バネ式矯正用デバイス
ユーザの足に接触するクレードルと、クレードルの下部にあるバネ板と、バネ板の下にある腹側ピボットと、バネ板の上方且つクレードルの下方において腹側ピボットの近位に位置する背側ピボットとを備えるバネ式矯正用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般に、短靴は、インソール、すなわち短靴の内側底部と、地面に接触するアウトソールと、場合によってはアウトソールとインソールとの間のミッドソールとから成る。ミッドソールの目的は、多くの場合、歩行の衝撃を吸収する衝撃吸収材として作用し、付加的なクッションを提供することであり、この理由から、EVAおよびポリウレタンなどの材料が使用される場合が多い。
【0002】
アーチサポートとも呼ばれる矯正用挿入物は、インソールの上に、またはインソールの代わりに短靴に入れられる挿入物である。矯正器具は、歩行中の足のアラインメントおよび側方移動を矯正し、それによって、足だけではなく、膝、臀部、および腰部など、身体の他の部分の疼痛を減少させるのに使用される。また、矯正器具は、不安定な関節の安定性を高め、変形した足がさらなる問題を発現するのを防ぐことができる。剛性の矯正用デバイスは、一般に、注型によって作られ、プラスチックまたは炭素繊維などの材料から作ることができる。
【0003】
短靴に挿入された炭素繊維および鋼板は、靴底の補強用としても知られている。そのような挿入物は、関節炎を患う個人に対してさらなる快適さをもたらすことができる。
【発明の概要】
【0004】
現代の人間環境における硬表面(石、コンクリート、およびアスファルト)の使用により、ヒトの筋骨格系が持ちこたえられるように進化してきた力に比べて、筋骨格系が直面する力は変化してきた。そうした表面からの衝撃エネルギーは圧縮/縦波を通して身体に入るが、より高い周波数かつより短い波長の波は骨組織および高密度組織(dense tissues)を通して、より低い周波数かつより長い波長の波は軟組織および脂肪組織を通して身体に入る。そのような衝撃エネルギーは、次に破壊力に変換され、筋肉と腱の位置エネルギー、熱、および場合によっては、障害に結び付く身体的損傷に変換される。一部の個人が経験する体重の増加、および運動と適応度の全体的な減少は、そうした身体的損傷を悪化させる可能性がある。
【0005】
本発明は、地面との衝撃によって患者が経験する身体的損傷および障害を緩和する手段を提供する。本発明の装置は、健常な個人および運動性の低い個人両方に対して歩行運動の効率と安定性を向上させるとともに、穿刺創からの保護を提供するのに使用される、機械的利点をもたらす単純なバネ式機械の三点矯正用関節(tricorrectional joint)/バネ式矯正器具を備える。
【0006】
本発明の装置は、固体表面上で歩行運動サイクルを行う、ヒトの肢などの付属肢を使用して、移動運動を支援するのに有用である。装置は、
(a)下側表面と、
(b)水平に延びる支持体の下方に配置され、水平に延びる支持体に機械的に接続された第1の平面状バネ板であって、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間の外側側部、近位端と遠位端との間の内側側部、上側表面、および下側表面を有し、水平に延びる支持体の近位端およびバネ板の近位端が垂直の拡張部によって分離された、バネ板と、
(c)バネ板の下方に配置され、バネ板に機械的に接続された腹側ピボット(ventral pivot)であって、歩行運動サイクルの第1部分の間に地面反力を受ける第1の平面状バネ板上の地点の遠位側で、第1の平面状バネ板の外側側部と内側側部との間に配置された腹側ピボットとを備える。
【0007】
また、本発明の装置は、好ましくは、水平に延びる支持体とバネ板との間に配置され、支持体およびバネ板の両方に機械的に接続された背側ピボット(dorsal pivot)であって、腹側ピボットの近位側に配置された背側ピボットをさらに含む。背側ピボットおよび腹側ピボットは、例えば、楕円形、半球状、管状、正方形、または曲線状であることができ、かつ中空であることができる、断面形状を有する外表面を備えることができる。また、1つまたは複数の爪先ピボットを、腹側ピボットの遠位側に位置する地点で、第1の平面状バネ板の下側表面に取り付けることができる。
【0008】
水平に延びる支持体は、炭素繊維、金属、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、またはガラス繊維からなる群より選択された材料から作ることができる。水平に延びる支持体は、ヒトの足を受け入れるように構成されたクレードルを形成することもでき、クレードルの遠位端は、好ましくは患者の足のあゆみ底(ball)の下方の地点に隣接した、歩行運動サイクルの第2部分の間に地面反力を受ける第1の平面状バネ板上の地点の近位側にある、第1の平面状バネ板の上方の地点まで延びるのが好ましい。
【0009】
第1の平面状バネ板は、炭素繊維、ポリカーボネートプラスチック、および鋼からなる群より選択された材料、好ましくはKEVLAR繊維を含む炭素繊維および/またはガラス繊維から作られる。また、バネ係数、弾性係数、および引張り強さからなる群より選択された異なる性質をそれぞれ有する、複数の材料から作ることができる。第1の平面状バネ板の遠位端は、また、好ましくは半球状である、下向きに延びる凸面形状を含むことができる。
【0010】
さらなる実施形態では、本発明の装置は、近位端および遠位端を有する垂直に延びる支持体に取り付けることができ、遠位端は、水平に延びる支持体の上側表面に機械的に接続される。垂直に延びる支持体の近位端にハンドルを取り付けることによって、クラッチを形成することができる。垂直に延びる支持体の近位端にブレースを取り付けることによって、AFOを形成することができる。さらに、切断肢のレセプタクルを垂直に延びる支持体の遠位端に接続することによって、義肢を形成することができる。垂直に延びる支持体の遠位端は、また、ロボットまたは生体工学メカニズムなどの機械的装置に機械的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
【図1B】本発明のバネ式矯正用デバイスの別の実施形態を示す斜視図である。
【図2A】本発明のバネ式矯正用デバイスのさらなる実施形態を示す前面斜視図である。
【図2B】図2Aのバネ式矯正器具の背面斜視図である。
【図3A】本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態におけるクレードルの下面を示す平面図である。
【図3B】本発明のバネ式矯正用デバイスの代替実施形態におけるクレードルの下面を示す平面図である。
【図3C】本発明のバネ式矯正用デバイスの別の代替実施形態におけるクレードルの下面を示す平面図である。
【図4A】本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態におけるバネ板の下面を示す平面図である。
【図4B】バネ板の一実施形態の平面図である。
【図4C】バネ板の別の実施形態の平面図である。
【図4D】剪断低減(shear-reducing)構成を有する本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
【図4E】ブーツ内にある本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態の側面断面図である。
【図4F】ブーツ内の前足部バネを備える本発明のバネ式矯正用デバイスの別の実施形態を示す側面断面図である。
【図4G】本発明のバネ式矯正用デバイスを履物とともに使用することによって提供される機械的利点を示す図である。
【図5A】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ短下肢装具の斜視図である。
【図5B】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ代替の短下肢装具の斜視図である。
【図6A】本発明のバネ式矯正器具を実施する義肢の斜視図である。
【図6B】本発明のバネ式矯正器具を実施する膝歩行器(knee-walker)の斜視図である。
【図7A】本発明のバネ式矯正器具を実施するクラッチの斜視図である。
【図7B】本発明のバネ式矯正用デバイスを実施する代替のクラッチの斜視図である。
【図7C】本発明のバネ式矯正用デバイスを短下肢装具およびクラッチとともに使用することによって提供される機械的利点を示す図である。
【図8】耐穿刺性が向上した本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す上面斜視図である。
【図9】2つのバネ板を利用する本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す下面斜視図である。
【図10】本発明のバネ式矯正用デバイスにおける予荷重を受けたバネ板の踵に掛かる力を示す図である。
【図11】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図12】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図13】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図14】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図15】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図16】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ履物を含む垂直跳び試験の結果を示す図である。
【図17】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ履物を含む立ち幅跳び試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書で使用するとき、以下の用語およびそれらの変形は、用語が使用される文脈によって別の意味が明らかに意図される場合を除いて、以下に示される意味を有する。
【0013】
本発明の装置のうち1つの構成要素に対して「上方」および「下方」とは、本発明の装置を使用することが意図される地面または他の表面上で使用するために装置が置かれたときの、これら構成要素の位置を説明する。例えば、本明細書に記載されるようなバネ板は、バネ板の下面が地面および/または装置が入れられる短靴に面するとき、バネ板が接続されるクレードルの下方にある。
【0014】
「短下肢装具」(AFO)は、足関節、および足の全体もしくは一部を包み込む、矯正器具またはブレースである。
【0015】
「付属肢」は、個人の身体に、またはメカニズムもしくは他の構造体に取り付けられるか、別の形で接続される突出部を指す。本明細書で言及される付属肢は、肢(例えば、クラッチによって支持された脚もしくは腕)または移動運動メカニズム用の支持体など、移動運動に使用される付属肢である。そのような付属肢は、一般に、身体またはメカニズムに丁番接続される。
【0016】
足の「アーチ」(単数または複数)は、足根骨および中足骨によって、かつそれに関連する、足による重量の支持を可能にする靭帯および腱によって形成されるアーチを指す。
【0017】
「軸線」は、そこを中心にして何らかのものが屈曲もしくは回転する、特にそこを中心にして本発明の装置におけるバネ板の一部分が屈曲する、地点または線を指す。
【0018】
足の「あゆみ底」は、踵が持ち上げられたときに身体の重量が掛かる、爪先とアーチとの間にあるヒトの足の裏の肉厚部分(padded portion)を指す。
【0019】
「踵骨隆起」は、踵の突出部を形成する、踵骨の下端および後端である。
【0020】
「炭素繊維」は、直径約0.005〜0.010mmの非常に薄い繊維から成り、主に炭素原子でできている材料を指す。炭素原子は、繊維の長軸に対してほぼ平行に整列した微視的結晶の形で互いに接合される。結晶の整列によって繊維はそのサイズに比して強くなる。数千の炭素繊維を加撚して撚糸を形成することができ、それ自体を使用するか、または製織して布地とすることができる。炭素繊維は、多くの異なる製織パターンを有し、また、高比強度材料を提供するため、可塑性樹脂と組み合わせ、巻回または成型して、炭素繊維強化プラスチック(炭素繊維とも呼ばれる)などの複合材料を形成することができる。
【0021】
「複合材料」は、完成した構造内において巨視的レベルで別個でかつ明確なままである、物理的または化学的性質が著しく異なる2つ以上の構成材料から作られる材料である。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「クレードル」は、クレードルの下方に位置する1つまたは複数のピボットに対して支持を提供する、水平に延びる剛性または半剛性の構造を意味する。本発明の足用矯正器具の実施形態に使用されるとき、クレードルは、短靴に挿入される矯正用デバイスの上側表面が足および足首を安定化させる助けとなる形で、ヒトの足の下面の少なくとも一部分に適応する上側表面を有することができる。いくつかの実施形態では、クレードルの上側表面は、後述するように、特定のユーザの足の形状および湾曲に一致するように形成され、他の実施形態では、矯正器具の上側表面は、少なくともユーザの部分集合における足の下面の形状にほぼ一致する形状を備えることができる。本発明の装置に使用されるクレードルは剛性である。
【0023】
「クラッチ」は、脚もしくは足以外の肢または身体部分を使用する移動運動中、ヒトの患者を支持する剛性の支持体である。
【0024】
「背側」は、本発明のバネ式矯正用デバイスのクレードルおよびバネ板の腹側表面が地面に向かって面するとき、地面から離れることを意味する。
【0025】
「足」は、移動運動のために患者によって使用される脚または他の支持体の下肢である。
【0026】
「足用矯正器具」は、移動運動において下肢(足、足首、膝、または脚)を支援する矯正器具を指す。
【0027】
「履物」は、短靴、ブーツ、ならびに環境および/または装飾品に対する保護のため、足に着用される他の被覆物を指す。
【0028】
「歩行運動」は、歩行、走行、またはヒトの肢などの付属肢を使用して達成される他の形態の移動運動のプロセスにおいて、患者がとる身体的行為を指す。
【0029】
「歩行運動サイクル」は、付属肢を使用して移動運動を遂行するために反復して行われる一連の行為である。歩行運動サイクルは、1つのイベント(例えば、足の使用を伴うときの踵接地)から、同じ付属肢を用いた同じイベントの次の発生までで測定される。
【0030】
「地面反力」は、身体が地面と接触すると地面から受ける力を意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、「地面」は、床、歩道、土、岩、および本発明の装置のユーザが歩き回る他の表面を含む、本発明の装置および/または本発明の装置を備える履物が接触する任意の固体表面を指すことができる。
【0032】
「ハンドル」は、物体を使用もしくは移動するために保持されるように設計された、物体の突出部または他の付属肢を指す。
【0033】
足の「踵」は、足の後側(通常の移動方向の反対)の端部を指し、ヒトの足の場合、アーチの後方にある足裏の肉厚部分である。
【0034】
「踵接地」は、前進移動運動中に患者の(または患者の足を覆う短靴の)踵が地面に最初に接触するときの、歩行運動サイクルの瞬間を指す。
【0035】
「水平」は、地面にほぼ平行、または30°以内、より好ましくは15°以内の方向を意味する。
【0036】
「衝撃疾患(impact disease)」は、移動運動中における地面に対する患者の足の衝撃力に起因する、またはそのような力が要因である、患者の1つまたは複数の病状を指す。そうした疾患としては、足底筋膜炎、アキレス腱炎、膝蓋腱炎、後脛骨筋腱炎(tibialis posterior tendinitis)、代償性扁平足(compensated pes planus)、変形関節炎、腱滑膜炎、股関節および仙骨腸骨の機能不全、脊椎炎、ならびに腰部の病態が挙げられる。
【0037】
「インソール」は、ユーザの足が上に載る履物の一個片の部分を指す。
【0038】
「外側」は、足の外側に向いていることを、すなわち最も小さい足指(「小指」)が通常位置する側に向いていることを意味する。
【0039】
「移動運動」は、個々の患者による移動を指す。
【0040】
「機械的に接続された」は、直接の物理的接触に基づく接続によって、あるいは別の機械的構造を介して物理的に接続されることを意味する。後述される背側の踵ピボットは、例えば、いくつかの実施形態において、本発明の装置のクレードルとバネ板との間の機械的接続を提供する。機械的接続は、接着剤の使用、または機械的に接続された構造を固定する他の手段を含むことができる。
【0041】
「内側」は、足の内部に向いていることを、すなわち足の親指が通常位置する面に向いていることを意味する。
【0042】
「ミッドソール」は、1個の履物のインソールとアウトソールとの間に位置する履物の一部分を指す。
【0043】
「矯正器具」は、身体の一部に外部から適用されて、身体の一部を支持する、変形を矯正する、疼痛を軽減する、かつ/または身体の一部の機能を改善する装置を意味する。
【0044】
「アウトソール」は、短靴の底部を含み、地面と接触する短靴またはブーツの外側ソールを指す。
【0045】
「ピボット」は、ピボットの長さによって規定される軸線を中心にして屈曲もしくは旋回する別の構造体を支持し、一般にその長さに垂直な方向から曲げ応力を受ける、軸体、ビーム、または突起など、剛性の部材または構造体を指す。
【0046】
「平面状」は、主として二次元で延びる、すなわち、構造体の長さおよび幅がそれぞれ厚さよりも大きく、好ましくは少なくとも5倍大きく、より好ましくは少なくとも10倍大きく、さらにより好ましくは少なくとも20倍大きい構造体を指す。
【0047】
「義肢」は、欠損した身体部分に代わる機械的装置を指す。
【0048】
「短靴」は、本明細書で使用するとき、足用ブレースなどの治療用の足被覆物を含む、足の支持または保護を提供する足被覆物、ならびにブーツ、ドレスシューズ、および運動靴などの従来の短靴を指す。短靴は義足を被覆することもできる。
【0049】
「バネ板」は、機械的エネルギーを保存するように弾性的に変形することができる、1つまたは複数の材料を含む平面状装置を指す。
【0050】
「患者」は、本明細書に記載されるようなバネ式矯正用デバイスのユーザを指す。患者は通常はヒトであるが、動物または機械的装置による本発明のシステムの使用も可能である。
【0051】
「足趾離地」は、前進移動運動中に患者の足(または患者の足の下方にある短靴もしくは装置)と地面との間で最後の接触が起こるときの、歩行運動サイクルの瞬間を指す。
【0052】
「腹側」は、本発明のバネ式矯正用デバイスのクレードルおよびバネ板の腹側表面が地面に向かって面するとき、地面に向かうことを意味する。
【0053】
「垂直」は、地面に向かうまたは地面から離れる、かつ水平ではない方向を指す。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「備える」と、「備えている」および「備える」などのその活用形は、他の付加物、構成要素、整数、またはステップを除外しないものとする。本明細書において、名詞の単数形、および指示語と共に名詞を使用する場合、文脈の中で特に別途指定しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈すべきである。
【0055】
足矯正用デバイス
図1Aは、本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す。この実施形態では、本発明のバネ式矯正器具は、クレードル10、少なくとも1つのピボット50、およびバネ板100を備える。クレードル10は、剛性または半剛性材料から形成され、近位端12、遠位端14、内側端13、外側端15、およびほぼ平面の背側表面16を含む。背側表面16は、その内側端13と外側端15との間の幅と、ユーザの足の踵の下側表面、すなわち腹側表面に接触し支持するのに十分な、近位端12と遠位端14との間の長さとを有する。
