説明

バーコードシンボル

【課題】ユーザに視覚的イメージや情報を伝達することができ、印字スペースも通常のバーコードと同等で、ユーザがバーコードリーダで走査すべき部分がわかりやすいバーコードを提供する。
【解決手段】バーとスペースとによって構成されるバーコードシンボル1において、一方端部側のバーの高さを、他方端部側のバーより低くしそれによって形成される情報エリア3に、所定の文字、数字、記号及び図画の内の一つ又は複数の組み合わせを配置し、ユーザに伝達したい視覚的イメージや情報を表現する。また、バーコードシンボル1の両端のバーの外側に配置されるクワイエットゾーン5L、5Rのさらに外側に、ダミーバー7L、7Rを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードシンボル及びその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バーコードを構成するバーの長さを調整することで、ユーザに視覚的イメージを伝達することができるデザインバーコードが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−127025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1記載のデザインバーコードは、バーコードスキャナにより検知される帯状エリア(通常のバーコードに相当する引用文献1の図1の112の部分)の形状は維持しつつ、バーの高さを伸ばすことで、バーコードの可読性を保ちつつ、高いデザイン性を得ている。
しかし、このデザインバーコードを印字するためには、通常のバーコードを印字する場合よりも広い印字スペースが必要となる。また、ユーザが上記帯状エリアでは無く、デザイン部分をバーコードリーダで走査してしまい、バーコードを読み取れない恐れも存在する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ユーザに視覚的イメージや情報を伝達することができ、印字スペースも通常のバーコードと同等で、ユーザがバーコードリーダで走査すべき部分がわかりやすいバーコードを提供することである。
【0006】
なお、本文中バーコードとは、コード情報及び当該コード情報を表現したバーコードシンボルを包括した表現であって、これらを厳密に区別する必要のないときは、単にバーコードなる用語を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点によれば、バーとスペースとによって構成されるバーコードシンボルにおいて、一方端部側の前記バーの高さを、他方端部側の前記バーより低くしたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、バーコード全体が単純な長方形ではなく、バーの長さの違いにより、一方端部側から他方端部側にかけてバーコードが広がっていく特長的な形状となるため、ユーザはこのバーコードが特殊なバーコードであるということを視覚的に理解できる。
また、通常のバーコードと比較して印字スペース多く必要ということが無い。
さらに、一方端部側から他方端部側にかけてバーコードが広がっていくため、一方端部側から他方端部側に走査する場合、多少走査方向がバーの幅方向に対して斜めにずれても、全てのバー及びスペースをまたぎ、正しくバーコードを走査できる可能性が高まる。この効果は、特にペン型のバーコードリーダなど、ユーザが手動でバーコードを走査するような場合に好適である。
【0009】
前記一方端部側の前記バー及び前記他方端部側の前記バーより低くしたことによって形成される領域に、所定の文字、数字、記号及び図画の内の一つ又は複数の組み合わせを配置したことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、さらに、所定の文字、数字、記号及び/又は図画等によって、ユーザに何らかの視覚的イメージ又は情報を伝達することができる。これによって、ユーザの視点から、本発明によるバーコードシンボルが、特別なバーコードシンボルであることがわかりやすくなる。
【0011】
両端の前記バーの外側に配置される所定の幅の余白のさらに外側に、所定のシンボルを記載したことを特徴とする。
【0012】
最近はRSSバーコードなど例外も存在するが、バーとスペースとによって構成されるバーコードの多くは、バーコードシンボルの外側にクワイエットゾーン又はマージンと呼称される十分な幅の余白が必要である。しかし、ユーザにとって、クワイエットゾーンがどこから開始するのかを視認することは困難である。また、ユーザがクワイエットゾーンの存在自体を知らず、目に見えるバーコードシンボルの最端のバーからバーコードの走査を開始し、結果十分なクワイエットゾーンが確保されず、バーコードリーダがバーコードを読み取れない恐れがある。
この構成によれば、所定のシンボルによってクワイエットゾーンの位置が明確化する。
【0013】
前記シンボルは、ダミーバーであることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ダミーバーを含むバーコード全体の統一感を阻害しない。ユーザが手動で走査するバーコードリーダを使用する場合で、ユーザがクワイエットゾーンの存在を知らない場合でも、ユーザはダミーコード部分から走査を開始し、結果クワイエットゾーンを含めて、全てのバー及びスペースをまたぐように走査される確率が高まる。結果、バーコードリーダがバーコードを正しく読み取る確率が高まる。この場合、必ずしもダミーバーは、バーコードリーダが認識可能なバーでなくてもよく、ユーザが視認可能であれば、クワイエットゾーンを含むバーコードシンボル全体をユーザが走査するための目印となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付してその説明を援用する。
【0016】
図1は、本発明に基づくバーコードの全体構成を示す図である。図1を参照して、このバーコードは、バーコードシンボル1、情報エリア3、クワイエットゾーン5L及び5R及び、ダミーバー7L及び7Rとから構成される。以下、クワイエットゾーン5L又は5Rを区別する必要がない場合は、まとめてクワイエットゾーン5として説明する。同様にダミーバー7L又は7Rを区別する必要がない場合は、まとめてダミーバー7として説明する。
【0017】
