説明

バーナおよび加熱調理器

【課題】バーナ本体10と被加熱物Cを支持する支持部材(ごとく)とが一体となったバーナAを提供する。
【解決手段】バーナAは、内筒11と外筒12との間の空間13がガス流路とされたバーナ本体10と、内管11内に上方に向けて付勢された状態の棒部材50とを備える。棒部材50はごとくを兼ねると共に、外的負荷が作用しない状態ではバーナ本体10の先端から一定距離だけ突出した上限位置に位置決めがなされ、この状態では燃焼ガスの供給を遮断する。付勢力より大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合には、その負荷に応じて前記バーナ本体10の基部側に向けて移動し、燃焼ガスの供給を可能とする。このバーナAの多数本を天板72上の加熱調理範囲全体に偏りなく分散配置することで、天板上の加熱調理範囲内の任意の位置に任意の形状の被加熱物Cを置いても、被加熱物Cに対して効率の良い加熱が可能である加熱調理器Bを構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に加熱調理器の熱源として用いられるバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
バーナを備えた加熱調理器は、ガスコンロ等の名称でよく知られている。通常のガスコンロは、天板に形成した1個から複数個の開口部のそれぞれに、円環状の火炎口を持つバーナが配置され、該開口部を囲むようにして、鍋やフライパン等の被加熱物をバーナ上に支持するための支持部材(ごとく)が設けられている。
【0003】
特許文献1には、美観と掃除のし易さに優れたガスコンロが記載されており、そこでは、平板状の天板と、天板に形成された天板開口部と、天板開口部の下方に離間して設けられて燃料ガスを燃焼させ天板開口部の下方に火炎を形成して被加熱物を加熱するバーナとを備え、天板の天板開口部の周囲には、被加熱物が載置される3つ以上の突起(支持部材)を、その周縁部が傾斜面状となる状態で天板から膨出する形状で形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来用いられているガスコンロでは、1つのバーナに対して1つの被加熱物を配置するのが原則であり、例えば3つのバーナを備えたガスコンロでは、使用者は、最大3つの被加熱物を選択的に使用することができる。しかし、被加熱物を配置する位置は各バーナの直上位置に限られており、その位置に被加熱物が適正に置かれるように、天板における各バーナの周囲には、被加熱物を安定的に支持するための支持部材(ごとく)が設けられている。しかし、被加熱物が重量物の場合や被加熱物の形状や大きさによっては、支持部材(ごとく)上の適正な位置に被加熱物を置くことが困難になることが起こり得る。その場合には、効率の良い加熱を受けることができない。さらに、被加熱物が重たい場合、使用者によっては必要なときにバーナからバーナへ被加熱物を移し替えるのが困難となっている。
【0006】
また、ガスコンロを使用する者によっては、様々な大きさと形状の調理具(鍋やフライパンのみでなく鉄板等も含まれる)を使用することを望む場合があるが、従来のガスコンロでの支持部材(ごとく)の形状と大きさはほぼ規格化されたものであり、それらの要請に的確に答え得るものとはなっていない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、天板上の加熱調理範囲内の任意の位置に任意の形状の被加熱物を置いても、該被加熱物に対して効率の良い加熱が可能であり、また、一度天板上の加熱調理範囲内の適宜の位置に置いた後であっても、必要時には被加熱物を容易に他の位置に移動することができるようにされた加熱調理器を構成することのできるバーナを提供することを課題とする。