説明

バーコード読み取り装置

【構成】 バーコード12で反射した拡散光は受光素子6で受光する。受光素子6から出力した受光信号は増幅器7で増幅した後、AGC部8で適当な大きさに調整する。AGC部8でほぼ一定の大きさに調整したバーコード信号26Aはリミッタ22で上クランプレベルUCL及び下クランプレベルDCLと比較し、クランプレベルUCL,DCL以上の信号をクランプレベルUCL,DCLにクランプする。クランプされたバーコード信号26Bは信号処理部9でスレイス信号27と比較することによって2値化信号28に変換し、デコーダ10でバーコード情報にデコードする。
【効果】 光ビームのスポット径に比べて細いバーを持つバーコードや、白地部分の反射率の高いバーコードラベルも正確かつ安定して読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバーコード読み取り装置に関する。特に、不動2値化方式の信号処理部によってバーコード信号を2値化するバーコード読み取り装置に関する。
【従来の技術】図1は従来のバーコード読み取り装置1の構成を示すブロック図である。バーコード読み取り装置1の投光部2は光ビーム3を出射する半導体レーザ素子や発光ダイオード等の光源4と、光源4から出射された光ビーム3をバーコード12に沿って走査させる光スキャナ5とから構成されている。バーコード読み取り装置1の受光側は、フォトダイオード等の受光素子6と、増幅器7と、AGC部(オートゲインコントローラ)8と、信号処理部9と、デコーダ10とから構成されている。受光素子6は、バーコード12で反射された拡散光を受光して光電変換し、受光信号(電気信号)を出力する。増幅器7は固定ゲインの増幅回路であって、受光素子6から出力する受光信号をハイパスフィルタに通過させた後増幅して出力する。AGC部8は、増幅器7から出力された増幅信号の大きさに応じてゲインを調整し(つまり、増幅信号が小さい場合には大きなゲインとなるように調整し、増幅信号が大きい場合には小さなゲインとなるように調整する)、出力するバーコード信号13の大きさがほぼ一定の大きさとなるように調整する。信号処理部9は、AGC部8から出力されるバーコード信号13からスライス信号14を生成し、バーコード信号13とスライス信号14とを比較することによって2値化信号15を得る不動2値化方式の信号処理を行なう。図2は信号処理部9の具体回路図であって、コンパレータ11の反転入力にAGC部8の出力を接続してあり、コンパレータ11の出力に抵抗RとキャパシタCの直列回路を接続し、この直列回路のキャパシタCの電圧をスライス信号14としてコンパレータ11の非反転入力に接続している。しかして、コンパレータ11の出力によってキャパシタCが充放電されるが、抵抗R及びキャパシタCの時定数τ=RCだけキャパシタCの電圧が遅延するので、スライス信号14はコンパレータ11の出力よりも遅れて変化する。また、コンパレータ11の反転入力と非反転入力との間には2つのダイオードD1,D2が逆並列にして接続されているので、スライス信号14はAGC部8から入力されるバーコード信号13との電圧差がダイオードD1,D2の順方向降下電圧以下となるように保たれている。そして、コンパレータ11からは、バーコード信号13とスライス信号14との大小に応じた2値化信号15が出力される。この後、デコーダ10は、信号処理部9から出力された2値化信号15をデコードして所定形式のバーコード情報として出力する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のバーコード読み取り装置1にあっては、以下に述べるように、正確にバーコード情報を取り出せない場合があった。例えば、図3(a)に示すように、投光部2によりバーコード12上を走査する光ビーム3のスポット径に比較してバーB及びスペースSの幅が狭い場合、受光素子6で受光され増幅器7及びAGC部8で増幅されたバーコード信号13は図3(b)の実線のようになる。また、スライス信号14は図3(b)の破線のようになる。ところが、バーBやスペースSが狭い領域では、光ビーム3がバーコード12上でバーBとスペースSの上に跨がるため、バーコード信号13の変化が小さくなり、キャパシタCの充放電すなわちスライス信号14が変化に追従できない。このため、信号処理部9から出力される2値化信号15は図3(c)のようになり、細いバーBとスペースSの部分でバーコード12の読み取りができない。
