説明

バックライト装置

[課題] 蛍光ランプ6に取り付ける保護リング9に開口11を設け、この開口11から蛍光ランプ6を出入可能にすることにより、バックライト装置の製造工程の組み替えを可能にし、低コスト化する。
[解決手段] 蛍光ランプ6、リフレクター8と、導光板1とより成るバックライト装置の蛍光ランプ6に取り付けた保護リング9に、導光板1のエッジと対向する開口11を設けている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、液晶表示装置等の背面光源として用いるバックライト装置に関し、特にリフレクターとの接触防止のため蛍光ランプに取り付ける保護リングの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エッジ方式のバックライト装置で蛍光ランプに保護リングを取り付けたものの1例として、例えば特開平5−307177号公報記載のものが存在する。すなわち、アクリル製導光板の裏面に反射板を、表面には光拡散板を設け、直管状蛍光ランプを前記導光板のエッジに沿って配置し、この蛍光ランプは、導光板のエッジ側に対向して開口する縦断面コ字形若しくはU字形のリフレクターにより保持されている。蛍光ランプに、より多量の反射光を導光板に入射するために蛍光ランプとリフレクターは可能な限り近接させることが好ましいが、蛍光ランプとリフレクターの接触による蛍光ランプの損傷を防止するために、特開平5−307177号公報第5頁図3の符号51で示されるように蛍光ランプの外周に幅狭なゴム製の保護リングを装着し、製造工程において、保護リングを備えた蛍光ランプを保護リングがリフレクター内面に当接するようにリフレクターに蛍光ランプを組み込んでも、保護リングの介在により保護リングの肉厚以上の垂直距離の隙間をリフレクター内面と蛍光ランプの外面との間に形成し、蛍光ランプはリフレクターと当接しない。そして上記保護リングを備えた蛍光ランプは、環状の保護リングに蛍光ランプの管端の一方を挿入し、保護リングを蛍光ランプの管端の一方から他方へ移動させて所望位置に装着し、ゴムホルダー、ケーブル、及びコネクターの取付工程及びリフレクター取付工程を順次経て、さらにはバックライトケースに固定的に取付ける工程により、バックライト装置を得るものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例の保護リングは環状であるため、保護リングに蛍光ランプの管端から挿入して装着しなければならず、工程数が多く工程の省略化が不可能で、また保護リングの材質もゴムなどの伸縮性、柔軟性を有するものに限定されるという問題点があった。
【0004】
そこで、本考案は、上記従来の問題点を除去するために、保護リングに蛍光ランプが出入りするための開口を設け、蛍光ランプの外側方から保護リング取付予定位置に直接保護リングを嵌め込み得るようにすることによって、製造工程の組み換え等を容易にし、低価格化を実現し、しかも信頼性の高いバックライト装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案のうち請求項1記載の考案は、直管状の蛍光ランプと、この蛍光ランプを包むように保持するリフレクターと、導光板とより成るバックライト装置であって、前記蛍光ランプに前記リフレクターとの接触防止のために保護リングを取付て成るバックライト装置において、前記保護リングに蛍光ランプを出し入れするために開口を設けたことを特徴とする。
【0006】
本考案のうち請求項2記載の考案は、保護リングの開口を開口端面が対向し、かつ開口端面が互いに僅かばかり離隔して形成されていることを特徴とする。
【0007】
本考案のうち請求項3記載の考案は、保護リングの対向する開口端面が当接して形成されていることを特徴とする。
【0008】
本考案のうち請求項4記載の考案は、保護リング開口端近傍部分が互いに円弧状に当接重合するように、一方の開口端が他方の開口端の内側方に位置し形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、保護リングは請求項5記載の考案のように幅広な円筒状に形成することもできる。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、図を参照にして本考案の実施例について説明する。
【0011】
図1はバックライト装置の実施例における構成を示す分解斜視図、図2は蛍光ランプに取り付ける保護リングの拡大平面図である。これらの図において、1は透明板状アクリル樹脂よりなる導光板であり、この導光板1のエッジ端面から横方向にかけて漸次厚味が薄くなるように表裏面が傾斜して形成されている。
【0012】
導光板1の表面には光を拡散する光拡散シート2、レンズシート3、保護シート4が配設されている。導光板1の裏面には、導光板1に入射した光を反射させるための反射シート5が配設されている。
【0013】
