説明

バケットコンベヤ

【課題】バケット、コンベヤ機枠の内部、特に、バケットをコンベヤ機枠の外部に取り出して、内側コーナー部や搬送方向の前方バケットと後方バケットとの重合部分などに付着している付着物などを確実に洗い落とすことができるバケットコンベヤを提供する。
【解決手段】多数のバケット1を搬送方向に無端状に連結支持する連結ロッド2の両端部側を、各バケット1の連結間隔にて搬送方向に略はしご状に連繋する無端状のバケット移動体3を備え、バケット1は、搬送方向の前側壁1aと後側壁1bに連結ロッド1との連結部16,17を備え、かつ、この前側連結部16と後側連結部17には、連結ロッド2に対し、該連結ロッド2の軸外周方向から着脱可能に嵌め込み掛止させる側面視で略U字形状に形成されているロッド連結凹部18,19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットコンベヤに係り、特に、容器状に形成されている多数のバケットを連結ロッドによって回動可能に連結することにより搬送方向にわたり無端状に構成されるバケットコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
被搬送物の搬送方向に多数のバケットを列状に隣接させてそれぞれ連結ロッドによって回動可能に連結することにより搬送方向にわたり無端状に構成されているバケットコンベヤは、特許文献1などにおいて知られている。
【0003】
ところで、バケットコンベヤは、一種類の被搬送物のみの搬送に限らず、異質の被搬送物を入れ替わりに搬送するためのコンベヤとして使用される。例えば、食品加工工場などにおいては、大豆、小豆、コーヒー豆、そしてパン粉、カレー粉、米、小麦、鰹節、精製塩、グラニュー糖などの食品素材を、一定の生産ロットに合わせて数時間から数日間にわたり材料供給場所から食品加工ラインなどへ搬送するために使用される。
そのために、生産ロットに合わせて例えば、パン粉を搬送した後に、つぎにカレー粉を搬送する場合などには、品質や衛生面などからバケット、コンベヤ機枠の内部(内面)に付着して残っている付着物などを洗い落とすためにバケット、コンベヤ機枠内部などを液体および/または気体などを用いて洗浄する必要がある。
【0004】
そこで、従来は、コンベヤ機枠の内部要所に、洗浄ノズルやエアノズルなどをそれぞれ配置し、搬送する被搬送物が入れ替わるときに、バケットやコンベヤ機枠の内部などに向けて高圧洗浄水などを噴射することによって付着物などを洗い流し、そして、エアブローなどの噴射によって洗浄水などを吹き払うことが試みられていた。
【特許文献1】実公平6−38014号公報(実用新案登録請求の範囲、段落番号0008、0012、および図1〜図6参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗浄ノズルからの高圧洗浄水などによる洗浄には、限りがあり、付着物を完全に取り除くことができないものとなっていた。
例えば、露出しているバケットの内外表面などに付着している付着部に対し、高圧線浄水などを正確に当てて洗い流し取り除くことができるものの、バケットの内側コーナー部(隅部)や、重なり合っている搬送方向の前方バケットと後方バケットとの間の重合部分などに付着している付着物を完全に洗い落とし取り除くができず、その改善が求められていた。
【0006】
また、従来では、無端状に連なるバケット群がコンベヤ機枠に内面などに向けて高圧洗浄水などを噴射するときの障害物となり、そのために、コンベヤ機枠の内面などに付着している付着物なども確実に洗い落として取り除くことができないでいるのが現状である。
【0007】
そこで、本発明は、前記課題を解消するために創案されたものであり、多数のバケットを、搬送方向に列状に隣接させるとともに搬送幅方向にわたる長さを有する連結ロッドで回動可能に連結することにより無端状に構成されるバケットコンベヤであって、バケット、コンベヤ機枠の内部、特に、バケットの内側コーナー部や搬送方向の前方バケットと後方バケットとの重合部分などに付着している付着物などを確実に洗い落とし取り除くことができるように改良されたバケットコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明では、多数のバケットを、搬送方向に列状に隣接させるとともに、搬送幅方向にわたる長さを有する連結ロッドで回動可能に連結することにより無端状に構成されるバケットコンベヤであって、
