説明

バケットリフター

【課題】バケットリフターの作動中に、粉粒物から生じた粉体が、周辺部に飛散・漏洩するのを防止できる、バケットリフターを、提供すること。
【解決手段】粉粒物をバケット3に投入する、投入部2と、投入された粉粒物を収容する、バケット3と、バケット3を昇降させる、昇降機構5と、上昇した位置のバケット3から排出された粉粒物を、容器8へ供給する、供給管部4と、粉粒物から生じた粉体を吸引するための吸引機構6と、を備えており、投入部2が、粉粒物を投入するための投入シュート21を、密閉されたケース22内に、有しており、バケット3の、粉粒物を収容する内部空間30が、密閉されており、吸引機構6が、フィルタ部64を介して吸引手段に通じた吸引管61、62、63を有しており、吸引管が、投入部のケース22内と、バケット3の内部空間30内と、供給管部4の基端部411内と、にそれぞれ連通している、ことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒物をバケットで搬送して容器へ供給する、バケットリフターに、関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉粒物は、種々の搬送工程や検査工程を経て、運搬や保管のための容器へ供給されるが、その際、粉粒物は、バケットリフターによって、容器より上方の高さまで持ち上げられた後に容器へ供給される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、バケットリフターによって粉粒物を供給する際には、粉粒物の成形工程や搬送工程で発生した粉体がバケットリフターの周辺に飛散・漏洩して、作業環境が悪化し、また、作業者の健康が害されてしまう、という恐れがあった。
【0004】
また、粉粒物の供給が終了したバケットリフターには、粉体が付着して残っているので、すなわち、粉粒物の残渣があるので、そのまま次の種類の粉粒物を供給することはできない。そこで、粉粒物の供給が終了したバケットリフターは、通常は、分解されて洗浄される。しかしながら、残渣があるため、分解の際に、残渣が飛散し、それによって、作業環境が悪化し、また、作業者の健康が害されてしまう、という恐れがあった。
【0005】
本発明は、バケットリフターの作動中や、洗浄するためにバケットリフターを分解する際に、粉粒物から生じた粉体が飛散・漏洩するのを防止できる、バケットリフターを、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粉粒物を、バケットで搬送して、1つ以上の容器へ供給する、バケットリフターにおいて、粉粒物をバケットに投入する、投入部と、投入された粉粒物を収容する、バケットと、バケットを昇降させる、昇降機構と、上昇した位置のバケットから排出された粉粒物を、容器へ供給する、供給管部と、粉粒物から生じた粉体を吸引するための吸引機構と、を備えており、投入部が、粉粒物を投入するための投入シュートを、密閉されたケース内に、有しており、バケットの、粉粒物を収容する内部空間が、密閉されており、吸引機構が、フィルタ部を介して吸引手段に通じた吸引管を有しており、吸引管が、投入部のケース内と、バケットの内部空間内と、供給管部の基端部内と、にそれぞれ連通している、ことを特徴とする。
【0007】
本発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(a)粉粒物の残渣を洗い流すための水洗機構を、更に、備えており、水洗機構が、投入部のケース内と、バケットの内部空間内と、供給管部の基端部内と、にそれぞれ連通している、給水管を、有している。
(b)前記構成(a)において、供給管部が、バケットから排出された粉粒物を、主供給管で受けて分配装置へ送り、分配装置で分配して複数の分岐供給管へ送り、各分岐供給管を通して各容器へ流入させるように、構成されており、各分岐供給管が、通水開閉バルブを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バケットリフターの作動中において、投入部のケース内やバケットから飛散した粉体、を吸引機構によって吸引除去することができる。したがって、バケットリフターの作動中に、粉粒物から生じた粉体がバケットリフターの周辺に飛散・漏洩するのを、防止できる。
【0009】
前記構成(a)によれば、投入部のケース内の残渣、バケットの内部空間内の残渣、及び供給管部の基端部内の残渣、を水によって洗い流すことができる。したがって、バケットリフターを分解する際に、粉粒物から生じた粉体が飛散・漏洩するのを防止できる。
【0010】
