説明

バッテリ寿命を延ばす方法

電力を節約し、装置のバッテリ寿命を延ばす方法及びシステムを提供する。当該方法及びシステムは、キャパシタからの未使用のエネルギーを変換し装置のバッテリに戻すセーブ回路を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタからバッテリ内に余剰電力を引き戻すことによる、キャパシタを必要とするバッテリ電源式装置の寿命を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日使用される多くの装置は、短期間に高い電圧を必要とする。これを達成するために、このような装置は、キャパシタを有している。キャパシタの機能は、バッテリ又はその他の電源からのエネルギーを蓄積し、そしてバッテリが供給するものよりも高い電圧が装置によって必要とされるときに、そのエネルギーを供給することである。キャパシタの性質は、一旦キャパシタ内に電荷が蓄積されると、電荷がその時点で必要とされる場合は装置に放電され、或いは散逸させられて、装置にエネルギーを供給しないでこれを無駄にし、そしてバッテリ電力を絶えず消費することによりバッテリの寿命を短くするように、エネルギーを絶えず損失するというものである。
【0003】
多くのハンドヘルド又はバッテリ駆動式の装置がこのように機能する。例えばカメラのフラッシュ、携帯電話機、ポケットベル(登録商標)、モニター、テレビ受像機、双安定ディスプレイ、及び標識は全て、動作中、高電圧の短時間のバーストを必要とする。この電圧はキャパシタによって供給される。
【0004】
例えば双方向ディスプレイ、及び記憶能力を有するその他の媒体、例えば電気泳動システムは、連続的に駆動されるディスプレイシステムにおいて使用されるよりも高い電圧を必要とすることがある。週に数回、又はこれよりも低い頻度で更新される例えば電子棚ラベルのような、バッテリを使用するディスプレイシステムにおいて、更新頻度の低いメモリーディスプレイが有用である。メモリーディスプレイは、半導体スイッチング素子、選択的に、ディスプレイ媒体上の電極に電圧を印加し、そしてこれを取り除く、例えばCMOSドライバによって書き込むことができる。このディスプレイのための駆動素子は、書き込みプロセス中に一定の電圧を有する電源を必要とすることがある。書き込みプロセスを可能にするために、充電回路が、バッテリから蓄積キャパシタ内に高い電圧を発生させることにより、書き込み時のディスプレイドライバに対して一定に近い電圧を維持することができる。キャパシタ内に蓄積されたエネルギーは、キャパシタ上の電圧を著しく低下させることなしに、書き込みプロセス中に必要となる電力を供給するのに十分でなければならない。例えば、キャパシタ電圧が所要駆動電圧を5%超下回るレベルまで低下することができない場合、20倍の駆動電力を駆動キャパシタに蓄積することができる。書き込みプロセス後、キャパシタ上に高い駆動電圧で電力は蓄積される。キャパシタの内部インピーダンスにより、蓄積された電力は、書き込みサイクルが低頻度である場合には、時間とともに散逸させられることがある。高電圧電力の大部分、典型的には90パーセントを上回る電力が、エネルギー散逸によって各書き込みサイクルにおいて無駄になることがある。
【0005】
米国特許出願公開第2003/0001813号明細書(Sekiguchi)には、携帯用装置、具体的にはディスプレイにおける省電力方法の必要性が開示されている。Sekiguchiは、強誘電性液晶に電場を印加する波形を改変することにより、電力を節約する。Sekiguchiは、ディスプレイに電圧が印加されている選択時間を長くすることにより、より低い電圧でディスプレイを駆動することを可能にし、これにより電力を節約することを開示している。Sekiguchiは、開示されていない電源によって供給される、正及び負の極性を有する種々の電圧を使用する。
【0006】