前記各連結ロッドの両端部側を、前記各バケットの連結間隔にて搬送方向に略はしご状に連繋する無端状のバケット移動体をそれぞれ備え、前記バケットは、搬送方向の前側壁と後側壁に前記連結ロッドとの連結部を備え、この前側連結部と後側連結部には、前記連結ロッドに対し、該連結ロッドの軸外周方向から着脱可能に嵌め込み掛止させるロッド連結凹部が設けられていることを特徴とする。
ここで、前記後側連結部の前記ロッド連結凹部は、前記前側連結部の前記ロッド連結凹部を基点とする半径にて描かれる円弧線に沿う側面視で略U字形状に形成されていることが好適なものとなる。
【0009】
このような構成により、多数のバケットを、コンベヤ機枠の内部に装着するときには、搬送方向の前方バケットと後方バケットの各バケットの前側連結部と後側連結部とのそれぞれのロッド連結凹部を、両側のバケット移動体によって搬送方向に連繋支持されている各連結ロッドに対し、軸外周方向から位置合わせ嵌め込むことを繰り返すことで、各バケットを搬送方向に無端状に連結させてバケット機枠の内部に装着することができる。
そして、バケットをコンベヤ機枠の内部から取り出すときには、各バケットの前側連結部と後側連結部とのそれぞれのロッド連結凹部を、連結ロッドから離脱させる方向に各バケットを持ち上げる。
このとき、まず、搬送方向の前方バケットの後側連結部に連結ロッドによって連結されている後方バケットの前側連結部(連結ロッド)を回動支点に、後方バケットを回動させて、該後方バケットの後側連結部を、次の後方バケットの前側連結部との連結ロッドから離脱させ、つぎに、回動支点とした後方バケットの前側連結部を前方バケットの後側連結部との連結ロッドから離脱させるこれら一連の操作を行うことで、搬送方向に無端状に連結されている全てのバケットを各連結ロッドから取り外すことができる。
これにより、バケットをコンベヤ機枠の外に取り出して手洗いや専用の洗浄装置などを用いて洗浄することができるために、各バケットの内外面から付着物を完全に洗い落とす洗浄が可能になる。
【0010】

また、全てのバケットが取り外されたコンベヤ機枠の内部は、各連結ロッドと、この連結ロッド群を搬送方向に略はしご状に連繋する両側のバケット移動体のみが残る略空の状態になることで、コンベヤ機枠の内部要所に設けられている洗浄装置の洗浄ノズルからの高圧洗浄水によってコンベヤ機枠の内面などに付着している付着物をも速やかに洗い落とす洗浄が可能になる。
すなわち、コンベヤ機枠の内部要所の各洗浄ノズルから洗浄すべき目的の方向に向けて噴射される高圧洗浄水は、障害物となるバケットがないことで、確実に付着物を洗い落とす。
【0011】
また、本発明では、前記両側のバケット移動体を、搬送方向に誘導する誘導部材を備え、さらに、前記連結ロッドから前記各バケットを取り外すときに、前記連結ロッドが前記バケットの前記前側連結部と前記後側連結部とのそれぞれの離脱方向へ移動することを防ぐロッド押え部材を備えていることを特徴とする。
【0012】
このような構成により、前記したように、各バケットの前側連結部と後側連結部を、搬送方向の前方と後方において隣接する前方バケット、後方バケットとの連結ロッドから離脱させるときに、各バケットの前側連結部と後側連結部とのそれぞれのロッド連結凹部を連結ロッドから離脱させる方向に、各連結ロッドが浮き上がるように動くことをロッド押え部材によって防ぐことができる。これにより、バケットの前側連結部と後側連結部とのそれぞれのロッド連結凹部を連結ロッドから簡単に、かつ、速やかに離脱させて各バケットを各連結ロッドから取り外すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバケットコンベヤは、以上のように構成されていることで、バケット、コンベヤ機枠の内部、特に、バケットの内側コーナー部や搬送方向の前方バケットと後方バケットとの外面重合部分などに付着している付着物などを、コンベヤ機枠の外において手洗いや洗浄装置などを用いて洗い落とすことができる。
