小分子法、ペプチド核酸(PNA)、インターカレーティング核酸(INA)、アルトリトール(Altritol)核酸(ANA)、ヘキシトール核酸(HNA)、ロックド核酸(LNA)、シクロヘキサニル核酸(CNA)など、または限定されるものではないが、Trojanペプチドなどの核酸ベースのコンジュゲートによるいずれかの方法によって得られる個体、あるいは正常または異所性の妊娠の任意の段階の個体からのものであり得る。
【0064】
分析はまた、以下のパラメータの変化および根底にある機序を、正常に変動する系および罹患系の両方で、診断および疾患状態モニタリングまたは決定および治療的変更を目的として、細胞外様式または細胞内様式でヒト疾患と関連している、原核生物または真核生物およびウイルス(またはそれらの組合せ)由来のDNAまたはRNA中の5−メチルシトシンおよびシトシン残基も含む。
(i)遺伝病、
(ii)生物起源であろうと非生物起源であろうと、環境によって誘発される因子によって引き起こされる非遺伝的または後成的疾患(この意味で、環境的は、妊娠のすべての段階の間の、または稔性および不稔性処置の条件下の生物内の環境自体も含むととられる)、
(iii)遺伝病または非遺伝病の素因、例えば、「プリオン」クラスの因子によって、圧力変化および無重力に対する曝露によって、または放射線の影響によって引き起こされる作用、
(iv)すべての細胞種、組織、臓器系および生体ネットワークにおける加齢の過程における5−メチルシトシン変化、例えば、年齢関連鬱病、疼痛、精神神経および神経変性状態および閉経前および閉経後状態、(例えば、男女ともの受精能の低下)、
(v)癌における5−メチルシトシン変化、(例えば、DNA増幅、欠失、再編、転座および挿入事象から生じる異常な核型を有する細胞における変化)、および種々の細胞周期現象におけるそれらの変動または変化(例えば、日周リズム、光周期、睡眠、記憶、および「時差ぼけ」に対する細胞周期の効果)、
(vi)接合子から、胚発生、胎児発達、誕生、青年期、成人期および老齢期までの最も広義に定義される代謝ネットワークにおける5−メチルシトシン変化(例えば、低酸素症、無酸素症、任意の種類の照射(イオン化であろうと、非イオン化であろうと、または化学療法薬治療、近距離の岩などの自然源からの、または軍もしくは政府支援の活動から得た「放射性降下物」からの高高度曝露照射から生じるものであろうと)、ストレスによって、またはミトコンドリア、核またはオルガネラゲノム間の不均衡によって引き起こされる代謝効果、
(vii)タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよびDNA、RNA、PNA、INA、ANA、HNA、LNA、CNAなど、またはペプチドアプタマー(例えば、翻訳後付加物、翻訳後切断産物、翻訳後修飾(例えば、インテインおよびエキセイン、ユビキネーション(ubiquination)および分解産物)を含む任意のもの;稀な天然アミノ酸ならびに単一の稀なアミノ酸、例えば、学習、脳成長および細胞死に関与するD−セリンを含有するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド;薬物、生物薬剤、化学物質(化学物質および生物薬剤の定義は、G.Ashton、2001、Nature Biotechnology 19、307-3111のものである))、既存の化合物の代謝産物、新規塩、プロドラッグ、エステル、ワクチン、抗原、ポリケチド、非リボソームペプチド、ビタミン、および任意の自然源に由来する分子(例えば、植物由来シクロパミン)に対する分子、細胞、組織、臓器および生物全体レベルでの応答による5−メチルシトシン変化、
(viii)外部供給源に由来する、または内因性トランスポゾンまたはレトロトランスポゾンにおいてなど(SINESおよびLINES)、内部で活性化された、一本鎖であろうと二本鎖であろうとも、RNAおよびDNAウイルスに対する、分子、細胞、組織、臓器および生物全体レベルでの応答による5−メチルシトシンまたはシトシン変化、
(ix)遺伝子起源であろうと非遺伝子起源であろうとも(またはイントロンを含有するか否か)、RNA転写物の逆転写されたコピーに対する、分子、細胞、組織、臓器および生物全体レベルでの応答による5−メチルシトシン変化、
(x)(a)血液および脳脊髄液ならびに妊娠の前、妊娠中および妊娠後の母体の液体をはじめとするすべての液体中で循環する、DNA、RNA、PNA、INA、ANA、HNA、LNA、CNAなど(またはすべての組合せ中のいずれかのDNA、RNA、PNA、INA、ANA、HNA、LNA、CNA、アプタマー);例えば、DNA、RNA、PNA、INA、ANA、HNA、LNA、CNAなどの分子、(b)ペプチドと核酸のキメラである、またはコレステロール部分、ホルモンなどの天然分子と核酸のキメラであるコンジュゲートしている生体分子の組合せに対する、分子、細胞、組織、臓器および生物全体レベルでの応答による5−メチルシトシン変化、
(xi)上記の(i)から(x)に記載される混乱のいずれかに対する、ヒトおよび動物起源の幹細胞の応答による5−メチルシトシン変化(in vivo、ex vivoまたは新規環境または天然および合成基質(またはそれらの組合せ)と関連してのいずれか。
【0065】
修飾核酸
核酸物質を得るための任意の適した方法を使用してよい。例として、それだけには限らないが、市販のDNA、RNAキットまたは試薬、ワークステーション、プロテアーゼ試薬を含有する標準細胞溶解バッファーおよび有機抽出手順が挙げられ、これらは当業者に周知である。
【0066】
本方法は、反応容器中で実施してよい。反応容器は、任意の適した容器、例えば、試験管、プレート、毛細管、ウェル、遠心分離管、ミクロチューブ、スライド、カバースリップ、ビーズ、メンブレンまたは任意の適した表面であり得る。本方法は、核酸試料の分解または損失の可能性を低減するために、通常、1つの反応容器中で実施する。
【0067】