前記構成(b)によれば、分岐供給管の通水開閉バルブを閉じた状態で、主供給管の基端部に水を供給すると、通水開閉バルブより上方に位置する、分岐供給管、分配装置、及び主供給管に、水を貯めることができ、その後、通水開閉バルブを開くと、貯まった水を一気に排出できる。したがって、分岐供給管、分配装置、及び主供給管を、効果的に洗浄できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るバケットリフター1の全体斜視図である。このバケットリフター1は、種々の搬送工程や検査工程を経て来た粉粒物を、バケット3によってコンテナ(容器)8より上方の高さまで持ち上げた後に、コンテナ8へ供給するように、構成されている。具体的には、バケットリフター1は、粉粒物をバケット3に投入する投入部2と、投入された粉粒物を収容するバケット3と、バケット3を昇降させる昇降機構5(図5)と、上昇した位置のバケット3から排出された粉粒物を、コンテナ8へ供給する、供給管部4と、粉粒物から飛散した粉体を吸引するための吸引機構6と、粉粒物の残渣を洗い流すための水洗機構と、を備えている。供給管部4は、1本の主供給管41と、分配装置42と、複数の分岐供給管43と、を備えている。各分岐供給管43は、分配装置42から延びており、各コンテナ8へ繋がっている。なお、コンテナ8が1個の場合は、主供給管41が、そのままコンテナ8へ繋がっている。
【0012】
図2は、投入部2の側面透視図である。投入部2は、バケット3へ粉粒物を投入するための投入シュート21を、ケース22内に配置して、構成されている。ケース22は、密閉構造を有している。投入シュート21は、密閉されたケース22の中に位置している。ケース22の上面には、粉粒物入口部23が設けられている。蓋24は、粉粒物入口部23からケース22内への異物混入を防止するように設けられている。投入シュート21は、粉粒物入口部23の下方に配置されている。投入シュート21は、水平軸回りに回動可能であり、一定量の粉粒物を貯めると放出口211が下に位置するように回動して粉粒物を放出し、粉粒物の放出が終了すると放出口211が上に位置するように回動するように、設けられている。放出口211の下方には、中継シュート25が設けられている。中継シュート25は、下に位置した放出口211を受け止めて、放出される粉粒物をバケット3の投入口31(図4)へ導くように、設けられている。
【0013】
ケース22には、側方から、第1吸引管61が連通している。図3は、ケース22内に位置する第1吸引管61の先端部610を示している。先端部610は、上面に、メッシュ構造を有する開口部611を有している。開口部611のメッシュ寸法は、粉粒物自体は通さないが粉粒物から飛散した粉体を通す大きさに、設定されている。
【0014】
更に、ケース22には、上部及び下部から、それぞれ、第1給水管71が連通している。第1給水管71は、ケース22内において、先端に、回動式3方ノズル711を有している。また、ケース22の下部には、排水口(図示せず)が設けられている。
【0015】
図4は、バケット3の側面透視図である。バケット3は、粉粒物を収容するための密閉された内部空間30を、有している。内部空間30は、樹脂性の蓋32で塞がれており、密閉性が確保されている。バケット3の上部端部には、開閉可能な排出口33が、設けられている。また、バケット3は、排出口33が下向きになるまで、水平軸回りに回動可能に設けられている。排出口33は、下向きになると、開くように、設けられている。
【0016】
バケット3には、側方から、第2吸引管62が連通している。内部空間30内に位置する、第2吸引管62の先端部は、第1吸引管61の先端部610(図3)と同じ構造を有している。
【0017】
更に、バケット3には、上部から、第2給水管72が連通している。第2給水管72は、内部空間30内において、先端に、回動式3方ノズル721を有している。また、バケット3の底面には、排水口(図示せず)が設けられている。
【0018】
図5は、図1のV矢視概略図である。昇降機構5は、バケット3が昇降するケーシング11の、側室12内に、位置している。側室12内には、ロッドレスシリンダ51が設けられている。ロッドレスシリンダ51は、ピストン511を有している。ピストン511は、アーム512によってバケット3に接続されている。したがって、昇降機構5は、ピストン511の上方空間及び下方空間における空気圧を調整することによって、ピストン511を上下に移動させ、すなわち、バケット3をケーシング11内で上下に昇降させるようになっている。なお、昇降機構5としては、ロッドレスシリンダ51以外の機構、例えばチェーン機構等を採用してもよい。
【0019】