これにより、バケットの内外表面などから付着物を確実に取り除くことができるために、被搬送物を入れ替わりに伴う品質や衛生面などを管理する上で有効となる。
【0014】
また、本発明によれば、前記したように、バケットをコンベヤ機枠の外に取り出して洗浄することを可能にしたことで、コンベヤ機枠の内面などの付着している付着物などを、コンベヤ機枠の内部要所の洗浄ノズルなどから高圧洗浄水やエアブローなどによって確実に洗い落とし取り除くことができることから、バケットのみならずコンベヤ機枠の内部衛生面の管理などにも有効となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
バケットコンベヤとしては、水平方向または垂直方向に被搬送物を搬送するI型タイプ、水平方向から垂直方向に被搬送物を搬送するL型タイプ、水平方向と垂直方向との双方に被搬送物を交互に搬送するWZ型タイプ、水平方向から斜め方向、さらに水平方向へと被搬送物を搬送するS型タイプ、水平方向から垂直方向、さらに水平方向へと被搬送物を搬送するZ型タイプなどを挙げられるが、本実施形態では、Z型タイプのバケットコンベヤを一例にあげて説明する。
図1は、本実施形態に係る本発明のバケットコンベヤの全体を示す縦断側面図であり、図2および図3は、図1の縦断拡大図である。
【0016】
≪バケットコンベヤの構成≫
バケットコンベヤAは、多数のバケット1を、搬送方向に列状に隣接させるとともに連結ロッド2によって回動可能に連結することにより、コンベヤ機体a内に無端状に組み込み内設されるように構成されている。
すなわち、図1および図3に示すように、コンベヤ機枠aの各要所において搬送幅方向の両側にそれぞれ組み込み取り付けられている駆動スプロケット4、ターンスプロケット5、アイドラスプロケット6、これら各スプロケット4〜6にわたり掛け渡される後記する両側のバケット移動体3によって、連結ロッド2によって無端状に連結される各バケット1群が順次に搬送方向(図1の矢印X方向)に移動されるように構成されている。
【0017】
なお、本実施形態における各スプロケット4〜6は、図1および図2に示すように、連結ロッド2によるバケット1群の連結間隔をおいてバケット移動体3に設けられている後記のロッド固着部20を係止させる略半円形状の第1の係止凹部7と、ロッド固着部20から突出する連結ロッド2の突出端部を係止させる略U字形状の第2の係止凹部8とを、連結ロッド2によるバケット1群の連結間隔にて円周上に設けている特殊な形状に形成されている。
【0018】
≪コンベヤ機枠の構成≫
コンベヤ機枠aは、耐食性や耐薬品性などに優れている金属製板材を用いて四面を閉鎖させた角型の通路形状に形成されるものであり、図1に示すように、上下の水平搬送部a−1,a−2と、この上下の水平搬送部a−1,a−2を連絡する垂直搬送部a−3とから側面視で略クランク形状(Z型タイプ)に組み立て設置されるように構成されている。
【0019】
また、コンベヤ機枠aは、上下の水平搬送部a−1,a−2および垂直搬送部a−3に、内における搬送幅方向の両側に、両側のバケット移動体3を搬送方向に向けて略直線的に誘導するための誘導部材である誘導レール9をそれぞれ備えている。ここで、搬送幅方向とは、搬送方向に対して直交する方向を言う。
この誘導レール9は、図3に示すように、搬送幅方向の両側機枠壁に備えている。これにより、連結ロッド2を介して搬送方向に無端状に連結されるバケット1群が、駆動モータなどに駆動機(図示省略)の動力を受けて回動する駆動スプロケット4により、被搬送物の投入口10を有する搬送始端側の下側水平搬送部a−1、中間の垂直搬送部a−3、そして排出口11を有する搬送終端側の上側水平搬送部a−2、これらの内部間にわたり移動する左右両側のバケット移動体3によって順次移動されるようになっている。
【0020】
そして、コンベヤ機枠aは、下側水平搬送部a−1における垂直搬送部a−3側寄りの天板部分に、図1および図3に示すように、バケット1の着脱を行うための着脱口12を備え、この着脱口12にネジ止めや、図示のように蝶番などの開閉止め具13によって開閉可能とする開閉蓋14を備えている。