バーコードの図中左側のバーは、バーコードの図中右側のバーと比較して低くなっており、それによって情報エリア3が形成されている。情報エリア3には、二重丸とABCの文字が書かれているが、任意の文字、数字、記号及び/又は図画等を自由に記載することが可能である。商標などを付してもよい。また、任意の文字、数字、記号及び図画によって情報エリア3に示すイメージや情報は、バーコード情報をユーザに示すようなものであってもよい。
また、情報エリアに何も記載せず、白地のままにしておいてもよい。図中の情報エリア3は点線で囲まれているが、説明の便宜のために記載したものであり、実際には情報エリア3は点線では囲まれているとは限らない。
【0018】
クワイエットゾーン5の外側に配置されるダミーバー3は、バーコードシンボル1に含まれる最も細いバーと同じ幅をしている。また、その高さはバーコードシンボル1の両端のバーと同等になっている。バーの形状を模したダミーバー7よって、ダミーバー7、クワイエットゾーン5、バーコードシンボル1を含めて、全体でひとつのバーコードのように見える。
バーコードシンボル1に含まれるバーやスペースは、バーコードの規格に従った配置や幅によってバーコード情報を表現している。これに対してダミーバー7は、何らかの情報を体現したものではなく、ユーザにクワイエットゾーン5の境界を示す目印となるためのバーである。
ダミーバー7は、ユーザにとっての目印であるため、バーコードリーダが認識可能なものでもよいし、そうでなくてもよい。
【0019】
図2は、本発明に基づくバーコードの利点について説明する図である。
図2を参照して、バーコードを走査する際に走査線が矢印11のように、各バーの幅方向に平行であるならば問題は無いが、走査線が矢印13のように各バーの幅方向に対して斜めにずれた直線軌道を描いた場合、各バーの高さが次第に高くなっていくことで、走査線が途中でバーコードからはずれてしまい、正しくバーコードを解読できないという事態を減らすことができる。
右利きのユーザが手動でバーコードを走査するタイプのバーコードリーダを使用する場合、ユーザ自身は矢印11のように各バーの幅方向に平行にバーコードリーダを動かしているつもりでも、実際には矢印13のように右下がりの直線軌道を描いている場合が多いが、そのような場合でも正しくバーコードを読み取ることができる。
【0020】
以上のように、本発明の構成によれば、バーコード全体が単純な長方形ではなく、バーの高さの違いにより右側から左側にかけてバーコードが広がっていく特長的な形状となるため、ユーザはこのバーコードが特殊なバーコードであるということを視覚的に理解できる。
また、通常のバーコードと比較して印字スペース多く必要ということが無い。
さらに、左側から右側にかけてバーコードが広がっていくため、ユーザが左側から右側にバーコードリーダを動かし、このバーコードを走査する場合、多少走査方向が右下がりの直線となっても、全てのバー及びスペースをまたぎ、正しくバーコードを走査できる可能性が高まる。この効果は、例えばペン型のバーコードリーダなど、ユーザが手動でバーコードを走査するような場合に好適である。
【0021】
さらに、情報エリア3の所定の文字、数字、記号及び/又は図画等によって、ユーザに何らかの視覚的イメージ又は情報を伝達することができる。これによって、ユーザの視点から、本発明によるバーコードシンボルが、特別なバーコードシンボルであることがよりわかりやすくなる。
ダミーバー7によってクワイエットゾーン5の位置が明確化し、ユーザが手動で走査するバーコードリーダを使用する場合で、ユーザがクワイエットゾーンの存在を知らない場合でも、ユーザはダミーコード7から走査を開始し、結果クワイエットゾーン5を含めて、バーコードシンボル1に含まれる全てのバー及びスペースをまたぐように走査する確率が高まる。結果、バーコードリーダがバーコードを正しく読み取る確率が高まる。
【0022】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば、以下のような変形も可能である。
【0023】
(1)上記の実施の形態では、バーコードの図中左下側に情報エリア3が形成されるように、各バーの高さを調整していたが、情報エリア3が左上、右下、又は右上にできるような構成でもよい。そのようにしても、バーコードは右から左に、又は左から右に広がっていくような特徴的な形状となり、情報エリア3に任意の文字、数字、記号及び/又は図画等を記載できる。
【0024】
(2)図中ではダミーバー7は、バーコードシンボル1に含まれるもっとも細いバーと同じ形態をしているが、必ずしもバーの形態でなくてもよい。ユーザに対してクワイエットゾーンの端を示す目印になればよいので、各種の文字、数字、記号及び図画等を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に基づくバーコードの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明に基づくバーコードの利点について説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
1…バーコードシンボル、3…情報エリア、5L、5R…クワイエットゾーン、7L、7R…ダミーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーとスペースとによって構成されるバーコードシンボルにおいて、
一方端部側の前記バーの高さを、他方端部側の前記バーより低くしたことを特徴とする、バーコードシンボル。
【請求項2】
前記一方端部側の前記バー及び前記他方端部側の前記バーより低くしたことによって形成される領域に、所定の文字、数字、記号及び図画の内の一つ又は複数の組み合わせを配置したことを特徴とする、請求項1に記載のバーコードシンボル。
【請求項3】
両端の前記バーの外側に配置される所定の幅の余白のさらに外側に、所定のシンボルを記載したことを特徴とする、請求項1又は2に記載のバーコードシンボル。
【請求項4】
前記シンボルは、ダミーバーであることを特徴とする、請求項3に記載のバーコードシンボル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−49518(P2010−49518A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213589(P2008−213589)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(396025861)新世代株式会社 (138)
【Fターム(参考)】