【0056】
好ましくは、クレードル10の背側表面16は、ユーザの足の少なくとも踵部分の外形に一致するように形作られ、図1Aの実施形態など、クレードル10が遠位側に延びてユーザの足の爪先に接触する一実施形態では、クレードル10は、好ましくは、ユーザの足の下面における残りの部分の外形にも一致するように形成される。すなわち、図1Aに示されるように、クレードル10の背側表面16は、ユーザの足の下面の形状または外形を反転した形状を備える。図1Bのような他の実施形態では、クレードル10は、近位端12における踵部分から爪先の近位側の地点(クレードルがユーザに着用されたとき)までしか延在せず、好ましくは、ユーザの足のあゆみ底に隣接するか、またはその近位側にあるが、好ましくは、クレードル10はユーザの足のアーチを支持するように十分に遠位側に延びる。ユーザの足における中足骨頭の近位側の地点まで延びるクレードルは、中足骨頭の下の圧力を低下させ、疲労骨折を低減することができる。
【0057】
そのような実施形態では、クレードル10の背側表面16は、好ましくは特定のユーザの足の下面に一致するように形成される。この場合、クレードル10は、エチレン酢酸ビニルなどの高分子材料から形成され、ユーザの足の外形に一致するように高分子矯正器具が現在形作られているのと同じやり方で形作られることができる。他の実施形態では、あるいは、クレードルの背側表面は、平均的なユーザの足の形状を反転した形状を備えることができ、すなわち、凹面状の踵のくぼみ17および隆起したアーチ部分19を含むことができ、アーチ19は、踵のくぼみ17の遠位側に位置するとともに、クレードルの腹側表面18が地面に向かって面するようにして本発明のバネ式矯正器具を地面上または短靴内に置いて測定して、踵のくぼみ17の最も低い地点よりも高い表面を含む。
【0058】
さらなる代替例では、クレードル10の背側表面16は異なる形状を備えることができ、場合によっては平坦であることができる。背側表面16はまた、治療的矯正を実施するため、治療的に適応させるか、生体力学的に均衡させるか、または別の形で修正することができる。いくつかの実施形態では、クレードル10の背側表面16は、ユーザの足の下面の外形に一致し、ユーザの足の下面の表面に可能な限りまたは実際的な量だけ接触する表面を備え、このことは、ユーザの足の下面に対して掛かる地面反力がそれによってユーザの足の下面の表面積全体にわたって可能な限り拡散し、それによってユーザの足の下面における任意の特定の地点に対して掛かる力の量が低下するという理由で有利である。
【0059】
ユーザの足表面の下面全体にわたって地面反力が拡散することを容易にするため、クレードル10は、好ましくは、炭素繊維、金属、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、またはガラス繊維など、剛性もしくは半剛性材料から形成される。そのような材料は、一般に、少なくとも約0.001、より好ましくは少なくとも約0.05、さらにより好ましくは少なくとも約0.1の剪断弾性係数を有するが、より高い剛性が好ましい場合、係数はそれよりも高くなり得る。
【0060】
好ましい一実施形態では、クレードルは、耐穿刺性の材料から形成される。例えば、クレードルは、好ましくはKEVLARパラアラミド合成繊維を組み込んだ1つまたは複数の層を含む、炭素繊維材料の複数の層から形成することができる。好ましくは、そのようなクレードルは、KEVLAR繊維を含む炭素繊維材料の2以上の層、より好ましくは4以上の層、さらにより好ましくは8以上の層を含む。炭素繊維のスチフネスを考慮すると、炭素繊維または他の比較的剛性の材料がこの実施形態で使用されるとき、ユーザが正常に歩けるようにするため、クレードルは、好ましくは、ユーザの足のあゆみ底に隣接した地点よりも遠位側には延びない。そのようなクレードルは、ユーザの足の近位部分に対する保護を提供するため、2〜8mm厚さ、より好ましくは4〜7mm厚さなど、数mm厚さであることができる。そのようなクレードルは図8に示される。本発明のバネ式矯正用デバイス、および/または本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ履物は、また、この実施形態では、好ましくはASTM記号F2412−05(2005年3月1日に承認され、2005年3月に発行された足保護のための標準試験方法)の耐穿刺性規格を満たす。
【0061】
クレードル10の腹側表面18の下方にはバネ板100が位置する。バネ板100は、近位端112、遠位端114、内側側部113、外側側部115、背側表面116、および腹側表面118を備える。バネ板100は、ほぼ平面状の構成であり、好ましくはクレードル10よりも剛性が低く、より高い弾性係数を有する材料から形成される。本明細書に記載されるバネ板100はすべて、ほぼ平面状の材料の単一シートを含むが、ピボット50によって規定される軸線(1つもしくは複数)を中心にして変形可能であるように、互いにまたは別の構造体に機械的に接続され、かつほぼ平面状の構成で向き付けられた複数の材料片も、本発明のバネ式矯正用デバイスと関連したバネ板として使用できることが理解されるであろう。
【0062】
バネ板100は、バネ板100の近位端112の遠位側にある地点において、また好ましくは少なくともバネ板100の遠位端114またはその近位側にある別の地点においても、クレードル10に機械的に接続される。図1Aおよび1Bに示される実施形態では、クレードル10の腹側表面18はバネ板100の背側表面116と直接接触している。しかし、図2Aおよび2Bなど、他の実施形態では、クレードル10およびバネ板100は、図2Aおよび2Bに示される背側の踵ピボット160などの別の機械的構造体を介して、近位端12および112に隣接して接続することができる。
【0063】
本発明のバネ式矯正器具の重要な特徴は、クレードルに負荷が掛かっていない状態で、垂直距離がクレードル10の近位端12とバネ板100の近位端112との間で維持されなければならないことである。これによって、ユーザの歩行運動の踵接地期の間、バネ板100の近位端112が上向きに、すなわちクレードル10の近位端12の腹側表面18に向かって付勢される。このようにしてバネ板100が付勢されると、踵接地の間、地面反力の一部が吸収される。さらに、バネ板100に吸収されたエネルギーは、次に、歩行運動サイクル中、ユーザの重量がユーザの足の踵から爪先部分へと移行するにつれて解放され、それによって歩行が容易になる。
【0064】
クレードル10の近位端12とバネ板100の近位端112との間の距離を維持する必要を考慮すると、図1Aおよび1Bの実施形態では、クレードル10の腹側表面18は、バネ板100に接触する地点からバネ板100の背側表面116から上向きに延び、クレードル10は、歩行運動サイクルの少なくとも一部分の間、ユーザの踵がクレードル10に対して下向きの力を掛けるときに距離を維持するのに十分な剛性の材料から形成されるべきである。図2Aおよび2Bの実施形態では、少なくとも部分的に、クレードル10およびバネ板100の近位端に隣接し、それらの間に配置された背側の踵ピボット160によって、クレードル10の近位端12とバネ板100の近位端112との間の距離は維持される。
【0065】
図1Aおよび1Bの実施形態では、クレードル10の腹側表面18とバネ板100の背側表面116との間の接点は、上向きの地面反力がバネ板100の近位端112に対して掛かったとき、バネ板100がそこを中心にして屈曲することができる軸線として働く。近位端112がクレードル10の下面に接触するまでに移動する距離にわたって、バネ板100の近位端112が受ける変形の量は、バネ板100の弾性限界内であるはずである。
【0066】
バネ板100の下方には、内側端部143、外側端部145、背側表面146、腹側表面148、近位端147、および遠位端149を有する腹側の踵ピボット140が配置される。腹側の踵ピボット140は、バネ板100の屈曲がそこを中心にして生じる第2の軸線を提供する。ユーザの踵によって下向きの力がクレードル10に掛かると、その力の一部は腹側の踵ピボット140の近位側に掛かり、バネ板100を下向きに、すなわち、バネ板100の近位端112において腹側表面118が地面に近付くように屈曲させる。
【0067】
腹側の踵ピボット140および他のピボット50は、好ましくは長手方向であり、好ましくはバネ板100の幅の少なくとも70%にわたって延び、より好ましくはバネ板100の幅の少なくとも90%またはその全体にわたって延びるが、いくつかの実施形態では、複数のピボット50は、バネ板100がそこを中心にして屈曲することができる軸線を形成するのに使用することができる。図2Aおよび2Bに示されるピボット50は楕円形または半球状の断面を有するが、異なる形状のピボット、例えば管状のピボット、正方形の断面を有する棒、曲線状のピボット、または他の形状のピボットも使用することができる。当業者であれば、バネ板100の性質、および本発明のバネ式矯正器具内におけるピボットの配置に応じて、ピボット50の適切な形状および材料を決定することができる。
【0068】
ピボット50は、十分に剛性の材料から形成される場合、(本発明のバネ式矯正器具の重量を低減するため)図2Aおよび2Bに示されるように中空であることができるが、中実の材料片で形成することもできる。一実施形態では、背側の踵ピボット160はクレードル10と一体に成型することができる。中空ピボット、特に凸状の中空ピボットを使用する1つの利点は、ユーザの足の骨が折れる圧力よりも低い圧力で破断または変形するように設計し、それによって足の骨の疲労骨折を含む骨折からユーザを保護することによって、付加的な衝撃保護をユーザに提供できることである。
【0069】
いくつかの実施形態では、腹側の踵ピボット140は、バネ板100が機械的に接続される、短靴のソールの一部など、短靴の一部を含むことができる。そのような実施形態では、バネ板100の近位端112の下方にある短靴の部分は、歩行運動サイクルの踵接地期中のユーザの踵などによって、下向きの圧力が掛かるとバネ板100の近位端112を下向きに垂直に屈曲させるように、十分な隙間を、すなわち、バネ板100の腹側面118と短靴の底部との間の垂直空間を提供することになる。
【0070】
腹側の踵ピボット140は、好ましくは、バネ板100の幅の少なくとも一部分にわたって長手方向に、すなわち、バネ板100の内側側部113と外側側部115との間に延びる。腹側の踵ピボット140の長手方向の範囲、すなわち内側端部143と外側端部145との間の距離は、好ましくは、下向きの踵の圧力がユーザの踵によって掛かると、バネ板100の全幅が腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点を中心にして均等に屈曲するのに十分である。このことが、バネ板のより多くの部分が屈曲するのを可能にし、それによって、ユーザのヒールによって下向きの圧力がバネ板100に掛かると、より多くのバネ力が提供されて活用される。この理由から、腹側の踵ピボット140はまた、腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点を中心にしてバネ板100が屈曲するのに十分な剛性である。ユーザの歩行運動の踵接地期の間、下向きの踵の圧力がバネ板100の近位端112に加えられるとき、腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点は、腹側の踵ピボット140の近位端147またはそれに隣接している。
【0071】
上述の記載では、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ板100は、ユーザの歩行運動の踵接地期の間は二重に屈曲し、結果として、バネ板100が単一の軸線のみを中心にして屈曲する場合よりも多くの量の力を吸収することが分かる。腹側の踵ピボット140によって作られる軸線を中心にした第1の屈曲は、ユーザの足の踵によって掛かる下向きの力によって発生し、一方で、図1Aおよび1Bの実施形態において、第2の屈曲は、クレードル10の腹側表面18がバネ板100の背側表面116に接触する地点によって作られる軸線の地点を中心にして発生することができる。図2Aおよび2Bの実施形態では、第2の屈曲軸線は、背側の踵ピボット160がバネ板100に接触する、背側の踵ピボット160の腹側表面168またはそれに隣接して発生する。
【0072】
図2Aおよび2Bに示される好ましい一実施形態では、第2のピボット50、すなわち背側の踵ピボット160は、クレードル10の腹側表面18とバネ板100の背側表面116との間に位置する。背側の踵ピボット160は、腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点の近位側にある所望の軸線の地点に位置する。背側の踵ピボット160は、好ましくは、腹側の踵ピボット140と類似の物理的および構造的特性を有し、腹側の踵ピボット140と同じまたは類似の材料から作ることができる。同様に、背側の踵ピボット160は、クレードル10の腹側表面18に機械的に接続された背側表面166と、バネ板100の背側表面116と機械的に接続している腹側表面168とを備える。背側の踵ピボット160は、さらに、内側側部163、外側側部165、近位端167、および遠位端169を備える。
【0073】
好ましくは、屈曲軸線が発生する背側の踵ピボット160の近位端167とバネ板100の近位端112との間に比較的短い距離のみを提供するため、背側の踵ピボット160はバネ板100の近位端112に隣接して位置する。上述したように、そのようなより短い距離を提供することによって、バネ板100の近位端112に対して掛けられるてこ比がより小さくなり、したがって、バネ板100は、より短い屈曲の瞬間でより大きい地面反力を吸収することができる。好ましい一実施形態では、背側の踵ピボット160はバネ板100の近位端112から約4cm以内にあり、より好ましい実施形態では、背側の踵ピボット160はバネ板100の近位端112から約1cm以内にある。
【0074】
ユーザの踵におけるピーク圧力点は、踵骨粗面の下方である踵の表面上の地点にある。したがって、好ましい実施形態では、ユーザの踵がクレードル10の背側表面16と接触しているとき、背側の踵ピボット160は踵骨粗面の下方で垂直に位置する。クレードル10の背側表面16が踵のくぼみ17を含む実施形態では、したがって、背側の踵ピボット160を最適に位置付けるため、背側の踵ピボット160は踵のくぼみ17を作る凹状表面の中央の下方に位置する。
【0075】
背側の踵ピボット160は、好ましくはその幅よりも長い長さを有し、背側の踵ピボットの長さは、好ましくは、クレードル10の内側端部13またはそれに隣接した地点からクレードル10の背側表面16上で外側端部15またはそれに隣接した地点まで延びる。また、背側の踵ピボット160の長さは、好ましくはクレードル10の長手方向軸線にほぼ垂直である。図1A〜2Bの実施形態はそのようなピボットを用い、バネ板100が背側の踵ピボット160の表面に沿って滑らかに屈曲するように、ピボットはその長手方向軸線に沿って丸み付けされる。炭素繊維のバネ板100を使用する実施形態において、ピボット50に尖った角度を使用すると炭素繊維を破壊しがちなことがあるので、そのような実施形態では丸み付けされたピボットが一般に好ましい。他の実施形態では、背側の踵ピボット160の長さは、5°、10°、15°、30°、または他の所望の角度など、クレードル10の長手方向の範囲に対して角度付けすることができる。
【0076】
図3A〜3Cに示されるような代替実施形態では、背側の踵ピボット160は、その長手方向の範囲に沿って1つもしくは複数の平坦なまたは湾曲した表面を含むことができる。図3Aの実施形態では、バネ板100に接触し、好ましくはバネ板100に固定される低い平坦表面161が提供される。近位側の平坦表面162は、ピボットの下側表面161からクレードル10の腹側表面18まで近位側に延び、腹側の平坦表面164は、ピボットの下側表面161からクレードル10の腹側表面18まで遠位側に延びる。図3Aの表面161および162など、規定の角度で交わる平坦表面を提供することで、バネ板100がより鋭角で屈曲し、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ特性に影響を与えることができる。角度は90°であることができ、または20°、30°、45°の角度、もしくは他の所望の角度など、図3Aに示されるような鋭角であることができる。それに加えて、異なるバネ特性を提供するため、規定の角度で連結された複数の平坦表面は、下側表面161とクレードル10の腹側表面18との間に設けることもできる。
【0077】
図1A〜3Aの実施形態では、そのようなピボットの下側表面161がそれらの長手方向の範囲に沿ってクレードル10の背側表面18にほぼ平行である、背側の踵ピボット160が示される。図3Bは、下側表面161がクレードル10の背側表面18に対して斜角を形成するように、ピボットが踵ピボットの他の外側側部に比べて一方の外側側部で持ち上げられている、ピボットのさらなる代替実施形態を示す。図示される実施形態では、外側側部165は背側表面18から内側側部163よりも長く延びるが、内側側部163が背側表面18から外側側部165よりも長く延びる実施形態も可能である。図3Bの実施形態は、足の反転および外転(回内)の矯正を支援することができ、また、足首を安定させ、足のアーチを持ち上げる助けとすることができる。
【0078】
平坦表面を備えた背側の踵ピボット160に加えて、あるいは、そのようなピボットは、図3Cの実施形態のような、湾曲した表面を備える、または含む代替形状を備えることができる。この実施形態では、背側の踵ピボットは半球形状の下側表面を備える。この実施形態のピボット50によって、足首の強化が可能になり、脚および臀部の柔軟性が高まる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ブレーシング(bracing)、すなわちバネ式矯正用デバイスに取り付けられた、または別の形で機械的に接続された剛性支持体を含むことも有利であり得る。そのようなブレーシングは、さらに機械的利点を提供し、装置の効率を高め、ユーザの踵が持ち上がるのを、すなわち、装置のクレードル10の表面またはクレードルの上方にあるインソールと接触しなくなりそこから分離されるのを防ぐのを支援することができる。
【0080】
バネ板
本発明のバネ式矯正器具の利点の1つは、ユーザが足の障害または他の損傷を、特に肥満、糖尿病、競技スポーツ、およびエクササイズによって起こった損傷を経験したときの状況で、ユーザの足の下面に掛かるピーク地面反力を低減することにある。そのようなユーザの足の下面に掛かり、ユーザの身体に伝達される地面反力を低減することによって、本発明のバネ式矯正用デバイスは、ユーザの足および/または身体の他の部分(足首、臀部、膝、および腰部など)に対する疼痛ならびにさらなる障害あるいは損傷を低減する。平均体重よりも重いユーザに対する付加的な利益を考慮すると、バネ板100は、好ましくは、平均体重(現在、米国では女性で約72kg、男性で86kg)よりも重い個人に掛かる地面反力の2%超過、より好ましくは10%超過、さらにより好ましくは50%超過を吸収するように構成される。より好ましくは、バネ板100は、人口のうち個人の体重の95パーセンタイルにおいて、すなわち約113〜122kgにおいて、個人に対して同様の地面反力を吸収するように構成することができる。いくつかの例では、バネコネクタは、80kgの重量など、さらにより重い重量の個人の地面反力を吸収するように構成することができる。
【0081】
