説明

パイロットリレー

【課題】ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能なパイロットリレーを提供する。
【解決手段】ポペット弁組立体11をシート部12とシート保持部13との分割構造とする。シート部12とシート保持部13との間の内部空間14にバネ15を収容し、このバネ15に付勢された状態でポペット弁16をシート部12とシート保持部13との間に保持する。ポペット弁16に、バネ15が収容された部屋13bとスプール8の排気通路8bとを連通させる貫通孔16cと、この貫通孔16cと出力空気圧室4とを連通させる微細連通路16dとを設ける。バネ15が収容された部屋13bはOリング23によって供給空気圧室2から隔離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気作動型の調節弁(バルブ)の開度制御を行うポジショナなどに用いられるパイロットリレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バルブ駆動制御、プロセスオートメーション、その他一般産業用機器の駆動制御に際してはポジショナが用いられており、このポジショナをバルブに取り付けることにより、バルブの開度制御を可能としている。
【0003】
図20にこのバルブの開度制御を可能とするポジショナの要部の構成を示す。同図において、100はポジショナであり、このポジショナ100は上位コントローラ200から電気信号で送られてくるバルブ開度信号を空気圧信号Pnに変換する電空変換部101と、この電空変換部101によって変換された空気圧信号(入力空気圧)Pnを増幅してバルブ300に出力空気圧信号(出力空気圧)Poとして出力するパイロットリレー(圧力信号増幅器)102とから構成されている。
【0004】
このようなポジショナ100に用いられるパイロットリレー102には、1つの入力空気圧Pnに対して1つの出力空気圧Poを出力する単動型と、1つの入力空気圧Pnに対して2つの出力空気圧Po1,Po2を出力する複動型とが存在する。複動型のパイロットリレー102は、2つの出力ポートを有し、バルブ300を正動作させる場合には第1のポートの出力空気圧Po1を第2のポートの出力空気圧Po2よりも高くし、逆動作させる場合には第2のポートの出力空気圧Po2を第1のポートの出力空気圧Po1よりも高くする。
【0005】
図20にこのバルブの開度制御を可能とするポジショナの要部の構成を示す。同図において、100はポジショナであり、このポジショナ100は上位コントローラ200から電気信号で送られてくるバルブ開度信号を空気圧信号Pnに変換する電空変換部101と、この電空変換部101によって変換された空気圧信号(入力空気圧)Pnを増幅してバルブ300に出力空気圧信号(出力空気圧)Poとして出力するパイロットリレー(圧力信号増幅器)102とから構成されている。
【0006】
このようなポジショナ100に用いられるパイロットリレー102には、1つの入力空気圧Pnに対して1つの出力空気圧Poを出力する単動型と、1つの入力空気圧Pnに対して2つの出力空気圧Po1,Po2を出力する複動型とが存在する。複動型のパイロットリレー102は、2つの出力ポートを有し、バルブ300を正動作させる場合には第1のポートの出力空気圧Po1を第2のポートの出力空気圧Po2よりも高くし、逆動作させる場合には第2のポートの出力空気圧Po2を第1のポートの出力空気圧Po1よりも高くする。
【0007】
図21に単動型のパイロットリレーの構造を示す。同図において、401はハウジングであり、ハウジング401内には入力空気圧室402,供給空気圧室403,出力空気圧室404および排気室405が設けられている。また、ハウジング401内には、入力空気圧室402に導かれる入力空気圧(ノズル背圧)Pnによって変位するダイアフラム406が設けられており、このダイアフラム406に弁駆動部材(移動体)407が矢印A方向およびB方向へ移動可能に支持されている。弁駆動部材407は、出力空気圧室404に位置する開口407aと、この開口407aを排気室405に連通させる排気通路407bとを有している。また、出力空気圧室404と排気室405とはダイアフラム408で仕切られており、ダイアフラム408はハウジング401と弁駆動部材407との間に設けられている。
【0008】
供給空気圧室403と出力空気圧室404との間には隔壁409が形成されている。この隔壁409には供給空気圧室403と出力空気圧室404とを連通する連通孔409aが形成されている。そして、この連通孔409aを貫通して、左右に移動可能にポペット弁410が設けられている。ポペット弁410は、弁駆動部材407の開口407aを開閉する排気弁410aと、隔壁409の連通孔409aを開閉する給気弁410bとを一体的に有している。また、出力空気圧室404には、ポペット弁410を矢印B方向、すなわち給気弁410bが連通孔409aを閉じる方向に付勢するバネ411が設けられている。
【0009】
このパイロットリレーでは、供給空気圧室403にエアー供給管412を通して供給空気圧Psが供給され、入力空気圧室402にノズル背圧導入管413を通して入力空気圧Pnが導かれる。また、出力空気圧室404からエアー出力管414を通して出力空気圧Poがバルブ300に出力される。なお、排気室405は大気と連通している。
【0010】
このパイロットリレーにおいて、入力空気圧Pnを増加させると、ダイアフラム406,408が矢印A側に移動し、それに伴って、ダイアフラム406,408に支持されている弁駆動部材407も矢印A側に移動する。すると、弁駆動部材407は、その移動に伴ってポペット弁410をバネ411の付勢力に抗して押し下げ、それに伴って、ポペット弁410の給気弁410bが連通孔409aを開く。この時、弁駆動部材407の開口407aは、ポペット弁410の排気弁410aによって閉じられる。これにより、エアー供給管412を通して供給空気圧室403に供給されたエアーは、連通路409aを通って出力空気圧室404内に導入され、エアー出力管414を通って、バルブ300に供給される。
【0011】
一方、入力空気圧Pnを減少させると、ダイアフラム406,408が矢印B側に移動し、それに伴って、ダイアフラム406,408に支持されている弁駆動部材407も矢印B側に移動する。すると、バネ411の付勢力によってポペット弁410が押し上げられ、それに伴って、ポペット弁410の給気弁410bが連通孔409aを閉じる。この時、弁駆動部材407の開口407aは、ポペット弁410の排気弁410aによって開かれる。これにより、出力空気圧室404内のエアが、弁駆動部材407の開口407aより排気通路407bに入り、排気室405に排出される。
【0012】
このようにして、入力空気圧室402に導かれる入力空気圧Pnによって、弁駆動部材407およびポペット弁410が動作し、その動作によって、増幅された出力空気圧Poがエア出力管414を通してバルブ300へ出力されるものとなる。この場合、入力空気圧Pnの圧力を調整することによって、出力空気圧Poが調整されるものとなる。
【0013】
このパイロットリレーにおいて、入力圧は入力空気圧Pnとダイアフラム(入力ダイアフラム)406の有効面積Anとの積An×Pnで表され、また出力圧は出力空気圧Poとダイアフラム(出力ダイアフラム)408の有効面積Aoとの積Ao×Poで表される。
【0014】
入力圧An×Pnが出力圧Ao×Poと平衡しているとき、給気弁410bは隔壁409の連通孔409aに着座し、同時に排気弁410aは弁駆動部材407の開口407aに着座し、給気も排気も停止している。すなわち、入力圧と出力圧が平衡しているとき、An×Pn=Ao×Poという等式が成り立つ。
【0015】
このパイロットリレーでは、入力空気圧Pnに対する出力空気圧Poの比がゲインG(G=Po/Pn)とされる。このゲインGは、An×Pn=Ao×Poという等式が成り立つので、Po/Pn=An/Aoとなり、ゲインGはG=An/Aoとしても表される。このゲインGが高いほど、入力空気圧Pnによって出力空気圧Poを高められるので、ポジショナの応答性を向上させることが可能となる。そこで、パイロットリレーの高ゲイン化を図るためには、入力空気圧Pnを受ける有効面積Anを大きくするか、出力空気圧Poを受ける有効面積Aoを小さくすればよいことなる。
