説明

バルブ

気体動作式蘇生器は、手動動作式バルブアセンブリ(16、25)を経て患者のバルブ(41)に連結された出口(23)を有する振動式タイミングバルブ(14)を具えている。タイミングバルブ(14)は、気体がこのバルブを通って流れるのを阻止する前方位置と、気体がこのバルブを通って流れうるようにする後方位置との間で孔(141)に沿って移動しうる封止用ロッド(145)を有する。このロッド(145)の後方端部(151)はピストン(146)内に装着され且つばね(148)により後方に向けて開放状態に押圧されている。可撓性ダイアフラム(149)がそのエッジ(158)を囲むようにしてバルブのハウジング(140)に連結されており、バルブの後部(159)を前部(160)から分離させ、ピストン(146)の後方端部上に延在している。バルブ(14)の制御入口(34)がバルブの後部(159)内に開口し、この制御入口に与えられる気体圧力が前記ダイアフラム(149)の一方の側に作用して、ピストン(146)及びロッド(145)を前方に向けてばね(148)の作用に抗して閉成状態に押圧されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体入口と、気体出口と、これら気体入口及び気体出口間の通路と、気体が前記通路を通って流れうる第1位置及び気体がこの通路を通って流れるのが阻止される第2位置間で変位しうる可動部材と、気体制御入口とを具える気体振動動作式のタイミングバルブであって、前記気体制御入口によって、気体をこのタイミングバルブに送給して前記可動部材を前記第1位置及び第2位置間で変位させうるようになっている種類のタイミングバルブに関するものである。
【0002】
蘇生器は、自発的に呼吸することができない患者に呼吸用の気体を送給するのに用いられる。携帯蘇生器は、ある容量の空気を患者に送給するために手動的に圧縮される弾性バッグの形態にすることができ、このバッグは、この圧縮を釈放した際に空気が再充填されて、新たなある容量の空気を送給しうるようになる。或いはまた、蘇生器は、Oリング摺動シールを有する気体動作式タイミングバルブを有する機械装置とすることができる。この蘇生器は、種々の他の制御部材をも有するとともに酸素ボンベに連結されており、この酸素ボンベは呼吸用の気体又はその一部を生じるとともに、蘇生器の構成素子を駆動する動力をも生じうる。このような蘇生器の例は、英国特許第2174760号、英国特許第2174609号、欧州特許第343818号、欧州特許第342883号、欧州特許第343824号、英国特許第2282542号、欧州特許第691137号、英国特許第2284159号及び英国特許第2270629号明細書に開示されている。これらの蘇生器は、通常の呼吸に匹敵しうる速度で周期的に患者に気体を送給するように構成されている。蘇生器に用いられている現存のタイミングバルブには種々の問題があり、通常、バルブが小型であるために、低温度で信頼的に動作しえない。
【0003】
本発明の目的は、代替えバルブを提供することにある。
【0004】
本発明の1つの観点によれば、上述した種類のタイミングバルブにおいて、このタイミングバルブが可撓性ダイアフラムを有し、この可撓性ダイアフラムは、その一方の側で前記気体制御入口からの気体圧力が加わることにより移動しうるようになっており、この可撓性ダイアフラムは、前記気体制御入口における圧力変化により生ぜしめられるこの可撓性ダイアフラムの移動により前記可動部材を変位させうるように構成されていることを特徴とするタイミングバルブを提供する。
【0005】
前記可動部材は封止用部分を有し、前記気体入口及び気体出口のうちの一方が横孔を経て前記通路内に開口しており、前記可動部材は、前記封止用部分が前記横孔の一方の側にある第1位置と、前記封止用部分が前記一方の側とは反対側である前記横孔の他方の側にある第2位置との間で前記通路に沿って軸線方向で変位しうるようにするのが好ましい。タイミングバルブは、前記横孔の両側に1つずつとした2つのOリングシールを有しており、前記可動部材は、これらの2つのOリングシール間で移動しうる拡大環状部分を有しているようにすることができる。タイミングバルブは、前記可動部材を前記第1位置又は第2位置に押圧するように動作しうるばねを有するのが好ましい。前記可動部材はロッド部材と、ピストン部材とを有し、前記ロッド部材の一端が前記ピストン部材に対して移動でき、前記ピストン部材は、前記ロッド部材を前記ピストン部材と接触させるように押圧するばねを有するようにしうる。前記ダイアフラムは、前記可動部材の一端を横切るように延在させるのが好ましい。前記タイミングバルブのハウジングと前記可動部材の一端部の外側面との間に環状空所を存在させ、前記ダイアフラムを前記可動部材の端部を横切って延在させるとともに、前記環状空所内でループの形状に折り曲げ、このループは、前記可動部材が前記ハウジングに対して移動するにつれて前記可動部材に対してローリングするようにすることができる。前記可動部材の自然状態位置は、前記気体入口から前記気体出口へ気体を流しうる位置であり、前記制御入口における圧力が高まることにより、前記気体入口から前記気体出口への気体の流れを阻止するように前記可動部材を有効に移動させるようにするのが好ましい。