米国特許出願公開第2003/0135772号明細書(Haulk他)には、電子棚ラベル(ESL)システムにおけるバッテリ電力を節約する方法及び装置が開示されている。ESLは、送信されたデータを聞き、そして送信されたデータに基づいて、電子ディスプレイ上の価格情報を更新する。データ受信プロセスは、システムが連続的にデータの送信を受信するならば、多大なエネルギーを必要とする。Haulk他は、設定された期間にわたって受信手段をターンオフすることにより消費電力を低減する。Haulk他は、ディスプレイのために連続的な低電圧を必要とするコンベンショナルな電子ディスプレイを使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不定期のインターバル又は長期にわたる規則的なインターバルを置いた短い期間に高い電圧を必要とする機能を有するバッテリ電源式装置の場合、この機能のために必要となるエネルギーのうちの非常に多くのものを、キャパシタ上に高い電圧で蓄積することができる。このキャパシタから、このエネルギーは使用されるか又は散逸させられる。散逸は、蓄積エネルギーを必要とする機能の間に長いインターバルが生じる場合に、より頻繁に生じる。バッテリからキャパシタへの絶え間ない電力流失、そしてこれに続くキャパシタからの散逸による損失が、バッテリ寿命を短くする。それぞれの機能後に、キャパシタ上に蓄積されたエネルギーを回収し、これによりバッテリ寿命を延ばすことが有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
バッテリと、キャパシタと、該バッテリから該キャパシタを介して定期的に電力を引き出す被電力供給ユニットと、セーブ回路とを含んで成る、システム内で電力を節約する方法が提供され、該方法は、該キャパシタから該セーブ回路を介してエネルギーを該バッテリに供給することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の利点は、キャパシタ内の余剰電力を、バッテリ内に蓄積された使用可能なエネルギーに変換することにより、バッテリの電力利用を改善し、これによりバッテリ寿命を高めることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
キャパシタを含むバッテリ電源式システム内のエネルギーを節約する方法を説明する。この場合、キャパシタ内の余剰エネルギーを新しい経路によってバッテリに戻し、これにより、バッテリ寿命を延ばす。この方法及びシステムは、キャパシタとバッテリとの間のセーブ回路の使用を含む。キャパシタからのエネルギーを、バッテリと適合することのできる電圧及び/又はアンペア数まで下げ、次いで、蓄積及び更なる使用のためにバッテリに移す。
【0011】
この方法は、バッテリが供給できるよりも高い電圧又はアンペア数の短時間のバーストを提供するキャパシタに依存している任意のバッテリ電源式電子装置において用いることができる。このようなシステムにおいて、キャパシタは、バッテリからエネルギーを引き出して蓄積するために使用され、エネルギーは次いでキャパシタによって、正しいアンペア数又は電圧で装置に供給されるか、又はある特定の時間枠内で使用されない場合には散逸させられる。
【0012】
セーブ回路は、ランダムな又は低頻度のインターバルを置いた高エネルギーの短時間バーストを必要とする任意の電気装置に使用することができる。例えば、セーブ回路は、双安定ディスプレイ装置、例えば液晶ディスプレイ;カメラフラッシュ;携帯電話機ディスプレイ;フラッシュランプ;標識;及び臨時の高出力利用、又は長いインターバルを置いた高出力利用を伴うその他の装置を含むディスプレイ装置において使用することができる。セーブ回路の使用は、バッテリがアクセスしにくい場合、バッテリがアクセス不能である場合、又は装置が電力に関してランダムに又は低頻度でチェックされる場合に有利である。なぜならば、セーブ回路はバッテリの寿命を延ばすことができるからである。
【0013】
セーブ回路は、キャパシタとバッテリとの間に位置することができる。本明細書中に使用される「バッテリ」は、単一のバッテリ、直列又は並列の配列で使用される1つ又は2つ以上のバッテリ、又は任意のその他のモジュール電源を意味することができ、そして「キャパシタ」は、1つのキャパシタ、又は直列又は並列の2つ以上のキャパシタを意味することができる。セーブ回路は、キャパシタからバッテリへ、エネルギーを引き出すことができる。キャパシタからのエネルギーでバッテリを再供給するために、バッテリには、所定の電流でエネルギーを供給することができる。セーブ回路は、バッテリによって必要とされる電流速度と等しいセーブ電流速度を用いて、バッテリの要件を満たすべく、キャパシタとバッテリとの間の電流を制御するように構成することができる。
【0014】
キャパシタが充電された後、又は充電され、そして装置に電力供給するために使用された後、このキャパシタから、セーブ電流速度で余剰電力を取り出すことができる。キャパシタからの電力は、セーブ回路を用いてバッテリ内に、より低い電圧で蓄積することができるので、キャパシタの放電によって通常は失われるエネルギーが保存される。
【0015】