本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ板100は、機械的エネルギーを保存し、次に解放するため、移動運動中に装置に掛かる力によって弾性的に変形することができる材料から形成される。バネ板100は、機械的エネルギーを保存し解放するため、ポリカーボネートプラスチックなどのプラスチックおよび鋼などの金属を含む、湾曲することができる多数の材料のいずれかから形成することができる。しかし、好ましい実施形態では、バネ板100は炭素繊維などの複合材料から形成される。例えば、ガラスと炭素繊維の複合積層体を使用して、本発明のバネ板100を形成することができる。弾性係数対密度の大きい比を有する材料は、重量の低減に伴って材料のスチフネスが増加するという理由で望ましい。以下の表1は、炭素繊維材料によって提供することができる好ましい弾性係数対密度の比を示す。
【0082】
表1:弾性係数対密度
【0083】
図4Aに示されるさらなる実施形態では、本発明のバネ式矯正器具のバネ板は、腹側のあゆみ底ピボット180および/または爪先ピボット200など、さらなるピボット50を備えることができる。腹側のあゆみ底ピボット180は、内側端部183、外側端部185、背側表面186、腹側表面188、近位端187、および遠位端189を含む。腹部のあゆみ底ピボット180は、腹部の踵ピボット140と同様のやり方でバネ板100の腹側表面118と接続して配置され、ただし腹側の踵ピボット140の遠位側に位置する。ユーザの歩行運動が歩行運動サイクルの足趾離地期に移行するにつれて、腹側のあゆみ底ピボット180はその遠位端189の周りに軸線を提供し、バネ板100がそこを中心にして屈曲し、それによってユーザの足の遠位側またはあゆみ底部分に掛かる地面反力を吸収することができる。好ましくは、腹側のあゆみ底ピボット180は、ユーザの足の中足骨頭の下に配置される。それに加えて、上述したように、二重バネの利点を提供するため、腹側のあゆみ底ピボット180の近位側または遠位側のどちらかで、背側のあゆみ底ピボットをバネ板100とクレードル10との間に設けることができる。
【0084】
図4Aに示される爪先ピボット200は、その長手方向の範囲がその近位端207とその遠位端209との間である点で上述のピボット50とは異なり、すなわち、爪先ピボットの長い部分は上述のピボットの長い部分にほぼ垂直な方向に位置し、歩行運動サイクル中に足が移動する前進方向に、すなわち本発明のバネ式矯正器具の長手方向の範囲にほぼ平行である。より重要なことには、爪先ピボット200の長手方向の範囲は、屈曲がそこを中心にして側方方向で発生する長手方向の範囲に沿った軸線を提供するように、すなわち、ユーザの足の片側に優先的に掛かる地面反力を吸収するように向き付けられる。歩行運動サイクルの足趾離地期の間、ユーザの足の片側(特定の患者に応じて、内側側部または外側側部のどちらか)に対して他方の側よりも大きな下向きの力が掛かる可能性がある。したがって、爪先ピボット200は、好ましくは、歩行運動サイクルの足趾離地期の間、バネ板100の内側側部113および/または外側側部115が、そこを中心にして下向きに屈曲できる軸線を提供するように位置する。他の実施形態では、爪先ピボットの長手方向の範囲は、5°、10°、15°、30°、または他の所望の角度など、バネ板100の長手方向の範囲に対して角度付けすることができる。爪先ピボット200は、前足部の反転および外転(すなわち、回外および回内)の制御を支援することができる。他の実施形態では、ユーザの足の後部の反転および外転を制御するため、そのような長手方向に延びるピボットは、本発明の装置の近位端に、すなわち本発明のバネ板100の近位端112に隣接して位置付けることができる。
【0085】
図3A、3B、および4Aに示されるピボット50(それらの幅よりも長い長さを有する)など、異なる寸法の長さと幅を有するピボット50を組み込んだ本発明のバネ式矯正器具の実施形態では、ピボット50は、水平に回転可能であるが固定可能なやり方で、クレードル10上および/またはバネ板100上に載置することができる。この実施形態では、ピボットは、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ特性を変化させるため、固定の軸線(中央軸線またはピボットの長手方向端部に隣接した軸線)を中心にして回転させることができる。ピボットは可逆的に固定可能なので、回転させ、次に固定位置でクレードル10上および/またはバネ板100上に固定することができる。あるいは、またはそれに加えて、1つまたは複数のピボット50は垂直に調整可能であり、すなわちピボットの垂直高さを調整することができる。例えば、ピボットが、クレードル10もしくはバネ板100上の、またはそれに取り付けられたレセプタクル、歯、もしくは他の突出部を係合するレセプタクル、歯、もしくは他の突出部を備えるラチェットメカニズムを使用し、それによってピボットを回転させる歯付きメカニズムを形成して、ピボットの水平および/または垂直調整を遂行することができる。このようにして、ピボットを三次元で調整することができる。
【0086】
腹側の踵ピボット140および背側の踵ピボット160、ならびに本明細書に開示されるような他のピボットは、特定の個人の要望を満たすカスタマイズされた装置を提供するため、異なる形状、サイズ、および寸法のものであることもできる。例えば、腹側の踵ピボット140よりも高さのある背側の踵ピボット160を有するバネ式矯正器具は、バネ板100とそれに接触する下側表面との間でより長く柔らかい接触を提供することができる。別の実施形態では、背側の踵ピボット160よりも高さのある腹側の踵ピボット140を有するバネ式矯正器具は、より大きなレバー半径を提供し、本発明の装置がより多くの機械仕事を行えるようになる。
【0087】
図4Bは、歩行運動サイクルの足趾離地期の間、ユーザの足の片側に対して他方の側よりも大きい下向きの力が掛かるようにする、バネ板の一実施形態を示す。この実施形態では、これは、バネ板100の他方の外側側部に比べて異なる、バネ板の一方の外側側部に対するバネ係数、弾性係数、および/または引張り強さを有するバネ板を生産することによって遂行される。図4Bの実施形態では、バネ板100の近位端112および外側側部115におけるバネ板100の部分は第1の材料101で構成され、遠位端114の内側側部113は、異なるバネ係数、弾性係数、および/または引張り強さを有する第2の材料102で構成される。あるいは、バネ板100は一様な材料から作ることができるが、バネ板100の別の部分よりも厚いもしくは薄い部分(例えば、図4Bの領域102)を伴って形成するか、または別の材料を連結することができる。
【0088】
この同じ概念は、図4Cの実施形態に異なる形で適用され、この図は、高圧領域に加えられる力の量を低減するため、ユーザの足のあゆみ底にかかる領域103が保存し解放する機械的エネルギーが、バネ板100の周囲の部分に比べて少ない、代替のバネ板を示す。例えば、部分103は、バネ板の残りの部分に比べてより薄いまたはより柔らかい材料で形成することができる。あるいは、バネ板100は、ユーザの足に掛かる力を低減することが望ましいバネ板の領域に穴を備えることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、材料のより剛性の領域(すなわち、より高い引張り強さを有する、かつ/またはより可撓性が低い)を、ユーザの足における第1中足骨の指関節間の部分の下に設けることができる。これによって拇指のホーマン徴候が低減され、この関節の関節炎を患う個人においては、この関節の疼痛および炎症を低減することができる。本発明のバネ板100のより剛性の部分も、有利には、例えば糖尿病の結果として、ユーザが足指の切断または他の足指の欠損を経験した領域の下に設けることができる。より高い引張り強さは、1つもしくは複数の足指の欠損を補い、残りの足指に対する圧力および/または応力を低減することができる。足のあゆみ底に掛かるピーク地面反力をさらに低減するため、本発明のバネ式矯正用デバイスの遠位部分は前足部バネを備えることができる。前足部バネは、好ましくは地面反力の少なくとも約2%、より好ましくは地面反力の少なくとも約5%〜10%、さらにより好ましくはそこに掛かる地面反力の少なくとも50%を吸収することができる。
【0090】
図1〜3Aおよび4A〜4Eに示される本発明の装置の実施形態では、バネ板100は、ユーザの足の長さに沿って延び、ユーザが本発明のバネ式矯正用デバイスを使用するとき、ユーザの足のあゆみ底の下方に前足部バネ板部分120を含む。これらの実施形態における前足部バネ板120は、ほぼ平面の構成であり、バネ板100の残りの部分と同じタイプの材料から、例えば炭素繊維などの複合材料から形成することができる。図4Dに示される代替実施形態では、前足部バネ板120は、全半球または部分半球の形状であることができる、下向きに延びる凸面形状を含む。上向きの地面反力が前足部バネ120の低い凸状表面に掛かると、バネは撓み、地面反力の一部を吸収するので、前足部バネ板120の中央部分はその背側表面に対して圧力が下向きに掛かると下向きに撓むことができる。
【0091】
図4Dに示されるように、一般的に、バネ板100は一個の履物内でアウトソールの上方に位置する。図4Dでは、バネ板は、短靴の長さに沿ってバネ板100が延びる単一構造であるものとして示される。しかし、図4Eは、バネ板100が、クレードルがバネ板100に交わる位置またはそれに隣接する、足のあゆみ底までしか延びない代替実施形態を示す。次に、別個の前足部バネがバネ板100の遠位端から遠位側に延びる。このようにして、クレードルとバネ板100の接合部におけるバネ板100の破損を低減または回避しながら、歩行運動支援を依然としてユーザに提供することができる。前足部バネは、好ましくはバネ板100と重なり合い、すなわち、前足部バネの近位端はバネ板100の遠位端を越えて近位側に延びる。
【0092】
バネ板100はまた、好ましくは、本発明の短靴用矯正器具のこの実施形態を備える一個の履物内で自由に保定され、すなわち、バネ板100は、前足部バネ部120に接合または別の形で連結されないが、所望に応じて、2つの構造を連接するコネクタを当該分野で知られているやり方で提供することもできる。前足部バネ120は、類似の性質を備えたバネ板100と同じタイプの材料から作ることができ、あるいは、バネ板100と異なる性質を有する材料から形成することができる。例えば、前足部バネ120は、図4Bおよび4Cの実施形態に示されるような材料の組み合わせを含むことができ、または、バネ板100とは異なる性質を有する単一の材料を含むことができる。
【0093】
本発明のバネ式矯正用デバイスのさらなる実施形態では、装置は垂直に積み重ねられた複数のバネ板100を備えることができる。図9に示される実施形態は、上側バネ板192および下側バネ板194の2つのバネ板を含むが、追加のバネ板を使用することができる。上側バネ板192の第1の腹側の踵ピボット193は、本発明のバネ式矯正器具の他の実施形態のように背側の踵ピボット(使用される場合)に対して配置されるが、この実施形態における第1の腹側の踵ピボット193の下側表面は、下側バネ板194の上側表面と接触して、または別の形で機械的に接続されて位置する。下側バネ板194の下側表面と接触している、または別の形で機械的に接続された第2の腹側の踵ピボット195は、第1の腹側の踵ピボット193の近位側に配置され、すなわち、第1の腹側の踵ピボット193に対して下側バネ板192がそこを中心にして屈曲する軸線は、第2の腹側の踵ピボット195に対して下側バネ板192がそこを中心にして屈曲する軸線の遠位側に位置する。追加のバネ板100の使用によって、本発明のバネ式矯正用デバイスによってより大きな負荷に耐えられるようになる。
【0094】
バネ式矯正器具の動作
バネ板100の近位端112の曲げモーメント(トルク)、すなわち軸線を中心にしてバネ板100を屈曲させる回転力は、バネ板100の材料特性、ならびに、軸線地点60と、バネ板100がその上に位置する表面(ほとんどの場合、地面もしくは短靴)と接触するバネ板100の近位端112との間の距離の両方によって決まる。軸線60と近位端112との間の距離の量によって、バネ板100に掛かるてこ比の量が決まり、距離が短いほどてこ比は低く、それによってバネ板100は、より少ない撓み(屈曲)の量でより大きい地面反力を吸収することができる。バネ板100は、1°〜90°の撓み角で、好ましくは15°〜60°の撓み角で軸線地点60を中心にして屈曲するべきである。
【0095】
図10は、力によって撓んだときの位置エネルギーを保存する、カンチレバービームに対して、またはカンチレバービームによって掛かる力を示す。バネ板100の近位端112に対して、またはそれによって掛かる力(F)は、同様に、次の(式I)のように表すことができる。
【0096】
式中、
Lは、背側の踵ピボット160から近位端112までのバネ板100の長さ
δは、撓み
Eは、引張り係数(弾性係数)
wは、バネ板100の幅
hは、バネ板100の高さである。
【0097】
図11および12に示されるように、ユーザの踵によって本発明の装置のクレードル10に対して下向きの足踏み力(stepping force)が加えられると(図10)、バネ板100は腹側の踵ピボット140を中心にして下向きに屈曲して(図12)、位置エネルギーとしての足踏み力をバネ板100の材料の張力として保存する。次に、ユーザの踵の力はバネ板100を下向きに屈曲させ続け、バネ板100の近位端112がその直下にある表面(一般に、アウトソール)に接触すると、バネ板100は、地面反力(G)によって背側の踵ピボット160を中心にして上向きに屈曲する(図13)。このバネ板100の二重の屈曲は、本質的に、(上述の式Iで計算されるような)バネ板100の潜在力(揚力)を二倍にする一方で、バネ板100の材料に対する応力を効率的に最小限に抑える。
【0098】
歩行運動サイクルの後半部分の間、ユーザの踵が持ち上がると、バネ板100がその屈曲前形状に戻るにつれて、下向きの足踏み力を加えることによってバネ板100に保存された位置エネルギーが解放されて、本発明の装置のユーザが足を水平位置に戻す助けとなる。図14に示されるように、前足部バネを組み込んだ本発明の装置の実施形態では、地面反力G−1およびG−2による足のあゆみ底(図14の地点P)を中心にしたバネ板100の屈曲により、バネ板100に保存される付加的な位置エネルギーが得られる。歩行運動サイクルのこの相の間にバネ板100に保存される潜在力(P)は、次の(式II)のように表すことができる。
【0099】
式中、
Lは、地面反力G−1およびG−2が加えられる地点の間におけるバネ板100の部分の長さ
δは、撓み
Eは、引張り係数(弾性係数)
wは、バネ板100の幅
hは、バネ板100の高さである。
【0100】
バネ板100の寸法、ピボットの関係、または利用される材料を操作することによって、異なる「バネ定数(spring factors)」を達成することができる。例えば、上記式は、ピボットの間の距離(L)に非常に影響を受けやすいことが分かる。ピボットの距離が10%だけ低減された場合、踵に掛かる法線力は40%以上増加する。踵に掛かる法線力はまた、バネ板の断面形状を変化させることによって操作することができ、それによって屈曲に対するバネ板の抵抗(慣性モーメント)が増加する。バネ板の厚さを10%増加させることによって法線力が約35%増加し、厚さを二倍にすることによって力が800%増加することになる。
【0101】
本発明のバネ式矯正用デバイスによって達成することができる効率およびエネルギー保存は、本発明の装置に機械的に接続される履物および他の支持体によって提供されるてこ比によって向上する。図4Gに示されるように、バネ板100上の支点(F)から160mmの地点(P、図4Gにおける本発明の装置を含むブーツのハウジングの前部にある)で25kgの力が掛かるとき、また、支点(F)からバネ板100の遠位端140までの距離が80mmのとき、50kgの力がバネ板100の遠位端114に掛かる。これは、次式(式III)によって表される。
式中、
Fは、加えられる力
Dは、支点までの垂直距離である。
【0102】
短下肢装具
本発明のバネ式矯正用デバイスはまた、脚ブレースの必要性を求める足または脚の障害を有する個人を支援するため、短下肢装具に組み込むことができる。ユーザの足首の上方で装具のブレース部分を固定することで、バネ板100の遠位部分からより多くのトルクを活用するのを支援することができるので、装具は、そのような障害がない個人ユーザも使用することができる。図5Aに示される一実施形態では、上述のバネ式矯正器具のバネシステムを備える短下肢装具300は、垂直支持体320、クレードル310、および短下肢装具300を患者の脚に取り付けるブレースまたは締結具330を含む。この実施形態では、クレードル310の近位端312は、垂直支持体320の下端部322に取り付けられる(または一体に形成される)。垂直支持体320は、図5Aに示されるように、クレードル310の近位端312から垂直に上向きに延び、短下肢装具が着用されたときに患者の脚の後側に隣接して位置するように設計される。垂直支持体320は、炭素繊維複合材またはプラスチックなど、当業者には知られている剛性材料から作ることができ、クレードル310と同じ材料または異なる材料から作ることができる。
【0103】
図5Aに示される締結具330は、垂直支持体320の上端部324に取り付けられる。短下肢装具300を患者の脚により良好に固定するため、追加の締結具330もブレース330の長手方向の範囲に沿って位置することができる。図5Aに示される締結具330は、患者の脚の周囲に配置されるストラップを含むが、あるいは、当業者には知られているような他の構成またはメカニズムを含むことができる。同様に、垂直支持体320は、患者の必要性に応じて異なるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ユーザの膝から上向きに延びる第2の垂直支持体を、垂直支持体320に対する丁番接続によって下端部で連結することができる。
【0104】
短下肢装具300は、さらに、クレードル310の下方のバネ板301、背側の踵ピボット360、および腹側の踵ピボット340を含む。短下肢装具300の上述の構成要素は、バネ式矯正用デバイスに関して上述してきたものと同じであり、したがってここではさらに詳細には記載しない。本発明のバネ式装置に関して上述した追加のピボットおよび代替の構成も、短下肢装具300とともに使用することができ、したがってやはりここでは記載しない。
【0105】
図5Bは、短下肢装具の別の実施形態を示す。図5BのAFOの下側部分は図5Aと同一であることができる。しかし、図5Bの実施形態では、垂直支持体320の上側部分334はハンドル336を備え、好ましくはさらに締結具332を備える。この実施形態では、ユーザの足に対する圧力を軽減するため、患者は、クラッチのようにハンドル336を把持することによって、自身の体重を部分的に支持することができる。
【0106】
人工補装具
図6Aは、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネシステムを利用する人工補装具400を示す。そのような義足は、垂直支持体420、支持体420の上端部424にある1つまたは複数の締結具430、および支持体420の下端部422にある水平支持体410を備える。締結具は、この場合、切断肢を受け入れるように設計される。図6Aでは、締結具はレセプタクル430である。
【0107】
人工補装具400は、締結具430が、人工補装具400を患者の肢(この場合は切断肢)に取り付けるように構成され、ただし地面の上方で切断肢を支持するようにも設計されているという点で、図5Aの短下肢装具とは異なる。同様に、垂直支持体420は、地面表面の上方で人工補装具400を着用する個人の体重の少なくとも一部を十分に支える強度でなければならないという点で、垂直支持体320とは異なる。
【0108】
水平に延びる支持体410は、足の下面を受け入れるように形作られた水平支持体410の背側表面416には不要であるという点で、図5Aの短下肢装具のクレードル310とは異なる。図6Aに示されるように、人工補装具400は、さらに、水平支持体410の下方にあるバネ板401、背側の踵ピボット460、および腹側の踵ピボット440を備える。図6Aには示されないが、少なくともバネ板401、背側の踵ピボット460、および腹側の踵ピボット440は、一般的に、いくつかの実施形態ではヒトの足の形状に近似することができる、ハウジング内に位置する。上述した本発明のバネ式矯正器具および他の機構と共に使用される追加のピボットも、本発明によるバネ式義足に使用することができる。