【0006】
本発明の他の観点によれば、本発明の上述した1つの観点によるタイミングバルブを有する蘇生器を提供する。この蘇生器は手動動作可能なバルブアセンブリを有し、前記タイミングバルブの前記気体出口は、前記手動動作可能なバルブアセンブリの入口に連結されており、前記タイミングバルブの前記制御入口は、前記手動動作可能なバルブアセンブリの出口から気体圧力を受けるように連結されているようにするのが好ましい。
【0007】
本発明によるタイミングバルブを有する蘇生器の例を、添付図面を参照して以下に説明する。
最初に、図1及び2を参照するに、これらの図は、蘇生器の種々の構成素子及びこれらの相互連結ラインを示している。これらの構成素子は全て、共通のハウジング1内に収容されており、このハウジングは手持ちのために充分にコンパクトで且つ軽量となっており、しかも患者側の排気口2においてフェースマスク3に直接連結される。蘇生器の吸気口4は、可撓性のチュービング5を介して、酸素ボンベ6又は例えば、病院のパイプラインのような40及び150 psi(1 psi=約6.9KPa)間の圧力を生じる酸素源に連結される。この構成によれば、片手操作を可能にする。すなわち、同じ手でフェースマスク3を保持するとともに蘇生器を制御しうる。しかし、これに代えて、蘇生器を酸素ボンベに隣接させて位置させ、且つその患者側の排気口を可撓性のチュービングを介してフェースマスク又は呼吸管に連結するようにすることもできる。
【0008】
吸気口4には、フィルタ11と出口12とを有する圧力調整器10が設けられており、この圧力調整器により蘇生器における他の種々の構成素子に酸素を送給する。酸素は5つの通路に分配される。すなわち、酸素は、振動器/タイマ14の入口13と、手動又は瞬間バルブ16の入口15と、デマンド検出器18の入口17と、デマンドバルブ20の入口19と、自発呼吸バルブ22の入口21とに送給される。
【0009】
振動器/タイマ14に送給される気体は、振動器が開放、すなわちオン状態になると、この振動器/タイマ14の出口23に流れ、ここから双安定バルブ25の入口24に流れる。この双安定バルブ25の動作は手動バルブ16により制御される。手動バルブ16と双安定バルブ25とが一緒になって、手動バルブアセンブリを形成するものとみなすことができる。特に、双安定バルブ25の動作、従って、患者に気体を送給する動作は、手動バルブ16の出口51に連結されたパイロット入口50における気体の圧力により制御される。
【0010】
手動バルブ16は、釦62又はトグル63の何れかの作用により、縦孔61内で上下に移動しうるスプール60を有している。入口15及び出口51は、縦孔61の長手方向に沿って互いに離間した位置でこの縦孔61内に開口しており、スプール60は、入口15からこの縦孔を経て出口51に通じる気体の流れを許容しうるか阻止しうるように配置しうる封止部を有する。図示の通常の位置では、ばね64が釦62を押し上げ、従って、スプール60は、入口15と出口51との間の気体の流れが阻止され、その結果、バルブ16が、従って、双安定バルブ25がオフ状態、すなわち閉成状態となる位置に上昇する。
【0011】
釦62が押されると、スプール60が下方に移動し、入口15における加圧気体を出口51に通して双安定バルブ25のピストン65を操作する。或いはまた、ある角度を越えるトグル63のいかなる移動によっても、追従ボビン及びクランク67を介してスプール60を引き下げる。
【0012】
釦60又はトグル63が釈放されると、スプール60が上方に移動し、ピストン65を操作している加圧気体が、手動バルブ16の底部における排出孔68を介して大気に逃れる。手動バルブ16及び双安定バルブ25は、釦62又はトグル63のいずれかを僅かに操作しただけでは排気周波数、すなわち流速を制御できないように構成されている。従って、双安定バルブ25により与えられる出力圧力は、完全にオンとなるか、又は完全にオフとなる。
【0013】