【0016】
この場合、入力空気圧Pnを受ける有効面積Anを大きくすると、応答性の低下につながる。また、パイロットリレーの大型化を招くので望ましくない。このため、入力空気圧Pnを受ける有効面積Anを大きくするのではなく、出力空気圧Poを受ける有効面積Aoを小さくすることが望ましい。
【0017】
また、このパイロットリレーにおいて、ポペット弁410の給気弁410bにはその構造上、供給空気圧Psと出力空気圧Poとの差圧と給気ポート径で決まる力が作用する。この作用する力が入力空気圧Pnの変化に対して給排気が切り替わらないデッドバンドの要因となる(例えば、特許文献1参照(段落〔0021〕〜〔0023〕))。
【0018】
そこで、このデッドバンドによる給排気の非線形性を改善させるために、特許文献1に示されたパイロットリレーでは、比較的大径のブリード穴を設け、出力空気圧を大気に逃がようにしている。また、特許文献2に示されたパイロットリレーでも、比較的大径のブリード穴を設け、供給空気圧を出力空気圧に導入し、大気に逃がすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2001−75651号公報
【特許文献2】特開2004−360805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示されパイロットリレーにおいて、排気動作後、出力空気圧の整定を早めるためには、ブリード量を大きくさせる必要があり、定常空気消費量が増大するという問題があった。
【0021】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能なパイロットリレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような目的を達成するために本発明は、ハウジング内に形成された入力空気圧室,供給空気圧室,出力空気圧室および排気室と、入力空気圧室に導かれる入力空気圧によって変位するダイアフラムと、出力空気圧室に位置する開口と,この開口を排気室に連通させる排気通路とを有し、ダイアフラムに支持されてハウジング内を移動する移動体と、供給空気圧室と出力空気圧室とを画成する隔壁に形成された連通孔を貫通して移動可能に設けられ、移動体の開口を開閉する排気弁および連通孔を開閉する給気弁とを一体的に有するポペット弁と、ポペット弁を給気弁が連通孔を閉じる方向に付勢するバネ部材とを備えたパイロットリレーであって、バネ部材を収容する空間および隔壁を有し、隔壁に形成されている連通孔から排気弁を突出させた状態でポペット弁およびバネ部材を保持するポペット弁組立体を備え、ポペット弁は、大気と連通したバネ部材が収容された空間および排気室の何れか一方と連通する連通路と、この連通路と出力空気圧室とを連通させる微細連通路と備えていることを特徴とする。
【0023】
この発明において、ポペット弁は、大気と連通したバネ部材が収容された空間および排気室の何れか一方と連通する連通路を有している。また、この連通路と出力空気圧室とを連通させる微細連通路を有している。
【0024】
ポペット弁が排気室と連通する連通路を有している場合、排気動作時、微細連通路は、出力空気圧室の空気をポペット弁の連通路を通して、排気室に流出させて、またバネ部材が収容されている空間に導いて、ポペット弁の給気弁による連通孔の閉塞を迅速に行わせる。この場合、バネ部材が収容された空間は大気圧となることから、ポペット弁により給気ポートを閉める力を確保しつつ、供給空気圧によりポペット弁に掛かる力が大幅に低減されるものとなる。これにより、デッドバンドを減らし、かつ微細連通路による出力空気圧の減圧分を小さくし、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能となる。
【0025】
ポペット弁が大気と連通したバネ部材が収容された空間と連通する連通路を有している場合、排気動作時、微細連通路は、出力空気圧室の空気をポペット弁の連通路を通して、バネ部材が収容された空間に導いて、大気に流出させて、ポペット弁の給気弁による連通孔の閉塞を迅速に行わせる。この場合、バネ部材が収容された空間は大気圧となることから、ポペット弁により給気ポートを閉める力を確保しつつ、供給空気圧によりポペット弁に掛かる力が大幅に低減されるものとなる。これにより、デッドバンドを減らし、かつ微細連通路による出力空気圧の減圧分を小さくし、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能となる。
【0026】
なお、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能となることは、ブリード量を小さくしても、出力空気圧の整定は遅くならないことを意味している。このことは、ブリード量を小さくしても、出力空気圧の整定を早めることが可能であること、すなわち、微細連通路の穴径を小さくして、定常消費空気量を減少させることが可能となることを意味している。また、本発明は、単動型のパイロットリレーだではなく、複動型のパイロットリレーにも同様にして適用することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ポペット弁に、大気と連通したバネ部材が収容された空間および排気室の何れか一方と連通する連通路と、この連通路と出力空気圧室とを連通させる微細連通路とを設けるようにしたので、バネ部材が収容された空間を大気圧として、ポペット弁により給気ポートを閉める力を確保しつつ、供給空気圧によりポペット弁に掛かる力を大幅に低減させ、これにより、デッドバンドを減らし、かつ微細連通路による出力空気圧の減圧分を小さくし、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能となる。また、微細連通路の穴径を小さくして、定常消費空気量を減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るパイロットリレーの一実施の形態(単動型のパイロットリレー)の構造を示す図である。
【図2】この単動型のパイロットリレーにおけるポペット弁の周辺を拡大して示す図である。
【図3】この単動型のパイロットリレーにおけるポペット弁周辺の構造を本出願人が現在採用している構造(従来の構造)と対比して示す図である。
【図4】この単動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室と排気室とを連通させる微細連通路(ブリード穴)をハウジングに設けるようにした例を示す図である。
【図5】この単動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室と排気室とを連通させる微細連通路をスプールに設けるようにした例を示す図である。
【図6】この単動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室を直接大気と連通させる微細連通路をハウジングに設けるようにした例を示す図である。
【図7】この単動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室と排気室との間にバイアス室を設けるようにした例を示す図である。
【図8】この単動型のパイロットリレーにおけるポペット弁の整定時間について本願の構造と従来の構造とを比較して説明する図(ブリードの穴径は同じ)である。
【図9】この単動型のパイロットリレーにおけるポペット弁の整定時間について本願の構造と従来の構造とを比較して説明する図(ブリード穴径小(本願の構造))である。
【図10】ポペット弁に出力空気圧室とバネが収容されている部屋とを連通させる微細連通路を設けるようにした例を示す図である。