【0003】また、図4(a)に示すように、バーBにかすれ17がある場合やスペースSに汚れ16がある場合には、図4(b)に実線で示すように、バーコード信号13にかすれ17に対応する信号17aや汚れ16に対応する信号16aが生じ、これを図4(b)に破線で示すスライス信号14と比較した場合、図4(c)に示すように汚れ16やかすれ17を読み取ってしまい、汚れ16やかすれ17による誤った2値化信号15が出力され、正確にバーコード12を読み取ることができなかった。
【0004】さらに、バーコードラベル18の白地反射率が高く、バーBが薄くてバー反射率も高い場合には、図5(a)に示すように光ビーム3がバーコードラベル18のエッジ部分18aを通過する時に受光量が急激に変化するが、受光信号は増幅器7内のハイパスフィルタを通過するので、バーコード信号13の両端には図5(b)に示すようにエッジ部分18aに対応して大きな信号19が発生する。このとき、エッジ部分18aでの出力振幅はバーコード信号13より十分大きくなるので、エッジ部分18aの直後の信号変化(傾き)が大きくなり、エッジ部分18aで信号19とスライス信号14とが交差し、エッジ部分18aの信号19も2値化されるため第1のバーBを正確に2値化できないという欠点があった(図5(c))。
【0005】本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、バーコード上の光スポットに対してバーやスペースの幅が狭い場合や、バーコードに汚れやかすれ等のノイズ成分が存在する場合、バーが薄くてその反射率が高い場合でも、正確にバーコード情報を取り出すことができるバーコード読み取り装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のバーコード読み取り装置は、バーコードに光ビームを照射する投光部と、バーコードからの反射光を受光して光電変換する光電変換部と、光電変換された信号に基づいて得られた信号を2値化する信号処理部を備えたバーコード読み取り装置において、前記光電変換部と前記信号処理部との間に、入力信号の大きさに応じてゲインを自動調整して当該入力信号を増幅するオートゲインコントローラと、オートゲインコントローラから出力された一定電圧以上の振幅をクランプするリミッタ部を有することを特徴としている。
【0007】この場合、オートゲインコントローラ及びリミット部を少なくとも2組以上持たせ、異なる組のリミット部とオートゲインコントローラの間にハイパスフィルタを配置してもよい。
【0008】さらに、前記リミッタ部の極性は正または負または正負とし、前記一定電圧を、バーコードラベルのエッジ部の出力以下で、かつバーコード信号以上に設定するとよい。
【0009】あるいは、前記リミッタ部の極性は正または負または正負とし、前記一定電圧を、オートゲインコントローラの太いバーの信号振幅の電圧値以下に設定してもよい。
【0010】あるいは、前記リミッタ部の極性は正または負または正負とし、前記一定電圧を、バーコードの汚れ又はかすれの信号レベル以下に設定してもよい。
【0011】
【作用】本発明にあっては、オートゲインコントローラで信号をほぼ一定の大きさとなるように調整した後、リミッタ部により一定電圧以上の信号をクランプしているので、オートゲインコントローラに入力される信号のうち一定比率の振幅以上の振動を一定のクランプレベルにクランプすることができる。したがって、不必要に振幅の大きな部分やノイズ成分等を除去した後に信号処理部において2値化処理することができ、バーコードを正確に読み取ることができる。
【0012】例えば、リミッタ部の一定電圧(絶対値)を、バーコードラベルのエッジ部の出力以下で、かつバーコード信号以上に設定すれば、バーコードラベルのエッジ部による信号が信号処理部に入力されるのを防止することができ、第1のバーも正確に読み取ることができる。
【0013】また、リミッタ部の一定電圧を、オートゲインコントローラの太いバーの信号振幅の電圧値以下に設定すれば、細いバーやスペースによる振幅の小さな信号部分を相対的に拡大した状態で信号処理部へ入力することができ、光ビームのスポット径に比べて狭いバーやスペースも正確に読み取ることができる。
【0014】また、リミッタ部の一定電圧を、バーコードの汚れ又はかすれの信号レベル以下に設定すれば、バーコードの汚れやかすれによって生じた信号が信号処理部に入力されるのを防止することができ、バーコードの汚れやかすれを誤って読み取ることを防止することができる。
