バッグフィルター

【課題】従来のバッグフィルターは細いか固形分粒子を含む処理液を固液分離するときには、バッグの中に未濾過液が残るが、その未濾過液を全て濾過できるようにし、かつ濾過後のケークも脱水できるバッグフィルターを提供する。
【解決手段】ハウジング１と、ハウジング１内に収容されるバスケット５とバスケット５内に収容されるバッグ６とを備えたバッグフィルターにおいて、バッグ６の中に筒部１５の上端外周面に環状のツバ１４を有した脱液パイプ１３を収容して、脱液パイプ１３のツバ部下面とバッグ開口周縁部が密閉できる構造とすることにより、圧縮空気でバッグ６内の未濾過液を加圧して全量濾過することができる。また濾過終了後も圧縮空気によりケークが通気脱水されて脱水ケークを得ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は固液分離に使用される液体用加圧濾過器のバッグフィルターに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来のバッグフィルターはコンパクトな構造と簡単に濾材のバッグを交換できて使い易く、さらに廃棄物の削減ができるので、カートリッヂフィルターよりも経済的となり、近年幅広い分野で使用されている。このバッグフィルターを使って濾過した場合、バッグに目詰りが進行してバッグを取り出す時に、バッグの中に未濾過液が残ってしまう。
特に捕足粒子が小さく濾過抵抗が大きい処理液や濾過面積が大きいバッグを使用する場合には、未濾過液を無くすることができないという問題があり、バッグフィルターの欠点の一つである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
解決しようとする問題は、上記のバッグの中に残る未濾過液を全て濾過できるようにし、かつ残ったケークも脱水して、バッグの中に残るケーク量をできるだけ少なくし、バッグ交換時の廃棄物の量を減少させることを目的とする。
【問題を解決するための手段】
【０００４】
本発明は、本体部及び該本体部上端の開口を開閉自在に密閉する上蓋部を有したハウジングと、多数の孔が形成された前記ハウジング内に収容されるバスケットと、該バスケット内に収容されるバッグとを備えたバッグフィルターにおいて、筒状の上端外周面に環状のツバを有し、筒状下部は開口に形成された脱液パイプを前記バッグ内に収容し、該脱液パイプの上端ツバ部は前記バッグの開口周縁部上に設置可能となっている。
前記ツバ部は前記ハウジングの上蓋部によりバネ部材又はシール部材を介して押圧され、前記脱液パイプのツバ部下面と前記バッグ開口周縁部が密閉できる構造とした。
【発明の効果】
【０００５】
本発明の効果として、本発明に係る脱液パイプを使用することにより、本体上部より供給された圧縮空気は脱液パイプの中に入り、圧縮空気はリークすることなく、バッグ内の未濾過液を加圧して濾過を促進しバッグ内部全面に均一なケークを形成させて未濾過液を全量濾過することかできる。また濾過終了後も圧縮空気を供給し続けることにより、ケークの中の残留液は通気脱水されて、含水率の少ないドライケークとなり、ケーク廃棄量が減少すると共にバッグ取出し時の液ダレによる汚れが無くなり、重量も軽くなってバッグ交換作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
脱液パイプは筒部の断面形状を円形にすることが好ましいが、多角形や星形等の形状とすることもできる。
また筒部内の液量を少なくするために筒部を２重パイプ構造にしたり、ダミー材を筒部内側に固定して筒部の体積を増加させてもよい。筒部の材質は通常金属製を使用するが、ケーク量の多い場合には筒が変形可能となるゴムや樹脂製を使用することもできる。筒部の長さは通常バッグの全長より２０ｍｍ〜２００ｍｍ程度短くするのが適当である。
【実施例】
【０００７】
本発明の実施例１を図面に従って説明する。
図面１は脱液工程時の従来のバッグフィルターの断面図を示す。
