説明

バーコードが印刷された食品包装用不織布

【課題】本発明は水分を含有する食品に印刷面が転写される恐れがなく、残存溶剤の量が激減し、安価に印刷でき、且つ食品に触れても安全であると共に商品に多量の情報を付与出来るバーコードが印刷された食品包装用不織布を提供することを目的とする。
【解決手段】不織布1の表面に少なくとも、水性インキで印刷した二次元バーコード2を表示させたものとする。また不織布1が、中へ保冷材3を詰め込み可能に袋状に形成し、その表面に二次元バーコード2を表示すると良く、不織布1に、文字又は図形の一方、或いは両方を印刷して表示させても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次元バーコードが印刷された食品包装用不織布に関し、特には野菜,果物,魚介類,食肉などの生鮮食品や、冷凍食品或いは、豆腐,寿司,弁当,ハム,ソーセージ,かまぼこなどの各種加工食品等の水分を含有する包装食品と一緒に同封される保冷材や鮮度保持剤などの包装用として使用するためのバーコードが印刷された食品包装用不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜,果物,魚介類,食肉などの生鮮食品や、冷凍食品或いは、豆腐,寿司,弁当,ハム,ソーセージ,かまぼこなどの各種加工食品等の水分を含有する食品と一緒に保冷材や鮮度保持剤などが同封される場合、保冷材や鮮度保持剤などの包装材の表面に、オフセット印刷やグラビア印刷で商品名や製造元などが印刷されていた。この時、保冷材などの包装材の表面に直接印刷するが、インキが生鮮食品などに接触すると、特に食肉に接触するとそのお食肉の脂身でインキを溶かし、食肉に印刷面が転写され、その食肉にインキが付着する。このインキは有害であるため、食品の安全性が問題になる。特に前記印刷は悪臭防止法などの対象であるキシレン,トルエン,酢酸エチル,イソプリピルアルコールなどの溶媒が残存するので、前記オフセット印刷やグラビア印刷は食品用として適さないものであった。このため、食品用として利用できるインキを用いて印刷する方法がある。又、印刷面が食品に触れないようにする手段、例えば、保冷材などの包装材の表面に印刷した印刷面の上に不織布等を被せる方法或いは、保冷材などの包装材の裏面に反転した文字や図形が印刷され且つそれを内側にして袋体が形成され、その内部に保冷材や鮮度保持剤を入れ、その表面には印刷面が出ないようにする方法などが一般に行われている。
【0003】
しかしながら前記食品用として利用できるインキを用いて印刷する方法は、インキの種類が限定されており、このインキを使用するとコストが高く、作業性などの点で不利であり、主に食料用包装の外装には不向きとされてきた。又、前記印刷面の上に不織布等を被せる方法は、印刷後に新たに不織布を用意し取付けなければならず、手間が掛かると共に印刷面が不織布で隠れてしまうため、印刷による宣伝効果が薄れてしまうものとなっていた。更に前記包装材の裏面に印刷して、インキが生鮮食品などに直接に接触しないようにする方法は、先に印刷した後に袋体に形成するため、印刷の位置や内容を考慮しなければならず、手間の掛かるものであると共に印刷文字が見にくくて読めない場合もあった。従って、保冷材などの包装材に不織布を用い且つその表面に直接印刷した食品用の包装材は殆どないと共に不織布に二次元バーコードを印刷したものもなかった。
【0004】
尚、前記二次元バーコード(QRコードとも言う)には、小さな面積で多量の情報、例えば商品説明や取扱い及び注意,会社や商店などの案内及びその説明,会社や商店などの地図,クーポン,ホームページアドレスなどの情報が入れられ、ホームページへのリンクが容易にでき、効率良く宣伝することが出来るものとなる。又、二次元バーコードは読取装置による識別が容易で、誤読の恐れがなく、確実な読み取りが可能となるため、近年に於いては、よく商品などに付けられているのが見受けられる。この二次元バーコードは携帯電話に付属するカメラでの読み取りが可能であるため、商品販売業界に於いて注目されている。
【0005】
一方、不織布にバーコード印刷を可能とするものとして、特開平8−199467号や特開平6−158504号が提案されているが、これらは従来の棒状のバーコード印刷を可能とするために、不織布の表面粗さや透気性などを厳選して良質な印刷面が得られるものである。しかしながら、不織布にバーコード、特に二次元バーコードを不織布に印刷する場合に、オフセットやグラビアなどの一般的な印刷手法で行うと、インキの印刷ムラなどが原因で、細部が鮮明でなく、且つ濃淡が均一に調整することが困難であるため、二次元バーコードに濃淡のムラを生じてしまい、正確な読み取りが出来ないのが現状であり、従来に於いては不織布に二次元バーコードを印刷するものはなかった。
【特許文献1】特開平8−199467号公報
