説明

バケットローダ

【課題】バケットの落下を安価に、かつ確実に防止することができるバケットローダを提供する。
【解決手段】有底部の両側部の前後位置に回転自在に配置される車輪を有するバケットと、上端部に該バケットを反転させる反転部を有するとともに、該バケットの車輪を回転自在にガイドする一対のレールフレームからなるメインフレーム体と、該メインフレーム体に対向し、かつ該メインフレーム体に沿って昇降するバケット側の位置に併設される一対の補強フレームからなるフレーム体と、前記メインフレーム体の両側部の上下部にそれぞれ配置される一対のチェインホイール、該一対のチェインホイールに巻き回される一対のコンベヤチェインおよび該チェインホイールとコンベヤチェインを駆動させるブレーキ付減速モータを具備し、前記バケットを昇降する昇降機構と、前記バケットの位置を検出する位置検出手段と、該バケットの昇降動作を制御する制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバケットローダに関する。さらに詳しくは、バケットの落下を防止するバケットローダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤまたはチェインをホイストまたは電動チェインブロックにて巻き上げまたは巻き戻しすることにより、バケットを昇降するバケットローダがある。たとえば図4〜5に示されるように、ワイヤホイスト101を用いたバケットローダ102は、ワイヤ103を巻き上げまたは巻き戻しすることにより、バケット104をメインフレーム105a、105bからなるメインフレーム体105に沿って昇降させている。このワイヤ103が1本掛けの場合、ワイヤ103の損耗による切断が発生し、バケット104の落下は避けられない。そこで、バケット104の落下防止のために、前記ワイヤ103を2本掛けにする場合もあるが、バケット104の上昇端の反転部に取り付けられる位置検出器106の不良による過剰な巻き上げが発生したり、バケット104の下降端の位置検出器107の不良による乱れ巻きが発生した場合、バケット104の落下が全く発生しないと言い切れない。このため、通常、このように落下のおそれがあるバケットローダ102の周囲には安全柵108を設け、バケット104の昇降中にはバケット104の下部に人が立ち入らないよう、対策を施している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、バケットの落下を防止するバケットローダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のバケットローダは、有底部の両側部の前後位置に回転自在に配置される車輪を有するバケットと、上端部に該バケットを反転させる反転部を有するとともに、該バケットの車輪を回転自在にガイドする一対のレールフレームからなるメインフレーム体と、該メインフレーム体に対向し、かつ該メインフレーム体に沿って昇降するバケット側の位置に併設される一対の補強フレームからなるフレーム体と、前記メインフレーム体の両側部の上下部にそれぞれ配置される一対のチェインホイール、該一対のチェインホイールに巻き回される一対のコンベヤチェインおよび該チェインホイールとコンベヤチェインを駆動させるブレーキ付減速モータを具備し、前記バケットを昇降する昇降機構と、前記バケットの位置を検出する位置検出手段と、前記バケットの昇降動作を制御する制御手段とを備えてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、一対のコンベヤチェインのうち片側のコンベヤチェインが切断しても即座にバケットの落下にはつながらないため、バケットの落下を安価に、かつ確実に防止することができる。
また、減速モータのブレーキが損耗した場合、上昇端または下降端でバケットがずり落ちる挙動を示すが、上昇端、下降端の検出手段の位置から外れるため、ブレーキの損耗を初期に発見できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付図面に基づいて本発明のバケットローダを説明する。図1〜3に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるバケットローダ1は、バケット2と、該バケット2の車輪3を回転自在にガイドする一対のレールフレーム4からなるメインフレーム体F1と、該メインフレーム体F1に対向し、かつ該メインフレーム体F1に沿って昇降するバケット2側の位置に所定の間隔を保って併設される一対の補強フレーム5からなるフレーム体F2と、前記バケット2を昇降する昇降機構Aと、前記バケット2の位置を検出する位置検出手段Bと、前記バケット2の昇降動作を制御する制御手段Cとを備えている。なお、本実施の形態では、前記メインフレーム体F1の上部にて前記バケット2を反転させるため、前記昇降機構Aの後述するコンベヤチェイン12と該バケット2との結合部にリンク機構Dが用いられている。前記バケット2は、有底形状の容器であり、有底部2aの両側部に挿通して支持される車軸3aに回転自在に軸支される前記車輪3を前後位置に配置している。また、このバケットローダ1の上流(図1の右側の下部)には、投入側ホッパ6およびシュート7が配置されているとともに、下流(図1の左側の上部)には、排出側ホッパ8が配置されている。
【0007】