【図11】バネが収容されている部屋を大気と連通させる連通路をシート保持部に設けるようにした例を示す図である。
【図12】本発明に係るパイロットリレーの他の実施の形態の構造(複動型のパイロットリレー)を示す図である。
【図13】この複動型のパイロットリレーにおける第1のポペット弁の周辺を拡大して示す図である。
【図14】この複動型のパイロットリレーにおける第2のポペット弁の周辺を拡大して示す図である。
【図15】この複動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室と排気室とを連通させる微細連通路をハウジングに設けるようにした例を示す図である。
【図16】この複動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室と排気室とを連通させる微細連通路をスプールに設けるようにした例を示す図である。
【図17】この複動型のパイロットリレーにおいて出力空気圧室を直接大気と連通させる微細連通路をハウジングに設けるようにした例を示す図である。
【図18】この複動型のパイロットリレーにおいて第1の出力空気圧室と第1の排気室との間にバイアス室を設けた例を示す図である。
【図19】この複動型のパイロットリレーにおいて入力空気圧室と第2の出力空気圧室との間にバイアス室を設けるように例を示す図である。
【図20】パイロットリレーを用いたポジショナの要部の構成図である。
【図21】従来の単動型のパイロットリレーの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
〔実施の形態1:単動型〕
図1はこの発明に係るパイロットリレーの一実施の形態の構造を示す図である。このパイロットリレーは単動型である。同図において、1はハウジングであり、ハウジング1内には入力空気圧室2,供給空気圧室3,出力空気圧室4,排気室5およびバイアス室6が設けられている。
【0031】
このハウジング1において、排気室5は、第1のダイアフラム7−1を介して出力空気圧室4と隣接するとともに第2のダイアフラム7−2を介してバイアス室6と隣接している。また、入力空気圧室2は、第3のダイアフラム7−3を介してバイアス室6と隣接している。第1〜第3のダイアフラム7−1〜7−3は、ハウジング1とスプール(移動体)8との間に設けられており、この第1〜第3のダイアフラム7−1〜7−2によってスプール8が矢印A方向およびB方向へ移動可能に支持されている。
【0032】
スプール8は、出力空気圧室4に位置する開口8aと、開口8aを排気室5に連通させる排気通路8bとを有している。ハウジング1には、ハウジング1の外側にその開口部9aが臨む通路9がポペット弁組立体装着部10として設けられている。このポペット弁組立体装着部10には、ハウジング1の外側に臨む通路9の開口部9aから、その通路9の内壁面に沿って、ポペット弁組立体11が摺動可能に装着され、その通路9の底部に残された空間が出力空気圧室4とされている。
【0033】
ポペット弁組立体11は、円筒状のシート部12と、このシート部12がその前面に着脱可能に取り付けられた円柱状のシート保持部13との分割構造とされており 、シート部12とシート保持部13との間に内部空間14が形成されている。シート部12の上面12aには内部空間14と出力空気圧室4とを連通させる連通孔12bが形成されている。このシート部12の上面12aが供給空気圧室3と出力空気圧室4とを画成する隔壁の役割を果たす。
【0034】
シート部12とシート保持部13との間の内部空間14にはバネ15が収容されており、このバネ15に付勢された状態でポペット弁16がシート部12とシート保持部13との間に保持されている。内部空間14は供給空気圧室3と連通している。ポペット弁16は、その先端部に排気弁16aを有し、排気弁16aの後方に給気弁16bを有している。また、ポペット弁16は、その軸心を貫通する貫通孔16cを有している。
【0035】
この保持状態において、ポペット弁16は、シート部12に形成された連通孔12bを貫通して、左右に移動可能にバネ15によって付勢されている。また、給気弁16bが連通孔12bを閉じる方向に付勢され、排気弁16aが連通孔12bから突出している。なお、ポペット弁16の排気弁16aと給気弁16bとの間には、その内部に形成された貫通孔16cに連通する微細連通路(ブリード穴)16dが形成されている。このポペット弁組立体11では、シート部12とシート保持部13との分割構造とされているので、バネ15および第1のポペット弁16の組み込み作業が容易である。
【0036】
ポペット弁組立体11に対しては、このポペット弁組立体11をポペット弁組立体装着部10に装着した後、すなわちハウジング1の外側に臨む開口部9aからポペット弁組立体11を通路9内に押し込んだ後、その通路9の開口部9aにリング状の止板17を取り付けている。すなわち、止板17のリング面をポペット弁組立体11のハウジング1の外側に臨む面(シート保持部13の底面13a)に面接触させ、ポペット弁組立体装着部10におけるポペット弁組立体11の位置を規制している。
【0037】
この単動型のパイロットリレーでは、供給空気圧室3およびバイアス室6にエアー供給管18を通して供給空気圧Psが供給され、入力空気圧室2にノズル背圧導入管19を通して入力空気圧Pnが導かれる。また、出力空気圧室4からエアー出力管20を通して出力空気圧Poがバルブ300に出力される。
【0038】
なお、排気室5は大気と連通しており、ポペット弁組立体11のシート部12およびシート保持部13にはハウジング1との間にOリング21,22が装着されている。また、ポペット弁組立体11において、ポペット弁16とシート保持部13との間にはOリング23が装着されている。このOリング23によって、シート保持部13におけるバネ15が収容された部屋13bは、供給空気圧室2から隔離され、ポペット弁16の貫通孔16cと連通した1つの室とされている。
【0039】
この単動型のパイロットリレーにおいて、入力空気圧Pnを増加させると、ダイアフラム7−1〜7−3が矢印A側に移動し、それに伴って、ダイアフラム7−1〜7−3に支持されているスプール8も矢印A側に移動する。すると、スプール8は、その移動に伴ってポペット弁16をバネ15の付勢力に抗して押し下げ、それに伴って、ポペット弁16の給気弁16bが連通孔12bを開く。この時、スプール8の開口8aは、ポペット弁16の排気16aによって閉じられる。これにより、エアー供給管18を通して供給空気圧室3に供給されたエアーは、連通路12aを通って出力空気圧室4内に導入され、エアー出力管20を通って、バルブ300に供給される。
【0040】
一方、入力空気圧Pnを減少させると、ダイアフラム7−1〜7−3が矢印B側に移動し、それに伴って、ダイアフラム7−1〜7−3に支持されているスプール8も矢印B側に移動する。すると、バネ15の付勢力によってポペット弁16が押し上げられ、それに伴って、ポペット弁16の給気弁16bが連通孔12bを閉じる。この時、スプール8の開口8aは、ポペット弁16の排気弁16aによって開かれる。これにより、出力空気圧室4内のエアが、スプール8の開口8aより排気通路8bに入り、排気室5に排出される。
【0041】
このようにして、入力空気圧室2に導かれる入力空気圧Pnによって、スプール8およびポペット弁16が動作し、その動作によって、増幅された出力空気圧Poがエア出力管20を通してバルブ300へ出力されるものとなる。この場合、入力空気圧Pnの圧力を調整することによって、出力空気圧Poが調整されるものとなる。
【0042】
なお、ポペット弁16に形成されている微細連通路16dは、このポペット弁16の給気弁16bが連通孔12bを閉じようとした場合、出力空気圧室4の空気をポペット弁16に形成されている貫通孔16cを通して、スプール8の排気通路8bへ導き、排気室5に流出させて、またバネ15が収容されているシート保持部13の部屋13bに導いて、ポペット弁16の給気弁16bによる連通孔12bの閉塞(給気ポートのシール)を迅速に行わせる役割を果たす。この微細連通路16d,貫通孔16cおよび部屋13bの役割については後のデッドバンドによる給排気の非線形性の改善の項目でも詳述する。