図1は、セーブ回路100を形成するために使用することができる構成部分例を示す詳細な概略図である。セーブ回路は、1つ又は2つ以上の抵抗器、半導体素子、トランジスタスイッチング素子、又はこれらの組み合わせを含むことができる。素子の組み合わせは、キャパシタとバッテリとの間のエネルギー損失が最小限に抑えられるセーブ電流Isaveを効率的に形成するように構成されている。図1に示すように、一つの態様では、セーブ回路100は、トランジスタ素子Tと、一組の抵抗器素子Rとを含むことができる。これらの素子は、バッテリ90の電荷受容能力と適合可能なセーブ電流Isaveを供給するように選択される。電流経路内で抵抗器を通る電流の損失が全く又は最小限にしかない効率的なセーブ電流Isaveを供給するように、他のセーブ回路を構成することもできる。
【0016】
装置内でセーブ回路を使用すると、キャパシタからバッテリ内に余剰エネルギーをチャネリングすることにより、充電事象1回当たりに損失されるエネルギー量を低減することができる。未使用エネルギーをバッテリに加え戻すことにより、バッテリ寿命が長くなり、装置の寿命、バッテリ交換の間の作業時間、又はその両方が長くなる。
【0017】
セーブ回路は、装置内の他の電気的構成部品内に一体的に組み込むことができる。例えば、セーブ回路は、単一の高電圧シリコンチップ、例えばマイクロプロセッサ又はディスプレイドライバ上に存在することができる。全ての制御用構成部品、例えばセーブ回路、ディスプレイドライバ、及びプロセッサを、単一の集積半導体チップ上に配置することが有利な場合がある。
【0018】
図2は、セーブ回路の一例としての、ディスプレイ装置10を駆動するのに使用することができる駆動回路例を示すブロックダイヤグラムである。バッテリ90は、充電回路92にエネルギーを供給することができる。充電回路92は、バッテリ電圧よりも高い電圧で、キャパシタ94上にエネルギーを供給することができる。ディスプレイ10に書き込む必要があるときに、プロセッサ96は、信号Eを使用して、充電回路92を選択的に可能化することができる。充電回路92がキャパシタ94上に適切な電圧を形成した後、プロセッサ96はディスプレイドライバ98に信号を供給することにより、キャパシタ94からディスプレイ10へ電圧を印加することができる。一旦電圧がディスプレイ10に印加されると、余剰電圧がキャパシタ94上にまだ存在することがあり得る。余剰電圧は、セーブ回路100を介してキャパシタ94から引き取ることができる。この場合余剰電圧は、これを保存しておくためにバッテリ90内に導入することができる電流又は電圧まで下げることができる。
【0019】
セーブ回路とともに種々のディスプレイを使用することができる。例えば、バッテリ電源式ディスプレイをこの回路とともに使用して、電力を節約し、そしてバッテリ寿命を延ばすことができる。このような電池式ディスプレイは、1つ又は2つ以上の電気的に画像形成可能な材料を含むことができる。電気的に画像形成可能な材料は発光性又は光変調性であってよい。発光材料は性質上、無機又は有機であることが可能である。発光材料の一例としては、有機発光ダイオード(OLED)又は高分子発光ダイオード(PLED)が挙げられる。光変調材料は、反射性又は透過性であることが可能である。光変調材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばGyricon粒子、エレクトロクロミック材料、又は液晶材料を含むことができる。液晶材料は、ねじれネマティック(TN)、超ねじれネマティック(STN)、強誘電性、磁性、又はキラルネマティック液晶を含むことができる。或る特定の実施態様によれば、材料はキラルネマティック液晶を含むことができる。キラルネマティック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。
【0020】
或る特定の態様では、電気的に画像形成可能な材料は、電場によってアドレッシングされ、次いで電場が除去された後、その画像を保持することができる。この特性は「双安定」と呼ばれる。双安定を示す特に好適な電気的に画像形成可能な材料は、電気化学材料;電気泳動材料、例えばGyricon粒子;エレクトロクロミック材料;磁性材料;又はネマティック又はキラルネマティック液晶である。或る特定の態様では、双安定材料はキラルネマティック液晶を含むことができる。キラルネマティック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。好適なキラルネマティック液晶材料は、米国特許第5,695,682号明細書に開示されたコレステリック液晶、及びHawthorne, NY在、EM Industriesから入手可能なMerck BL112、BL118又はBL126を含むことができる。