通常、試料には、NaOHなどのアルカリを添加することによってアルカリ環境が提供される。核酸物質がRNAである場合には、アルカリの代わりに熱を使用して、二次構造を持たない一本鎖物質を生じさせる。アルカリ環境は、二本鎖核酸分子を、分子がバイサルファイト試薬と容易に反応する状態に変性するために提供される。しかし、当然のことながら、任意のその他の変性法、例えば、熱処理またはその他の適したアルカリもしくは変性剤、例えば、KOHおよび任意のその他のアルカリを添加または使用してもよい。
【0068】
バイサルファイト処理
通常、バイサルファイト試薬は、メタ重亜硫酸ナトリウムである。バイサルファイト試薬は、シトシン塩基の、スルホン酸シトシンへのスルホン化と、それに続く、スルホン酸シトシンの、スルホン酸ウラシルへの加水分解脱アミノ化を引き起こすために使用される。しかし、当然のことながら、任意のその他の適したバイサルファイト試薬、例えば、亜硫酸イオンまたは酢酸イオンを使用してよい(Shapiro,R.、DiFate,V.、およびWelcher,M、(1974) J. Am. Chem. Soc 96: 906-912を参照のこと)。
【0069】
スルホン化試薬とのインキュベーションは、7より低いpHで、スルホン酸ウラシル基の形成に有利に働く温度で実施してよい。7より低いpHは、シトシン塩基を、スルホン酸シトシンに、続いて、スルホン酸ウラシルに変換するスルホン化反応を実施するのに最適である。しかし、本方法は、必要に応じて、pH7を上回るスルホン化反応を用いて実施してもよい。
【0070】
スルホン化反応は、バイサルファイト反応を増強できる添加剤の存在下で実施してもよい。適した添加剤の例として、それだけには限らないが、キノール、尿素、DTTおよびメトキシアミンが挙げられる。これらの試薬のうち、キノールは還元剤である。尿素およびメチオキシアミン(methyoxyamine)は、バイサルファイト反応の効率を改良するために加えられる薬剤である。さらに、DTTを、反応において、内因性RNアーゼによるRNAの分解を防ぐために使用してもよい。当然のことではあるが、その他の添加剤または薬剤もバイサルファイト反応に役立つよう提供され得る。スルホン化反応の結果、核酸試料中のメチル化シトシンは変化されないままであり、メチル化されていないシトシンはウラシルに変換される。
【0071】
うまくいくことが確認された反応条件は、以下のとおりである。処理される予定のDNA、またはその他の核酸は、最大20μlの容積とし、新しく調製した3M水酸化ナトリウム(BDH AnalaR番号10252.4X)溶液2.2μlとともに、37℃で15分間インキュベートすることによって変性させる。水酸化ナトリウムの濃度およびインキュベーション時間は、鋳型核酸の変性を確実に完了させるのに必要なように調整してよい。3Mメタ重亜硫酸ナトリウム(BDH AnalaR番号10356.4D)220μlの新しく調製した溶液pH5.0(pHは、10M水酸化ナトリウム(BDH AnalaR番号10252.4X)の添加によって調整する)および100mMキノール溶液(BDH AnalaR番号103122E)12μlを加える。添加されるキノールの濃度は、実験的に決定される、約10〜500mMの範囲中いずれであってもよい。次いで、溶液をボルテックス処理し、鉱油(Sigma分子生物学等級M−5904)208μlで覆う。次いで、試料を、適した温度で、十分なバイサルファイト変換を見越した十分な時間、例えば、80℃で、45分間インキュベートする。当業者には、上記の容積、濃度およびインキュベーション時間および温度は、反応条件が、核酸のスルホン化に適している限り、変更してもよいということはということは理解される。
【0072】
次いで、変換された核酸を、Zymo−Spin Iカラムなどの脱塩カラムを、製造業者の使用説明書に従って使用することによって、または沈殿によってのいずれかで脱塩する。沈殿のためには、その後の反応にとって阻害的である塩が、スルホン化核酸とともに共沈されないよう試料を希釈する。塩濃度は、約1M未満に希釈する。通常、希釈工程は、水またはバッファーを使用して、塩濃度を約0.5M未満に低下させるよう実施する。例えば、塩濃度は、通常、約1mM〜約1M未満、特に、約0.5M未満、約0.4M未満、約0.3M未満、約0.2M未満、約0.1M未満、約50mM未満、約20mM未満、約10mM未満に、または必要に応じて、約1mM未満にさえ希釈する。当業者ならば、核酸との塩析を減少させて、その結果、その後の工程を、核酸試料の最小限のさらなる精製または操作しか伴わずに実施できる適当な希釈を容易に決定できる。希釈は、通常、水中で実施するが、バッファーが相当に沈殿しない限り、または塩を核酸とともに相当に沈殿させて、その後の反応を阻害しない限り、任意の適したバッファー、例えば、Tris/EDTAまたはその他の生物学的バッファー中で実施してよい。通常、沈殿は、アルコールなどの沈殿剤を使用して実施する。核酸の沈殿のための例示的アルコールは、イソプロパノール、エタノールまたは任意のその他の適したアルコールから選択できる。
【0073】
スルホン酸基などの嵩高い付加物を含有するDNAをプロセシングできる酵素を使用することによって、バイサルファイト変換された核酸を脱スルホン化する必要性が撤廃されるはずである。脱スルホン化工程は、バイサルファイト変換法における核酸損傷および損失のほとんどが生じる工程であるので、この工程を省略または改変できることは、これまでに知られている方法に対して、収率を大幅に改善し、より高分子量のDNAを維持することとなる。しかし、バイサルファイト修飾された核酸の脱スルホン化が、依然として必要である例はあり得、これは、標準法または以下に示す改変法を使用して実施すればよい。
【0074】
脱スルホン化工程は、沈殿させた処理済み核酸のpHを、最大約12.5に調整することによって実施してよい。アルカリ環境への曝露は、酸性pHに対する事前の曝露によって誘導されたDNA中の脱プリン塩基部位において鎖の破壊を促進する傾向がある。したがって、鎖の破壊が避けられるべきである場合には、アルカリpH処理は、最小にする。この工程は、適したバッファーまたはアルカリ試薬を用いて約pH10.5〜11.5で効率的に実施できる。適したバッファーまたはアルカリ試薬の例として、pH7.0〜12.5を有するバッファーが挙げられる。当業者には当然のことながら、適したバッファーまたはアルカリ試薬は、利用可能な、広範囲の既知バッファーおよびアルカリ試薬から選択してよい。
