説明

バンクアクセス制御方式

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバンクアクセス制御方式に関し、特に複数のバンクにインタリーブされた主記憶へのバンクアクセス制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複数のバンクにインタリーブされた主記憶を有する情報処理システムにおいて、該主記憶へのバンクアクセスでは公開特許公報;昭60−120449に詳述されているように2通りの制御方式があった。
【0003】図6(a),図6(b)は、該公開特許公報に記載されているバンクアクセス制御方式のブロック図である。
【0004】図6(a),図6(b)において、20はアクセス選択回路、21はバンクビジー管理部、P1,P2,…Pnは、パイプライン、ACCは、複数のバンクへのアクセス要求(メモリリクエスト)である。
【0005】アクセス選択回路20は、複数のACCから、予め定められた選択条件(同一のバンクに対するアクセスの順序保証、各バンク間での優先選択順序等)に従って、1つのACCを選択する回路であり、バンクビジー管理部21は、各バンクのビジー状態を管理しており、ACCのうち、バンクビジーでないバンクへのアクセスのみを許可する回路である。また、P1,P2,…Pnからなるパイプラインは、あるバンクへのアクセスが開始され、終了するまでのバンクサイクルを保証するための回路である。
【0006】図6(a)の方式では、複数個のACCを、バンクビジー管理部21に入力し、バンクビジーでないバンクへのACCを選択し、その中から選択条件に合致した1つのACCをアクセス選択回路20で選択してパイプラインP1に出力する。この時、起動信号STが主記憶装置に出力され、バンクアクセスが開始される。バンクアクセス時のアドレスは、パイプラインP1,P2,…Pnから取り出され、アドレスがパイプラインPnに到達した時点でバンクサイクルは終了する。バンクビジー管理部21は、バンクサイクルが終了すると、次のACC選択を開始する。
【0007】一方、図6(b)の方式では、まず複数個のACCから選択条件に合致した1つのACCをアクセス選択回路20で選択してパイプラインP1に出力し、アドレスがパイプラインPnに到達した時点、即ちバンクサイクルが終了した時点でバンクビジー管理部21でアクセス対象のバンクがビジーでないかどうかを判定し、ビジーでなければ起動信号STを主記憶装置に出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のバンクアクセス制御方式は、図6(a),図6(b)いずれの方式も、主記憶装置に起動信号STが出力されバンクビジーが発生したとき、バンクビジーとなったメモリリクエストのビジーが解除されるまで、即ちバンクサイクルが終了するまでの間、後続のメモリリクエストがバンクビジーか否かに関わらず記憶装置に出力されず、メモリアクセス効率が悪くなるという欠点があった。
【0009】本発明の目的は、複数のバンクを有する主記憶へのバンクアクセス制御方式において、バンクチェック及びリクエストチェックを効率よく行い、メモリへのアクセス頻度を向上させ、メモリアクセス効率を改善することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のバンクアクセス制御方式は、複数のバンクを有する主記憶へのバンクアクセス制御方式であって、アクセス先のバンクがビジー状態であるか予め定められた選択条件に合致しないメモリリクエストを格納するn個(n≧2)のレジスタから成るリクエストバッファと、該バンクのビジー状態を管理するバンクビジーカウンタと、予め定められた周期で前記リクエストバッファ内に格納された前記メモリリクエスト及び新たに受信したメモリリクエストのアクセス先バンクのビジー状態を前記バンクビジーカウンタを参照することによってチェックするバンクチェック回路と、前記バンクチェック回路によってチェックされた前記アクセス先バンクがビジー状態でない前記メモリリクエストのうち前記選択条件に合致する該メモリリクエストを選択しメモリ制御部に発行するリクエスト選択回路とを有し、前記リクエストバッファ内に格納される前記メモリリクエストは、受信した順番に最も若番の前記レジスタからもっとも老番の前記レジスタへ向けて順番に格納され、若番のレジスタから格納された前記メモリリクエストのうち前記バンクビジーが解除され前記メモリ制御部に発行されたものがあると、当該メモリリクエストが格納されていたレジスタへ向けて当該レジスタよりも老番のレジスタに格納された前記メモリリクエストを各々若番のレジスタに向けて一段シフトし、常に最も若番のレジスタから順に前記メモリリクエストが格納されてなることを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】[作用]複数のバンクを有する主記憶へのバンクアクセス制御方式において、アクセス先のバンクがビジー状態であるか予め定められた選択条件に合致しないメモリリクエストを格納するリクエストバッファと該バンクのビジー状態を管理するバンクビジーカウンタを具備し、予め定められた周期でリクエストバッファ内に格納されたメモリリクエスト及び新たに受信したメモリリクエストのアクセス先バンクのビジー状態をバンクビジーカウンタを参照することによってチェックし、チェックされたアクセス先バンクがビジー状態でないメモリリクエストのうち前述の選択条件に合致するメモリリクエストを選択し、メモリ制御部に発行する。