説明

バックライト装置および液晶表示装置

【課題】 本発明は、ローカルディミングを効果的に実現できるサイドライト方式のバックライト装置を提供する。
【解決手段】光の出射面に並べて設けられた複数のストライプ状の突起と、出射面の一部を相対的に高輝度に発光させる光出射パターンとを有し、光の出射方向を一致させ重ねて配置された複数の導光板と、複数の導光板のそれぞれに入射しストライプ状の突起の延在方向に伝播する光を放出する複数の点光源と、複数の点光源の内の少なくとも1つ以上の点光源を含む点光源群を、外部からの点灯信号により前記点光源群の単位で点灯制御することを可能とした回路配線を含む光源基板と、を備え、点光源群を点灯することにより、出射方向から平面視した複数の導光板の発光面の一部を発光させることを特徴とするバックライト装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置において画像の輝度情報に応じて表示画面の明るさを局部的に調光するローカルディミング(エリア制御)が行われている。例えば、表示画面内で暗い映像を表示する部分の明るさを抑制することにより、コントラストの向上と消費電力の低減を図ることができる。
【0003】
ローカルディミングは、表示画面に対応させて2次元配置した発光ダイオード(LED)を局部的に点灯させることが可能な直下方式のバックライトを用いることにより、効果的に実現される。一方、薄型かつ均一発光を容易とする導光板の側面に光源を配置したサイドライト方式のLEDバックライトを用いる場合、導光板に入射した光は光軸方向以外の角度方向にも伝播することから所望の発光領域の明るさを制御するローカルディミングは一般的ではない。
【0004】
特許文献1には、表示画面の色ムラを抑制するために、発光領域が異なる2つの導光板を組み合わせたサイドライト方式の面光源装置が記載されている。しかしながら、表示画面内のローカルディミングを意図した構成を有するものではない。
【0005】
サイドライト方式のバックライトを備えた液晶表示装置において、例えば、画面の中央に明るい画像、周囲に暗い画像を表示させる場合、画面周辺に配置された液晶の開口率を絞ることにより周囲に暗い画像を表示する。しかしながら、この方法では、液晶の絞り値の限界以上にコントラストの向上させることはできず、消費電力を低減する効果も得られない。そこで、ローカルディミングを効果的に実施できる薄型サイドライト方式のバックライト装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−117730号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Tobias Jung et al.,IDW2009 DES2-6L p599-600(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ローカルディミングを効果的に実施できるサイドライト方式のバックライト装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、光の出射面に並べて設けられた複数のストライプ状の突起と、前記出射面の一部を相対的に高輝度に発光させる光出射パターンと、を有し、前記光の出射方向を一致させ重ねて配置された複数の導光板と、前記複数の導光板のそれぞれに入射し前記ストライプ状の突起の延在方向に伝播する前記光を放出する複数の点光源と、前記複数の点光源の内の少なくとも1つ以上の点光源を含む点光源群を、外部からの点灯信号により前記点光源群の単位で点灯制御することを可能とした回路配線を含む光源基板と、を備え、前記点光源群を点灯することにより、前記出射方向から平面視した前記複数の導光板の発光面の一部を発光させることを特徴とするバックライト装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローカルディミングを効果的に実施できるサイドライト方式のバックライト装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態に係るバックライトの構成を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係るバックライトの断面を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態の変形例に係るバックライトの断面を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る導光板の発光面を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態に係る導光板の断面を示す模式図である。