また、そのバーナの複数本を寄せ集めて形成される加熱調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるバーナは、内筒と外筒とを有しその間の空間がガス流路とされかつ先端側が火炎口とされているバーナ本体と、前記内管内に前記火炎口側に向けて付勢された状態で内管の軸線方向に移動自在に配置されている棒部材とを備え、前記棒部材は、外的負荷が作用しない状態ではバーナ本体の前記先端から一定距離だけ突出した上限位置に位置決めがなされており、付勢力より大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合には、その負荷に応じて前記バーナ本体の基部側に向けて移動可能となっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による加熱調理器は、上記のバーナの複数本が天板上の加熱調理範囲全体に偏りなく分散配置されてなることを特徴とする。
【0010】
本発明によるバーナは、一本のみで加熱源として使用することは使用態様としては予定せず、その複数本を群として配置した状態で加熱源として使用することを、基本的な使用態様として予定する。
【0011】
使用に際して、本発明によるバーナは、バーナ本体の軸線方向を垂直方向として配置され、内筒と外筒の間のガス流路には、燃焼ガス供給用の配管が接続される。非使用状態で、前記棒部材はバーナ本体の先端から一定距離だけ突出した上限位置に、適宜の付勢手段により位置決めがなされている。そして、その状態では、適宜の手段によって前記ガス流路への燃焼ガスの供給は遮断されている。バーナを加熱源として使用するときには、前記突出している棒部材の先端上に鍋等の被加熱物を置く。被加熱物の重量によって、棒部材は付勢手段の上方への付勢力に抗して、バーナ本体の基部側に向けて移動する。その移動を適宜の検知手段によって検知して、ガス流路への燃焼ガスの供給を開始する。それと同時に、適宜の手段により火炎口から噴出する燃焼ガスに対する着火を行う。バーナの上に被加熱物が置かれている間は、前記棒部材はバーナ本体の基部側に向けて下方に移動した状態に維持されるので、ガス流路への燃焼ガスの供給は継続し、バーナは燃焼を続ける。
【0012】
所要の加熱が行われたことを判断して、使用者が被加熱物を上方に持ち上げるか、横移動させる。それにより、棒部材に作用していた下方への押圧力は開放される。押圧力の開放により、棒部材は付勢手段の付勢力によって上方に移動し、当初のバーナ本体の先端から一定距離だけ突出した上限位置に復帰する。この復帰を適宜の検知手段によって検知して、当該バーナへの燃焼ガスの供給を停止する。
【0013】
上記のように本発明によるバーナは、内管内に火炎口側に向けて付勢された状態で内管の軸線方向に移動自在に配置されている棒部材の移動によって、燃焼ガスの供給と停止および燃焼ガスへの着火のタイミングが決定されるとともに、バーナ燃焼時においては、その先端部は、バーナ上に置かれた被加熱物のための支持部材(ごとく)としての機能も果たすことができる。
【0014】
したがって、本発明によるバーナの多数本を天板上の加熱調理範囲全体に偏りなく分散配置して構成される加熱調理器においては、任意に選択した適数のバーナ上に被加熱物を置くことで、その被加熱物に対する加熱が可能となる。また、被加熱物に対するバーナからの加熱が継続している状態で、任意の横方向に被加熱物を移動した場合でも、被加熱物によって新たに棒部材が下方に押し下げられたバーナは燃焼を開始することができ、移動することで棒部材に対する下方への付勢力が解消したバーナの燃焼を停止させることができる。そのことから、本発明による加熱調理器は、使用の自由度が大きくなり、高齢者等にとって使いやすい加熱調理器となる。
【0015】
本発明によるバーナは、火炎口から噴出する燃焼ガスに対する着火手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。着火手段を備えるバーナでは、燃焼ガスに対する着火は自己の持つ着火手段により行われる。一方、着火手段を備えないバーナでは、外部の適宜の着火手段によって着火を行うか、隣接するバーナの火炎により着火を行うようにする。
【0016】