【0109】
人工補装具400のユーザの正常な歩行運動を容易にするため、腹側の踵ピボット440および背側の踵ピボット460は、上述のバネ式矯正器具におけるこれら構成要素の位置付けに類似したやり方で、水平支持体410の近位端に配置される。図6Aに示される実施形態では、垂直支持体420は、腹側の踵ピボット440および背側の踵ピボット460の位置付けの遠位側にある第1の地点で、水平支持体410に取り付けられる(または一体に形成される)。しかし、代替実施形態では、垂直支持体420は、短下肢装具300の垂直支持体320がクレードル310と接続する方法に類似したやり方で、水平支持体410の近位端に近接した、または近位端の位置で、水平支持体410に取り付けることができる。図6Aに示されるように、垂直支持体420はまた、交差支持体425によって第1の地点の遠位側にある第2の地点で水平支持体410に接続され、その交差支持体425は、近位端では、下端部422の垂直方向上方にある垂直支持体420上の地点に取り付けられ、遠位端では、垂直支持体420の下端部422が水平支持体410に取り付けられる地点の遠位側にある水平支持体410上の地点に取り付けられる。交差支持体425は、代替実施形態では、垂直支持体422および/または水平支持体410と一体に形成することができ、交差支持体425と垂直支持体422との間に空間は不要である。
【0110】
図6Bは、人工補装具の別の実施形態、この場合、「膝歩行器」500または膝下に障害を負った肢の一時的な置換物を示す。この実施形態では、切断肢のレセプタクルの代わりに、ブレース530が垂直に延びる支持体の上端部424に取り付けられ、患者の脚の脛部分をブレース530に固定する1つまたは複数の締結具532が提供される。この実施形態におけるブレース530は、垂直支持体420に対してほぼ水平に延びる。
【0111】
クラッチおよび付加的用途
図7Aおよび7Bは、上述の短下肢装具および義足における垂直支持体420と垂直支持体420の下方にある他の構成要素とを利用するクラッチを示す。これらの構成要素を使用して、垂直支持体420の上端部424またはそれに隣接してハンドル636を取り付けることによって、クラッチ600を形成することができる。任意に、患者の腕用の締結具432を提供することができる。図7Aの実施形態では、ハンドルはほぼ水平にクラッチ600に取り付けられる。図7Bの実施形態では、クラッチ700の上側部分730にあるハンドル736はほぼ垂直に配置され、患者の腕を支持する水平ブレース734が、任意の締結具732と共に提供される。
【0112】
図7Cに示されるように、本発明のバネ式矯正用デバイスを、クラッチ、短下肢装具、または装置をユーザの脚に固定することを伴う他の機械的装置と併せて使用することで、装置の効率が大幅に向上し、より大きいてこ比が提供される。例えば、25kgの力が図示されるブレース330に掛かると、125kgの力がバネ板100の遠位端114に掛かる(5:1のメカニカルアドバンテージ)。
【0113】
クラッチなどのより長い支持体は、付加的なメカニカルアドバンテージを提供する。図7Cに示される実施形態では、1200mmの支持体によって15:1のメカニカルアドバンテージを得ることができる。この実施形態では、クラッチの頂部に8kgの力が掛かると、バネ板100の遠位端114での力は125kgとなり、すなわち、より長いレバーはより大きいメカニカルアドバンテージを達成する。
【0114】
あるいは、上述のバネシステムを、ロボットまたは他の機械もしくは機械的装置の移動運動システムに、特に、機械的装置を移動させるため、地面の上方に持ち上げられ、次に歩行運動サイクルの別の地点で地面に戻される支持体または他の付属肢を利用する移動運動システムに使用することもできる。本発明の装置を使用して、そのような機械的装置が受ける衝撃力を低減することができる。この実施形態は、垂直支持体420が上端部424においてロボットまたは他の機械的システムの一部に、特にそのような装置の丁番付けされた関節に取り付けられる点を除いて、図6Aに示される人工補装具400に類似していることができる。さらなる代替例では、垂直支持体420の上端部424は、生体工学システムに、すなわち生理機能を増強または置換する機械的もしくは電気機械的構成要素に取り付けることができる。
【0115】
履物
本発明のバネ式矯正用デバイスは、一般的に、短靴または他の一個の履物の内部で着用され、短靴から除去し、別の短靴に組み込むように設計することができる。そのような実施形態では、バネ式矯正器具の腹側面は、一個の履物のインソールの背側面に面し、かつ/または背側面と接触している。本発明の装置が、短下肢装具、義肢、または患者の肢を支持する他の装置も含むとき、そのような装置は、同様に、図5および6に示される実施形態のように、標準的な短靴と共に使用されるように設計することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、接着剤または縫合接続を分離することなどによって、装置を除去するために短靴が損傷を受けざるを得ないので、本発明のバネ式矯正用デバイスは不可逆的な形で短靴に組み込むことができる。そのような実施形態では、ブーツのアウトソールの上方における本発明の矯正器具の位置を示す図4Cに示されるように、本発明のバネ式矯正器具は短靴のミッドソールに取って代わることができる。
【0117】
使用方法
上述のバネ式矯正用デバイスは、地面反力を吸収することによって、ピーク地面反力を拡散させることによって、かつ装置のバネ板が吸収したエネルギーが解放されると上向きの力を掛け、それによってユーザが歩くのに必要なエネルギー量を低下させることによって、ユーザの歩行運動を容易にする。過体重の個人または下肢に障害を受けた個人の場合、上述のことは重要な利点である。
【0118】
バネ式矯正器具が患者の短靴または義肢内に存在するとき、そのような矯正器具を使用する利点は、本発明の装置が配置された短靴の近位端に上向きの地面反力が掛かる、踵接地時に始まる。バネ板100の近位端112は、踵接地時のそのような地面反力によって、背側の踵ピボット160の近位端167における軸線を中心にして(または、図1Aおよび1Bの実施形態では軸線60を中心にして)上向きに付勢(屈曲)される。同時に、またはその直後に、ユーザの踵によってクレードル10に掛かる下向きの力が、腹側の踵ピボット140の近位端147における軸線を中心にして下向きに、バネ板100のさらに遠位の部分を付勢する。背側の踵ピボット160および腹側の踵ピボット140を中心にしたバネ板100の屈曲は、エネルギーを吸収し、そのエネルギーは歩行運動サイクルにおいて後で解放される。
【0119】
歩行運動サイクルが継続し、ユーザの体重が前方に、すなわち歩行の方向に移行するにつれて、バネ式矯正器具の近位端における地面反力は低下する。背側の踵ピボット160および腹側の踵ピボット140を中心にしたバネ板100の屈曲により、バネ板100によって掛かる力の量がバネ板100の近位部分に掛かる地面反力を超過すると、バネ板100は反対方向に屈曲し始め、すなわち、バネ板100の近位端112が背側の踵ピボット160の近位端167における軸線を中心にして下向きに屈曲し、バネ板100のさらに遠位の部分が腹側の踵ピボット140の近位端147における軸線を中心にして上向きに屈曲し、それによって保存されたエネルギーが解放される。この時点ではバネ板100は上向きのバネ力を掛け、それによって、バネ式矯正器具のユーザが歩行運動サイクルのこの部分を完了するのに必要な労力の量が低減される。
【0120】
歩行運動サイクル中、ユーザの体重が前方に移行し続けるにつれて、バネ板100のより遠位の部分において下向きの力が掛かる。次に、バネ板100は、腹側のあゆみ底ピボット180の近位端187において軸線を中心にして下向きに屈曲する。歩行運動サイクルの後半で、ユーザの体重が前方に移行し続けるにつれて、腹側のあゆみ底ピボット180を中心にしてバネ板100が屈曲することによって吸収されたエネルギーが上向きに掛けられ、バネ式矯正器具のユーザが歩行運動サイクルのこの部分を完了するのに必要な労力の量がさらに低減される。
【実施例1】
【0121】
本発明のバネ式矯正器具で使用されるバネ板を炭素繊維から生産した。バネ板は、上述の式Iと関連して測定した以下の特性を有していた。
【0122】
表2:バネ板の特性
【0123】
このバネ板を撓んだ位置まで前進させるのにバネ板に掛かる/バネ板によって掛けられる力は41.25kg(90.94ポンド)であった。
【実施例2】
【0124】
図8に示されるようなクレードルを、短靴が穿刺されるリスクがあり得る用途で使用するために生産した。クレードルは、Toray700ファイバー(Toray International America Inc.,New York,NY)を使用してSigmatex(Benicia,CA)によって製織された12K炭素繊維10層、およびResin Services Inc.(Sterling Heights,MI)のエポキシ樹脂から形成した。クレードルを形成する層は、4バールの真空バッグ/オートクレーブ内に置き、次に93℃(200°F)で2時間硬化した。結果として得られたクレードルは7mm厚さであった。
【実施例3】
【0125】
6層の炭素繊維および1層のKEVLARを使用したことを除いて、上述の実施例2に記載した方法を使用してクレードルを作り、5.6mm厚さのクレードルを得た。クレードルの底部側から順に、1層の12K炭素繊維を使用し、次に6層のKEVLARを付着し、次に12K炭素繊維のさらなる層を付着した。
【実施例4】
【0126】
4層のKEVLARおよび7層の炭素繊維を使用したことを除いて、上述の実施例2に記載した方法を使用してクレードルを作った。クレードルの底部側から順に、1層の12K炭素繊維を使用し、4層のKEVLARを付着し、次にさらに6層の12K炭素繊維を付着した。
【実施例5】
【0127】
バネ板を、Toray700ファイバー(Toray International America Inc.,New York,NY)を使用してSigmatex(Benicia,CA)によって製織された12K炭素繊維の上層および下層、ならびにそれらの間のHexcel7781繊維ガラスファイバー(Hexcel Corporation,San Clemente,CA)4層を、PROSETエポキシ樹脂(Pro−Set Inc.,Bay City,MI)で接合して形成した。バネ板は、3時間にわたって82℃(180°F)まで温度を増加させ、次に82℃(180°F)で6時間硬化することにより、686mm Hg(27インチHg(.914バール))の真空バッグ/オートクレーブ内で硬化した。
【実施例6】
【0128】
一連の短靴およびブーツを耐穿刺性およびスイングウェイトについて試験した。穿刺保護は、ASTM規格F2412−05(2005年3月1日に承認され、2005年3月に発行された足保護のための標準試験方法)に従って評価した。動的スイングウェイト(慣性モーメント)は、角加速度に対する物体の抵抗力であり、次式(式IV)に従って計算される。
F=m×v2/r
式中、Fは、スイングウェイト(ニュートン単位)
mは、動いている物体の質量
vは、接線速度
rは、回転中心までの物体の距離である。
【0129】
1mの距離(r)および毎秒5.55mの接線速度を使用して履物を試験した。結果は、図16および以下の表2に示される。図16における凡例は次のとおりである。
A:CROCSサンダル
B:ナイキ製のSHOX運動靴
C:BOXER(イスラエル軍)ブーツ
D:DANNERコンバットハイカーブーツ
E:BELLEVILLEブーツ
F:5層の12K炭素繊維を含む実施例2に従って作られたRHINOレスリングシューズ(試験用短靴A)
G:8層の12K炭素繊維および1層のKEVLAR繊維を含む実施例2に従って作られたRHINOレスリングシューズ(試験用短靴B)
H:従来の18のゲージ鋼挿入物を含有するRHINOレスリングシューズ
【0130】
表3:動的スイングウェイト対穿刺保護
【0131】
より低い動的スイングウェイトは、物体の移動または加速がより簡単であることを意味する。図16のグラフで分かるように、本発明のバネ式矯正用デバイスを含む短靴は、低いスイングウェイトで優れた耐穿刺性を提供することができ、したがって、履物の所与の量のスイングウェイトにおける穿刺保護は劇的に向上している。
【実施例7】
【0132】
KEVLARを組み込んだ10mm厚さの炭素繊維クレードルを有する実施例6に使用されるものに類似したバネ式矯正器具を、跳躍性能に対する効果を評価するため、履物に組み込んだ。個人が、そのようなバネ式矯正器具を組み込んだRHINOレスリングシューズを使用して、一連の垂直跳びおよび立ち幅跳びを行い、同じ個人が、裸足で、かつナイキ製のSHOX運動靴およびBelleville軍用ブーツを用いて、同じ垂直跳びおよび立ち幅跳びを行った。
【0133】
垂直跳び試験の結果は図17に示され、立ち幅跳び試験の結果は図18に示される。図17および18の凡例A〜Eは以下のものを表す。
A:裸足
B::ナイキ製のSHOX運動靴
C:BELLEVILLEブーツ
D:KEVLARを含む10mm厚さの炭素繊維クレードルを備えたRHINOレスリングシューズ
E:平均
【0134】
上述の試験は、耐穿刺性性のクレードルを有する本発明のバネ式矯正器具を組み込んだ履物が、他の履物と同様またはそれよりも良好に機能し、本発明のバネ式矯正器具が履物の性能を減少させないことを示す。
【0135】
本発明を、特定の好ましい実施形態を参照して相当に詳細に考察してきたが、他の実施形態が可能である。本発明の方法に関して開示されるステップは、限定的であることを意図せず、また、各ステップが方法にとって本質的に必須であることを示すものではなく、単に例示的なステップである。したがって、添付の請求項の範囲は、本開示に含まれる好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。本明細書に引用されるすべての文献はそれらの全体を参照により組み込む。
【背景技術】
【0001】
一般に、短靴は、インソール、すなわち短靴の内側底部と、地面に接触するアウトソールと、場合によってはアウトソールとインソールとの間のミッドソールとから成る。ミッドソールの目的は、多くの場合、歩行の衝撃を吸収する衝撃吸収材として作用し、付加的なクッションを提供することであり、この理由から、EVAおよびポリウレタンなどの材料が使用される場合が多い。
【0002】
アーチサポートとも呼ばれる矯正用挿入物は、インソールの上に、またはインソールの代わりに短靴に入れられる挿入物である。矯正器具は、歩行中の足のアラインメントおよび側方移動を矯正し、それによって、足だけではなく、膝、臀部、および腰部など、身体の他の部分の疼痛を減少させるのに使用される。また、矯正器具は、不安定な関節の安定性を高め、変形した足がさらなる問題を発現するのを防ぐことができる。剛性の矯正用デバイスは、一般に、注型によって作られ、プラスチックまたは炭素繊維などの材料から作ることができる。
【0003】
短靴に挿入された炭素繊維および鋼板は、靴底の補強用としても知られている。そのような挿入物は、関節炎を患う個人に対してさらなる快適さをもたらすことができる。
【発明の概要】
【0004】
現代の人間環境における硬表面(石、コンクリート、およびアスファルト)の使用により、ヒトの筋骨格系が持ちこたえられるように進化してきた力に比べて、筋骨格系が直面する力は変化してきた。そうした表面からの衝撃エネルギーは圧縮/縦波を通して身体に入るが、より高い周波数かつより短い波長の波は骨組織および高密度組織(dense tissues)を通して、より低い周波数かつより長い波長の波は軟組織および脂肪組織を通して身体に入る。そのような衝撃エネルギーは、次に破壊力に変換され、筋肉と腱の位置エネルギー、熱、および場合によっては、障害に結び付く身体的損傷に変換される。一部の個人が経験する体重の増加、および運動と適応度の全体的な減少は、そうした身体的損傷を悪化させる可能性がある。
【0005】
本発明は、地面との衝撃によって患者が経験する身体的損傷および障害を緩和する手段を提供する。本発明の装置は、健常な個人および運動性の低い個人両方に対して歩行運動の効率と安定性を向上させるとともに、穿刺創からの保護を提供するのに使用される、機械的利点をもたらす単純なバネ式機械の三点矯正用関節(tricorrectional joint)/バネ式矯正器具を備える。
【0006】
本発明の装置は、固体表面上で歩行運動サイクルを行う、ヒトの肢などの付属肢を使用して、移動運動を支援するのに有用である。装置は、
(a)下側表面と、
(b)水平に延びる支持体の下方に配置され、水平に延びる支持体に機械的に接続された第1の平面状バネ板であって、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間の外側側部、近位端と遠位端との間の内側側部、上側表面、および下側表面を有し、水平に延びる支持体の近位端およびバネ板の近位端が垂直の拡張部によって分離された、バネ板と、
(c)バネ板の下方に配置され、バネ板に機械的に接続された腹側ピボット(ventral pivot)であって、歩行運動サイクルの第1部分の間に地面反力を受ける第1の平面状バネ板上の地点の遠位側で、第1の平面状バネ板の外側側部と内側側部との間に配置された腹側ピボットとを備える。
【0007】
また、本発明の装置は、好ましくは、水平に延びる支持体とバネ板との間に配置され、支持体およびバネ板の両方に機械的に接続された背側ピボット(dorsal pivot)であって、腹側ピボットの近位側に配置された背側ピボットをさらに含む。背側ピボットおよび腹側ピボットは、例えば、楕円形、半球状、管状、正方形、または曲線状であることができ、かつ中空であることができる、断面形状を有する外表面を備えることができる。また、1つまたは複数の爪先ピボットを、腹側ピボットの遠位側に位置する地点で、第1の平面状バネ板の下側表面に取り付けることができる。
【0008】
水平に延びる支持体は、炭素繊維、金属、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、またはガラス繊維からなる群より選択された材料から作ることができる。水平に延びる支持体は、ヒトの足を受け入れるように構成されたクレードルを形成することもでき、クレードルの遠位端は、好ましくは患者の足のあゆみ底(ball)の下方の地点に隣接した、歩行運動サイクルの第2部分の間に地面反力を受ける第1の平面状バネ板上の地点の近位側にある、第1の平面状バネ板の上方の地点まで延びるのが好ましい。
【0009】
第1の平面状バネ板は、炭素繊維、ポリカーボネートプラスチック、および鋼からなる群より選択された材料、好ましくはKEVLAR繊維を含む炭素繊維および/またはガラス繊維から作られる。また、バネ係数、弾性係数、および引張り強さからなる群より選択された異なる性質をそれぞれ有する、複数の材料から作ることができる。第1の平面状バネ板の遠位端は、また、好ましくは半球状である、下向きに延びる凸面形状を含むことができる。
【0010】
さらなる実施形態では、本発明の装置は、近位端および遠位端を有する垂直に延びる支持体に取り付けることができ、遠位端は、水平に延びる支持体の上側表面に機械的に接続される。垂直に延びる支持体の近位端にハンドルを取り付けることによって、クラッチを形成することができる。垂直に延びる支持体の近位端にブレースを取り付けることによって、AFOを形成することができる。さらに、切断肢のレセプタクルを垂直に延びる支持体の遠位端に接続することによって、義肢を形成することができる。垂直に延びる支持体の遠位端は、また、ロボットまたは生体工学メカニズムなどの機械的装置に機械的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
【図1B】本発明のバネ式矯正用デバイスの別の実施形態を示す斜視図である。
【図2A】本発明のバネ式矯正用デバイスのさらなる実施形態を示す前面斜視図である。
【図2B】図2Aのバネ式矯正器具の背面斜視図である。
【図3A】本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態におけるクレードルの下面を示す平面図である。