【0043】
図2にポペット弁16の周辺を拡大して示す。この単動型のパイロットリレーにおいて、ポペット弁16は、給気弁16aに連なる出力空気圧室4側の外周面16eをポペット弁16の移動を案内するガイド部として有している。また、ダイアフラム7−1の有効径をφD0、連通孔12bの径をφD1、スプール8の開口8aの径をφD2、ガイド部16eの径をφD3とし、ダイアフラム7−1の有効面積をA0、連通孔12bの断面積をA1、スプール8の開口8aの断面積をA2、ガイド部16eの断面積をA3とした場合、これらの面積A0,A1,A2,A3の関係がA0>A1>A2>A3とされている。
【0044】
また、ポペット弁16の給気弁16bによって開閉される連通孔12bの径φD1が大きくされ、この連通孔12bの径φD1とダイアフラム7−1の有効径φD0との差が小さくされている。これにより、ダイアフラム7−1の有効面積A0と連通孔12bの断面積A1との差が小さくされ、G=An/Aoで表されるパイロットリレーのゲインを示す式において、出力空気圧Poを受ける有効面積Aoが小さくなり、入力空気圧Pnを受ける有効面積Anを変えないまま、高ゲイン化が図られるものとなる。
【0045】
図3にポペット弁周辺の構造を本出願人が現在採用している構造(従来の構造)と対比して示す。図3(a)が従来の構造であり、この従来の構造において、ポペット弁16’で開閉される連通孔12b’の径φD1’は図3(b)に示される本実施の形態の構造(本願の構造)における連通孔12bの径φD1よりもかなり小さい(φD1>φD1’)。例えば、φD0が12mm程度であるのに対し、本願の構造における連通孔12bの径φD1が8mm程度であり、従来の構造における連通孔12b’の径φD1’は4mm程度である。
【0046】
ここで、出力空気圧Poを受ける受圧面積は、本願の構造ではAo=A0−A1=(π/4)・(D02−D12)と表され、従来の構造ではAo’=A0−A1’=(π/4)・(D02−D1’2)と表される。そして、入力空気圧室2の受圧面積Anが同じならば、ゲインはそれぞれ、本願の構造ではG=An/Aoと表され、従来の構造ではG’=An/Ao’となり、Ao<Ao’なので、G>G’となる。したがって、従来の構造と比較し、本願の構造の方が高ゲインとなる。
【0047】
また、本願の構造では、連通孔12bの径φD1(断面積A1)とスプール8の開口8aの径φD2(断面積A2)との関係がφD1>φD2(A1>A2)とされている。この場合、連通孔12bの径φD1(給気ポート径)とスプール8の開口8aの径φD2(排気ポート径)とをなるべく近くなるようにすると、給排気時にポペット弁16が暴れずに安定し易くなる。
【0048】
また、本願の構造では、スプール8の開口8aの径φD2(断面積A2)とガイド部16eの径φD3(断面積A3)との関係がφD2>φD3(A2>A3)とされている。これにより、出力空気圧Poが供給空気圧Psとなった場合でも、給気ポートのセルフシールを確保することが可能となる。
【0049】
〔給気ポートをセルフシールするための条件〕
図2は排気モード時のポペット弁近傍の様子を示している。このときポペット弁16にかかる力を以下に示す。
(1)ポペット弁排気側周辺(Po):F1=(π/4)・(D22−D42)・Po
(2)ポペット弁給気側周辺(Po):F2=−(π/4)・(D12−D42)・Po
(3)ポペット弁給気側周辺(Ps):F3=(π/4)・(D12−D32)・Ps
(4)ポペット弁保持用バネ力:f
以上より、給気ポートをセルフシールするための条件は、
F=F1+F2+F3+f=(π/4)・(D22−D12)・Po+(π/4)・(D12−D32)・Ps+f>0 ・・・・(1)
と表される。
この(1)式において、最も厳しくなる条件は、Po=Psのときである。これを考慮すると、上記(1)式は下記(2)式で表される。
F=(π/4)・(D22−D32)・Ps+f>0 ・・・・(2)
この(2)式を満たすことが給気ポートをセルフシールするための条件となる。
【0050】
したがって、φD2>φD3(A2>A3)とし、上記(2)式において、(π/4)・(D22−D32)・Psの項を大きくすることによって、出力空気圧Poが供給空気圧Psとなった場合でも、給気ポートのセルフシールを確保することが可能となる。
【0051】
また、この単動型のパイロットリレーでは、図1に示されるように、出力空気圧室4が第1のダイアフラム7−1を介して排気室5と隣接し、排気室5が第2のダイアフラム7−2を介してバイアス室6と隣接し、バイアス室6が第3のダイアフラム7−3を介して入力空気圧室2と隣接している。
【0052】
このような各室の配置から分かるように、この単動型のパイロットリレーでは、入力空気圧室2と出力空気圧室4との間にバイアス室6と排気室5が設けられており、入力空気圧室2と出力空気圧室4とが隣接しておらず、ダイアフラム7−1〜7−3の中に圧力の正負の変化が激しいダイアフラムはない。このため、入力空気圧室2と出力空気圧室4とを隣接させ、その間にダイアフラムを設けるような構造と比較して、ダイアフラムの耐久性が向上する。
【0053】
なお、この実施の形態では、ポペット弁16に微細連通路16dを設けるようにしたが、図4に示すように、ハウジング1に微細連通路1aを形成し、出力空気圧室4と排気室5とを連通させるようにしてもよい。また、図5に示すように、スプール8に微細連通路8cを形成し、出力空気圧室4と排気室5とを排気通路8bを介して連通させるようにしてもよい。また、図6に示すように、ハウジング1に、出力空気圧室4を大気と直接連通させる微細連通路1bを形成するようにしてもよい。本実施の形態では、ポペット弁16に微細連通路16dを設けているので、ハウジング1やスプール8には手を加えなくてもよく、微細連通路16dのメンテナンスも容易となる。
【0054】
また、この実施の形態では、バイアス室6を入力空気圧室2と排気室5との間に設けたが、出力空気圧室4と排気室5との間にバイアス室6を設けるようにしてもよい。図7に出力空気圧室4と排気室5との間にバイアス室6を設けるようにした例を示す。この例では、バイアス室6を、第1のダイアフラム7−1を介して出力空気圧室4と隣接させるとともに第2のダイアフラム7−2を介し排気室5と隣接させている。また、入力空気圧室2を、第3のダイアフラム9−3を介して排気室5と隣接させている。なお、この場合、スプール8における排気通路8bは、スプール8の奥の方まで延ばして、バイアス室6の後方に位置する排気室5に開口させている。
【0055】
〔デッドバンドによる給排気の非線形性の改善〕
この実施の形態において、ポペット弁16に形成されている微細連通路16dは、給気ポートの閉塞を迅速に行わせる役割を果たす。ポペット弁16の給気弁16bにはその構造上、供給空気圧Psと出力空気圧Poとの差圧と給気ポート径で決まる力が作用しており、この力が入力空気圧Pnの変化に対して給排気が切り替わらないデッドバンドの要因となる。このデッドバンドによる給排気の非線形性を改善させるために、ポペット弁16に微細連通路16dを形成し、出力空気圧Poを大気に逃がすようにしている訳である。
【0056】
供給空気圧Psによりポペット弁16に掛かる力Fvは、パイロットリレーのデッドバンド(不感帯)に影響を与える。また、排気動作後、圧力バランスによりポペット弁16が整定するには、微細連通路16dによる出力空気圧Poの減圧分ΔPoと力Fvとが釣り合う必要がある。
【0057】
すなわち、ポペット弁16により給気ポートを閉める力を確保しつつ、できるだけFvを小さくすることができれば、デッドバンドを減らし、かつΔPoを小さくすることができる。つまりは、より短い時間でポペット弁16を整定せることができる。
【0058】
このために、本実施の形態では、ポペット弁16の給気弁側に供給空気圧Psをキャンセルさせるための部屋13bを設け、Oリング23でシールし、この部屋13bをポペット弁16の軸心に貫通して設けた貫通孔16cを介して大気圧に逃がしている。そして、実際には、給気弁16bには締め切り力が必要なため、ある程度の差圧が掛かるようにしたり、バネ15のわずかな付勢力で保持させたりしている。このような構成によって、ポペット弁16に作用する力Fvを大幅に低減させ、それによりデッドバンドを低減させ、かつΔPoを小さくさせている。