【0015】また、ハイパスフィルタを挟んでオートゲインコントローラ及びリミット部を少なくとも2組以上設ければ、より正確にバーコードを読み取ることができる。
【0016】
【実施例】図6は本発明の一実施例によるバーコード読み取り装置21の構成を示すブロック図である。バーコード読み取り装置21の投光部2は光ビーム3を出射する半導体レーザ素子や発光ダイオード等の光源4と、光源4から出射された光ビーム3をバーコード12に沿って走査させる光スキャナ5とから構成される。バーコード読み取り装置21の受光側は、フォトダイオード等の受光素子6と、第1の増幅器7と、AGC部8と、リミッタ22と、第2の増幅器23と、信号処理部9と、デコーダ10とから構成されている。受光素子6は、バーコード12で反射された拡散光を受光して光電変換し、受光信号を出力する。第1の増幅器7は一定ゲインの増幅回路であって、受光素子6から出力される受光信号を増幅して出力する。AGC部8は、増幅器7から出力された増幅信号の大きさに応じてゲインを調整し、出力するバーコード信号26Aの大きさがほぼ一定の大きさとなるように調整する。リミッタ22は、AGC部8によって増幅された後のバーコード信号26Aが一定のクランプレベルを越えるとそのクランプレベルの電圧にクランプするものである。すなわち、リミッタ22は正負2つのクランプレベルを有し、入力信号がクランプレベル以上である場合には出力信号をクランプレベルの値に固定する。すなわち、入力信号が正のクランプレベル(以下、上クランプレベルUCLという)以上である場合には、出力信号を上クランプレベルUCLの値に固定し、入力信号が負のクランプレベル(以下、下クランプレベルDCLという)以下である場合には、出力信号を下クランプレベルDCLの値に固定する。言い換えると、リミッタ22は上クランプレベルUCLより大きな振幅と下クランプレベルDCLより大きな振幅をカットして出力する。図7はリミッタ22の具体回路図を示す。24は出力と反転入力間を負帰還抵抗Rfによって接続された負帰還増幅回路であって、その出力とアース間には、逆方向に向けて直列に接続した2つの定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)Z1,Z2が接続されている。また、Ri,Roは入力側及び出力側の抵抗である。しかして、入力電圧が上クランプレベルUCL以上になったり、下クランプレベルDCL以下になったりした場合には、定電圧ダイオードZ1,Z2が導通し、リミッタ22の出力はそれぞれ上クランプレベルUCL又は下クランプレベルDCLの値に保たれる。第2の増幅器23も一定ゲインの増幅回路であって、リミッタ22で一定電圧幅の信号となるように処理された信号をさらに増幅して信号処理部9へ出力する。信号処理部9は、第2の増幅器23から出力されるバーコード信号26Bからスライス信号27を生成し、バーコード信号26Bとスライス信号27とを比較することによって2値化信号28を得る不動2値化方式の信号処理を行なうものである。これは従来例に関して説明したように、例えば図2のような具体回路によって実現される。デコーダ10は、信号処理部9から出力された2値化信号28をデコードして所定形式のバーコード情報として出力する。
【0017】しかして、投光部2からバーコード12上に光ビーム3が走査され、バーコード12上で反射した拡散光が受光素子6に入射すると、受光素子6からはバーBもしくはスペースSに応じた受光信号が出力する。受光素子6から出力した受光信号は増幅器7で増幅された後、AGC部8で所定振幅の信号となるようにゲイン調整される。こうしてAGC部8で一定振幅の信号となるように調整されたバーコード信号26Aはリミッタ22によって上クランプレベルUCL以上の信号と下クランプレベルDCL以下の信号をクランプされる。これによって、増幅器7から出力されたバーコード信号26Aのうち一定比率の振幅部分の信号だけを信号処理部9へ通過させることができる。
【0018】このAGC部8及びリミッタ22の働きを図8(a)(b)により、さらに詳しく説明する。いま、AGC部8がなく、リミッタ22だけが設けられているとする。この場合、例えばバーコード12がバーコード読み取り装置21の近距離にあって図8(a)に示すように信号強度が大きい場合には、このバーコード信号25をリミッタ22に通すとバーコード信号25のうち小さな割合の振幅領域の信号しか通過しないが、バーコード12が遠距離にあって図8(b)に示すように信号強度が小さい場合には、バーコード信号25の大部分がリミッタ22を通過する。これに対し、リミッタ22の前段にAGC部8を設け、バーコード信号25の振幅Vppを一定値となるように調整した後、一定のクランプレベルを有するリミッタ22で大きな振幅部分をクランプすれば、もとのバーコード信号25のうち一定比率の振幅部分の振動だけをクランプすることができる。
