説明

バイタルセンサモジュール、及びそれを用いたバイタルセンサシステム

【課題】バイタルセンサモジュールの電力消費量を低減し、電池交換等の煩わしさを軽減すること。
【解決手段】本発明のバイタルセンサモジュールは、生体情報を検出するバイタルセンサと、生体情報が蓄積される記憶部と、外部機器と信号のやり取りを行う通信部と、バイタルセンサ及び記憶部及び通信部の動作を制御すると共に、生体情報を処理可能な情報処理部とを有し、信号処理部は、外部機器から取得される制御信号を基に、通信部から外部機器へ送信される信号を処理前生体情報とするか処理後生体情報とするかを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の生体情報を検出するセンサと、生体情報を送信する通信部を搭載したバイタルセンサモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の被験者の生体情報を検出し、その生体情報を外部機器に無線送信するバイタルセンサモジュールについて、図6及び図7に示す。図6に示したバイタルセンサモジュール100は、被験者102の運動中の心電波形をモニタリングするものである。
【0003】
図6に示した従来のバイタルセンサモジュール100は、被験者102の心電波形を検出するために被験者102の胸部上に配置される。そして、バイタルセンサモジュール100において検出された心電波形は、被験者102の手首に装着された外部機器である腕時計101へ無線送信される。
【0004】
図6に示したバイタルセンサモジュール100の具体的な動作について、図7のブロック図を用いて説明する。図7において、バイタルセンサモジュール100は、被験者102の心電波形を検出するバイタルセンサ106と、バイタルセンサ106において検出された心電波形を腕時計101へ送信する第1通信部107と、バイタルセンサ106の動作内容と第1通信部の動作内容とを制御する制御部108とを有している。
【0005】
また、腕時計101は、バイタルセンサモジュール100から送信された心電波形のデータを受信する第2通信部103と、第2通信部103にて受信された心電波形のデータを基に、被験者102の心拍数を導出する情報処理部105と、情報処理部105により導出された被験者102の心拍数を表示する表示部104とを有している。
【0006】
ここで、バイタルセンサ106は常時又は一定間隔で被験者102の心電波形を検出するように制御部108により制御されており、第1通信部107は第2通信部103へ常時または一定間隔で心電波形のデータを送信するように制御部108により制御されている。
【0007】
尚、バイタルセンサモジュール100と腕時計101とは、共に、電池にて駆動されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−168602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の従来のバイタルセンサモジュール100においては、バイタルセンサ106において検出された心電波形(生体情報)から心拍数を導出する等の信号処理を行うことなく、第1通信部107から腕時計101へ心電波形のデータが送信される。このため、第1通信部107から腕時計101へ送信されるデータ量が増加してしまい、バイタルセンサモジュール100及び腕時計101の消費電力が増加してしまうという課題があった。
【0010】
そこで、本発明のバイタルセンサモジュールは、腕時計101等の外部機器とバイタルセンサモジュールの電力消費量を低減させ、電池交換等の煩わしさを軽減する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明のバイタルセンサモジュールは、生体情報を検出するバイタルセンサと、生体情報が蓄積される記憶部と、外部機器と信号のやり取りを行う通信部と、バイタルセンサ及び記憶部及び通信部の動作を制御すると共に、生体情報を処理可能な情報処理部とを有し、信号処理部は、外部機器から取得される制御信号を基に、通信部から外部機器へ送信される信号を処理前生体情報とするか処理後生体情報とするかを切り替える。