バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート及びその製造方法
【課題】 フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供することにある。
【解決手段】 積層構造を有し、表面層が黒色のシリコーンゴムにより形成されてなり、バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュール表面に前記表面層を当接させることによりこの当接された表面層にバックライトの光が吸収されるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートであって、前記表面層が発泡していることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供する。
【解決手段】 積層構造を有し、表面層が黒色のシリコーンゴムにより形成されてなり、バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュール表面に前記表面層を当接させることによりこの当接された表面層にバックライトの光が吸収されるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートであって、前記表面層が発泡していることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、液晶ディスプレイパネルは、表示素子として広く用いられている。
この液晶ディスプレイパネルの液晶モジュールにおいては、図１に示すように液晶１１を挟持する電極板１２などの複数のガラス板や、配向フィルム１５、偏光板１６などの機能性樹脂フィルム材などによる積層体が形成されており、通常、面中央部が液晶表示領域となるよう形成され、周縁の液晶表示領域外にて金属などからなるフレーム材１３により前記積層体が前面側と背面側とから挟持され一体化されている。
このとき、液晶モジュール１に用いられるガラス板１２が衝撃で割れたりすることを抑制し得るように、この前面側と背面側とのいずれか一方のフレーム材１３と積層体との間には、シリコーンゴムが用いられたシート１４が配されている（特許文献１）。
【０００３】
ところで、このような液晶モジュールが用いられた液晶パネルディスプレイには、外光を液晶モジュールの背面側の反射板で反射させ表示を行う反射式と呼ばれるものや、液晶モジュールの背面側に光源が備えられ液晶表示部をこの光源からの光を透過させ表示を行うバックライト式と呼ばれるものが知られている。このバックライト式液晶パネルディスプレイは、明るく、表示が見やすいことから広く用いられている。このバックライト式液晶パネルディスプレイのバックライト２には、例えば、液晶モジュール１の幅と略同長の冷陰極管２１、液晶モジュール１と略同一面積の導光板２２、光拡散板２３などが用いられる側光式と呼ばれるものなどが知られている。そして、この導光板２２は側端面から光を導入して一方の表面全体から発光させるよう形成されており、上記の側光式液晶パネルディスプレイでは、冷陰極管２１が液晶モジュール１の背面側の側方位置に配され、冷陰極管２１から発生する光を導光板２２で液晶モジュール１の背面全体で発光させている。このとき、液晶表示領域内で輝度にムラがあると液晶パネルディスプレイの表示が見難くなるため、導光板２２と液晶モジュールとの間に光拡散板２３が用いられ、導光板２２から発せられる光を拡散させて輝度にムラが生じることを抑制させている。
【０００４】
ところで、ガラスやゴム、プラスチックなどの樹脂材料は、空気とは屈折率が大きく異なり、これら屈折率が異なるものの界面では、その屈折率の差に応じて光が屈折することが知られている。例えば、ガラス／空気界面を斜めに透過する光線がこの界面となす角度は、空気中に比べてガラス中の方が大きな角度となる。そのため、ガラス中をガラス／空気界面に向かって進んできた光線については、ある程度以上に浅い角度となると空気側に透過することができずに全反射される。バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュールにおいては、特に、周縁部では光拡散板からの拡散光が浅い角度で入射され易くフレアと呼ばれる光の迷走が生じることが知られており、このフレアが生じると液晶表示領域内で輝度にムラが生じるおそれがあることから、特許文献２には、液晶モジュールの液晶表示領域外（周縁部）に黒色テープなどの黒色部材を当接させて光を吸収させることが記載されている。すなわち、液晶モジュールの前面側や背面側の表面のガラス材や樹脂材に樹脂材料を当接させて屈折率の大きく異なるガラス／空気界面や樹脂／空気界面が形成されることを抑制させて、これらの界面での光の反射を抑制させている。しかも、当接されるテープが黒色に着色されているために光が吸収され易く光の反射がさらに抑制され、フレアが生じることが抑制されることとなる。
【０００５】
このような液晶モジュールの前面側や背面側の表面に当接させて用いられる黒色のシート（テープ）には、バックライトの発熱に耐える優れた耐熱性とガラス材の割れを防止する優れたクッション性が必要なことから、通常、表面層には黒色のシリコーンゴムが用いられている。また、このシリコーンゴム表面層は、従来、ミラブルタイプのシリコーンゴムを用いてカレンダー成形されたり、液状シリコーンゴムを用いてコーティング成膜されたりしてポリエチレンテレフタレート（以下「ＰＥＴ」ともいう）フィルムなどの基材層上に、厚さ２００μｍ程度に形成されている。
【０００６】
近年のバックライト式液晶パネルディスプレイは、より薄型化が要望されるようになり、この黒色シートにも従来よりも薄い状態で使用し得るものが要望されるようになってきている。
しかし、このことに対してシリコーンゴムが用いられた表面層をさらに薄型化しようとするとクッション性が低下してしまうおそれがある。また、クッション性が低下することにより、例えば、従来弾性変形により吸収されていた表面層の厚さのバラツキが吸収され難くなり表面層と液晶モジュール表面との密着性が低下するおそれを有する。そのため、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートと液晶モジュール表面との間に空気を存在させて、液晶モジュール表面と空気との界面ができ、先述のようなフレアが発生するおそれを有する。
