説明

バックライトおよび屋外表示装置

【課題】消費電力を抑えつつ高輝度化を図ることが可能となる屋外表示装置用のバックライトを提供する。
【解決手段】導光板と、前記導光板の少なくとも一つの側面に対向して配される光源とを備えた屋外表示装置用のバックライトであって、前記導光板は、前記光源と対向する側面を有し前記導光板に入射された光を前面側に取出す光取出し部と、前記光取出し部から前記光源が配されない全ての方向に拡大されて設けられる外光取入れ部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外表示装置用のバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の広告媒体は、新聞、ラジオ、雑誌、テレビなどが主要であり、中には自動販売機用商品広告表示装置のようなものもあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし近年、広告媒体として、屋外や店頭などに設置される映像表示装置であるいわゆるデジタルサイネージが普及しつつある。デジタルサイネージの市場においては、プロジェクタ、PDP(Plasma Display Panel)、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置があり、その中でも大型のLCDの市場における伸長には著しいものがある。そのLCDは、用途に応じて屋内設置または屋外設置される。
【0004】
特に屋外設置については、ビルボード(ビルの上に設置された大型看板)、交通広告(電車広告、バス広告、駅広告等)、ストリートファーニチャなどの市場が全世界で拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−187770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、LCDには液晶パネルを背面から照明するバックライトが用いられる。LCDの市場動向として、CCFL(冷陰極管)を液晶パネルの背面に配置させるいわゆる直下型の表示装置から、LED(Light Emitting Diode)を導光板の側面に配置させるいわゆるLEDエッジライト方式の表示装置へ切替ってきている。LEDエッジライト方式では、表示装置の厚みを薄くでき、重量も軽減できる。さらに、消費電力、高輝度化のためにも有利となる。
【0007】
上記のような屋外設置をするLCDでは、屋外での視認性を高めるために輝度を上昇させることが重要である。上記のようなLEDエッジライト方式のLCDにおいて輝度を上昇させるには、LEDの数量を増やすことが考えられる。しかし、消費電力上昇、高温化、コスト上昇といった問題点がある。
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、消費電力を抑えつつ高輝度化を図ることが可能となる屋外表示装置用のバックライトおよびこれを備えた屋外表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のバックライトは、導光板と、前記導光板の少なくとも一つの側面に対向して配される光源とを備えた屋外表示装置用のバックライトであって、
前記導光板は、前記光源と対向する側面を有し前記導光板に入射された光を前面側に取出す光取出し部と、前記光取出し部から前記光源が配されない全ての方向に拡大されて設けられる外光取入れ部と、を有する構成とする。
【0010】
このような構成によれば、光源からの光だけでなく外光を導光板に取り込んで前面側に取出すことができるので、輝度を高めることができる。また、高輝度化のために光源の消費電力を上昇させることもない。
【0011】
また、上記構成において、前記外光取入れ部の表面を覆うように配される透明な保護部材を備える構成としてもよい。
【0012】
このような構成によれば、導光板を屋外の環境から保護すると共に、保護部材を介して外光を効率良く外光取入れ部に導くことができる。
【0013】
また、上記いずれかの構成において、前記外光取入れ部の背面を覆うように配される反射部を備える構成としてもよい。
【0014】
このような構成によれば、外光取入れ部の背面から取出された光を反射部により反射して再び導光板に戻すことが可能となり、光の利用効率を高めることができる。
【0015】
また、上記いずれかの構成において、前記光源は、前記導光板の上下側面または左右側面に対向して配され、前記外光取入れ部は、前記光取出し部から左右方向または上下方向に拡大されて設けられる構成としてもよい。
【0016】
また、上記いずれかの構成において、前記光源は、前記導光板の上下左右側面のうち一つの側面のみに対向して配され、前記外光取入れ部は、前記光取出し部から前記光源が配されない三方向に拡大されて設けられる構成としてもよい。
【0017】
