説明

バーコードシンボル及びその印刷装置

【課題】秘匿性情報が流出する虞がほとんど皆無であるバーコードシンボル及びバーコードシンボル印刷装置を提供する。
【解決手段】ラベルLなどの印刷対象物に印刷されるバーコードシンボルであって、鍵情報と、鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データ2から成り、鍵情報を紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷した。このバーコードシンボル1の印刷装置10であって、外部から入力される本データ2の鍵情報を作成して、鍵情報により本データ2の暗号化及びバーコード変換を順次行うと共に、鍵情報を数値情報に変換するプリンタ制御部12と、プリンタ制御部12から出力される本データ2をラベルLに印刷する本データ印刷手段14と、プリンタ制御部12から出力される鍵情報をラベルLに対して紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷する鍵情報印刷手段15を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造業者や商品名などの情報を表示するのに用いる一次元バーコードシンボルや二次元バーコードシンボルなどのバーコードシンボル、及び、このバーコードシンボルを印刷するのに用いるバーコードシンボル印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した製造業者や商品名などの情報が入ったバーコードシンボルには、一次元バーコードシンボル及び二次元バーコードシンボルがあり、これらのバーコードシンボルは、通常、商品等に貼付されるラベルに印刷されるようになっている。
このようなバーコードシンボルの場合、比較的容易に読み取ることができるので、秘匿性のある情報を入れることはできない。
【0003】
近年、二次元バーコードシンボルにおいて、公開情報及び非公開情報の双方を入れたものが出現しており、この二次元バーコードシンボルでは、公開情報と一緒に入れた鍵情報に基づいて解読処理を行うことで、非公開情報を読み取ることができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−299422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した非公開情報入りの二次元バーコードシンボルでは、この非公開情報を読み取るための鍵情報が公開情報と一緒に表示されていることから、この鍵情報が解読される可能性がないとは言えず、加えて、この二次元バーコードシンボルの作成や複写を簡単に行うことができるので、非公開情報が簡単に流出してしまう虞があるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0005】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、秘匿性の高い情報を公開情報とともに簡単に取入れることができるにもかかわらず、専用の解読手段を用いない限りこの秘匿性情報を読み取ることが不可能であり、加えて、通常の印刷機で印刷したりコピー機で複写したりすることが困難であり、その結果、秘匿性情報が流出する虞がほとんど皆無であるバーコードシンボル及びバーコードシンボル印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、ラベルなどの印刷対象物に印刷されるバーコードシンボルであって、鍵情報と、この鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データから成り、前記鍵情報が可視光下において視認不能で且つ紫外線などの特殊な光線(望ましくは波長が365nm程度の紫外線)下においてのみ視認可能な印刷液で印刷されている構成としたことを特徴としており、このバーコードシンボルの構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0007】
一方、本発明の請求項2に係る発明は、ラベルなどの印刷対象物に対して、非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データをバーコード化して印刷するバーコードシンボルの印刷装置であって、外部から入力される前記本データの鍵情報を作成して、この鍵情報により前記本データの暗号化及びバーコード変換を順次行うと共に、前記鍵情報を数値情報に変換する制御部と、この制御部から出力されるバーコード変換された本データを前記印刷対象物に印刷する本データ印刷手段と、前記制御部から出力される数値変換された鍵情報を前記印刷対象物に対して可視光下において視認不能で且つ紫外線などの特殊な光線(望ましくは波長が365nm程度の紫外線)下においてのみ視認可能な印刷液で印刷する鍵情報印刷手段を備えた構成としたことを特徴としており、このバーコードシンボルの印刷装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
本発明の請求項3に係るバーコードシンボルにおいて、前記制御部は、前記鍵情報の数値変換の前の段階で、データ識別用固定キーにより暗号化を行う構成としている。
本発明に係るバーコードシンボルにおいて、鍵情報は、本データと重ねて印刷してあってもよいし、本データの周囲に印刷してあってもよい。