【0021】
また、コンベヤ機枠aは、図1に示すように、上下の水平搬送部a−1,a−2および垂直搬送部a−3内における各要所部位に、コンベヤ機枠の内部を洗浄するための洗浄ノズル15をそれぞれ備えている。
これにより、全てのバケット1をコンベヤ機枠aの外に取り出した状態で、コンベヤ機枠aの内部を各洗浄ノズルからの高圧水の噴射によって隅々まで万遍に洗浄し、付着物などをきれいに洗い流すことができるようになっている。
【0022】
≪バケットの構成≫
図4は、バケットを示す縦断側面図であり、図5は、同バケットを、搬送方向前方側から見たときの正面図であり、図6は、同バケットを、搬送方向後方側から見たときの背面図であり、図7は、同バケットの平面図である。ここでは、図1を適宜参照しながら説明する。
図4において、紙面左側が搬送方向の前方であり、紙面右側が搬送方向の後方である。そして、図5において、紙面左右方向が搬送幅方向である。
バケット1は、合成樹脂材料などの所望な成形材料を用いた射出成形などによって一体に形成される。
このバケット1は、図4および図5に示すように、搬送方向の前側壁1aを低く、後側壁1bを高く、前側壁1aと後側壁1bの上半部側とを搬送方向の前方に向けて斜めに傾けるとともに、底部壁1c側を湾曲させた平面視で搬送幅方向に長い略横長矩形形状の箱型(函体状)に形成されている。
【0023】
そして、このバケット1は、図4および図5に示すように、前側壁1aの開口上端部から後側壁1bの高さ方向に向け、該後側壁1bの高さにて後方(搬送方向の後方)に向けて略水平状に延設させた形状の両側壁1dを備えている。
この両側壁1dは、図7に示すように、前側壁1aと後側壁1bとを連設する連設壁部1d−1と、後側壁1bから後方に延設される延設壁部1d−2とから形成されており、延設壁部1d−2は、連設壁部1d−1から壁厚分、外側に位置して後側壁1bから後方に延設されている。つまり、連設壁部1d−1と延設壁部1d−2とは、後側壁1bを境に、平面視で段付き状に連設されている。
これにより、各バケット1を搬送方向に無端状に連結させたときに、後記の図9に示すように、搬送方向の前方バケット1−1の延長壁部1d−2が、前方バケット1−2の連設壁部1d−1の外側に重合されるようにしている。つまり、延長壁部1d−2が、連設壁部1d−1の外側に重合させる重合構造を採用することで、バゲット1群の搬送方向への無端状の繋がりを、連結ロッド2による前後の連結との協同で、バケット1群の連結状態を、ベルトコンベヤの如き搬送方向に平行に移動させる構造としている。
【0024】
そして、このように形成されているバケット1は、前側壁1aと後側壁1bに連結ロッド2用の前後の連結部16,17をそれぞれ備えている。
【0025】
≪前側連結部の構成≫
前側連結部16は、図5に示すように、バケット1の前側壁1aの開口上端部における両側においてそれぞれの端面部から適宜の幅(長さ)にて形成されている。そして、この前側連結部16は、連結ロッド2に対し、その軸外周方向から着脱自在に嵌め込み掛止させるためのロッド連結凹部18を備えている。
【0026】
ロッド連結凹部18は、図4に示すように、搬送方向の前方に向けた下向きの側面視で略U字形状に形成されている。そして、このロッド連結凹部18は、連結ロッド2の軸外周面を掴むように掛止させる溝奥のロッド掛止部18aと、このロッド掛止部18aから前方下向き開口に至るロッド挿入部18bとの境部に、互いに内向き凸状に形成されている掛止凸部18−1を備えている。つまり、掛止凸部18−1は、ロッド挿入部18bからロッド掛止部18aへの入り口を、連結ロッド2の軸径よりも狭めるように内向き凸状に形成されている。
これにより、ロッド挿入口18bからロッド掛止部18aに向けて挿入されてくる連結ロッド2が、掛止凸部18−1の間を弾発作用(バネ作用)に抗して押し広げてロッド掛止部18aに嵌め込み掛止されるようにしている。換言すれば、連結ロッド2がロッド掛止部18aに嵌め込み掛止されるときに、掛止凸部18−1は、連結ロッド2が通過した後は復元力によって連結ロッド2を掴むように元の状態に戻り、弾発作用のもとで連結ロッド2が不用意に脱落することを防ぐように連結ロッド2の軸外周面をしっかりと保持し得るようにしている。