本発明によるバーナは、棒部材がその上限位置にあるときに燃焼ガスがガス流路に流入するのを阻止するガス遮断手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。ガス遮断手段を備えるバーナでは、当該ガス遮断手段を操作することで、ガス流路への燃焼ガスの遮断と供給を行うことができる。一方、そのようなガス遮断手段を備えないバーナの場合には、当該バーナに燃焼ガスを供給するガス供給用の配管にガス遮断手段を取り付け、そのガス遮断手段を操作することで、当該バーナのガス流路に対する燃焼ガスの遮断と供給を行うことができる。
【0017】
本発明によるバーナの一形態では、前記バーナ本体の先端は開放しており、該開放した先端が火炎口とされている。また、他の態様では、前記バーナ本体の先端は前記内筒の先端部を除き閉鎖されており、前記火炎口は火炎がバーナ本体の軸線に直交する方向に噴出するようにされた複数個の火炎口スリットで形成されている。前者の態様はバーナの構成を簡素化できる利点がある。一方、後者の態様では、前者と比較して横方向に広がりを持つ火炎が得られるので、隣接して配置されたバーナから噴出する燃焼ガスへの火移り(着火)が確実に行えるようになる利点がある。
【0018】
本発明によるバーナは、前記棒部材の移動を検知する検知手段を備えていてもよく、備えていなくてもよい。前者の場合には、その検知手段が検知した適宜の信号を制御部に送り、その制御部が、バーナに設けたガス遮断手段あるいは当該バーナに燃焼ガスを供給するガス供給用の配管に設けたガス遮断手段の開閉を制御する。後者の場合には、棒部材の移動と機械的に連動する手段によって、直接的に、バーナに設けたガス遮断手段あるいは当該バーナに燃焼ガスを供給するガス供給用の配管にガス遮断手段の開閉を行うようにする。
【0019】
本発明によるバーナの大きさは、バーナ一本に予定する燃焼量や加熱調理器として多数本を組み込むときの隣接するバーナ同士の距離等を考慮して適宜設定すればよい。一例として、バーナ本体は円筒体であり、その外径は10〜20mmの範囲であり、内筒の内法直径は3〜6mmの範囲であり、バーナ本体を形成する材料の板厚は2〜3mmの範囲であるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バーナ本体と被加熱物を支持する支持部材(ごとく)とが一体となったバーナが提供される。そのために、本発明によるバーナの多数本を天板上の加熱調理範囲全体に偏りなく分散配置することで、天板上の加熱調理範囲内の任意の位置に任意の形状の被加熱物を置いても、該被加熱物に対して効率の良い加熱が可能であり、また、一度天板上の加熱調理範囲内の適宜の位置に置いた後であっても、必要時には被加熱物を容易に他の位置に移動することができる加熱調理器を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるバーナの一例を示す斜視図。
【図2】図1に示すバーナの断面図。
【図3】バーナ本体の上端部近傍を示す拡大斜視図。
【図4】図1に示すバーナを多数本組み込んで形成された加熱調理器を説明する図。
【図5】加熱調理器を説明するための模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明する。図1は本発明によるバーナの一形態を斜視図で示し、図2はそれを断面図で示している。
【0023】
この例において、バーナAは、基本的な構成として、バーナ本体10と棒部材50とを備える。バーナ本体10は、好ましくは円筒体である内筒11と、該内筒11を外側から囲んでいる外筒12とを備える。内筒11および外筒12は水平断面が楕円形状の筒体であってもよい。この例において、内筒11の内径は6mm、外径は9mm、外筒12の内径は13mm、外径は15mmの円筒体であり、内筒11と外筒12の間には4mm幅の空間13が形成されている。
【0024】
図3の拡大図に示すように、外筒12の上端には、火炎口形成部材14が取り付けられている。該火炎口形成部材14は、内径と外径が外筒12と同じである周壁部15と、前記空間13を閉塞できる厚みを持つ上端部16とで形成されており、周壁部15には、周方向に等間隔で形成された縦長の火炎口スリット17が適数だけ形成されている。また、前記上端部16の内周面には内ねじ18が形成されており、前記内筒11の対向する面には外ねじ19が形成されている。火炎口形成部材14を内ねじ18を外ねじ19に螺合させた状態でねじ込むことにより、火炎口形成部材14はその下端面を外筒12の先端面に接着した状態で内筒11と一体化される。それにより、バーナ本体10における前記空間13の上端側は閉鎖されると共に、バーナ本体10の先端部には、火炎がバーナ本体10の軸線に直交する方向に噴出するようにされた複数個の火炎口スリット17が形成される。形状の異なる火炎口形成部材14と交換することで、火炎口の数や形状を適宜変更することもできる。
