説明

バネ機能付メガネフレームのツル連結構造

【課題】フロント部とヨロイ部を、ネジ一本で容易に組み立てできる機能を持たせる事で脱着を可能し、デザインの幅を持たせ、さらに、メガネフレームのヨロイの空間の範囲内に収容する板バネによるバネ力の作用下において、しなやかに撓み外方向へ押し開くことができる機能を持たせた上で、外観的にはスマートで一般のメガネフレームと変わらないツル連結構造の提供。
【解決手段】メガネフレームのフロント部とヨロイ部を、フロント側に取付けたヨロイ板バネ取付用金具7とヨロイ6を蝶片加工付板バネ14を介して、ネジ一本で簡単に組み立てる事ができ、容易な脱着を可能にし、さらに、ヨロイ6の内部に形成された空間13の範囲を大きくし、収容する蝶片加工付板バネを長くした事で、空間13の範囲内おいて、効果的な撓み変形が可能となり、しなやかに外方向へ押し開くことができ、耐久性も増しバネ蝶番としてのよりよい連結構造を持たす事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメガネフレームのツルを折畳み可能に連結すると共に、開いた状態からはバネ
力が付勢されて外方向へ僅かに開くことが出来るようにしたメガネフレームのツル連結構造に関するものであり、さらに、フロント部とヨロイ部を容易に脱着出来る構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ツルが開いた状態から外方向へ僅かに押し開くことができ、メガネを掛けた際に、顔側面から頭部にかけてフィットするように機能する継手はバネ蝶番と称され、メガネフレームのツル連結手段として多用されている。しかし、従来の継手構造は一般的に複雑であると共に組み付けが面倒であり、その為に、修理が容易でない。
出願人は特許文献1にて、メガネフレームのフロント部両側にロウ付けされるヨロイに収容した板バネに蝶番を介してツルを折畳み可能に取付けた構造を提案した。該ヨロイの内部には空間が形成されると共に、該空間には板バネが取付けられ、この板バネは空間の範囲内で撓み変形することが出来る。シンプルで外観上は、一般のツル連結構造でスリムなメガネフレームを構成しているが、板バネが短い為に、バネの耐久性が悪く、またヨロイがフロントにロウ付けされてしまっている為、修理等も困難である。
【特許文献1】特開2005−165193
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のツル連結構造には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、メガネフレームの外観を損なうことなく、充分なバネ性を持たせ、シンプルな構造にて構成されるツル連結構造を提供する。さらに、デザイン性にも幅を持たせることが出来、修理等も容易になるような構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るメガネフレームのツル連結構造は、先端を蝶片加工した板バネと先端に蝶片を固定したツルをネジ止めし、折畳み可能に取付けている。該ヨロイの内部には空間が形成されると共に、該空間には板バネが取付けられ、この板バネは空間の範囲内で撓み変形することが出来る。
【0005】
本発明のフロント部ヨロイ部脱着構造は、フロント部両側に固定されるヨロイ板バネ取付用金具とヨロイに収容した板バネの基部をネジ止めすることで固定される。ロウ付け等によっての固定ではない為、取り付け 取り外しが自由にできる。
【0006】
ヨロイ先端とツル端は隙間なく互いに接していて、外見上は一般のメガネフレームであるが、ツルを開いた状態から上記ヨロイに形成している空間の範囲内で板バネが撓み変形して、僅かに外方向へ押し開くことが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のツル連結構造は、ヨロイ内の一端に固定した蝶片加工された板バネを介してツルが取付けられている。従って、蝶番を介してツルは折畳まれ、一方ではヨロイの空間の範囲を大きくし、板バネを長くした事で、より撓みが多くなり、しなやかに外方向へ押し開くことが可能と成り、バネ蝶番としてよりよい機能を備えることが出来る。
【0008】
そして本発明のツル連結構造は、蝶片加工された板バネを介してツルを連結するといつた極めてシンプルな構造であり、従来のバネ蝶番に比較してその製作は簡単となりコストも安くなる。一方、板バネはヨロイに形成した空間に収容される為に、該板バネが外部に突出すことはなく、スリムなメガネフレームを構成することが出来る。
【0009】
本発明のフロント部ヨロイ部脱着構造は、フロント部とヨロイ部がネジ止めにての固定なので、他デザインのヨロイと簡単に取替えすることもでき、デザインの幅が広がる。又、修理等も従来よりも簡単でコストも安くなる。
また請求項2の発明によれば、ヨロイの内部に設けた板バネ収容空間が貫通しているので、
ヨロイの長さを最大限に利用でき、バネの長さを長くする事が出来る。よって加工も容易で、加工くずも排出しやすいので品質の維持にも適している。
【0010】
請求項3の発明によれば、リムに取付けたヨロイ板バネ取付用穴付金具を切断し、合口を再度合わせヨロイに組入れ嵌合させる事でメタルフルフレームに必要なレンズ止めを兼ね、よりシンプルでスマートな形状のフレームを形成でき、コストも下げられる。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明のツル連結構造及び、フロント部ヨロイ部脱着構造を備えているフレームを示している。同図の1はフロント部、2はツルを示し、フロント部1は両リム3,3が連結部材4にて連結され、両リムの両端にはヨロイ板バネ取付用金具7がつけられている。又、両リム3,3の内側であって連結部材4の下方には鼻当てパット5が 取付けられている。フロント部に取付けたヨロイ板バネ取付用金具7とヨロイ6と蝶片加工付板バネ14はネジ9にて固定され、ヨロイ6にはツル2が蝶片8と蝶片加工付板バネ14を介して折畳み出来るようにネジ9にて取付けられている。