双安定バルブ25の出口26は、自発呼吸バルブ22が装着された患者の排気バルブ28のパイロット入口27に連結されている。双安定バルブ25が開放している間、すなわち、患者の吸息段階中、出口26に存在する加圧気体が患者の排気バルブ28をその入口27において操作してこのバルブ28を閉成し、気体がこのバルブを介して逃れ得ないようにする。双安定バルブ25の出口26は、可変レストリクタ装置32の2つの入口30及び31にも連結されている。この可変レストリクタ装置32は、患者への気体の送給周波数と1回の流量との双方を変えるように手動調整しうる。
【0014】
レストリクタ装置32は、容器1上のレバー90が機械的に結合された回転プレート70の形態の、手動的に変位しうる制御部材を有する。このレストリクタ装置32は、先細となる3つの溝を有し、そのうちの第1の溝71が入口30を出口33に連結し、第2の溝72が入口31を出口37に連結し、第3の溝73が入口38を出口39に連結する。プレート70を回転させて、入口30、31、38及び出口33、37、39と溝71〜73との間を相対移動させることにより、それぞれの入口と出口との間の流れの規制が変えられる。第1の溝71は振動器/タイマ14のタイミングレートを制御する。出口33はタイマ14の制御入口、すなわちタイミング入口34に連結されている為、このタイマの制御入口への気体の流量を多くするようにプレート70を回転させることにより、後に詳細に説明するように、このタイマ14の動作周波数が増大する。
【0015】
レストリクタ装置32の他方の入口31に送給される気体は第2の溝72を経て第2の出口37に流れる。この第2の出口はレストリクタ装置32の第3の入口38に連結されているとともに、空気の混合/非混合バルブ42を介して患者のバルブアセンブリ41の入口にも連結されている。第3の入口38は第3の溝73を介して第3の出口39と連結されており、この第3の出口39は、患者のバルブアセンブリ41内に開口する空気吸込み装置81のノズル入口80に連結されている。
【0016】
第2の溝72と第3の溝73とは、第1の溝71とは逆向きで先細となっている為、出口33における気体の流量を増大させるようにプレート70を回動させると、他の出口37及び39における気体の流量は減少する。従って、ユーザがレバー90を動かして排気周波数を増大することを要求しても、これによりプレート70を回動させるものであり、これと同時に自動的に気体の流速又は1回の流量を減少させる。子供に対しては、動作周波数を低くし、しかも1回の流量も低くする必要がある。
【0017】
先細とした溝に代えて、レストリクタ装置が、寸法が増大する孔の列を有するようにしうる。
【0018】
出口37と患者のバルブアセンブリ41との間に連結された空気混合/非混合バルブ42の動作は、容器1の上の回転ノブ142により制御される。この回転ノブ142は、100%及び50%をそれぞれ付した2つの異なる位置の1つに移動させることができる。バルブ42は、患者が純粋酸素(100%)、すなわち、空気が混合されない酸素を受けるか、酸素に空気を混合して酸素含有量を50%とした、すなわち、空気混合酸素を受けるかを制御する。ノブ142が100%の位置にある場合、バルブ42が完全に開放し、出口37からの気体がほぼ完全に患者のバルブアセンブリ41の入口に向けて流れる。その理由は、この経路が流れに対する抵抗が低いことを表わす為である。しかし、ノブ142が50%の位置に合わせられると、バルブ42を完全にオフ状態にし、出口37から生じる気体の全てが入口38、溝73及び出口39を経て空気吸込み装置81の入口80に流れる。空気吸込み装置81内で酸素の高速噴流が生じることにより、酸素含有量が約21%の空気を空気入口82から引き込む。その結果の混合気体の公称酸素量は50%となり、この気体が患者のバルブアセンブリ41に入り込む。
【0019】
患者のバルブアセンブリ41は、その上端部にデマンドバルブ20を有するとともに、蘇生器の排気口2に開口しているその下端部に患者のバルブ43を有している。この患者のバルブ43は、米国特許第4774941号明細書に開示されているような通常の種類の戻り止めバルブ45を有している。このバルブ43は、バルブアセンブリ41から患者へ気体を流すも、その逆方向でバルブアセンブリの内部には気体を流さないダックビルバルブを有している。このバルブ45は、排気口2の上側端に対接している可撓性のダイアフラム46の中央に支持されている。排気口2は外側リング47内に同心的に支持されて、非吸込みフラップバルブ49により囲まれた環状空間48を形成している。従って、患者が息を吐くと、戻り止めバルブ45が閉じ、ダイアフラム46が排気口2を上昇させて、吐き出された気体を環状空間48内に流し、これにより、フラップバルブ49を介して大気中に逃がす。このフラップバルブ49は気体を環状空間48から流出させるも、その逆方向には気体を流さない。
【0020】