【0025】
内筒11の下端には、貫通孔20を備えた接続用ソケット21の上方部がねじ込まれている。該接続用ソケット21の中央部の外径は内筒11の内径と同じとされており、その下方部には上方部と同様にねじが切られている。該ねじの切られた下方部には、上方を開放し底部を閉鎖した筒状体22の上端部が螺合されている。
【0026】
外筒12の下端部には、外筒2の外径と同じ内径を持つ取り付け用ソケット23の上端部が取り付けてあり、前記筒状体22は、該取り付け用ソケット23内に隙間を有した状態で収容されている。さらに、取り付け用ソケット23の下端部には、ガス供給配管40との継ぎ手24が螺合されている。
【0027】
内筒11内には、前記した棒部材50が摺動自在に挿入されている。詳細には、棒部材50は、内筒11の内径と同じ外径である支持部材51と、両端にねじ52、53を備えた繋ぎ棒54とを備える。支持部材51は下端側にねじ穴を有し、該ねじ穴に前記繋ぎ棒54の上端のねじ52が螺合している。支持部材51の上端部は大径部55とされており、該大径部55の上面側は滑らかな曲面をなしている。繋ぎ棒54は接続用ソケット21の貫通孔20を通過してその下方にまで延出しており、該延出部に前記下端側のねじ53が切られている。そして、ねじ53には、内部にマグネット56を収容した筒部材57の上端が螺合されている。該筒部材57の外径は前記した筒状体22の内径に等しく、そのために、筒部材57の上端面は接続用ソケット21の下端面と当接することができる。
【0028】
繋ぎ棒54の適宜の位置には留め金58が固定してあり、前記内筒11の下端側に螺合している接続用ソケット21の上端面と前記留め金58の裏面との間にはコイルバネ59が介装されている。また、支持部材51の下端面には、所定長さの位置決め用部材60が繋ぎ棒54に沿うようにして取り付けてあり、その下端部は前記留め金58の上面に当接している。
【0029】
上記の形状であり、棒部材50全体に、圧縮されたコイルバネ59から上方に向けた付勢力を常時作用させるようにすることが可能であり、かつ、付勢力を受けているときの棒部材50のバーナ本体10の先端からの突出量は、筒部材57の上端面と接続用ソケット21の下端面との当接位置をバーナ本体10の軸線方向のどの位置に設定するかで、調整することができる。図示の例では、15〜20mm程度突出するように設定されている。
【0030】
また、支持部材51を下方に向けて押圧することで、棒部材50は、コイルバネ59による上方への付勢力に抗して、内管11内を下方に向けて摺動移動する。その移動の限界位置は、前記筒部材57の底面が筒状体22の内側底面に当接した位置である。したがって、前記筒部材57あるいは筒状体22の長さを適宜調整することで、棒部材50の沈み込み限界距離を変えることができる。図示の例では、棒部材50が下方限界位置に来たときに、前記支持部材51の大径部55の底面がバーナ本体10の上端面と当接する位置となるように設定されている。
【0031】
さらに、前記取り付け用ソケット23の周側面には、前記筒部材57の内部に収容したマグネット56の移動範囲、すなわち、支持部材51が下方に押し下げられることで棒部材50が移動するときのマグネット56の移動範囲をカバーできる大きさの磁気センサ61が、上下方向に位置調整自在に取り付けてあり、該磁気センサ61からの信号が制御部に送られるようになっている。なお、図で、62は磁気センサ61を移動するときの操作具である。
【0032】
省略可能であるが、図示のものでは、前記した火炎口スリット17の近傍に着火手段70が取り付けられている。また、バーナAの下方部分には、他の基材(例えば、加熱調理器の機枠等)に取り付けるときに用いられる取り付け具63等も設けられている。