このことに対して、表面層の厚さを従来以上に薄く且つ均一に形成させることも考え得るが、このような薄くて均一な厚さの表面層を形成するには生産性の大幅な低下やコストを大きく向上させなければならず実質困難である。
すなわち、従来のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートにおいては、フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるものを得ることが困難であるという問題を有している。
【０００７】
【特許文献１】特開２００１−２００２２１号公報
【特許文献２】特開平１０−１２３９６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明の課題は、フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明者らは、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの薄型化と密着性とについて鋭意検討を行った結果、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの表面層が発泡されていることで使用時に従来よりも薄く変形させ得ることならびに、クッション性の低下ならびに液晶モジュール表面への密着性の低下を抑制し得ることを見出し、本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、積層構造を有し、表面層が黒色のシリコーンゴムにより形成されてなり、バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュール表面に前記表面層を当接させることによりこの当接された表面層にバックライトの光が吸収されるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートであって、前記表面層が発泡していることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供する。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、表面層が発泡されていることから、圧力が加えられた場合にこの発泡（気泡）を圧縮させることができ、同じ圧力が加えられた場合でも発泡されていない表面層が備えられている場合に比べて厚さ方向の変形量を大きくすることができ、厚さを薄く変形させることができる。したがって、使用時には、フレーム材と複数のガラス板や機能性樹脂フィルム材などによる積層体との間で挟持され従来よりも薄い状態とし得る。
また、厚さ方向の変形量を大きくし得ることから表面層の厚さバラツキを吸収させて液晶モジュール表面への密着性が低下することを抑制し得る。
したがって、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを、フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるものとし得る。
さらに、表面層が発泡されているために、この表面層に入射された光は、表面層を透過する際に気泡により散乱されることとなり、発泡されていない表面層を透過する場合に比べて光の吸収効果をより高め得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図２に基づき説明する。
本実施形態におけるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート１４は、積層構造を有しており、シリコーンゴムが用いられた表面層３１を備えている。
また、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート１４は、表面層３１に次いでプライマー層３２、基材層３４、粘着層３６の順に積層された積層構造を有している。
【００１２】
前記表面層３１は、液状シリコーンゴムが用いられて形成されており、カーボンブラックを用いて黒色に着色され、通常、３０〜３００μｍ厚さとされている。
また、この液状シリコーンゴムとしては、通常、１００〜２０００程度の重合度の常温で流動性を示すシリコーンゴムを用いることができ、縮合型液状シリコーンゴムのようにアセトンやアルコールなどの縮合生成物が形成されることがなく、液晶モジュールが汚染されるおそれを抑制させ得る点において、付加型液状シリコーンゴムが用いられることが好ましい。
また、この表面層３１は、通常、１０〜３５μｍの直径の気泡により、発泡度５〜４０％となるよう発泡されている。なお、この発泡度とは、シリコーンゴムの真比重（ＳＧ１）と発泡後の見掛け比重（ＳＧ２）とにより、次の式により求めることができる値を意図している。
発泡度（％）＝（ＳＧ１−ＳＧ２）／ＳＧ１×１００（％）
また、この真比重および見掛け比重は、ＪＩＳ Ｋ ７１１２水中置換法により求めることができる。
【００１３】
なお、発泡度が低すぎると、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを適度なクッション性とすることが困難となる。一方で発泡度が高くなりすぎると光を透過させるおそれが生じ、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを適度なクッション性とすることが困難となるおそれを有する。さらに、発泡度が高くなりすぎるとバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートにカーリングが生じてバックライト式液晶パネルディスプレイへの取り付け時の作業性を低下させてしまうおそれを有する。このような点において、前記発泡度は、８〜３０％であることが好ましい。
【００１４】
