説明

パケット交換機時刻同期方法及び装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、パケット交換処理装置及び方法に関し、特に課金及び統計情報収集時に、マスタ時計から時刻を含む情報を同報通信して同期をとるパケット交換機時刻同期方法及び装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来のパケット交換機は、第2図で示す様に、パケットの呼処理を行うパケット呼制御装置12と、パケット呼制御装置12と呼接続後のデータパケットの転送制御を行う複数のパケットデータ制御装置16とから成っていた。そしてパケット呼制御装置12と複数のパケットデータ制御装置16とは、データ通信及び制御オーダ用バス15を介して接続されており、パケット呼制御装置12は、マスタ時計13と、マスタバスコントローラ19とを有し、各々のパケットデータ制御装置16は、スレーブ時計17と、スレーブバスコントローラ20とを有していた。
パケット呼制御装置12のマスタ時計13は、処理能力の向上及び収容回線18の増大のために、パケット呼制御装置12とパケットデータ制御装置16とに分けて、時間帯により料金体系が異なる課金サービス,各収容回線の同一時間内におけるトラヒック量及び障害状況を収集できるメンテナンス機能のために設けられている。また、パケットデータ制御装置16のスレーブ時計17は、パケットデータ制御装置内で処理するパケットデータの時間帯ごとの課金用データ収集,一定時間内でのトラヒック収集に用いるために設けられている。パケット呼制御装置12とパケットデータ制御装置16とが各々時計を備えているため、従来のパケット交換機では、マスタ時計13とその配下のスレーブ時計17との時刻を正確に一致させるために、マスタバスコントローラ19,スレーブバスコントローラ20,データ通信及び制御オーダ用バス15を用いて、パケット呼制御装置12とパケットデータ制御装置16との間で常にデータ及びオーダのやりとりを行っていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来のパケット交換機では、パケット呼制御装置12のマスタ時計13とその配下に今後増設される可能性のある複数のパケットデータ制御装置16のスレーブ時計17との時刻が同一時刻であるか否かを常にチェックしなければならない欠点がある。そしてマスタ時計13とスレーブ時計17の時刻が異なっている場合は、修正する必要がある。
本発明の目的は、上記欠点を解消し、パケット呼制御装置のマスタ時計から複数のパケットデータ制御装置のスレーブ時計に時刻を含む情報を同報通信することにより、マスタ時計と複数のスレーブ時計の時刻を合わせて同期をとることのできるパケット交換機時刻同期方法及び装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のパケット交換機時刻同期方法は、 課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を、パケット呼制御装置からバスを介して複数のパケットデータ制御装置に同報通信して同期をとる。
また本発明のパケット交換機時刻同期装置は、 マスタ時計を有するパケット呼制御装置が、バスを介して接続される複数のパケットデータ制御装置に、前記マスタ時計からの課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を、前記バスを制御するバスコントローラにより同報通信する。
更に本発明のパケット交換機時刻同期装置は、 課金及び統計情報の切替え時刻を伝えるマスタ時計と、 このマスタ時計からの前記課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を同報通信するマスタバスコントローラと、 前記情報を記憶する複数のバッファと、 前記マスタバスコントローラから、バスを介して、前記課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を受け、前記バッファに常時書き込む複数のスレーブバスコントローラとを有する。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
第1図は、本発明の一実施例を示す装置ブロック図である。
このパケット交換機時刻同期装置は、パケット交換機内に、パケット呼制御装置2と、複数のパケットデータ制御装置6a〜6fを備えている。パケット呼制御装置2は、マスタ時計3と、マスタバスコントローラ9とを有し、パケットデータ制御装置6a〜6fは、各々課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fと、スレーブバスコントローラ10a〜10fとを有している。パケット呼制御装置2は、一端をホストプロセッサとの間で通信用回線4と接続され、他端をデータ通信及び制御オーダ用バス5を介してパケットデータ制御装置6a〜6fと接続されている。また各々のパケットデータ制御装置6a〜6fは、収容回線8a〜8fを収容している。
パケット呼制御装置2は、パケット呼の管理及び呼接続,パケットデータ制御装置からの蓄積データの回収,ホストのプロセッサへの課金データ及び統計データの報告を行う。マスタ時計3は、課金レートペリアド(rate period)切替え時刻及び統計情報の収集タイミングの時刻になると、パケット呼制御装置2の図示しない制御部に伝える。
マスタバスコントローラ9は、課金レートペリアド切替え時刻になると、レートペリアド切替時刻のオーダと今度切替わるレートペリアドの時間帯を示す値をデータ通信及び制御オーダ用バス5を介してパケットデータ制御装置6a〜6fに同報通信により行う。また、統計情報の収集タイミング切替え時刻がくると、統計情報切替えオーダのデータをデータ通信及び制御オーダ用バス5を介してパケットデータ制御装置6a〜6fに同報通信により行う。
パケットデータ制御装置6a〜6fは、各々、収容回線8a〜8fを直接収容し、パケット呼制御装置2とのオーダのやりとりによるパケットのスイッチ情報を持ち、パケットデータの交換動作を行う。
課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fは、パケット呼制御装置2からの情報及びデータを蓄積する。
スレーブバスコントローラ10a〜10fは、パケット呼制御装置2から受けた課金レートペリアド切替え時刻時のレートペリアド切替時刻のオーダ及び今度切替わる課金レートペリアドの時間帯を示す値をデータ通信及び制御オーダ用バス5を介して受信し、各々の課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fに書き込み、各々の制御部(μP)へ報告する。またパケット呼制御装置2から受けた統計情報切替え時刻時の統計情報切替えオーダのデータを各々の課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fに書き込み、各々の制御部へ報告する。