【図3B】本発明のバネ式矯正用デバイスの代替実施形態におけるクレードルの下面を示す平面図である。
【図3C】本発明のバネ式矯正用デバイスの別の代替実施形態におけるクレードルの下面を示す平面図である。
【図4A】本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態におけるバネ板の下面を示す平面図である。
【図4B】バネ板の一実施形態の平面図である。
【図4C】バネ板の別の実施形態の平面図である。
【図4D】剪断低減(shear-reducing)構成を有する本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
【図4E】ブーツ内にある本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態の側面断面図である。
【図4F】ブーツ内の前足部バネを備える本発明のバネ式矯正用デバイスの別の実施形態を示す側面断面図である。
【図4G】本発明のバネ式矯正用デバイスを履物とともに使用することによって提供される機械的利点を示す図である。
【図5A】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ短下肢装具の斜視図である。
【図5B】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ代替の短下肢装具の斜視図である。
【図6A】本発明のバネ式矯正器具を実施する義肢の斜視図である。
【図6B】本発明のバネ式矯正器具を実施する膝歩行器(knee-walker)の斜視図である。
【図7A】本発明のバネ式矯正器具を実施するクラッチの斜視図である。
【図7B】本発明のバネ式矯正用デバイスを実施する代替のクラッチの斜視図である。
【図7C】本発明のバネ式矯正用デバイスを短下肢装具およびクラッチとともに使用することによって提供される機械的利点を示す図である。
【図8】耐穿刺性が向上した本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す上面斜視図である。
【図9】2つのバネ板を利用する本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す下面斜視図である。
【図10】本発明のバネ式矯正用デバイスにおける予荷重を受けたバネ板の踵に掛かる力を示す図である。
【図11】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図12】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図13】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図14】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図15】本発明のバネ式矯正用デバイスの動作を示す図である。
【図16】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ履物を含む垂直跳び試験の結果を示す図である。
【図17】本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ履物を含む立ち幅跳び試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書で使用するとき、以下の用語およびそれらの変形は、用語が使用される文脈によって別の意味が明らかに意図される場合を除いて、以下に示される意味を有する。
【0013】
本発明の装置のうち1つの構成要素に対して「上方」および「下方」とは、本発明の装置を使用することが意図される地面または他の表面上で使用するために装置が置かれたときの、これら構成要素の位置を説明する。例えば、本明細書に記載されるようなバネ板は、バネ板の下面が地面および/または装置が入れられる短靴に面するとき、バネ板が接続されるクレードルの下方にある。
【0014】
「短下肢装具」(AFO)は、足関節、および足の全体もしくは一部を包み込む、矯正器具またはブレースである。
【0015】
「付属肢」は、個人の身体に、またはメカニズムもしくは他の構造体に取り付けられるか、別の形で接続される突出部を指す。本明細書で言及される付属肢は、肢(例えば、クラッチによって支持された脚もしくは腕)または移動運動メカニズム用の支持体など、移動運動に使用される付属肢である。そのような付属肢は、一般に、身体またはメカニズムに丁番接続される。
【0016】
足の「アーチ」(単数または複数)は、足根骨および中足骨によって、かつそれに関連する、足による重量の支持を可能にする靭帯および腱によって形成されるアーチを指す。
【0017】
「軸線」は、そこを中心にして何らかのものが屈曲もしくは回転する、特にそこを中心にして本発明の装置におけるバネ板の一部分が屈曲する、地点または線を指す。
【0018】
足の「あゆみ底」は、踵が持ち上げられたときに身体の重量が掛かる、爪先とアーチとの間にあるヒトの足の裏の肉厚部分(padded portion)を指す。
【0019】
「踵骨隆起」は、踵の突出部を形成する、踵骨の下端および後端である。
【0020】
「炭素繊維」は、直径約0.005〜0.010mmの非常に薄い繊維から成り、主に炭素原子でできている材料を指す。炭素原子は、繊維の長軸に対してほぼ平行に整列した微視的結晶の形で互いに接合される。結晶の整列によって繊維はそのサイズに比して強くなる。数千の炭素繊維を加撚して撚糸を形成することができ、それ自体を使用するか、または製織して布地とすることができる。炭素繊維は、多くの異なる製織パターンを有し、また、高比強度材料を提供するため、可塑性樹脂と組み合わせ、巻回または成型して、炭素繊維強化プラスチック(炭素繊維とも呼ばれる)などの複合材料を形成することができる。
【0021】
「複合材料」は、完成した構造内において巨視的レベルで別個でかつ明確なままである、物理的または化学的性質が著しく異なる2つ以上の構成材料から作られる材料である。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「クレードル」は、クレードルの下方に位置する1つまたは複数のピボットに対して支持を提供する、水平に延びる剛性または半剛性の構造を意味する。本発明の足用矯正器具の実施形態に使用されるとき、クレードルは、短靴に挿入される矯正用デバイスの上側表面が足および足首を安定化させる助けとなる形で、ヒトの足の下面の少なくとも一部分に適応する上側表面を有することができる。いくつかの実施形態では、クレードルの上側表面は、後述するように、特定のユーザの足の形状および湾曲に一致するように形成され、他の実施形態では、矯正器具の上側表面は、少なくともユーザの部分集合における足の下面の形状にほぼ一致する形状を備えることができる。本発明の装置に使用されるクレードルは剛性である。
【0023】
「クラッチ」は、脚もしくは足以外の肢または身体部分を使用する移動運動中、ヒトの患者を支持する剛性の支持体である。
【0024】
「背側」は、本発明のバネ式矯正用デバイスのクレードルおよびバネ板の腹側表面が地面に向かって面するとき、地面から離れることを意味する。
【0025】
「足」は、移動運動のために患者によって使用される脚または他の支持体の下肢である。
【0026】
「足用矯正器具」は、移動運動において下肢(足、足首、膝、または脚)を支援する矯正器具を指す。
【0027】
「履物」は、短靴、ブーツ、ならびに環境および/または装飾品に対する保護のため、足に着用される他の被覆物を指す。
【0028】
「歩行運動」は、歩行、走行、またはヒトの肢などの付属肢を使用して達成される他の形態の移動運動のプロセスにおいて、患者がとる身体的行為を指す。
【0029】
「歩行運動サイクル」は、付属肢を使用して移動運動を遂行するために反復して行われる一連の行為である。歩行運動サイクルは、1つのイベント(例えば、足の使用を伴うときの踵接地)から、同じ付属肢を用いた同じイベントの次の発生までで測定される。
【0030】
「地面反力」は、身体が地面と接触すると地面から受ける力を意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、「地面」は、床、歩道、土、岩、および本発明の装置のユーザが歩き回る他の表面を含む、本発明の装置および/または本発明の装置を備える履物が接触する任意の固体表面を指すことができる。
【0032】
「ハンドル」は、物体を使用もしくは移動するために保持されるように設計された、物体の突出部または他の付属肢を指す。
【0033】
足の「踵」は、足の後側(通常の移動方向の反対)の端部を指し、ヒトの足の場合、アーチの後方にある足裏の肉厚部分である。
【0034】
「踵接地」は、前進移動運動中に患者の(または患者の足を覆う短靴の)踵が地面に最初に接触するときの、歩行運動サイクルの瞬間を指す。
【0035】
「水平」は、地面にほぼ平行、または30°以内、より好ましくは15°以内の方向を意味する。
【0036】
「衝撃疾患(impact disease)」は、移動運動中における地面に対する患者の足の衝撃力に起因する、またはそのような力が要因である、患者の1つまたは複数の病状を指す。そうした疾患としては、足底筋膜炎、アキレス腱炎、膝蓋腱炎、後脛骨筋腱炎(tibialis posterior tendinitis)、代償性扁平足(compensated pes planus)、変形関節炎、腱滑膜炎、股関節および仙骨腸骨の機能不全、脊椎炎、ならびに腰部の病態が挙げられる。
【0037】
「インソール」は、ユーザの足が上に載る履物の一個片の部分を指す。
【0038】
「外側」は、足の外側に向いていることを、すなわち最も小さい足指(「小指」)が通常位置する側に向いていることを意味する。
【0039】
「移動運動」は、個々の患者による移動を指す。
【0040】
「機械的に接続された」は、直接の物理的接触に基づく接続によって、あるいは別の機械的構造を介して物理的に接続されることを意味する。後述される背側の踵ピボットは、例えば、いくつかの実施形態において、本発明の装置のクレードルとバネ板との間の機械的接続を提供する。機械的接続は、接着剤の使用、または機械的に接続された構造を固定する他の手段を含むことができる。
【0041】
「内側」は、足の内部に向いていることを、すなわち足の親指が通常位置する面に向いていることを意味する。
【0042】
「ミッドソール」は、1個の履物のインソールとアウトソールとの間に位置する履物の一部分を指す。
【0043】
「矯正器具」は、身体の一部に外部から適用されて、身体の一部を支持する、変形を矯正する、疼痛を軽減する、かつ/または身体の一部の機能を改善する装置を意味する。
【0044】
「アウトソール」は、短靴の底部を含み、地面と接触する短靴またはブーツの外側ソールを指す。
【0045】
「ピボット」は、ピボットの長さによって規定される軸線を中心にして屈曲もしくは旋回する別の構造体を支持し、一般にその長さに垂直な方向から曲げ応力を受ける、軸体、ビーム、または突起など、剛性の部材または構造体を指す。
【0046】
「平面状」は、主として二次元で延びる、すなわち、構造体の長さおよび幅がそれぞれ厚さよりも大きく、好ましくは少なくとも5倍大きく、より好ましくは少なくとも10倍大きく、さらにより好ましくは少なくとも20倍大きい構造体を指す。
【0047】
「義肢」は、欠損した身体部分に代わる機械的装置を指す。
【0048】
「短靴」は、本明細書で使用するとき、足用ブレースなどの治療用の足被覆物を含む、足の支持または保護を提供する足被覆物、ならびにブーツ、ドレスシューズ、および運動靴などの従来の短靴を指す。短靴は義足を被覆することもできる。
【0049】
「バネ板」は、機械的エネルギーを保存するように弾性的に変形することができる、1つまたは複数の材料を含む平面状装置を指す。
【0050】
「患者」は、本明細書に記載されるようなバネ式矯正用デバイスのユーザを指す。患者は通常はヒトであるが、動物または機械的装置による本発明のシステムの使用も可能である。
【0051】
「足趾離地」は、前進移動運動中に患者の足(または患者の足の下方にある短靴もしくは装置)と地面との間で最後の接触が起こるときの、歩行運動サイクルの瞬間を指す。
【0052】
「腹側」は、本発明のバネ式矯正用デバイスのクレードルおよびバネ板の腹側表面が地面に向かって面するとき、地面に向かうことを意味する。
【0053】
「垂直」は、地面に向かうまたは地面から離れる、かつ水平ではない方向を指す。
【0054】
本明細書で使用するとき、用語「備える」と、「備えている」および「備える」などのその活用形は、他の付加物、構成要素、整数、またはステップを除外しないものとする。本明細書において、名詞の単数形、および指示語と共に名詞を使用する場合、文脈の中で特に別途指定しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈すべきである。
【0055】
足矯正用デバイス
図1Aは、本発明のバネ式矯正用デバイスの一実施形態を示す。この実施形態では、本発明のバネ式矯正器具は、クレードル10、少なくとも1つのピボット50、およびバネ板100を備える。クレードル10は、剛性または半剛性材料から形成され、近位端12、遠位端14、内側端13、外側端15、およびほぼ平面の背側表面16を含む。背側表面16は、その内側端13と外側端15との間の幅と、ユーザの足の踵の下側表面、すなわち腹側表面に接触し支持するのに十分な、近位端12と遠位端14との間の長さとを有する。
【0056】
好ましくは、クレードル10の背側表面16は、ユーザの足の少なくとも踵部分の外形に一致するように形作られ、図1Aの実施形態など、クレードル10が遠位側に延びてユーザの足の爪先に接触する一実施形態では、クレードル10は、好ましくは、ユーザの足の下面における残りの部分の外形にも一致するように形成される。すなわち、図1Aに示されるように、クレードル10の背側表面16は、ユーザの足の下面の形状または外形を反転した形状を備える。図1Bのような他の実施形態では、クレードル10は、近位端12における踵部分から爪先の近位側の地点(クレードルがユーザに着用されたとき)までしか延在せず、好ましくは、ユーザの足のあゆみ底に隣接するか、またはその近位側にあるが、好ましくは、クレードル10はユーザの足のアーチを支持するように十分に遠位側に延びる。ユーザの足における中足骨頭の近位側の地点まで延びるクレードルは、中足骨頭の下の圧力を低下させ、疲労骨折を低減することができる。
【0057】
そのような実施形態では、クレードル10の背側表面16は、好ましくは特定のユーザの足の下面に一致するように形成される。この場合、クレードル10は、エチレン酢酸ビニルなどの高分子材料から形成され、ユーザの足の外形に一致するように高分子矯正器具が現在形作られているのと同じやり方で形作られることができる。他の実施形態では、あるいは、クレードルの背側表面は、平均的なユーザの足の形状を反転した形状を備えることができ、すなわち、凹面状の踵のくぼみ17および隆起したアーチ部分19を含むことができ、アーチ19は、踵のくぼみ17の遠位側に位置するとともに、クレードルの腹側表面18が地面に向かって面するようにして本発明のバネ式矯正器具を地面上または短靴内に置いて測定して、踵のくぼみ17の最も低い地点よりも高い表面を含む。
【0058】
さらなる代替例では、クレードル10の背側表面16は異なる形状を備えることができ、場合によっては平坦であることができる。背側表面16はまた、治療的矯正を実施するため、治療的に適応させるか、生体力学的に均衡させるか、または別の形で修正することができる。いくつかの実施形態では、クレードル10の背側表面16は、ユーザの足の下面の外形に一致し、ユーザの足の下面の表面に可能な限りまたは実際的な量だけ接触する表面を備え、このことは、ユーザの足の下面に対して掛かる地面反力がそれによってユーザの足の下面の表面積全体にわたって可能な限り拡散し、それによってユーザの足の下面における任意の特定の地点に対して掛かる力の量が低下するという理由で有利である。
【0059】
ユーザの足表面の下面全体にわたって地面反力が拡散することを容易にするため、クレードル10は、好ましくは、炭素繊維、金属、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、またはガラス繊維など、剛性もしくは半剛性材料から形成される。そのような材料は、一般に、少なくとも約0.001、より好ましくは少なくとも約0.05、さらにより好ましくは少なくとも約0.1の剪断弾性係数を有するが、より高い剛性が好ましい場合、係数はそれよりも高くなり得る。
【0060】
好ましい一実施形態では、クレードルは、耐穿刺性の材料から形成される。例えば、クレードルは、好ましくはKEVLARパラアラミド合成繊維を組み込んだ1つまたは複数の層を含む、炭素繊維材料の複数の層から形成することができる。好ましくは、そのようなクレードルは、KEVLAR繊維を含む炭素繊維材料の2以上の層、より好ましくは4以上の層、さらにより好ましくは8以上の層を含む。炭素繊維のスチフネスを考慮すると、炭素繊維または他の比較的剛性の材料がこの実施形態で使用されるとき、ユーザが正常に歩けるようにするため、クレードルは、好ましくは、ユーザの足のあゆみ底に隣接した地点よりも遠位側には延びない。そのようなクレードルは、ユーザの足の近位部分に対する保護を提供するため、2〜8mm厚さ、より好ましくは4〜7mm厚さなど、数mm厚さであることができる。そのようなクレードルは図8に示される。本発明のバネ式矯正用デバイス、および/または本発明のバネ式矯正用デバイスを組み込んだ履物は、また、この実施形態では、好ましくはASTM記号F2412−05(2005年3月1日に承認され、2005年3月に発行された足保護のための標準試験方法)の耐穿刺性規格を満たす。
【0061】
クレードル10の腹側表面18の下方にはバネ板100が位置する。バネ板100は、近位端112、遠位端114、内側側部113、外側側部115、背側表面116、および腹側表面118を備える。バネ板100は、ほぼ平面状の構成であり、好ましくはクレードル10よりも剛性が低く、より高い弾性係数を有する材料から形成される。本明細書に記載されるバネ板100はすべて、ほぼ平面状の材料の単一シートを含むが、ピボット50によって規定される軸線(1つもしくは複数)を中心にして変形可能であるように、互いにまたは別の構造体に機械的に接続され、かつほぼ平面状の構成で向き付けられた複数の材料片も、本発明のバネ式矯正用デバイスと関連したバネ板として使用できることが理解されるであろう。
【0062】
バネ板100は、バネ板100の近位端112の遠位側にある地点において、また好ましくは少なくともバネ板100の遠位端114またはその近位側にある別の地点においても、クレードル10に機械的に接続される。図1Aおよび1Bに示される実施形態では、クレードル10の腹側表面18はバネ板100の背側表面116と直接接触している。しかし、図2Aおよび2Bなど、他の実施形態では、クレードル10およびバネ板100は、図2Aおよび2Bに示される背側の踵ピボット160などの別の機械的構造体を介して、近位端12および112に隣接して接続することができる。
【0063】
本発明のバネ式矯正器具の重要な特徴は、クレードルに負荷が掛かっていない状態で、垂直距離がクレードル10の近位端12とバネ板100の近位端112との間で維持されなければならないことである。これによって、ユーザの歩行運動の踵接地期の間、バネ板100の近位端112が上向きに、すなわちクレードル10の近位端12の腹側表面18に向かって付勢される。このようにしてバネ板100が付勢されると、踵接地の間、地面反力の一部が吸収される。さらに、バネ板100に吸収されたエネルギーは、次に、歩行運動サイクル中、ユーザの重量がユーザの足の踵から爪先部分へと移行するにつれて解放され、それによって歩行が容易になる。
【0064】