【図7】第1の実施形態に係るバックライトの局部点灯を説明する模式図である。
【図8】第1の実施形態に係るバックライトの点灯例を示す模式図である。
【図9】第1の実施形態に係るバックライトの点灯例を示す模式図である。
【図10】第1の実施形態に係るバックライトの点灯例を示す模式図である。
【図11】第2の実施形態の別の変形例に係るバックライトを示す模式図である。
【図12】第3の実施形態に係るバックライトを示す模式図である。
【図13】導光板の発光状態の一例を示す模式図である。
【図14】導光板の発光状態の別の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、図面中の同一部分には同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について適宜説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置100の構成を示す模式図である。
液晶表示装置100は、液晶パネル110と、サイドライト方式のバックライト120とを備えている。図1では、説明のため液晶パネル110とバックライト120とを並べて示しているが、液晶パネル110はバックライト120に重ねて配置される。
【0014】
液晶表示装置100は、例えば、外部から入力される画像信号を液晶パネル110の制御信号に変換する信号変換部50と、画像信号から輝度情報を抽出する調光制御部70と、を備えている。液晶パネル110は、信号変換部50から出力される制御信号により駆動され、その表示画面10に画像を表示する。調光制御部70は、バックライト120を駆動する輝度信号を出力する。
【0015】
図1に示すように、調光制御部70から出力される調光信号は、駆動回路90に送られ、駆動回路90は、その信号に基づいてバックライト120の発光面20の両側面に配置された光源基板2の複数の点光源3の点灯を制御する。
【0016】
本実施形態に係るバックライト120では、複数の点光源3を、複数の点光源群にグループ分けし、個別、または、少なくとも1以上の点光源3を含む点光源群ごとに点灯制御する。これにより、複数の発光領域20aごとに消灯および点灯を制御することができる。さらに、点光源3の発光強度を制御することにより、発光領域20aごとに輝度を制御することも可能である。
【0017】
一方、バックライト120に重ねて配置される液晶パネル110の表示画面10は、バックライト120の各発光領域20aに対応した複数の調光領域10aを含んでいる。調光領域10aは、発光領域20aの輝度を変化させることにより個別に調光することが可能である。これにより、表示画面10における画像のコントラストを、液晶パネルの絞りの限界を超えて向上させることができる。そして、バックライト120の発光面20において、例えば、画像の暗部に対応する発光領域20aを消灯、または低輝度に制御することにより、電力消費を低減することができる。
【0018】
なお、液晶パネル110の表示画面10における調光領域10aは、表示画面10が物理的に分割された領域ではなく、バックライト120の各発光領域20aにより照明される領域として定義されるものである。
【0019】
図2は、バックライト120の構成を模式的に示す平面図である。
本実施形態に係るバックライト120は、後述するように、方形の発光面20を構成する2つの導光板12および13を備えている。導光板12および13は、光の放射方向(Z方向)を一致させ、重ねて配置される。図2に示す発光面20は、重ねて配置された導光板12および13を光の放射方向(表示画面側)から平面視した状態を示している。
【0020】
そして、バックライト120は、発光面20のY方向の2辺に沿って配置された光源基板2と、その光源基板2に実装配置された複数の点光源3と、を備えている。さらに、光源基板2に含まれる回路配線を介して点光源3を点灯させる点灯回路4と、点灯回路4に点灯信号を供給する駆動回路90と、を備えることもできる。
【0021】
点光源3は、例えば、LEDであり、駆動回路90から点灯回路4に送られる点灯信号により点灯制御される。点灯回路4は、例えば、光源基板2に設けられたプリント配線を介して、個々の点光源3に電力を供給し点灯させることができる。そして、点灯回路4は、駆動回路90の点灯信号に基づいて、点灯させる点光源3を選択しON/OFF制御による点灯、消灯の制御を行う。さらに、LEDに流れる電流を変化させて発光強度を変える構成としても良い。
【0022】
次に、図3を参照して、バックライト120の構成について詳細に説明する。