【特許文献2】特開平6−158504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、水分を含有する食品に印刷面が転写される恐れがなく、残存溶剤の量が激減し、安価に印刷でき、且つ食品に触れても安全であると共に商品に多量の情報を付与出来るバーコードが印刷された食品包装用不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記現状に鑑み成されたものであり、つまり、水性インキが利用されるフレキソ印刷の技術を確立させて、不織布に二次元バーコードが判読可能に印刷できる技術を完成させた。このことにより、不織布の表面に少なくとも、水性インキで印刷した二次元バーコードを表示させたものとする。また前記不織布が、中へ保冷材を詰め込み可能に袋状に形成し、その表面に二次元バーコードを表示すると良く、不織布に、文字又は図形の一方、或いは両方を印刷して表示させても良い。尚、本発明で言う「二次元バーコード」とは、図中のような四角形のものだけを指すのではなく、多量の情報が入れられるものを指し、図示しない他の形式のものも含むものとする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように不織布(1)の表面に少なくとも、水性インキで印刷した二次元バーコード(2)が表示されることにより、従来に生じていた食肉の脂身でインキを溶かし食肉に印刷面が転写され、インキが食肉に付着する恐れはなくなると共に、残存溶剤の量がグラビア印刷などに比べ激減され、安価に印刷でき、且つ悪臭防止法などの対象であるキシレン,トルエン,酢酸エチル,イソプリピルアルコールなどの溶媒は使用されないため、有害な溶媒が食品に触れる心配もなくなって、環境にやさしいものとなる。更に従来では不可能であった不織布(1)に二次元バーコード(2)などの判読可能な印刷が出来るため、食品包装用の不織布(1)に多量の情報を表示付与することが可能となる。また不織布(1)の表面に二次元バーコード(2)だけを表示しておくと、従来品と比べ表面がスッキリしたものとなり(図1参照)、斬新なデザイン感覚で、且つ顧客の目を引くものとなる。
【0009】
請求項2のように不織布(1)が、中へ保冷材(3)を詰め込み可能に袋状に形成され、且つ不織布(1)の表面に二次元バーコード(2)を表示させることにより、小さな面積でも二次元バーコード(2)が表示でき、保冷材(3)の外側に表示できる情報量が飛躍的に増え、インターネット環境を利用した宣伝や、表面に書き切れない注意書きの補填など、使用者や消費者が必要とする情報量を充分に付与することが出来るものとなる。例えば、商品名及びその説明文,取扱いの注意事項,製造元や販売元及びその地図,ホームページアドレス等の所望事項の他に、子供や年寄りが保冷材(3)を食べてしまった時の対処方法,使用が終わり捨てる際の方法や注意など、より多く盛り込むことができるものとなる。また二次元バーコード(2)の多量の情報は、宣伝媒体として有用性を認識させながら効率良く且つ確実に読み取られるものとなる。
【0010】
請求項3に示すように不織布(1)に、文字(4)又は図形(5)の一方、或いは両方が表示されることにより、外側の印刷での文字データーや図形が見易くなるため、印刷による宣伝効果がより大きく発揮されるものとなる。
【0011】
請求項4に示すように二次元バーコード(2)の情報内容として、商品名及びその説明文,取扱いの注意事項,製造元や販売元及びその地図,ホームページアドレス等の所望事項を入れておくことにより、印刷スペースの関係上記載できなかった内容が二次元バーコード(2)に全て盛込むことができ、且つ従来の如き細かい文字(4)や図形(5)で印刷する必要がないので、見た目も良く、顧客も携帯電話やパソコンを用いることで、ホームページとも簡単に繋がるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1、図2は本発明の実施形態を示す図であり、これについて説明する。(1)は食品包装用不織布であり、該不織布(1)は周囲3方向をシール部(11)によって密封する袋状に形成され、その中には保冷材(3)が詰め込まれている。尚、前記不織布(1)としては袋状に限定されるものでなく、シート状の包装用風呂敷などとして利用できるものとしても良い。又、前記不織布(1)は繊維径や目付け、或いは長繊維や短繊維は問わず、一般的なものを用いれば良い。
【0013】
(2)は不織布(1)の表面に水性インキを用いた水性フレキソ印刷で印刷表示された二次元バーコードであり、該二次元バーコード(2)の情報内容として、商品名及びその説明文,取扱いの注意事項,製造元や販売元及びその地図,商品データー,会社や商店などの説明,会社や商店などの案内,会社や商店などの地図,クーポン,子供や年寄りが保冷材(3)を食べてしまった時の対処方法,使用が終わり捨てる際の方法や注意,ホームページアドレス等の事項である。尚、前記二次元バーコード(2)の代りに、棒状を並べた従来のバーコードを表示させても良い。
【0014】