前記一対のレールフレーム4は、それぞれ断面がコの字状を呈する溝型鋼などであり、たとえば溝型鋼である場合、該溝型鋼の溝に前記車輪3を回転自在に嵌め込んで前記バケット2が昇降できるように下端部側が所定の形状に屈曲されているとともに、上端部に該バケット2を反転させるための反転部9を有している。この一対のレールフレーム4は、所定の間隔を保って立設されており、前記バケット2の姿勢制御および反転を行うためのガイドレールである。前記反転部9は、一対のレールフレーム4のうち、一方のレールフレーム4の最上端部を閉塞させて湾曲に成形した前輪用レール9aと、分岐点から傾動軌跡上に湾曲に形成した後輪用レール9bとからなり、前記バケット2がレールフレーム4の上昇端まで上昇すると、前車輪3が該前輪用レール9aの閉塞部を支点として後車輪3を後輪用レール9bに通過させてバケット2を反転させるようにしている。
【0008】
前記昇降機構Aは、前記メインフレーム体F1の両側部の上下部にそれぞれ配置される一対のチェインホイール11a、11bと、該一対のチェインホイール11a、11bにかみ合うように環状に巻き付けられた一対のコンベヤチェイン12と、該チェインホイール11a、11bおよびコンベヤチェイン12を駆動させるブレーキ付減速モータ13とを具備している。図1における符号14は駆動制御線である。前記上部のチェインホイール11aは、前記メインフレーム体F1の上部における、該メインフレーム体F1と前記フレーム体F2とを四角に連結する連結フレーム15に渡って取り付けられるベース板16上に配置される一対の軸受17に回転自在に軸支される車軸18の両端に固着されている。そして、前記減速モータ13が該車軸18の一端にカップリング19を介して連結されている。また、前記下部のチェインホイール11bは前記メインフレーム体F1の両側部に固定された取付け部材20に設けられる軸受部21に回転自在に軸支される車軸22の両端に固着されている。本実施の形態では、前記減速モータ13を駆動させてチェインホイール11a、11bを正回転または逆回転することにより、コンベヤチェイン12に連結されるバケット2を昇降させる。そして、この軸受部21には、コンベヤチェイン12の伸びによるたわみを防止するため、前記チェインホイール11bの車軸22を常時下方に付勢するようにテンショナ23を設けるのが好ましい。さらに、このバケット2の昇降中に前記コンベヤチェイン12がふらつかないように、たとえば前記連結フレーム15の下部とメインフレーム4の下部とに振れ止め装置24を設けるのが好ましい。なお、本実施の形態では、前記減速モータ13は前記メインフレーム体F1の上部に配置されているが、前記メインフレーム体F1の下部に配置することもできる。
【0009】
前記位置検出手段Bは、前記バケット2の上昇途中の反転部9に設けられる該バケット2の上昇速度の減速制御用位置検出器31と、上昇端の反転部9に設けられる該バケット2の停止制御用位置検出器32と、該バケット2の下降途中のレールフレーム4に設けられる該バケット2の下降速度の減速制御用位置検出器33と、下降端のレールフレーム4に設けられる該バケット2の停止制御用位置検出器34とから構成されている。また、これらの検出器31、32、33、34からの検出信号に基づいて、たとえばインバータ(図示せず)などの速度制御手段により前記減速モータ13の回転速度を制御する。これにより、バケット2の上昇端および下降端での通常停止時、および非常停止時などの昇降途中での異常停止時には、減速モータ13に内臓されるブレーキを効かせ、バケット2の昇降速度を制御することができる。前記検出器31、32、33、34としては、近接スイッチまたはリミットスイッチなど用いることができる。なお、本実施の形態では、メインフレームF1のレールフレーム4に設けられる位置検出手段Bによりバケット2の位置を検出しているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえば減速モータ13の駆動軸の回転角度(回転位置)からバケット2の位置を検出することができるため、減速モータ13に内蔵(直結)されているエンコーダ13aを位置検出手段として用いることもできる。
【0010】
前記リンク機構Dは、図2の紙面左右のコンベヤチェイン12の1箇所に用いたアタッチメント付チェイン12a間に取り付けられる連結具41と、該連結具41の平行軸41aに一端を連結し、他端を前記バケット2の側部に回転自在に連結した一対のリンク42とから構成されている。このリンク機構Dにより、前記メインフレーム体F1でガイドされ、反転を制御されるバケット2の作動を自由にしている。
【0011】
本実施の形態では、昇降機構として、メインフレーム対F1の両側部の上下部に配置した一対のチェインホイール11a、11b、一対のコンベヤチェイン12およびブレーキ付減速モータ13を用いることにより、両側部の一対のコンベヤチェイン12のうち片側のコンベヤチェイン12が切断しても即座にバケット2の落下にはつながらないため、バケット2の落下を安価に、かつ確実に防止することができる。また、減速モータ13のブレーキが損耗した場合、上昇端または下降端でバケット2がずり落ちる挙動を示すが、上昇端、下降端の検出手段Bの位置から外れるため、ブレーキの損耗を初期に発見できる。
【0012】