【0021】
セーブ回路とともに使用するのに適したディスプレイは、ディスプレイ製造の当業者に知られている方法によって形成することができる。ディスプレイ10は双安定材料、例えばキラルネマティック液晶を含む場合、図3に示されているように、第1のパターン化導電性層20を有する支持体15に、双方向材料30を塗布することができ、或いは、双安定材料30から成る予め形成された層を、第1の導電性層20上に配置することができる。双安定材料30上に第2の導電性層40を形成して、種々の強度及び継続期間の電場を双安定材料30に印加するのを可能にすることにより、反射状態から透過状態へ、又はその逆方向に状態を変化させることができる。第2の導電性層40は、第1の導電性層20のパターニングに対して非平行にパターン化することができる。第1の導電性層20と第2の導電性層40との交差点は画素を形成することができる。画素内の双安定材料30は、第1の導電性層20と第2の導電性層40との間に電場が印加されると、状態を変化させることができる。第2の導電性層40は、厚膜印刷、スパッタ塗布、又はその他の印刷又は塗布手段によって、双方向材料層30上に形成された導電性文字セグメントであってよい。導電性文字セグメントは、任意の周知の水性導電性材料、例えば炭素、グラファイト、又は銀、例えばAcheson Corporation から入手されるElectrodag 423SSスクリーン印刷可能導電性材料であってよい。導電性文字セグメントは、0-9の数字、スラッシュ、小数点、ドル記号、セント記号、又は任意のその他のアルファニューメリック文字又はシンボルを形成するように配列することができる。双方向材料層30と第2の導電性層40との間に暗層35を形成することにより、双安定材料が或る特定の状態にあるときに、光を吸収し且つ/又は背景色を提供し、双方向材料層30の状態間にコントラストをもたらすことができる。電場が取り除かれた後、双方向材料は、所定の状態を無期限に維持することができる。
【0022】
ディスプレイ及びその他の装置を駆動スキームで電子的に駆動することができる。駆動スキーム、及び任意の所定の装置に電力供給するために駆動スキームにおいて使用される電圧は、具体的な装置、装置の所要電力、及び利用可能な電源に依存することになる。例えば、双方向キラルネマティックディスプレイは、バッテリで電力供給することができ、そしていくつかの周知の駆動スキームのいずれかを用いて駆動することができる。これらの駆動スキームの一例としては、U/√2動的駆動スキーム(Rybalochka他、「Simple Drive Scheme for Bistable Cholesteric LCDs(双方向コレステリックLCDのためのシンプルな駆動スキーム)」第882-885頁、及び「Dynamic Drive Scheme for Fast Addressing of Cholesteric Displays(コレステリックディスプレイの高速アドレッシングのための動的駆動スキーム)」SID 2000、第818-821頁);可変周波数パルスを利用した駆動スキーム(米国特許出願公開第2002/0109661号明細書に開示);過渡的なプレーナー状態と安定的なプレーナー状態との間で液晶にパルスを供給して、ディスプレイをフォーカルコニック状態に駆動するための、多様な電圧を用いた動的駆動スキーム(米国特許出願公開第2003/0085863号明細書に開示);及び、単一電圧による動的駆動スキーム(Rybalochka他、「Simple Drive Scheme for Bistable Cholesteric LCDs」SID 2001 International Symposium Digest of Technical Papers、第85頁、及び、米国特許出願第10/845,704号明細書(Johnson))が挙げられる。
【0023】