【0019】こうしてAGC部8及びリミッタ22によって一定割合、特に中央部の一定割合の信号だけを通過させられたバーコード信号26Bは、信号処理部9によってスライス信号27と比較することによって2値化され、デコーダ10からバーコード情報が出力される。
【0020】従来のバーコード読み取り装置1では正確にバーコード情報を読み取ることが困難な状況において、本発明のバーコード読み取り装置21を用いた場合を以下具体的に説明する。まず、図9は細いバーBもしくはスペースSの幅が光ビーム3のスポット径に比較して細い場合を示している(図9(a))。図9(b)はAGC部8により適当な信号振幅となるように調整されたバーコード信号26Aであって、このバーコード信号26Aはリミッタ22によって上下のクランプレベルUCL,DCLと比較され、上下クランプレベルUCL,DCLを越える電圧は上下クランプレベルUCL,DCLの値に固定される。ここで、クランプレベルを太いバーB及びスペースSによる大振幅部分の電圧値以下で細いバーB及びスペースSによる小振幅部分の電圧値以上に設定すれば(すなわち、上クランプレベルUCLの値と下クランプレベルDCLの値を、細いバーB及びスペースSによる小振幅部分と太いバーBによる大振幅部分の中間となるように設定しておけば)、図9(c)に実線で示すように、元のバーコード信号26Aで振幅の大きかった信号部分イが一定振幅にクランプされると共に細いバーB及びスペースSに対応する小振幅部分ロが他と同じ程度の振幅となるように拡大されている。このため、図9(c)に破線で示すように、スライス信号27は細いバーB及びスペースSに対応する信号部分ロでもバーコード信号26Bの変化に追従して変化するようになり、光ビーム3のスポット径に比較して細いバーB及びスペースSに対応する部分でも、図9(d)に示すようにバーコード12と一致した正確な2値化信号28が得られる。
【0021】つぎに、図10(a)に示すようにスペースSに汚れ16があったり、バーBにかすれ17がある場合について説明する。この場合には、図10(b)に示すように、バーコード信号26には、上ピーク側に汚れ16による信号16aが生じ、あるいは、下ピーク側にかすれ17による信号17aが生じる。従って、AGC部8で一定振幅となるように調整されたバーコード信号26Bにおいて、上クランプレベルUCLを汚れ16による信号16aよりも少し低い値に設定し、下クランプレベルDCLをかすれ17による信号17aよりも少し高い値に設定しておけば、リミッタ22から出力されたバーコード信号26Bでは、図10(c)に示すように、汚れ16やかすれ17による信号16a,17aはクランプレベルにクランプされてしまい、2値化されなくなる。すなわち、2値化信号28には、図10(d)に示すように、汚れ16やかすれ17に対応する2値化信号28が表われず、汚れ16やかすれ17を誤って読み取ることが無くなる。この場合もリミッタ22の前にAGC部8を設けているため、このような動作を行なわせるための一定レベルのクランプレベルを設定することが可能になる。
【0022】図11(a)(b)(c)はバーコードラベル18の白地部分の反射率が高い場合を示す。この場合には、図11(b)に示すように、クランプレベルをAGC部8から出力されたバーコード信号26より以上で、バーコードラベル18のエッジ部分18aで生じた信号19との中間に(すなわち、上のクランプレベルUCLが、AGC部8から出力されたバーコード信号26より高く、かつエッジ部分18aの信号19より低くなり、下のクランプレベルDCLが、AGC部8から出力されたバーコード信号26より低く、エッジ部分18aの信号より高くなるように)設定しておくとよい。これにより、バーコードラベル18のエッジ部分18aで生じた信号19の急激に変化する部分(図11(b)に2点鎖線で示す)をリミッタ22でクランプでき、エッジ部分18に対応する信号19とそのスライス信号27とが交差するのを避けることができる。よって、図11(c)に示すように2値化信号28にバーコードラベル18のエッジ部分18aによる信号19があらわれるのを防止でき、第1のバーBを安定に読み取ることが可能になる。