図3(a)は、バックライト120のIIa−IIa断面を示す模式図である。2つの導光板12および13は、液晶パネル110が配置されるZ方向に、それぞれの出射面12aおよび13aを向けた状態に重ねて配置されている。
【0023】
導光板12および13には、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)およびシクロオレフィンポリマー樹脂(COP)、ポリカーボネート樹脂(PC)などの透明樹脂、もしくはガラスを用いることができる。
【0024】
さらに、導光板12の裏面12b、および、導光板13の裏面13bには、光出射パターン15が設けられている。光出射パターン15は、出射面12aおよび13aに沿って伝播する光の伝播方向を、表示画面10の方向(Z方向)に変える。そして、光出射パターン15は、導光板12および13の裏面の一部の領域に設けられ、その領域が、相対的に高輝度に発光する高輝度領域となる。
【0025】
光出射パターン15は、例えば、白色ドット印刷、レーザによるドット加工などを用いて形成することができる。そして、ドット、シボパターン、全反射屈折パターン等の形状に設けることができる。
光出射パターン15を形成する面は、導光板12および13の裏面側に限定される訳ではなく、出射面側に設けても良い。
【0026】
導光板12および13は、Z方向の上面に開口23を有するトレイ状のバックフレーム21に収容される。導光板12の出射面12a、および、導光板13の出射面13aを開口23の方向(Z方向)に、裏面側をバックフレーム21の底面21aに向けて配置されてる。そして、バックフレーム21の側壁21bには、点光源3が実装された光源基板2が装着されている。
【0027】
図3(b)および(c)は、導光板12および13の側から見た、光源基板2における点光源3の平面配置を例を示している。例えば、図3(b)および(c)に示すように、点光源3は、光源基板2の長手方向に上下2列の点光源3を配置することができる。
【0028】
図3(a)中に矢印で示すように、上の列に配置された点光源3aから放出される光は、導光板12に入射し出射面12aに沿った方向に伝播する。一方、下の列に配置された点光源3bは、導光板13に入射し出射面13aに沿った方向に伝播する。
【0029】
点光源3aおよび3bの発光光を、導光板12および13のそれぞれの側面に入射させる際に、例えば、導光板の厚さ方向(Z方向)の幅の中央に発光光を入射させるように配置することができる。
【0030】
図3(b)に示すように、点光源3aおよび3bのZ方向の位置を揃えて、等間隔に配置しても良し、図3(c)に示すように、点光源3aの配列周期と、点光源3bの配列周期の位相をずらして千鳥状に配置することもできる。
【0031】
図3(c)に示す千鳥状の配置では、光源基板2の表面に発熱体である点光源3が均等に分散されるため、点光源3の発熱が相互に及ぼす影響を抑制することができる。すなわち、点光源3の動作時の温度を下げる可能であり、例えば、点光源3がLEDであれば、発光効率を向上させて消費電力を低減することができ、さらに、LEDの長寿命化を図ることができる。
【0032】
本実施形態に係るバックライト120では、図2に示すように、導光板12および13のそれぞれの4つの側面の内、相互に対向する2辺の側面に対して点光源3を配置している。
【0033】
図3(a)に示すように、点光源3が実装された光源基板2は、バックフレーム21の相互に対向する2つの側壁21bに装着され、点光源3の光軸が、側壁21bに対向する導光板12および13の側面に直交するように配置される。
【0034】
そして、図3(a)および(b)に示すように、1つの側壁21bに装着される点光源3aおよび3bを同一の光源基板2に実装する。これにより、点光源3aおよび3bの位置関係を固定し、部品点数を削減することができ、バックライト120の組立作業の効率を向上させることができる。
光源基板2には、例えば、プリント基板を用いることができる。そして、点光源3aおよび3bの他に点灯回路4を設けることもできる。
【0035】
バックフレーム21の開口側には、フロントフレーム22が被せられ、導光板12および13をバックフレーム21の内部に固定する。
導光板13の裏面13bと、バックフレーム21の底面21aとの間には、反射シート16が配置される。さらに、フロントフレーム22の開口23の側のフレーム22aと、導光板12との間にも、反射シート17が配置されている。
【0036】
反射シート16により、導光板13の裏面側に漏れる光を開口23の方向に反射し、反射シート17により、導光板12および13に入射しないで上方に漏れる光を、導光板12および13に戻すことにより、出射面12aおよび13aにおける輝度と輝度分布の平坦性とを向上させることができる。