【0059】
図8を用いてポペット弁16の整定時間について説明する。供給空気圧Psをキャンセルさせるための部屋13bを設けない場合(従来の構造)、図示点線で示す特性IのようにΔPoが大きくなり、ポペット弁16が整定するまでの時間T(TA)が長くなる。これに対して、供給空気圧Psをキャンセルさせるための部屋13bを設けると(本願の構造)、図示実線で示す特性IIのようにΔPoが小さくなり、ポペット弁16が整定するまでの時間T(TB)が短くなる。
【0060】
なお、この場合の従来の構造とは、図3において微細連通路(ブリード穴)を例えばスプール8などに設けた構造とし、従来の構造と本願の構造とはブリード穴の穴径が同じであるものとする。このような比較から、本願の構造とすることにより、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定が早められることが分かる。
【0061】
ここで、整定するまでの時間Tとして同じ時間が許容されるものとすると(TA=TB)、本願の構造において、微細連通路(ブリード穴)16dの穴径をより小さくすることが可能となる(図9に示す特性III参照)。この場合、微細連通路16dの穴径の低減量は、そのままパイロットリレーの定常空気消費量の低減量となる。例えば、微細連通路16dの穴径を0.2〜0.25mmとすると、パイロットリレーの定常空気消費量を30〜50%低減させることが可能となる。
【0062】
この例では、従来の構造と本願の構造とで整定時間Tを同じとして比較したが、逆に、ブリード量を小さくしても、出力空気圧の整定を早めることが可能である。すなわち、本願の構造とすることにより、微細連通路16dの穴径を小さくして、定常消費空気量を減少させることが可能となる。
【0063】
なお、図10に示すように、ポペット弁16に出力空気圧室4とバネ15が収容されている部屋13bとを連通させる連通路を設けるようにしてもよい。この例では、ポペット弁16に出力空気圧室4に開口する微細連通路16gを設け、またポペット弁16にバネ15が収容されている部屋13b側に開口する非貫通孔16hを設け、この非貫通孔16hと微細連通路16gとを連通させることで連通路を形成している。
【0064】
この場合、バネ15が収容された部屋13bは大気圧となることから、ポペット弁16により給気ポートを閉める力を確保しつつ、供給空気圧によりポペット弁16に掛かる力が大幅に低減されるものとなる。これにより、デッドバンドを減らし、かつ微細連通路16gによる出力空気圧の減圧分ΔPoを小さくし、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能となる。また、微細連通路16gの穴径を小さくして、定常消費空気量を減少させることが可能となる。
【0065】
また、図11に示すように、ポペット弁16に出力空気圧室4と排気室5とを連通させる連通路を設けるようにしてもよい。この例では、ポペット弁16に出力空気圧室4に開口する微細連通路16dを設け、またポペット弁16に排気室5に開口する非貫通孔16fを設け、この非貫通孔16fと微細連通路16dとを連通させることで連通路を形成している。
【0066】
この場合、排気室5は大気圧となることから、ポペット弁16により給気ポートを閉める力を確保しつつ、供給空気圧によりポペット弁16に掛かる力が大幅に低減されるものとなる。これにより、デッドバンドを減らし、かつ微細連通路16dによる出力空気圧の減圧分ΔPoを小さくし、ブリード量を大きくすることなく、出力空気圧の整定を早めることが可能となる。また、微細連通路16dの穴径を小さくして、定常消費空気量を減少させることが可能となる。
【0067】
〔実施の形態2:複動型〕
図12はこの発明に係るパイロットリレーの他の実施の形態の構造を示す図である。このパイロットリレーは複動型である。同図において、51はハウジングであり、ハウジング51内には入力空気圧室52,第1の供給空気圧室53,第2の供給空気圧室54,第1の出力空気圧室55,第2の出力空気圧室56,第1の排気室57−1,第2の排気室57−2およびバイアス室58が形成されている。
【0068】
このハウジング51において、第1の排気室57−1は、第1のダイアフラム59−1を介して第1の出力空気圧室55と隣接するとともに第2のダイアフラム59−2を介してバイアス室58と隣接している。また、入力空気圧室52は、第3のダイアフラム59−3を介してバイアス室58と隣接するとともに第4のダイアフラム59−4を介して第2の排気室57−2と隣接している。また、第2の排気室57−2は、第5のダイアフラム59−5を介して第2の出力空気圧室56と隣接している。第1〜第5のダイアフラム59−1〜59−5は、ハウジング51とスプール(移動体)60との間に設けられており、この第1〜第5のダイアフラム59−1〜59−5によってスプール60が矢印A方向およびB方向へ移動可能に支持されている。
【0069】
スプール60は、第1の出力空気圧室55に位置する第1の開口60aと、第2の出力空気圧室56に位置する第2の開口60bと、第1の開口60aを第1の排気室57−1に連通させる第1の排気通路60c1と、第2開口60bを第2の排気室57−2に連通させる第2の排気通路60c2とを有している。スプール60において、第1の排気通路60c1と第2の排気通路60c2とは、非通路部分60dによって分断されている。
【0070】
また、ハウジング51の一方側の端部には、ハウジング51の外側にその開口部61aが臨む通路61が第1のポペット弁組立体装着部62として設けられており、ハウジング51の他方側の端部には、ハウジング51の外側にその開口部63aが臨む通路63が第2のポペット弁組立体装着部64として設けられている。
【0071】
第1のポペット弁組立体装着部62には、ハウジング51の外側に臨む通路61の開口部61aから、その通路61の内壁面に沿って、第1のポペット弁組立体65が摺動可能に装着され、その通路61の底部に残された空間が第1の出力空気圧室55とされている。また、第2のポペット弁組立体装着部64には、ハウジング51の外側に臨む通路63の開口部63aから、その通路63の内壁面に沿って、第2のポペット弁組立体66が摺動可能に装着され、その通路63の底部に残された空間が第2の出力空気圧室56とされている。
【0072】
第1のポペット弁組立体65は、円筒状のシート部67と、このシート部67がその前面に着脱可能に取り付けられた円柱状のシート保持部68との分割構造とされており 、シート部67とシート保持部68との間に内部空間69が形成されている。シート部67の上面67aには内部空間69と第1の出力空気圧室55とを連通させる第1の連通孔67bが形成されている。このシート67の上面67aが第1の供給空気圧室53と第1の出力空気圧室55とを画成する第1の隔壁の役割を果たす。
【0073】
シート部67とシート保持部68との間の内部空間69には第1のバネ70が収容されており、この第1のバネ70に付勢された状態で第1のポペット弁71がシート部67とシート保持部68との間に保持されている。内部空間69は第1の供給空気圧室53と連通している。第1のポペット弁71は、その先端部に排気弁71aを有し、排気弁71aの後方に給気弁71bを有している。また、第1のポペット弁71は、その軸心を貫通する貫通孔71cを有している。
【0074】
この保持状態において、第1のポペット弁71は、シート部67に形成された第1の連通孔67bを貫通して、左右に移動可能に第1のバネ70によって付勢されている。また、給気弁71bが第1の貫通孔67bを閉じる方向に付勢され、排気弁71aが第1の貫通孔67bから突出している。なお、第1のポペット弁71の排気弁71aと給気弁71bとの間には、その内部に形成された貫通孔71cに連通する微細連通路71dが形成されている。
【0075】