【0033】
上記バーナAの使用に当たっては、適宜の基台に1本あるいは複数本のバーナAを立てた姿勢で取り付ける。そして、前記した継ぎ手24を利用してガス供給配管40を接続する。ガス供給配管40から供給される燃焼ガスは、継ぎ手24内の通路64、取り付け用ソケット23の内周面と筒状体22の外周面との間の隙間、内筒11と外筒12との間の空間13を順次通過して、すなわち、そこをガス流路として、バーナ本体10の先端に形成した火炎口スリット17から噴出する。噴出する燃焼ガス(予混合ガス)に適宜の手段で着火することにより、火炎が形成される。
【0034】
ただし、本発明によるバーナAでは、前記棒部材50が上方に移動している状態では、前記ガス流路への燃焼ガスの供給は遮断されるようになっている。図示の例では、棒部材50が上方限界位置にあるときの前記マグネット56の位置が磁気センサ61によって検知され、その位置信号が適宜の制御手段73(図5参照)に送られる。制御手段73は棒部材50が上方限界位置にあることを示す信号を受けたときは、ガス供給配管40に設けた開閉弁71を遮断する信号を出す。
【0035】
被加熱物が支持部材51の上に乗ることで、棒部材50が下方に移動するとそれにつれてマグネット56も下方に移動し、その移動距離は磁気センサ61によって検知され、制御手段73に送られる。制御手段73は、所定の移動距離が生じたことを認識すると、ガス供給配管40に設けた開閉弁71を開く信号を出す。それにより、はじめて燃焼ガスの供給が開始する。制御手段73は、開弁信号と同時に着火手段70に着火信号を送る。それにより、バーナAの燃焼が始まる。
【0036】
被加熱物を棒部材50の上から取り去ると、棒部材50はコイルバネ59の付勢力で当初の上限位置に復帰する。その移動はマグネット56の移動を伴うので、磁気センサ61によって検知され、制御手段73に送られる。制御手段73は、棒部材50が上限位置にまで達したことを認識するとガス供給配管40に設けた開閉弁71を閉じる信号を出し、火炎は消滅する。
【0037】
図4、図5は、本発明によるバーナAを用いて形成した加熱調理器Bの一例を示している。この加熱調理器Bでは、天板72に対して、多数本の前記バーナAが加熱調理範囲全体に偏りなく配置されている。各バーナAは前記した火炎口スリット17の部分が天板72の上方に位置するようにして、等しい高さに取り付けられている。各バーナAには、前記したように、開閉弁71を備えたガス供給配管40から燃焼ガスが供給される。また、各バーナAと制御手段73は信号線74で結ばれており、前記した棒部材50の位置情報が制御手段73に送られると共に、制御手段73はガス供給配管40に取り付けた開閉弁71に対して、開放遮断の信号を発信する。また、必要に応じて、着火手段70に着火信号も発信する。
【0038】
図示されるように、鍋等の被加熱物Cが置かれた領域にあるバーナAでは、被加熱物Cの重さによってバーナの棒部材50は押し下げられる。それにより、被加熱物Cが置かれた領域にあるバーナAの群は燃焼を開始するが、それ以外のバーナAの群は燃焼することはない。燃焼しているバーナAの群での各棒部材50の支持部材51における大径部55は、そのときに「ごとく」としても機能するので、置かれている被加熱物Cの姿勢も安定する。
【0039】
この加熱調理器Bでは、使用者は、加熱調理範囲の任意の位置を選択して被加熱物Cを置き、調理することができる。被加熱物Cの大きさも任意であり、鉄板等の平板物を置いても、同じように燃焼が開始する。適宜の複数の箇所に複数の被加熱物Cを置き、同時に調理することも可能である。また、被加熱物Cを現在置いてある位置から、横方向に滑らせるように移動させても、火炎は被加熱物Cの移動に追従して移動し、被加熱物Cが存在しなくなった場所のバーナは自動的に消火する。この横移動は、棒部材50の大径部55の上面側が滑らかな曲面をなしていることで、被加熱物Cを持ち上げることなく、容易に行うことができる。
【0040】