【0027】
そして、前方下向き開口するロッド挿入部18bは、ロッド掛止部18aの軸心を基点Pに、この基点Pから真下に下ろした線上より搬送方向前方に向けて下向きとする所定の傾斜角度θにて形成されている。
【0028】
ロッド連結凹部18の搬送方向の前方に向けた下向きの傾斜角度θとしては特に限定されるものではないが、本実施形態では、35〜55°の範囲に設定している。特に、45°に設定することが好適なものとなる。
これにより、バケット1を搬送方向前後の連結ロッド2の間から取り外すときに、後記の図11に示すように、ロッド連結凹部18のロッド掛止部18aを回動支点として、バケット1の後側連結部17側の後記するロッド連結凹部19を連結ロッド2から離脱させる方向(反時計方向)にバケットを45°回動させた回動位置で、バケット1を略真上方向に引き上げる操作を行うことで、前側連結部16のロッド連結凹部18を連結ロッド2から離脱させることができるようにしている。
つまり、バケット1の後側連結部17を連結ロッド2から離脱させるバケット1の回動との一連の離脱操作によって、バケット1の前側連結部16を連結ロッド2から離脱させて、バケット1を搬送方向前後の連結ロッド2の間から取り外すことができるようにしている。
【0029】
また、図4に示すように、ロッド連結凹部18のロッド挿入部18bは、ロッド掛止部18aから前方下向き開口に向けて漸次拡開させた側面視で略ハの字形状としている。これにより、連結ロッド2の軸外周方向から嵌め込み掛止させるときの位置合わせ挿入作業を簡単に、かつ、速やかに行うことができるようにしている。
【0030】
≪後側連結部の構成≫
後側連結部17は、図4に示すように、バケット1の後側壁1bより後方に延設している両側壁1dにそれぞれ形成されている。この後側連結部17は、前側連結部16と同様に連結ロッド2に対し、その軸外周方向から着脱自在に嵌め込み掛止させるためのロッド連結凹部19を備えている。
【0031】
ロッド連結凹部19は、図4に示すように、略下向きの側面視で略U字形状に形成されている。そして、このロッド連結凹部19は、連結ロッド2の軸外周面を掴むように掛止させる溝奥のロッド掛止部19aと、このロッド掛止部19aから下向き開口に至るロッド挿入部19bとの境部に、前記のロッド連結凹部18と同様に、互いに内向き凸状に形成されている掛止凸部19−1を備えて、弾発作用(バネ作用)のもとで連結ロッド2が不用意に脱落することを防ぐように連結ロッド2の軸外周面をしっかりと保持し得るようにしている。
【0032】
そして、図4に示すように、ロッド掛止部19aから下向き開口に至るロッド挿入部19bを、前側連結部16のロッド掛止部16aを基点Pとする半径πにて該ロッド掛止部16aの軸心を中心に描かれる円弧線Yに沿わせた円弧形状に形成している。
これにより、前記したように、バケット1の前側連結部16のロッド掛止部16aを回動支点として、後側連結部17のロッド連結凹部19を連結ロッド2から離脱させる方向にバケット1を回動させることができるようにしている。
【0033】
また、図4に示すように、ロッド連結凹部19のロッド挿入部19bは、前記のロッド挿入部18bと同様に、ロッド掛止部19aから円弧線Yに沿う下向き開口に向けて漸次拡開させた側面視で略ハの字形状としている。これにより、連結ロッド2の軸外周方向から嵌め込み掛止させるときの位置合わせ挿入作業を簡単に、かつ、速やかに行うことができるようにしている。
【0034】
≪バケット移動体の構成≫
図8は、左右両側のバケット移動体に連結ロッドの両端部側を支持させた状態の一部を示す斜視図である。ここでは、図1および図4を適宜参照しながら説明する。
バケット移動体3は、図1に示すように、バケット1群を搬送ラインの全長にわたり無端状に連結するそれぞれの連結ロッド2を、バケット1群の連結間隔をおいて搬送方向にはしご状に連繋し、それにより、駆動スプロケット4の動力を受けてバケット1群を搬送方向に順次に移動する役目をなすものである。