【0075】
使用される条件に応じて、脱スルホン化工程のための温度範囲は、室温から約96℃までであり、時間は、2分から96時間以上まで変わり得る。当業者ならば、脱スルホン化反応を実施するのに適した時間および温度を容易に決定できる。十分な脱スルホン化を可能にするようインキュベーション時間を増大する限り、室温より低い温度も使用してよい。したがって、インキュベーション工程は、約10℃、約20℃、約22℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、および約90℃で実施することができる。脱スルホン化反応を実施するのに特に有用な温度は、約75〜90℃の温度範囲内にある。
【0076】
本発明は、メチル化核酸の特性決定のための方法を提供する。本方法は、核酸試料で、効率的なスルホン化(および、必要に応じて脱スルホン化工程)が実施されるのを可能にする。しかし、スルホン化工程も脱スルホン化工程も完全に実施される必要はなく、本明細書に開示されるように、その後、核酸のメチル化を特性決定するのに十分なだけであるということが理解される。当業者ならば、所望の分析には、これらの工程がほぼ完全に実施されるべきかどうか、または不完全な反応で十分であるかどうかは容易に決定できる。例えば、少数の細胞または少量の核酸試料が使用される場合には、通常、より完全な反応が実施されることが望ましい。多量の核酸試料が特性決定されている場合には、あまり完全でないが、核酸試料のメチル化状態のその後の分析のために十分な反応生成物は依然として提供する反応が実施されてもよい。
【0077】
本発明は、バイサルファイト修飾された核酸を効率的にプロセシングする能力が増強された酵素を使用するための方法を提供する。これらの酵素は、本明細書に開示されるように、細胞、組織または生物の状態の尺度としての、ゲノムのメチル化状態の分析において使用され得るか、または核酸の所与の領域の配列を決定するために使用され得る。本発明の結果は、メチル化核酸をプロセシングするために現在使用されている酵素を上回るいくつかの利点を提供する。本方法は、それらが、例えば、限定するものではないが、バイサルファイト修飾されたDNAのPCR増幅効率の改善およびアンプリコン長の増大を可能にする、また、バイサルファイト修飾されたRNAの効率的逆転写および/または一段階逆転写PCRを可能にする、酵素の新規アレイを提供するという点で有利である。酵素は、バイサルファイト修飾の間に生じた、脱塩基部位、スルホン酸基および3塩基ゲノムならびにその他の核酸損傷部位をプロセシングする、また、その他の嵩高い付加物、例えば、それだけには限らないが、インターカレーティング核酸を迂回する、より大きな能力を有する。
【0078】
また、本発明の方法を使用して、参照により本明細書に組み込まれる、WO2006/058393「Methods for simplifying microbial nucleic acids by chemical modification of cytosine」およびWO2006/066353「Detection of Human Papilloma virus」(Human Genetic Signatures Pty Ltd、Australia)に一致して、微生物を検出または診断できる。
【0079】
本発明の方法は、試料を脱スルホン化する必要なく、またはより穏やかな方法を使用して脱スルホン化し、一般的な分子生物学的技術を使用して、バイサルファイト修飾された核酸を操作できる簡易化手順を提供する。脱スルホン化工程は、ほとんどの核酸損傷および損失が見られる点であるので、この工程を省略または改変できることは、これまでに知られている方法に対して、収率を大幅に改善し、より高分子量のDNAを維持することとなる。これらの酵素は、少数の細胞の、保存された核酸の、および大きな領域の核酸の、または遺伝子全体のメチル化状態を成功裏に分析することができ、またはDNAまたはRNAベースかにかかわらず、臨床試料中の少数の感染性病原体の有無を測定でき、これらのすべてが、これまでは不可能であった。
【0080】
したがって、本発明の方法は、少量の出発材料であっても、使用可能であり、メチル化に関して効率的に特性決定されることが可能であるというさらなる利点を提供する。試料のメチル化状態を調べる方法は、試料のメチル化状態を、参照試料に対して比較し決定できるよう、試験試料および対照試料を用いて並行して実施してよい。例えば、試料を比較して、全般的に、または特定の部位にメチル化の増大または減少があるかどうかを調べることができる。このような判定を使用して、本明細書に論じられるような疾患の予後を診断および/または判定できる。本方法は、例えば、診断への適用においては、試料のメチル化状態を報告することをさらに含み得る。
【0081】
本発明の使用のための要素は、バイサルファイト修飾された核酸を効率的にプロセシングするためのキットの形態で提供され得るということは理解される。
【0082】
バイサルファイト修飾された核酸の増強されたプロセシングに特異的な、操作された酵素を利用するための実施形態を、以下に限定されない詳細で記載する。
【実施例】
【0083】
方法および試薬
化学薬品は、以下のとおりに入手した:Aldrich製エタノール(St. Louis MO;200プルーフ:E702−3);Sigma製イソプロパノール(St. Louis MO;99%+Sigma I−9516);Sigma製鉱油(M-5904);BDH製キノール(AnalaR番号103122E);Sigma製3M酢酸ナトリウム溶液(S-7899);Sigma製塩化ナトリウム(ACS試薬S9888);およびBDH製水酸化ナトリウム(AnalaR番号10252.4X);BDH製メタ重亜硫酸ナトリウム(AnalaR番号10356);Sigma製ジエチルエーテル(St.Louis MO;309958);Sigma製ヘキサン(St. Louis MO;650420);Oxoid製Luria培養液(Liverpool;CM0996B);Sigma製塩化マグネシウム(St.Louis MO;63069);Sigma製鉱油(M-5904);Sigma製塩化カリウム(St. Louis MO;60142);Fluka製Span80(Buchs CH;85548);Sigma製塩酸テトラサイクリン(St. Louis MO;T8032);Sigma製Triton X−100(St. Louis MO;93426);Sigma製トリズマ塩酸塩(St. Louis MO;T5941);Sigma製Tween 80(St. Louis MO;P8074)。