【0023】図12は本発明の別な実施例によるバーコード読み取り装置31の受光側の構成を示すブロック図である。この実施例では、第1の増幅器7と第2の増幅器23の間にAGC部8、リミッタ22、ハイパスフィルタ32、AGC部33及びリミッタ34を挿入している。すなわち、ハイパスフィルタ32を挟んで2段のAGC部8,33及びリミッタ22,34を挿入している。このようなバーコード読み取り装置31によれば、まず第1のAGC部8で一定の大きさの信号となるように増幅されたバーコード信号26Aは第1のリミッタ22で図13(a)に示すクランプレベルUCL1,DCL1と比較され、クランプレベルUCL1,DCL1以上の信号はクランプされる。ついで、ハイパスフィルタ32を通過したバーコード信号は第2のAGC部33で一定の大きさのバーコード信号26Cとなるように増幅された後、図13(b)のクランプレベルUCL2,DCL2と比較され、再びクランプレベルUCL2,DCL2以上の振幅をクランプされる。この後、2段にクランプされた図13(c)のバーコード信号26Dは信号処理部9でスライス信号27と比較され、2値化される。
【0024】同様なことは、1段のAGC部とリミッタを用いたバーコード読み取り装置(例えば図6のようなバーコード読み取り装置)においてAGC部の増幅度を大きくし、バーコード信号26AとクランプレベルUCL3,DCL3との関係が図13(b)と同等になるようにしてもよい。しかし、その場合には、バーコード信号26Aと比較してクランプレベルUCL,DCLの幅が非常に狭くなるので、細いバーBやスペースSの箇所で低周波のゆらぎがある場合には、図14に示すように細いバーBやスペースSの信号35がクランプレベルUCL,DCLにかかって削除されてしまい、細いバーBやスペースSを読み取れなくなる恐れがある。
【0025】これに対し、この実施例の場合には、第1のリミッタ22におけるクランプレベルUCL,DCLの幅を比較的広くしておけるので、細いバーBやスペースSの箇所でゆらぎがあっても当該信号35をクランプレベルUCL,DCL間に納めて保存することができる。この後、第1のリミッタ22でクランプされたバーコード信号26Cをハイパスフィルタ32に通過させると、低周波のゆらぎが除去されるので、細いバーBやスペースSの信号は振幅方向の中央部へ移動する。この後、第2のAGC部33でバーコード信号を一定の大きさに増幅し、第2のリミッタ34でクランプレベル以上の電圧をクランプすると、図13(c)に示すように低周波ゆらぎのある細いバーBやスペースSの信号を削除することなく、細いバーBやスペースSの信号を大きく拡大することができ、バーコードを正確かつ安定に読み取ることができるようになる。
【0026】なお、上記実施例では、リミッタにおいて正及び負のクランプレベルを設定したが、正のクランプレベルと負のクランプレベルのうち、いずれか一方のみを設定しても差し支えない。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、不必要に振幅の大きな部分やノイズ成分等を除去した後に信号処理部において2値化処理することができるので、リミッタ部のクランプレベルを適当に設定することにより、バーコードを正確に読み取ることができる。
【0028】例えば、バーコードラベルのエッジ部による信号が信号処理部に入力されるのを防止することができ、第1のバーも正確に読み取ることができる。また、光ビームのスポット径に比べて狭いバーやスペースも正確に読み取ることができる。さらに、バーのかすれやスペースの汚れがある場合にも、かすれや汚れの読み取りを防止し、バーコードの読み取り精度を向上させることができる。
【0029】また、ハイパスフィルタを挟んで2組以上のオートゲインコントローラ及びリミット部を設ければ、さらにバーコードを正確に読み取ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のバーコード読み取り装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】信号処理部の具体回路を示す回路図である。
【図3】従来例においてビーム径よりも細いバー幅のバーコードを読み取る場合の様子を示し、(a)はバーコードを示す図、(b)はバーコード信号とスライス信号を示す波形図、(c)は2値化信号を示す波形図である。
【図4】従来例において汚れやかすれのあるバーコードを読み取る場合の様子を示し、(a)はバーコードを示す図、(b)はバーコード信号とスライス信号を示す波形図、(c)は2値化信号を示す波形図である。