第2のポペット弁組立体66も第1のポペット弁組立体65と同様の構成とされている。すなわち、第2のポペット弁組立体66は、円筒状のシート部72と、このシート部72がその前面に着脱可能に取り付けられた円柱状のシート保持部73との分割構造とされており、シート部72とシート保持部73との間に内部空間74が形成されている。シート部72の上面72aには内部空間74と第2の出力空気圧室56とを連通させる第2の連通孔72bが形成されている。このシート72の上面72aが第2の供給空気圧室54と第2の出力空気圧室56とを画成する第2の隔壁の役割を果たす。
【0076】
シート部72とシート保持部73との間の内部空間74には第2のバネ75が収容されており、この第2のバネ75に付勢された状態で第2のポペット弁76がシート部72とシート保持部73との間に保持されている。内部空間74は第2の供給空気圧室54と連通している。第2のポペット弁76は、その先端部に排気弁76aを有し、排気弁76aの後方に給気弁76bを有している。また、第2のポペット弁76は、その軸心を貫通する貫通孔76cを有している。
【0077】
この保持状態において、第2のポペット弁76は、シート部72に形成された第2の連通孔72bを貫通して、左右に移動可能に第2のバネ75によって付勢されている。また、給気弁76bが第2の貫通孔72bを閉じる方向に付勢され、排気弁76aが第2の貫通孔72bから突出している。なお、第2のポペット弁76の排気弁76aと給気弁76bとの間には、その内部に形成された貫通孔76cに連通する微細連通路76dが形成されている。
【0078】
第1のポペット弁組立体65に対しては、この第1のポペット弁組立体65を第1のポペット弁組立体装着部62に装着した後、その通路61の開口部61aにリング状の止板77を取り付けている。すなわち、止板77のリング面を第1のポペット弁組立体65のハウジング51の外側に臨む面(シート保持部68の底面68a)に面接触させ、第1のポペット弁組立体装着部62における第1のポペット弁組立体65の位置を規制している。
【0079】
第2のポペット弁組立体66に対しても同様に、この第2のポペット弁組立体66を第2のポペット弁組立体装着部64に装着した後、その通路63の開口部63aにリング状の止板78を取り付けている。すなわち、止板78のリング面を第2のポペット弁組立体66のハウジング51の外側に臨む面(シート保持部73の底面73a)に面接触させ、第2のポペット弁組立体装着部64における第2のポペット弁組立体66の位置を規制している。
【0080】
この複動型のパイロットリレーでは、第1の供給空気圧室53,第2の供給空気圧室54およびバイアス室58にエアー供給管79を通して供給空気圧Psが供給され、入力空気圧室52にノズル背圧導入管80を通して入力空気圧Pnが導かれる。また、第1の出力空気圧室55から第1のエアー出力管81を通して出力空気圧Po1がバルブ300に出力され、第2の出力空気圧室56から第2のエアー出力管82を通して出力空気圧Po2がバルブ300に出力される。
【0081】
なお、第1の排気室57−1および第2の排気室57−2は大気と連通しており、第1のポペット弁組立体65のシート部67およびシート保持部68にはハウジング51との間にOリング83,84が装着されている。また、第2のポペット弁組立体66のシート部72およびシート保持部73にもハウジング51との間にOリング85,86が装着されている。また、第1のポペット弁組立体65において、第1のポペット弁71とシート保持部68との間にOリング87が装着されており、第2のポペット弁組立体66において、第2のポペット弁76とシート保持部73との間にOリング88が装着されている。
【0082】
この複動型のパイロットリレーにおいて、入力空気圧Pnを増加させると、ダイアフラム59−1〜59−5が矢印A側に移動し、それに伴って、ダイアフラム59−1〜59−5に支持されているスプール60も矢印A側に移動する。すると、スプール60は、その移動に伴って第1のポペット弁71を第1のバネ70の付勢力に抗して押し下げ、それに伴って、第1のポペット弁71の給気弁71bが第1の連通孔67bを開く。この時、スプール60の第1の開口60aは、第1のポペット弁71の排気弁71aによって閉じられる。一方、第2のポペット弁76は、第2のバネ75の付勢力によって押し上げられ、それに伴って、第2のポペット弁76の給気弁76bが第2の連通孔72bを閉じる。この時、スプール60の第2の開口60bは、第2のポペット弁76の排気弁76aによって開かれる。
【0083】
これにより、エアー供給管79を通して第1の供給空気圧室3に供給されたエアーは、第1のポペット弁組立体65の内部空間69に入り、第1の連通孔67bを通って第1の出力空気圧室55内に導入された後に、第1のエアー出力管81を通ってバルブ300に供給される。一方、バルブ300からのエアーは、第2のエアー出力管82を通って第2の出力空気圧室56内に戻った後、スプール60の第2の開口60bより排気通路60cに入り、排気室57に排出される。
【0084】
一方、入力空気圧Pnを減少させると、ダイアフラム59−1〜59−5が矢印B側に移動し、それに伴って、ダイアフラム59−1〜59−5に支持されているスプール60も矢印B側に移動する。すると、スプール60は、その移動に伴って第2のポペット弁76を第2のバネ75の付勢力に抗して押し下げ、それに伴って、第2のポペット弁76の給気弁76bが第2の連通孔72bを開く。この時、スプール60の第2の開口60bは、第2のポペット弁76の排気弁76aによって閉じられる。一方、第1のポペット弁71は、第1のバネ70の付勢力によって押し上げられ、それに伴って、第1のポペット弁71の給気弁71bが第1の連通孔67bを閉じる。この時、スプール60の第1の開口60aは、第1のポペット弁71の排気弁71aによって開かれる。
【0085】
これにより、エアー供給管79を介して第2の供給空気圧室4に供給されたエアーは、第2のポペット弁組立体66の内部空間74に入り、第2の連通路72bを通って第2の出力空気圧室56内に導入された後に、第2のエアー出力管82を通ってバルブ300に供給される。一方、バルブ300からのエアーは、第1のエアー出力管81を通って第1の出力空気圧室5内に戻った後、スプール60の第1の開口60aより排気通路60cに入り、排気室57に排出される。
【0086】
このようにして、入力空気圧室2に導かれる入力空気圧Pnによって、スプール60および一対のポペット弁71,76が動作し、その動作によって、増幅された出力空気圧Po1およびPo2がエア出力管81および82を通してバルブ300へ出力されるものとなる。この場合、入力空気圧Pnの増加方向の圧力を調整することによって、バルブ300を正動作させる場合の出力空気圧Po1が調整されるものとなり、入力空気圧Pnの減少方向の圧力を調整することによって、バルブ300を逆動作させる場合の出力空気圧Po2が調整されるものとなる。
【0087】
なお、第1のポペット弁71に形成されている微細連通路71dは、この第1のポペット弁71の給気弁71bが第1の連通孔67bを閉じようとした場合、第1の出力空気圧室55の空気を第1のポペット弁71に形成されている貫通孔71cを通して、スプール60の第1の排気通路60c1へ導き、第1の排気室57−1に流出させて、また第1のバネ70が収容されているシート保持部68の部屋68bに導いて、第1のポペット弁71にさらに付勢力を加えて、第1のポペット弁71の給気弁71bによる第1の連通孔67bの閉塞を迅速に行わせる役割を果たす。
【0088】
また、第2のポペット弁76に形成されている微細連通路76dは、この第2のポペット弁76の給気弁76bが第2の連通孔72bを閉じようとした場合、第2の出力空気圧室56の空気を第2のポペット弁76に形成されている貫通孔76cを通して、スプール60の第2の排気通路60c2へ導き、第2の排気室57−2に流出させて、また第2のバネ75が収容されているシート保持部73の部屋73bに導いて、第2のポペット弁76にさらに付勢力を加えて、第2のポペット弁76の給気弁76bによる第2の連通孔72bの閉塞を迅速に行わせる役割を果たす。