【0084】
酵素/試薬は、以下のとおりに入手できる:Promega製dNTP(Madison WI;C1145);Roche製グリコーゲン(Indianapolis IN;番号10 901 393 001);Roche製tRNA(Indianapolis IN;番号10 109 495 001);Roche製RNアーゼ、DNアーゼ不含(Castle Hill NSW;11 119 915 001);New England Biolabs製SalI(Beverly MA;番号R0138L、20ユニット/μl);New England Biolabs製XbaI(Beverly MA;番号R0145L、20ユニット/μl);およびSigma製DNAマーカー(Direct load PCRローラダー100〜1000bp、Sigma D-3687および100〜10Kb、Sigma D-7058);Roche製EcoR1(Indianapolis IN;番号87930626、10ユニット/μl);Biolabs製HindIII(Beverly MA;番号R01045、10ユニット/μl);Promega製PCRマスターミックス(Madison WI;番号M7505);およびSigma製DNAマーカー(Direct load PCRローラダー100〜1000bp、Sigma D-3687および100〜10Kb、Sigma D-7058)。
【0085】
溶液は、以下のとおりである:(1)10mM Tris/0.1M EDTA、pH7.0〜12.5;(2)3M NaOH(水50ml中、6g;BDH AnalaR番号10252.4X);(3)3Mメタバイサルファイト(10N NaOH(BDH AnalaR番号10356.4D)416μlを含む、水20ml中、7.6g);(4)100mMキノール(水50ml中、0.55g;BDH AnalaR番号103122E);(5)50×TAEゲル電気泳動バッファー(Trizma塩基242g、氷酢酸57.1ml、EDTA 37.2gおよび全量1lまでの水);(6)5×アガロースゲルローディングバッファー(1%ブロモフェノールブルー(Sigma B6131)1ml、キシレンシアノール(Sigma X−4126)1ml、グリセロール(Sigma G6279)3.2ml、0.5M EDTA pH8.0 8μl、50×TAEバッファー200μlおよび全量10mlまでの水);および(7)1×Taqバッファー(50mM KCl、10mM Tris−HCl、pH9.0、0.1% Triton X−100、1.5mM MgCl)。
【0086】
核酸のバイサルファイト処理
核酸のバイサルファイト処理のための例示的プロトコールを以下に示し、これを使用して、本発明の酵素によって増幅またはコピーするための鋳型核酸を作製できる。このプロトコールによって、実質的にすべての処理されたDNAを保持することが成功裏にもたらされる。当然のことではあるが、試料または試薬の容積または量は変更してもよい。
【0087】
20μlの容積中、核酸2μgに、3M NaOH(新しく作製された、水50ml中、6g)2.2μlを加える。バイサルファイト試薬は、一本鎖分子と反応することが好ましいので、この工程によって、二本鎖核酸分子を一本鎖の形態に変性する。混合物を37℃で15分間インキュベートする。室温を上回る温度でのインキュベーションを使用して、変性効率を改善することができる。
【0088】
インキュベーション後、3Mメタ重亜硫酸ナトリウム220μl(新しく作製した、10N NaOH 320μlを含む、水4.68ml中3.35g;BDH AnalaR番号10356.4D)および100mMキノール(新しく作製した、水50ml中、0.55g、BDH AnalaR番号103122E)12μlを連続して加える。キノールは、還元剤であり、試薬の酸化を低減するのに役立つ。その他の還元剤、例えば、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、キノン(ヒドロキノン)、またはその他の適した還元剤も使用できる。同様に、反応を増強する添加剤、例えば、メトキシアミンまたは尿素も組み込んでよい。試料を、鉱油200μlで覆い、これによって、試薬の蒸発および酸化を防ぐが、必須ではない。次いで、試料を80℃で45分間インキュベートする。25℃〜90℃のその他の温度も使用してよく、インキュベーションの長さは、5分から8時間以上まで変動する。
【0089】
メタ重亜硫酸ナトリウムを用いて処理した後、オイルを除去し、核酸濃度が低い場合は、グリコーゲン2μl(20mg/ml;Roche番号10 901 393 001)またはtRNA(Roche番号10 109 495 001)を加える。これらの添加剤は任意選択であり、特に、核酸が低濃度で存在する場合には、これらを使用して、標的核酸と共沈させることによって、得られる核酸の収率を改善できる。通常、グリコーゲンは、DNAの沈殿において使用され、RNAとの共沈剤としてはtRNAが使用されるが、その他の共沈剤も使用してよい。
【0090】
次いで、バイサルファイト修飾された核酸を、脱塩スピンカラム、例えば、Zymo−spinカラム(Zymo番号C1003)を、製造業者の使用説明書に従って使用することによって脱塩する。あるいは、試料は、以下のとおりにイソプロパノール沈殿させてもよい。試料に水800μlを加え、混合し、次いで、イソプロパノール1mlを加える。水またはバッファーが、反応容器中のバイサルファイト塩の濃度を、塩が注目する標的核酸とともに沈殿しないレベルに下げる。試料を再度混合し、4℃に60分間静置するが、効果的に核酸の沈殿をもたらす限り、その他の温度および長さのインキュベーションを使用してもよい。試料を、15,000×g、4℃で10〜15分間遠心分離し、ペレットを70% EtOHで洗浄する。この洗浄処理によって、核酸とともに沈殿した任意の残存する塩を除去する。