【0037】
導光板12の出射面12aの上には、光学シート19が配置されている。光学シート19は、液晶パネル110の表示画面10における輝度、視野角、偏光を所望の状態に調整するために、拡散シートや偏光板など複数の光学シートを組み合わせて設けることができる。
【0038】
図4は、本実施形態の変形例に係るバックライト130の断面を示す模式図である。
バックライト130は、導光板12と導光板13とが、Z方向に重ねて配置され、導光板12および13の相互に対向する側面に点光源3aおよび3bが配置される構成を有する点で、図3に示すバックライト120と共通する。
【0039】
一方、本変形例に係るバックライト130では、導光板12に対して配置された点光源3aと、導光板13に対して配置された点光源3bと、の間を遮蔽する反射部材である反射シート18をさらに備える点で、バックライト120と相違する。
【0040】
図4に示すように、反射シート18は、光源基板2から、導光板12と導光板13との間に延在するように設けられる。反射シート18は、点光源3bから放出された光のうちの導光板12の方向に向かう光を遮蔽し、点光源3aから放出され、導光板13の方向に向かう光を遮蔽する。これにより、導光板12および13のそれぞれに入射する迷光が抑制され、例えば、発光領域20a(図2参照)を個別に点灯してローカルディミングを実行する際のコントラストを向上させることができる。
【0041】
次に、図5および図6を参照して、本実施形態に係る導光板12および13を説明する。
【0042】
図5は、本実施形態に係る導光板12の出射面12aおよび導光板13の出射面13aを模式的に示す平面図である。
図3(a)に示したように、導光板12では、光出射パターン15が、裏面12bの中央に設けられる。そして、図5(a)に示すように、光出射パターン15に対応した高輝度領域12cが、出射面12aの中央に形成される。
【0043】
導光板12の短辺側に配置された点光源3a(図3参照)から放出された光は、長辺に沿ったX方向に伝播し、高輝度領域12cに設けられた光出射パターン15により伝播方向が変えられる。そして、表示画面10が配置される方向であるZ方向に放出される。このため、光出射パターン15が設けられた高輝度領域12cは、光出射パターン15が設けられていない出射面内の他の領域よりも高い輝度で発光する。
【0044】
一方、図3(a)に示したように、導光板13では、光出射パターン15は、導光板13の裏面13bの両端に設けられる。そして、図5(b)に示すように、光出射パターン15に対応する高輝度領域13cが、出射面13aの両端に形成される。
【0045】
図5(a)および(b)に示すように、光出射パターン15は、点光源3から放出される光の伝播方向に交叉(直交)するY方向に延在する帯状に設けられる。そして、導光板12および13が重ねて配置された場合、表示画面側(Z方向)からの平面視において、高輝度領域12cと高輝度領域13cとが、発光面20(図2参照)の全体をカバーするように設けることができる。
【0046】
さらに、高輝度領域12cと高輝度領域13cとの間の境界には、高輝度領域12cの周辺部と、高輝度領域13cの周辺部と、が相互に重なる重複領域Wを形成する。これにより、重複領域Wを設けない場合に生じることがある境界部分の暗線または輝線を抑制し、境界部分に表示される映像の表示品質を向上させることができる。
それぞれの高輝度領域の周辺において、光出射パターン15のパターン深さおよび密度などを、中央部側から端に向かって徐々に変化させて表示品質を向上させることもできる。
【0047】
図6は、導光板12のV−V断面を例示する模式図である。
本実施形態に係るバックライト120および130では、導光板12および13の出射面に、ストライプ状の複数の突起25を設けることができる。突起25は、点光源3から放射される光の伝播方向に沿って延在するように形成する。
【0048】
例えば、図6(a)に示すように、三角形状の断面を有する突起25aを、出射面12aの表面に沿って並べて形成することができる。
図6(b)に示すように、三角形状の突起25aの間に平坦な領域を設けても良い。さらに、図6(c)に示すように、断面に円弧を含む所謂レンチキュラーとしても良い。
【0049】
図13は、1つの点光源3から導光板に光を入射した場合の発光面における発光パターンの一例を示す模式図である。この場合、発光面の表面には、突起25が設けられておらず、導光板の裏面の全体に光出射パターン15が設けられている。I〜Iは、それぞれ等輝度線でありIからIの順に高い輝度を示している。
