説明

バケットコンベヤ

【課題】コンベヤチェーンとスプロケットとの摩擦によって生じる摩耗粉が搬送物へ混入することを防止したバケットコンベヤを提供する。
【解決手段】2条のコンベヤチェーン150が、コンベヤケース110内を駆動スプロケット130及び従動スプロケットに掛架されて循環走行し、コンベヤチェーン150間に複数のバケット160が等間隔に取り付けられ、循環軌道の上部位置に駆動スプロケット130が枢設され、駆動スプロケット130の下方にバケット160内の搬送物を排出する搬送物排出シュート122を設けたバケットコンベヤにおいて、駆動スプロケット130とバケット160の間に、バケット160を挟むように左右一対の隔壁板126を設け、隔壁板126とコンベヤケース110の側壁との間に形成される空間が、摩耗粉排出シュート124に連通していることによって、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒状物を下方から上方へ搬送するバケットコンベヤに関し、さらに詳しくは、電子部品の原料となるガラス繊維や食品など、搬送物への不純物の混入を嫌う分野で使用されるバケットコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、セメント・化学製品・肥料・穀物等の粉粒体を搬送する搬送装置として、2条のコンベヤチェーンが、コンベヤケース内を駆動スプロケット及び従動スプロケットに掛架されて高低差のある軌道を循環走行し、この2条のコンベヤチェーン間に複数のバケットが等間隔に取り付けられ、循環軌道の上部位置に駆動スプロケットが枢設され、この駆動スプロケットの下方にバケット内の搬送物を排出する搬送物排出シュートを設けたバケットコンベヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭56−48314号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前述したような従来のバケットコンベヤの構造では、バケットが上方開放状態から下方開放状態に転回する駆動スプロケットの位置において、バケット内の搬送物が搬送物排出シュートに向けて排出されるため、コンベヤチェーンとスプロケットとの摩擦によって生じる摩耗粉が、搬送物と混ざって搬送物排出シュートに排出されるという課題を有していた。
【0004】
特に、電子部品の原料となるガラス繊維や食品の搬送など、搬送物への不純物の混入を嫌う分野で使用されるバケットコンベヤにおいては、摩耗粉の混入はきわめて重大な課題であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成でコンベヤチェーンとスプロケットとの摩擦によって生じる摩耗粉が搬送物へ混入することを防止したバケットコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、2条のコンベヤチェーンが、コンベヤケース内を駆動スプロケット及び従動スプロケットに掛架されて循環走行し、前記2条のコンベヤチェーン間に複数のバケットが等間隔に取り付けられ、循環軌道の上部位置に前記駆動スプロケットが枢設され、前記駆動スプロケットの下方にバケット内の搬送物を排出する搬送物排出シュートを設けたバケットコンベヤにおいて、前記駆動スプロケットと前記バケットの間に、バケットを挟むように左右一対の隔壁板を設け、前記隔壁板と前記コンベヤケースの側壁との間に形成される空間が連通した摩耗粉排出シュートを有していることによって、上記の課題を解決するものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、搬送物排出シュートと隔離板と摩耗粉排出シュートとが、一体的に構成された搬送ユニットを有していることによって、上記課題をさらに解決するものである。
【0008】
なお、本発明に用いられるコンベヤチェーンは、特に限定されるものではないが、例えば、スチールから成るスチールチェーンや複数のゴム製ブロックをスチールコードを埋設させて連接したラバーブロックチェーン等がバケットコンベヤの用途に応じて用いられる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、2条のコンベヤチェーンが、コンベヤケース内を駆動スプロケット及び従動スプロケットに掛架されて循環走行し、前記2条のコンベヤチェーン間に複数のバケットが等間隔に取り付けられ、循環軌道の上部位置に前記駆動スプロケットが枢設され、前記駆動スプロケットの下方にバケット内の搬送物を排出する搬送物排出シュートを設けたバケットコンベヤにおいて、前記駆動スプロケットと前記バケットの間に、バケットを挟むように左右一対の隔壁板を設け、前記隔壁板と前記コンベヤケースの側壁との間に形成される空間が連通した摩耗粉排出シュートを有していることによって、コンベヤチェーンと駆動スプロケットとの摩擦によって生じる摩耗粉が搬送物に混入することを防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、搬送物排出シュートと隔離板と摩耗粉排出シュートとが、一体的に構成された搬送