次に、振動器/タイマ14の動作を図4につき詳細に説明する。この振動器/タイマ14は外側の管状ハウジング140を有し、このハウジング内にその軸線方向で制御入口34及び出口23が開口している。出口23は、直径が比較的小さい軸線上の孔、すなわち通路141の左側端部内に開口しており、この孔141はその右側端部で直径がより大きい空所142内に開口している。振動器/タイマ14の入口13は、孔141の長さのほぼ中間でこの孔内に横方向から開口している。この孔141の中には2つのOリングシール143及び144があり、一方のOリングシールは入口13と出口23との間にあり、他方のOリングシールは入口13と空所142内への孔の開口部との間にある。空所142内には、封止用ロッド145と、キャップ又はピストン146と、2つのらせんばね147及び148と、ダイアフラム149とが装着されている。封止用ロッド145は軸線上に装着され、その左側端部150が孔141内に位置するとともにその右側端部151がキャップ146内に保持されるように延在している。封止用ロッド145の左側端部150はその端から僅かに戻った位置で且つ2つのOリングシール143及び144間の位置に拡大した環状ビード152を有している。この封止用ロッド145は右側のOリングシール144を貫通して延在しており、このOリングシール144がこの封止用ロッドの外面と摺動的に密封係合している。封止用ロッド145の右側端部は、その端から僅かな距離だけ離間させて拡大フランジ153を有しており、この封止用ロッドはその右側でばね147の左側端部と係合している。ばね147は軸線上に延在し、キャップ146の封じられた右側端部246の内面に衝合している。フランジ153の左側面は、キャップ146の長さのほぼ中間でこのキャップから内方に突出するフランジ154の右側面と衝合している。キャップ146の左側端部155は開放しているとともに、内側肩部156を形成するように拡大しており、キャップが空所142内に、封止しないようにゆるくすべりばめされている。肩部156は、第1のらせんばね147よりも直径が大きく且つ封止用ロッド145を囲んで軸線上に延在している第2のらせんばね148の右側端部と接触している。第2のらせんばね148の左側端部は、空所142の左側端部における端部壁157に衝合している。
【0021】
振動器/タイマ14は、可撓性で、不通気性で、剛性の低い構造のシリコーンゴム材料から成るダイアフラム149をもって完成される。このダイアフラム149は円形形状をしており、これには厚肉の円周縁部158が設けられており、この円周縁部158は、ダイアフラムが空所142を横切って延在してこの空所の後部159を前部160から封止するように、ハウジング1の2部分間に捕捉且つ封着されている。ダイアフラム149の中央部分には、空所142の後部159内に突入するとともにキャップ146の後部の封じられた端部の外側面を密接に取囲んでいるメサ型部161が型成形されている。ダイアフラム149は、メサ型部161と縁部158との間でハウジング140の内面における湾曲環状縁部162を囲むように湾曲しているとともに、ハウジングの内面とキャップ146の後部246の外面との間の環状空所164内でU字状の湾曲ループ163の形状に形成されている。
【0022】
振動器/タイマ14の自然状態では、ばね148がキャップ146を、従って、封止用ロッド145を、このロッド上の環状ビード152が後方に、すなわち、入口13が孔141内に開口している個所の右側になる位置まで後方に押圧している。従って、入口13と出口23との間の通路は遮断されておらず、気体が振動器/タイマ14を経て流れることができ、この振動器/タイマ14はオン状態、すなわち、開放状態にある。従って、封止用ロッド145の移動が、入口13と出口23との間で振動器/タイマを経る通路に沿う気体の流れを制御する。
【0023】
制御入口34に気体の圧力が加えられると、空所142の後部159内の圧力が増大する。これにより、ダイアフラム149の右側面に圧力を加え、このダイアフラムをキャップ146に押圧し、このキャップをばね148の作用に抗して左側に向けてピストンのように前に移動させる。空所142の左側部分内の空気は、ハウジング140内の小さな排出孔165を経て大気に逃げることができる。キャップ146が左に移動するにつれ、ダイアフラム149が曲がってループ163がキャップとハウジング140との間でローリングし、このループがキャップの外側面から剥がれてハウジングの内面に張り付くようになる。最初は、孔141内の圧力によりロッド145の移動を阻止する為、ばね147はピストンが前に移動するにつれ圧縮される。ロッド145の後方端部151がピストンの後方端部246の底に達すると、ロッド145は孔141に沿って前方に移動する。キャップ146内のばね147は封止用ロッド145上のフランジ153に対接して、このフランジ153をキャップ上のフランジ154と接触させており、これにより封止用ロッドを孔141に沿って前に移動させる。ロッド145が前に移動するにつれ、その環状ビード152が入口13の左側に移動し、ロッドの前方端部150が前方のOリングシール143に入り始める。これにより、ビード152に加わる圧力が均等化し、ばね147の力は、ロッドを前方に押圧してそのビード152が左側のOリングシール143と完全に封止接触状態となるのに充分なものとなる。これにより、入口13から出口23への気体の流れを遮断して振動器/タイマ14をオフ状態にすること明らかである。これにより、患者へ気体を送給する吸息段階を終了させ、呼息段階を開始させる。