また、このような表面層の発泡は、黒色のシリコーンゴムにフロン、チッソなどのガスまたはこのようなガスと成核剤を用いたガス発泡と呼ばれるものや、所定温度で気体を発生させる加熱発泡剤を用いた化学発泡などと呼ばれる方法により形成させることができる。
なお、本実施形態における表面層の発泡としては、方法の内、加える加熱発泡剤の量や種類を変更することで発泡度や発泡温度を制御することができる点において加熱発泡剤を用いることが好ましい。
この加熱発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類などの無機系発泡剤や、トリクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン系化合物、ｐ−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド系化合物、５−モルホリル−１，２，３，４−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物、Ｎ，Ｎ’−ジニトロソテレフタルアミドなどのＮ−ニトロソ化合物などの有機系発泡剤などの他に炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤などが挙げられる。
なお、この表面層のシリコーンゴムとして付加型液状シリコーンゴムを用いる場合には、チッソ化合物による硬化阻害を防止し得る点において炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤を用いることが好ましい。
【００１５】
前記プライマー層３２は、シランカップリング剤が用いられており、通常、乾燥皮膜として０．１〜２．０ｇ／ｍ2となる厚さとされている。
このシランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、官能基としてビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基などを含有するものを単独または複数組み合わせて用いることができる。
【００１６】
前記基材層３４は、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートをフレーム材に貼り付ける場合など、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを容易に取り扱うことができる強度とし得るものが好ましく、例えば、合成樹脂製のフィルムなどを用いることができる。
なかでも、耐熱性と強度に優れ、しかも、材料費が安価である点においてＰＥＴフィルムが好適である。このＰＥＴフィルムが基材層に用いられる場合には、通常、２５〜１５０μｍ厚さとされる。
【００１７】
なお、このＰＥＴフィルムは、コロナ処理など表面改質されたものであっても無処理のものであってもよい。
前記粘着層３６は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系粘着剤などを用いて２０〜７０μｍ厚さに形成することができる
【００１８】
次いで、このようなバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの製造方法について説明する。
まず、基材層３４となるＰＥＴフィルムに、プライマー層３２をスプレーコートし乾燥させる。
ついで、黒色の液状シリコーンゴムに加熱発泡剤を混合し、コンマコーターを用いてプライマー層の上に塗工する。この塗工された液状シリコーンゴムを加熱発泡剤の発泡温度以上に加熱して、液状シリコーンゴムを発泡状態で硬化させて表面層を形成させる。
その後、要すれば、表面層３１に使用時までにホコリなどの異物が付着することを防止すべく表面層３１の上に表面保護フィルム３５を貼ることもできる。
なおこのように、塗工された液状シリコーンゴムを発泡状態で硬化させて表面層を形成させた場合には、表面層に発泡に伴う凹凸が形成されることとなる。しかし、発泡されていない表面層に凹凸が形成された場合とは異なり、この表面層の凸部は気泡により形成されているため圧力が加わると容易に圧縮され平坦となり、当接される表面に対する密着性が損なわれるおそれを防止し得る。
さらに、表面層の表面を表面粗さ１μｍ以上となるように、凹凸を形成させた場合には、表面層３１にホコリなどの異物が付着することを防止することができ、表面保護フィルム部材の使用を省略し得る。さらに、表面層３１の上に表面保護フィルム３５を貼り付ける工程も省略することができ、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートをより安価に製造することができる。ただし、表面粗さが大きくなりすぎると光の漏洩を生じさせてしまうおそれを有する点において表面層の表面粗さは、５μｍ以下であることが好ましい。
なお、本明細書中における表面粗さとは、ＪＩＳ Ｂ ０６０１の算術平均粗さ（Ｒａ）を意図している。
【００１９】
さらに、基材層３４の裏面側に粘着層３６を形成してバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート１４を製造する。なお、要すれば、粘着層３６保護のためシリコーン表面処理ＰＥＴフィルムやシリコーン表面処理クラフト紙などをセパレーター３７として設けることも可能である。
【００２０】
なお、本実施形態においては、表面層をより薄く形成させ得る点から液状シリコーンゴムを用いた場合を例に説明したが、本発明においては、表面層を液状シリコーンゴムに限定するものではなく、ミラブルタイプなどのシリコーンゴムも本発明の意図する範囲内である。
また、本実施形態においては、発泡度や発泡温度を容易に制御することができる点において加熱発泡剤を用いる場合を例に説明したが、本発明においては、表面層の発泡手段を加熱発泡剤を用いる場合に限定するものではない。
【実施例】
【００２１】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
（実施例１）
厚さ５０μｍのＰＥＴフィルムにキスコーターを用いてシランカップリング剤を乾燥皮膜で０．５ｇ／ｍ2となるように塗布、乾燥しプライマー層を形成させた。