クレードル10の近位端12とバネ板100の近位端112との間の距離を維持する必要を考慮すると、図1Aおよび1Bの実施形態では、クレードル10の腹側表面18は、バネ板100に接触する地点からバネ板100の背側表面116から上向きに延び、クレードル10は、歩行運動サイクルの少なくとも一部分の間、ユーザの踵がクレードル10に対して下向きの力を掛けるときに距離を維持するのに十分な剛性の材料から形成されるべきである。図2Aおよび2Bの実施形態では、少なくとも部分的に、クレードル10およびバネ板100の近位端に隣接し、それらの間に配置された背側の踵ピボット160によって、クレードル10の近位端12とバネ板100の近位端112との間の距離は維持される。
【0065】
図1Aおよび1Bの実施形態では、クレードル10の腹側表面18とバネ板100の背側表面116との間の接点は、上向きの地面反力がバネ板100の近位端112に対して掛かったとき、バネ板100がそこを中心にして屈曲することができる軸線として働く。近位端112がクレードル10の下面に接触するまでに移動する距離にわたって、バネ板100の近位端112が受ける変形の量は、バネ板100の弾性限界内であるはずである。
【0066】
バネ板100の下方には、内側端部143、外側端部145、背側表面146、腹側表面148、近位端147、および遠位端149を有する腹側の踵ピボット140が配置される。腹側の踵ピボット140は、バネ板100の屈曲がそこを中心にして生じる第2の軸線を提供する。ユーザの踵によって下向きの力がクレードル10に掛かると、その力の一部は腹側の踵ピボット140の近位側に掛かり、バネ板100を下向きに、すなわち、バネ板100の近位端112において腹側表面118が地面に近付くように屈曲させる。
【0067】
腹側の踵ピボット140および他のピボット50は、好ましくは長手方向であり、好ましくはバネ板100の幅の少なくとも70%にわたって延び、より好ましくはバネ板100の幅の少なくとも90%またはその全体にわたって延びるが、いくつかの実施形態では、複数のピボット50は、バネ板100がそこを中心にして屈曲することができる軸線を形成するのに使用することができる。図2Aおよび2Bに示されるピボット50は楕円形または半球状の断面を有するが、異なる形状のピボット、例えば管状のピボット、正方形の断面を有する棒、曲線状のピボット、または他の形状のピボットも使用することができる。当業者であれば、バネ板100の性質、および本発明のバネ式矯正器具内におけるピボットの配置に応じて、ピボット50の適切な形状および材料を決定することができる。
【0068】
ピボット50は、十分に剛性の材料から形成される場合、(本発明のバネ式矯正器具の重量を低減するため)図2Aおよび2Bに示されるように中空であることができるが、中実の材料片で形成することもできる。一実施形態では、背側の踵ピボット160はクレードル10と一体に成型することができる。中空ピボット、特に凸状の中空ピボットを使用する1つの利点は、ユーザの足の骨が折れる圧力よりも低い圧力で破断または変形するように設計し、それによって足の骨の疲労骨折を含む骨折からユーザを保護することによって、付加的な衝撃保護をユーザに提供できることである。
【0069】
いくつかの実施形態では、腹側の踵ピボット140は、バネ板100が機械的に接続される、短靴のソールの一部など、短靴の一部を含むことができる。そのような実施形態では、バネ板100の近位端112の下方にある短靴の部分は、歩行運動サイクルの踵接地期中のユーザの踵などによって、下向きの圧力が掛かるとバネ板100の近位端112を下向きに垂直に屈曲させるように、十分な隙間を、すなわち、バネ板100の腹側面118と短靴の底部との間の垂直空間を提供することになる。
【0070】
腹側の踵ピボット140は、好ましくは、バネ板100の幅の少なくとも一部分にわたって長手方向に、すなわち、バネ板100の内側側部113と外側側部115との間に延びる。腹側の踵ピボット140の長手方向の範囲、すなわち内側端部143と外側端部145との間の距離は、好ましくは、下向きの踵の圧力がユーザの踵によって掛かると、バネ板100の全幅が腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点を中心にして均等に屈曲するのに十分である。このことが、バネ板のより多くの部分が屈曲するのを可能にし、それによって、ユーザのヒールによって下向きの圧力がバネ板100に掛かると、より多くのバネ力が提供されて活用される。この理由から、腹側の踵ピボット140はまた、腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点を中心にしてバネ板100が屈曲するのに十分な剛性である。ユーザの歩行運動の踵接地期の間、下向きの踵の圧力がバネ板100の近位端112に加えられるとき、腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点は、腹側の踵ピボット140の近位端147またはそれに隣接している。
【0071】
上述の記載では、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ板100は、ユーザの歩行運動の踵接地期の間は二重に屈曲し、結果として、バネ板100が単一の軸線のみを中心にして屈曲する場合よりも多くの量の力を吸収することが分かる。腹側の踵ピボット140によって作られる軸線を中心にした第1の屈曲は、ユーザの足の踵によって掛かる下向きの力によって発生し、一方で、図1Aおよび1Bの実施形態において、第2の屈曲は、クレードル10の腹側表面18がバネ板100の背側表面116に接触する地点によって作られる軸線の地点を中心にして発生することができる。図2Aおよび2Bの実施形態では、第2の屈曲軸線は、背側の踵ピボット160がバネ板100に接触する、背側の踵ピボット160の腹側表面168またはそれに隣接して発生する。
【0072】
図2Aおよび2Bに示される好ましい一実施形態では、第2のピボット50、すなわち背側の踵ピボット160は、クレードル10の腹側表面18とバネ板100の背側表面116との間に位置する。背側の踵ピボット160は、腹側の踵ピボット140によって作られる軸線の地点の近位側にある所望の軸線の地点に位置する。背側の踵ピボット160は、好ましくは、腹側の踵ピボット140と類似の物理的および構造的特性を有し、腹側の踵ピボット140と同じまたは類似の材料から作ることができる。同様に、背側の踵ピボット160は、クレードル10の腹側表面18に機械的に接続された背側表面166と、バネ板100の背側表面116と機械的に接続している腹側表面168とを備える。背側の踵ピボット160は、さらに、内側側部163、外側側部165、近位端167、および遠位端169を備える。
【0073】
好ましくは、屈曲軸線が発生する背側の踵ピボット160の近位端167とバネ板100の近位端112との間に比較的短い距離のみを提供するため、背側の踵ピボット160はバネ板100の近位端112に隣接して位置する。上述したように、そのようなより短い距離を提供することによって、バネ板100の近位端112に対して掛けられるてこ比がより小さくなり、したがって、バネ板100は、より短い屈曲の瞬間でより大きい地面反力を吸収することができる。好ましい一実施形態では、背側の踵ピボット160はバネ板100の近位端112から約4cm以内にあり、より好ましい実施形態では、背側の踵ピボット160はバネ板100の近位端112から約1cm以内にある。
【0074】
ユーザの踵におけるピーク圧力点は、踵骨粗面の下方である踵の表面上の地点にある。したがって、好ましい実施形態では、ユーザの踵がクレードル10の背側表面16と接触しているとき、背側の踵ピボット160は踵骨粗面の下方で垂直に位置する。クレードル10の背側表面16が踵のくぼみ17を含む実施形態では、したがって、背側の踵ピボット160を最適に位置付けるため、背側の踵ピボット160は踵のくぼみ17を作る凹状表面の中央の下方に位置する。
【0075】
背側の踵ピボット160は、好ましくはその幅よりも長い長さを有し、背側の踵ピボットの長さは、好ましくは、クレードル10の内側端部13またはそれに隣接した地点からクレードル10の背側表面16上で外側端部15またはそれに隣接した地点まで延びる。また、背側の踵ピボット160の長さは、好ましくはクレードル10の長手方向軸線にほぼ垂直である。図1A〜2Bの実施形態はそのようなピボットを用い、バネ板100が背側の踵ピボット160の表面に沿って滑らかに屈曲するように、ピボットはその長手方向軸線に沿って丸み付けされる。炭素繊維のバネ板100を使用する実施形態において、ピボット50に尖った角度を使用すると炭素繊維を破壊しがちなことがあるので、そのような実施形態では丸み付けされたピボットが一般に好ましい。他の実施形態では、背側の踵ピボット160の長さは、5°、10°、15°、30°、または他の所望の角度など、クレードル10の長手方向の範囲に対して角度付けすることができる。
【0076】
図3A〜3Cに示されるような代替実施形態では、背側の踵ピボット160は、その長手方向の範囲に沿って1つもしくは複数の平坦なまたは湾曲した表面を含むことができる。図3Aの実施形態では、バネ板100に接触し、好ましくはバネ板100に固定される低い平坦表面161が提供される。近位側の平坦表面162は、ピボットの下側表面161からクレードル10の腹側表面18まで近位側に延び、腹側の平坦表面164は、ピボットの下側表面161からクレードル10の腹側表面18まで遠位側に延びる。図3Aの表面161および162など、規定の角度で交わる平坦表面を提供することで、バネ板100がより鋭角で屈曲し、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ特性に影響を与えることができる。角度は90°であることができ、または20°、30°、45°の角度、もしくは他の所望の角度など、図3Aに示されるような鋭角であることができる。それに加えて、異なるバネ特性を提供するため、規定の角度で連結された複数の平坦表面は、下側表面161とクレードル10の腹側表面18との間に設けることもできる。
【0077】
図1A〜3Aの実施形態では、そのようなピボットの下側表面161がそれらの長手方向の範囲に沿ってクレードル10の背側表面18にほぼ平行である、背側の踵ピボット160が示される。図3Bは、下側表面161がクレードル10の背側表面18に対して斜角を形成するように、ピボットが踵ピボットの他の外側側部に比べて一方の外側側部で持ち上げられている、ピボットのさらなる代替実施形態を示す。図示される実施形態では、外側側部165は背側表面18から内側側部163よりも長く延びるが、内側側部163が背側表面18から外側側部165よりも長く延びる実施形態も可能である。図3Bの実施形態は、足の反転および外転(回内)の矯正を支援することができ、また、足首を安定させ、足のアーチを持ち上げる助けとすることができる。
【0078】
平坦表面を備えた背側の踵ピボット160に加えて、あるいは、そのようなピボットは、図3Cの実施形態のような、湾曲した表面を備える、または含む代替形状を備えることができる。この実施形態では、背側の踵ピボットは半球形状の下側表面を備える。この実施形態のピボット50によって、足首の強化が可能になり、脚および臀部の柔軟性が高まる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ブレーシング(bracing)、すなわちバネ式矯正用デバイスに取り付けられた、または別の形で機械的に接続された剛性支持体を含むことも有利であり得る。そのようなブレーシングは、さらに機械的利点を提供し、装置の効率を高め、ユーザの踵が持ち上がるのを、すなわち、装置のクレードル10の表面またはクレードルの上方にあるインソールと接触しなくなりそこから分離されるのを防ぐのを支援することができる。
【0080】
バネ板
本発明のバネ式矯正器具の利点の1つは、ユーザが足の障害または他の損傷を、特に肥満、糖尿病、競技スポーツ、およびエクササイズによって起こった損傷を経験したときの状況で、ユーザの足の下面に掛かるピーク地面反力を低減することにある。そのようなユーザの足の下面に掛かり、ユーザの身体に伝達される地面反力を低減することによって、本発明のバネ式矯正用デバイスは、ユーザの足および/または身体の他の部分(足首、臀部、膝、および腰部など)に対する疼痛ならびにさらなる障害あるいは損傷を低減する。平均体重よりも重いユーザに対する付加的な利益を考慮すると、バネ板100は、好ましくは、平均体重(現在、米国では女性で約72kg、男性で86kg)よりも重い個人に掛かる地面反力の2%超過、より好ましくは10%超過、さらにより好ましくは50%超過を吸収するように構成される。より好ましくは、バネ板100は、人口のうち個人の体重の95パーセンタイルにおいて、すなわち約113〜122kgにおいて、個人に対して同様の地面反力を吸収するように構成することができる。いくつかの例では、バネコネクタは、80kgの重量など、さらにより重い重量の個人の地面反力を吸収するように構成することができる。
【0081】
本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ板100は、機械的エネルギーを保存し、次に解放するため、移動運動中に装置に掛かる力によって弾性的に変形することができる材料から形成される。バネ板100は、機械的エネルギーを保存し解放するため、ポリカーボネートプラスチックなどのプラスチックおよび鋼などの金属を含む、湾曲することができる多数の材料のいずれかから形成することができる。しかし、好ましい実施形態では、バネ板100は炭素繊維などの複合材料から形成される。例えば、ガラスと炭素繊維の複合積層体を使用して、本発明のバネ板100を形成することができる。弾性係数対密度の大きい比を有する材料は、重量の低減に伴って材料のスチフネスが増加するという理由で望ましい。以下の表1は、炭素繊維材料によって提供することができる好ましい弾性係数対密度の比を示す。
【0082】
表1:弾性係数対密度
【0083】
図4Aに示されるさらなる実施形態では、本発明のバネ式矯正器具のバネ板は、腹側のあゆみ底ピボット180および/または爪先ピボット200など、さらなるピボット50を備えることができる。腹側のあゆみ底ピボット180は、内側端部183、外側端部185、背側表面186、腹側表面188、近位端187、および遠位端189を含む。腹部のあゆみ底ピボット180は、腹部の踵ピボット140と同様のやり方でバネ板100の腹側表面118と接続して配置され、ただし腹側の踵ピボット140の遠位側に位置する。ユーザの歩行運動が歩行運動サイクルの足趾離地期に移行するにつれて、腹側のあゆみ底ピボット180はその遠位端189の周りに軸線を提供し、バネ板100がそこを中心にして屈曲し、それによってユーザの足の遠位側またはあゆみ底部分に掛かる地面反力を吸収することができる。好ましくは、腹側のあゆみ底ピボット180は、ユーザの足の中足骨頭の下に配置される。それに加えて、上述したように、二重バネの利点を提供するため、腹側のあゆみ底ピボット180の近位側または遠位側のどちらかで、背側のあゆみ底ピボットをバネ板100とクレードル10との間に設けることができる。
【0084】
図4Aに示される爪先ピボット200は、その長手方向の範囲がその近位端207とその遠位端209との間である点で上述のピボット50とは異なり、すなわち、爪先ピボットの長い部分は上述のピボットの長い部分にほぼ垂直な方向に位置し、歩行運動サイクル中に足が移動する前進方向に、すなわち本発明のバネ式矯正器具の長手方向の範囲にほぼ平行である。より重要なことには、爪先ピボット200の長手方向の範囲は、屈曲がそこを中心にして側方方向で発生する長手方向の範囲に沿った軸線を提供するように、すなわち、ユーザの足の片側に優先的に掛かる地面反力を吸収するように向き付けられる。歩行運動サイクルの足趾離地期の間、ユーザの足の片側(特定の患者に応じて、内側側部または外側側部のどちらか)に対して他方の側よりも大きな下向きの力が掛かる可能性がある。したがって、爪先ピボット200は、好ましくは、歩行運動サイクルの足趾離地期の間、バネ板100の内側側部113および/または外側側部115が、そこを中心にして下向きに屈曲できる軸線を提供するように位置する。他の実施形態では、爪先ピボットの長手方向の範囲は、5°、10°、15°、30°、または他の所望の角度など、バネ板100の長手方向の範囲に対して角度付けすることができる。爪先ピボット200は、前足部の反転および外転(すなわち、回外および回内)の制御を支援することができる。他の実施形態では、ユーザの足の後部の反転および外転を制御するため、そのような長手方向に延びるピボットは、本発明の装置の近位端に、すなわち本発明のバネ板100の近位端112に隣接して位置付けることができる。
【0085】
図3A、3B、および4Aに示されるピボット50(それらの幅よりも長い長さを有する)など、異なる寸法の長さと幅を有するピボット50を組み込んだ本発明のバネ式矯正器具の実施形態では、ピボット50は、水平に回転可能であるが固定可能なやり方で、クレードル10上および/またはバネ板100上に載置することができる。この実施形態では、ピボットは、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネ特性を変化させるため、固定の軸線(中央軸線またはピボットの長手方向端部に隣接した軸線)を中心にして回転させることができる。ピボットは可逆的に固定可能なので、回転させ、次に固定位置でクレードル10上および/またはバネ板100上に固定することができる。あるいは、またはそれに加えて、1つまたは複数のピボット50は垂直に調整可能であり、すなわちピボットの垂直高さを調整することができる。例えば、ピボットが、クレードル10もしくはバネ板100上の、またはそれに取り付けられたレセプタクル、歯、もしくは他の突出部を係合するレセプタクル、歯、もしくは他の突出部を備えるラチェットメカニズムを使用し、それによってピボットを回転させる歯付きメカニズムを形成して、ピボットの水平および/または垂直調整を遂行することができる。このようにして、ピボットを三次元で調整することができる。
【0086】
腹側の踵ピボット140および背側の踵ピボット160、ならびに本明細書に開示されるような他のピボットは、特定の個人の要望を満たすカスタマイズされた装置を提供するため、異なる形状、サイズ、および寸法のものであることもできる。例えば、腹側の踵ピボット140よりも高さのある背側の踵ピボット160を有するバネ式矯正器具は、バネ板100とそれに接触する下側表面との間でより長く柔らかい接触を提供することができる。別の実施形態では、背側の踵ピボット160よりも高さのある腹側の踵ピボット140を有するバネ式矯正器具は、より大きなレバー半径を提供し、本発明の装置がより多くの機械仕事を行えるようになる。
【0087】
図4Bは、歩行運動サイクルの足趾離地期の間、ユーザの足の片側に対して他方の側よりも大きい下向きの力が掛かるようにする、バネ板の一実施形態を示す。この実施形態では、これは、バネ板100の他方の外側側部に比べて異なる、バネ板の一方の外側側部に対するバネ係数、弾性係数、および/または引張り強さを有するバネ板を生産することによって遂行される。図4Bの実施形態では、バネ板100の近位端112および外側側部115におけるバネ板100の部分は第1の材料101で構成され、遠位端114の内側側部113は、異なるバネ係数、弾性係数、および/または引張り強さを有する第2の材料102で構成される。あるいは、バネ板100は一様な材料から作ることができるが、バネ板100の別の部分よりも厚いもしくは薄い部分(例えば、図4Bの領域102)を伴って形成するか、または別の材料を連結することができる。
【0088】