【0089】
この複動型のパイロットリレーにおいて、第1のポペット弁71は、給気弁71aに連なる出力空気圧室55側の外周面71eをポペット弁71の移動を案内するガイド部として有している(図13参照)。また、ダイアフラム59−1の有効径をφD01、第1の連通孔67bの径をφD11、スプール60の第1の開口60aの径をφD21、ガイド部71eの径をφD31とし、ダイアフラム59−1の有効面積をA01、第1の連通孔67bの断面積をA11、スプール60の第1の開口60aの断面積をA21、ガイド部71eの断面積をA31とした場合、これらの面積A01,A11,A21,A31の関係がA01>A11>A21>A31とされている。また、第1のポペット弁71の給気弁71bによって開閉される第1の連通孔67bの径φD11が大きくされ、この第1の連通孔67bの径φD11とダイアフラム59−1の有効径φD01との差が小さくされている。
【0090】
また、第2のポペット弁76は、給気弁76aに連なる出力空気圧室55側の外周面76eを当該ポペット弁の移動を案内するガイド部として有している(図14参照)。また、ダイアフラム59−5の有効径をφD02、第2の連通孔72bの径をφD12、スプール60の第2の開口60bの径をφD22、ガイド部76eの径をφD32とし、ダイアフラム59−5の有効面積をA02、第2の連通孔72bの断面積をA12、スプール60の第2の開口60bの断面積をA22、ガイド部76eの断面積をA32とした場合、これらの面積A02,A12,A22,A32の関係がA02>A12>A22>A32とされている。また、第2のポペット弁76の給気弁76bによって開閉される第2の連通孔72bの径φD12が大きくされ、この第2の連通孔72bの径φD12とダイアフラム59−5の有効径φD02の差が小さくされている。
【0091】
これにより、ダイアフラム59−1の有効面積A01と第1の連通孔67bの断面積A11との差が小さくされ、またダイアフラム59−5の有効面積A02と第2の連通孔72bの断面積A12との差が小さくされ、G=An/Aoで表されるパイロットリレーのゲインを示す式において、出力空気圧Po(Po1,Po2)を受ける有効面積Ao(Ao1,Ao2)が小さくなり、入力空気圧Pnを受ける有効面積Anを変えないまま、高ゲイン化が図られるものとなる。
【0092】
また、この実施の形態2の構造では、第1の連通孔67bの径φD11(断面積A11)とスプール60の第1の開口60aの径φD21(断面積A21)との関係がφD11>φD21(A11>A21)とされている。この場合、第1の連通孔67bの径φD11(給気ポート径)とスプール60の第1の開口60aの径φD21(排気ポート径)とをなるべく近くなるようにすると、給排気時に第1のポペット弁71が暴れずに安定し易くなる。
【0093】
また、この実施の形態2の構造では、第2の連通孔72bの径φD12(断面積A12)とスプール60の第2の開口60bの径φD22(断面積A22)との関係がφD12>φD22(A12>A22)とされている。この場合、第2の連通孔72bの径φD12(給気ポート径)とスプール60の第2の開口60bの径φD22(排気ポート径)とをなるべく近くなるようにすると、給排気時に第2のポペット弁71が暴れずに安定し易くなる。
【0094】
また、この実施の形態2の構造では、スプール60の第1の開口60aの径φD21(断面積A21)とガイド部71eの径φD31(断面積A31)との関係がφD21>φD31(A21>A31)とされている。これにより、出力空気圧Po1が供給空気圧Psとなった場合でも、給気ポートのセルフシールを確保することが可能となる。また、スプール60の第2の開口60bの径φD22(断面積A22)とガイド部76eの径φD32(断面積A32)との関係がφD22>φD32(A22>A32)とされている。これにより、出力空気圧Po2が供給空気圧Psとなった場合でも、給気ポートのセルフシールを確保することが可能となる。
【0095】
また、この複動型のパイロットリレーでは、図12に示されるようにスプール60に、第1の出力空気圧室55に位置する第1の開口60aを第1の排気室59−1に連通させる第1の排気通路60c1と、第2の出力空気圧室56に位置する第2の開口60bを第2の排気室57−2に連通させる第2の排気通路60c2とが設けられ、第1の排気通路60c1と第2の排気通路60c2とが非通路部分60dによって分断されている。この構造において、スプール60は、非通路部分60dで上下あるいは左右に分割することが可能であり、ネジ止めなどの簡易な方法でスプール60を組み立てるようにして、生産性を向上させることができる。
【0096】
また、この複動型のパイロットリレーでは、第1の出力空気圧室55が第1のダイアフラム59−1を介して第1の排気室57−1と隣接し、第1の排気室57−1が第2のダイアフラム59−2を介してバイアス室58と隣接している。また、入力空気圧室52が第3のダイアフラム59−3を介してバイアス室58と隣接し、第2の出力空気圧室56が第5のダイアフラム59−5を介して第2の排気室57−2と隣接している。
【0097】
このような各室の配置から分かるように、このパイロットリレーでは、入力空気圧室52と第1の出力空気圧室55との間にバイアス室58と第1の排気室59−1が設けられており、入力空気圧室52と第2の出力空気圧室56との間に第2の排気室59−2が設けられており、入力空気圧室52は第1の出力空気圧室55にも第2の出力空気圧室56にも隣接していないので、ダイアフラム59−1〜59−5の中に圧力の正負の変化が激しいダイアフラムはない。このため、入力空気圧室52と出力空気圧室55,56とを隣接させ、その間にダイアフラムを設けるような構造と比較して、ダイアフラムの耐久性が向上する。
【0098】
なお、この実施の形態2では、第1のポペット弁71に微細連通路71dを、第2のポペット弁76に微細連通路76dを設けるようにしたが、図15に示すように、ハウジング51に微細連通路51a,51bを形成し、第1の出力空気圧室55と第1の排気室57−1とを微細連通路51aを通して、また第2の出力空気圧室56と第1の排気室57−2とを微細連通路51bを通して、連通させるようにしてもよい。また、図16に示すように、スプール60に微細連通路60e,60fを形成し、第1の出力空気圧室55と第1の排気室57−1とを微細連通路60eを通して、第2の出力空気圧室56と第2の排気室57−2とを微細連通路60fを通して、連通させるようにしてもよい。また、図17に示すように、ハウジング1に、微細連通路51c,51dを形成し、第1の出力空気圧室55を微細連通路51bを通して、第2の出力空気圧室56を微細連通路51cを通して、直接大気と連通させるようにしてもよい。
【0099】
また、この実施の形態2では、バイアス室58を入力空気圧室52と第1の排気室57−1との間に設けたが、第1の出力空気圧室55と第1の排気室57−1との間にバイアス室58を設けるようにしてもよい。
【0100】
図18に第1の出力空気圧室55と第1の排気室57−1との間にバイアス室58を設けた例を示す。この例では、バイアス室58を、第1のダイアフラム59−1を介して第1の出力空気圧室55と隣接させるとともに第2のダイアフラム59−2を介して第1の排気室57−1と隣接させている。また、入力空気圧室52を、第3のダイアフラム59−3を介して第1の排気室57−1と隣接させるとともに第4のダイアフラム59−4を介して第2の排気室57−2と隣接させている。また、第2の排気室57−2を、第5のダイアフラム59−5を介して第2の出力空気圧室56と隣接させている。
【0101】
この構造でも、スプール60に、第1の開口60aを第1の排気室57−1に連通させる第1の排気通路60c1と、第2の開口60bを第2の排気室57−2に連通させる第2の排気通路60c2とが設けられ、第1の排気通路60c1と第2の排気通路60c2とが非通路部分60dによって分断されている。
【0102】
