説明

バーコード読取装置およびバーコード読取方法

【発明の詳細な説明】
〔概 要〕
本発明はバーコード読取装置に関し、 ノイズによる誤読を読取率を低下させずに防止することを目的とし、 左右のガードバーとセンタバーとで左右のブロックに区切られたバーコードラベルを繰り返し走査するとともに反射光を電気信号に変換する走査部と、該電気信号に基づき左右のブロックごとにバーコードを復調する復調部と、左右の該ブロックの復調データを合成し読取りの正常性をチェックするチェック部とを有し、該復調部は、ガードバーが検出された後にセンタバーが検出されたブロックの復調データに対して識別フラグを付与して該チェック部に入力し、該チェック部は、該識別フラグを備えた復調データが入力された場合には、少なくとも2つ以上の同一復調データが得られた時に、そのブロックの復調データを他方のブロックの復調データと合成するように構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明はバーコード読取装置の改良に関する。
バーコードの左右にはマージンとして白い部分が設けられており、この部分でノイズをひろうと走査方向によっては誤読の恐れがある。
この誤読を防止するため、ラベルを複数回走査する読取装置では、すべてデータの一致をとればよいが読取率が低下する。
このため、読取率を低下させずにノイズによる誤読を防止することが求められている。
〔従来の技術〕
第5図は従来技術説明図、第6図はノイズによるビットシフト例を表す図である。
POS端末等で使用されるバーコードは、第5図に示すように、左ガードバーLGB、センタバーCBおよび右ガードバーRGBによって区切られており、(LGB−CB),(CB−RGB)の半ブロックづつ入力されても読取れるようになっている。
第5図はレーザビームを用いた定置型のバーコード読取装置の構成例を示したもので、走査部1はレーザビームで繰り返しバーコードラベル15を走査するとともに、その反射ビームを受光して光電変換し、AD変換回路2はこの変換された信号を2値化し、復調部11aはブロック別に復調する。
この左右ブロックの復調データ20は、チェック部10aにおいて合成され、バーコードの備えるチェックデジィット等に基づきデータの正常性がチェックされ、正常ならばオペレータに通知されるとともに、それぞれの復調データ20が本体装置に出力される。
なお、誤読を防止するためには、左右ブロックがそれぞれ少なくとも2回走査されてその復調データが一致し、且つ他のチェックがOKの場合に読取りOKとする2回一致方式か、またはいずれか一方のブロックが2回以上走査され、且つその復調データが一致した場合は、他方のブロックの走査が1回であっても読取りOKとする1.5回一致方式等が用いられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
バーコードラベル15には、第5図に示すように、マージンとして左右に白い部分を設けるようになっている。
しかし、この白い部分が長いと、紙面の凹凸等によって紙面ノイズをひろいやすく、走査方向によってはバーコードのビットシフトが発生して誤読することがある。
第6図はビットシフト例を示したもので、(II)は第5図5図A方向、即ち、LGBからCBへ向かって走査され、LBGの直前のマージン部分でノイズ30をひろった場合のAD変換回路2より出力される2値データ例を示したものである。これによると、(I)に示す正常な値ODDの〔3030〕がビットシフトして、(II)に示すように、ODDの〔6464〕と誤読されることが示めされている。
このビットシフトは白い部分(LGBまたはRGB)からCB方向、即ち、第5図A方向またはC方向に走査された場合に発生しやすく、B方向またはD方向に走査する場合は発生しない。
これはAD変換回路2の特性に起因し、白い部分が長いとノイズ除去のためのスライスレベルが低下する等の理由による。
このノイズによる誤読を防止するため、前述した2回一致方式を採用すればよいが、左右ブロック共少なくとも2回は走査を必要とするため、読取率が低下する。
本発明は、上記課題に鑑み、ノイズによる誤読を読取率を低下させることなく防止するバーコード読取装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
第1図本発明の原理図において、 1は走査部で、左右のガードバーとセンタバーとで左右のブロックに区切られたバーコードラベル15を繰り返し走査するとともに、反射光を電気信号に変換する。
11は復調部で、該電気信号に基づき左右のブロックごとにバーコードを復調し、左ガードバーからセンタバーまたは右ガードバーからセンタバーに向かい走査されて得られた復調データ20には識別フラグ21を付与してチェック部10に入力する。
10はチェック部で、左右のブロックの復調データ20を合成し読取りの正常性をチェックする場合、識別フラグ21を備えた復調データ20は少なくとも2回入力され、且つ一致したとき該ブロックの復調データ20とする。
〔作 用〕
復調部11は、バーコードラベル15が繰り返し走査されて入力される一連の電気信号のうち、右または左のガードバーLGB,RGBを検出して復調を開始するときは、その復調データ20に識別フラグ21を付与してチェック部10に渡す。
チェック部10は、識別フラグ21が付与された復調データ20が入力された場合は、少なくとも2回入力され、且つ一致したとき、その復調データ20を一方のブロックの復調データ20としてチェックを行う。
これにより、ガードバーLGB,RGBからセンタバーCBへ走査される場合は2回走査される必要があるが、他方のブロックがセンタバーCBからLGBまたはRGBの方向に走査された場合は1回走査でよい。
以上のごとく、ノイズをひろいやすい走査方向のみデータの2回一致を行うので、両ブロックとも2回一致を行う従来の方式と比較して読取率が向上し、且つ同程度に誤読を防止することができる。
〔実施例〕
本発明の実施例を図を用いて詳細に説明する。
第2図は一実施例の構成図、第3図は復調動作フローチャート図、第4図はチェック動作フローチャート図である。
1は走査部で、光を繰り返し走査し、バーコードラベル15からの反射光を電気信号に変換する。
2はAD変換回路で、変換された電気信号を2値化する。