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明のバンクアクセス制御方式の一実施の形態を示すブロック構成図、図2は本発明のバンクアクセス制御方式を司るバンクチェックブロック11のコンピュータシステムにおける位置づけを示す図である。
【0018】図1、図2を参照しつつ、本発明の概要を説明すると、受信したメモリリクエストについてバンクチェック回路4、リクエスト選択回路5でバンクチェックを行い、バンクチェックOK時、即ち該メモリリクエストのアクセス先バンクがバンクビジーでなくかつリクエスト選択条件(システムで予め決められた条件)を満足している時、受信したメモリリクエストをメモリ制御部12に出力し、バンクチェックNG時、即ち受信したメモリリクエストのアクセス先バンクがバンクビジーの時またはリクエスト選択条件を満足してしていない時、受信したメモリリクエストをリクエストバッファ1に格納する。また、後続のメモリリクエストについても同様にバンクチェックを行い、バンクチェックNG時は受信したメモリリクエストをリクエストバッファ1に格納し、バンクチェックOK時は受信したメモリリクエストをメモリ制御部12に出力する。リクエストバッファ1内に格納されたアクセス先バンクの異なる複数のメモリリクエストが同時にバンクビジー解除された場合、該複数のメモリリクエストは予め定められた優先順位に従って、クロックサイクル毎にメモリ制御部12に出力される。
【0019】次に、図1における各ブロックの詳細について説明する。
【0020】リクエストバッファ1内に格納されるメモリリクエストは、受信した順番にワード00からワードnという順番で格納される。例えば、全ワードにメモリリクエストが格納されている場合において、ワード03のメモリリクエストのバンクビジーが解除されたとき、次のクロックサイクルではワード00、ワード01およびワード02のメモリリクエストはそのままホールドされ、ワード03はメモリ制御部に出力され、ワード04からワードnまでのリクエストは各々右に一段シフトし、ワード03からワードn−1に格納される。この場合、ワード03のリクエストを選択する信号は、リクエストセレクト信号6である。また、ワード番号が若い順番にバンクビジーのメモリリクエストを格納するため、i個のリクエストが格納されているときは、ワード00からワードi−1に格納され、ワードの途中でメモリリクエストが歯抜けになることはない。
【0021】バンクビジーカウンタ3は、バンク単位にビジーカウンタを有し、メモリ制御部に発行されたメモリリクエストのアクセス先バンクアドレス7をデコードして、アクセス先バンクに対応するバンクビジーカウンタを起動し、クロックサイクル毎にカウントアップし、一定の値(バンクビジー時間)となったときにバンクビジーカウンタをリセットする(従って、バンクビジーカウンタがリセットされているときはバンクビジーでないことが判定できる)ことにより、全バンクのバンクビジー情報8を生成し出力する。
【0022】次に、バンクチェック回路4について説明する。図3は、バンクチェック回路4のブロック図である。バンクチェック回路4では、バンクビジーカウンタ3からのバンクビジー情報8と受信メモリリクエスト及びリクエストバッファ1の各ワード内に格納されているメモリリクエストのアクセス先バンクアドレス9とを入力し、各アクセス先バンクアドレスをセレクト信号としてバンクビジー情報8を選択することにより、全メモリリクエストのアクセス先バンクがビジーか否かを示すバンクパス情報10を生成する。
【0023】次に、図4はリクエスト選択回路5のブロック図である。リクエスト選択回路5では、バンクチェック回路4で生成された全メモリリクエストのバンクパス情報を入力し、ワード00、ワード01、…ワードn、受信メモリリクエストの順番で優先させてメモリリクエストを選択するための信号、リクエストセレクト6を生成しリクエストセレクタ2を介して該リクエストセレクト6によって選択されたリクエストをメモり制御部に発行する。
【0024】図5は、ワードaに格納されたメモリリクエストがバンク0にアクセスするときのタイミングチャートの例を示す図である。
【0025】リクエストバッファ1からワードaに格納されているアクセス先バンクアドレスがバンクチェック回路4に入力され、バンク0のビジー情報とからワードaパス情報が生成される。このワードaパス情報からリクエスト選択回路5にてワードaセレクト信号が生成され、メモり制御部にバンク0にアクセスするワードaのリクエストが送出される。