また、本発明の屋外表示装置は、上記いずれかの構成のバックライトと、前記バックライトから取出される光により背面を照明される表示部と、を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、消費電力を抑えつつ高輝度化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバックライトの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るバックライトにおいて導光板の前面側から視た部分を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るバックライトの分解斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るバックライトにおいて導光板の前面側から視た部分を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るバックライトの分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るバックライトにおいて導光板の前面側から視た部分を示す図である。
【図7】従来のバックライトの一例を示す分解斜視図である。
【図8】従来のバックライトの別の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。本発明の実施形態に係るバックライトは、屋外設置用のLCDに備えられるものである。
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する前に、従来のバックライトの一例を図7を用いて説明する。
【0022】
図7に示す従来のバックライトは、ケース1と、LED光源2と、反射板3と、導光板4と、拡散板5と、レンズシート6と、拡散シート7とを備えている。ケース1の上下内側側面にそれぞれLED光源2が配され、ケース1の底面には反射板3が設けられる。LED光源2は、短冊状に延在する基板と、基板の長手方向に複数並んで配置されたLEDとを有する。導光板4はケース1に収まるように反射板3の前面に設けられ、導光板4の上下側面にLED光源2が有するLEDが対向する。導光板4の前面に拡散板5が配され、拡散板5の前面にレンズシート6が配され、レンズシート6の前面に拡散シート7が配される。レンズシート6は、微小なプリズムが多数配置された構成としている。
【0023】
LED光源2が有するLEDから導光板4の上下側面に入射された光は、導光板4内で全反射し、導光板4の背面に設けられたドットパターンで反射し、前面側からほぼ均一な面光源として取出される。導光板4の背面側から取出された光は、反射板3で反射されて導光板4に再び入射され、導光板4の前面側から取出される。
【0024】
導光板4の前面側から取出された光は、拡散板5を通過することにより拡散され、レンズシート6を通過することにより輝度を高められ、最後に拡散シート7を通過することにより再度拡散され、液晶パネル(不図示)に入射される。これにより、液晶パネルを均一かつ高輝度に照明することができる。
【0025】
このような図7に示す従来のバックライトを改善させた本発明の第1実施形態に係るバックライトの分解斜視図を図1に示す。また、本発明の第1実施形態に係るバックライトにおいて導光板9の前面側から視た部分の図を図2に示す(なお、図2においてLED光源2は便宜上矩形状に略して図示する)。
【0026】
図1に示すバックライトは、図7に示したものと同様であるLED光源2、拡散板5、レンズシート6、拡散シート7の他に、ケース8と、導光板9と、保護部材10と、反射板11とをさらに備えている。
【0027】
導光板9は、導光板9に入射された光を前面側に取出す光取出し部9aと、光取出し部9aからLED光源2が配置されない方向である左右方向にそれぞれ拡大された外光取入れ部9bとを有している。そして、ケース8の上下内側側面にはLED光源2が配され、ケース8の底面には反射板11が配される。導光板9全体はケース8内に収容され、収容された状態で光取出し部9aの上下側面にLED光源2が有するLEDが対向する。また、光取出し部9aおよび各外光取入れ部9bの背面を覆うように反射板11が配される。そして、光取出し部9aの前面に拡散板5が配される。
【0028】
また、上面視略L字状で上下方向に延在する透明な保護部材10が、左右の外光取入れ部9bの前面と側面とを覆うように設けられる。保護部材10は、例えばアクリル製であり、外光を外光取入れ部9bに効率良く導くと共に、導光板9を屋外の環境から保護する機能を有する。なお、外光取入れ部9bの前面を覆う透明の板部材と側面を覆う透明の板部材とを別の部材としても構わない。
【0029】
LED光源2から光取出し部9aの上下側面に入射された光は、光取出し部9a内を全反射し、光取出し部9aの背面に設けられたドットパターンに反射すると光取出し部9aの前面側から取出される。また、光取出し部9aの背面側から取出された光は、反射板11で反射されて光取出し部9aに再び入射され、光取出し部9aの前面側から取出される。
【0030】
さらに、外光が保護部材10を介して外光取入れ部9b内に取入れられ、取入れられた外光は、光取出し部9aに導かれてドットパターンに反射すると光取出し部9aの前面側から取出される。また、外光取入れ部9bに取入れられて外光取入れ部9bの背面側から取出された外光は、反射板11で反射されて導光板9に再び入射され、光取出し部9aの前面側から取出される。