【0091】
ペレットを乾燥させ、次いで、下流の適用に応じて、適した容積のバッファーまたは水に再懸濁する。脱スルホン化が望まれる場合には、TEバッファー(10mM Tris、0.1mM EDTA)pH10.5への再懸濁および95℃で20分間のインキュベーションが、DNA試料の脱スルホン化に特に効率的であるとわかった。pH7.0〜12.5のバッファーも使用でき、試料を、ユーザーによって許容されるレベルへの核酸の脱スルホン化を促進するよう、必要に応じて、37℃〜95℃で、1分から96時間までインキュベートしてよい。
【0092】
上記の方法は、1種または複数の制限酵素を用いる消化によって進めてもよい。以下に記載される同一のDNA試料の2種の独立した制限酵素消化が設定されている。消化のために選択される酵素は、増幅されようとする配列に応じて変わる。例えば、20μlの容積でEcoRIを用いて、ゲノムDNA2μgを、37℃で1時間消化する。この工程を使用して、ゲノムDNAを、ゲノムDNAよりもバイサルファイト変換に受け入れられるより小さい断片に消化する。また、超音波処理または物理的力を使用して、DNAをより小さい大きさの断片に剪断してもよい。超音波処理の強度および超音波処理の長さは、所望のDNA断片の大きさに基づいて選択される。個別の消化反応を、例えば、上記のようにHindIIIを用いてゲノムDNA2μgを消化することによって実施する。これらまたはその他の適した制限酵素を、前処理消化のために選択してもよい。消化されたDNAを、上記のようにメタバイサルファイトで処理する。
【0093】
酵素の作製および利用
バイサルファイト変換されたDNAの増幅において使用するための熱安定性DNAポリメラーゼを作製する方法の一例を、技術を例示するために示し、以下に記載されるように、バイサルファイト修飾された核酸をプロセシングするその能力において優れている酵素を作製するのに特異的な適応を施したd’Abbadieらの方法(d' Abbadie, M.、Hofreiter, M.、Vaisman, A.、Loakes, D.、Gasparutto, D.、Cadet, J.、Woodgate, R.、Paabo, S.およびHolliger, P.(2007) Nature Biotech. 25(8)、939-943)に従って実施する。
【0094】
DNAポリメラーゼ遺伝子TaqおよびDpo4を、フランキングするXbaIおよびSalI制限部位を含む遺伝子特異的プライマーを使用して、それぞれThermus aquaticus(受託番号J04639)およびSulfolobus solfataricus(受託番号N002754)から増幅する。精製したPCR産物を、前消化されたpASK75にクローニングし、構築物を、E.coliに形質転換し、Ghadessyら(Ghadessy, F.Jら、PNAS (1998)、98、(8)、4552-4557)およびSkerra(Skerra, A. (1994) Gene、151、131-135;両方とも参照ににより本明細書に組み込まれる)の方法に従って発現させる。精製のために、TaqおよびDpo4クローンを、プライマーによって導入されたN末端ヘキサヒスチジンタグを用いてサブクローニングし、上記のように発現させ、溶解し、Ni−NTAスピンカラムを、製造業者の使用説明書(Qiagen、番号31014)に従って使用して精製する。
【0095】
分子育種を使用して、2種の酵素のキメラを得る。手短には、等濃度の2種のポリメラーゼ遺伝子を、相同フランキング領域に対するプライマーを使用して40回サイクリングさせる(94℃、30秒、55℃、1秒)。短いアニーリング/伸長時間が、各ラウンドの際に不完全なプライマー伸長をもたらす。その後のサイクルにおいて、増大する断片が、配列相補性に基づいて異なる鋳型とアニールし、伸長し、さらに、効果的に、異なる遺伝子間の組換えにつながる。この工程を、全長配列が作製されるまで続け、多かれ少なかれサイクルが必要であり得る。伸長時間を微調整することによって、交換される遺伝子セグメントの長さにわたって、いくつかの対照が得られ、ここで示された時間から変更してもよい。次いで、生成物を、QIAquickゲル抽出キットを、製造業者の使用説明書(Qiagen、番号28706)に従って使用してゲル精製し、再増幅し、pASK75にクローニングして、ハイブリッドポリメラーゼライブラリーを作製する。
【0096】
次いで、乳化およびコンパートメント化自律複製反応(CSR)を、対応プライマー、脱塩基部位を含有するプライマー、脱スルホン化バイサルファイト変換されたプライマーまたは脱スルホン化されていないバイサルファイト変換されたプライマーのいずれか、またはそれらの組合せを使用して、d’Abbadieら(2007)によって記載されるように実施する。CSRは、94℃で5分間、続いて、94℃で1分、50℃で1分および72℃で8分の20サイクルをサイクリングさせることによって行う。5分の初期変性は、ハイブリッドポリメラーゼを保有する細菌細胞を破裂させ、次いで、ハイブリッドポリメラーゼが水性区画に放出される。これによって、酵素が活性である場合には、ポリメラーゼの自律複製が可能となる。非活性酵素は、自律複製できず、その後のラウンドのために選択されず、従って、遺伝子プールから排除される。
【0097】