また、本実施の形態における制御手段は、安全対策として、前記バケット2の昇降および下降に要する経過時間より若干長い時間を設定時間として記憶するメモリと、該バケット2の昇降および下降に要する経過時間を計測するタイマーと、該経過時間と前記設定時間と比較する比較回路と、該比較回路により比較された結果、経過時間が設定時間に達している場合、該バケット2の位置信号を前記位置検出手段Bにおける検出器32または検出器34により検出しているか否を確認する検出確認回路と、該検出確認回路の結果、該経過時間が設定時間を経過したにもかかわらず、該バケット2が上昇端位置または下降端位置に達していない場合、前記減速モータ13の駆動を停止、かつブレーキを効かせる停止指令回路とを含んでいる。このとき、前記停止指令回路により、前記減速モータ13の駆動を停止、かつブレーキを効かせる指令が発せられると、作業者に異常を知らせるために、異常を表示または発する警報装置(図示せず)を具備するのが好ましい。
【0013】
また、本実施の形態では、さらに前記バケット2の落下を配慮して、メインフレーム体F1の下端に、ゴムクッションストップ部材51を設けるとともに、前記バケットローダ1の周囲を安全柵52で囲んで万全の安全対策をしている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわるバケットローダの正面図である。
【図2】図1に示した本実施の形態にかかわるバケットローダの右側面図である。
【図3】図1において、バケットが途中まで昇降した状態を上方から見た要部断面図である。
【図4】従来のホイストを用いたバケットローダの正面図である。
【図5】図4に示した従来のバケットローダの側面図である。
【符号の説明】
【0015】
A 昇降機構
B 位置検出手段
C 制御手段
D リンク機構
F1 メインフレーム体
F2 フレーム体
1 バケットローダ
2 バケット
2a 有底部
3 車輪
3a 車軸
4 レールフレーム
5 補強フレーム
6 投入側ホッパ
7 シュート
8 排出側ホッパ
9 反転部
9a 前輪用レール
9b 後輪用レール
11a、11b チェインホイール
12 コンベヤチェイン
12a アタッチメント付チェイン
13 ブレーキ付減速モータ
13a エンコーダ
14 駆動制御線
15 連結フレーム
16 ベース板
17 軸受
18 車軸
19 カップリング
20 取付け部材
21 軸受部
22 車軸
23 テンショナ
24 振れ止め装置
31 上昇速度の減速制御用位置検出器
32 上昇端の停止制御用位置検出器
33 下降速度の減速制御用位置検出器
34 下降端の停止制御用位置検出器
41 連結具
41a 平行軸
42 リンク
51 ゴムクッションストップ部材
52 安全柵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底部の両側部の前後位置に回転自在に配置される車輪を有するバケットと、
上端部に該バケットを反転させる反転部を有するとともに、該バケットの車輪を回転自在にガイドする一対のレールフレームからなるメインフレーム体と、
該メインフレーム体に対向し、かつ該メインフレーム体に沿って昇降するバケット側の位置に併設される一対の補強フレームからなるフレーム体と、
前記メインフレーム体の両側部の上下部にそれぞれ配置される一対のチェインホイール、該一対のチェインホイールに巻き回される一対のコンベヤチェインおよび該チェインホイールとコンベヤチェインを駆動させるブレーキ付減速モータを具備し、前記バケットを昇降する昇降機構と、
前記バケットの位置を検出する位置検出手段と、
前記バケットの昇降動作を制御する制御手段
とを備えてなるバケットローダ。
【請求項2】
前記ブレーキ付減速モータが前記メインフレーム体の上部に配置されている請求項1記載のバケットローダ。
【請求項3】
前記バケットを反転させるため、前記コンベヤチェインと該バケットとの結合部にリンク機構が用いられている請求項1または2記載のバケットローダ。
【請求項4】
前記位置検出手段が前記レールフレームに設けられている請求項1、2または3記載のバケットローダ。
【請求項5】
前記位置検出手段が前記ブレーキ付減速モータに内蔵されている請求項1、2または3記載のバケットローダ。
【請求項6】
前記バケットの昇降速度を昇降速度制御手段により制御する請求項1、2、3、4または5記載のバケットローダ。
【請求項7】
前記制御手段が、前記バケットの昇降および下降に要する経過時間より若干長い時間を設定時間として記憶するメモリと、該バケットの昇降および下降に要する経過時間を計測するタイマーと、該経過時間と前記設定時間と比較する比較回路と、該比較回路により比較された結果、経過時間が設定時間に達している場合、該バケットの位置信号を検出しているか否を確認する検出確認回路と、該検出確認回路の結果、該経過時間が設定時間を経過したにもかかわらず、該バケットが上昇端位置または下降端位置に達していない場合、前記減速モータの駆動を停止、かつブレーキを効かせる停止指令回路とを含んでいる請求項1、2、3、4、5または6記載のバケットローダ。
【請求項8】
前記停止指令回路により、前記減速モータの駆動を停止、かつブレーキを効かせるとともに、異常を知らせる警報装置を具備する請求項7記載のバケットローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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