【0024】
振動器/タイマ14がオフ状態になると、タイマ14の出口23とレストリクタ装置32の入口30との間の給気路における気体の全てが、患者のバルブアセンブリ41を経て、すなわち、直接入口40を経て又は空気吸込み装置81を経て大気に逃がされる。これにより、患者の排気バルブ28における圧力を釈放してこの排気バルブを開放させ、これにより、患者の給気路の圧力を患者の排気バルブにおける出口を介して大気に急速に逃がす。
【0025】
制御入口34における圧力が降下すると、ばね148が封止用ロッド145を開放状態に戻し始める。空所142の後部159における気体は入口34を経て逃れてレストリクタ装置32に戻り、特に溝71を介して入口30に流れる。従って、気体の圧力の減少速度は、レストリクタ装置32のタイマ設定により決定される。振動器/タイマ14が再び開放されると、新たな吸息段階が開始され、排気サイクルが継続される。
【0026】
ダイアフラム149は空所142の2つの部分159及び160間を完全に密封しており、移動や、ワイピング封止等に頼るものではないこと明らかである。通常の空気式ピストンは、封止を達成するのにOリングを用いている。本発明の構成によれば、タイミングバルブ14を、フリクションやスティクションの摩擦力を低くして動作させることができ、従って、バルブを低い切換え圧力で信頼的に動作させることができる。最初に与えられる吸息の1回の流量が過度に増大しないようにするためには、切換え圧力をできるだけ低く保つことが重要である。手動釦62を最初に操作すると、タイミングバルブ14が開放し、制御入口34における圧力が閉成状態の切換え圧力に上昇するまで、気体が患者に流れうるようになる。この圧力が比較的高い場合には、気体が患者に長時間流れ、送給される1回の流量が過度に多くなるおそれがある。通常のOリングバルブで低い切換え圧力が用いられると、特に−18℃までの極めて低い温度で、しかも特に小型のバルブの場合に、適切に動作しなくなるおそれが高くなる。上述した本発明による構成によれば、−18℃〜+50℃の広い温度範囲に亘って小型の振動器におけるフリクションやスティクションの摩擦力を低くすることができる。
【0027】
手動制御釦62又はトグル63を用いる場合、この釦が押されているか又はトグルが変位されている限り、振動器/タイマ14と可変レストリクタ装置32の設定とによって決定される最大吸息期間まで、蘇生器の吸息期間が継続される。この動作方法によると、気体が完全に送給される前に、釦62又はレバー90を釈放することにより、1回の全流量よりも少ないいかなる流量をも与えることができる。送給時間を短くすることにより、送給されない流量や、釦62が次に押されるか又はトグル63が変位される前に経過する時間(呼息時間)に比例させた他の吸息サイクルを達成することができる。極めて接近して連続的に2回以上の完全吸息を行うことができず、従って、患者の重ね呼息や吸い込みすぎが生じるおそれが回避される。1回の流量が100%完全に送給された場合には、完全な呼息時間が経過されるまで、給気路は閉鎖される。この時間の経過後、制御によって他の吸息時間を設定しうる。
【0028】
ある釈放可能な機械的手段により、スプール60を下方に保持することにより、自動サイクルモードが達成される。本例では、このことを、釦62を囲む回転可能リング262によって達成する。このリング262を“自動”位置に回転させると、径方向でこのリングの内方に突出する2つのカムピン263が、釦62の外側面に径方向で互いに対向させて形成した(図3に示すような)2つのカムプロフィール265の傾斜部分に係合し、これにより釦を下方に押圧する。このようにして、釦62は動作位置に保持され、蘇生器は、振動器/タイマ14の動作及びレストリクタ装置32の設定により決定される周波数及び1回の流量で順次の繰返し時間で行われる送給サイクルを達成する。リング262を回転させてその“手動”設定値に戻されると、カムピン263がカムプロフィール265の垂直区分266と整列され、釦62の移動が妨害されなくなる。
【0029】