【図5】従来例において白地部分の反射率の高いバーコードラベルを読み取る場合の様子を示し、(a)はバーコードラベルを示す図、(b)はバーコード信号とスライス信号を示す波形図、(c)は2値化信号を示す波形図である。
【図6】本発明の一実施例によるバーコード読み取り装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】同上のバーコード読み取り装置におけるリミッタの具体回路を示す回路図である。
【図8】(a)(b)は同上の作用を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例においてビーム径よりも細いバー幅のバーコードを読み取る場合の様子を示し、(a)はバーコードを示す図、(b)はバーコード信号とクランプレベルを示す図、(c)はリミッタでクランプされたバーコード信号とスライス信号を示す波形図、(d)は2値化信号を示す波形図である。
【図10】本発明の実施例において汚れやかすれのあるバーコードを読み取る場合の様子を示し、(a)はバーコードを示す図、(b)はバーコード信号とクランプレベルを示す図、(c)はリミッタでクランプされたバーコード信号とスライス信号を示す波形図、(d)は2値化信号を示す波形図である。
【図11】本発明の実施例において白地部分の反射率の高いバーコードラベルを読み取る場合の様子を示し、(a)はバーコードラベルを示す図、(b)はバーコード信号とスライス信号を示す波形図、(c)は2値化信号を示す波形図である。
【図12】本発明の別な実施例における受光部の構成を示すブロック図である。
【図13】(a)(b)(c)は同上の実施例における各段のバーコード信号を示す波形図である。
【図14】同上の作用説明のための比較例を示す図である。
【符号の説明】
2 投光部
6 受光素子
8 AGC部(オートゲインコントローラ)
9 信号処理部
12 バーコード
18 バーコードラベル
22 リミッタ
UCL 上クランプレベル
DCL 下クランプレベル
26A バーコード信号
26B クランプされたバーコード信号
27 スライス信号
28 2値化信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】 バーコードに光ビームを照射する投光部と、バーコードからの反射光を受光して光電変換する光電変換部と、光電変換された信号に基づいて得られた信号を2値化する信号処理部を備えたバーコード読み取り装置において、前記光電変換部と前記信号処理部との間に、入力信号の大きさに応じてゲインを自動調整して当該入力信号を増幅するオートゲインコントローラと、オートゲインコントローラから出力された一定電圧以上の振幅をクランプするリミッタ部を有することを特徴とするバーコード読み取り装置。
【請求項2】 前記オートゲインコントローラ及び前記リミット部を少なくとも2組以上有し、異なる組のリミット部とオートゲインコントローラの間にはハイパスフィルタを配置していることを特徴とする請求項1に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項3】 前記リミッタ部の極性は正または負または正負であり、前記一定電圧はバーコードラベルのエッジ部の出力以下で、かつバーコード信号以上に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項4】 前記リミッタ部の極性は正または負または正負であり、前記一定電圧はオートゲインコントローラの太いバーの信号振幅の電圧値以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項5】 前記リミッタ部の極性は正または負または正負であり、前記一定電圧はバーコードの汚れ又はかすれの信号レベル以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーコード読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【公開番号】特開平7−302299
【公開日】平成7年(1995)11月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−120624
【出願日】平成6年(1994)5月9日
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)