図13に示す発光パターンでは、導光板の端から中央に向かうほど輝度が低下している。
【0050】
これに対し、図14に示す例では、図6(a)に示す三角形状の突起25aが、導光板の出射面に設けられている。図13に示す発光パターンに比べて、X方向の幅が狭くなり、導光板の中央に向かって高輝度の領域が広がっていることが分かる。すなわち、突起25aを設けることにより、図13中のX方向における輝度の変化がシャープになり、発光部分と非発光部分との間の境界がより明確になる。そして、点光源3から放射される光を、より遠くまで伝播させることができる。
【0051】
図14に示す例では、出射面に設けられた三角状の突起25aの頂角θは、90°である。頂角θを広くしてゆくと、発光パターンの形状は、図14に示す発光パターンから、図13に示す発光パターン形状に変化して行く。すなわち、X方向の幅が広がり、導光板の端面から入射した光のY方向に伝播する距離が短くなる。
【0052】
一方、頂角θを90°よりも狭くすると、図14に示す発光パターンよりもX方向の幅が狭く、高輝度の領域がY方向に伸びるパターンを実現することができる。さらに、突起25aの高さdを変化させ、高さdと導光板の厚さtとの比(d/t)を変えることにより発光パターンを所望の形状に調整することも可能である。
【0053】
このように、導光板の出射面にストライプ状の突起を設けることにより、点光源3から放出される光による発光パターンを変化させることができる。すなわち、発光領域の発光面内における位置および大きさに合わせて発光パターンを調整することが可能である。そして、例えば、点光源3の選択により変化させることが可能な光の入射位置と、導光板に選択的に設けられた光出射パターンを組み合わせることにより、発光面内の任意の領域を発光させることができる。これにより、サイドライト方式のバックライトを用いたローカルディミングを実現することが可能となる。
【0054】
次に、図7〜図9を参照して、本実施形態に係るバックライト120におけるローカルディミングの方式を説明する。図7は、バックライト120における局部点灯を説明する模式図である。図8および図9は、バックライト120の点灯例を示す模式図である。
【0055】
図7(a)に示すように、バックライト120の発光面20には、発光領域L1〜L8および発光領域R1〜R8が設けられている。それぞれの領域を発光させる点光源31〜38および点光源41〜48は、発光面20の対向する2つの短辺に沿って配置されている。さらに、各点光源は、a、bの2段に配置され、それぞれ、導光板12および13に入射する光を放出する。
【0056】
図7(b)および(c)に示すように、バックライト120では、導光板12と導光板13とが重ねて配置されている。そして、図7(a)に示した発光面20は、表示画面側から平面視したバックライト120の発光面であり、導光板12の出射面12aに含まれる発光領域、および、導光板13の出射面13aに含まれる発光領域の両方を含んでいる。
【0057】
発光面20の左側の側面に配置された点光源31a〜38aは、光源基板2Lの上段に、点光源31b〜38bは下段にそれぞれ配置され、導光板12および13に向けて光を放出する。導光板13の裏面13bには、発光領域L1〜L4に対応する光出射パターン15が設けられ、導光板12の裏面12bには、発光領域L5〜L8に対応する光出射パターン15が設けられている。
【0058】
一方、発光面の右側の側面に配置された点光源41a〜48aは、光源基板2Rの上段に配置され、点光源41b〜48bは下段に配置され、それぞれ導光板12および13に向けて光を放出する。導光板13の裏面13bには、発光領域R1〜R4に対応する光出射パターン15が設けられ、導光板12の裏面12bには、発光領域R5〜R8に対応する光出射パターン15が設けられている。
【0059】
例えば、図7(b)に示すように、光源基板2Lの下段の点光源35bおよび36bを1つの点光源群として点灯させると、発光光は導光板13に入射し、導光板13の裏面13bに設けられた光出射パターン15により伝播方向を変えられて発光面20の方向(光学シート19の方向)に向かい、発光領域L3を発光させる。同様に、光源基板2Rの下段の点光源41bおよび42bを点灯すると、発光領域R1が発光する。
【0060】
また、発光領域L6を選択的に発光制御するためには、図7(c)に示すように、光源基板2Lの上段の点光源33aおよび34aを1つの点光源群として点灯させる。さらに、発光領域R6とR7とを選択的に発光制御するには、隣り合う2つの点光源群である、光源基板2Rの上段の点光源43aおよび44aと、点光源45aおよび46aと、を点灯させる。
【0061】
