説明

バイトブロック

【課題】測定を行う場合に、唾液などの分泌物によって測定が妨げられることを防止するバイトブロックを提供する。
【解決手段】内視鏡の導管が挿入される穴12を有する筒状の第1壁13と、この第1壁13を囲繞し、口腔内に直接に対向する第2壁14と、口腔内のガスを取り込むためのサンプルポート20と、前記第1壁13と前記第2壁14との間の空隙により構成され、前記サンプルポート20に通じるガス流路16とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内視鏡や硬性鏡などによる検査に用いられるバイトブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡などによる検査に用いる従来のバイトブロックにおいては、導管が挿入される空間にガスサンプリング用穴が形成されており、その穴にプロングを結合することにより口からの呼吸を測定するものが知られている(特許文献1参照)。また、上記と同様な構成により口腔へ酸素供給を行うものも知られている(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、いずれの構成においても、検査中に唾液などの分泌物によって穴が閉塞してしまう構成であり、適切にガス測定を行うことができず、また、酸素供給が妨げられる可能性が高いという問題があった。また、サンプリングにおける応答遅れや、大気中のガスを吸引してしまう状態が生じ、測定値が不正確となる問題もあった。
【特許文献1】特表2007−5000566号公報
【特許文献2】国際公開第2005/016142号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような内視鏡などによる検査に用いる従来のバイトブロックにおける問題を解決せんとしてなされたもので、その目的は、呼吸に係るガス等の測定を行うための呼吸情報収集用アダプタを取り付けて測定を行う場合に、唾液などの分泌物によって測定が妨げられることを防止し、また、測定値が不正確となる問題を解決することのできるバイトブロックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るバイトブロックは、内視鏡や硬性鏡などの導管が挿入される穴を有する筒状の第1壁と、この第1壁を囲繞し、口腔内に直接に対向する第2壁と、口腔内のガスを取り込むためのサンプルポートと、前記第1壁と前記第2壁との間の空隙より構成され、前記サンプルポートに通じるガス流路とを具備したことを特徴とする。
【0006】
本発明に係るバイトブロックでは、呼吸情報収集アダプタを取り付けるための取付部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るバイトブロックでは、ガス流路は、前記サンプルポートから前記第1壁と前記第2壁との周縁に向かうスロープを備えていることを特徴とことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るバイトブロックでは、前記サンプルポートには、呼吸情報収集用アダプタと結合するための結合手段であって、呼吸情報収集用アダプタの姿勢と前記サンプルポートから呼吸情報収集用アダプタまでの距離とを、調整するための調整機構を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るバイトブロックでは、サンプルポートには、内部を前記ガス流路へ続く第1の室と外部へ通じる穴が形成された第2の室とに仕切る仕切板が備えられたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るバイトブロックは、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のバイトブロックであって、前記バイトブロックの前記取付部に取り付けられ、呼吸情報を収集する呼吸情報収集手段を備える呼吸情報収集アダプタとを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るバイトブロックは、呼吸情報収集アダプタは、バイトブロックを被検者が装着した状態において、酸素を供給するプロングの先端を被検者の鼻腔近傍又は口腔近傍に位置付けた状態として前記プロングを保持する保持手段を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るバイトブロックによれば、内視鏡や硬性鏡などの導管が挿入される穴を有する筒状の第1壁と、この第1壁を囲繞し、口腔内に直接に対向する第2壁とにより空隙により構成され、上記サンプルポートに通じるガス流路を具備しているので、二重円筒による空隙部がガスの流路となり、従来の穴に比べてこの流路を広くでき、唾液などの分泌物によって閉塞し難く、測定が妨げられることを防止でき、また、正確な測定値を得ることが可能となる。
【0013】
本発明に係るバイトブロックによれば、ガス流路が、サンプルポートから第1壁と第2壁との周縁に向かうスロープを備えているので、このスロープが唾液などの分泌物がサンプルポート側へ流れ難くするように働き、測定が妨げられることを防止でき、また、正確な測定値を得ることが可能となる。更に、サンプルポートには、呼吸情報収集用アダプタと結合するための結合手段であって、呼吸情報収集用アダプタの姿勢とサンプルポートから呼吸情報収集用アダプタまでの距離とを、調整するための調整機構を備えているので、呼吸情報収集用アダプタの姿勢が調整可能であり、また、サンプルポートから呼吸情報収集用アダプタまでの距離を調整可能である。
【0014】