このロッド連結体3は、適度の柔軟性(可撓性)を備え、かつ、耐食性や耐久性などに優れている合成樹脂材料やその他の材料を用いて適宜の厚さと幅を有するベルト状にて、図1に示すように、搬送終端側の駆動スプロケット4から搬送途中のアイドラスプロケット6をそれぞれ中継して搬送始端側のターンスプロケット5にわたり掛け渡される長さを有する無端状に形成されている。
そして、このバケット移動体3は、図8に示すように、連結ロッド2の両端部側を固着し、連結ロッド2総合を連繋させるためのロッド固着部20を備えている。
【0035】
ロッド固着部20は、バケット1群の連結間隔、つまり、図4に示すように、バケット1単位の前側連結部16と後側連結部17とのそれぞれのロッド掛止部18a,19a間の寸法間隔Lをおいて、両側のバケット移動体3にそれぞれ備えられるものであり、図3に示すように、連結ロッド2の軸径に相当する内径を有する孔状に形成されている。
【0036】
なお、図示を省略しているが、図3に示すように、連結ロッド2の端部をロッド固着部20から適宜の突出させるようにロッド固着部20に挿入させた後の抜け止めは、ロッド固着部20からの突出根元にスナップリング(E型リング)、あるいはワッシャと割りピンなどからなる適宜の止め部材を取り付けることで行うものである。
また、ロッド固着部20に接着によって連結ロッド2の端部を固着したり、あるいはロッド固着部内に金属製のカラーなどの取り付け、このカラーによる連結ロッド2の端部の圧着によって行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、図1および図3に示すように、バケット1の着脱口12が開口されているコンベヤ機枠aの下側水平搬送部a−1内に、所定の長さに形成されているロッド押え部材としてのロッド押えレール21を誘導レール9と平行にそれぞれ備えている。
これにより、図11に示すように、バケット1を搬送方向前後の連結ロッド2から取り外すときに、連結ロッド2がバケット1の前側連結部16と後側連結部17とのそれぞれの離脱方向へ移動することを防ぐようにしている。つまり、作業者は連結ロッド2を押えることなく、バケット1を片手または両手で掴み、前側連結部16と後側連結部17とのそれぞれの離脱方向にバケット1を動かす離脱操作を行うことで、搬送方向前後の連結ロッド2の間からバケット1を取り外し、コンベヤ機枠aの外に取り出すことができるようしている。
【0038】
[作用の説明]
つぎに、以上のように構成されている本実施形態に係るバケットコンベヤの作用について簡単に説明する。
図9および図10は、左右のバケット移動体に支持連繋されている連結ロッドにバケットを取り付けた状態の一部を拡大して示す縦断側面図および平面図であり、図11は、図9および図10の状態からバケットを取り外すときの操作手順を示す説明図である。ここでは、図1および図3を適宜参照しながら説明する。
バケット1を、搬送方向前後のはしご状に連なっている各連結ロッド2から取り外すときには、まず、図1および図3において二点鎖線で示すように、着脱口12を閉じている開閉蓋14を開く。
【0039】
つぎに、図9に示す状態から図11の(a)に示すように、搬送方向の前方バケット1−1の後側連結部17に連結されている前側連結部16のロッド掛止部18a(連結ロッド2)を回動支点として、バケット1を、反時計方向(矢印M1方向)に回動させて、後方バケット1−2の前側連結部16との連結ロッド2から後側連結部17を離脱させる。このとき、後側連結部17のロッド連結凹部19は、前側連結部16のロッド掛止部18aを基点とする半径にて円弧状に形成されていることで、バケット1の回動操作を円滑に行うことができる。
【0040】
このような離脱操作によって、バケット1の後側連結部17を離脱させた状態で、図11の(b)に示すように、その後方に位置する後方バケット1−2を同じく前側連結部16のロッド掛止部18aを回動支点として反時計方向(矢印M2方向)に回動させて、後側連結部17を、その後方バケット1−2の前側連結部16との連結ロッド2から離脱させる。