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバイタルセンサモジュールは、外部機器(例えは、パソコンや腕時計等)から通信部を介して取得された制御信号をバイタルセンサモジュールの情報処理部で解読することで、外部機器が処理前生体情報(バイタルセンサで検出された生体情報そのものを指しており、図6の事例では心電波形が該当する)と処理後生体情報(バイタルセンサで検出された生体情報を情報処理部で処理することで得られた2次的な生体情報を指しており、例えば、心電波形から導出される心拍数が該当する)の内、どちらを外部機器へ送信すべきかを判断する。もし、外部機器が制御信号を通じて処理後生体情報をバイタルセンサモジュールに要求している場合には、信号処理部はバイタルセンサが検出した生体情報を信号処理して、外部機器が所望する生体情報へ変換(例えば、心電波形から心拍数へ変換)する。一般的に、バイタルセンサで検出された生体情報そのものを送信する場合と比較して、処理後生体情報を送信した方が送信データ量を低減できる。このため、本発明のバイタルセンサモジュールは、外部機器とバイタルセンサモジュールの電力消費量を低減させ、電池交換等の煩わしさを軽減する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願発明に係るバイタルセンサモジュールを装着した様子を示す図
【図2】本願発明に係るバイタルセンサモジュールのブロック図
【図3】本願発明に係るバイタルセンサモジュールのブロック図
【図4】本願発明に係るバイタルセンサモジュールのブロック図
【図5】本願発明に係るバイタルセンサモジュールのブロック図
【図6】従来のバイタルセンサモジュールを装着した様子を示す図
【図7】従来のバイタルセンサモジュールのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る本願発明のバイタルセンサモジュール1について、図1〜図3を用いて説明する。
【0015】
図1に示したバイタルセンサモジュール1は、被験者3の心電波形を検出するために被験者3の胸部上に配置されている。そして、被験者3の手首には外部機器である腕時計2が装着されていると共に、バイタルセンサモジュール1において検出された心電波形から導出された被験者3の心拍数は腕時計2の表示部に表示される。
【0016】
図1に示したバイタルセンサモジュール1の具体的な動作について、図2のブロック図を用いて説明する。
【0017】
図2において、バイタルセンサモジュール1は、被験者3の心電波形(生体情報)を検出するバイタルセンサ10と、バイタルセンサ10において検出された心電波形が記録される第1メモリ11と、処理前生体情報(バイタルセンサ10で検出された生体情報そのものを指しており、本実施の形態においては心電波形が該当する)または処理後生体情報(バイタルセンサ10で検出された生体情報を後述する第1情報処理部12で処理することで得られた2次的な生体情報を指しており、例えば、心電波形から導出される心拍数が該当する)を第2通信部7へ送信する第1通信部9と、バイタルセンサ10と第1通信部9と第1メモリ11のそれぞれの動作内容を制御する第1情報処理部12とを有している。
【0018】
外部機器である腕時計2は、バイタルセンサモジュール1から送信された生体情報を受信する第2通信部7と、受信された生体情報(本実施の形態の場合、心拍数)が記録される第2メモリ8と、第2メモリ8に蓄積された生態情報を被験者3へ表示して知らせる表示部4と、第2通信部7と表示部4と第2メモリ8のそれぞれの動作内容を制御する制御部6とを有している。
【0019】
腕時計2の制御部6は、第2通信部7を介して、制御信号をバイタルセンサモジュール1へ送信し、この制御信号はバイタルセンサモジュール1の第1通信部9により受信され、第1情報処理部12へ入力される。第1情報処理部12はこの制御信号を分析し、腕時計2が処理前生体情報と処理後生体情報の内、どちらの情報を要求しているかを判断する。尚、この制御信号に処理後生体情報の種類(例えば、処理前生体情報が脈波波形の場合、処理後生体情報を血圧値とする等)を指定する信号を追加してもよい。また、バイタルセンサモジュール1が複数のバイタルセンサ10(例えば、モーションセンサと脈波センサなど)を有している場合には、どのバイタルセンサ10の検出結果を送信して欲しいかを指定する信号を制御信号に追加しても良い。更に、制御信号に何時の生体情報が欲しいかを指定する信号を追加してもよい。
【0020】
第1情報処理部12が制御信号を解析した結果、腕時計2が処理後生体情報を要求していると判断した場合には、第1情報処理部12は第1メモリ11にアクセスし、バイタルセンサ10により検出後、第1メモリ11に蓄積されていた処理前生体情報を取得する。そして、第1情報処理部12は、腕時計2から受信した制御信号の指示に従い、処理前生体情報から所望の情報を導出する。この導出された情報を処理後生体情報と呼び、本実施の形態においては、心電波形から導出された心拍数等が該当する。