図6は、供給管部4の要部側面透視図である。供給管部4は、上昇した位置のバケット3の排出口33から排出された粉粒物を、主供給管41で受けて分配装置42へ送り、分配装置42で分配して複数の分岐供給管43へ送り、各分岐供給管43を通して各コンテナ8へ流入させるように、構成されている。分配装置42は、内部に分配機421を有している。分配機421は、入口が主供給管41に連通しており、垂直軸回りに任意の角度だけ回動して、出口が任意の分岐供給管43の入口に連通するように、構成されている。したがって、分配装置42は、主供給管41を流れてきた粉粒物を、分配機421の作動によって、各分岐供給管43へ分配できる。
【0020】
主供給管41の基端部411には、上方から、第3吸引管63が連通している。
【0021】
更に、主供給管41の基端部411には、上方から、第3給水管73が連通している。また、各分岐供給管43の途中には、通水開閉バルブ431が設けられている。また、分配装置42の上部には、供給管部4内に溜まった水の量を確認するための水面確認部422と、供給管部4内に水を溜める際の空気抜きを行うための空気抜きバルブ423と、が設けられている。
【0022】
吸引機構6は、前述した、第1吸引管61、第2吸引管62、及び第3吸引管63と、フィルタ部64と、吸引手段、例えば吸引ブロア(図示せず)と、を備えている。第2吸引管62は、可撓性を有している。第1吸引管61、第2吸引管62、及び、第3吸引管63は、フィルタ部64の手前で1本の吸引管としてまとめられ、フィルタ部64を介して、吸引手段に連通されている。フィルタ部64には、エアフィルタ641が取り付けられている。エアフィルタ641は、HEPAフィルタが好ましい。
【0023】
水洗機構は、前述した、第1給水管71、第2給水管72、及び、第3給水管73と、給水手段、例えば給水ポンプ(図示せず)と、を有している。第2給水管72は、可撓性を有している。
【0024】
前記構成のバケットリフター1は、次のように作動する。
【0025】
種々の検査工程を経て来た粉粒物は、投入部2の粉粒物入口部23からケース22内に流入する。流入した粉粒物は、投入シュート21に一定量貯められた後、投入シュート21の放出口211から中継シュート25を経て、バケット3に投入され、内部空間30に収容される。
【0026】
内部空間30に粉粒物を収容したバケット3は、昇降機構5によって、ケーシング11の最上部まで持ち上げられ、その位置で、排出口33が下向きになるように回動する。このとき、第2吸引管62及び第2給水管72は、可撓性を有しているので、バケット3の上昇作動及び回動作動に追従する。排出口33が下向きになると、バケット3に収容されていた粉粒物が、排出口33から主供給管41の基端部411へ排出される。
【0027】
主供給管41の基端部411へ排出された粉粒物は、主供給管41内を流れ、分配装置42で分配され、分岐供給管43内を流れて、コンテナ8へ流入する。
【0028】
こうして、粉粒物がバケットリフター1によってコンテナ8へ供給される。
【0029】
そして、前記構成のバケットリフター1においては、バケットリフター1の作動中に、吸引機構6が作動する。すなわち、吸引手段が作動することによって、投入部2のケース22内で粉粒物から飛散した粉体が、第1吸引管61を介して吸引され、また、バケット3の内部空間30内で粉粒物から飛散した粉体が、第2吸引管62を介して吸引され、また、主供給管41の基端部411内で粉粒物から飛散した粉体が、第3吸引管63を介して吸引され、吸引された粉体は、フィルタ部64のエアフィルタ641によって除去される。
【0030】
また、前記構成のバケットリフター1においては、コンテナ8への粉粒物供給作業が終了すると、水洗機構が作動する。すなわち、給水手段が作動することによって、投入部2のケース22内に付着している粉粒物の残渣が、第1給水管71からの水によって洗い流されて、排水口から排出され、また、バケット3の内部空間30内に付着している粉粒物の残渣が、第2給水管72からの水によって洗い流されて、排水口から排出され、また、主供給管41の基端部411内に付着している粉粒物の残渣が、第3給水管73からの水によって洗い流される。なお、このとき、ケース22内へは、回動する上下の3方ノズル711から水が噴出されるので、ケース22内が万遍なく洗浄され、また、バケット3の内部空間30内へは、回動する3方ノズル721から水が噴出されるので、内部空間30内が万遍なく洗浄される。
【0031】
また、第3給水管73から供給された水は、通水開閉バルブ431を閉めることによって、分岐供給管43、分配装置42、及び主供給管41の、中に、貯められ、貯められた水は、通水開閉バルブ431を開くことによって、一気に流される。これにより、分岐供給管43、分配装置42、及び主供給管41の、内側に付着していた残渣が、一気に洗い流される。
【0032】
水洗機構による水洗が終了すると、バケットリフター1は、分解され、改めて洗浄される。
【0033】
前記構成のバケットリフター1によれば、次のような効果を発揮できる。
【0034】