この構造において、第1の排気通路60c1はスプール60の中央部分で第1の排気室57−1に開口するが、スプール60を非通路部分60dで上下あるいは左右に分割することが可能であり、ネジ止めなどの簡易な方法でスプール60を組み立てるようにして、生産性を向上させることができる。
【0103】
また、この構造においても、入力空気圧室52は第1の出力空気圧室55にも第2の出力空気圧室56にも隣接していないので、入力空気圧室52と出力空気圧室55,56との間を仕切るダイアフラムは存在せず、ダイアフラムの耐久性が向上する。
【0104】
また、図19に示すように、スプール60に第1の開口60aと第2の開口60bとを結ぶ貫通孔を排気通路60cとして設け、入力空気圧室52と第2の出力空気圧室56との間に第2の排気室57−2に代えてバイアス室89を設け、第1の排気室57−1を1つの排気室57とし、スプール60の第1の開口60aおよび第2の開口60bから引き込まれる空気を排気室57へ排出するようにしてもよい。
【0105】
また、上述した実施の形態1,2では、φD0を12mm程度、φD1を8mm程度としたが、これはあくまでも一例であり、φD0とφD1との差すなわちA0とA1との差が従来の構造のものよりも小さければよく、A0とA1との比率(2.5以下ぐらい)などによってその差を小さくしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明のパイロットリレーは、入力空気圧信号を増幅する圧力信号増幅器として、空気作動型の調節弁の開度制御を行うポジショナなどに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0107】
1…ハウジング、1a,1b…微細連通路、2…入力空気圧室、3…供給空気圧室、4…出力空気圧室、5…排気室、6…バイアス室、7−1…第1のダイアフラム、7−2…第2のダイアフラム、7−3…第3のダイアフラム、8…スプール(移動体)、8a…開口、8b…排気通路、8c…微細連通路、9…通路、9a…開口部、10…ポペット弁組立体装着部、11…ポペット弁組立体、12…シート部、12a…上面、12b…連通路、13…シート保持部、13a…底面、13b…部屋、13c…連通路、14…内部空間、15…バネ、16…ポペット弁、16a…排気弁、16b…給気弁、16c…貫通路、16d…微細連通路、16e…外周面(ガイド部)、16f…非貫通孔、16g…微細連通路、16h…非貫通孔、17…止板、18…エア供給管、19…ノズル背圧導入管、20…エア出力管、21〜23…Oリング、51…ハウジング、51a,51b,51c,51d…微細連通路、52…入力空気圧室、53…第1の供給空気圧室、54…第2の供給空気圧室、55…第1の出力空気圧室、56…第2の出力空気圧室、57−1…第1の排気室、57−2…第2の排気室、57…排気室、58…バイアス室、59−1…第1のダイアフラム、59−2…第2のダイアフラム、59−3…第3のダイアフラム、59−4…第4のダイアフラム、59−5…第5のダイアフラム、60…スプール(移動体)、60a…第1の開口、60b…第2の開口、60c1…第1の排気通路、60c2…第2の排気通路、60c…排気通路、60d…非通路部分、61…通路、61a…開口部、62…第1のポペット弁組立体装着部、63…通路、63a…開口部、64…第2のポペット弁組立体装着部、65…第1のポペット弁組立体、66…第2のポペット弁組立体、67…シート部、67a…上面、67b…第1の連通路、68…シート保持部、68a…底面、68b…底面、69…内部空間、70…第1のバネ、71…第1のポペット弁、71a…排気弁、71b…給気弁、71c…貫通路、71d…微細連通路、71e…外周面(ガイド部)、72…シート部、72a…上面、72b…第2の連通路、73…シート保持部、73a…底面、74…内部空間、25…第2のバネ、26…第2のポペット弁、26a…排気弁、26b…給気弁、76c…貫通路、76d…微細連通路、76e…外周面(ガイド部)、77,78…止板、79…エア供給管、80…ノズル背圧導入管、81…第1のエア出力管、82…第2のエア出力管、83〜88…Oリング、89…バイアス室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に形成された入力空気圧室,供給空気圧室,出力空気圧室および排気室と、
前記入力空気圧室に導かれる入力空気圧によって変位するダイアフラムと、
前記出力空気圧室に位置する開口と,この開口を前記排気室に連通させる排気通路とを有し、前記ダイアフラムに支持されて前記ハウジング内を移動する移動体と、
前記供給空気圧室と前記出力空気圧室とを画成する隔壁に形成された連通孔を貫通して移動可能に設けられ、前記移動体の開口を開閉する排気弁および前記連通孔を開閉する給気弁とを一体的に有するポペット弁と、
前記ポペット弁を前記給気弁が前記連通孔を閉じる方向に付勢するバネ部材とを備えたパイロットリレーであって、
前記バネ部材を収容する空間および前記隔壁を有し、前記隔壁に形成されている前記連通孔から前記排気弁を突出させた状態で前記ポペット弁および前記バネ部材を保持するポペット弁組立体を備え、
前記ポペット弁は、大気と連通した前記バネ部材が収容された空間および前記排気室の何れか一方と連通する連通路と、この連通路と前記出力空気圧室とを連通させる微細連通路と備えている
ことを特徴とするパイロットリレー。
【請求項2】
ハウジング内に形成された入力空気圧室,第1の供給空気圧室,第2の供給空気圧室,第1の出力空気圧室,第2の出力空気圧室,第1の排気室および第2の排気室と、
前記入力空気圧室に導かれる入力空気圧によって変位するダイアフラムと、
前記第1の出力空気圧室に位置する第1の開口と,前記第2の出力空気圧室に位置する第2の開口と,前記第1の開口を前記第1の排気室に連通させる第1の排気通路と,前記第2の開口を前記第2の排気室に連通させる第2の排気通路とを有し、前記ダイアフラムに支持されて前記ハウジング内を移動する移動体と、
前記第1の供給空気圧室と前記第1の出力空気圧室とを画成する第1の隔壁に形成された第1の連通孔を貫通して移動可能に設けられ、前記移動体の第1の開口を開閉する第1の排気弁および前記第1の連通孔を開閉する第1の給気弁とを一体的に有する第1のポペット弁と、
前記第2の供給空気圧室と前記第2の出力空気圧室とを画成する第2の隔壁に形成された第2の連通孔を貫通して移動可能に設けられ、前記移動体の第2の開口を開閉する第2の排気弁および前記第2の連通孔を開閉する第2の給気弁とを一体的に有する第2のポペット弁と、
前記第1のポペット弁を前記第1の給気弁が前記第1の連通孔を閉じる方向に付勢する第1のバネ部材と、
前記第2のポペット弁を前記第2の給気弁が前記第2の連通孔を閉じる方向に付勢する第2のバネ部材とを備えたパイロットリレーであって、
前記第1のバネ部材を収容する空間および前記第1の隔壁を有し、前記第1の隔壁に形成されている前記第1の連通孔から前記第1の排気弁を突出させた状態で前記第1のポペット弁および前記第1のバネ部材を保持する第1のポペット弁組立体と、
前記第2のバネ部材を収容する空間および前記第2の隔壁を有し、前記第2の隔壁に形成されている前記第2の連通孔から前記第2の排気弁を突出させた状態で前記第2のポペット弁および前記第2のバネ部材を保持する第2のポペット弁組立体とを備え、
前記第1のポペット弁は、大気と連通した前記第1のバネ部材が収容された空間および前記第1の排気室の何れか一方と連通する第1の連通路と、この第1の連通路と前記第1の出力空気圧室とを連通させる第1の微細連通路を備え、
前記第2のポペット弁は、大気と連通した前記第2のバネ部材が収容された空間および前記第1の排気室の何れか一方と連通する第2の連通路と、この第2の連通路と前記第2の出力空気圧室とを連通させる第2の微細連通路を備えている
ことを特徴とするパイロットリレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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