このようにして、前方バケット1−2との連結ロッド2から後側連結部17を離脱させた後に、取り外す後方バケット1−2を略斜め上方(矢印M3方向)に引き上げる操作を行うことで、バケット1の後側連結部17との連結ロッド2から前側連結部16のロッド連結凹部18を離脱させて、バケット1−1をコンベヤ機枠aの外に取り出すことができる(図1おおび図3の二点鎖線の状態)。
つまり、両側のバケット移動体3によって搬送方向にはしご状に連繋支持されている前後の連結ロッド2の間から各バケット1を簡単に取り外し、短時間で全てのバケット1をコンベヤ機枠aの外に取り出すことができる。
【0041】
以後、図11に示す反時計方向(矢印M2方向)への回動と略斜め上方(矢印N3方向)への引き上げ操作とを順次に繰り返し、最後に、前方バケット1−1を略斜め上方(矢印N3方向)に引き上げる離脱操作を行うことで、すべてのバケット1をコンベヤ機枠aの外に取り出すことができる。
これにより、コンベヤ機枠a内から外にすべてのバケット1を取り出し、バケット1の内側コーナー部や搬送方向の前方バケット1−1と前方バケット1−2との外面重合部分などに付着している付着物などを、コンベヤ機枠aの外において手洗いや洗浄装置などを用いて洗い落とすことができる。
【0042】
このように構成されている本実施形態に係るバケットコンベヤAによれば、搬送方向にはしご状に連なっている前後の連結ロッド2の間からバケット1を取り外すとき、前記したように、まず、後側連結部17をその後方バケット1−2の前側連結部16との連結ロッド2から反時計方向(矢印M1方向)への回動により離脱させておき、つぎに、後方バケット1−2の後側連結部17側と前側連結部16とをそれぞれの離脱方向(矢印M2方向、矢印N3方向)に回動、そして引き上げる離脱操作手順を行わない限り、各バケット1をコンベヤ機枠aの外に取り出すことができない構造としている。
これにより、被搬送物の搬送中に、はしご状に連なる前後の連結ロッド2の間からバケット1が不用意に取り外れることがない各連結ロッド2への掛止構造にて、各バケット1を搬送方向(矢印X方向)に無端状に連結し、そして、バケット1をコンベヤ機枠aの外に取り出して手洗いや専用の洗浄装置などを用いて洗浄するときには、前記の離脱手順にて連結ロッド2の間からバケット1を取り外して、コンベヤ機枠の外で付着物などをきれいに洗い落とすことができるようにしている。
【0043】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した実施形態に限られるものではなく、請求項1から請求項3に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、連結ロッド2の両端部を連繋支持する両側のバケット移動体3を、ベルト方式からチェーン方式に変えることができる。この場合、金属以外の合成樹脂材料などからなるチェーンを使用することが、衛生面などの管理において好適なものとなる。
また、チェーンを無端状に構成するリンクプレート単位の長さを、バケットの連結間隔に相当する長さに形成し、各リンクプレート単位の長さ方向前後端部(ヒンジ部)に、前記した実施形態のように連結ロッド2の端部を挿入させて支持させるパイプ材などからなる円筒状のロッド固着部を設けることで、無端状のチェーンを構成し、ロッド固着部に連結ロッド2の両側端部を挿入支持させることで、搬送幅方向両側のそれぞれのチェーンによって各連結ロッド2が、バケット1の連結間隔をおいて搬送方向に略はしご状に連繋支持されるように構成することが好適なものとなる。
【0044】
また、連結ロッド2の突出端部を係止させる第2の係止凹部8は、駆動スプロケット4側のみに設けることができる。これにより、ベルト状のバケット連繋体3を確実に搬送方向へ移行させて、バケット1群を順次に移動させることができる。
【0045】
また、前側連結部16と後側連結部17とのそれぞれのロッド連結凹部18,19のロッド挿入部18b,19bを、図4に示したように、側面視で略ハの字形状とせずに、ロッド掛止部18a,19aの孔径にて平行としてその口元側のみをアール形状などに形成することができる。