導光板1のエッジ端面に沿って直管状の蛍光ランプ6が配置されている。この蛍光ランプ6は、外径8.0mmφ以下、全長700mm以下のガラスバルブの内面に蛍光体被膜を形成し、内部に水銀と希ガスを封入し、両端に1対の内部電極を封入している。蛍光ランプ6の両端はゴムホルダー7、7の嵌入孔に嵌合して取り付けている。蛍光ランプ6の形状は直管状のものに限定せず、細径のガラスバルブより成るW字管、U字管等であってもよい。蛍光ランプ6はリフレクター8により保持され、導光板1のエッジに取付られている。リフレクター8はコ字溝を有し、このコ字溝に蛍光ランプ6を配備し、コ字溝の開口により、保護シート4、レンズシート3、光拡散シート2、導光板1及び反射シート5を挟み付けるように取り付けている。蛍光ランプ6の軸方向略中央位置には、保護リング9を取り付け、蛍光ランプ6とリフレクター8の内面とが接触しないようにしている。保護リング9は、対向する開口端面10、10が当接しないように僅かばかり開口端面10、10間に隙間を形成し、この隙間よりなる開口11が導光板1のエッジ端面に対向するように蛍光ランプ6に取り付けられている。そして、開口11を拡開し、この拡開された開口11より蛍光ランプ6を挿入し、挿入後は開口11を復元して保護リング9の弾性復元力で蛍光ランプ6に密着して保護リング9を取り付けるか、又は従来通り蛍光ランプ6の管端を保護リング9に挿入し、所定位置まで移動して保護リング9を蛍光ランプ6に取り付ける。保護リング9はゴム等の極めて柔軟性の高い材料の他にも、耐熱性にすぐれ、ゴムよりも硬度が僅かばかり高いエラストマー等の合成樹脂を材料として使用してもよく、幅広い材料の選定が可能になった。12は、蛍光ランプ6の内部電極に給電するためのケーブル、13はコネクタである。
【0014】
保護リング9は、蛍光ランプ6を出入れ可能な開口11を設けたので、リフレクター8に蛍光ランプ6を取り付けた後でも保護リング9を蛍光ランプ6に装着することができ、各工程の組み換えが容易になった。
【0015】
図3は他の実施例における保護リングの平面図である。開口端面10、10は対向し、且つ互いに当接している。他の構成は前述の図1及び図2に示される実施例と同様であるので、説明は省略する。
【0016】
図4は他の実施例における保護リングの平面図である。保護リング9の開口端近傍部分が互いに円弧状に当接重合している。つまり、一方の開口端の他方の開口端の内側方に位置している。開口端近傍が重合しているので、保護リング9の開口端近傍の強度が増大する。
【0017】
図5は、更に他の実施例における保護リングの斜視図である。保護リング9は略円筒状に形成されており、軸方向に沿って開口11が形成されている。他の構成は前述の図1及び図2に示されている実施例と同様であるので説明を省略する。尚、開口11を具備する保護リング9は、開口端面10、10が前述の図3に示される実施例のように当接するものや、図4に示される実施例のように開口端近傍が当接重合する保護リングも本考案に含まれている。
【0018】
又、以上の実施例においては、1の保護リングを蛍光ランプに取り付けた場合を例に説明したが、本考案はこれに限定されるものではなく、蛍光ランプに複数の保護リングを取り付けたバックライト装置も包含される。このように、複数の保護リングを蛍光ランプに取り付けると、極めて容易にリフレクターの内面と蛍光ランプが当接することなく平行状態で配備され、信頼性の高いバックライト装置を提供し得る。
【0019】
【考案の効果】
本考案は、蛍光ランプに取り付けるための保護リングに開口を設けて形成したので、蛍光ランプをリフレクターに配備した後であっても蛍光ランプの側方から保護リングを嵌め込んで取り付けることが可能で、しかも、他の製造工程中でも蛍光ランプの所望位置に保護リングを取り付けることができるため、製造工程の組み換え等が容易になり、製造時間の短縮化、省略化により低コスト化に対応でき、さらに信頼性の高いバックライト装置を提供できるという効果がある。
【0020】
又、保護リングが開口を有する構造であるので、装着時間が短縮化し、保護リングの材料もより一層幅広い材料より選択でき、バックライト装置の低価格化が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】バックライト装置の構成を示す図である。
【図2】図1に使用する保護リングの拡大平面図である。
【図3】本発明に使用する保護リングの平面図である。
【図4】保護リングの平面図である。
【図5】保護リングの斜視図である。
【符号の説明】
1 導光板
6 蛍光ランプ
8 リフレクター
9 保護リング
10 開口端面
11 開口

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 蛍光ランプと、この蛍光ランプを包むように保持するリフレクターと、導光板とより成るバックライト装置であって、前記蛍光ランプに前記リフレクターとの接触防止のために少なくとも1以上の保護リングを取り付けて成るバックライト装置において、前記保護リングに前記蛍光ランプを出し入れするための開口を設けたことを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】 上記保護リングの開口は、開口端面が対向し、かつ僅かばかり離隔して形成されていることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項3】 上記保護リングの開口は、対向する開口端面が当接して形成されていることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項4】 上記保護リングの開口端近傍部分が互いに円弧状に当接重合するように、一方の開口端が他方の開口端の内側方に位置して形成されていることを特徴とする請求項1記載のバックライト装置。
【請求項5】 上記保護リングが軸方向に幅を有する略円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3063134号
【登録日】平成11年(1999)8月4日
【発行日】平成11年(1999)10月19日
【考案の名称】バックライト装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−3663
【出願日】平成11年(1999)4月15日
【出願人】(000111672)ハリソン電機株式会社 (995)