本発明に係るバイトブロックによれば、サンプルポートに、内部を前記ガス流路へ続く第1の室と外部へ通じる穴が形成された第2の室とに仕切る仕切板が備えられたことにより、前記取付部に取り付けられた呼吸情報収集アダプタを介して到来する鼻呼吸による呼気は前記第1の室へ到り、該第1の室を介して前記穴から排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面を参照して、本発明に係るバイトブロックの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、実施例に係るバイトブロックの斜視図を示し、図2に断面図を示す。このバイトブロック10は、被検者の開いた唇部分に当接するように湾曲し、例えば楕円またはボート形の前後部をカットした形状のプレート部11を備える。プレート部11の中央部には、内視鏡の導管が挿入される穴12が形成されている。
【0016】
上記穴12を囲繞する位置からプレート部11の裏面側(使用状態では、口腔内側)には、所要長の筒状の第1壁13が立設されている。プレート部11の同じく裏面には、上記第1壁を囲繞し、口腔内に直接に対向する第2壁14が設けられている。即ち、第2壁14の外側周縁は、唇や歯と接触する部分である。
【0017】
プレート部11の表面における最上部位置には、呼吸情報収集用アダプタを取り付けると共に、口腔内のガスを取り込むためのサンプルポート20が設けられている。サンプルポート20は、枡状の容器の形状を有し、一つの側壁がプレート部11となっている。第1壁13と第2壁14との間には空隙が存在し、この空隙は上記サンプルポート20に通じるガス流路16を構成している。プレート部11である一つの側壁には、サンプルポート20における底面付近に連絡口21を備えられ、この連絡口21によりサンプルポート20と上記ガス流路16が連通している。サンプルポート20の内側は第1壁13に繋がる仕切板15により仕切られており、連絡口21が設けられていない側の底部には穴23が形成されている。
【0018】
サンプルポート20の両側面のほぼ上端位置には、ボス22が設けられている。このボスは、後に説明する呼吸情報収集用アダプタの切込付孔と共働して、呼吸情報収集用アダプタと結合するための結合手段であって、呼吸情報収集用アダプタの姿勢と上記サンプルポート20から呼吸情報収集用アダプタまでの距離とを、調整するための調整機構を構成する。
【0019】
ガス流路16は、上記サンプルポート20から第1壁13と第2壁14との周縁に向かうスロープ17を備えている。このスロープ17は、サンプルポート20における連絡口21を始点とし、第1壁13と第2壁14と間隙を徐々に第1壁13と第2壁14の開放端へと向かい、最終的に上記始点から見て、第1壁13と第2壁14による二重筒の開放端における最遠点へつながるものであり、上記始点から見ると左右対称に構成されている。スロープ17における内側は、バイトブロック10と同じ組成の樹脂18が埋設されている。このようにスロープ17が構成されているため、バイトブロック10を口腔に装着した状態では、サンプルポート20における連絡口21が最上部となり、第1壁13と第2壁14による二重筒の開放端における最遠点が最下部となることが期待され、上記連絡口21が唾液などの分泌物によって閉塞し難く、測定が妨げられることを防止できるように働くものである。
【0020】
上記のバイトブロック10に呼吸情報収集用アダプタ30を備えた実施例における斜視図を、図3に示す。本実施例の使用状態に係る呼吸情報収集装置を示す斜視図を図4に示し、図5に側面図を示し、図6に断面図を示す。この呼吸情報収集用アダプタ30は、ほぼ立方体状のエアウェイケース31にネーザルチューブ32と、発光素子33aと受光素子33bとからなる二酸化炭素センサ33とを備えるものである。二酸化炭素センサ33は、呼吸情報収集手段の一例である。
【0021】
エアウェイケース31は、鼻孔からの呼気はエアウェイケース31の室38に導入される。ネーザルチューブ32は、二本であり、両鼻孔に挿入される。この二本のネーザルチューブ32は、基部37においてエアウェイケース31と一体化されている。
【0022】
エアウェイケース31の一方の側部には発光素子33aが結合され、他方の側部には受光素子33bが結合されている。発光素子33aの光射出面及び受光素子33bの受光面である測定窓39は、エアウェイケース31の室38を挟んで対向配置されている。発光素子33aと受光素子33bには、リード線43a、43bが接続され、測定装置まで延びている。
【0023】
エアウェイケース31の下部側において両サイドには、切込付孔34が備えられており、バイトブロック10に設けられたボス22が嵌合し、図4の矢印Xのように、呼吸情報収集用アダプタ30がボス22を軸として回転可能であり、呼吸情報収集用アダプタ30の姿勢を調整可能に構成されている。エアウェイケース31の室38の下部は開口して囲繞壁36により囲繞されており、また、切込付孔34にボス22が嵌合されると、サンプルポート20に上記室38の囲繞壁36が覆い被さった状態を呈する。
【0024】
エアウェイケース31の使用状態における前面の上部位置には、側部にやや大きな溝を有する筒のような形状を有する把持部35が備えられ、把持部35は弾性力により酸素供給用のプロング41を把持している(図3)。プロング41には、酸素供給チューブ42が接続され酸素供給源より酸素供給がなされる。プロング41は、エアウェイケース31の使用状態における上面部を介して被検者の鼻孔直下付近まで延びており、プロング41の先端から射出させる酸素は被検者が鼻呼吸により吸引可能である。勿論、把持部35の位置やプロング41の先端の向きなどは、一例に過ぎない。このように、呼吸情報収集アダプタ30は、バイトブロック10を被検者が装着した状態において、酸素を供給するプロング41の先端を被検者の鼻腔近傍や口腔近傍に位置付けた状態として上記プロング41を保持する保持手段としての把持部35を具備している。