反応混合物を回収するために、エマルジョンを溶媒抽出し、精製された選択産物を再増幅させ、再クローニングし、次いで、1×Taqバッファー中鋳型DNA10pg、0.2mM dNTP、1μMプライマーおよび94℃で5分、続いて、94℃で1分、55℃で1分、予想される産物の大きさに応じて68〜72℃で30秒〜2分の30サイクルのサイクリングを使用するPCRによって、上記で示されたように(脱スルホン化を伴うか、伴わないのいずれか)作製したバイサルファイト修飾されたDNAから、種々の大きさの産物を増幅するその能力についてスクリーニングする。選択ラウンド1および2から得られた見込みがあるクローンを、StEPシャッフルし、上記のように親ポリメラーゼ遺伝子とバッククロスさせる。親酵素と比較して、バイサルファイト修飾されたDNAを増幅する優れた能力を有する1種または複数の酵素が作製されるまで、組換え、再クローニング、再スクリーニングおよび再選択を続ける。特に、優位性は、親ポリメラーゼよりも、効率的に、多量に、大きなサイズの、および/または非脱スルホン化バイサルファイト処理DNAから、アンプリコンを作製する能力によって実証される。
【0098】
利用可能な種々の突然変異誘発および/または組換え技術を使用して、バイサルファイト修飾された核酸を増幅またはコピーするその能力について特異的に増強されたさまざまな突然変異体/キメラ酵素、例えば、それだけには限らないが、好熱性および中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素、およびエンドヌクレアーゼを作製してもよい。さらに、DinBファミリーのポリメラーゼ(例えば、Sulfolobus solfataticusに由来するDpo4)などの新しく発見された酵素は、さらなる突然変異誘発または組換えを必要とせずに、バイサルファイト修飾されたDNAを増幅する優れた能力を示し得る。
【0099】
図1は、親ポリメラーゼと比較した、バイサルファイト変換された核酸をプロセシングするその能力について選択された、新規ポリメラーゼを用いた予測された結果を予測する図である。ハイブリッド/突然変異体ポリメラーゼは、脱スルホン化バイサルファイト修飾DNAを増幅する増強された能力を示し、親ポリメラーゼと比較して大きなアンプリコンを増幅でき、非脱スルホン化鋳型から増幅できるのに対し、親ポリメラーゼはできない。
【0100】
図2は、親の逆転写酵素と比較した、変換された核酸をプロセシングするその能力について選択された、新規逆転写酵素を用いた結果を例示する。新規転写酵素は、利用可能な転写酵素と比較して、種々の大きさの脱スルホン化バイサルファイト変換RNA鋳型を、より効率的にコピーでき、非脱スルホン化鋳型からコピーできるのに対し、親の逆転写酵素はできない。
【0101】
実験
HIV−RT酵素
HCV RNAは、OptiQual(登録商標)HCV RNA高陽性対照(Acrometrixカタログ番号96−0203)から、QiAmp UltraSens(Qiagen)ウイルスキットを、製造業者の使用説明書に従って使用して単離し、5,000IU/μlの最終濃度で再懸濁した。
【0102】
RNAのバイサルファイト変換
亜硫酸水素ナトリウム(Sigma 59000 500g;ロット番号116K0761)3.3gを、Xceed試薬1 5mlに溶解した。この試薬を、十分に溶解するまで80℃に加熱し、放冷した。
【0103】
ヒドロキノン(Merck8.22333.0250;ロット番号K36100033 702)0.11gを、ヌクレアーゼ不含水10mlに溶解した。
【0104】
RNA5μlを、PCR試験管中で、バイサルファイト試薬220μlおよびキノール12μlと混合し、PCR機器中で70℃で20分間インキュベートした。
【0105】
ヌクレアーゼ不含水800μlを、グリコブルー(Ambion AM9515;ロット番号0705003)2μlとともに加え、試料を十分に混合し、次いで、イソプロパノール1mlを加え、試料を4℃で1時間インキュベートした。
【0106】
16000×g、4℃で20分間遠心分離することによってRNAをペレットとした。
【0107】
上清を廃棄し、ペレットを、中程度にボルテックス処理しながら、70%エタノール1mlで洗浄した。試料を16000×g、4℃で7分間再度遠心分離した。
【0108】
上清を廃棄し、ペレットを数分間風乾した。
【0109】
ペレットを、脱スルホン化バッファー(Xceed試薬5)70μlに再懸濁し、PCR機器中で、76℃で0〜15分間脱スルホン化した。
【0110】
RNAを冷却し、次いで、反応液あたり以下を含む8μlのマスターミックスを加えた:
10μl 変換RNA
10mM dNTPS1μl
ランダムHプライマー(300ng/μl)1μl
【0111】
試料を65℃で5分間加熱し、次いで、氷上に、少なくとも1分間置いた。反応液あたり以下を含むマスターミックス7μlを加える:
HIV−RT 対照RT
10×HIV−RTバッファー 2μl 5×FSバッファー 4μl
HIV RT(1U/μl) 1μl 0.1M DTT 1μl
RNアーゼ OUT 1μl スーパースクリプトIII 1μl
水 4μl RNアーゼ OUT 1μl
【0112】
試料を混合し、逆転写を以下のとおりに実施した;25℃で2分、27℃で2分、29℃で2分、31℃で2分、33℃で2分、35℃で2分、37℃で30分、45℃で10分、50℃で10分、70℃で5分、次いで、15℃で浸漬した。
【0113】
反応液あたり以下を含む、PCRによる分析のために、cDNA5μlをとる:
Promegaマスターミックス 36.5μl
F1プライマー(100ng/μl) 1.0μl
R0プライマー(100ng/μl) 1.0μl
水 6.5μl
注:プライマーは、「Herbert」中のオレンジ色の枠内の標識RNAプライマーである。
【0114】
サイクリング条件は以下のとおりとする:
95℃ 3分
95℃ 10秒
52℃ 1分 40×
68℃ 1分
68℃ 7分
【0115】
図3からわかるように、HIV−RTは、さらなる脱スルホン化工程を伴わずにバイサルファイト処理されたRNAをコピーできた。
【0116】
5D4酵素
バイサルファイト変換反応
鋳型物質1μgを、最終容積20μlに作製した。3M NaOH2μlを37℃で15分間加えることによってこの鋳型を変性した。次いで、MethylEasy Xceedバイサルファイト変換キット(Human Genetic Signatures、Sydney、Australia)に従って、DNAをバイサルファイト処理した。脱スルホン化のために、変換されたDNAを、80℃で20分間加熱し、次いで、−20℃で必要とされるまで保存した。非脱スルホン化バイサルファイト処理DNAを、水(MethylEasyキットからの試薬番号5の代わり)に再懸濁し、直ちに使用した。