ハウジング１は、上端が開口した円筒タンクの本体２と開閉可能な上蓋３を備えた密閉容器で、本体２の内部に設けた係止輪４の内径側にバスケット５を装置している。バスケット５は多孔板からなり、上部が開口している円筒状容器でその中に袋状の濾材であるバッグ６を収容し、その開口周縁部上を固定金具７とバネ８で押圧し密閉している。
本体２には液入口弁９と濾液出口弁１０及び空気入口弁１１が接続されており、上蓋３には脱気弁１２が接続されている。
【０００８】
次に運転時の濾過工程では、液入口弁９から本体内に加圧供給された処理液はバッグ６の内側から外側へと濾過されて、濾液弁１０から濾液は送出され、固体粒子はバッグ６の中に残る。濾過終了後にバッグ６を交換する時には、本体２内部の未濾過液を濾過する脱液工程を行う。脱液工程では、液入口弁９を閉じて、空気入口弁１１を開き圧縮空気で加圧して本体２内の未濾過液を濾過するが、未濾過液の液面がバッグ６の上部から下方にさがると、圧縮空気がバッグ６の気層部になった部分からリークして、濾液出口弁１０から排気されて本体２内の圧力が大気圧に近づく。バッグ６内の未濾過液は微少の圧力差で濾過されることになり、全量濾過をするには長時間を要するか又はケーク抵抗の大きな処理液の場合はほとんど濾過ができなくなり、バッグ６の中に未濾過液Ａが残る。
【０００９】
図２は本発明のバッグフィルターで脱液工程時の断面図を示す。
本発明のバッグフィルターは図１に示した従来のバッグフィルターの構成の中で固定金具７を脱液パイプ１３に取り替えるのみである。本発明による脱液工程では、空気入口弁１１から供給された圧縮空気は本体２内に残っている未濾過液を脱液パイプ１３の円筒下端の開口部に液面が到達するまで加圧して濾過を続けることができる。液面が脱液パイプ１３の最下端を過ぎると、圧縮空気はバッグ６の濾過面積全面から通気することになり、ケーク中の保留液を通気脱水して、含水率の低い脱水ケークＢになる。
実施例１では、本体２に１本のバッグ６を使用した場合を示しているが、本体２に装着するバッグ６は複数本使用することもある。
また実施例１では、本体の上方部に液入口を設けたサイド入液方法を示しているが、上蓋部に液入口を設けたトップ入液方式とすることもできる。
【００１０】
図３及び図４は脱液パイプの詳細図を示す。
脱液パイプ１３はバッグ６の全長より２０ｍｍ〜２００ｍｍぐらい短い筒部１５の上端に環状のツバ１４を備えており、バッグの開口周縁部上に設置可能となっている。
筒部１５の外周面には、稼動時のショックや振動、脈動によるバッグ６の負担を軽減し、バッグ６をバスケット５に正しく収容するためにガイド１６を設ける場合もある。
【産業上の利用可能性】
【００１１】
本発明の活用例としては、細かい固形分粒子を含む固液分離の必要なスラリー処理液に最適である。
またスラリー濃度が高くてケーク量が多くなる処理液には通気脱水により、ケーク廃棄量が大幅に削減できるので本発明のバッグフィルターを利用すると有効である。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】従来のバッグフィルターの断面図
【図２】実施例１のバッグフィルターの断面図
【図３】実施例１の脱液パイプの断面図
【図４】実施例１の脱液パイプの下面図
【符号の説明】
【００１３】
１：ハウジング
２：本体
３：上蓋
４：係止輪
５：バスケット
６：バッグ
７：固定金具
８：バネ
９：液入口弁
１０：濾液出口弁
１１：空気入口弁
１２：脱気弁
１３：脱液パイプ
１４：ツバ
１５：筒部
１６：ガイド
Ａ：未濾過液
Ｂ：脱水ケーク

【特許請求の範囲】
【請求項１】
本体部及び該本体部上端の開口を開閉自在に密閉する上蓋部を有したハウジングと、多数の孔が形成された前記ハウジング内に収容されるバスケットと、該バスケット内に収容されるバッグとを備えたバッグフィルターにおいて、筒状の上端外周面に環状のツバを有し、筒状下部は開口に形成された脱液パイプを前記バッグ内に収容し、該脱液パイプの上端ツバ部は前記バッグの開口周縁部上に設置可能となっている。
前記ツバ部は前記ハウジングの上蓋部によりバネ部材又はシール部材を介して押圧され、前記脱液パイプのツバ部下面と前記バッグ開口周縁部が密閉できる構造としたことを特徴とするバッグフィルター。

【図１】