図4は、単一電圧による動的駆動スキームを用いて、ディスプレイ10の書き込みサイクル中に図2のキャパシタ94を横切って引き出された電圧を示すタイミングダイアグラムである。この場合、単一の電圧Uが、ディスプレイの行ドライバ及び列ドライバの両方に供給されることにより、画像を形成し、そして全てのドライバが、Uの印加と、事実上ゼロボルトである電気接地状態との間で切り換えられる。時間t1中、充電回路92はキャパシタ94内にエネルギーをポンピングすることにより、高い電圧Uを形成する。時間t2中、プロセッサ96は画像をディスプレイ10に書き込む。十分なエネルギーがキャパシタ94内に蓄積されているので、電圧Uが、書き込みサイクル時間t2中に所定のレベルU'を下回るほど降下することはない。コンベンショナルな駆動回路の場合には、充電回路92は次いで信号Eを使用して不能化され、そしてキャパシタ94内に残った電力は、曲線D1によって示されるように、時間t3経過後にU'からゼロに減少することになる。キャパシタ94内に蓄積された電力は、1/2(CV2)として表すことができる。この式中、Cは電流であり、そしてVは電圧である。書き込みサイクル間の継続時間が長い用途の場合、キャパシタからの電圧はゼロに減少することがあり、そしてキャパシタ94内のエネルギーの全てが失われることがある。キャパシタ94の内部抵抗は、エネルギーのほとんどを含有する高い電圧で、極めて急速にエネルギーを消耗する可能性がある。例えば電圧がUの半分に減少した場合、エネルギーの75パーセントが失われ得る。
【0024】
図2に示されたセーブ回路100を使用すると、可能化ラインEを使用してプロセッサ96が充電回路92を不能化することができたときに、セーブ回路100はキャパシタ94からバッテリ90にエネルギーを流出させ、これにより、キャパシタ94内にまだ存在するエネルギーのほとんどを保存しておくことができる。ディスプレイ書き込みシーケンス後、電力をキャパシタ94からセーブ電流速度で取り出すことができ、そしてバッテリ90を横切る電力は、図4の曲線D2に従うことができる。曲線D2は、エネルギーが、(D1によって示された自然の放電の遅さとは対照的に)キャパシタ94から急速に取り出され、そして、バッテリ90内に蓄積するために移されることを表している。キャパシタ94におけるよりも低い電圧で、電力をバッテリ90内に蓄積することができるので、キャパシタ94によって通常は失われるエネルギーの少なくとも一部をとっておくことができる。
【0025】
セーブ回路は種々異なる事象によってトリガーすることができる。例えば、キャパシタの放電後にセーブ回路を実行するように装置をプログラミングすることにより、設定期間後、又は連続的に所期装置を運転することができる。セーブ電流速度に応じて、セーブ回路を連続的に実行することができる。なぜならば、セーブ電流速度は、電力の蓄積、及び必要時にキャパシタから装置へ電力を放出することを妨害しないように低くすることができるからである。キャパシタは、必要に応じて、又は規則的なインターバルを置いて、又は連続的に、バッテリから電力を引き出すようになっていてもよい。キャパシタからバッテリへ或る特定の電力量を戻すために回路Isaveによって必要とされる時間は、キャパシタの充電及び放電のために必要とされる時間の量よりも著しく少ないことが可能である。
【0026】
所定のシステム内のセーブ回路の有用性は、電源の電圧、キャパシタのキャパシタンス、システム内のセーブ回路の効率に依存することができる。電源とキャパシタとの間の電圧の差が小さくても、例えば1ボルト未満でも、セーブ回路を介して保存された電流は、装置の同じ又は他の機能を作動して、これにより、装置寿命を延ばし;少なくとも所望の量だけ、例えば少なくとも10%、25%、50%、75%又はそれ以上だけバッテリ寿命を長くし;或いはその両方を実現するのに十分であり得る。セーブ回路は、短時間に所定の電源にしては高い電圧が必要とされる装置において最も効果的であり得る。例えば、セーブ回路は、キャパシタが電力を供給しなければならない時間が1秒未満、例えば0.5秒未満である場合に使用することができる。セーブ回路は、さもなければキャパシタから失われてしまう電力の30%、例えば、さもなければ失われてしまう電力の少なくとも50%、少なくとも70%、又は少なくとも80%を保存することができる。
【0027】
好ましくは、キャパシタからバッテリへエネルギーを貯えるために必要となる時間は、キャパシタの充電と放電との間の時間よりも短い。しかし、最初のセーブ回路実行時間部分中に、キャパシタからほとんどのエネルギーが回収されるので、キャパシタの充電と放電との間の短いインターバルにセーブ回路を使用することは、たとえセーブ回路が所定のインターバル中にキャパシタから電源に電力を移すのを完了できないとしても、多量のエネルギーを取り戻すのに有用であり得る。
【0028】