次いで、黒色の付加型シリコーンゴム１００重量部に発泡剤（松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアー Ｆ−５０」）を３重量部加えて攪拌機により混合攪拌したものを前記プライマー層上にコンマダイレクト方式で塗布し、１５０℃１０分の加熱を行い発泡剤により黒色シリコーンゴムを発泡させつつ架橋させて硬化しバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。なお、このとき、黒色シリコーンゴム層は、発泡した仕上がり状態で１５０μｍの厚さ（ＰＥＴフィルムとあわせて約２００μｍ厚さ）となるようバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。また、製造したバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの断面観察を行ったところ、約２５μｍの大きさの気泡が黒色シリコーンゴム層に分散している様子が観察された。
（実施例２）
発泡剤の量を３重量部に代えて１重量部とした以外は、実施例１と同様にバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。また、製造したバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの断面観察を行ったところ、約２５μｍの大きさの気泡が黒色シリコーンゴム層に分散している様子が観察された。
（比較例１）
発泡剤を用いずにバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。
また、製造したバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの断面観察を行ったところ、気泡は観察されなかった。
【００２２】
（評価）
（表面粗さ）
各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの算術平均表面粗さ（Ｒａ）をＪＩＳ Ｂ ０６０１に基づき測定を行った。結果を表１に示す。
（発泡度）
各実施例、比較例に用いた黒色シリコーンゴムを１５０℃１０分の架橋を行い、ＪＩＳ Ｋ ７１１２に基づき比重（ＳＧ１）の測定を行った。次いで、各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの表面層（黒色シリコーンゴム層）をＪＩＳ Ｋ ７１１２に基づき比重測定（ＳＧ２）を行い下記式により発泡度を計算して求めた。結果を表１に示す。
発泡度（％）＝（ＳＧ１−ＳＧ２）／ＳＧ１×１００（％）
（圧縮弾性率）
各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを５枚積層して合計約１ｍｍの厚さとして、ＪＩＳ Ｋ ６２５４に基づき圧縮弾性率の測定を行った。
結果を表１に示す。
（ホコリ付着性）
各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを表面層を上に向けて机上に並べて載置して２４時間放置して表面層上にホコリを付着させ、該放置後のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートをＰＥＴフィルム側から軽く叩いて表面層上のホコリを落下させた後に、表面に付着しているホコリ（異物）を、マイクロスコープを用いて２０倍に拡大して観察した。判定は、ホコリ（異物）の付着が全く見られないか、ほとんど見られないものを「○」、ホコリ（異物）の付着が多く観察される場合を「×」とした。結果を表１に示す。
【００２３】
【表１】
【００２４】
表１の結果からも、各実施例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートは、比較例のものに比べて弾性率が小さく（易変形性を有し）、同じ圧力が加えられた場合でも比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートに比べて厚さ方向の変形量を大きくすることができ、厚さを薄く変形させ得ることがわかる。
すなわち、使用時には、フレーム材と複数のガラス板や機能性樹脂フィルム材などによる積層体との間で挟持され従来よりも薄い状態とさせ得ることがわかる。
しかも、表面粗さが１μｍ以上とされていることからホコリの付着が抑制されていることもわかる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】バックライト式液晶パネルディスプレイを示す概略断面図。
【図２】一実施形態のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを示す概略断面図。
【符号の説明】
【００２６】
１：液晶モジュール、２：バックライト、１４：バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート、３１：表面層、３４：基材層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、液晶ディスプレイパネルは、表示素子として広く用いられている。
この液晶ディスプレイパネルの液晶モジュールにおいては、図１に示すように液晶１１を挟持する電極板１２などの複数のガラス板や、配向フィルム１５、偏光板１６などの機能性樹脂フィルム材などによる積層体が形成されており、通常、面中央部が液晶表示領域となるよう形成され、周縁の液晶表示領域外にて金属などからなるフレーム材１３により前記積層体が前面側と背面側とから挟持され一体化されている。
このとき、液晶モジュール１に用いられるガラス板１２が衝撃で割れたりすることを抑制し得るように、この前面側と背面側とのいずれか一方のフレーム材１３と積層体との間には、シリコーンゴムが用いられたシート１４が配されている（特許文献１）。
【０００３】