【0031】
光取出し部9aの前面側から取出された光は、拡散板5、レンズシート6、拡散シート7を順に通過した後、液晶パネル(不図示)を背面から照明することとなる。
【0032】
このように、屋外に設置されるLCDにおいて、LED光源2からの光だけでなく屋外の外光を利用して液晶パネルを照明することで輝度を高めることが可能となる。また、高輝度化に外光を利用するのでLEDの数量を増やす必要がなく、消費電力を抑えることもできる。特に、北半球の場合、LCDを南向きに設置すると、低輝度であると日光により表示が見難くなるが、本発明では外光を多く取り込めるので輝度を高めて視認性を向上させることができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るバックライトについて説明する。従来のバックライトの一例を図8に示すが、この従来のバックライトでは、ケース1の上下ではなく、左右内側側面にLED光源2を配したLEDエッジライト方式の構成としている。本発明の第2実施形態に係るバックライトは、図8に示す従来のバックライトを改善したものとなる。
【0034】
本発明の第2実施形態に係るバックライトの分解斜視図を図3に示す。また、本発明の第2実施形態に係るバックライトにおいて導光板12の前面側から視た部分の図を図4に示す(なお、図4においてLED光源2は便宜上矩形状に略して図示する)。
【0035】
図3に示すバックライトは、図8に示したものと同様であるLED光源2、拡散板5、レンズシート6、拡散シート7の他に、ケース11と、導光板12と、保護部材13と、反射板14とをさらに備えている。
【0036】
導光板12は、導光板12に入射された光を前面側に取出す光取出し部12aと、光取出し部12aからLED光源2が配置されない方向である上下方向にそれぞれ拡大された外光取入れ部12bとを有している。そして、ケース11の左右内側側面にはLED光源2が配され、ケース11の底面には反射板14が配される。導光板12全体はケース11内に収容され、収容された状態で光取出し部12aの左右側面にLED光源2が有するLEDが対向する。また、光取出し部12aおよび各外光取入れ部12bの背面を覆うように反射板14が配される。そして、光取出し部12aの前面に拡散板5が配される。
【0037】
また、側面視略L字状で左右方向に延在する透明な保護部材13が、上側の外光取入れ部12bの前面と上面とを覆い、下側の外光取入れ部12bの前面と下面とを覆うように設けられる。保護部材13は、例えばアクリル製であり、外光を外光取入れ部12bに効率良く導くと共に、導光板12を屋外の環境から保護する機能を有する。なお、外光取入れ部12bの前面を覆う透明の板部材と上面または下面を覆う透明の板部材とを別の部材としても構わない。
【0038】
LED光源2から光取出し部12aの左右側面に入射された光は、光取出し部12a内を全反射し、光取出し部12aの背面に設けられたドットパターンに反射すると光取出し部12aの前面側から取出される。また、光取出し部12aの背面側から取出された光は、反射板14で反射されて光取出し部12aに再び入射され、光取出し部12aの前面側から取出される。
【0039】
さらに、外光が保護部材13を介して外光取入れ部12b内に取入れられ、取入れられた外光は、光取出し部12aに導かれてドットパターンに反射すると光取出し部12aの前面側から取出される。また、外光取入れ部12bに取入れられて外光取入れ部12bの背面側から取出された外光は、反射板14で反射されて導光板12に再び入射され、光取出し部12aの前面側から取出される。
【0040】
光取出し部12aの前面側から取出された光は、拡散板5、レンズシート6、拡散シート7を順に通過した後、液晶パネル(不図示)を背面から照明することとなる。
【0041】
このような第2実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0042】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るバックライトの分解斜視図を図5に示す。また、本発明の第3実施形態に係るバックライトにおいて導光板16の前面側から視た部分の図を図6に示す(なお、図6においてLED光源2は便宜上矩形状に略して図示する)。図5に示すバックライトは、LED光源2、拡散板5、レンズシート6、拡散シート7の他に、ケース15と、導光板16と、保護部材17と、保護部材18と、反射板19とを備えている。
【0043】
導光板16は、導光板16に入射された光を前面側に取出す光取出し部16aと、光取出し部16aからLED光源2が配置されない方向である左右方向にそれぞれ拡大された外光取入れ部16bと、LED光源2が配置されない方向である上方向に拡大された外光取入れ部16cと、を有している。そして、ケース15の内側下側面にはLED光源2が配され、ケース15の底面には反射板19が配される。導光板16全体はケース15内に収容され、収容された状態で光取出し部16aの下側面にLED光源2が有するLEDが対向する。また、光取出し部16aおよび各外光取入れ部16b、16cの背面を覆うように反射板19が配される。そして、光取出し部16aの前面に拡散板5が配される。