また、本発明に係るバーコードシンボルの印刷装置において、ラベルなどの印刷対象物に対する鍵情報印刷手段による鍵情報の印刷は、本データ印刷手段による本データの印刷の前に行ってもよいし、本データの印刷の後に行ってもよく、場合によっては、ラベルなどの印刷対象物に対する本データの印刷に先立って、鍵情報をあらかじめ印刷対象物に刷り込んでおくことも可能である。
【0009】
本発明に係るバーコードシンボル及びその印刷装置では、本データを読み取るための鍵情報が、可視光下において視認不能で且つ紫外線などの特殊な光線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷されていることから、この鍵情報が解読される可能性がほとんどないうえ、この鍵情報を具備したバーコードシンボルの作成や複写を行うことが極めて困難なものとなり、したがって、秘匿性情報が流出する懸念を払拭し得ることとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るバーコードシンボル及びその印刷装置は、上記した構成としているので、秘匿性の高い情報を公開情報とともに簡単に取入れることができるにもかかわらず、専用の解読手段を用いなければこの秘匿性情報を読み取ることがほとんど不可能であり、加えて、印刷したり複写したりすることが難しく、その結果、秘匿性情報が流出する可能性をほとんどなくすことができるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0011】
また、鍵情報をデータ識別用固定キーにより暗号化することで、秘匿性情報の読み取りがより一層困難になって、安全性の向上を実現することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るバーコードシンボル及びその印刷装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るバーコードシンボルの一実施形態を示し、図2〜図4は、本発明に係るバーコードシンボルの印刷装置の一実施形態を示しており、この実施形態では、本発明に係るバーコードシンボルの印刷装置が、ロール紙から適宜長さに切り出されるラベルに対してバーコードシンボルの印刷を行う印刷装置である場合を例に挙げて説明する。
【0013】
図1(a)に示すように、このバーコードシンボル1は、ラベル(印刷対象物)Lに印刷された二次元バーコードシンボルであって、非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データ2を有しており、この本データ2は、鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された状態で表示されている。
上記鍵情報は、可視光下において視認不能で且つ波長が365nm程度の紫外線(特殊な光線)下においてのみ視認可能な印刷液で印刷してあり、この実施形態では、図1(b)に示すように、「69」の数値情報3に変換されて上記本データ2に重ねた状態で印刷されている。
【0014】
このようなバーコードシンボル1をラベルLに印刷するバーコードシンボルの印刷装置10は、図2及び図3に示すように、商品情報や個人情報などの本データ2を入力する操作部11と、この操作部11の操作により外部から入力される本データ2の鍵情報を作成して、この鍵情報により本データ2の暗号化及びバーコード変換を順次行うと共に、鍵情報を数値情報3に変換するプリンタ制御部12と、ロール紙供給部13から供給されるロール紙に対してプリンタ制御部12から出力されるバーコード変換された本データ2を通常の印刷液を用いて印刷する本データ印刷手段14と、この本データ印刷手段14を経て送られてくるロール紙上の本データ2に対してプリンタ制御部12から出力される数値変換された鍵情報である「69」の数値情報3を波長が365nm程度の紫外線下においてのみ視認可能な印刷液を用いて重ねて印刷する鍵情報印刷手段15と、本データ印刷手段14及び鍵情報印刷手段15を順次経たロール紙からバーコードシンボル1が印刷された部分をラベルLとして切り出すカッタ部16を備えている。
【0015】
この実施形態では、プリンタ制御部12において、鍵情報の数値変換の前の段階で、データ識別用固定キーにより鍵情報の暗号化を行うようにしている。
このバーコードシンボルの印刷装置10を用いて上記バーコードシンボル1を印刷する場合、図4に示すように、まず、ステップS1において、操作部11の操作により商品情報や個人情報などの本データ2を入力すると、ステップS2において、プリンタ制御部12が外部から入力された本データ2の鍵情報を作成し、ステップS3,S4において、この鍵情報により本データ2の暗号化及びバーコード変換を順次行うと共に、ステップS5,S6において、データ識別用固定キーによる鍵情報の暗号化及びこの暗号化された鍵情報の数値変換を順次行う。
【0016】
次いで、バーコード変換された本データ2がプリンタ制御部12から出力されると、ステップS7において、本データ印刷手段14による本データ2の印刷が、ロール紙供給部13から供給されるロール紙に対して通常の印刷液を用いて成される。