この同じ概念は、図4Cの実施形態に異なる形で適用され、この図は、高圧領域に加えられる力の量を低減するため、ユーザの足のあゆみ底にかかる領域103が保存し解放する機械的エネルギーが、バネ板100の周囲の部分に比べて少ない、代替のバネ板を示す。例えば、部分103は、バネ板の残りの部分に比べてより薄いまたはより柔らかい材料で形成することができる。あるいは、バネ板100は、ユーザの足に掛かる力を低減することが望ましいバネ板の領域に穴を備えることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、材料のより剛性の領域(すなわち、より高い引張り強さを有する、かつ/またはより可撓性が低い)を、ユーザの足における第1中足骨の指関節間の部分の下に設けることができる。これによって拇指のホーマン徴候が低減され、この関節の関節炎を患う個人においては、この関節の疼痛および炎症を低減することができる。本発明のバネ板100のより剛性の部分も、有利には、例えば糖尿病の結果として、ユーザが足指の切断または他の足指の欠損を経験した領域の下に設けることができる。より高い引張り強さは、1つもしくは複数の足指の欠損を補い、残りの足指に対する圧力および/または応力を低減することができる。足のあゆみ底に掛かるピーク地面反力をさらに低減するため、本発明のバネ式矯正用デバイスの遠位部分は前足部バネを備えることができる。前足部バネは、好ましくは地面反力の少なくとも約2%、より好ましくは地面反力の少なくとも約5%〜10%、さらにより好ましくはそこに掛かる地面反力の少なくとも50%を吸収することができる。
【0090】
図1〜3Aおよび4A〜4Eに示される本発明の装置の実施形態では、バネ板100は、ユーザの足の長さに沿って延び、ユーザが本発明のバネ式矯正用デバイスを使用するとき、ユーザの足のあゆみ底の下方に前足部バネ板部分120を含む。これらの実施形態における前足部バネ板120は、ほぼ平面の構成であり、バネ板100の残りの部分と同じタイプの材料から、例えば炭素繊維などの複合材料から形成することができる。図4Dに示される代替実施形態では、前足部バネ板120は、全半球または部分半球の形状であることができる、下向きに延びる凸面形状を含む。上向きの地面反力が前足部バネ120の低い凸状表面に掛かると、バネは撓み、地面反力の一部を吸収するので、前足部バネ板120の中央部分はその背側表面に対して圧力が下向きに掛かると下向きに撓むことができる。
【0091】
図4Dに示されるように、一般的に、バネ板100は一個の履物内でアウトソールの上方に位置する。図4Dでは、バネ板は、短靴の長さに沿ってバネ板100が延びる単一構造であるものとして示される。しかし、図4Eは、バネ板100が、クレードルがバネ板100に交わる位置またはそれに隣接する、足のあゆみ底までしか延びない代替実施形態を示す。次に、別個の前足部バネがバネ板100の遠位端から遠位側に延びる。このようにして、クレードルとバネ板100の接合部におけるバネ板100の破損を低減または回避しながら、歩行運動支援を依然としてユーザに提供することができる。前足部バネは、好ましくはバネ板100と重なり合い、すなわち、前足部バネの近位端はバネ板100の遠位端を越えて近位側に延びる。
【0092】
バネ板100はまた、好ましくは、本発明の短靴用矯正器具のこの実施形態を備える一個の履物内で自由に保定され、すなわち、バネ板100は、前足部バネ部120に接合または別の形で連結されないが、所望に応じて、2つの構造を連接するコネクタを当該分野で知られているやり方で提供することもできる。前足部バネ120は、類似の性質を備えたバネ板100と同じタイプの材料から作ることができ、あるいは、バネ板100と異なる性質を有する材料から形成することができる。例えば、前足部バネ120は、図4Bおよび4Cの実施形態に示されるような材料の組み合わせを含むことができ、または、バネ板100とは異なる性質を有する単一の材料を含むことができる。
【0093】
本発明のバネ式矯正用デバイスのさらなる実施形態では、装置は垂直に積み重ねられた複数のバネ板100を備えることができる。図9に示される実施形態は、上側バネ板192および下側バネ板194の2つのバネ板を含むが、追加のバネ板を使用することができる。上側バネ板192の第1の腹側の踵ピボット193は、本発明のバネ式矯正器具の他の実施形態のように背側の踵ピボット(使用される場合)に対して配置されるが、この実施形態における第1の腹側の踵ピボット193の下側表面は、下側バネ板194の上側表面と接触して、または別の形で機械的に接続されて位置する。下側バネ板194の下側表面と接触している、または別の形で機械的に接続された第2の腹側の踵ピボット195は、第1の腹側の踵ピボット193の近位側に配置され、すなわち、第1の腹側の踵ピボット193に対して下側バネ板192がそこを中心にして屈曲する軸線は、第2の腹側の踵ピボット195に対して下側バネ板192がそこを中心にして屈曲する軸線の遠位側に位置する。追加のバネ板100の使用によって、本発明のバネ式矯正用デバイスによってより大きな負荷に耐えられるようになる。
【0094】
バネ式矯正器具の動作
バネ板100の近位端112の曲げモーメント(トルク)、すなわち軸線を中心にしてバネ板100を屈曲させる回転力は、バネ板100の材料特性、ならびに、軸線地点60と、バネ板100がその上に位置する表面(ほとんどの場合、地面もしくは短靴)と接触するバネ板100の近位端112との間の距離の両方によって決まる。軸線60と近位端112との間の距離の量によって、バネ板100に掛かるてこ比の量が決まり、距離が短いほどてこ比は低く、それによってバネ板100は、より少ない撓み(屈曲)の量でより大きい地面反力を吸収することができる。バネ板100は、1°〜90°の撓み角で、好ましくは15°〜60°の撓み角で軸線地点60を中心にして屈曲するべきである。
【0095】
図10は、力によって撓んだときの位置エネルギーを保存する、カンチレバービームに対して、またはカンチレバービームによって掛かる力を示す。バネ板100の近位端112に対して、またはそれによって掛かる力(F)は、同様に、次の(式I)のように表すことができる。
【0096】
式中、
Lは、背側の踵ピボット160から近位端112までのバネ板100の長さ
δは、撓み
Eは、引張り係数(弾性係数)
wは、バネ板100の幅
hは、バネ板100の高さである。
【0097】
図11および12に示されるように、ユーザの踵によって本発明の装置のクレードル10に対して下向きの足踏み力(stepping force)が加えられると(図10)、バネ板100は腹側の踵ピボット140を中心にして下向きに屈曲して(図12)、位置エネルギーとしての足踏み力をバネ板100の材料の張力として保存する。次に、ユーザの踵の力はバネ板100を下向きに屈曲させ続け、バネ板100の近位端112がその直下にある表面(一般に、アウトソール)に接触すると、バネ板100は、地面反力(G)によって背側の踵ピボット160を中心にして上向きに屈曲する(図13)。このバネ板100の二重の屈曲は、本質的に、(上述の式Iで計算されるような)バネ板100の潜在力(揚力)を二倍にする一方で、バネ板100の材料に対する応力を効率的に最小限に抑える。
【0098】
歩行運動サイクルの後半部分の間、ユーザの踵が持ち上がると、バネ板100がその屈曲前形状に戻るにつれて、下向きの足踏み力を加えることによってバネ板100に保存された位置エネルギーが解放されて、本発明の装置のユーザが足を水平位置に戻す助けとなる。図14に示されるように、前足部バネを組み込んだ本発明の装置の実施形態では、地面反力G−1およびG−2による足のあゆみ底(図14の地点P)を中心にしたバネ板100の屈曲により、バネ板100に保存される付加的な位置エネルギーが得られる。歩行運動サイクルのこの相の間にバネ板100に保存される潜在力(P)は、次の(式II)のように表すことができる。
【0099】
式中、
Lは、地面反力G−1およびG−2が加えられる地点の間におけるバネ板100の部分の長さ
δは、撓み
Eは、引張り係数(弾性係数)
wは、バネ板100の幅
hは、バネ板100の高さである。
【0100】
バネ板100の寸法、ピボットの関係、または利用される材料を操作することによって、異なる「バネ定数(spring factors)」を達成することができる。例えば、上記式は、ピボットの間の距離(L)に非常に影響を受けやすいことが分かる。ピボットの距離が10%だけ低減された場合、踵に掛かる法線力は40%以上増加する。踵に掛かる法線力はまた、バネ板の断面形状を変化させることによって操作することができ、それによって屈曲に対するバネ板の抵抗(慣性モーメント)が増加する。バネ板の厚さを10%増加させることによって法線力が約35%増加し、厚さを二倍にすることによって力が800%増加することになる。
【0101】
本発明のバネ式矯正用デバイスによって達成することができる効率およびエネルギー保存は、本発明の装置に機械的に接続される履物および他の支持体によって提供されるてこ比によって向上する。図4Gに示されるように、バネ板100上の支点(F)から160mmの地点(P、図4Gにおける本発明の装置を含むブーツのハウジングの前部にある)で25kgの力が掛かるとき、また、支点(F)からバネ板100の遠位端140までの距離が80mmのとき、50kgの力がバネ板100の遠位端114に掛かる。これは、次式(式III)によって表される。
式中、
Fは、加えられる力
Dは、支点までの垂直距離である。
【0102】
短下肢装具
本発明のバネ式矯正用デバイスはまた、脚ブレースの必要性を求める足または脚の障害を有する個人を支援するため、短下肢装具に組み込むことができる。ユーザの足首の上方で装具のブレース部分を固定することで、バネ板100の遠位部分からより多くのトルクを活用するのを支援することができるので、装具は、そのような障害がない個人ユーザも使用することができる。図5Aに示される一実施形態では、上述のバネ式矯正器具のバネシステムを備える短下肢装具300は、垂直支持体320、クレードル310、および短下肢装具300を患者の脚に取り付けるブレースまたは締結具330を含む。この実施形態では、クレードル310の近位端312は、垂直支持体320の下端部322に取り付けられる(または一体に形成される)。垂直支持体320は、図5Aに示されるように、クレードル310の近位端312から垂直に上向きに延び、短下肢装具が着用されたときに患者の脚の後側に隣接して位置するように設計される。垂直支持体320は、炭素繊維複合材またはプラスチックなど、当業者には知られている剛性材料から作ることができ、クレードル310と同じ材料または異なる材料から作ることができる。
【0103】
図5Aに示される締結具330は、垂直支持体320の上端部324に取り付けられる。短下肢装具300を患者の脚により良好に固定するため、追加の締結具330もブレース330の長手方向の範囲に沿って位置することができる。図5Aに示される締結具330は、患者の脚の周囲に配置されるストラップを含むが、あるいは、当業者には知られているような他の構成またはメカニズムを含むことができる。同様に、垂直支持体320は、患者の必要性に応じて異なるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ユーザの膝から上向きに延びる第2の垂直支持体を、垂直支持体320に対する丁番接続によって下端部で連結することができる。
【0104】
短下肢装具300は、さらに、クレードル310の下方のバネ板301、背側の踵ピボット360、および腹側の踵ピボット340を含む。短下肢装具300の上述の構成要素は、バネ式矯正用デバイスに関して上述してきたものと同じであり、したがってここではさらに詳細には記載しない。本発明のバネ式装置に関して上述した追加のピボットおよび代替の構成も、短下肢装具300とともに使用することができ、したがってやはりここでは記載しない。
【0105】
図5Bは、短下肢装具の別の実施形態を示す。図5BのAFOの下側部分は図5Aと同一であることができる。しかし、図5Bの実施形態では、垂直支持体320の上側部分334はハンドル336を備え、好ましくはさらに締結具332を備える。この実施形態では、ユーザの足に対する圧力を軽減するため、患者は、クラッチのようにハンドル336を把持することによって、自身の体重を部分的に支持することができる。
【0106】
人工補装具
図6Aは、本発明のバネ式矯正用デバイスのバネシステムを利用する人工補装具400を示す。そのような義足は、垂直支持体420、支持体420の上端部424にある1つまたは複数の締結具430、および支持体420の下端部422にある水平支持体410を備える。締結具は、この場合、切断肢を受け入れるように設計される。図6Aでは、締結具はレセプタクル430である。
【0107】
人工補装具400は、締結具430が、人工補装具400を患者の肢(この場合は切断肢)に取り付けるように構成され、ただし地面の上方で切断肢を支持するようにも設計されているという点で、図5Aの短下肢装具とは異なる。同様に、垂直支持体420は、地面表面の上方で人工補装具400を着用する個人の体重の少なくとも一部を十分に支える強度でなければならないという点で、垂直支持体320とは異なる。
【0108】
水平に延びる支持体410は、足の下面を受け入れるように形作られた水平支持体410の背側表面416には不要であるという点で、図5Aの短下肢装具のクレードル310とは異なる。図6Aに示されるように、人工補装具400は、さらに、水平支持体410の下方にあるバネ板401、背側の踵ピボット460、および腹側の踵ピボット440を備える。図6Aには示されないが、少なくともバネ板401、背側の踵ピボット460、および腹側の踵ピボット440は、一般的に、いくつかの実施形態ではヒトの足の形状に近似することができる、ハウジング内に位置する。上述した本発明のバネ式矯正器具および他の機構と共に使用される追加のピボットも、本発明によるバネ式義足に使用することができる。
【0109】
人工補装具400のユーザの正常な歩行運動を容易にするため、腹側の踵ピボット440および背側の踵ピボット460は、上述のバネ式矯正器具におけるこれら構成要素の位置付けに類似したやり方で、水平支持体410の近位端に配置される。図6Aに示される実施形態では、垂直支持体420は、腹側の踵ピボット440および背側の踵ピボット460の位置付けの遠位側にある第1の地点で、水平支持体410に取り付けられる(または一体に形成される)。しかし、代替実施形態では、垂直支持体420は、短下肢装具300の垂直支持体320がクレードル310と接続する方法に類似したやり方で、水平支持体410の近位端に近接した、または近位端の位置で、水平支持体410に取り付けることができる。図6Aに示されるように、垂直支持体420はまた、交差支持体425によって第1の地点の遠位側にある第2の地点で水平支持体410に接続され、その交差支持体425は、近位端では、下端部422の垂直方向上方にある垂直支持体420上の地点に取り付けられ、遠位端では、垂直支持体420の下端部422が水平支持体410に取り付けられる地点の遠位側にある水平支持体410上の地点に取り付けられる。交差支持体425は、代替実施形態では、垂直支持体422および/または水平支持体410と一体に形成することができ、交差支持体425と垂直支持体422との間に空間は不要である。
【0110】
図6Bは、人工補装具の別の実施形態、この場合、「膝歩行器」500または膝下に障害を負った肢の一時的な置換物を示す。この実施形態では、切断肢のレセプタクルの代わりに、ブレース530が垂直に延びる支持体の上端部424に取り付けられ、患者の脚の脛部分をブレース530に固定する1つまたは複数の締結具532が提供される。この実施形態におけるブレース530は、垂直支持体420に対してほぼ水平に延びる。
【0111】
クラッチおよび付加的用途
図7Aおよび7Bは、上述の短下肢装具および義足における垂直支持体420と垂直支持体420の下方にある他の構成要素とを利用するクラッチを示す。これらの構成要素を使用して、垂直支持体420の上端部424またはそれに隣接してハンドル636を取り付けることによって、クラッチ600を形成することができる。任意に、患者の腕用の締結具432を提供することができる。図7Aの実施形態では、ハンドルはほぼ水平にクラッチ600に取り付けられる。図7Bの実施形態では、クラッチ700の上側部分730にあるハンドル736はほぼ垂直に配置され、患者の腕を支持する水平ブレース734が、任意の締結具732と共に提供される。
【0112】
図7Cに示されるように、本発明のバネ式矯正用デバイスを、クラッチ、短下肢装具、または装置をユーザの脚に固定することを伴う他の機械的装置と併せて使用することで、装置の効率が大幅に向上し、より大きいてこ比が提供される。例えば、25kgの力が図示されるブレース330に掛かると、125kgの力がバネ板100の遠位端114に掛かる(5:1のメカニカルアドバンテージ)。
【0113】
クラッチなどのより長い支持体は、付加的なメカニカルアドバンテージを提供する。図7Cに示される実施形態では、1200mmの支持体によって15:1のメカニカルアドバンテージを得ることができる。この実施形態では、クラッチの頂部に8kgの力が掛かると、バネ板100の遠位端114での力は125kgとなり、すなわち、より長いレバーはより大きいメカニカルアドバンテージを達成する。
【0114】
あるいは、上述のバネシステムを、ロボットまたは他の機械もしくは機械的装置の移動運動システムに、特に、機械的装置を移動させるため、地面の上方に持ち上げられ、次に歩行運動サイクルの別の地点で地面に戻される支持体または他の付属肢を利用する移動運動システムに使用することもできる。本発明の装置を使用して、そのような機械的装置が受ける衝撃力を低減することができる。この実施形態は、垂直支持体420が上端部424においてロボットまたは他の機械的システムの一部に、特にそのような装置の丁番付けされた関節に取り付けられる点を除いて、図6Aに示される人工補装具400に類似していることができる。さらなる代替例では、垂直支持体420の上端部424は、生体工学システムに、すなわち生理機能を増強または置換する機械的もしくは電気機械的構成要素に取り付けることができる。
【0115】
履物
本発明のバネ式矯正用デバイスは、一般的に、短靴または他の一個の履物の内部で着用され、短靴から除去し、別の短靴に組み込むように設計することができる。そのような実施形態では、バネ式矯正器具の腹側面は、一個の履物のインソールの背側面に面し、かつ/または背側面と接触している。本発明の装置が、短下肢装具、義肢、または患者の肢を支持する他の装置も含むとき、そのような装置は、同様に、図5および6に示される実施形態のように、標準的な短靴と共に使用されるように設計することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、接着剤または縫合接続を分離することなどによって、装置を除去するために短靴が損傷を受けざるを得ないので、本発明のバネ式矯正用デバイスは不可逆的な形で短靴に組み込むことができる。そのような実施形態では、ブーツのアウトソールの上方における本発明の矯正器具の位置を示す図4Cに示されるように、本発明のバネ式矯正器具は短靴のミッドソールに取って代わることができる。
【0117】
使用方法
上述のバネ式矯正用デバイスは、地面反力を吸収することによって、ピーク地面反力を拡散させることによって、かつ装置のバネ板が吸収したエネルギーが解放されると上向きの力を掛け、それによってユーザが歩くのに必要なエネルギー量を低下させることによって、ユーザの歩行運動を容易にする。過体重の個人または下肢に障害を受けた個人の場合、上述のことは重要な利点である。
【0118】
バネ式矯正器具が患者の短靴または義肢内に存在するとき、そのような矯正器具を使用する利点は、本発明の装置が配置された短靴の近位端に上向きの地面反力が掛かる、踵接地時に始まる。バネ板100の近位端112は、踵接地時のそのような地面反力によって、背側の踵ピボット160の近位端167における軸線を中心にして(または、図1Aおよび1Bの実施形態では軸線60を中心にして)上向きに付勢(屈曲)される。同時に、またはその直後に、ユーザの踵によってクレードル10に掛かる下向きの力が、腹側の踵ピボット140の近位端147における軸線を中心にして下向きに、バネ板100のさらに遠位の部分を付勢する。背側の踵ピボット160および腹側の踵ピボット140を中心にしたバネ板100の屈曲は、エネルギーを吸収し、そのエネルギーは歩行運動サイクルにおいて後で解放される。
【0119】