【0025】
以上の通りに構成された本実施例においては、プレート部11の両サイドに穿設された穴19に取り付けられる図示しないバンドが図6における顔から後頭部を一周してバイトブロックを支えるようにした後、次のようにして測定がなされる。プレート部11の穴12を介して内視鏡の導管50が挿入される。被検者の口呼吸による呼気の一部は、バイトブロック10の第1壁13と第2壁14との間に形成されたガス流路16と連絡口21を介してサンプルポート20に到る。サンプルポート20の上部には、エアウェイケース31の室38の下部に形成された開口が臨んだ状態となっており、上記呼気はエアウェイケース31の室38へ到り、二酸化炭素センサ33による測定対象となる。
【0026】
一方、鼻呼吸による呼気は、ネーザルチューブ32を介してエアウェイケース31の室38へ到り、二酸化炭素センサ33による測定対象となり、室38の下部の囲繞壁36部からサンプルポート20へ到り、仕切板15より前方の室を介して穴23から排出される。酸素供給は酸素供給源より酸素供給チューブ42を介して、プロング41によってなされる。
【0027】
図7には、変形例に係る呼吸情報収集用アダプタ30Aを用いて構成したバイトブロックの実施例における側面図を示す。この呼吸情報収集用アダプタ30Aは、エアウェイケース31の下部側において両サイドに、切込付長孔34aを備えている。切込付長孔34aは、ボス22を挟み込んだ状態において、長孔の任意の位置で呼吸情報収集用アダプタ30Aを支持する。このため、呼吸情報収集用アダプタ30Aは図のYにより示される矢印のように、図の上下方向に移動可能である。このように、本実施例は、サンプルポート20から呼吸情報収集用アダプタ30Aまでの距離を調整するための調整機構を備えている。勿論、図4に示すような矢印X方向への回転が可能とする姿勢の調整機構を兼用していることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係るバイトブロックの斜視図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の実施例に係る呼吸情報収集用アダプタを備えたバイトブロックの斜視図。
【図4】本発明の実施例に係る呼吸情報収集用アダプタを備えたバイトブロックの側面図。
【図5】図3のB−B断面図。
【図6】本発明の実施例に係る使用状態を示す斜視図。
【図7】本発明の実施例の変形例に係るバイトブロックの側面図
【符号の説明】
【0029】
10 バイトブロック
11 プレート部
12 穴
13 第1壁
14 第2壁
15 仕切板
16 ガス流路
17 スロープ
20 サンプルポート
30、30A 呼吸情報収集用アダプタ
31 エアウェイケース
32 ネーザルチューブ
33 二酸化炭素センサ
33a 発光素子
33b 受光素子
34 切込付孔
34a 切込付長孔
41 プロング
50 導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡や硬性鏡などの導管が挿入される穴を有する筒状の第1壁と、
この第1壁を囲繞し、口腔内に直接に対向する第2壁と、
口腔内のガスを取り込むためのサンプルポートと、
前記第1壁と前記第2壁との間の空隙により構成され、前記サンプルポートに通じるガス流路と
を具備したことを特徴とするバイトブロック。
【請求項2】
呼吸情報収集アダプタを取り付けるための取付部を有することを特徴とする請求項1に記載のバイトブロック。
【請求項3】
ガス流路は、前記サンプルポートから前記第1壁と前記第2壁との周縁に向かうスロープを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイトブロック。
【請求項4】
前記サンプルポートには、呼吸情報収集用アダプタと結合するための結合手段であって、呼吸情報収集用アダプタの姿勢と前記サンプルポートから呼吸情報収集用アダプタまでの距離とを、調整するための調整機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバイトブロック。
【請求項5】
サンプルポートには、内部を前記ガス流路へ続く第1の室と外部へ通じる穴が形成された第2の室とに仕切る仕切板が備えられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバイトブロック。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載のバイトブロックであって、
前記バイトブロックの前記取付部に取り付けられ、呼吸情報を収集する呼吸情報収集手段を備える呼吸情報収集アダプタと
を具備することを特徴とするバイトブロック。
【請求項7】
呼吸情報収集アダプタは、バイトブロックを被検者が装着した状態において、酸素を供給するプロングの先端を被検者の鼻腔近傍又は口腔近傍に位置付けた状態として前記プロングを保持する保持手段を具備していることを特徴とする請求項6に記載のバイトブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−136869(P2010−136869A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315637(P2008−315637)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】