これに続いて、数値変換された鍵情報である「69」の数値情報3がプリンタ制御部12から出力されると、ステップS8において、鍵情報印刷手段15による数値情報3(鍵情報)の印刷が、本データ印刷手段14を経て送られてくるロール紙上の本データ2に対して重ねて成され、この際、波長が365nm程度の紫外線下においてのみ視認可能な印刷液を用いた印刷が成される。
【0017】
そして、ステップS9において、カッタ部16が作動して、本データ印刷手段14及び鍵情報印刷手段15を順次経たロール紙からバーコードシンボル1が印刷された部分をラベルLとして切り出して発券する。
上記したバーコードシンボル1では、本データ2を読み取るための鍵情報である「69」の数値情報3が、波長365nm程度の紫外線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷されていることから、この数値情報3(鍵情報)が解読される懸念がほとんどなく、加えて、上記したバーコードシンボルの印刷装置10を用いない限り、鍵情報を具備したバーコードシンボル1の作成や複写を行うことは極めて困難であり、したがって、秘匿性情報が流出する懸念を払拭し得ることとなる。
【0018】
また、上記した実施形態では、ステップS5において、鍵情報をデータ識別用固定キーにより暗号化するようにしているので、秘匿性情報の読み取りがより一層困難になって、安全性の向上を実現することが可能になる。
なお、ステップS5のプリンタ制御部12による鍵情報の暗号化は、必ずしも必要な処理ではないので、この鍵情報の暗号化処理は省略することができる。
【0019】
また、上記したバーコードシンボル1及びバーコードシンボルの印刷装置10において、鍵情報としての数値情報3を本データ2に重ねて印刷するようにしているが、これに限定されるものではなく、鍵情報としての数値情報3を本データ2の周囲に印刷するようにしてもよい。
さらに、上記したバーコードシンボルの印刷装置10において、ラベルL(ロール紙)に対する鍵情報印刷手段15による鍵情報としての数値情報3の印刷を本データ2の印刷の後に行うようにしているが、これに限定されるものではなく、数値情報3の印刷を本データ印刷手段14による本データ2の印刷の前に行うことも可能であり、必要に応じて、本データ2の印刷に先立って、数値情報3をあらかじめロール紙などの印刷対象物に刷り込んでおくことも可能である。
【0020】
本発明に係るバーコードシンボル及びその印刷装置の構成は、上記した実施形態に係るバーコードシンボル1及びその印刷装置10の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るバーコードシンボルの一実施形態を示す可視光線下での目視状態説明図(a)及び紫外線下での目視状態説明図(b)である。
【図2】図1におけるバーコードシンボルの印刷に用いる本発明に係るバーコードシンボルの印刷装置の一実施形態を簡略的に示す全体斜視説明図である。
【図3】図2におけるバーコードシンボルの印刷装置の構成を説明するブロック図である。
【図4】図2におけるバーコードシンボルの印刷装置の動作を示すフローチャートある。
【符号の説明】
【0022】
1 バーコードシンボル
2 本データ
3 数値情報(鍵情報)
10 バーコードシンボルの印刷装置
12 プリンタ制御部(制御部)
14 本データ印刷手段
15 鍵情報印刷手段
L ラベル(印刷対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルなどの印刷対象物に印刷されるバーコードシンボルであって、
鍵情報と、
この鍵情報によって暗号化されてバーコード変換された非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データから成り、
前記鍵情報が可視光下において視認不能で且つ紫外線などの特殊な光線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷されている
ことを特徴とするバーコードシンボル。
【請求項2】
ラベルなどの印刷対象物に対して、非公開データを含む商品情報や個人情報などの本データをバーコード化して印刷するバーコードシンボルの印刷装置であって、
外部から入力される前記本データの鍵情報を作成して、この鍵情報により前記本データの暗号化及びバーコード変換を順次行うと共に、前記鍵情報を数値情報に変換する制御部と、
この制御部から出力されるバーコード変換された本データを前記印刷対象物に印刷する本データ印刷手段と、
前記制御部から出力される数値変換された鍵情報を前記印刷対象物に対して可視光下において視認不能で且つ紫外線などの特殊な光線下においてのみ視認可能な印刷液で印刷する鍵情報印刷手段を備えた
ことを特徴とするバーコードシンボルの印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記鍵情報の数値変換の前の段階で、データ識別用固定キーにより暗号化を行う請求項2に記載のバーコードシンボルの印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−146462(P2010−146462A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325524(P2008−325524)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(390035884)株式会社ウェルキャット (18)
【Fターム(参考)】