【0012】
このように、メガネフレームの外観は従来のものと何ら異なることはなく、バネ蝶番の機能が備わっているようには見えない。本発明のツル連結構造及び、フロント部ヨロイ部脱着構造は外観を異ならしめることなくバネ蝶番としての機能を備えることが出来る。
【0013】
図2はツル連結構造及びフロント部とヨロイ部の脱着構造を示す実施例であり、ヨロイ6の断面を示している。ヨロイ6には内部空間13が形成され、この空間13内には蝶片加工付板バネ14が取付けられている。該蝶片加工付板バネ14はその基部がネジ止めされており、それ以外の部分は撓み変形可能となっている。
尚、ヨロイ板バネ取付用金具7は、ヨロイ6に設けた略矩形状の穴に嵌合する形になっているのでネジの回転方向には自由度が無く、使用中にネジが緩むことはない。
【0014】
ヨロイ6の先端面10にツル2の端面11が当接しているが、ツル内面12に対して垂直ではなく、傾斜している。従って、同図に示す開いた状態からツル2を外方向へ僅かに押し開くことが出来、この際にヨロイ6の先端面10に干渉することなく開くことが可能と成る。
【0015】
蝶片加工付板バネ14の蝶片側はヨロイ6の内部に形成している空間13の範囲内で撓むことが出来従ってツル2に外方向への力が作用するならば、蝶片加工付板バネ14は撓み変形し、ネジ9で固定された基部を基点としてツル2は旋回し、外方向へ押し開かれる。(b−1)は蝶片加工付板バネ14が撓み変形してツル2が外方向へ押し開かれた状態を示している。
【0016】
ツル2には蝶片加工付板バネ14にてバネ力が作用し、メガネを顔から外したり、押し開いたツル2から手を放すならば、元の位置である(a−1)に示す状態に戻ることができる。そして(a−1)の状態からツル2を折畳むことが出来る。
【0017】
図4(c)はヨロイ板バネ取付用金具7をリム3に固定した状態と、固定した状態で切断し再度合口を合わせた状態を示し、(d)は蝶片加工付板バネ14、(e)はヨロイ6を示している。フロント部に取付けたヨロイ板バネ取付用金具7をヨロイ6に設けた略矩形状の穴に嵌合させ、蝶片加工付板バネ14を、ネジ止めにて組み立てすると、図2に示す形となる。よって、レンズとヨロイとツルの取り付け、取り外しが簡単に出来る。
【実施例2】
【0018】
図2では蝶片加工付板バネ14の基部に加工した雌ネジにネジ9を絞込むことによりヨロイ板バネ取付用金具7とヨロイ6を同時に固定しているが、別の方法として図3に示したように、ヨロイ板バネ取付用金具7に加工した雌ネジに、蝶片加工付板バネ14の基部に開けた穴とヨロイに開けた穴に通したネジ9をねじ込むことにより前記3部品を同時に締付けて固定にする方法も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるメガネフレームの平面図
【図2】本発明によるフロント部ヨロイ部脱着構造及びツル連結構造の断面図。(a−1)はツルが開いた状態、(b−1)はツルを外方向へ押し開いた状態。
【図3】実施例2の構造を示す断面図。(a−2)はツルが開いた状態、(b−2)はツルを外方向へ押し開いた状態。
【図4】請求項3に記載した構造の説明図。(c)はヨロイ板バネ取付用金具7をリムに固定した状態(d)は切断したヨロイ板バネ取付用金具7を合わせてヨロイに組み付ける説明図(e)は蝶片加工付板バネ(f)はヨロイ
【図5】従来のバネ蝶番(特許文献1)
【符号の説明】
【0020】
1 フロント部
2 ツル
3 リム
4 連結部材
5 鼻当てパット
6 ヨロイ
7 ヨロイ板バネ取付用金具
8 蝶片
9 ネジ
10 先端面
11 端面
12 内面
13 空間
14 蝶片加工付板バネ
15 基部
16 先端
17 板バネ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントの両側に取付けたヨロイ板バネ取付用金具と、前記ヨロイ板バネ取付用金具に設けたネジを通す為の穴または雌ネジと、一方の端にツルと連結するための蝶片が加工され、他方の端近傍の基部に穴または雌ネジが加工された蝶片加工付板バネと、前記蝶片加工付板バネを内部に収容し、かつ所定の角度だけ板バネが撓むことができる空間を内在したヨロイと、前記ヨロイの端部近傍には前記ヨロイ板バネ取付用金具と重なる部分と、かつネジを通す為の穴を設け、前記ヨロイ板バネ取付用金具と前記ヨロイの端部近傍と前記蝶片加工付板バネの基部を重ねてネジで締付けすることを特徴とする、メガネフレームの連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載したヨロイの蝶片加工付板バネを収容するための空間が、フロント側から
ツル連結側に連通していることを特徴とする連結構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したツル連結構造において、ヨロイ板バネ取付用金具は、メタルフルリムに取付け後に切断し、再度合口を合わせヨロイの中に組み入れて、ヨロイと蝶片加工付板バネと共にネジで締め付けることにより、メタルフルリムに必要なレンズ固定機能を兼ねることを特徴とするメガネフレームのツル連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−47946(P2009−47946A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214257(P2007−214257)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(307032065)
【Fターム(参考)】