また、図示の加熱調理器Bのように、隣接するバーナAを比較的に近接して配置する場合には、1つのバーナの火炎が隣接するバーナから噴出する燃焼ガスに飛び火することで着火できるので、すべてのバーナに着火手段70を取り付けなくても、着火手段70を備えたバーナと備えないバーナとを適切に配置することで、加熱調理器Bとしての機能を果たすことができる。
【0041】
図示しないが、バーナAの他の形態として、マグネット56と磁気センサ61とによる棒部材50の位置検知手段に代えて、前記筒状体22の内側底面に適宜の接触スイッチを配置しておき、該筒部材57の底面が該接触スイッチと接触したことを検知して、制御手段73が開閉弁71の開信号を出し、接触が解除したことを検知して開閉弁71の閉信号を出すような機構としてもよい。さらに、バーナ本体10の上端面に圧力センサ等を取り付け、棒部材50の前記支持部材51に圧力センサに対する接触部材を取り付けるようにしてもよい。その際に、前記大径部55の裏面を圧力センサに対する接触部材として利用する態様も可能である。従来知られたフォトカップラーにより位置検知手段を採用することもできる。
【符号の説明】
【0042】
A…バーナ、
B…バーナAを取り付けた加熱調理器、
C…被加熱物、
10…バーナ本体、
11…内筒、
12…外筒、
13…内筒と外筒の間の空間(ガス流路)、
14…火炎口形成部材、
17…火炎口スリット、
21…接続用ソケット、
22…上方を開放し底部を閉鎖した筒状体、
23…取り付け用ソケット、
24…ガス供給配管との継ぎ手、
40…ガス供給配管、
50…棒部材、
51…支持部材、
54…繋ぎ棒、
55…支持部材の上端部の大径部、
56…マグネット、
57…内部にマグネットを収容した筒部材、
58…繋ぎ棒に固定された留め金、
59…コイルバネ、
60…位置決め用部材、
61…磁気センサ、
62…磁気センサを移動するときの操作具、
64…継ぎ手内の通路、
71…開閉弁、
72…天板、
73…制御手段、
74…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒と外筒とを有しその間の空間がガス流路とされかつ先端側が火炎口とされているバーナ本体と、前記内筒内に前記火炎口側に向けて付勢された状態で内筒の軸線方向に移動自在に配置されている棒部材とを備え、前記棒部材は、外的負荷が作用しない状態ではバーナ本体の前記先端から一定距離だけ突出した上限位置に位置決めがなされており、付勢力より大きな外的負荷が付勢力に対向する方向に作用した場合には、その負荷に応じて前記バーナ本体の基部側に向けて移動可能となっていることを特徴とするバーナ。
【請求項2】
火炎口から噴出する燃焼ガスに対する着火手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記棒部材が前記上限位置にあるときに燃焼ガスが前記ガス流路に流入するのを阻止するガス遮断手段を備えることを特徴する請求項1または2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記バーナ本体の先端は開放しており、該開放した先端が火炎口とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項5】
前記バーナ本体の先端は前記内筒の先端部を除き閉鎖されており、前記火炎口は火炎がバーナ本体の軸線に直交する方向に噴出するようにされた複数個の火炎口スリットで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項6】
前記棒部材の移動を検知する検知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項7】
天板上の加熱調理範囲全体に偏りなく請求項1ないし6のいずれか一項に記載のバーナの複数本が分散配置されてなることを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72557(P2013−72557A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209404(P2011−209404)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)