【0021】
導出された処理後生体情報である心拍数は第1通信部9へ入力され、腕時計2へ送信される。この際、第1情報処理部12は時間情報とペアリングして処理後生体情報を送信してもよい。これにより、被験者3は、自分の生体情報を有効に活用する事が可能となる。
【0022】
腕時計2の第2通信部7で受信された処理後生体情報は第2メモリ8に一旦保存された後、表示部4に表示される。
【0023】
このように本実施の形態のバイタルセンサモジュール1は、第1情報処理部12が、バイタルセンサ10で検出された生体情報を処理した後に、この処理後生体情報を第1通信部9から第2通信部7へ無線送信する。一般的に、バイタルセンサ10で検出された生体情報そのものを送信する場合と比較して、処理後生体情報を送信した方が送信データ量を低減できる。このため、バイタルセンサモジュール1は、腕時計2との通信時間を短くする事ができる為、第1通信部9および第2通信部7の消費電力を低減でき、結果、腕時計2とバイタルセンサモジュール1の電力消費量を減らすことができる。結果、電池交換等の煩わしさを軽減する事が可能となる。
【0024】
尚、腕時計2は一般的に小型の電子機器であるため、サイズの大きな電池を内蔵することが困難である。それにもかかわらず、図7に示す従来のバイタルセンサモジュール100においては、バイタルセンサで検出された生体情報(心電波形)を処理することなく腕時計101に送信しているため、腕時計101側で心電波形から心拍数を導出する等の信号処理を行う必要があり、腕時計101の電池寿命が短くなるという課題も有していた。本実施の形態のバイタルセンサモジュール1を用いれば、腕時計2側で負荷の大きい信号処理の作業を行う必要がなくなるため、腕時計101の電池寿命を長くすることができる。更に、腕時計2に優れた信号処理機能を有する情報処理部を設置する必要がないため、外部機器(腕時計101)の小型化を図ることが出来る。
【0025】
一方、外部機器が腕時計2のような超小型電子機器でなく、もう少し大きな電池を搭載できるモバイルパソコン等の場合は、優れた信号処理機能を有する情報処理部を有している。よって、モバイルパソコン側でバイタルセンサモジュールにて検出された処理前生体情報を分析し、そこから様々な情報を得たいというニーズもある。つまり、バイタルセンサモジュール1は、外部機器の形態(電池容量の大きさや情報処理機能の優劣等)により、処理前生体情報と処理後生体情報のどちらの情報を外部機器へ送信するかを選択する必要が生ずるという課題が新たに生じてきた。
【0026】
図3には外部機器がモバイルパソコンの場合のブロック図を示した。図2の腕時計2と同様の構成については同符号を付し、説明は割愛する。図3において、図2と異なる点は、外部機器がモバイルパソコン13であり、腕時計2の制御部6と比較して情報処理能力に優れた第2情報処理部14を有している点と、便宜上図示していないが、腕時計2が内蔵している電池と比較して電池容量の大きな電池をモバイルパソコンが有している点である。
【0027】
モバイルパソコン13も腕時計2と同様に第2通信部7を介して制御信号をバイタルセンサモジュール1へ送信する。この制御信号により、モバイルパソコン13は、バイタルセンサモジュール1に対して、処理前生体情報を送信するように要求する事ができる。
【0028】
本実施の形態のバイタルセンサモジュール1は、外部機器から取得された制御信号に基づいて、第1通信部9から外部機器(例えば、腕時計2やモバイルパソコン13等)へ送信される信号を処理前生体情報とするか処理後生体情報とするかを切り替えることが出来る。故に、外部機器側で処理前生体情報を分析し、そこから様々な情報を得たいというニーズに対応しつつ、腕時計2のような電池容量の小さい超小型電子機器の低消費電力化をも図ることが可能となる。なお、第1通信部9が複数の無線通信手段を有する構成の場合には、送信される信号が処理前生体情報か処理後生体情報かにより第1通信部9から外部機器へ送信する際の無線通信手段を切り替えてもよい。例えば処理前生体情報を送信する際には伝送レートの高い無線通信手段に切り替えることで、バイタルセンサモジュール1は外部機器との通信時間を短くすることが出来るため、処理前生体情報を送信する際にもより消費電力を低減することが可能となる。