ところで、このような液晶モジュールが用いられた液晶パネルディスプレイには、外光を液晶モジュールの背面側の反射板で反射させ表示を行う反射式と呼ばれるものや、液晶モジュールの背面側に光源が備えられ液晶表示部をこの光源からの光を透過させ表示を行うバックライト式と呼ばれるものが知られている。このバックライト式液晶パネルディスプレイは、明るく、表示が見やすいことから広く用いられている。このバックライト式液晶パネルディスプレイのバックライト２には、例えば、液晶モジュール１の幅と略同長の冷陰極管２１、液晶モジュール１と略同一面積の導光板２２、光拡散板２３などが用いられる側光式と呼ばれるものなどが知られている。そして、この導光板２２は側端面から光を導入して一方の表面全体から発光させるよう形成されており、上記の側光式液晶パネルディスプレイでは、冷陰極管２１が液晶モジュール１の背面側の側方位置に配され、冷陰極管２１から発生する光を導光板２２で液晶モジュール１の背面全体で発光させている。このとき、液晶表示領域内で輝度にムラがあると液晶パネルディスプレイの表示が見難くなるため、導光板２２と液晶モジュールとの間に光拡散板２３が用いられ、導光板２２から発せられる光を拡散させて輝度にムラが生じることを抑制させている。
【０００４】
ところで、ガラスやゴム、プラスチックなどの樹脂材料は、空気とは屈折率が大きく異なり、これら屈折率が異なるものの界面では、その屈折率の差に応じて光が屈折することが知られている。例えば、ガラス／空気界面を斜めに透過する光線がこの界面となす角度は、空気中に比べてガラス中の方が大きな角度となる。そのため、ガラス中をガラス／空気界面に向かって進んできた光線については、ある程度以上に浅い角度となると空気側に透過することができずに全反射される。バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュールにおいては、特に、周縁部では光拡散板からの拡散光が浅い角度で入射され易くフレアと呼ばれる光の迷走が生じることが知られており、このフレアが生じると液晶表示領域内で輝度にムラが生じるおそれがあることから、特許文献２には、液晶モジュールの液晶表示領域外（周縁部）に黒色テープなどの黒色部材を当接させて光を吸収させることが記載されている。すなわち、液晶モジュールの前面側や背面側の表面のガラス材や樹脂材に樹脂材料を当接させて屈折率の大きく異なるガラス／空気界面や樹脂／空気界面が形成されることを抑制させて、これらの界面での光の反射を抑制させている。しかも、当接されるテープが黒色に着色されているために光が吸収され易く光の反射がさらに抑制され、フレアが生じることが抑制されることとなる。
【０００５】
このような液晶モジュールの前面側や背面側の表面に当接させて用いられる黒色のシート（テープ）には、バックライトの発熱に耐える優れた耐熱性とガラス材の割れを防止する優れたクッション性が必要なことから、通常、表面層には黒色のシリコーンゴムが用いられている。また、このシリコーンゴム表面層は、従来、ミラブルタイプのシリコーンゴムを用いてカレンダー成形されたり、液状シリコーンゴムを用いてコーティング成膜されたりしてポリエチレンテレフタレート（以下「ＰＥＴ」ともいう）フィルムなどの基材層上に、厚さ２００μｍ程度に形成されている。
【０００６】
近年のバックライト式液晶パネルディスプレイは、より薄型化が要望されるようになり、この黒色シートにも従来よりも薄い状態で使用し得るものが要望されるようになってきている。
しかし、このことに対してシリコーンゴムが用いられた表面層をさらに薄型化しようとするとクッション性が低下してしまうおそれがある。また、クッション性が低下することにより、例えば、従来弾性変形により吸収されていた表面層の厚さのバラツキが吸収され難くなり表面層と液晶モジュール表面との密着性が低下するおそれを有する。そのため、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートと液晶モジュール表面との間に空気を存在させて、液晶モジュール表面と空気との界面ができ、先述のようなフレアが発生するおそれを有する。
このことに対して、表面層の厚さを従来以上に薄く且つ均一に形成させることも考え得るが、このような薄くて均一な厚さの表面層を形成するには生産性の大幅な低下やコストを大きく向上させなければならず実質困難である。
すなわち、従来のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートにおいては、フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるものを得ることが困難であるという問題を有している。
【０００７】
【特許文献１】特開２００１−２００２２１号公報
【特許文献２】特開平１０−１２３９６４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明の課題は、フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明者らは、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの薄型化と密着性とについて鋭意検討を行った結果、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの表面層が発泡されていることで使用時に従来よりも薄く変形させ得ることならびに、クッション性の低下ならびに液晶モジュール表面への密着性の低下を抑制し得ることを見出し、本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、積層構造を有し、表面層が黒色のシリコーンゴムにより形成されてなり、バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュール表面に前記表面層を当接させることによりこの当接された表面層にバックライトの光が吸収されるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートであって、前記表面層が発泡していることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを提供する。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、表面層が発泡されていることから、圧力が加えられた場合にこの発泡（気泡）を圧縮させることができ、同じ圧力が加えられた場合でも発泡されていない表面層が備えられている場合に比べて厚さ方向の変形量を大きくすることができ、厚さを薄く変形させることができる。したがって、使用時には、フレーム材と複数のガラス板や機能性樹脂フィルム材などによる積層体との間で挟持され従来よりも薄い状態とし得る。