【0117】
プライマー伸長反応
反応液を、100μMの鋳型オリゴヌクレオチド2μl、2.5μMのCy3標識オリゴヌクレオチド2μl、ポリメラーゼバッファー5μl、dNTP 4μl(各625μMが、50μMの最終濃度を与える)および全量49μlまでの蒸留水を含有する容積50μlで調製した。
【0118】
BStemp3 5’−TAGCACCCTAGCCAGCTAGCTGGGTATAGTGAGTGGTATTA (配列番号1)
BStempC8 5’−CCCCCCCCTGGGTATAGTGAGTGGTATTA (配列番号2)
プライマー 5’−7C6C5CTATACCCA (配列番号3)
7=Cy3
6=LNA T
5−=LNA A
(CTCACTATACCC (配列番号4))
【0119】
試料を、85℃で2分間加熱し、次いで、40℃に1分間ゆっくりと冷却した。次いで、試料を55℃にさらに1分間加熱し、次いで、各酵素の1/10希釈の1μlを加え、試料を適当な時間の間インキュベートした。8M尿素50μl、50mM EDTAを加えることによって反応を停止した。
【0120】
次いで、試料を、95℃で2分間加熱し、次いで、氷上で即時冷却し、試料10μlを20%変性アクリルアミドゲルに30Wで3時間流した。次いで、Typoonイメージャーで蛍光を記録した。
【0121】
PCR増幅
増幅反応液は、×10 SuperTaqバッファー2.5μl、10mM dNTP 1μl、100ng/μl各プライマー1μl、SuperTaq0.5μl(Cambio Ltd、Cambridge、United Kingdom)および蒸留水18μlを含有する最終反応容積25μlで調製した。1μlの鋳型を加えた。
【0122】
プライマー
F1 5’−GAGGTTTGGAAGTTTTATTTTATT (配列番号5)
R1 5’−TAACTTATCATCAAAATAAAC (配列番号6)
R3 5’−TATACTACCTCAAAAATATAAATA (配列番号7)
R5 5’−AAAAATCCTTACAAAACTTATAAC (配列番号8)
【0123】
鋳型プラスミドTgoは、Vitor Pinheiro(MRC laboratory forによって快く提供された。
【0124】
増幅は、MJ Research PTC−200(PTC200)DNA Engine Thermal Cycler PCRで、以下のPCRプログラムを使用して実施した
94℃ 1分30秒
94℃ 20秒
45℃ 30秒 24回反復
68℃ 1分
【0125】
PCR産物を、臭化エチジウムを含有する1.5%アガロースゲルで分離した。
【0126】
表1は、部分的に脱スルホン化されたBStemp3鋳型を使用した、6種の異なるポリメラーゼ酵素を使用したプライマー伸長反応の結果を示す。表1からわかるように、全長スルホン化(S)バイサルファイト処理鋳型を部分的にコピーする唯一の酵素は、Taqポリメラーゼ、5D4および3A10酵素であった。酵素14、5D4、3A10、E10およびTgoはすべて、コンパートメント化自律複製(CSR)によって作製され、EP18012113(Medical Research Council)に定義されている。従って、5D4をさらなる特性決定のために選択した。
【0127】
【表1】

【0128】
表2は、対照(C)、脱スルホン化(D)およびスルホン化(S)バイサルファイト処理BStemp3鋳型を使用した経時変化プライマー伸長実験を示す。結果は、修飾された5D4酵素は、わずか1分の後でさえ、スルホン化鋳型から全長産物を製造できることを示す。15分後、5D4は、スルホン化鋳型を完全にコピーしたのに対し、野生型Taqポリメラーゼは、依然として、複数の停止を示し、これは、酵素が、スルホン化鋳型を効率的にプロセシングしていないことを示す。興味深いことに、5D4はまた、脱スルホン化物質を、Taqポリメラーゼよりも効率的にコピーするようである。
【0129】
【表2】

【0130】
表3は、C8鋳型で実施した5分のプライマー伸長反応の結果を示す。やはり、5D4酵素は、Cのつながりを含有する脱スルホン化およびスルホン化標的の両方をコピーする能力に関して、Taqポリメラーゼに優れていることがわかった。実際、5D4は、鋳型を完全にコピーするのに対し、野生型Taqポリメラーゼは、やはり複数の停止を生じる。
【0131】
【表3】

【0132】
表4は、スルホン化C鋳型によってブロックされるTaqポリメラーゼと比較した、5D4の忠実度と、再度、スルホン化DNA損傷を迂回する優れた能力の両方を示す。
【0133】
バイサルファイト処理後のNB、C残基は、Uに変換され、次いで、これが、ポリメラーゼによってTとしてコピーされ、このようにして、ポリメラーゼは、酵素が100%の忠実度を示す場合には、増大中の鎖中にAのみを加える。
【0134】
【表4】

【0135】
PCR反応においてTaqポリメラーゼと5D4間の比較を実施し、結果が図4に示されている。条件は、以下のとおりとした:
鋳型: バイサルファイト処理されたTgoプラスミド
プライマー: セット1は、250bp断片を増幅する
セット2は、600bp断片を増幅する
セット3は、1050bp断片を増幅する
94℃−20秒
45℃−30秒;25サイクル
68℃−1分
【0136】
図4は、バイサルファイト処理されたDNAを使用する標準PCR反応において5D4によって達成された改善された増幅を示す。酵素はまた、矢印からわかるように、250bpのスルホン化鋳型をコピーすることができる。
【0137】
当業者には当然のことながら、特定の実施形態において示される本発明に、広く記載される本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の変法および/または改変を行うことができる。したがって、本実施形態は、あらゆる点で、例示的と考えられるべきであって、制限的と考えられるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイサルファイト修飾または処理された核酸をコピーまたは増幅するための酵素の使用であって、該酵素が、天然Taqポリメラーゼと比較して、実質的に同一の条件下で、核酸をコピーまたは増幅するのにより効率的である、使用。