ユニットを有していることによって、簡単な構成で搬送物と摩耗粉とを分離することができ、組立負担が軽減され、製造コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、2条のコンベヤチェーンが、コンベヤケース内を駆動スプロケット及び従動スプロケットに掛架されて高低差のある軌道を循環走行し、前記2条のコンベヤチェーン間に複数のバケットが等間隔に取り付けられ、循環軌道の上部位置に前記駆動スプロケットが枢設され、前記駆動スプロケットの下方にバケット内の搬送物を排出する搬送物排出シュートを設けたバケットコンベヤにおいて、前記駆動スプロケットと前記バケットの間に、バケットを挟むように左右一対の隔壁板を設け、前記隔壁板と前記コンベヤケースの側壁との間に形成される空間が連通した摩耗粉排出シュートを有するものであって、簡単な構成でコンベヤチェーンとスプロケットとの摩擦によって生じる摩耗粉が搬送物へ混入することを防止できるものであれば、その具体的な実施の形態は、如何なるものであっても何ら構わない。
【実施例】
【0012】
本発明の一実施例を図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本発明のバケットコンベヤの全体を示した側面図である。図2は、図1に示したバケットコンベヤ100のII部を拡大して前面のコンベヤケース110を外して示した拡大図である。図3は、図2に示したバケットコンベヤをIII−III線で切断したときの断面図である。図4は、図2及び図3において参照符号120を付した搬送物排出シュートと摩耗粉排出シュートを備えた排出ユニットの構造を示した斜視図である。
【0013】
本発明のバケットコンベヤは、図1に示したように平行に走行する2条のコンベヤチェーン150(図1においては、平行して走行する2条のコンベヤチェーンを1本の一点鎖線で示している)がコンベヤケース110内を駆動スプロケット130及び従動スプロケット140に掛架されて循環走行している。駆動スプロケット130は、循環軌道の上部水平ラインAの先端に枢設されている。そして、この駆動スプロケット130は、減速電動機170の回転軸に直接、あるいは、方向変換器等を介して接続され、駆動される。一方、従動スプロケット140は、循環軌道の下部水平ラインBの末端に枢設されている。
【0014】
そして、上部水平ラインAと下部水平ラインBとは、垂直ラインCによって連結されている。下部水平ラインBの上面には、所定の位置に所定の数だけ搬送物投入口112が設けられている。また、上部水平ラインAと垂直ラインCの接合部には、コンベヤチェーン150の往路の走行向きを垂直から水平に変換する変換スプロケット141と復路の走行向きを水平から垂直に変換する変換スプロケット142を有している。一方、垂直ラインCと下部水平ラインBの接合部には、コンベヤチェーン150の復路の走行向きを垂直から水平に変換する変換スプロケット143と往路の走行向きを水平から垂直に変換する変換スプロケット144を有している。
【0015】
また、下部水平ラインBには、コンベヤチェーン150及びバケット(図示はされていない)の自重及びバケット内の搬送物の重量によって、コンベヤチェーン150が垂れ下がるのを防止するため、複数の補助スプロケット145が枢設されている。
【0016】
なお、この例では、上部水平ラインAと下部水平ラインBを垂直ラインCによって連結したクランク状の循環軌道を採用しているが、上部水平ラインAと下部水平ラインBとを傾斜部で連結したスロープ状の循環軌道を用いることも可能である。
【0017】
さらに、図2及び図3に示したように2条の平行して走行するコンベヤチェーン150間に複数のバケット160が等間隔に取り付けられている。バケット160の材質は、搬送物の重量等により適宜選択されるが、搬送物が軽量の場合、合成樹脂を用いて射出成型で形成することによって、隙間のないバケットを簡単に製作できるので望ましい。また、前後して接続されるバケット相互間は、フレキシブルなストラップで接合することによって、バケット間の隙間がなくなり、投入した搬送物が漏れることが抑制され、搬送効率が向上するとともに、コンベヤケース110内に溜まった搬送物を取り除く必要がなくなりメンテナンス負担が軽減する。
【0018】
2条のコンベヤチェーン150は、前述したように循環軌道の上部水平ラインAの先端において一本の回転軸に間隔をあけて固設された2枚の駆動スプロケット130とそれぞれ噛み合っており、水平方向から駆動スプロケット130に進入し噛み合い始め、駆動スプロケット130と噛み合った状態で180°回転し、進入方向と逆向きに駆動スプロケット130から噛み外れていく。
【0019】
搬送物を収容したバスケット160は、図2に示したように駆動スプロケット130までは、上方開放状態(160a)で移動してくるが、駆動スプロケット130でコンベヤチェーン150がUターンする動きと連動し、下方開放状態(160b)に転回され、バケット160内の搬送物が、駆動スプロケット130の下方に設けられた搬送物排出シュート122に放出される。
【0020】