【0044】
また、上面視略L字状で上下方向に延在する透明な保護部材17が、左右の外光取入れ部16bの前面と側面とを覆うように設けられる。また、側面視略L字状で左右方向に延在する透明な保護部材18が、外光取入れ部16cの前面と上面とを覆うように設けられる。保護部材17、18は、例えばアクリル製であり、外光を外光取入れ部16b、16cに効率良く導くと共に、導光板16を屋外の環境から保護する機能を有する。なお、外光取入れ部16bの前面を覆う透明の板部材と側面を覆う透明の板部材とを別の部材としてもよいし、外光取入れ部16cの前面を覆う透明の板部材と上面を覆う透明の板部材とを別の部材としてもよい。
【0045】
LED光源2から光取出し部16aの下側面に入射された光は、光取出し部16a内を全反射し、光取出し部16aの背面に設けられたドットパターンに反射すると光取出し部16aの前面側から取出される。また、光取出し部16aの背面側から取出された光は、反射板19で反射されて光取出し部16aに再び入射され、光取出し部16aの前面側から取出される。
【0046】
さらに、外光が保護部材17、18を介して外光取入れ部16b、16c内に取入れられ、取入れられた外光は、光取出し部16aに導かれてドットパターンに反射すると光取出し部16aの前面側から取出される。また、外光取入れ部16b、16cに取入れられて外光取入れ部16b、16cの背面側から取出された外光は、反射板19で反射されて導光板16に再び入射され、光取出し部16aの前面側から取出される。
【0047】
光取出し部16aの前面側から取出された光は、拡散板5、レンズシート6、拡散シート7を順に通過した後、液晶パネル(不図示)を背面から照明することとなる。
【0048】
このような第3実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態の一例について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変形可能である。
【0050】
例えば、第3実施形態の変形例として、LED光源2が導光板の上側面のみか、左側面のみか、右側面のみかに対向して配され、外光取入れ部が光取出し部からLED光源2が配されない三方向に拡大されて設けられる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ケース
2 LED光源
3 反射板
4 導光板
5 拡散板
6 レンズシート
7 拡散シート
8 ケース
9 導光板
9a 光取出し部
9b 外光取入れ部
10 保護部材
11 反射板
12 導光板
12a 光取出し部
12b 外光取入れ部
13 保護部材
14 反射板
15 ケース
16 導光板
16a 光取出し部
16b 外光取入れ部
16c 外光取入れ部
17 保護部材
18 保護部材
19 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、前記導光板の少なくとも一つの側面に対向して配される光源とを備えた屋外表示装置用のバックライトであって、
前記導光板は、前記光源と対向する側面を有し前記導光板に入射された光を前面側に取出す光取出し部と、前記光取出し部から前記光源が配されない全ての方向に拡大されて設けられる外光取入れ部と、を有することを特徴とするバックライト。
【請求項2】
前記外光取入れ部の表面を覆うように配される透明な保護部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のバックライト。
【請求項3】
前記外光取入れ部の背面を覆うように配される反射部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバックライト。
【請求項4】
前記光源は、前記導光板の上下側面または左右側面に対向して配され、前記外光取入れ部は、前記光取出し部から左右方向または上下方向に拡大されて設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバックライト。
【請求項5】
前記光源は、前記導光板の上下左右側面のうち一つの側面のみに対向して配され、前記外光取入れ部は、前記光取出し部から前記光源が配されない三方向に拡大されて設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバックライト。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のバックライトと、前記バックライトから取出される光により背面を照明される表示部と、を備えたことを特徴とする屋外表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−190638(P2012−190638A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52539(P2011−52539)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】