また、厚さ方向の変形量を大きくし得ることから表面層の厚さバラツキを吸収させて液晶モジュール表面への密着性が低下することを抑制し得る。
したがって、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを、フレアを抑制しつつ従来よりも薄い状態で使用できるものとし得る。
さらに、表面層が発泡されているために、この表面層に入射された光は、表面層を透過する際に気泡により散乱されることとなり、発泡されていない表面層を透過する場合に比べて光の吸収効果をより高め得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図２に基づき説明する。
本実施形態におけるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート１４は、積層構造を有しており、シリコーンゴムが用いられた表面層３１を備えている。
また、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート１４は、表面層３１に次いでプライマー層３２、基材層３４、粘着層３６の順に積層された積層構造を有している。
【００１２】
前記表面層３１は、液状シリコーンゴムが用いられて形成されており、カーボンブラックを用いて黒色に着色され、通常、３０〜３００μｍ厚さとされている。
また、この液状シリコーンゴムとしては、通常、１００〜２０００程度の重合度の常温で流動性を示すシリコーンゴムを用いることができ、縮合型液状シリコーンゴムのようにアセトンやアルコールなどの縮合生成物が形成されることがなく、液晶モジュールが汚染されるおそれを抑制させ得る点において、付加型液状シリコーンゴムが用いられることが好ましい。
また、この表面層３１は、通常、１０〜３５μｍの直径の気泡により、発泡度５〜４０％となるよう発泡されている。なお、この発泡度とは、シリコーンゴムの真比重（ＳＧ１）と発泡後の見掛け比重（ＳＧ２）とにより、次の式により求めることができる値を意図している。
発泡度（％）＝（ＳＧ１−ＳＧ２）／ＳＧ１×１００（％）
また、この真比重および見掛け比重は、ＪＩＳ Ｋ ７１１２水中置換法により求めることができる。
【００１３】
なお、発泡度が低すぎると、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを適度なクッション性とすることが困難となる。一方で発泡度が高くなりすぎると光を透過させるおそれが生じ、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを適度なクッション性とすることが困難となるおそれを有する。さらに、発泡度が高くなりすぎるとバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートにカーリングが生じてバックライト式液晶パネルディスプレイへの取り付け時の作業性を低下させてしまうおそれを有する。このような点において、前記発泡度は、８〜３０％であることが好ましい。
【００１４】
また、このような表面層の発泡は、黒色のシリコーンゴムにフロン、チッソなどのガスまたはこのようなガスと成核剤を用いたガス発泡と呼ばれるものや、所定温度で気体を発生させる加熱発泡剤を用いた化学発泡などと呼ばれる方法により形成させることができる。
なお、本実施形態における表面層の発泡としては、方法の内、加える加熱発泡剤の量や種類を変更することで発泡度や発泡温度を制御することができる点において加熱発泡剤を用いることが好ましい。
この加熱発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類などの無機系発泡剤や、トリクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン系化合物、ｐ−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド系化合物、５−モルホリル−１，２，３，４−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物、Ｎ，Ｎ’−ジニトロソテレフタルアミドなどのＮ−ニトロソ化合物などの有機系発泡剤などの他に炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤などが挙げられる。
なお、この表面層のシリコーンゴムとして付加型液状シリコーンゴムを用いる場合には、チッソ化合物による硬化阻害を防止し得る点において炭化水素系溶剤をマイクロカプセル化させたマイクロカプセル化発泡剤を用いることが好ましい。
【００１５】
前記プライマー層３２は、シランカップリング剤が用いられており、通常、乾燥皮膜として０．１〜２．０ｇ／ｍ2となる厚さとされている。
このシランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、官能基としてビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基などを含有するものを単独または複数組み合わせて用いることができる。
【００１６】
前記基材層３４は、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートをフレーム材に貼り付ける場合など、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを容易に取り扱うことができる強度とし得るものが好ましく、例えば、合成樹脂製のフィルムなどを用いることができる。
なかでも、耐熱性と強度に優れ、しかも、材料費が安価である点においてＰＥＴフィルムが好適である。このＰＥＴフィルムが基材層に用いられる場合には、通常、２５〜１５０μｍ厚さとされる。
【００１７】
なお、このＰＥＴフィルムは、コロナ処理など表面改質されたものであっても無処理のものであってもよい。