このように、バックライト120では、発光面20の両側に配置された点光源群を個別に点灯することにより、所望の領域を発光させることができる。
【0062】
この際、例えば、点光源33aおよび34aから放出された発光光が、発光領域R6に対応する領域まで伝播しないように、導光板12の表面に設けるストライプ状の突起25aを調整する。すなわち、導光板12の表面に設けられる突起25aは、点光源33aおよび34aの1つの点光源群の発光光が、発光領域L2を越えて伝搬し、発光領域L6に十分な輝度が得られるように設け、さらに、その光輝度の領域が発光領域R6に広がらないように、例えば、頂角θおよびd/hの値を調整する。
【0063】
上記の通り、本実施形態に係るバックライト120では、16の発光領域(L1〜L8、R1〜R8)を、16の点光源(31〜38、41〜48)のうちの対応する点光源を点灯することにより個別に発光させることができる。
【0064】
図8〜図10は、バックライト120の点灯例を示す平面図であり、発光面20における輝度分布を示している。
図8は、発光領域L1、L2、L5およびL6をそれぞれ発光させたときの輝度分布を示している。同図中に示す等輝度線I、IおよびIは、順に高い輝度を示している。
【0065】
図8(a)に示す発光領域L1の発光では、点光源31bおよび32bが点灯され、導光板13の中を発光光がX方向へ伝搬する。導光板13の裏面12bの両端に設けられた光出射パターン15により伝播方向を変えられた光により、発光領域L1、R1が発光している。発光領域L1は、所定の輝度(I)以上で発光しているが、発光領域R1の輝度はI以下である。そして、前述した導光板13の出射面13aに設けられた突起25aにより、Y方向における光の広がりが抑制され、発光領域L1に隣接する発光領域L2の輝度も低く抑えられている。
【0066】
図8(b)に示す発光領域L2においても、発光領域L2は、I以上の輝度で発光し、発光領域R2および隣接する発光領域L1、L3の輝度は、I以下に抑制されている。
【0067】
図8(c)に示す発光領域L5の発光では、点光源31aおよび32aが点灯される。点光源31aおよび32aから放出された発光光は、導光板12の中をX方向に伝播し、導光板12の裏面12bの中央に設けられた光出射パターン15により伝播方向が変えられ、発光領域L5を発光させる。発光領域L5に隣接する発光領域L6およびR5、R6にも光出射パターン15が設けられており、発光領域L5から連続した発光が見られるが、その輝度は、I以下に抑えられている。
【0068】
図8(d)に示す発光領域L6の発光においても、発光領域L6は、I以上の輝度で発光しているが、隣接する発光領域L5、L7およびR5、R6、R7の発光はI以下に抑制されている。
【0069】
図9は、複数の点光源を点灯させて、発光面20を帯状に発光させた例を示している。
図9(a)に示す例では、点光源31a、32a、31b、32b、41a、42a、41b、42bを点灯し、発光領域L1、L5、R1、R5を発光させている。同図に示すように、発光領域L1、L5、R1、R5は、I以上の輝度で帯状に均一に発光している。そして、隣接する発光領域L2、L6、R2、R6の輝度は、I以下に抑制されている。
【0070】
図9(b)に示す例においても、発光領域L2、L6、R2、R6は、I以上の輝度で均一に発光し、隣接する発光領域L1、L5、R1、R5と、発光領域L3、L7、R3、R7の輝度は、I以下に抑制されている。
【0071】
図9に示す帯状の発光は、導光板12および13の表面に設けられたストライプ状の突起25aの効果を示しており、Y方向の発光光の広がりを抑制し、点灯された点光源に対応する各発光領域を高輝度に発光させている。
【0072】
図10は、バックライト120の全ての点光源を点灯させた場合の発光面20の輝度分布を示している。
【0073】
図10(a)は、発光面20の輝度分布示す平面図である。各発光領域の境界を示す暗線または輝線は見られず、均一に発光している。
【0074】
図10(b)は、図10(a)中に示したXb−Xbラインに沿った輝度を表すグラフである。点光源が配置された発光面の左右の辺の近傍で輝度が高くなっているが、発光面の中央では、輝度ムラが抑制されている。
【0075】
図10(c)は、図10(a)中に示したXc−Xcラインに沿った輝度を表すグラフである。発光面の中央で輝度が高くなり、上下の辺の近傍で輝度が低下する分布を示している。
【0076】
液晶表示装置100をテレビやコンピュータのモニターとして使用する場合、均斉度が0.5以上であることが求められる。例えば、表示画面における輝度の均斉度は。次式で表すことができる。

均斉度=1−(最大輝度−最小輝度)÷最大輝度