(4)は不織布(1)の表面に水性フレキソ印刷で印刷された所定の文字であり、(5)は不織布(1)の表面に水性フレキソ印刷で印刷された所定の図形である。尚、前記水性フレキソ印刷は、欧米のパッケージ印刷分野に於いて従来からかなり普及しており、この水性インキの印刷は、溶剤インキやUVインキに比べて低コストであると共に環境にやさしいものである。また水性フレキソ印刷は、油性で乾燥が速く大量生産向きのグラビア印刷に対し、多品種小生産向きであり、インキの残肉が少なく、解明度が鮮明な凸版印刷である。特に本発明に於いては、アルコール5%以下の水性インキを使用するのが好ましく、インキ膜が薄く且つ残留溶剤量が激減されるものとなると共に水性インキやその溶剤の使用量が少ないものとなるのである。更に前記水性インクとして、例えば、食品のイカ墨を黒色として使用し、緑色として枝豆を用い、更に各種の色の花を用いると良い。
【0015】
次に本発明の作用について説明する。先ず始めに本発明品を図1又は図2に示すように袋状に形成し、その中に保冷材(3)などを詰め込み、且つ不織布(1)の表面に二次元バーコード(2)を水性インキで表示することにより、不織布(1)の表面に二次元バーコード(2)が表示されるため、この二次元バーコード(2)を、携帯電話に付属するカメラで読み取るか、或いはパーソナル・コンピューターに読み込み、且つインターネット環境を利用することにより、商品名及びその説明文,取扱いの注意事項,製造元や販売元及びその地図,商品データー,会社や商店などの説明,会社や商店などの案内,会社や商店などの地図,クーポン,子供や年寄りが保冷材(3)などを食べてしまった時の対処方法,使用が終わり捨てる際の方法や注意,ホームページアドレス等の事項が、保冷材(3)などを詰め込んだ小さな袋状の不織布(1)であっても、使用者や消費者が必要とする情報量を充分に与えることが出来るものとなる。又、有機溶剤を使うグラビア印刷や油性インキを使うオフセット印刷に対して、本発明では水性インキを使うと共に溶剤として、水,アルコール系を使用するため、残存溶剤の量が激減され、より安全になると共に環境への影響が少ないものとなる。更に従来の印刷に比べ、色合せなどの際の損紙が少なく、製版の耐久性が高いことから、コストが低く抑えられるものとなる。その上、水性フレキソ印刷では、従来の印刷では濃淡が均一に調整することが困難であるのに対し、本実施形態の水性フレキソ印刷に於いては、印刷精度を上げて細部の印刷が鮮明になり、濃淡のコントロールが容易になるため、二次元バーコード(2)に濃淡が生じることがなく、きれいに二次元バーコード(2)の印刷ができ、該二次元バーコード(2)の正確な読み取りが可能となるのである。尚、本発明品を包装用風呂敷として使用する場合、かまぼこなどの加工食品や和菓子等を包むと共にその商品に関連する情報が入れられた二次元バーコード(2)を表示させることにより、上記のような効果が得られるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は食品包装用不織布だけでなく、多孔質材料,伸縮性のある薄層フィルム,和紙,奉書,レーヨン紙等の凹凸面を有する素材,弾力性のある素材などに二次元バーコード(2)を印刷させて使用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】本実施形態で文字と図形も表示した状態を示す説明図である。
【図3】本実施形態の二次元バーコードを示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 不織布
2 二次元バーコード
3 保冷材
4 文字
5 図形


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布(1)の表面に少なくとも、水性インキで印刷した二次元バーコード(2)が表示されたことを特徴とするバーコードが印刷された食品包装用不織布。
【請求項2】
前記不織布(1)が、中へ保冷材(3)を詰め込み可能に袋状に形成され、且つ、その表面に二次元バーコード(2)が表示された請求項1記載のバーコードが印刷された食品包装用不織布。
【請求項3】
前記不織布(1)に、文字(4)又は図形(5)の一方、或いは両方が表示された請求項1又は2記載のバーコードが印刷された食品包装用不織布。
【請求項4】
前記二次元バーコード(2)の情報内容が、商品名及びその説明文,取扱いの注意事項,製造元や販売元及びその地図,ホームページアドレス等の所望事項である請求項1、2又は3記載のバーコードが印刷された食品包装用不織布。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−261613(P2007−261613A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87181(P2006−87181)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(395006270)株式会社トライ・カンパニー (9)
【Fターム(参考)】