送給サイクルのいかなる段階においても、患者がデマンド呼吸を行う場合には、デマンドバルブ20により気体のデマンドフローが生ぜしめられる。デマンド呼吸がプリセットした1回の流量と周波数との組合わせを越える場合には、使用されている場合の自動サイクリングが一時的に抑止される。この動作中、患者の気体送給路中の圧力が大気圧よりも数ミリバールだけ低くなり、ダイアフラム170をデマンドバルブ20内に引き込むようになる。入口19においてデマンドバルブ20に既に送給されている圧力は、可撓性シール171の上下で等しくなり、出口172を経てデマンド検出器18の一方の側を操作する。ダイアフラム170の移動によりバルブレバー173を操作し、シール171上の圧力を出口174から流出させる。この操作により、シール171に加わる圧力を降下させ、これにより気体を患者が要求する流速で患者の気体送給路に入れる。これと同時に、シール171の上の圧力降下によりデマンド検出器18のダイアフラム175を左側に移動させ、入口17から出口176へのデマンド検出器18を通る気体送給路を開放させる。従って、気体は戻り止めバルブ177を通り、振動器/タイマ14をその制御入口34において加圧する。この加圧により、入口13と出口23との間の気体送給路が遮断されるまで、キャップ146及び封止用ロッド145を移動させ、これにより自動サイクリングを一時的に禁止する。患者のデマンド呼吸が終了すると、シール171の上下の圧力が再び等しくなり、デマンド検出器18のダイアフラム175が元に戻り、出口176への気体送給路を遮断する。この段階で、振動器/タイマの気体送給路に捕捉されていた気体は通常の経路を経て逃れており、このモードで他のデマンド呼吸が行われない限り、しばらくして自動サイクルが再開される。デマンド呼吸のレベルは、振動器/タイマの気体送給路に気体を送給する時間、すなわち、呼息時間が到来するまでの時間を表わす。
【0030】
患者の気体送給路の最大圧力を制限するために、蘇生器は更に、患者のバルブアセンブリ41の内部に連結された圧力除去バルブ180を有している。このバルブは、圧力が予め決定した値を超えた場合に、大気に開放して過剰の気体の流れを除去する。
【0031】
自発呼吸バルブ22はピストン181を有し、このピストンは、ばね182により動作させられることによりこのバルブが空気中に開放する状態となるまで移動する。このピストン181は、圧力調整器10からの気体送給圧力によっても動作させられ、通常はバルブが閉成状態となるようにしてある。しかし、この気体送給圧力が降下してしまうと、バルブ22は、自発呼吸する患者が大気に対し呼吸しうる状態に開放する。これにより、気体送給圧力がデマンドバルブ20の入力圧力条件よりも降下した場合に、代わりの呼吸用の気体送給路が提供されるようになる。
【0032】
気体送給路には、図1の位置A及びBにおいて可調整レストリクタ装置を設け、これらにより蘇生器の動作を調整することができる。特に、デマンド検出器18の入口172とデマンドバルブ20との間の位置Aにおけるレストリクタ装置は、デマンド検出器のダイアフラム175の応答を制御するのに用いられる。デマンド検出器18の出口176と振動器/タイマ14の入口34との間の位置Bにおける他のレストリクタ装置は、患者のデマンド呼吸によりデマンド検出器がトリガされた際に振動器/タイマを充填する速度を制御するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、蘇生器の気体送給路を示す線図である。
【図2】図2は、蘇生器の外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、手動制御釦上のカムプロフィールを示す線図である。
【図4】図4は、振動器/タイマを詳細に示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体入口(13)と、気体出口(23)と、これら気体入口及び気体出口間の通路(141)と、気体が前記通路(141)を通って流れうる第1位置及び気体がこの通路を通って流れるのが阻止される第2位置間で変位しうる可動部材(145、146)と、気体制御入口(34)とを具える気体振動動作式のタイミングバルブ(14)であって、前記気体制御入口(34)によって、気体をこのタイミングバルブ(14)に送給して前記可動部材(145、146)を前記第1位置及び第2位置間で変位させうるようになっている当該タイミングバルブにおいて、