【0026】尚、上述した実施例では、リクエスト選択回路5は、バンクチェック回路4で生成されたバンクパス情報を優先順位に従って1つ選択し、リクエストセレクタ2を介して該当するリクエストをメモり制御部に出力する方式であるが、バンクチェック回路4で生成されたバンクパス情報において、同一バンクへのバンクパス情報については優先順位に従って選択し、バンクが異なりかつビジーでないバンクパスについては、リクエストセレクタ2を介して該当する全てのリクエストを同時にメモり制御部に出力する方式も考えられる。
【0027】
【発明の効果】上述したように、本発明は、バンクビジーが発生したときに、本リクエストをバンクビジーが解除されるまでの間リクエストバッファに格納し、後続のメモリリクエストのアクセス先バンクがバンクビジーでない時はメモり制御部に出力するようにしたことにより、メモリへのアクセス頻度を向上させ、メモリアクセス効率を改善する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバンクアクセス制御方式の一実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明のバンクアクセス制御方式を司るバンクチェックブロックのコンピュータシステムにおける位置づけを示す図である。
【図3】図1のバンクチェック回路4のブロック図である。
【図4】図1のリクエスト選択回路5のブロック図である。
【図5】ワードaに格納されたメモリリクエストがバンク0にアクセスするときのタイミングチャートの例を示す図である。
【図6】(a),(b)ともに従来技術の一実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 リクエストバッファ
2 リクエストセレクタ
3 バンクビジーカウンタ
4 バンクチェック回路
5 リクエスト選択回路
6 リクエストセレクト
7 バンクアドレス
8 バンクビジー情報
9 アクセス先バンクアドレス
10 全メモリリクエストのバンクパス情報
11 バンクチェックブロック
12 メモリ制御部
13 データ出力制御部
20 アクセス選択回路
21 バンクビジー管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】複数のバンクを有する主記憶へのバンクアクセス制御方式であって、アクセス先のバンクがビジー状態であるか予め定められた選択条件に合致しないメモリリクエストを格納するn個(n≧2)のレジスタから成るリクエストバッファと、該バンクのビジー状態を管理するバンクビジーカウンタと、予め定められた周期で前記リクエストバッファ内に格納された前記メモリリクエスト及び新たに受信したメモリリクエストのアクセス先バンクのビジー状態を前記バンクビジーカウンタを参照することによってチェックするバンクチェック回路と、前記バンクチェック回路によってチェックされた前記アクセス先バンクがビジー状態でない前記メモリリクエストのうち前記選択条件に合致する該メモリリクエストを選択しメモリ制御部に発行するリクエスト選択回路とを有し、前記リクエストバッファ内に格納される前記メモリリクエストは、受信した順番に最も若番の前記レジスタからもっとも老番の前記レジスタへ向けて順番に格納され、若番のレジスタから格納された前記メモリリクエストのうち前記バンクビジーが解除され前記メモリ制御部に発行されたものがあると、当該メモリリクエストが格納されていたレジスタへ向けて当該レジスタよりも老番のレジスタに格納された前記メモリリクエストを各々若番のレジスタに向けて一段シフトし、最も若番のレジスタから順に前記メモリリクエストが格納されてなることを特徴とするバンクアクセス制御方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【特許番号】特許第3265226号(P3265226)
【登録日】平成13年12月28日(2001.12.28)
【発行日】平成14年3月11日(2002.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−138499
【出願日】平成9年5月28日(1997.5.28)
【公開番号】特開平10−333979
【公開日】平成10年12月18日(1998.12.18)
【審査請求日】平成9年5月28日(1997.5.28)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000168285)甲府日本電気株式会社 (572)
【参考文献】
【文献】特開 昭51−68735(JP,A)
【文献】特開 昭59−211153(JP,A)
【文献】特開 平3−51948(JP,A)
【文献】特開 平10−228417(JP,A)