前記粘着層３６は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系粘着剤などを用いて２０〜７０μｍ厚さに形成することができる
【００１８】
次いで、このようなバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの製造方法について説明する。
まず、基材層３４となるＰＥＴフィルムに、プライマー層３２をスプレーコートし乾燥させる。
ついで、黒色の液状シリコーンゴムに加熱発泡剤を混合し、コンマコーターを用いてプライマー層の上に塗工する。この塗工された液状シリコーンゴムを加熱発泡剤の発泡温度以上に加熱して、液状シリコーンゴムを発泡状態で硬化させて表面層を形成させる。
その後、要すれば、表面層３１に使用時までにホコリなどの異物が付着することを防止すべく表面層３１の上に表面保護フィルム３５を貼ることもできる。
なおこのように、塗工された液状シリコーンゴムを発泡状態で硬化させて表面層を形成させた場合には、表面層に発泡に伴う凹凸が形成されることとなる。しかし、発泡されていない表面層に凹凸が形成された場合とは異なり、この表面層の凸部は気泡により形成されているため圧力が加わると容易に圧縮され平坦となり、当接される表面に対する密着性が損なわれるおそれを防止し得る。
さらに、表面層の表面を表面粗さ１μｍ以上となるように、凹凸を形成させた場合には、表面層３１にホコリなどの異物が付着することを防止することができ、表面保護フィルム部材の使用を省略し得る。さらに、表面層３１の上に表面保護フィルム３５を貼り付ける工程も省略することができ、バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートをより安価に製造することができる。ただし、表面粗さが大きくなりすぎると光の漏洩を生じさせてしまうおそれを有する点において表面層の表面粗さは、５μｍ以下であることが好ましい。
なお、本明細書中における表面粗さとは、ＪＩＳ Ｂ ０６０１の算術平均粗さ（Ｒａ）を意図している。
【００１９】
さらに、基材層３４の裏面側に粘着層３６を形成してバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート１４を製造する。なお、要すれば、粘着層３６保護のためシリコーン表面処理ＰＥＴフィルムやシリコーン表面処理クラフト紙などをセパレーター３７として設けることも可能である。
【００２０】
なお、本実施形態においては、表面層をより薄く形成させ得る点から液状シリコーンゴムを用いた場合を例に説明したが、本発明においては、表面層を液状シリコーンゴムに限定するものではなく、ミラブルタイプなどのシリコーンゴムも本発明の意図する範囲内である。
また、本実施形態においては、発泡度や発泡温度を容易に制御することができる点において加熱発泡剤を用いる場合を例に説明したが、本発明においては、表面層の発泡手段を加熱発泡剤を用いる場合に限定するものではない。
【実施例】
【００２１】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
（実施例１）
厚さ５０μｍのＰＥＴフィルムにキスコーターを用いてシランカップリング剤を乾燥皮膜で０．５ｇ／ｍ2となるように塗布、乾燥しプライマー層を形成させた。
次いで、黒色の付加型シリコーンゴム１００重量部に発泡剤（松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアー Ｆ−５０」）を３重量部加えて攪拌機により混合攪拌したものを前記プライマー層上にコンマダイレクト方式で塗布し、１５０℃１０分の加熱を行い発泡剤により黒色シリコーンゴムを発泡させつつ架橋させて硬化しバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。なお、このとき、黒色シリコーンゴム層は、発泡した仕上がり状態で１５０μｍの厚さ（ＰＥＴフィルムとあわせて約２００μｍ厚さ）となるようバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。また、製造したバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの断面観察を行ったところ、約２５μｍの大きさの気泡が黒色シリコーンゴム層に分散している様子が観察された。
（実施例２）
発泡剤の量を３重量部に代えて１重量部とした以外は、実施例１と同様にバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。また、製造したバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの断面観察を行ったところ、約２５μｍの大きさの気泡が黒色シリコーンゴム層に分散している様子が観察された。
（比較例１）
発泡剤を用いずにバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを製造した。
また、製造したバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの断面観察を行ったところ、気泡は観察されなかった。
【００２２】
（評価）
（表面粗さ）
各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの算術平均表面粗さ（Ｒａ）をＪＩＳ Ｂ ０６０１に基づき測定を行った。結果を表１に示す。
（発泡度）
各実施例、比較例に用いた黒色シリコーンゴムを１５０℃１０分の架橋を行い、ＪＩＳ Ｋ ７１１２に基づき比重（ＳＧ１）の測定を行った。次いで、各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの表面層（黒色シリコーンゴム層）をＪＩＳ Ｋ ７１１２に基づき比重測定（ＳＧ２）を行い下記式により発泡度を計算して求めた。結果を表１に示す。
発泡度（％）＝（ＳＧ１−ＳＧ２）／ＳＧ１×１００（％）
（圧縮弾性率）
各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを５枚積層して合計約１ｍｍの厚さとして、ＪＩＳ Ｋ ６２５４に基づき圧縮弾性率の測定を行った。