(1)バケットリフター1の作動中に、吸引機構6によって、投入部2のケース22内、バケット3の内部空間30内、及び主供給管41の基端部411内、で粉粒物から飛散した粉体を、吸引して、除去できる。したがって、バケットリフター1の作動中に、粉粒物から飛散した粉体がバケットリフター1の周辺に飛散・漏洩するのを、防止できる。
【0035】
(2)バケットリフター1の作動終了後に、水洗機構によって、投入部2のケース22内、バケット3の内部空間30内、及び主供給管41の基端部411内、に付着している粉粒物の残渣を、洗い流すことができる。したがって、洗浄するためにバケットリフター1を分解する際に、粉粒物から生じた粉体が飛散・漏洩するのを防止できる。
【0036】
(3)水洗機構による水洗の際に、通水開閉バルブ431を閉めることによって、分岐供給管43、分配装置42、及び主供給管41の、中に、水を貯めることができ、その後に、通水開閉バルブ431を開くことによって、貯めた水を一気に流すことができる。したがって、分岐供給管43、分配装置42、及び主供給管41の、内側に付着していた残渣を、効果的に洗い流すことができる。
【0037】
なお、上記実施形態のバケットリフター1では、昇降機構5は、バケット3を鉛直方向に上下移動させているが、本発明では、昇降機構5は、バケット3を斜め方向に上下移動させるように構成しても良い。更に、本発明では、昇降機構5は、バケット3を水平方向に移動させるように構成しても良い。
【0038】
また、粉粒物には、粉体や粒体の形態として扱われる物質であれば全ての物質が含まれ、例えば、医薬品、食品、化粧品等が含まれる。また、粉体や粒体の形態には、錠剤やカプセル等の形態も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のバケットリフターは、バケットリフターの作動中や、洗浄するためにバケットリフターを分解する際に、粉粒物から生じた粉体が飛散・漏洩するのを防止できるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のバケットリフターの全体斜視図である。
【図2】投入部の側面透視図である。
【図3】ケース内に位置する第1吸引管の先端部を示す斜視図である。
【図4】バケットの側面透視図である。
【図5】図1のV矢視図である。
【図6】供給管部の要部側面透視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 バケットリフター 2 投入部 21 投入シュート 22 ケース 3 バケット 30 内部空間 4 供給管部 41 主供給管 411 基端部 42 分配装置 43 分岐供給管 431 通水開閉バルブ 5 昇降機構 6 吸引機構 61 第1吸引管 62 第2吸引管 63 第3吸引管 64 フィルタ部 71 第1給水管 72 第2給水管 73 第3給水管 8 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒物を、バケットで搬送して、1つ以上の容器へ供給する、バケットリフターにおいて、
粉粒物をバケットに投入する、投入部と、
投入された粉粒物を収容する、バケットと、
バケットを昇降させる、昇降機構と、
上昇した位置のバケットから排出された粉粒物を、容器へ供給する、供給管部と、
粉粒物から生じた粉体を吸引するための吸引機構と、を備えており、
投入部が、粉粒物を投入するための投入シュートを、密閉されたケース内に、有しており、
バケットの、粉粒物を収容する内部空間が、密閉されており、
吸引機構が、フィルタ部を介して吸引手段に通じた吸引管を有しており、吸引管が、投入部のケース内と、バケットの内部空間内と、供給管部の基端部内と、にそれぞれ連通している、ことを特徴とするバケットリフター。
【請求項2】
粉粒物の残渣を洗い流すための水洗機構を、更に、備えており、
水洗機構が、投入部のケース内と、バケットの内部空間内と、供給管部の基端部内と、にそれぞれ連通している、給水管を、有している、請求項1記載のバケットリフター。
【請求項3】
供給管部が、バケットから排出された粉粒物を、主供給管で受けて分配装置へ送り、分配装置で分配して複数の分岐供給管へ送り、各分岐供給管を通して各容器へ流入させるように、構成されており、各分岐供給管が、通水開閉バルブを有している、請求項2記載のバケットリフター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−298580(P2009−298580A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157943(P2008−157943)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】