図9に示す発光面20の輝度分布における均斉度は、0.5以上であり、液晶表示装置100のバックライトとして十分な輝度分布が得られている。
【0077】
上記の通り、本実施形態に係るバックライト120では、発光面20の相互に対向する2辺に配置された複数の点光源を個別に点灯させることにより、発光面20に含まれる16の発光領域を個別に発光させることができる。そして、バックライト120を用いた液晶表示装置100では、ローカルディミングを実施することが可能であり、消費電力の低減、および、光コントラストの向上を実現することができる。
【0078】
図7の例では、2つの点光源が1つの発光領域を発光させる構成を示したが、1つまたは3つ以上の点光源を含む点光源群により1つの発光領域を発光させる構成としても良い。
【0079】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係るバックライト140を示す模式図である。
図11(a)に示すように、本実施形態に係るバックライト140では、発光面30は、X方向に6分割、Y方向に4分割され、24の発光領域30aを含んでいる。
【0080】
図11(b)は、バックライト140の断面構造を模式的に示している。同図中に示すように、3つの導光板12、13および14が重ねて配置されており、それぞれの導光板の裏面12b、13bおよび14bには、光出射パターン15が設けられている。
【0081】
本実施形態では、最上部に配置される導光板12の裏面12bの中央に光出射パターン15が設けられ、最下部に配置される導光板14の裏面14bの両端に光出射パターン15が設けられている。そして、導光板12と導光板14との間に配置される導光板13の裏面には、中央と端の間に光出射パターン15が設けられている。これにより、X方向に6分割された発光領域に対応することができる。
【0082】
一方、点光源3は、導光板12、13および14のそれぞれに発光光を入射させるために、Z方向に3段の配列に設けられる。そして、例えば、1つの発光領域に2つの点光源を配置するとして、4分割されたY方向の1辺には、24個の点光源3a、3bおよび3cが配置される。
【0083】
上記の構成により24の発光領域を含むバックライト140を構成することが可能である。そして、発光面に含まれる発光領域を増やすためには、導光板の枚数、および、導光板の側面に配置する点光源の数を増やし、発光面を細分化すれば良い。
【0084】
さらに、点光源3の輝度を変化させることにより、点灯、非点灯のパターンに加えて各発光領域の細かな調光を実施することが可能となる。例えば、点光源3がLEDである場合には、LEDに流す電流を変化させることにより、輝度を連続的に変化させることができる。これにより、入力された画像信号の輝度情報を忠実に反映したローカルディミングを実施することが可能となる。
【0085】
(第3の実施形態)
図12は、本実施形態に係るバックライト150を示す模式図である。バックライト150では、導光板12および13の長辺に沿って点光源51〜66および71〜86が配置される点で、第1の実施形態に係るバックライト120と相違する。
【0086】
点光源51〜66は、上辺に配置された光源基板2Uにおいて、添字a、bを付した上下2段に配置され、それぞれ導光板12および13に入射する光を放出する。点光源71〜86は、下辺に配置された光源基板2Lにおいて、添字a、bを付した上下2段に配置されている。
【0087】
図12に示すように、バックライト150の発光面は、16の発光領域U1〜U8およびL1〜L8を有している。発光領域U1〜U8は、上辺に配置された点光源51〜66の内の4つの点光源を含む点光源群を個別に点灯することにより、それぞれ発光させることができる。同様に、発光領域L1−L8も、下辺に配置された点光源71〜86に含まれる点光源群を個別に点灯することにより、発光させることができる。
【0088】
例えば、発光領域U1〜U4およびL1〜L4に対応する導光板13の裏面13bには、光出射パターン15が設けられている。一方、発光領域U5〜U8およびL5〜L8に対応する導光板12の裏面12bにも、光出射パターン15が設けられている(図7参照)。
【0089】
そして、図12に示すように、光源基板2Lに実装配置された4つの点光源75b〜78bを含む点光源群を点灯することにより、発光領域L2を発光させ、点光源79a〜82aを含む点光源群を点灯することにより、発光領域L7を発光させることができる。
このように、方形の導光板12および13の長辺に沿って点光源3を配置することも可能である。
【0090】