結果を表１に示す。
（ホコリ付着性）
各実施例、比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを表面層を上に向けて机上に並べて載置して２４時間放置して表面層上にホコリを付着させ、該放置後のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートをＰＥＴフィルム側から軽く叩いて表面層上のホコリを落下させた後に、表面に付着しているホコリ（異物）を、マイクロスコープを用いて２０倍に拡大して観察した。判定は、ホコリ（異物）の付着が全く見られないか、ほとんど見られないものを「○」、ホコリ（異物）の付着が多く観察される場合を「×」とした。結果を表１に示す。
【００２３】
【表１】
【００２４】
表１の結果からも、各実施例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートは、比較例のものに比べて弾性率が小さく（易変形性を有し）、同じ圧力が加えられた場合でも比較例のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートに比べて厚さ方向の変形量を大きくすることができ、厚さを薄く変形させ得ることがわかる。
すなわち、使用時には、フレーム材と複数のガラス板や機能性樹脂フィルム材などによる積層体との間で挟持され従来よりも薄い状態とさせ得ることがわかる。
しかも、表面粗さが１μｍ以上とされていることからホコリの付着が抑制されていることもわかる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】バックライト式液晶パネルディスプレイを示す概略断面図。
【図２】一実施形態のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートを示す概略断面図。
【符号の説明】
【００２６】
１：液晶モジュール、２：バックライト、１４：バックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート、３１：表面層、３４：基材層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
積層構造を有し、表面層が黒色のシリコーンゴムにより形成されてなり、バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュール表面に前記表面層を当接させることによりこの当接された表面層にバックライトの光が吸収されるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートであって、
前記表面層が発泡していることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート。
【請求項２】
前記表面層の表面には凹凸が形成され、且つ、該凹凸が表面粗さ１〜５μｍの大きさに形成されていることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート。
【請求項３】
請求項１又は２のいずれかに記載のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの製造方法であって、
加熱発泡剤を含有する黒色の液状シリコーンゴムを塗工し、該塗工された前記液状シリコーンゴムを前記加熱発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡状態で硬化させることにより発泡した表面層の形成が行われることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの製造方法。
【請求項１】
積層構造を有し、表面層が黒色のシリコーンゴムにより形成されてなり、バックライト式液晶パネルディスプレイの液晶モジュール表面に前記表面層を当接させることによりこの当接された表面層にバックライトの光が吸収されるバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートであって、
前記表面層が発泡していることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート。
【請求項２】
前記表面層の表面には凹凸が形成され、且つ、該凹凸が表面粗さ１〜５μｍの大きさに形成されていることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シート。
【請求項３】
請求項１又は２のいずれかに記載のバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの製造方法であって、
加熱発泡剤を含有する黒色の液状シリコーンゴムを塗工し、該塗工された前記液状シリコーンゴムを前記加熱発泡剤の発泡温度以上に加熱して発泡状態で硬化させることにより発泡した表面層の形成が行われることを特徴とするバックライト式液晶パネルディスプレイ用黒色シートの製造方法。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００７−９３７２７（Ｐ２００７−９３７２７Ａ）
【公開日】平成１９年４月１２日（２００７．４．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２７９８４２（Ｐ２００５−２７９８４２）
【出願日】平成１７年９月２７日（２００５．９．２７）
【出願人】（０００１９０６１１）日東シンコー株式会社 (104)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年４月１２日（２００７．４．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年９月２７日（２００５．９．２７）
【出願人】（０００１９０６１１）日東シンコー株式会社 (104)
【Ｆターム（参考）】
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