本明細書中で説明したように、セーブ回路を使用することによって、バッテリ及び装置の寿命を長くし、そして電力の損失を低減することができる。このような回路は、さもなければ時間とともにキャパシタの放電によって失われるエネルギーを保存するために、キャパシタによってバッテリと電力駆動式装置との間で電圧又はアンペア数が高められるいずれの電子装置においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、セーブ回路を示す概略図である。
【図2】図2は、ディスプレイを駆動するために使用される駆動回路を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3は、ディスプレイを示す斜視図である。
【図4】図4は、書き込みサイクル中にキャパシタを横切る電圧を示すタイミングダイアグラムである。
【符号の説明】
【0030】
10 ディスプレイ
15 ディスプレイ支持体
20 第1の透明導体
30 コレステリック層
35 暗層
40 第2の導体
90 バッテリ
92 充電回路
94 キャパシタ
96 プロセッサ
98 ディスプレイドライバ
100 セーブ回路
U 高電圧
U' 最小電圧
Isave 保存される電流
T トランジスタ
R 抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、キャパシタと、該バッテリから該キャパシタを介して定期的に電力を引き出す被電力供給ユニットと、セーブ回路とを含んで成る、システム内で電力を節約する方法であって、該方法は、該キャパシタから該セーブ回路を介してエネルギーを該バッテリに供給することを含む。
【請求項2】
該システムが、ディスプレイ装置、カメラディスプレイ、電話機ディスプレイ、カメラフラッシュユニット、又はフラッシュランプを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該システムが、双安定液晶ディスプレイを有するディスプレイ装置を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該キャパシタから該セーブ回路を介して該バッテリに供給されるエネルギーが、さもなければ該キャパシタから失われるエネルギー量の少なくとも30%である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
バッテリと、キャパシタと、該バッテリから該キャパシタを介して定期的に電力を引き出す被電力供給ユニットと、セーブ回路とを含んで成る、システム内でバッテリ寿命を長くする方法であって、該方法は、該キャパシタから該セーブ回路を介してエネルギーを該バッテリに供給することを含むバッテリ寿命を長くする方法。
【請求項6】
該システムが、ディスプレイ装置、カメラディスプレイ、電話機ディスプレイ、カメラフラッシュユニット、又はフラッシュランプを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該システムが、双安定液晶ディスプレイを有するディスプレイ装置を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該バッテリ寿命を少なくとも10パーセント長くする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
該バッテリ寿命を少なくとも30パーセント長くする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
バッテリと、キャパシタと、該キャパシタと該バッテリとの間のセーブ回路とを含んで成る装置であって、該キャパシタから該セーブ回路を介して該バッテリに、エネルギーが供給される装置。
【請求項11】
該装置が、双安定ディスプレイである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
該装置が、液晶ディスプレイ装置である請求項10に記載の装置。
【請求項13】
該装置が、カメラディスプレイ、電話機ディスプレイ、カメラフラッシュユニット、又はフラッシュランプである請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−523779(P2008−523779A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545516(P2007−545516)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/043296
【国際公開番号】WO2006/062786
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】