【請求項2】
前記酵素が、脱塩基部位を有する核酸、スルホン酸基を含む嵩高い付加物を有する核酸、実質的にA、T、GおよびU塩基のみを有する核酸、または実質的にA、TおよびG塩基のみを有する核酸をコピーまたは増幅できる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記酵素が、好熱性ポリメラーゼ、中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼおよびそれらの修飾体およびキメラ体からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記酵素が、キメラ酵素、本明細書に定義される5D4、HIV−RTおよびそれらの修飾体から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記酵素が、5D4またはその修飾体である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記酵素が、HIV−RTまたはその修飾体である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅する方法であって、
核酸をバイサルファイト処理する工程と、
天然Taqポリメラーゼと比較して、実質的に同一の条件下で、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅するのにより効率的である酵素を使用して、バイサルファイト処理された核酸をコピーまたは増幅する工程と
を含む方法。
【請求項8】
前記バイサルファイト処理が、亜硫酸水素ナトリウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウムを使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記バイサルファイト処理が、脱スルホン化工程を実質的に伴わない、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記バイサルファイト処理に先立って、核酸を変性させる工程をさらに含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記変性工程を、アルカリ環境を提供することまたは核酸を加熱することによって実施する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バイサルファイト処理によって、試料中のいかなるメチル化ヌクレオチドも変化しないままであり、一方、メチル化されていないヌクレオチドはウラシルに変換される、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理された核酸試料を脱塩または単離する工程をさらに含む、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素が、脱塩基部位を有する核酸、スルホン酸基を含む嵩高い付加物を有する核酸、実質的にA、T、GおよびU塩基のみを有する核酸、または実質的にA、TおよびG塩基のみを有する核酸をコピーまたは増幅できる、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記酵素が、好熱性ポリメラーゼ、中温性ポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼおよびそれらの修飾体およびキメラ体からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酵素が、キメラ酵素、本明細書において定義される5D4、HIV−RTおよびそれらの修飾体から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記酵素が、5D4またはその修飾体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記酵素が、HIV−RTまたはその修飾体である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記処理された核酸をプロセシングまたは分析して、ヌクレオチド配列、メチル化状態を決定するか、核酸の供給源を同定するか、または微生物を検出する工程をさらに含む、請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記バイサルファイト処理された核酸の増幅を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR、qPCR、等温増幅またはシグナル増幅によって行う、請求項7〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記処理された核酸が、バイサルファイト修飾されたDNA、バイサルファイト修飾されたRNA、またはバイサルファイト修飾されたDNAとバイサルファイト修飾されたRNAの組合せを含む、請求項7〜20のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−504726(P2011−504726A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535174(P2010−535174)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001751
【国際公開番号】WO2009/067743
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505188906)ヒューマン ジェネティック シグネチャーズ ピーティーワイ リミテッド (15)
【Fターム(参考)】