また、ロッド連結凹部18,19のロッド挿入部18b,19bの側面視の開口形状として、口元側を狭くし、ロッド掛止部18a,19aに向けて同ロッド掛止部18a,19aの孔径と略同じ口幅(U字幅)となるように漸次広く形成することができる。
【0046】
また、ロッド連結凹部18,19に対し、必要に応じて弾性作用(バネ作用)を助長し、その弾性作用を継続させるための弾性助長スリットなどを設けることができる。
例えば、ロッド挿入部19bの外側部位に、該ロッド挿入部19bの開口縁部に沿って略平行とする弾性助長スリットを、ロッド挿入部19bの口元側からロッド掛止部19aとの連設近傍に至るようにそれぞれ設けるなどによって、連結ロッド2が通過するときにはロッド挿入部19bの口幅(U字幅)が広がる方向へ弾性変形し、連結ロッド2が通過したときにはロッド挿入部19bの口幅が閉じる方向(元に戻る方向)に弾性変形するための弾性作用が継続的に保たれるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係る本発明のバケットコンベヤの全体を示す縦断側面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図である。
【図4】本実施形態に係るバケットを示す縦断側面図である。
【図5】同バケットを、バケットを示す縦断側面図である。
【図6】同バケットを、搬送方向後方側から見たときの背面図である。
【図7】同バケットの平面図である。
【図8】左右両側のバケット移動体に連結ロッドの両端部側を支持させた状態の一部を示す斜視図である。
【図9】左右のバケット移動体に支持連繋されている連結ロッドにバケットを取り付けて、バケット同士を回動可能に連結させた状態の一部を拡大して示す縦断側面図である。
【図10】バケットの幅方向の長さを省略して示す同平面図である。
【図11】図9に示す状態からバケットを取り外すときの操作手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
A バケットコンベヤ
a コンベヤ機枠
1 バケット
1−1 前方バケット
1−2 後方バケット
1a 前側壁
1b 後側壁
1c 底部壁
1d 両側壁
2 連結ロッド
3 バケット移動体
9 誘導レール(誘導部材)
16 前側連結部
17 後側連結部
18,19 ロッド連結凹部
18a,19a ロッド掛止部
18b,19b ロッド挿入部
20 ロッド固着部
21 ロッド押えレール(ロッド押え部材)
Y 円弧線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のバケットを、搬送方向に隣接させて連結ロッドで回動可能に連結することにより無端状に構成されるバケットコンベヤであって、
前記連結ロッドの両端部側を、前記各バケットの連結間隔をおいて搬送方向に略はしご状に連繋する無端状のバケット移動体をそれぞれ備え、
前記バケットは、搬送方向の前側壁と後側壁に前記連結ロッドとの連結部をそれぞれ備え、この前側連結部と後側連結部には、前記連結ロッドに対し、該連結ロッドの軸外周方向から着脱自在に嵌め込み掛止させるロッド連結凹部がそれぞれ設けられていることを特徴とするバケットコンベヤ。
【請求項2】
前記後側連結部の前記ロッド連結凹部は、前記前側連結部の前記ロッド連結凹部を基点とする半径にて描かれる円弧線に沿う側面視で略U字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバケットコンベヤ。
【請求項3】
前記両側のバケット移動体を、搬送方向に誘導する誘導部材を備え、
さらに、前記連結ロッドから前記各バケットを取り外すときに、前記連結ロッドが、前記バケットの前記前側連結部と前記後側連結部とのそれぞれの離脱方向へ移動することを防ぐロッド押え部材を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバケットコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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