この時、従来のバケットコンベヤでは、駆動スプロケット130とコンベヤチェーン150の噛み合い摩擦によって発生したゴムや金属等からなる摩耗粉も搬送物と一緒に搬送物排出シュート122に放出され、搬送物の品質が低下するという課題が生じていた。
【0021】
本発明では、図2及び図3に示したように、駆動スプロケット130とバケット160の間に、バケット160を挟むように左右一対の隔壁板126a、126bを設けている。そして、隔壁板126a、126bとコンベヤケース110との間に形成される摩耗粉落下空間S1が、摩耗粉排出シュート124に連通している。そのため、駆動スプロケット130とコンベヤチェーン150との摩擦によって生じたゴムや金属等からなる摩耗粉が、搬送物と一緒になって搬送物排出シュート122に放出されることが防止される。なお、図1に示した下部水平ラインB及び垂直ラインCにおいては、搬送物は、バケットの中にあるので摩耗粉が混入することがない。
【0022】
前述した搬送物排出ユニット122と摩耗粉排出シュート124と隔壁板とを有する排出ユニット120の斜視図を図4に示す。図4に示すようにバケット(図示はされていない)を挟むように左右一対の隔壁板126a、126bが設けられており、隔壁板126a、126bと排出ユニット側壁127a、127bとの間の摩耗粉落下空間S1に落ちてきた摩耗粉は、摩耗粉通過スロープ128a、128bを滑って摩耗粉排出シュート124に集められ、そこから外部に排出される。一方、バケットによって搬送されてきた搬送物は、左右一対の隔壁板126a及び隔壁板126bとの間で放出され、搬送物落下空間S2を通って搬送物排出ユニット122から外部に排出される。
【0023】
排出ユニット120の上端縁には、バケットコンベヤの従来の排出口に換えて、この排出ユニット120を取り付けるための取付フランジ123を有している。すなわち、既存のバケットコンベヤの排出口が設置されたコンベヤケースの一部を取り外して、排出ユニット120を螺設するだけで本発明を実施できるため、製造コストを削減することができる。さらに摩耗粉排出シュート124の下端縁にも取付フランジ125が設けられており、ここには、摩耗粉排出シュート124に集められた摩耗粉などのゴミを一時的に蓄えておく貯留部(図示はされていない)が必要に応じて取り付けられる。この貯留部は、例えば、引き出して取り外せる構造とすることによって、メンテナンス負担が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、極めて簡単な構成で搬送物に摩耗粉等が混入することを防止することができるバケットコンベヤであって、搬送物の品質、安全性が高められるので、半導体産業や食品業界など、その産業上の利用可能性はきわめて高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のバケットコンベヤの全体を示した側面図。
【図2】図1に示したバケットコンベヤ100のII部を前面のコンベヤケース110を外して示した拡大図。
【図3】図2に示したバケットコンベヤのIII−III線で切断した断面図。
【図4】本発明の排出ユニット120の斜視図。
【符号の説明】
【0026】
100 ・・・ バケットコンベヤ
110 ・・・ コンベヤケース
112 ・・・ 搬送物投入口
120 ・・・ 排出ユニット
122 ・・・ 搬送物排出シュート
123、125 ・・・ 取付フランジ
124 ・・・ 摩耗粉排出シュート
126a、126b ・・・ 隔壁板
127a、127b ・・・ 排出ユニット側壁
128a、128b ・・・ 摩耗粉通過スロープ
130 ・・・ 駆動スプロケット
140 ・・・ 従動スプロケット
141、142、143、144 ・・・ 変換スプロケット
145 ・・・ 補助スプロケット
150 ・・・ コンベヤチェーン
160 ・・・ バケット
170 ・・・ 減速電動機
A ・・・ 上部水平ライン
B ・・・ 下部水平ライン
C ・・・ 垂直ライン
S1 ・・・ 摩耗粉落下空間
S2 ・・・ 搬送物落下空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2条のコンベヤチェーンが、コンベヤケース内を駆動スプロケット及び従動スプロケットに掛架されて高低差のある軌道を循環走行し、前記2条のコンベヤチェーン間に複数のバケットが等間隔に取り付けられ、循環軌道の上部位置に前記駆動スプロケットが枢設され、前記駆動スプロケットの下方にバケット内の搬送物を排出する搬送物排出シュートを設けたバケットコンベヤにおいて、
前記駆動スプロケットと前記バケットの間に、バケットを挟むように左右一対の隔壁板を設け、前記隔壁板と前記コンベヤケースの側壁との間に形成される空間が連通した摩耗粉排出シュートを有していることを特徴とするバケットコンベヤ。
【請求項2】
前記搬送物排出シュートと前記隔離板と前記摩耗粉排出シュートとが、一体的に構成された搬送ユニットを有していることを特徴とする請求項1に記載のバケットコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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