次に、本実施例の動作について、最初に課金レートペリアド切替え時刻時の動作、次に統計情報の切替え時刻時の動作について説明する。
最初に、課金レートペリアド切替え時刻の時、パケット呼制御装置2は、マスタ時計3から課金レートペリアド切替え時刻の情報を受ける。マスタ時計3は、時間帯ごとに課金体系が異なるため、切替え時刻ごとにパケット呼制御装置2へ伝える。マスタバスコントローラ9は、データ通信及び制御オーダ用バス5を介して、パケットデータ制御装置6a〜6fに課金レートぺリアド切替え時刻のオーダ,今度切替わるレートペリアドの時間帯を示す課金情報を同報通信で送信する。パケットデータ制御装置6a〜6fは、パケット呼制御装置2からの課金情報を各々のスレーブバスコントローラ10a〜10fで受信し、各々の課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fに書き込む。そしてパケットデータ制御装置6a〜6fの図示しない各々の制御部へ報告する。各々の制御部は、その報告以後は、今まで課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fに蓄積していた課金情報(パケットの数,キャラクタ等)とは別のエリア(領域)に課金情報を蓄積し始める。そしてパケット呼制御装置2は、課金レートペリアドの切替え時刻オーダをパケットデータ制御装置6a〜6fに送信した後、前課金レートペリアド内に課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7f内に蓄積されていたデータをパケットデータ制御装置6a〜6fからデータ通信及び制御オーダ用バス5を介して回収する。
次に、統計情報切替え時刻のとき、パケット呼制御装置2は、パケット交換機で処理を行っているデータ量等を知るため一定時間内のトラヒック量を収容回線8a〜8fの回線単位に収集する。このときパケット呼制御装置2は、マスタ時計3から統計情報の切替え時刻の情報を受けると、統計情報切替えオーダのデータをデータ通信及び制御オーダ用バス5を介して配下のパケットデータ制御装置6a〜6fに同報通信する。各々のパケットデータ制御装置6a〜6fでは、スレーブバスコントローラ10a〜10fがマスタ時計3からの統計情報切替えオーダのデータを専用の課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ7a〜7fに書き込む。そしてパケットデータ制御装置6a〜6fの各々の制御部に報告する。各々の制御部は、その報告以後の今まで蓄積していた統計情報切替えオーダのデータ(トラヒック情報)とは別のエリアに新たにトラヒック情報を蓄積し始める。パケット呼制御装置2は、パケットデータ制御装置6a〜6fに統計情報切替えオーダを送信した後、前時間帯で収集したトラヒック情報を各パケットデータ制御装置6a〜6fからデータ通信及び制御オーダ用バス5を介して回収する。
以上説明した様にパケットデータ制御装置は、課金及び統計情報切替えオーダ用バッファに前に書き込んだデータ,今書き込んだデータを蓄積領域交互に切替えることにより記憶する。パケット呼制御装置は、プロセッサ間の通信回線4を介してプロセッサに対してパケットデータ制御装置から回収した課金情報及び統計情報を報告する。またパケットデータ制御装置及びパケット呼制御装置のマスタバスコントローラ及びスレーブバスコントローラは、パケット呼制御装置とパケットデータ制御装置の間、つまりマスタのエージェントからスレーブのエージェントへの同報通信を行う機能と、スレーブのエージェントがビジー状態(リソース不足及び処理能力によりビジーとなり、新たなパケットデータ及び制御オーダを受けられない状態)においても、常に固定バッファ(課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ)に上書きする機能を持つ。
〔発明の効果〕
以上説明した様に本発明は、マスタ時計を有するパケット呼制御装置から配下の複数のパケットデータ制御装置に時刻を含む情報を同報通信することにより、正確に多数のパケットデータ制御装置に時刻を伝え、同期をとることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示す装置ブロック図、
第2図は、従来の技術を示す装置ブロック図である。
2……パケット呼制御装置
3……マスタ時計
6a〜6f……パケットデータ制御装置
7a〜7f……課金及び統計情報切替えオーダ用バッファ
9……マスタバスコントローラ
10a〜10f……スレーブバスコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を、パケット呼制御装置からバスを介して複数のパケットデータ制御装置に同報通信して同期をとるパケット交換機時刻同期方法。
【請求項2】マスタ時計を有するパケット呼制御装置が、バスを介して接続される複数のパケットデータ制御装置に、前記マスタ時計からの課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を、前記バスを制御するバスコントローラにより同報通信するパケット交換機時刻同期装置。
【請求項3】課金及び統計情報の切替え時刻を伝えるマスタ時計と、このマスタ時計から前記課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を同報通信するマスタバスコントローラと、前記情報を記憶する複数のバッファと、前記マスタバスコントローラから、バスを介して、前記課金及び統計情報の切替え時刻を含む情報を受け、前記バッファに常時書き込む複数のスレーブバスコントローラとを有するパケット交換機時刻同期装置。

【第1図】
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【第2図】
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【特許番号】第2949792号
【登録日】平成11年(1999)7月9日
【発行日】平成11年(1999)9月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−158721
【出願日】平成2年(1990)6月19日
【公開番号】特開平4−51629
【公開日】平成4年(1992)2月20日
【審査請求日】平成9年(1997)5月28日
【出願人】(999999999)日本電気株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平1−209840(JP,A)
【文献】特開 平1−208938(JP,A)
【文献】特開 昭61−242141(JP,A)
【文献】特表 昭61−500093(JP,A)