以上、第1〜第3の実施形態において説明した液晶表示装置およびそのバックライトでは、液晶表示装置の表示画面には複数の調光領域が含まれ、バックライトに備えられる複数の導光板のそれぞれの出射面は、表示画面の調光領域の少なくともいずれか1つに対応する発光領域を有している。そして、調光領域のそれぞれは、複数の導光板に含まれる複数の発光領域の少なくともいずれか1つに対応する。
バックライトの発光面の全体を分割する発光領域を設けることにより、それに対応する複数の調光領域により表示画面の全面をカバーすることができる。
【0091】
それぞれの発光領域は、導光板の側面に配置された複数の点光源のいずれかに対応し、その点光源を点灯させることにより発光する。これにより、サイドライト方式のバックライトにおいて、個々の点光源の点灯を制御し、表示画面を局部的に調光するローカルディミングを実施することができる。そして、低消費電力でコントラストを向上させた液晶表示装置を実現することができる。
【0092】
以上、本発明に係る第1〜第3の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、出願時の技術水準に基づいて、当業者がなし得る設計変更や、材料の変更等、本発明と技術的思想を同じとする実施態様も本発明の技術的範囲に含有される。
【符号の説明】
【0093】
2、2L、2R・・・光源基板、 3、3a、3b、3c、31〜38、41〜48、51〜66、71〜86・・・点光源、 4・・・点灯回路、 10・・・表示画面、 10a・・・調光領域、 12、13、14・・・導光板、 12a、13a・・・出射面、 12b、13b、14b・・・裏面、 12c、12d、13c、13d・・・高輝度領域、 15・・・光出射パターン、 16、17、18・・・反射シート、 19・・・光学シート、 20、30、40・・・発光面、 20a、30a、L1〜L8、R1〜R8・・・発光領域、 21・・・バックフレーム、 21a・・・底面、 21b・・・側壁、 22・・・フロントフレーム、 22a・・・フレーム、 23・・・開口、 25a・・・突起、 50・・・信号変換部、 70・・・調光制御部、 90・・・駆動回路、 100・・・液晶表示装置、 110・・・液晶パネル、 120〜150・・・バックライト、 W・・・重複領域、 θ・・・頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の出射面に並べて設けられた複数のストライプ状の突起と、前記出射面の一部を相対的に高輝度に発光させる光出射パターンと、を有し、前記光の出射方向を一致させ重ねて配置された複数の導光板と、
前記複数の導光板のそれぞれに入射し前記ストライプ状の突起の延在方向に伝播する前記光を放出する複数の点光源と、
前記複数の点光源の内の少なくとも1つ以上の点光源を含む点光源群を、外部からの点灯信号により前記点光源群の単位で点灯制御することを可能とした回路配線を含む光源基板と、
を備え、
前記点光源群を点灯することにより、前記出射方向から平面視した前記複数の導光板の発光面の一部を発光させることを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記点灯信号を供給する駆動回路と、
前記駆動回路からの前記点灯信号を受けて前記点光源を点灯させる点灯回路と、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記複数の導光板は、それぞれ方形の前記出射面を有し、
前記複数の点光源は、前記複数の導光板のそれぞれの前記出射面の1辺と、その1辺に対向する辺に沿って配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記複数の導光板の内の1つの導光板に配置された前記点光源と、前記複数の導光板の内の他の導光板に配置された前記点光源と、の間を遮蔽する反射部材をさらに備え、前記反射部材は、前記他の導光板に配置された前記点光源から前記1つの導光板に入射する光を抑制することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のバックライト装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバックライト装置を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−69461(P2012−69461A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215008(P2010−215008)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】