11は復調部で、復調を行うとき、最初にLGBまたはRGBを検出した場合は、その復調データ20に識別フラグ21を付与して、他の復調データ20とともにメモリ9に格納する。
9はメモリで、一連の復調データ20が格納され、チェック部10に渡される。
10はチェック部で、チェックディジット等により読取りの正常性を検証する。そして識別フラグ21が付与された復調データ20が入力された場合は、2回入力されず、また2回入力されても一致しない場合は、読取りOKとせず、入力待ちする。
また、復調部11において、 3はバー幅検出回路で、2値化された信号の白黒バー幅を検出し、コード化する。
4はフィルタ回路で、左右のガードバーLGB,RGB,およびセンタバーCBを検出し、復調回路5に復調開始/停止を指示するとともに、所定幅の白データ(マージンに対応)に続いてLGBまたはRGBが入力された場合は、バッファ7の所定ビットに“1"をセット(識別フラグ21オン)する。
5は復調回路で、変換テーブル6を参照しつつ入力されたバー幅コードを数値コードに変換し、O/E別・数値コードをバッファ7にセットする。
7はバッファで、その内容は1桁復調ごとに書込み回路8によってメモリ9に転送される。
なお、本例では、ブロック別の復調データ20は、ブロックが4桁で構成される場合は4バイトで構成され、それぞれ1桁分の数値コードの他に、O/E別,識別フラグ21が付与されている。
以上の構成において、以下のように復調ならびにチェック動作が行われる。
(1) フィルタ回路4はバー幅検出回路3より出力されるデータをチェックしており、所定幅以上の白データに続くLGB,RGB,およびCBを検出すると、復調開始を復調回路5に指示する。
この際、LGB,RGBならば、バッファ7の識別フラグ21をオンにする。
(2) 復調回路5は最初の1桁を復調し、O/E別および数値データをバッファ7へセットする。
(3) 1桁の復調が完了すると、書込み回路8はバッファ7の内容をメモリ9へ転送する。
以上の復調動作を半ブロック終了、即ちCBまたはLGB(RGB)が検出されるまで行う。
このようにして、バーコードラベル15が走査されている間復調動作が行われ、順次復調データ20がメモリ9に格納される。
(4) チェック部10は、復調動作中にチェック処理を開始し、メモリ9を検索して識別フラグ21がオンの復調データ20があれば2組以上あるか検索し、なければ入力待ちとなる。
そして、2組になると、その復調データ20を比較し、不一致ならば入力待ちし、一致したならば他方のブロックの復調データ20と組み合わせて正常性をチェックし、正常ならば正常出力する。
以上のごとく、ガードバーLGB,RGBからセンタバーCBに走査される場合に限り、2回一致方式を行うので、読取率を低下させることなく、ノイズに起因するビットシフトによる誤読を防止することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明は、右または左のガードバーからセンタバーに向かって走査された場合は、2回走査され、且つそれらの復調データが一致するときそのブロックの読取りをOKとするもので、読取率を低下させることなくマージン部に起因するノイズによる誤読を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理図、第2図は一実施例の構成図、第3図は復調動作フローチャート図、第4図はチェック動作フローチャート図、第5図は従来技術説明図、第6図R>図はノイズによるビットシフト例を表す図である。
図中、1は走査部、2はAD変換回路、3はバー幅検出回路、4はフィルタ回路、5は復調回路、6は変換テーブル、7はバッファ、8は書込み回路、9はメモリ、10はチェック部、11は復調部、15はバーコードラベル、20は復調データ、21は識別フラグ、30はノイズである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】左右のガードバーとセンタバーとで左右のブロックに区切られたバーコードラベルを繰り返し光走査するとともに反射光を電気信号に変換する走査部と、該電気信号に基づき左右のブロックごとにバーコードを復調する復調部と、左右の該ブロックの復調データを合成して読取りの正常性をチェックするチェック部とを有し、該復調部は、ガードバーが検出された後にセンタバーが検出されたブロックの復調データに対して識別フラグを付与して該チェック部に入力し、該チェック部は、該識別フラグを備えた復調データが入力された場合には、少なくとも2つ以上の同一復調データが得られた時に、そのブロックの復調データを他方のブロックの復調データと合成することを特徴とする、バーコード読取装置。
【請求項2】一方のブロックで識別データが付された復調データの2回一致が得られた場合、他方のブロックの復調データは2回一致チェックを省略可としたことを特徴とする請求項1記載のバーコード読取装置。
【請求項3】ガードバーとセンタバーとで区切られたブロックを有するバーコードを読み取るバーコード読取方法において、ガードバーが検出された後にセンタバーが検出された読取データに識別フラグを付与し、前記識別フラグが付与された読取データが入力した場合、当該読取データについては同一読取データが2つ以上入力されたことを条件に読取OKとすることを特徴とするバーコード読取方法。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第6図】
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【特許番号】第2900561号
【登録日】平成11年(1999)3月19日
【発行日】平成11年(1999)6月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−217868
【出願日】平成2年(1990)8月18日
【公開番号】特開平4−100188
【公開日】平成4年(1992)4月2日
【審査請求日】平成8年(1996)11月7日
【出願人】(999999999)富士通株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭63−8883(JP,A)