【0029】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る本願発明のバイタルセンサモジュール15について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態1において示した図2のバイタルセンサモジュール1に制御信号入力部16が新たに配置された構成となっている。図2のバイタルセンサモジュール1と同様の構成については同一符号を付し、説明を割愛する。
【0030】
図4のバイタルセンサモジュール15において、図2のバイタルセンサモジュール1と動作上異なる点は、外部機器である腕時計2から取得される制御信号を用いず、制御信号入力部16により取得された制御信号を基に、外部機器へ送信すべき生体情報を決定する点である。例えば、制御信号は、被験者により制御信号入力部16を介して入力される。そして、この制御信号に基づき、バイタルセンサモジュール15の第1情報処理部12は、外部機器へ送信する生体情報を処理前のものとするか処理後のものとするかを決定する。これにより、外部機器とバイタルセンサモジュール15間の制御信号の送受を経ずに、実施の形態1と同様の効果を得る事ができるため、更なる省電力化を図ることができる。
【0031】
図5には、図4の場合と異なり、電池容量の大きく、情報処理能力に優れた情報処理部を有したモバイルパソコン13を外部機器に採用した場合のブロック図を示した。図5のバイタルセンサモジュール15において、図3のバイタルセンサモジュール1と動作上異なる点は、外部機器であるモバイルパソコン13から取得される制御信号を用いず、制御信号入力部16により取得された制御信号を基に、外部機器へ送信すべき生体情報を決定する点である。そして、制御信号入力部16より取得された制御信号に基づき、バイタルセンサモジュール15の第1情報処理部12は、外部機器へ送信する生体情報を処理前のものとするか処理後のものとするかを決定する。これにより、外部機器とバイタルセンサモジュール15間の制御信号の送受を経ずに、実施の形態1と同様の効果を得る事ができるため、更なる省電力化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明のバイタルセンサモジュールは外部機器の形態に応じて送信すべき生体情報の種類を選択可能であり、結果、外部機器の多様なニーズに柔軟に対応しつつ消費電力を少なくできるため、人体等に装着される電池駆動の小型ヘルスケア製品や、医療機器等に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0033】
1、15 バイタルセンサモジュール
2 腕時計(外部機器)
3 被験者
4 表示部
6 制御部
7 第2通信部
8 第2メモリ
9 第1通信部
10 バイタルセンサ
11 第1メモリ
12 第1情報処理部
13 モバイルパソコン
14 第2情報処理部
16 制御信号入力部
100 バイタルセンサモジュール
101 腕時計
102 被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を検出するバイタルセンサと、
前記生体情報が蓄積される記憶部と、
外部機器と信号のやり取りを行う通信部と、
前記バイタルセンサ及び前記記憶部及び前記通信部の動作を制御すると共に、前記生体情報を処理可能な情報処理部とを有し、
前記信号処理部は、前記外部機器から取得される制御信号を基に、前記通信部から前記外部機器へ送信される信号を処理前生体情報とするか処理後生体情報とするかを切り替える
バイタルセンサモジュール。
【請求項2】
生体情報を検出するバイタルセンサと、
前記生体情報が蓄積される記憶部と、
外部機器と信号のやり取りを行う通信部と、
前記バイタルセンサ及び前記記憶部及び前記通信部の動作を制御すると共に、前記生体情報を処理可能な情報処理部と、
制御信号入力部とを有し、
前記信号処理部は、前記制御信号入力部から取得される制御信号を基に、前記通信部から前記外部機器へ送信される信号を処理前生体情報とするか処理後生体情報とするかを切り替える
バイタルセンサモジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバイタルセンサモジュールと、
前記バイタルセンサモジュールと信号の送受を行う外部機器とを有したバイタルセンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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