歩行運動サイクルが継続し、ユーザの体重が前方に、すなわち歩行の方向に移行するにつれて、バネ式矯正器具の近位端における地面反力は低下する。背側の踵ピボット160および腹側の踵ピボット140を中心にしたバネ板100の屈曲により、バネ板100によって掛かる力の量がバネ板100の近位部分に掛かる地面反力を超過すると、バネ板100は反対方向に屈曲し始め、すなわち、バネ板100の近位端112が背側の踵ピボット160の近位端167における軸線を中心にして下向きに屈曲し、バネ板100のさらに遠位の部分が腹側の踵ピボット140の近位端147における軸線を中心にして上向きに屈曲し、それによって保存されたエネルギーが解放される。この時点ではバネ板100は上向きのバネ力を掛け、それによって、バネ式矯正器具のユーザが歩行運動サイクルのこの部分を完了するのに必要な労力の量が低減される。
【0120】
歩行運動サイクル中、ユーザの体重が前方に移行し続けるにつれて、バネ板100のより遠位の部分において下向きの力が掛かる。次に、バネ板100は、腹側のあゆみ底ピボット180の近位端187において軸線を中心にして下向きに屈曲する。歩行運動サイクルの後半で、ユーザの体重が前方に移行し続けるにつれて、腹側のあゆみ底ピボット180を中心にしてバネ板100が屈曲することによって吸収されたエネルギーが上向きに掛けられ、バネ式矯正器具のユーザが歩行運動サイクルのこの部分を完了するのに必要な労力の量がさらに低減される。
【実施例1】
【0121】
本発明のバネ式矯正器具で使用されるバネ板を炭素繊維から生産した。バネ板は、上述の式Iと関連して測定した以下の特性を有していた。
【0122】
表2:バネ板の特性
【0123】
このバネ板を撓んだ位置まで前進させるのにバネ板に掛かる/バネ板によって掛けられる力は41.25kg(90.94ポンド)であった。
【実施例2】
【0124】
図8に示されるようなクレードルを、短靴が穿刺されるリスクがあり得る用途で使用するために生産した。クレードルは、Toray700ファイバー(Toray International America Inc.,New York,NY)を使用してSigmatex(Benicia,CA)によって製織された12K炭素繊維10層、およびResin Services Inc.(Sterling Heights,MI)のエポキシ樹脂から形成した。クレードルを形成する層は、4バールの真空バッグ/オートクレーブ内に置き、次に93℃(200°F)で2時間硬化した。結果として得られたクレードルは7mm厚さであった。
【実施例3】
【0125】
6層の炭素繊維および1層のKEVLARを使用したことを除いて、上述の実施例2に記載した方法を使用してクレードルを作り、5.6mm厚さのクレードルを得た。クレードルの底部側から順に、1層の12K炭素繊維を使用し、次に6層のKEVLARを付着し、次に12K炭素繊維のさらなる層を付着した。
【実施例4】
【0126】
4層のKEVLARおよび7層の炭素繊維を使用したことを除いて、上述の実施例2に記載した方法を使用してクレードルを作った。クレードルの底部側から順に、1層の12K炭素繊維を使用し、4層のKEVLARを付着し、次にさらに6層の12K炭素繊維を付着した。
【実施例5】
【0127】
バネ板を、Toray700ファイバー(Toray International America Inc.,New York,NY)を使用してSigmatex(Benicia,CA)によって製織された12K炭素繊維の上層および下層、ならびにそれらの間のHexcel7781繊維ガラスファイバー(Hexcel Corporation,San Clemente,CA)4層を、PROSETエポキシ樹脂(Pro−Set Inc.,Bay City,MI)で接合して形成した。バネ板は、3時間にわたって82℃(180°F)まで温度を増加させ、次に82℃(180°F)で6時間硬化することにより、686mm Hg(27インチHg(.914バール))の真空バッグ/オートクレーブ内で硬化した。
【実施例6】
【0128】
一連の短靴およびブーツを耐穿刺性およびスイングウェイトについて試験した。穿刺保護は、ASTM規格F2412−05(2005年3月1日に承認され、2005年3月に発行された足保護のための標準試験方法)に従って評価した。動的スイングウェイト(慣性モーメント)は、角加速度に対する物体の抵抗力であり、次式(式IV)に従って計算される。
F=m×v2/r
式中、Fは、スイングウェイト(ニュートン単位)
mは、動いている物体の質量
vは、接線速度
rは、回転中心までの物体の距離である。
【0129】
1mの距離(r)および毎秒5.55mの接線速度を使用して履物を試験した。結果は、図16および以下の表2に示される。図16における凡例は次のとおりである。
A:CROCSサンダル
B:ナイキ製のSHOX運動靴
C:BOXER(イスラエル軍)ブーツ
D:DANNERコンバットハイカーブーツ
E:BELLEVILLEブーツ
F:5層の12K炭素繊維を含む実施例2に従って作られたRHINOレスリングシューズ(試験用短靴A)
G:8層の12K炭素繊維および1層のKEVLAR繊維を含む実施例2に従って作られたRHINOレスリングシューズ(試験用短靴B)
H:従来の18のゲージ鋼挿入物を含有するRHINOレスリングシューズ
【0130】
表3:動的スイングウェイト対穿刺保護
【0131】
より低い動的スイングウェイトは、物体の移動または加速がより簡単であることを意味する。図16のグラフで分かるように、本発明のバネ式矯正用デバイスを含む短靴は、低いスイングウェイトで優れた耐穿刺性を提供することができ、したがって、履物の所与の量のスイングウェイトにおける穿刺保護は劇的に向上している。
【実施例7】
【0132】
KEVLARを組み込んだ10mm厚さの炭素繊維クレードルを有する実施例6に使用されるものに類似したバネ式矯正器具を、跳躍性能に対する効果を評価するため、履物に組み込んだ。個人が、そのようなバネ式矯正器具を組み込んだRHINOレスリングシューズを使用して、一連の垂直跳びおよび立ち幅跳びを行い、同じ個人が、裸足で、かつナイキ製のSHOX運動靴およびBelleville軍用ブーツを用いて、同じ垂直跳びおよび立ち幅跳びを行った。
【0133】
垂直跳び試験の結果は図17に示され、立ち幅跳び試験の結果は図18に示される。図17および18の凡例A〜Eは以下のものを表す。
A:裸足
B::ナイキ製のSHOX運動靴
C:BELLEVILLEブーツ
D:KEVLARを含む10mm厚さの炭素繊維クレードルを備えたRHINOレスリングシューズ
E:平均
【0134】
上述の試験は、耐穿刺性性のクレードルを有する本発明のバネ式矯正器具を組み込んだ履物が、他の履物と同様またはそれよりも良好に機能し、本発明のバネ式矯正器具が履物の性能を減少させないことを示す。
【0135】
本発明を、特定の好ましい実施形態を参照して相当に詳細に考察してきたが、他の実施形態が可能である。本発明の方法に関して開示されるステップは、限定的であることを意図せず、また、各ステップが方法にとって本質的に必須であることを示すものではなく、単に例示的なステップである。したがって、添付の請求項の範囲は、本開示に含まれる好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。本明細書に引用されるすべての文献はそれらの全体を参照により組み込む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体表面上で歩行運動サイクルを行う付属肢を使用して移動運動を支援する装置であって、
(a)近位端、遠位端、上側表面、および下側表面を有して水平に延びる支持体と、
(b)前記水平に延びる支持体の下方に配置され、前記水平に延びる支持体に機械的に接続された第1の平面状バネ板であり、近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間の外側側部、前記近位端と前記遠位端との間の内側側部、上側表面、および下側表面を有し、前記水平に延びる支持体の前記近位端とバネ板の前記近位端とが垂直方向に一定の距離だけ分離されているバネ板と、
(c)前記バネ板の下方に配置され、前記バネ板に機械的に接続された腹側ピボットと
を備えており、
前記腹側ピボットが、前記第1の平面状バネ板上の、歩行運動サイクルの第1部分の間に地面反力を受ける地点の遠位側の、前記第1の平面状バネ板の前記外側側部と前記内側側部との間に配置されている、装置。
【請求項2】
前記水平に延びる支持体と前記バネ板との間に配置され、前記水平に延びる支持体および前記バネ板の両方に機械的に接続された背側ピボットをさらに備え、前記背側ピボットが前記腹側ピボットの近位側に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記背側ピボットおよび腹側ピボットが、楕円形、半球状、管状、正方形、および曲線状からなる群より選択された断面形状を有する外表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記背側ピボットおよび/または前記腹側ピボットが中空である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記水平に延びる支持体がヒトの足を受け入れるように構成されたクレードルを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記クレードルの遠位端が、前記第1の平面状バネ板上の、前記歩行運動サイクルの第2部分の間に地面反力を受ける地点、好ましくは患者の足のあゆみ底の下方の地点に隣接する地点の近位側の、前記第1の平面状バネ板の上方の地点まで延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記腹側ピボットの遠位側に位置する地点で前記第1の平面状バネ板の前記下側表面に取り付けられた1つまたは複数の爪先ピボットをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記水平に延びる支持体が、炭素繊維、金属、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、およびガラス繊維からなる群より選択された材料から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の平面状バネ板が、炭素繊維、ポリカーボネートプラスチック、および鋼からなる群より選択された材料、好ましくはKEVLAR繊維を含む炭素繊維および/またはガラス繊維から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バネ板が複数の材料を含み、前記複数の材料の各々が、バネ係数、弾性係数、および引張り強さからなる群より選択された異なる性質を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の平面状バネ板の前記遠位端が下向きに延びる凸面形状を備え、前記凸面形状が好ましくは半球状である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
近位端および遠位端を有して垂直に延びる支持体をさらに備え、前記遠位端が前記水平に延びる支持体の前記上側表面に機械的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記垂直に延びる支持体の前記近位端に取り付けられたハンドルをさらに備え、このハンドルによりクラッチを形成している、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記垂直に延びる支持体の前記近位端に取り付けられたブレースをさらに備え、前記ブレースが、水平に延び、かつ患者の膝下の脚の一部分を受け入れるように設計されている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記垂直に延びる支持体の前記近位端に取り付けられたハンドルまたはコネクタをさらに備え、このハンドルまたはコネクタにより短下肢装具を形成している、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記垂直に延びる支持体の前記遠位端が切断肢のレセプタクルに取り付けられて義足を形成している、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記垂直に延びる支持体の前記遠位端が機械的装置に機械的に接続されている、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
第1の平面状バネ板の下方に配置された第2の平面状バネ板と、
前記第2のバネ板の下方に配置され、前記第1の平面状バネ板の下方に配置された前記腹側ピボットの近位側で前記第2の平面状バネ板に機械的に接続された第2の腹側ピボットと
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の平面状バネ板の前記遠位端から遠位側に延びる平面状の前足部バネをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が一個の履物内に保定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項1】
固体表面上で歩行運動サイクルを行う付属肢を使用して移動運動を支援する装置であって、
(a)近位端、遠位端、上側表面、および下側表面を有して水平に延びる支持体と、
(b)前記水平に延びる支持体の下方に配置され、前記水平に延びる支持体に機械的に接続された第1の平面状バネ板であり、近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間の外側側部、前記近位端と前記遠位端との間の内側側部、上側表面、および下側表面を有し、前記水平に延びる支持体の前記近位端とバネ板の前記近位端とが垂直方向に一定の距離だけ分離されているバネ板と、
(c)前記バネ板の下方に配置され、前記バネ板に機械的に接続された腹側ピボットと
を備えており、
前記腹側ピボットが、前記第1の平面状バネ板上の、歩行運動サイクルの第1部分の間に地面反力を受ける地点の遠位側の、前記第1の平面状バネ板の前記外側側部と前記内側側部との間に配置されている、装置。
【請求項2】
前記水平に延びる支持体と前記バネ板との間に配置され、前記水平に延びる支持体および前記バネ板の両方に機械的に接続された背側ピボットをさらに備え、前記背側ピボットが前記腹側ピボットの近位側に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記背側ピボットおよび腹側ピボットが、楕円形、半球状、管状、正方形、および曲線状からなる群より選択された断面形状を有する外表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記背側ピボットおよび/または前記腹側ピボットが中空である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記水平に延びる支持体がヒトの足を受け入れるように構成されたクレードルを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記クレードルの遠位端が、前記第1の平面状バネ板上の、前記歩行運動サイクルの第2部分の間に地面反力を受ける地点、好ましくは患者の足のあゆみ底の下方の地点に隣接する地点の近位側の、前記第1の平面状バネ板の上方の地点まで延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記腹側ピボットの遠位側に位置する地点で前記第1の平面状バネ板の前記下側表面に取り付けられた1つまたは複数の爪先ピボットをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記水平に延びる支持体が、炭素繊維、金属、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、およびガラス繊維からなる群より選択された材料から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の平面状バネ板が、炭素繊維、ポリカーボネートプラスチック、および鋼からなる群より選択された材料、好ましくはKEVLAR繊維を含む炭素繊維および/またはガラス繊維から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バネ板が複数の材料を含み、前記複数の材料の各々が、バネ係数、弾性係数、および引張り強さからなる群より選択された異なる性質を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の平面状バネ板の前記遠位端が下向きに延びる凸面形状を備え、前記凸面形状が好ましくは半球状である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
近位端および遠位端を有して垂直に延びる支持体をさらに備え、前記遠位端が前記水平に延びる支持体の前記上側表面に機械的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記垂直に延びる支持体の前記近位端に取り付けられたハンドルをさらに備え、このハンドルによりクラッチを形成している、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記垂直に延びる支持体の前記近位端に取り付けられたブレースをさらに備え、前記ブレースが、水平に延び、かつ患者の膝下の脚の一部分を受け入れるように設計されている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記垂直に延びる支持体の前記近位端に取り付けられたハンドルまたはコネクタをさらに備え、このハンドルまたはコネクタにより短下肢装具を形成している、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記垂直に延びる支持体の前記遠位端が切断肢のレセプタクルに取り付けられて義足を形成している、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記垂直に延びる支持体の前記遠位端が機械的装置に機械的に接続されている、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
第1の平面状バネ板の下方に配置された第2の平面状バネ板と、
前記第2のバネ板の下方に配置され、前記第1の平面状バネ板の下方に配置された前記腹側ピボットの近位側で前記第2の平面状バネ板に機械的に接続された第2の腹側ピボットと
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の平面状バネ板の前記遠位端から遠位側に延びる平面状の前足部バネをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が一個の履物内に保定されている、請求項1に記載の装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2012−517299(P2012−517299A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549314(P2011−549314)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/023527
【国際公開番号】WO2010/091377
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511192274)キング ファミリー キンジェティクス, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/023527
【国際公開番号】WO2010/091377
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511192274)キング ファミリー キンジェティクス, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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