このタイミングバルブ(14)が可撓性ダイアフラム(149)を有し、この可撓性ダイアフラムは、その一方の側で前記気体制御入口(34)からの気体圧力が加わることにより移動しうるようになっており、この可撓性ダイアフラム(149)は、前記気体制御入口(34)における圧力変化により生ぜしめられるこの可撓性ダイアフラムの移動により前記可動部材(145、146)を変位させうるように構成されていることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のタイミングバルブにおいて、前記可動部材(145、146)が封止用部分(150、152)を有し、前記気体入口(13)及び気体出口(23)のうちの一方が横孔を経て前記通路(141)内に開口しており、前記可動部材(145、146)は、前記封止用部分(150、152)が前記横孔の一方の側にある第1位置と、前記封止用部分が前記一方の側とは反対側である前記横孔の他方の側にある第2位置との間で前記通路(141)に沿って軸線方向で変位しうるようになっていることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項3】
請求項2に記載のタイミングバルブにおいて、このタイミングバルブは、前記横孔の両側に1つずつとした2つのOリングシールを有しており、前記可動部材は、これらの2つのOリングシール間で移動しうる拡大環状部分を有していることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイミングバルブにおいて、このタイミングバルブが、前記可動部材(145、146)を前記第1位置又は第2位置に押圧するように動作しうるばね(148)を有していることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイミングバルブにおいて、前記可動部材がロッド部材(145)と、ピストン部材(146)とを有し、前記ロッド部材の一端(151)が前記ピストン部材に対して移動でき、前記ピストン部材(146)は、前記ロッド部材(145)を前記ピストン部材(146)と接触させるように押圧するばね(147)を有していることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイミングバルブにおいて、前記ダイアフラム(149)は、前記可動部材(145、146)の一端を横切るように延在していることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項7】
請求項6に記載のタイミングバルブにおいて、このタイミングバルブ(14)のハウジング(140)と前記可動部材(146)の一端部の外側面との間に環状空所(164)が存在し、前記ダイアフラム(149)が前記可動部材(146)の端部を横切って延在しているとともに、前記環状空所(164)内でループ(163)の形状に折り曲げられ、このループは、前記可動部材が前記ハウジングに対して移動するにつれて前記可動部材に対してローリングするようになっていることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイミングバルブにおいて、前記可動部材(145、146)の自然状態位置は、前記気体入口(13)から前記気体出口(23)へ気体を流しうる位置であり、前記制御入口(34)における圧力が高まることにより、前記気体入口から前記気体出口への気体の流れを阻止するように前記可動部材(145、146)を有効に移動させるようになっていることを特徴とするタイミングバルブ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のタイミングバルブを有する蘇生器。
【請求項10】
手動動作可能なバルブアセンブリ(16、25)を有する請求項9に記載の蘇生器において、前記タイミングバルブ(14)の前記気体出口(23)は、前記手動動作可能なバルブアセンブリ(16、25)の入口(15)に連結されており、前記タイミングバルブ(14)の前記制御入口(34)は、前記手動動作可能なバルブアセンブリの出口(26)から気体圧力を受けるように連結されている蘇生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503946(P2007−503946A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525877(P2006−525877)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003758
【国際公開番号】WO2005/023352
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501038551)スミスズ グループ ピーエルシー (26)
【氏名又は名称原語表記】SMITHS GROUP PLC